説明

アクチュエータ及びこれを用いた電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化されたアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現すること。
【解決手段】可動体160では、アウターヨーク110に、所定間隔を空けて対向して配置された内壁面112a、113aを有しこれら対向する内壁面112a、113aにそれぞれ磁極が異なるマグネット121、123を対向して設けている。可動体160は、マグネット121、124間にエアギャップを介して配置されたセンターヨーク140を有する。可動体160には、シャフト150が設けられている。固定体180は、エアギャップに配置され、センターヨーク140を周回するコイル170を有する。固定体180は、可動体160を弾性体190を介して可動自在に支持する。交流供給部195は、可動体160の共振周波数に略等しい周波数の交流をコイル170に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシ或いは電動音波歯ブラシ等に用いられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動音波歯ブラシを含む電動歯ブラシでは、往復直線運動により、歯と歯茎の境界部分に斜め(約45度の角度)に当てて左右に振動するバス磨き用の歯ブラシと、軸回りの所定角度範囲で往復(正逆)回転運動して、歯茎から歯に向かって回転させるように動くローリング磨き用の歯ブラシが知られている。
【0003】
これら歯ブラシの駆動には、通常の軸回り回転を行う回転式DCモータの回転を、運動方向変換機構を介して直線往復運動又は往復回転運動する構造が多く用いられている。また、この構造以外にも、リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動する構造又は、アクチュエータの振動によって駆動源とは別体の共振振動機構を共振させて歯ブラシを往復回転運動する構造が知られている。
【0004】
リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動させる構造は、特許文献1に示すように、リニア駆動アクチュエータによって、歯ブラシ部に直結する出力軸の軸方向の往復振動を直接発生させてバス磨きを実現している。この構造では、運動変換機構による動力ロスがなく、また高速な振動を行わせることができるものとなっている。
【0005】
また、アクチュエータと、駆動源とは別体の共振振動機構とを有する構造は、特許文献2に示すように、電磁石及び永久磁石を備える駆動手段によって、レバーアームを備える共振振動機構を励振して、歯ブラシ部に同軸で直結するレバーアームを首振り運動させてローリング磨きを実現している。
【特許文献1】特開2002−078310号公報
【特許文献2】特許第3243529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動歯ブラシでは、ローリング磨きを実現できるとともに、ローリング磨き用歯ブラシを駆動させる駆動部分が収容される柄の部分を極力細くしたいため、歯ブラシの駆動部分の小型化が望まれている。
【0007】
しかしながら、通常の軸回り回転するモータを用いローリング磨きを実現するためには、モータとは別に当該モータの回転を往復回転運動に変換するための運動方向変換機構が必要となる。また、特許文献1のようリニア駆動アクチュエータを用いローリング磨きを実現するためには、リニア駆動アクチュエータとは別にトルク発生機構(駆動源)が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に示す構造では、駆動源とともに、駆動源とは別の共振振動機構が必要なる。
【0009】
したがって、従来の構造では、モータ或いはリニア駆動アクチュエータを電動歯ブラシの駆動源としてみた場合、駆動源に加えて、駆動源とは別の運動方向変換機構又はトルク発生機構又は共振振動機構の配置スペースを確保する必要があるので、歯ブラシの小型化には困難であるという問題がある。
【0010】
さらに、歯ブラシの駆動部分として、モータなどのアクチュエータとは別体の運動方向変換機構といった駆動伝達機構を備える場合、駆動伝達機構では、騒音発生の恐れ及び伝達される動力ロスの発生による効率悪化の恐れがあり、これらの対策も考慮する必要がある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現できる、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアクチュエータは、所定間隔を空けて対向して配置された内壁面を有しこれら対向する内壁面にそれぞれ磁極が異なる磁石を対向して設けたアウターヨーク、前記磁石間にエアギャップを介して配置された磁性体を有する可動体と、前記可動体に設けられた出力軸と、前記エアギャップに配置され、前記磁性体を周回するコイルを有する固定体と、前記固定体に前記可動体を可動自在に支持する弾性支持部と、前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部とを有する構成を採る。
【0013】
本発明の電動歯ブラシは、上記構成のアクチュエータと、前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部とを有する構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ100を示す斜視図である。図2は、同アクチュエータの要部分解斜視図である。図3は、アクチュエータ100における可動体及び固定体の構成を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示すように、アクチュエータ100は、可動体160と、固定体180と、固定体180に可動体160を可動自在に支持する弾性体190と、交流供給部195(図2及び図3)とを有する。
【0018】
