アクチュエータ装置および光ピックアップ装置
【課題】プリントコイルの共振によるレンズホルダの共振を抑えることができるアクチュエータ装置および光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ装置１のアクチュエータ装置３において、レンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋに固定用の接着剤を塗布し、外周部９ｋに囲まれた中央部９ｍにダンパ材１２を塗布する。
【解決手段】光ピックアップ装置１のアクチュエータ装置３において、レンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋに固定用の接着剤を塗布し、外周部９ｋに囲まれた中央部９ｍにダンパ材１２を塗布する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光ディスク再生装置などに使用される光ピックアップ装置および、該光ピックアップ装置に使用され対物レンズをフォーカスおよびトラッキング方向に駆動するアクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
光ディスク再生装置などに使用される光ピックアップ装置は、ＣＤ（Compact Disk）やＤＶＤ（Digital Versatile Disk）などの光ディスクに記録された情報を読み取るために、光ディスクの反りや振れに対して光ディスクの記録面と対物レンズとの距離を制御するフォーカス制御と、光ディスクのトラックの偏心に対して対物レンズを追従するように制御するトラッキング制御を行っている。
【０００３】
光ピックアップ装置は、例えば、特許文献１に示すように、対物レンズを内蔵し、両側面にプリントコイルが接着剤等で固定されたレンズホルダと、線状弾性部材でレンズホルダに連結しレンズホルダを移動可能に支持したアクチュエータベースとからなるアクチュエータ装置と、ヨーク、光源、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、ピックアップボディなどから構成されている。
【０００４】
アクチュエータ装置のレンズホルダとアクチュエータベースは樹脂で成形されており、アクチュエータ装置のレンズホルダとアクチュエータベースを成形する際に線状弾性部材も一体にインサート成形される。そして、線状弾性部材は、プリントコイルに電気的に接続されており、線状弾性部材に外部からフォーカス駆動電流またはトラッキング駆動電流を供給することで、プリントコイルにフォーカス駆動力やトラッキング駆動力を発生させて光ディスクから信号が正確に読み取れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−１０３００２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
近年、ブルーレイディスク（ＢＤ）など大容量の光ディスクに対応するアクチュエータ装置にはＣＤやＤＶＤ用よりも高感度なものが要求されており、そのため、プリントコイルのサイズが大きくなる傾向にある。
【０００７】
プリントコイルのサイズが大きくなると、そのプリントコイルが持つ固有振動の周波数が低下する。そして、その低下した固有振動の周波数がアクチュエータ装置の動作する周波数に近い周波数になると、アクチュエータ装置の動作時にプリントコイルが共振してしまう。プリントコイルが共振するとレンズホルダも同期して共振してしまい、光ディスクからの情報の読み取り動作に悪影響を及ぼしてしまうという問題が発生する。
【０００８】
従来は、線状弾性部材やレンズホルダの共振については様々な対策が採られていたが、ＣＤやＤＶＤに対応するアクチュエータ装置ではプリントコイルのサイズが小さく固有振動の周波数がアクチュエータ装置の動作する周波数と異なる帯域にあったためプリントコイルの共振対策は行われていなかった。
【０００９】
そこで、本発明は、例えば、プリントコイルの共振によるレンズホルダの共振を抑えることができるアクチュエータ装置および光ピックアップ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するために、請求項１に記載の光ディスク再生装置は、対物レンズと、樹脂で成形されかつ該対物レンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部を挟んで当該レンズ収容部の側面の固定部に固定されている一対のコイル部と、前記レンズ収容部と一体に成形されるとともに前記コイル部と電気的に接続される線状弾性部材と、を備えたアクチュエータ装置において、前記レンズ収容部と前記コイル部との間に制振部材が設けられていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の第１の実施例にかかる光ピックアップ装置の要部斜視図である。