可動体160は、アウターヨーク110と、マグネット121、123(図2及び図3)と、非磁性体130と、センターヨーク140と、弾性体接続部162、164と、可動体160に設けられた回転往復振動伝達シャフト(以下、「シャフト」という)150と、を有する。
【0019】
固定体180は、基台182と、支持壁184、186と、コイル170とを有する。固定体180では、シャフト150の延在方向に沿って長い矩形板状をなす基台182の表面中央部にコイル170が配置されている。また、基台182の長手方向で離間する端辺部から支持壁部184、186が立設されている。なお、コイル170には、図2に示すように交流供給部195から交流電源が供給される。
【0020】
図1から図3に示すように、アウターヨーク110は、ここでは、断面略U字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク110は、矩形板状のヨーク中央部111と、ヨーク中央部111の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部112、113とを有する。
【0021】
アウターヨーク110は、アウターヨーク110の長手方向(シャフト150の延在方向に相当)で離間する端部(両側辺部の延在方向で離間する端部)に、弾性体190を介して支持壁部184、186に接続される弾性体接続部162、164が取り付けられている。
【0022】
弾性体接続部162、164の一方にはアウターヨーク110の延在方向と同方向で突出するシャフト150が取り付けられている。すなわち、シャフト150は、アウターヨーク110に取り付けられた弾性体接続部164から、センターヨーク140とマグネット121、123とが対向する方向と略直交する方向に突出して設けられている。
【0023】
このシャフト150は、可動体160の重心を通る軸線上に位置するように可動体160に取り付けられ、可動体160とともに回転往復振動し、その振動を外部に伝達する。
【0024】
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、シャフト150には、シャフト150と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。
【0025】
マグネット121、123は、図3に示すように、互いに異なる磁極が対向するように、アウターヨーク110の側壁部112、113における内壁面112a、113aの略全面に渡って取り付けられている。本実施の形態の場合、マグネット121のS極と、マグネット123のN極が対向している。センターヨーク140は、磁性体であり、アウターヨーク110の中央部分に非磁性体130を介して取り付けられている。具体的には、磁性体であるセンターヨーク140は、マグネット121、123の間に、非磁性体130を介してヨーク中央部111から垂下するように設けられている。
【0026】
センターヨーク140は、図3に示すように、アウターヨーク110の延在方向に延在し、側方で対向するマグネット121、123の対向領域と略同形状の領域の両側壁面を備える直方体である。センターヨーク140は、マグネット121、123とエアギャップが形成されるようにヨーク中央部111に固定されている。
【0027】
センターヨーク140とマグネット121、123との間のエアギャップには、センターヨーク140の側壁面、マグネット121、123及びアウターヨーク110のヨーク中央部111とのそれぞれから離間して、センターヨーク140を周回するコイル170が配置されている。
【0028】
コイル170は、ここでは、ボイスコイルであり、センターヨーク140の周囲を囲むように巻回されている。具体的には、コイル170は、センターヨーク140の側壁面、マグネット121、123の対向方向と直交する方向に巻回されている。
【0029】
このコイル170が設けられる基台182に立設される支持壁部184、186は、図1及び図2に示すように、基台182の長手方向で離間する両端辺部から立ち上がるリブ上に配設されている。支持壁部186は、可動体160のシャフト150が挿通する開口部186aを有する。
【0030】
この支持壁部186の開口部186aにシャフト150を挿通させて、支持壁部184、186は、弾性体接続部162、164との間に架設される弾性体190を介して、可動体160を、略水平方向に保持している。
【0031】
弾性体190は、支持壁部184、186の対向領域において、可動体160を、左右前後方向に変位自在に支持して、可動体160を、センターヨーク140及びシャフト150のねじり方向に支持している。ここでは、弾性体190は、支持壁部184、186どうしで対向する面の上下端部において略水平に、対向方向に突出して設けられた板状のジグザグバネからなる。つまり、弾性体190は、一端部から他端部側に向かって細帯状の金属板が一方の幅方向に延びて他方の幅方向に折り返すことを繰り返してジグザグに配置され、弾性体190自体は一端部と他端部とを固定するとねじり方向に伸縮する。
【0032】
このように構成された弾性体190を介して、可動体160は、側辺部と直交する端部の上下辺部分で、固定体180の支持壁部184、186のそれぞれに、ねじり方向に可動自在に支持されている。
【0033】
可動体160のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体160は、固定体180に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。
【0034】
【数1】

本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部195によって、コイル170に可動体160の共振周波数fと略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体160を効率良く駆動させることができる。
【0035】
可動体160及び固定体180では、アウターヨーク110、マグネット121、123、センターヨーク140及びコイル170が、磁気回路を形成する。
【0036】
図4は、本実施の形態1のアクチュエータにおける磁気回路を示す磁束線図である。
【0037】
図3及び図4に示すように、アクチュエータ100では、一方のマグネットから発生した磁束(図3では白抜き矢印で示す)は、コイル170が配置されるエアギャップ、センターヨーク140、反対側のエアギャップを通り、他方のマグネット、アウターヨーク110を通る。
【0038】
次に、アクチュエータ100の動作を説明する。
【0039】
本アクチュエータ100における可動体160は、弾性体190を介して固定体180により支持されるバネマス系構造であり、コイル170に可動体160の共振周波数fに等しい周波数の交流が供給されると、可動体160は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体160のシャフト150に伝達される。
【0040】
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0041】
【数2】

【0042】
【数3】

すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0043】
図5は、本実施の形態1に係るアクチュエータの動作を説明するための模式図である。なお、図5(a)では白抜き矢印で磁気回路の磁束の流れを示しているが、図5(b)〜図(d)では同様の流れであるため、図示省略している。
【0044】
コイル170に交流供給部195から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル170には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、コイル170を有する基台182及び支持壁部184、186に弾性体190を介して取り付けられている可動体160には、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
【0045】
アクチュエータ100の1周期分の動作について説明する。
【0046】
図5(a)に示す向きでコイル170に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット121に対向するコイル170の部分172には、上向き(アウターヨーク110側の方向)に推力F1が発生し、マグネット123に対向するコイル170の部分174には、下向き(基台182側の方向)に推力F2が発生する。
【0047】
これにより、コイル170を有する基台182から立ち上がる支持壁部184、186(図1及び図2参照)に弾性体190を介して支持された可動体160に相対的に回転する力が発生し、可動体160は、図5(b)に示す位置となるように可動する。
【0048】
図5(b)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性体190の復元力により矢印R1、R2の反力が発生する。図5(b)に示す状態から図5(d)に示す状態までは、コイル170に図5(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体160は、図5(b)の状態から図5(c)の状態までは、矢印R1、R2で示す反力と、矢印F3、F4で示す推力とによって、固定体180に対して時計回りに回転する。また、可動体160は、図5(c)の状態から図5(d)の状態までは、矢印F3、F4で示す推力によって、固定体180に対して時計回りに回転する。
【0049】
図5(d)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性体190の復元力により矢印R3、R4の反力が発生する。図5(d)に示す状態から図5(a)に示す状態を経て図5(b)に示す状態までは、コイル170に順方向電流が供給される。これにより、可動体160は、図5(d)の状態から図5(a)の状態までは、矢印R3、R4で示す反力と、矢印F1、F2で示す推力とによって、固定体180に対して反時計回りに回転する。また、可動体160は、図5(a)の状態から図5(b)の状態までは、矢印F1、F2で示す推力によって、固定体180に対して反時計回りに回転する。
【0050】
次に、図5の各状態で供給される交流電流について簡単に説明する。
【0051】
コイルに流れる交流は、図6(a)に示すように周波数fのパルス波でもよいし、図6(b)に示すように周波数fの正弦波でもよい。
【0052】
図5(a)の状態では、図6に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図5(b)の状態では図6の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図5(c)の状態では、図6に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図5(d)の状態では、図6の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図5(d)の状態では、図6に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体160が回転往復振動される。
【0053】
アクチュエータ100では、可動体160は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動はシャフト150を介して外部に出力される。シャフト150に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
【0054】