【図２】本発明の第１の実施例にかかるアクチュエータ装置の要部斜視図である。
【図３】図２に示されたアクチュエータ装置のホルダベースとレンズホルダ及びプリントコイル部分を示した斜視図である。
【図４】図３に示されたレンズホルダとプリントコイルとを簡略化して記載した図である。
【図５】本発明の第２の実施例にかかるアクチュエータ装置のレンズホルダとプリントコイルとを簡略化して記載した図である。
【図６】図５のＩ−Ｉ線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の一実施形態にかかるアクチュエータ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかるアクチュエータ装置は、対物レンズが収容されたレンズ収容部と、そのレンズ収容部の側面の固定部に固定されるコイル部との間に制振部材が設けられているので、コイル部が共振した際でもレンズ収容部が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【００１３】
また、固定部がレンズ収容部の側面の外周部に設けられているとともに、制振部材が、側面の固定部に挟まれるように設けられていてもよい。このようにすることにより、接着剤などを塗布する固定部をレンズ収容部の側面の外周部に設けて接着強度を確保するとともに、防振部材がレンズ収容部の側面の中央部や中間部などの共振した際に大きく振れる部分に設けることができ、レンズ収容部への振動の伝達を抑えることができる。
【００１４】
また、レンズ収容部の側面に制振部材が設けられる凹部が設けられていてもよい。このようにすることにより、狙った部分に制振部材を設けることができる。また、レンズ収容部にコイル部を接着した後にダンパ材などの制振部材を流し込むことができ作業性を良くすることができる。
【００１５】
また、上述したアクチュエータ装置を光ピックアップ装置に備えることで、高感度が要求される場合でもアクチュエータの共振による影響を少なくすることができる。
【実施例１】
【００１６】
本発明の第１の実施例にかかるピックアップ装置１を図１ないし図４を参照して説明する。ピックアップ装置１は、ＣＤ、ＤＶＤおよびＢＤ等の光ディスク再生装置などに用いられ、光ディスクに記録された情報を読み取るために、光ディスクの反りや振れに対して光ディスクの記録面と対物レンズとの距離を制御するフォーカス制御と、光ディスクのトラックの偏心に対して対物レンズを追従するように制御するトラッキング制御を行う。図１は本発明の第１の実施例にかかる光ピックアップ装置１の要部斜視図である。光ピックアップ装置１は図１に示すようにピックアップケース２と、アクチュエータ装置３と、を備えている。なお、以下、光ピックアップ装置１が移動する光ディスクの径方向と平行な方向をＸ方向と記し、上述する一対のプリントコイルから互いに向かい合い航行と平行かつＸ方向と直交する方向をＹ方向と記し、前記Ｘ方向、Ｙ方向の全てと直交する方向をＺ方向と記す。
【００１７】
ピックアップケース２は、アクチュエータ装置３が固定されるとともに、図示しない光源、コリメータレンズ、ビームスプリッタなどの光学部品が収容されている。また、ピックアップケース２は、図示しないモータやモータからの駆動力を伝達するリードスクリューなどによって、図１に示す軸２０上を光ディスクの径方向、即ちＸ方向に沿って移動可能となっている。
【００１８】
アクチュエータ装置３は、図２に示すように、アクチュエータケース４と、アクチュエータ可動部５と、を備えている。
【００１９】
アクチュエータケース４は、アクチュエータ可動部５の後述するレンズホルダ９をフォーカスやトラッキング方向に移動させるためのマグネットなどが含まれ、アクチュエータ可動部５のうち後述するホルダサスペンション８のサスペンションベース部１０が固定されている。
【００２０】
アクチュエータ可動部５は、図３に示すように、対物レンズ６と、プリントコイル７と、ホルダサスペンション８と、を備えている。
【００２１】
対物レンズ６は、光源から発せられ光学部品を経由してきた光を光ディスクに照射することおよび光ディスクから反射された光を光学部品へ出力するためのレンズであり、本実施例ではＣＤ／ＤＶＤ用のレンズ６ａとＢＤ用レンズ６ｂの２種類がＹ方向に向かって並列に設けられている。