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。これにより、アクチュエータ100では、定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体160を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100によれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現して小型化を図ることができ、更に、往復回転運動を低消費電力で実現することができる。また、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも同様の効果を得ることができ、歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
【0055】
(実施の形態2)
図7は、本発明に係る実施の形態2のアクチュエータを示す要部断面図、図8は、同アクチュエータの要部構成により形成される磁気回路の磁束線を示す図である。なお図7に示す白抜き矢印は、磁束の流れを示している。
【0056】
図7及び図8に示す実施の形態2のアクチュエータ100Aは、図1〜図5に示すアクチュエータ100の構成において、非磁性体130を除いて、アウターヨーク110に直接センターヨーク140Aを取り付けた構成を有する。
【0057】
センターヨーク140Aは、センターヨーク140と、非磁性体130とを合わせた大きさの磁性体である。
【0058】
アクチュエータ100Aでは、所定間隔を空けて対向して配置された内壁面にそれぞれ磁極が異なるマグネット121、123を対向して設けられたアウターヨーク110に、マグネット121、123間にエアギャップを介して配置される磁性体であるセンターヨーク140Aを一体的に設けている。その他の構成は、アクチュエータ100の構成と同様であるため、同符号を付して説明は省略する。
【0059】
すなわち、アクチュエータ100Aは、可動体160と、可動体160に設けられた出力軸と、エアギャップに配置され、センターヨーク140Aを周回するコイル170を有する固定体180と、固定体180に可動体160を可動自在に支持する弾性支持部である弾性体190(図1及び図2参照)と、可動体160の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部195とを有している。
【0060】
このように構成されたアクチュエータ100Aでは、可動体160は、アウターヨーク110及びセンターヨーク140Aとで図7及び図8に示すE型の磁気回路を形成する。
【0061】
アクチュエータ100Aの磁気回路は、実施の形態1に係るアクチュエータ100の磁気回路とは異なる回路であるが、エアギャップ間を流れる磁束の流れ、つまり、マグネット121、123に対向するコイル170の部分における磁束の流れは、実施の形態1と同様のものとなり、実施の形態1と同様に回転往復振動を実現できるアクチュエータとなる。また、可動体160において、非磁性体130を介さずに、センターヨーク140Aがアウターヨーク110に設けられているため、ヨーク中央部分の構成を簡易して、部品点数及び組立工数の削減を図ることができ、アクチュエータの低廉化を図ることができる。
【0062】
(実施の形態3)
図9は、本発明に係る実施の形態3のアクチュエータを示す斜視図、図10は同アクチュエータの分解斜視図である。なお、このアクチュエータ100Bは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
アクチュエータ100Bは、アクチュエータ100において、可動体160を固定体180に回動自在に軸支した構成である。ここでは、アクチュエータ100の構成において、シャフト150と同一軸心で回動自在に軸支している。
【0064】
すなわち、アクチュエータ100Bは、アクチュエータ100の構成においてシャフト150が挿通される支持壁部186の開口部186aに軸受186bを取り付けている。支持壁部186は、軸受186bを介してシャフト150を回動自在に支持している。また、シャフト150において支持壁部186から突出する部位にはブッシュ186cが外嵌されている。
【0065】
さらに、アウターヨーク110に取り付けられる弾性体接続部162に、シャフト150と同軸心上に配置される支持軸部162aが、シャフト150の突出方向とは逆方向に突設されている。支持軸部162aはシャフトと略同一の外径を有する。
【0066】
この弾性体接続部162に対して、弾性体190を介して接続される支持壁部184には、支持軸部162aを挿通する軸受184aが取り付けられている。支持壁部184の軸受184aに挿通された支持軸部162aの端部には、支持壁部184の裏面側で、ブッシュ184bが外嵌されている。
【0067】
このようにアクチュエータ100Bでは、可動体160は、支持軸部162a及びシャフト150で支持壁部184、186に回動自在に軸支されている。このため、アクチュエータ100Bでは、コイル170に交流供給部195から交流が供給され、固定体180に対してシャフト150の軸心を中心に安定して回転往復振動することとなる。
【0068】
よって、回転及び軸方向のみ自由度を持ち、アクチュエータ100自体の耐衝撃性を向上させるとともに可動体160を安定して回転往復振動させることができる。
【0069】
また、アクチュエータ100Bでは、可動体160の可動運動を伝達して出力するシャフト150が、可動体160を固定体180に軸支させる軸部として用いられている。
【0070】
なお、このアクチュエータ100Bでは、アウターヨーク110に非磁性体130を介してセンターヨーク140を固定した構造としたが、アクチュエータ100Aで示す磁気回路を有するように、アウターヨーク110に直接センターヨーク140を取り付けて可動体160自体の磁気回路をE型にしてもよい。
【0071】
(実施の形態4)
図11は、本発明に係る実施の形態4のアクチュエータを示す斜視図、図12は同アクチュエータの分解斜視図、図13は、同アクチュエータに用いられる粘弾性体としてのエラストマーを示す図である。なお、図11及び図12に示すアクチュエータ100Cは、図9及び図10に示す実施の形態3に対応するアクチュエータ100Bにおいて、弾性体190を替えた構造であり、その他の構成は同様の構成である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