【００２２】
コイル部としてのプリントコイル７は、ホルダサスペンション８のレンズホルダ９を挟んでレンズホルダ９の箱部９ｈの長手方向の側面に一対が後述する接着剤１３などで固定される。プリントコイル７は、基板上にコイルの配線パターンが形成されたものであり、フォーカス制御用のコイルとトラッキング制御用のコイルが夫々形成されている。また、プリントコイル７には、後述する線状弾性部材１１とはんだ付けにて電気的に接続するためのランドが該線状弾性部材１１の接続部１１ｂに対応する位置に設けられている。
【００２３】
ホルダサスペンション８は図３に示すようにレンズホルダ９と、サスペンションベース部１０と、線状弾性部材１１と、を備えている。
【００２４】
レンズ収容部としてのレンズホルダ９は、例えばＬＣＰ（液晶ポリマ）等の樹脂によって略箱型に成形され、略箱型の箱部９ｈと、箱部９ｈの端部から突出した固定アーム部９ｄと凸部９ｅ等から構成されている。箱部９ｈの天面部９ａの略中央には対物レンズ６を設置するための開口孔９ｂが設けられている。
【００２５】
サスペンションベース部１０は、レンズホルダ９と同様に例えばＬＣＰ（液晶ポリマ）等の樹脂によって略箱型に成形されている。サスペンションベース部１０の両端部には線状弾性部材１１を固定するための線状弾性部材固定部１０ｂが設けられている。
【００２６】
線状弾性部材１１は、例えば銅合金などの弾性力を備えるとともに導電性の良い部材で形成されサスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂとレンズホルダ９の固定アーム部９ｄとを結びレンズホルダ９を移動可能に支持した線状部１１ａと、線状部１１ａから分岐しプリントコイル７と電気的に接続される接続部１１ｂと、を備えている。また、線状弾性部材１１は、サスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂに貫通するように固定され、線状弾性部材１１の貫通した部分は、外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。つまり、線状弾性部材１１は、レンズホルダ９に対するサスペンション機能の他に、プリントコイル７に電流を供給する配線の機能も合わせて持つ。
【００２７】
レンズホルダ９とサスペンションベース部１０と線状弾性部材１１は、インサート成形によりレンズホルダ９とサスペンションベース部１０を成形する際に一体に成形される。すなわち、図３に示すように線状弾性部材１１の線状部１１ａの一端がサスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂに内包され、線状部１１ａの他端および接続部１１ｂの一部がレンズホルダ９の固定アーム部９ｄ、凸部９ｅなどに内包されるとともに、線状弾性部材１１の他の部分は露出した状態で固定される。
【００２８】
レンズホルダ９に取り付けられたプリントコイル７は、線状断性部材１１の接続部１１ｂとはんだ付けされることで電気的に接続される。また、プリントコイルはレンズホルダ９の側面に接着剤１３で固定されているが、線状断性部材１１はレンズホルダ９と一体に成型されるため、はんだまたは接着剤１３のいずれか一方のみで固定しても良い。そして、図４に示すようにプリントコイル７とレンズホルダの間には制振部材としてのダンパ材１２が塗布されている。
【００２９】
図４は、レンズホルダ９とプリントコイル７とを簡略化して記載した図である。プリントコイル７はレンズホルダ９の箱部９ｈの側面９ｊに接着剤で接着（固定）される。詳しく説明すると、側面９ｊは、略平面状に形成されるとともに、外周部９ｋと外周部９ｋに囲まれた中央部９ｍとから構成されている。本実施例ではプリントコイル７は外周部９ｋを固定部として側面９ｊの四隅に接着剤１３を塗布し、さらに中央部９ｍにダンパ材１２を塗布して、プリントコイル７を接着する。即ち、ダンプ材１２が、側面９ｊの外周部９ｋに挟まれるように設けられている。なお、ダンパ材１２は中央部９ｍに一様に塗布しても良いし、中央部９ｍのさらに特定の位置のみに塗布しても良い。
【００３０】
本実施例は、プリントコイル７の接着強度を確保するためにレンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋに接着剤を塗布している。この場合、プリントコイル７が共振した場合は、接着剤によって固定されていない中央部９ｍが大きく振動しやすいので、その部分にダンパ材１２を塗布している。
【００３１】
本実施例によれば、アクチュエータ装置３のレンズホルダ９の側面９ｊにダンパ材１２を塗布することでプリントコイル７とレンズホルダ９との間に制振部材を設けているので、プリントコイル７の共振からレンズホルダ９に伝達してレンズホルダ９が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【実施例２】
【００３２】
次に、本発明の第２の実施例にかかるアクチュエータ装置３を図５および図６を参照して説明する。なお、前述した第１の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【００３３】
本実施例は、図５に示したようにレンズホルダ９の側面９ｊにダンパ材１２を流し込めるような凹部９ｎが設けられている点が第１の実施例と異なる。
【００３４】
凹部９ｎは、レンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋの３辺を除く部分が凹状に形成されている。即ち、中央部９ｍと外周部９ｋの一辺が凹状に形成されている。本実施例においては、まず、側面９ｊの凹部９ｍ以外の外周部９ｋの３辺に接着剤を塗布してプリントコイル７を固定した後に、図６に示すように外周部９ｋの凹状に形成された一辺からダンパ材１２を流し込み用のノズル１４を用いてダンパ材１２を流し込む。
【００３５】
本実施例によれば、レンズホルダ９のプリントコイル７の接着面である側面９ｊに凹部９ｎを設けたので、プリントコイル７が共振した際に動きが大きい部分など狙った位置に凹部９ｎを設けることで精度良くレンズホルダ９への振動の伝達を抑えることができる。
【００３６】
また、外周部９ｋの一辺も凹部９ｎと連なるように凹状に形成しているので、レンズホルダ９にプリントコイル７を接着した後にダンパ材１２を流し込むことができ、組立作業時に接着剤１３やダンパ材１２が冶具や作業者に付着することが少なくなり作業性を良くすることができる。
【００３７】
なお、上述した実施例では、プリントコイル７の固定部を側面９ｊの外周部９ｋとしたが、ダンパ材１２の塗布される領域が固定部に挟まれていればよいので、外周部の一辺と向かい合う一辺（つまり、左右端か上下端）を固定部としそれ以外の領域にダンパ材１２を塗布しても良い。
【００３８】
前述した実施例によれば、以下のアクチュエータ装置３が得られる。
【００３９】
（付記１）対物レンズ６と、樹脂で成形されかつ該対物レンズ６を収容するレンズホルダ９と、レンズホルダ９を挟んで当該レンズホルダ９の側面９ｊの外周部に固定されている一対のプリントコイル７と、レンズホルダ９と一体に成形されるとともにプリントコイル７と電気的に接続される線状弾性部材１１と、を備えたアクチュエータ装置３において、
レンズホルダ９とプリントコイル７との間にダンパ材１２が設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置３。
【００４０】
このアクチュエータ装置３によれば、プリントコイル７が共振した際でもレンズホルダ９が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【００４１】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【００４２】
１ 光ピックアップ装置
３ アクチュエータ装置
６ 対物レンズ
７ プリントコイル（コイル部）
９ レンズホルダ（レンズ収容部）
９ｊ 側面
９ｋ 外周部（固定部）
９ｎ 凹部
１１ 線状弾性部材
１２ ダンパ材（制振部材）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光ディスク再生装置などに使用される光ピックアップ装置および、該光ピックアップ装置に使用され対物レンズをフォーカスおよびトラッキング方向に駆動するアクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
光ディスク再生装置などに使用される光ピックアップ装置は、ＣＤ（Compact Disk）やＤＶＤ（Digital Versatile Disk）などの光ディスクに記録された情報を読み取るために、光ディスクの反りや振れに対して光ディスクの記録面と対物レンズとの距離を制御するフォーカス制御と、光ディスクのトラックの偏心に対して対物レンズを追従するように制御するトラッキング制御を行っている。
【０００３】
光ピックアップ装置は、例えば、特許文献１に示すように、対物レンズを内蔵し、両側面にプリントコイルが接着剤等で固定されたレンズホルダと、線状弾性部材でレンズホルダに連結しレンズホルダを移動可能に支持したアクチュエータベースとからなるアクチュエータ装置と、ヨーク、光源、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、ピックアップボディなどから構成されている。
【０００４】
アクチュエータ装置のレンズホルダとアクチュエータベースは樹脂で成形されており、アクチュエータ装置のレンズホルダとアクチュエータベースを成形する際に線状弾性部材も一体にインサート成形される。そして、線状弾性部材は、プリントコイルに電気的に接続されており、線状弾性部材に外部からフォーカス駆動電流またはトラッキング駆動電流を供給することで、プリントコイルにフォーカス駆動力やトラッキング駆動力を発生させて光ディスクから信号が正確に読み取れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−１０３００２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
近年、ブルーレイディスク（ＢＤ）など大容量の光ディスクに対応するアクチュエータ装置にはＣＤやＤＶＤ用よりも高感度なものが要求されており、そのため、プリントコイルのサイズが大きくなる傾向にある。
【０００７】
プリントコイルのサイズが大きくなると、そのプリントコイルが持つ固有振動の周波数が低下する。そして、その低下した固有振動の周波数がアクチュエータ装置の動作する周波数に近い周波数になると、アクチュエータ装置の動作時にプリントコイルが共振してしまう。プリントコイルが共振するとレンズホルダも同期して共振してしまい、光ディスクからの情報の読み取り動作に悪影響を及ぼしてしまうという問題が発生する。
【０００８】
従来は、線状弾性部材やレンズホルダの共振については様々な対策が採られていたが、ＣＤやＤＶＤに対応するアクチュエータ装置ではプリントコイルのサイズが小さく固有振動の周波数がアクチュエータ装置の動作する周波数と異なる帯域にあったためプリントコイルの共振対策は行われていなかった。
【０００９】
そこで、本発明は、例えば、プリントコイルの共振によるレンズホルダの共振を抑えることができるアクチュエータ装置および光ピックアップ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するために、請求項１に記載の光ディスク再生装置は、対物レンズと、樹脂で成形されかつ該対物レンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部を挟んで当該レンズ収容部の側面の固定部に固定されている一対のコイル部と、前記レンズ収容部と一体に成形されるとともに前記コイル部と電気的に接続される線状弾性部材と、を備えたアクチュエータ装置において、前記レンズ収容部と前記コイル部との間に制振部材が設けられていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の第１の実施例にかかる光ピックアップ装置の要部斜視図である。
【図２】本発明の第１の実施例にかかるアクチュエータ装置の要部斜視図である。
【図３】図２に示されたアクチュエータ装置のホルダベースとレンズホルダ及びプリントコイル部分を示した斜視図である。
【図４】図３に示されたレンズホルダとプリントコイルとを簡略化して記載した図である。
【図５】本発明の第２の実施例にかかるアクチュエータ装置のレンズホルダとプリントコイルとを簡略化して記載した図である。
【図６】図５のＩ−Ｉ線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の一実施形態にかかるアクチュエータ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかるアクチュエータ装置は、対物レンズが収容されたレンズ収容部と、そのレンズ収容部の側面の固定部に固定されるコイル部との間に制振部材が設けられているので、コイル部が共振した際でもレンズ収容部が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【００１３】
また、固定部がレンズ収容部の側面の外周部に設けられているとともに、制振部材が、側面の固定部に挟まれるように設けられていてもよい。このようにすることにより、接着剤などを塗布する固定部をレンズ収容部の側面の外周部に設けて接着強度を確保するとともに、防振部材がレンズ収容部の側面の中央部や中間部などの共振した際に大きく振れる部分に設けることができ、レンズ収容部への振動の伝達を抑えることができる。
【００１４】
また、レンズ収容部の側面に制振部材が設けられる凹部が設けられていてもよい。このようにすることにより、狙った部分に制振部材を設けることができる。また、レンズ収容部にコイル部を接着した後にダンパ材などの制振部材を流し込むことができ作業性を良くすることができる。
【００１５】
また、上述したアクチュエータ装置を光ピックアップ装置に備えることで、高感度が要求される場合でもアクチュエータの共振による影響を少なくすることができる。
【実施例１】
【００１６】
本発明の第１の実施例にかかるピックアップ装置１を図１ないし図４を参照して説明する。ピックアップ装置１は、ＣＤ、ＤＶＤおよびＢＤ等の光ディスク再生装置などに用いられ、光ディスクに記録された情報を読み取るために、光ディスクの反りや振れに対して光ディスクの記録面と対物レンズとの距離を制御するフォーカス制御と、光ディスクのトラックの偏心に対して対物レンズを追従するように制御するトラッキング制御を行う。図１は本発明の第１の実施例にかかる光ピックアップ装置１の要部斜視図である。光ピックアップ装置１は図１に示すようにピックアップケース２と、アクチュエータ装置３と、を備えている。なお、以下、光ピックアップ装置１が移動する光ディスクの径方向と平行な方向をＸ方向と記し、上述する一対のプリントコイルから互いに向かい合い航行と平行かつＸ方向と直交する方向をＹ方向と記し、前記Ｘ方向、Ｙ方向の全てと直交する方向をＺ方向と記す。
【００１７】
ピックアップケース２は、アクチュエータ装置３が固定されるとともに、図示しない光源、コリメータレンズ、ビームスプリッタなどの光学部品が収容されている。また、ピックアップケース２は、図示しないモータやモータからの駆動力を伝達するリードスクリューなどによって、図１に示す軸２０上を光ディスクの径方向、即ちＸ方向に沿って移動可能となっている。
【００１８】
アクチュエータ装置３は、図２に示すように、アクチュエータケース４と、アクチュエータ可動部５と、を備えている。
【００１９】
アクチュエータケース４は、アクチュエータ可動部５の後述するレンズホルダ９をフォーカスやトラッキング方向に移動させるためのマグネットなどが含まれ、アクチュエータ可動部５のうち後述するホルダサスペンション８のサスペンションベース部１０が固定されている。
【００２０】
アクチュエータ可動部５は、図３に示すように、対物レンズ６と、プリントコイル７と、ホルダサスペンション８と、を備えている。
【００２１】
対物レンズ６は、光源から発せられ光学部品を経由してきた光を光ディスクに照射することおよび光ディスクから反射された光を光学部品へ出力するためのレンズであり、本実施例ではＣＤ／ＤＶＤ用のレンズ６ａとＢＤ用レンズ６ｂの２種類がＹ方向に向かって並列に設けられている。
【００２２】
コイル部としてのプリントコイル７は、ホルダサスペンション８のレンズホルダ９を挟んでレンズホルダ９の箱部９ｈの長手方向の側面に一対が後述する接着剤１３などで固定される。プリントコイル７は、基板上にコイルの配線パターンが形成されたものであり、フォーカス制御用のコイルとトラッキング制御用のコイルが夫々形成されている。また、プリントコイル７には、後述する線状弾性部材１１とはんだ付けにて電気的に接続するためのランドが該線状弾性部材１１の接続部１１ｂに対応する位置に設けられている。
【００２３】
ホルダサスペンション８は図３に示すようにレンズホルダ９と、サスペンションベース部１０と、線状弾性部材１１と、を備えている。
【００２４】
レンズ収容部としてのレンズホルダ９は、例えばＬＣＰ（液晶ポリマ）等の樹脂によって略箱型に成形され、略箱型の箱部９ｈと、箱部９ｈの端部から突出した固定アーム部９ｄと凸部９ｅ等から構成されている。箱部９ｈの天面部９ａの略中央には対物レンズ６を設置するための開口孔９ｂが設けられている。
【００２５】
サスペンションベース部１０は、レンズホルダ９と同様に例えばＬＣＰ（液晶ポリマ）等の樹脂によって略箱型に成形されている。サスペンションベース部１０の両端部には線状弾性部材１１を固定するための線状弾性部材固定部１０ｂが設けられている。
【００２６】
線状弾性部材１１は、例えば銅合金などの弾性力を備えるとともに導電性の良い部材で形成されサスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂとレンズホルダ９の固定アーム部９ｄとを結びレンズホルダ９を移動可能に支持した線状部１１ａと、線状部１１ａから分岐しプリントコイル７と電気的に接続される接続部１１ｂと、を備えている。また、線状弾性部材１１は、サスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂに貫通するように固定され、線状弾性部材１１の貫通した部分は、外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。つまり、線状弾性部材１１は、レンズホルダ９に対するサスペンション機能の他に、プリントコイル７に電流を供給する配線の機能も合わせて持つ。
【００２７】
レンズホルダ９とサスペンションベース部１０と線状弾性部材１１は、インサート成形によりレンズホルダ９とサスペンションベース部１０を成形する際に一体に成形される。すなわち、図３に示すように線状弾性部材１１の線状部１１ａの一端がサスペンションベース部１０の線状弾性部材固定部１０ｂに内包され、線状部１１ａの他端および接続部１１ｂの一部がレンズホルダ９の固定アーム部９ｄ、凸部９ｅなどに内包されるとともに、線状弾性部材１１の他の部分は露出した状態で固定される。
【００２８】
レンズホルダ９に取り付けられたプリントコイル７は、線状断性部材１１の接続部１１ｂとはんだ付けされることで電気的に接続される。また、プリントコイルはレンズホルダ９の側面に接着剤１３で固定されているが、線状断性部材１１はレンズホルダ９と一体に成型されるため、はんだまたは接着剤１３のいずれか一方のみで固定しても良い。そして、図４に示すようにプリントコイル７とレンズホルダの間には制振部材としてのダンパ材１２が塗布されている。
【００２９】
図４は、レンズホルダ９とプリントコイル７とを簡略化して記載した図である。プリントコイル７はレンズホルダ９の箱部９ｈの側面９ｊに接着剤で接着（固定）される。詳しく説明すると、側面９ｊは、略平面状に形成されるとともに、外周部９ｋと外周部９ｋに囲まれた中央部９ｍとから構成されている。本実施例ではプリントコイル７は外周部９ｋを固定部として側面９ｊの四隅に接着剤１３を塗布し、さらに中央部９ｍにダンパ材１２を塗布して、プリントコイル７を接着する。即ち、ダンプ材１２が、側面９ｊの外周部９ｋに挟まれるように設けられている。なお、ダンパ材１２は中央部９ｍに一様に塗布しても良いし、中央部９ｍのさらに特定の位置のみに塗布しても良い。
【００３０】
本実施例は、プリントコイル７の接着強度を確保するためにレンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋに接着剤を塗布している。この場合、プリントコイル７が共振した場合は、接着剤によって固定されていない中央部９ｍが大きく振動しやすいので、その部分にダンパ材１２を塗布している。
【００３１】
本実施例によれば、アクチュエータ装置３のレンズホルダ９の側面９ｊにダンパ材１２を塗布することでプリントコイル７とレンズホルダ９との間に制振部材を設けているので、プリントコイル７の共振からレンズホルダ９に伝達してレンズホルダ９が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【実施例２】
【００３２】
次に、本発明の第２の実施例にかかるアクチュエータ装置３を図５および図６を参照して説明する。なお、前述した第１の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【００３３】
本実施例は、図５に示したようにレンズホルダ９の側面９ｊにダンパ材１２を流し込めるような凹部９ｎが設けられている点が第１の実施例と異なる。
【００３４】
凹部９ｎは、レンズホルダ９の側面９ｊの外周部９ｋの３辺を除く部分が凹状に形成されている。即ち、中央部９ｍと外周部９ｋの一辺が凹状に形成されている。本実施例においては、まず、側面９ｊの凹部９ｍ以外の外周部９ｋの３辺に接着剤を塗布してプリントコイル７を固定した後に、図６に示すように外周部９ｋの凹状に形成された一辺からダンパ材１２を流し込み用のノズル１４を用いてダンパ材１２を流し込む。
【００３５】
本実施例によれば、レンズホルダ９のプリントコイル７の接着面である側面９ｊに凹部９ｎを設けたので、プリントコイル７が共振した際に動きが大きい部分など狙った位置に凹部９ｎを設けることで精度良くレンズホルダ９への振動の伝達を抑えることができる。
【００３６】
また、外周部９ｋの一辺も凹部９ｎと連なるように凹状に形成しているので、レンズホルダ９にプリントコイル７を接着した後にダンパ材１２を流し込むことができ、組立作業時に接着剤１３やダンパ材１２が冶具や作業者に付着することが少なくなり作業性を良くすることができる。
【００３７】
なお、上述した実施例では、プリントコイル７の固定部を側面９ｊの外周部９ｋとしたが、ダンパ材１２の塗布される領域が固定部に挟まれていればよいので、外周部の一辺と向かい合う一辺（つまり、左右端か上下端）を固定部としそれ以外の領域にダンパ材１２を塗布しても良い。
【００３８】
前述した実施例によれば、以下のアクチュエータ装置３が得られる。
【００３９】
（付記１）対物レンズ６と、樹脂で成形されかつ該対物レンズ６を収容するレンズホルダ９と、レンズホルダ９を挟んで当該レンズホルダ９の側面９ｊの外周部に固定されている一対のプリントコイル７と、レンズホルダ９と一体に成形されるとともにプリントコイル７と電気的に接続される線状弾性部材１１と、を備えたアクチュエータ装置３において、
レンズホルダ９とプリントコイル７との間にダンパ材１２が設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置３。
【００４０】
このアクチュエータ装置３によれば、プリントコイル７が共振した際でもレンズホルダ９が同期して共振してしまうことを抑えることができる。
【００４１】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【００４２】
１ 光ピックアップ装置
３ アクチュエータ装置
６ 対物レンズ
７ プリントコイル（コイル部）
９ レンズホルダ（レンズ収容部）
９ｊ 側面
９ｋ 外周部（固定部）
９ｎ 凹部
１１ 線状弾性部材
１２ ダンパ材（制振部材）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
対物レンズと、樹脂で成形されかつ該対物レンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部を挟んで当該レンズ収容部の側面の固定部に固定されている一対のコイル部と、前記レンズ収容部と一体に成形されるとともに前記コイル部と電気的に接続される線状弾性部材と、を備えたアクチュエータ装置において、
前記レンズ収容部と前記コイル部との間に制振部材が設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項２】
前記固定部が前記レンズ収容部の側面の外周部に設けられているとともに、前記制振部材が、前記側面の前記固定部に挟まれるように設けられていることを特徴とする請求項１に記載のアクチュエータ装置。
【請求項３】
前記レンズ収容部の側面に前記制振部材を流入させることができる凹部が設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載のアクチュエータ装置。
【請求項４】
請求項１乃至３のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ装置を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項１】
対物レンズと、樹脂で成形されかつ該対物レンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部を挟んで当該レンズ収容部の側面の固定部に固定されている一対のコイル部と、前記レンズ収容部と一体に成形されるとともに前記コイル部と電気的に接続される線状弾性部材と、を備えたアクチュエータ装置において、
前記レンズ収容部と前記コイル部との間に制振部材が設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項２】
前記固定部が前記レンズ収容部の側面の外周部に設けられているとともに、前記制振部材が、前記側面の前記固定部に挟まれるように設けられていることを特徴とする請求項１に記載のアクチュエータ装置。
【請求項３】
前記レンズ収容部の側面に前記制振部材を流入させることができる凹部が設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載のアクチュエータ装置。
【請求項４】
請求項１乃至３のうちいずれか一項に記載のアクチュエータ装置を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−１１３５９３（Ｐ２０１１−１１３５９３Ａ）
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２６７４４６（Ｐ２００９−２６７４４６）
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００５０１６）パイオニア株式会社 (3,620)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００５０１６）パイオニア株式会社 (3,620)
【Ｆターム（参考）】
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