アクチュエータ100Cでは、アクチュエータ100Bの構成において、アクチュエータ100の弾性体190と同様のジグザグバネである弾性体190に替えて自身の減衰が大きい粘弾性体、ここではエラストマー197を用いている。
【0073】
エラストマー197は、図13に示すように、支持軸部162aとシャフト150と挿通する挿通口198を備えた中央部197aと、中央部197aから支持軸部162a及びシャフト150の軸心と直交する方向に突出するアーム部197bとを備える。
【0074】
エラストマー197は、支持壁部184(186)と弾性体接続部162(164)との間に配置されバネとして機能する。エラストマー197は、アーム部197bの延在方向でずれた位置に形成された孔部198a、198bに、支持壁部184(186)と弾性体接続部162(164)の突起168a、168bが嵌入されている。ここでは、エラストマー197のアーム部197bにおいて、中央部197aに近い位置の孔部198aに弾性接続部162(164)の突起168aが圧入により嵌合されている。また、中央部197aよりも遠い位置の孔部198bに支持壁部184(186)の突起168bが圧入により嵌合されている。
【0075】
アクチュエータ100Cによれば、実施の形態3と同様の効果を得ることができるとともに、エラストマー197は、支持壁部184(186)と弾性体接続部162(164)との間に配置して、支持壁部184(186)と弾性体接続部162(164)の突起168a、168bを孔部198a、198bに圧入するだけで、両部材に取り付けられる。これにより、ジグザグバネ等の金属バネを用いた場合と異なり、ネジによる締結又は接着などの煩雑な取り付け工程を必要とすることなく、アクチュエータ100C自体の組立性の向上を図ることができる。
【0076】
なお、このアクチュエータ100Cでは、アウターヨーク110に非磁性体130を介してセンターヨーク140を固定した構造としたが、アクチュエータ100Aで示す磁気回路を有するように、アウターヨーク110に直接センターヨーク140を取り付けて可動体160自体の磁気回路をE型にしてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態におけるアウターヨーク110は、マグネット121、123を異なる磁性で対向して取り付けられた内壁面を有し、コイル170と、センターヨーク140とで磁気回路を形成すれば、どのように構成してもよく、アウターヨーク110全体を断面円弧状に形成してもよいし、ヨーク本体部を円弧状に形成してもよい。
【0078】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るアクチュエータは、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく小型化を実現できる効果を有し、電動歯ブラシ等に用いられる往復回転振動させるアクチュエータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータを示す斜視図
【図2】同アクチュエータの要部分解斜視図
【図3】同アクチュエータにおける可動体及び固定体の構成を示す概略断面図
【図4】同アクチュエータにおける磁気回路を示す磁束線図
【図5】同アクチュエータの動作を説明するための模式図
【図6】同アウターヨークにおいてコイルに供給される交流の周期を示す図
【図7】本発明に係る実施の形態2のアクチュエータを示す要部断面図
【図8】同アクチュエータの要部構成により形成される磁気回路の磁束線を示す図
【図9】本発明に係る実施の形態3のアクチュエータを示す斜視図
【図10】同アクチュエータの分解斜視図
【図11】本発明に係る実施の形態4のアクチュエータを示す斜視図
【図12】同アクチュエータの分解斜視図
【図13】同アクチュエータに用いられる粘弾性体であるエラストマーを示す図
【符号の説明】
【0081】
100、100A、100B、100C アクチュエータ
110 アウターヨーク
121、123 マグネット
130 非磁性体
140、140A センターヨーク
150 シャフト
160 可動体
162、164 弾性体接続部
162a 支持軸部
170 コイル
172 コイルの部分
174 コイルの部分
180 固定体
184、186 支持壁部
184a 軸受
190 弾性体
195 交流供給部
197 エラストマー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を空けて対向して配置された内壁面を有しこれら対向する内壁面にそれぞれ磁極が異なる磁石を対向して設けたアウターヨーク、前記磁石間にエアギャップを介して配置された磁性体を有する可動体と、
前記可動体に設けられた出力軸と、
前記エアギャップに配置され、前記磁性体を周回するコイルを有する固定体と、
前記固定体に前記可動体を可動自在に支持する弾性支持部と、
前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部と、
を有するアクチュエータ。
【請求項2】
前記磁性体は、前記アウターヨークに非磁性体を介して固定されている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記磁性体は、アウターヨークに直接設けられている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記可動体は、前記固定体に前記出力軸を中心に回転自在に軸支されている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記弾性支持部は、前記固定体と前記可動体とに介設される粘弾性体である請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部と、
を有する電動歯ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate