説明

アクネを処置する方法、システムおよび装置

アクネ処置のシステム、装置および方法は、P.acnes細菌によってコロニー形成された皮膚の領域を特定するための光学的な視覚化手段を含み、さらに細菌によって生成されるポルフィリンに吸収されるように構成された出力密度および波長の光を用いることによって、そうしたコロニーを減らしまたはなくして消炎するための方法、技術および器具を備える。目の安全性に関する実施形態、処置レジメンが使い捨てカートリッジに対して提供される実施形態、適切な動作を保証するためにカートリッジの信頼性が検証される実施形態、ならびに他のものを含めた様々な代替の実施形態が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、「Acne Treatment Method,System and Device」と題された、2008年9月16日に出願された米国仮特許出願第61/097,513号、および2009年9月4日に出願された米国特許出願第12/554,831号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に皮膚科学的処置の装置および方法に関し、より詳細には、光学技術を用いてアクネを処置するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アクネは、多くの青年および成人の長年の問題である。アクネの原因は完全に理解されていないが、少なくともいくつかの研究に基づけば、少なくともある特定のタイプのアクネでは、P.acnes細菌が重要な役割を果たしていると思われる。Propionibacterium acnes(P.acnes)または他の自然に存在する生物は、皮脂細胞と上皮細胞の混合物の中で増殖し、炎症を助長する可能性がある。
【0004】
様々な局所的に塗布される薬剤、抗生物質などを含めた、様々な処置方法が提案されている。一部のものは、少なくともある期間の間、ある割合の個体群に対して効果的であるが、通常はそれぞれが副作用プロファイルを伴い、それによって長期使用には魅力のない処置になり、また短期使用でも個人によっては効果がないまたは望ましくないものになる。
【0005】
最近になって、様々な光ベースの装置および技術が提唱されているが、今までのところ、極めて効果的であることが証明されたものはない。アクネの光線療法では、アクネの原因および/または症状を処置するために電磁放射が用いられる。様々な技術および装置が公知であり、それには、UV、可視および赤外の波長、パルス放射および連続波放射、ならびに生体刺激、抗菌性および抗皮脂性を含む作用のメカニズムが含まれる。
【0006】
アクネ病変中に存在する細菌は、P.acnesによって生成されるコプロポルフィリンおよびプロトポルフィリンを含めた、様々なポルフィリンを生成する。ポルフィリンは、生物学的プロセスに広く認められる周知の環状分子であり、ソレー帯内の400nm付近に、特定のポルフィリン種によってわずかに異なる特徴を有する強い吸収を有し、照射後に細胞の損傷を引き起こす恐れがある光感作剤となり得る。
【0007】
内在性ポルフィリンによるP.acnesの光感作は、生体外で研究されており、P.acnesは、ポルフィリンの濃度に比例して415nmの光で不活化されることが見出されている。P.acnesの青色および近UVの光不活化について、415nm付近に第2のピークを示す作用スペクトルが確認されているが、それはポルフィリンの吸収によるものであり、ポルフィリンの吸収のピークとの相関関係、およびポルフィリンの濃度に対する依存関係を表す。ポルフィリンの光感作による細菌の破壊メカニズムは、一重項酸素の発生を伴い得る。光励起したポルフィリン自体が細菌に対して毒性であるか、または一重項酸素以外の毒性の前駆体を生成する可能性もある。
【0008】
従来技術では、アクネ病変を減らすために、青色光もしくは紫青色光を、場合によっては赤色光と共に使用することについて、様々な試みが行われ、報告されてきた。しかしながら、既存の装置および方法には重大な欠陥がある。この中でも、小さくない欠陥は、従来技術における出力密度のレベルが有益な光熱効果を有するには低すぎ、処置時間が長くなりすぎることである。さらに従来技術は、高い出力レベルにおける目の安全性の問題に対処しておらず、また計画された手順または処置方法も提供していない。同様に従来技術では、ポルフィリンが光吸収体である皮脂腺の選択的な光熱溶解を達成していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、従来技術におけるこれらのおよび他の欠陥のため、従来技術の望ましくない副作用を伴わない、効果的なアクネ処置の方法および装置が長い間求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般的な形のアクネを処置するための方法および装置を提供する。方法は、皮膚の患部を適当なフルエンスおよび波長の光で露光することを含む。その結果が、膿疱などの病変の形成まで(形成を含む)の皮膚の炎症に至るプロセスの1つまたは複数の側面を妨げ、それによって皮膚の外観および状態を著しく改善することである。
【0011】
特に本発明は、P.acnes細菌による炎症の可能性がある領域を特定するために、患部を第1の波長の光で照射する方法を含み、第1の波長の光は、細菌によって生成されたポルフィリンに蛍光発光させる。本発明の他の態様は、患部を適当な波長および十分なフルエンスの光で照射し、その結果、その波長の光の十分な線量を細菌に送達して炎症カスケードを断つことも含む。より具体的には、本発明のこの後者の態様は、発症した毛嚢脂腺管、腺および内容物の光化学的メカニズム、選択的な光熱溶解または両方を含む。患部の内容物は、かなりの部分にP.acnes細菌自体を含むことが発見されている。それらの周りの皮脂ではなく、細菌の内部または細菌を伴う溶液中のポルフィリンなどの発色団を標的にした光で細菌を照射することによって、効果的な線量が、周りの皮膚の損傷を引き起こすことなく、治療上妥当な時間内に患部に送達される。一実施形態では、患部を特定するために用いられる光の波長は、処置に用いられる光の波長と同じ(例えば約413nm)であるが、他の実施形態では、波長が互いに異なってもよい。
【0012】
本発明の第1の実施形態による装置は、ハウジング、ならびに390nm〜430nmの範囲内、一実施形態では名目上413nmの波長で動作するように構成されたハウジング内の光源、および処置される領域に近接して配置され、それによって治療中に光がその領域を照射するように適合された光のための出口を備える。光源は、内部電池もしくは外部電源、または両方によって電力を供給される。ハウジングの中には、オペレータの行為によって、または装置の処置される領域への近接もしくは直接接触によって、ある時間の間、光源をオンにするためのスイッチ装置も含まれる。光がオンである時間は、いくつかの実施形態ではあらかじめ決めることが可能であり、あるいは他の実施形態では、処置されている皮膚の熱を検知することによって自動的に決めることが可能である。安全を確保するために、光をオンにする時間の上限をあらかじめ決めてもよい。他の実施形態では、光を連続的にオンにすること、および聞き取れるビープ音を用いて、いつ十分な線量が送達されたかを示すことができる。他の実施形態において、装置は、限界の露光時間までに送られた蛍光強度など皮膚に関する光学的な測定を行うための手段を含む、あるいは最適な線量を示すことが可能である。
【0013】
細菌の蛍光の視覚化と、その細菌の選択的な光化学的処置もしくは光熱的処置、または両方を組み合わせたものとを組み合わせることによって、一実施形態では過度の角質化(hyperkeritinization)の軽減、細菌の破壊、例えばγ−リノレン酸(GLA)による皮脂腺の強化、および炎症の軽減を含む、実質的に改善されたアクネに対する処置が提供される。
【0014】
本発明の第2の実施形態では、390nm〜430nmの範囲内、一実施形態では名目上413nmの波長を有する青色光源、および処置される領域に近接して配置され、それによって治療中に光がその領域を照射するように適合された光のための出口を用いて、患部を照射するための方法および装置が提供される。図示する実装形態において、第2の実施形態は手持ち式であり、全体的に円筒形として成形され、電池によって電力を供給される。いくつかの配置では、第2の実施形態の装置は、単一の回路基板に取り付けられた6〜8つのLEDを含み、この実施形態による処置は、第1および第3の実施形態によって一般に提供される出力密度および総線量に比べると、低い出力密度および低い総線量になる。他の実施形態は、ただ1つの大型LEDまたは20ものLEDを含むことができるが、数が少ないと有効性を得るのに高出力の装置が必要であり、また多数のLEDは高い製造費用を必要とする傾向がある。
【0015】
この第2の実施形態において、装置の動作および露光時間は、一部には、装置に挿入され、作動して処置を可能にする時間調整カートリッジの使用によって制御される。時間調整カートリッジは、特定の実装形態に応じて多様な方法で構成することができる。いくつかの例において、時間調整装置はタイマーとして構成され、処置時間を制限する。他の例において、時間調整カートリッジは、制御された処置方法を提供するようにプログラムされる。第2の実施形態を用いる処置方法は、光エネルギーを加えながら、出力ウィンドウを選択された処置領域の上で移動させることを含み、また病変の上で動きを停止するオプションを有する。方法のいくつかの実施形態では、顔などの周りの領域の残りの部分、または他の患部も、P.acnes細菌のレベルを低減することによる予防的な治療を行うために、低い総線量によって処置され、それによって新しい病変の発生を減らす。第2の実施形態は、処置後の皮膚の過度の角質化を回避するのに特に効果的である。
【0016】
第3の実施形態では、紫青色光(400〜450nm)を用いてアクネを処置する。紫青色光は、アクネ病変中に存在する細菌により生成される内在性ポルフィリンによって吸収され、細菌の増殖を低減または後退させ、それによって病変を除くのを助けると考えられる。この実施形態は、強力な紫青色ダイオードの光源、および光の放出中、皮膚に接触させて皮膚に対するヒートシンクを形成する出力ウィンドウを含む方法および装置である。この実施形態の他の態様では、強力な紫青色光源、および皮膚に対する接触に基づくヒートシンクを有する、手持ち式でコードレスの装置が提供される。この実施形態の他の態様では、狭い領域の照射および接触に基づくヒートシンクを用いる方法および装置が開示される。この実施形態の第4の態様は、狭い領域の照射および接触に基づくヒートシンクを有する、手持ち式でコードレスの装置を提供する。
【0017】
本発明のこれらおよび他の利益ならびに利点は、添付図面と共に取り上げられる、本発明に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、患者における患部を視覚的に特定し、その後それらの患部を処置するためのシステムを示す。
【図2】図2は、患者における患部を視覚化するための装置をより詳しく示す。
【図3】図3は、患者における患部を処置するための装置の実施形態を示す。
【図4】図4は、図3の処置装置を分解斜視図として示す。
【図5】図5は、図3および図4の処置装置の光源をより詳しく示す。
【図6】図6は、図3および図4に示される処置装置の回路の実施形態を概略図の形で示す。
【図7】図7は、図3および図4の処置装置の気流の放出をより詳しく示す。
【図8】図8は、本発明によるアクネを処置するための工程の実施形態を流れ図の形で示す。
【図9】図9は、患者の患部を処置するための装置の第2の実施形態を示す。
【図10】図10は、図9の処置装置の出口ウィンドウとは反対側の端部を示し、かつ取外し可能な時間調整カートリッジを挿入するための開口部を示す。
【図11A】図11Aは、図9および図10の処置装置の分解斜視図を示す。
【図11B】図11Bは混合器の図を示す。
【図11C】図11Cは混合器の図を示す。
【図11D】図11Dは混合器の図を示す。
【図12】図12は、図9および図10の処置装置の光源をより詳しく示す。
【図13】図13は、図9および図10の処置装置の空気取入口および出口の放出をさらに詳しく示す。
【図14】図14は、図9および図10に示される処置装置の回路の実施形態を概略図の形で示す。
【図15】図15は、図9および図10の装置の表示ウィンドウを示す。
【図16】図16Aは、時間調整カートリッジがいっぱいであるときの表示ウィンドウを示す。16Bは、時間調整カートリッジが完全に放出されたときの表示ウィンドウを示す。
【図17】図17は、本発明によるアクネを処置するための工程の実施形態を流れ図の形で示す。
【図18】図18は、本発明の一実施形態の概略図である。
【図19】図19は、第1の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図20】図20は、第2の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図21】図21は、第3の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図22】図22は、第4の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図23】図23は、本発明での使用に適した、発光ダイオードを備える光源の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず図1を参照すると、本発明によるシステムの一実施形態について、より適切に理解することができる。患者10は、光源20からの光で照射される。光源20は通常、発光ダイオード、レーザダイオード、閃光ランプ、またはP.acnes細菌によって生成されるポルフィリンのソレー帯における光吸収と重なるように、390〜430nmの周波数範囲内の光を放出する他の光源を含む。P.acnesのポルフィリンは、550nm〜700nmの範囲内に様々な吸収ピークを有するQ帯など、他の吸収帯で励起させることもできる。600〜700nmの範囲内の光は、組織内で抗炎症効果を生じさせることも報告されているが、この波長範囲における抗炎症メカニズムは、おそらくはミトコンドリアを伴う。したがって、いくつかの実施形態では、光源は、より広いスペクトル範囲を有する光源によって、または様々な波長で動作する複数のLEDもしくはレーザダイオードを備える光源によって、こうした600〜700nmの範囲内のより長い波長を包含するようにしてもよい。こうしたより長い波長は、短い波長より皮膚に深く浸透するという利点を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、患者を照射する光40が望ましくない波長を含まないことを保証するために、患者と光源の間に光学フィルタ30が置かれる。LEDから放出される光は、LEDの主要な波長以外の波長帯に望ましくない光を含むことが見出されている。この望ましくない光は、低い相対強度のものであるが、蛍光放出自体の強度が低いため、蛍光の観察を妨げる恐れがある。例えばフィルタ30は、患者の皮膚を、P.acnes細菌内のポルフィリンが蛍光を発する波長と同じ波長の光で照射することを妨げるように構成することができる。そうしたショートパスフィルタの一例は、Schott North America(ニューヨーク州エルムスフォード)からのモデルBG3である。いくつかの実施形態では、皮膚からの正反射を低減するために、フィルタ30を偏光光学素子とすることができる。
【0021】
望ましくない波長におけるLEDからの光の放出を低減するための他の手段は、そうしたLEDの望ましくない放出の光源になり得る部分を除くことである。そのようなLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州ジャクソンビル)から入手することができる。いくつかの実施形態では、これによってフィルタ30を不要にすることができる。
【0022】
患者の皮膚から送られる光50は、P.acnes細菌内のポルフィリンからの蛍光80と共に、光源20からの光40の一部を含む。少なくともいくつかの実施形態では、システムが患部の観察用に構成されているかどうかに応じて、蛍光80のみが観察者に届くように、第2の光学フィルタ70を設けて光源20から送られる光を遮断する。しかしながら、フィルタ70は、すべての実施形態に必要とされるわけではない。いくつかの実施形態において、光学フィルタ70は、例えばNoIR Laser Company,LLC(ミシガン州サウスリヨン)によって製造されるモデル700−ARGなど、ガラスの形で提供される。自己処置用に構成されるいくつかの実施形態では、患者が蛍光の領域によって示される患部を観察することを可能にするために、ミラー60が設けられる。あるいは、いくつかの実施形態では、ミラー60の代わりにカメラ、光検出器またはその等価物を用いることができる。
【0023】
患者の皮膚が患部、通常は顔、胸、肩または背に照射を受けた状態で、患者または観察者は、蛍光を発する細菌の強さおよび位置を簡単に視覚化することができる。これによって、処置工程を患部のみに限定することが可能になる。いくつかの実施形態では、異なる蛍光スペクトルを有する様々なポルフィリンを観察することができるように、やはり1対のガラスとすることができる光学フィルタ70が、550〜700nmの範囲内の光を透過するようにする。いくつかの実施形態において、フィルタ70は、単に約550nm未満の光を遮断する。さらに、光源20を広い範囲の波長にわたる光、または複数の範囲の波長の光を放出するように構成することが可能であることが理解されるであろう。そうした装置では、光学フィルタ70は、光源20によって放出される範囲の一部またはすべてを濾波して除くように構成することができる。
【0024】
本発明のシステムの一実施形態では、患部を特定した後に処置レジメンが始まる。一実施形態において、処置装置は、作動させて、患部を適当な線量の所定の波長の光で照射するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態において、使用者は蛍光を視覚化するステップを割愛することができ、その代わりに、活性のアクネ病変を含む皮膚の領域を処置すること、または活性のアクネ病変を含まないこともある皮膚の領域を予防的に処置することができる。
【0026】
次に図2を参照すると、本発明の視覚化装置について、より適切に理解することができる。分かりやすくするために、図1と同じ要素には同じ参照番号が割り当ててある。被験者10は、413nmなど適当な波長の光40を伴う光源20によって照射されるが、通常は必ずしもフィルタ30を通すわけではない。被験者の皮膚によって反射されるまたは送られる光50は、フィルタ70によって濾波して除かれ、一方、蛍光80はフィルタ70を通過し、医師または他の観察者90が観察することができる。
【0027】
(第1の実施形態)
次に図3および図4を参照すると、本発明による処置装置の第1の実施形態について、より適切に理解することができる。特に、図4の分解斜視図に示す装置300はハウジング305を備え、一実施形態において、ハウジング305は、頂部ハウジング305A、底部ハウジング305B、通気孔305C、および出力開口部305Eを形成するノーズピース305Dからなる。図示した実施形態の場合、ハウジングは、手持ち式であるように構成される。他の実施形態では完全に手持ち式である必要はなく、連結物または任意の他の適切な物理的装置によって接続された、基部ステーションおよび手持ち式のヘッドユニットを備えることが可能であることが理解されるであろう。
【0028】
図示した実施形態のハウジング305の内部には、光源310が取り付けられる回路基板315があり、光源310は、例えばLED、LEDアレイ、あるいは1つまたは複数のレーザダイオード、閃光ランプもしくは他の発光デバイスを含めた他の適切な光源など、1つまたは複数のデバイスとすることができる。少なくともいくつかの実施形態では、光源310によって放出される光は380〜500nmの範囲内であり、また一実施形態では、例えば413nmなど400〜420nmの範囲内である。光源310のサイズは、開口部のサイズおよび出力される所望の出力密度によって決まる。いくつかの実施形態では、現在のところ、出力される出力密度が高まると、少なくとも患者の快適さの限界までは、処置の有効性が不均衡な形で高まると考えられる。光源310および回路基板315は、以下に論じる図5においてさらに詳しく示される。
【0029】
図示した実施形態では、所与の光出力での最大許容露光量(MPE)の時間に対して目の安全性を最適化するために、光源310によって放出された光は、任意選択の光混合器320を通過し、次いでディフューザ325を通る。いくつかの実施形態の場合、光学フィルタ70はハウジングの中に、通常はディフューザ325と一列に並べて配置することができる。次いで前方に伝わる光は、出力ウィンドウ330を通過する。出力ウィンドウ330は、ガラス、サファイア、または石英、ダイヤモンドなどの他の同様の材料とすることができる。さらにウィンドウ330は、TiOなど透明な抗菌性の層で被覆することができる。前述の要素のすべてがあらゆる実施形態で必要とされるわけではなく、いくつかの実施形態では、これらの要素はどれも不要であることが理解されるであろう。
【0030】
出力ウィンドウは、正方形、長方形、円形および楕円形を含めた様々な形として構成することができる。しかしながら、少なくともいくつかの実施形態では、出力ウィンドウの形を長方形とし、1センチメートル程度の短軸、および2〜5センチメートル程度の長軸を有することができる。一実施形態において、出力ウィンドウは、1センチメートル×3センチメートル程度の長方形であり、それによって、患者の快適さと処置の速度の適切な組合せをもたらすと同時に、患者の顔での位置決めを容易にすることも可能になると思われる。
【0031】
光混合器320は、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、またはガラス(BK7もしくは同様のもの)、または石英など、適切な透明材料からなることができる。光混合器320は、反射性の壁を有する中空管とすることもできる。ディフューザは、乳白色のガラス、テフロン(登録商標)または同様の散乱媒体などのバルクディフューザとすることができる。いくつかの実施形態において、ディフューザ325は、すりガラスなどの表面散乱体、または例えばリソグラフィ、ホログラフィもしくは他の手段によって製造可能な多数の微小な回折素子もしくは屈折素子からなる表面を有する、工学的に作り出された基板とすることができる。ランバート出力に近い分布を有するLEDなどの光源の場合でさえも、いくつかの実施形態では、ディフューザを用いて、個々のLEDの出力面積の合計より大きい面積を有するディフューザの出力面にランバートに近い仮想の光源を作り出すことによって、光源に関する目の安全性を最適化することができる。
【0032】
図示した実施形態におけるハウジングは、回路基板315を取り付けることができるヒートシンク335も収容する。追加の冷却が望ましいと考えられる場合には、ハウジング305の中にファン340を取り付けることもできる。ファン340は、ヒートシンク335を補うために設けることができる。あるいはそうではなく、ファン340を、送風機、または強制的な対流を得るための同様の装置とすることもできる。ヒートシンク335はフィンを有することが可能であり、フィンには斜角を付けてもよく、その結果、斜角を付けていないフィンを有する同様の前面を備えたヒートシンクに対して、気流への抵抗を低減する。いくつかの実施形態では、ヒートシンクおよびファンの代わりに、またはそれらに加えて、熱電冷却装置を用いることもできる。
【0033】
やはりハウジング305の中に収容される第2の回路基板345は、マイクロコントローラ、および環境に対する低い熱インピーダンスを必要としない他の低出力の構成要素のための取付け部を形成する。装置に対する電力は、電池(図示せず)、または導体350を介した電気的な主要部もしくは外部電源への接続によって供給することができる。回路基板315および345は、リボンケーブルまたはフレキシブル回路基板390など、任意の適切な手段によって接続することが可能であり、例えば基板は、各構成要素を回路基板315に取り付けるために使用されることがある高い組立て温度に耐えることができるように、ポリイミド基板からなる。少なくともいくつかの実施形態では、充電式電池を用いることが可能であり、充電式電池は、例えばニッケル−金属水素化物、リチウムイオン、リチウムリン酸鉄、または他の充電可能な設計のものとすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、皮膚センサ355をノーズピース305Dの上に位置決めし、また例えば、光学シャーシ360のどちらの側にも位置決めすることができる。センサ355は、参照によって本明細書に援用する、2008年8月8日出願の米国特許出願第12/189,079号に開示される容量性のもの、または機械的もしくは光学的なものとすることが可能であり、処置を受ける領域との近接または接触を保証することが企図される。少なくともいくつかの実施形態において、光学シャーシ360は、混合器320、フィルタ70、ディフューザ325および出力ウィンドウ330を支持するが、別法として、これらの構成要素のいくつかを、ノーズピース305Dによって支持することができる。さらにいくつかの実施形態では、出力ウィンドウ330の周りに位置決めすることができる、1つまたは複数の容量性センサ355と共に、ハウジングの中にオン−オフスイッチを収めることもできる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ハウジング305の中に、スイッチ370を支持するボード365も収容される。2つのスイッチのみを示しているが、正確な数は特定の実装形態のみによって決まり、1つまたは複数とすることができる。図示した例では、スイッチ370は、頂部の把持部380の上に位置決めされたボタン375によって作動される。実施形態に応じて、スイッチを用いて装置に電源を入れる、かつ/または光源310に光を放出させることができる。あるいは他の実施形態では、スイッチ375の機能を、先に論じたセンサ355によって実施することができる。(1つまたは複数の)オン−オフスイッチ370および/またはセンサ355は、直接的または間接的に回路基板345に接続される。便宜上、底部の把持部385を設けることもでき、また都合のよい任意の手段によって、それをハウジングの底部305Bに取り付けることができる。
【0036】
次に図5を参照すると、熱伝導性回路基板315および光源310について、より適切に理解することができる。回路基板315は、BeOもしくはAlNなどのセラミック、またはダイヤモンド、または本開示の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で構成することができる。一般的には、回路基板315は熱伝導性であると同時に非導電性とすべきである。図示した実施形態では、回路基板315は3つの基板315A〜Cからなるが、任意の都合のよい数の基板を用いることができる。図示される3つの基板それぞれの上の6つのLEDのアレイなど、1つまたは複数の光源を、様々な都合のよい配置で回路基板315の各基板に取り付けることができる。先に言及したように、光源の数は、主として所望の開口部のサイズおよび出力される出力密度によって決まる。適切な波長および出力での放出を伴うLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州ジャクソンビル)、Cree,Inc.(ノースカロライナ州ダラム)、またはNichia Corporation(日本、東京)を含むいくつかの供給源から入手することができる。
【0037】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、過熱を防止するために、サーミスタまたは半導体ベースの熱検出器などの温度センサ505もまた、回路基板315に取り付ける。さらに、環境に対する低い熱インピーダンスによって利益を得る、電流制御FET600などの任意の高出力の電子部品を、回路基板315の上に組み立てることができる。電気絶縁性であるだけではなく熱伝導性でもあり、かつLED、温度センサおよび高出力の電子部品を備える回路基板315は、回路基板345が、熱放散に対する特別な対策も、ヒートシンク/LEDアレイの温度を別々に検知する手段も用いずに設計されることを可能にする。
【0038】
次に図6を参照すると、図3および図4に示す実施形態の制御回路の態様について、より適切に理解することができる。特に、高出力光源310のための駆動電子部品は、バック、ブースト、またはバック−ブースト構成を含むことが可能であることが理解されるであろう。こうした構成は、LEDに対する電流を制御するために、比較的高いエネルギーのインダクタを使用している。しかしながら、図6に示す本発明の他の態様として、図3および図4の処置装置のいくつかの実施形態では、基板315A〜mそれぞれの上の1つまたは複数のLED310A〜nに対するLED電流を、線形モードで動作する個々のFET600(m個の基板についてFET600A〜mとして示す)を用いて制御することも可能である。電流制御FET600は、そうした構成の低い熱インピーダンスを利用するために、1つまたは複数のLED310を取り付けた同じセラミック基板315の上に離して配置することができる。残りの回路の構成要素は過度の熱を放散せず、したがって、特別な熱に関する考慮を必要とせずに、それらを従来型のFR4プリント回路基板345の上に組み立てることができる。
【0039】
単純かつ安価なマイクロコントローラ605は、電流制御FET600のゲートを駆動するのに適したアナログ出力を提供する機能を有していないことがしばしばである。一実施形態では、ローパスフィルタとしての単一のコンデンサ610および抵抗器615と共に、パルス幅変調を用いるマイクロコントローラ605からの単純なデジタル出力を使用して、各FET600のゲートを駆動する適切な擬似DC制御信号を発生させることができる。したがって図示した実施形態では、m個の基板に対してコンデンサ610A〜mおよび抵抗器615A〜mを用いることができるが、この配置がすべての実施形態で必要とされない。適切な電流の設定値のために、LEDと直列の、620A〜mとして示す電流検出抵抗器を用いて、マイクロコントローラにフィードバックを提供することができる。図6の回路図から、この回路構成により、電圧源Vsupply645によって与えられる電圧とは別の異なる電圧を与えることが可能な電圧源Vdd650によって電力を供給される、共通の低電圧のマイクロコントローラの使用も可能になることを理解することができる。電圧源Vsupply645は、高出力光源310を備える(1つまたは複数の)LEDの(1つまたは複数の)順電圧の合計より大きい電圧を与える。2〜3個より多い直列のLEDの順電圧に打ち勝つのに必要な電圧は、共通の低電圧マイクロコントローラを損傷する。高出力光源をインターフェースで連結して制御するのに、マイクロコントローラの2つのピンしか必要としないため、とりわけ小さく安価なマイクロコントローラの使用が可能になる。それでも、複数の光学出力の設定、遅いターンオンおよびターンオフならびに調光など、精巧な機能が実施可能である。Vsupplyの値を注意深く選択することにより、この単純かつ安価な構成によって、より複雑なバック−ブースト構成と同様の電気効率を得ることが可能であり、したがって、電流制御FET600の両端でわずかな電圧しか降下しない。
【0040】
一実施形態において、625Aで示す回路は、機能しない短絡したLEDを検出することができるように、310A〜nのLEDのアレイそれぞれに対して、マイクロコントローラがLEDアレイの順電圧を検知することを可能にする分圧器を提供する。いくつかの実施形態では、光学出力が低下して処置の有効性が減じられるため、短絡したLEDを検出することが望ましい。また、1つまたは複数の短絡したLEDの順電圧は、電流制御FET600の両端に現れる。マイクロコントローラが装置を動作させ続けた場合、FET600の両端における追加の電圧によってさらに熱が発生し、FETの故障をまねく可能性がある。ヒューズ640は、追加の安全手段を提供する。図6には回路625Aのみが示されているが、少なくともいくつかの実施形態では同様の検知回路を実装し、したがって、実際には検知回路625A〜mが存在することが理解されるであろう。
【0041】
電子工学分野の当業者は、この点について論じられた回路を、1つまたは複数のLEDアレイ組立体310に対する複数の制御FETを用いて、複数のLEDまたは複数のLEDアレイを並行に独立して制御するように、適切に重複して行うことが可能であることを理解することができる。必要とされる追加の構成要素は、少数の抵抗器および単一のコンデンサ(すべて低出力かつ安価)である。並列のアレイはそれぞれ、大きくない数の追加のマイクロプロセッサピンを利用できることが必要である。追加の並列なLEDアレイは、同じ波長のものとすること、または同じ装置の中に異なる光波長に対して提供することが可能である。
【0042】
安全回路630は、いくつかの実施形態において、コントローラ605のアナログ入力に接続された電流検出用の低ライン、および安全FET635のゲートに接続されたデジタル出力信号630Bと共に、電流制御FET600に対するバックアップとして使用可能な追加の安全FET635を示す。FET635は、単にスイッチとして働き、LEDアレイを通って流れる電流のレベルを制御するものではなく、電流制御FET600によって放散される大量の熱を放散する必要がない、小さい安価なFETとすることができる。FET635の両端で降下した電圧が、電流検出抵抗器の両端に現れる電圧と比べてかなりのものになる場合には、電流検出抵抗器620の負端子の電圧を測定する、追加の電流検出用の入力を用いることができる。電流制御FET600が故障した場合には、安全FET635を用いて(1つまたは複数の)LEDアレイへの電流を停止することができる。安全装置としてのその機能に加えて、安全FET635のゲートはプロセッサのデジタル出力によって直接駆動し、また挿入されたRCフィルタを有していないため、安全FET635は、光源の電流を、電流制御FET600によって可能になる周波数より高い周波数で変調する能力をもたらす。変調用の安全FET635により、DC電流のレベルを用いて光源を駆動する場合に求められる、極めて低い電流レベルの問題を解決する必要なしに、光源を特に低い平均的な光出力まで正確に減光することが可能である。複数の並列のLEDアレイ組立体の場合にも、ただ1つの安全用FET635が必要になるが、所望される場合には、追加のそうしたFETを用いることができる。
【0043】
動作中、図3および図4に示す装置300は、患部に接するように、または少なくとも患部の近くに配置する。(1つまたは複数の)センサ355、あるいは(1つまたは複数の)スイッチ370は、LEDアレイの通電を生じさせ、その後すぐに、約413nmの波長のパルスまたは連続ビームを放出させる。一実施形態において、装置は、約1W/cmの出力密度を有するビームを放出し、皮膚の患部を15〜30秒間照射する。いくつかの実施形態では、出力密度を、例えば2W/cmまで、あるいは実施形態によっては10W/cm以上に著しく高めることが望ましい場合がある。そうした装置では、処置前および/または処置中に、処置のための領域に低温スプレーなどの冷却剤メカニズムを使用することによって、またはサファイアなどの熱伝導性のウィンドウを用いて、熱伝導性のウィンドウと処置される皮膚との間の接触を維持することによって、皮膚を冷却することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、ウィンドウを冷却することもできる。
【0044】
図1および図2に関連して説明した視覚化工程によって、処置装置を患部を標的としたものにすることができる。装置の出力密度は、0.5〜2W/cmの範囲内とすることができるが、白人の皮膚の場合、約1W/cmの出力密度が、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を与えると思われ、また処置メカニズムは、光化学効果と光熱効果の組み合わせたものである。皮膚を冷却またはヒートシンクで放熱することによって、20W/cmまで、またはそれより高い出力密度で、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を得ることができる。さらに、20〜40ジュール/cm程度の線量が、病変の数を減少させるのに効果的であることが分かっている。しかしながら、出力密度、パルス幅、処置の頻度、処置の間隔、およびことによっては皮膚のタイプに応じた様々な線量によって同程度の治療効果を得ることが可能であり、したがって、前述の線量の範囲および関連するパラメータは限定的なものではないことが理解されるであろう。さらにいくつかの実施形態では、前述の処置技術に加え、追加の処置メカニズムとして、皮膚を加熱するための熱源を設けることが望ましい。
【0045】
前述の線量範囲の下限では、処置メカニズムは主として、光とP.acnes細菌の内部またはその近位に含まれるポルフィリンとの光化学反応に基づく。高い線量、例えば1W/cmを十分に超える線量では、処置メカニズムは主に光熱的である可能性があり、その場合、熱による細菌の損傷は、炎症カスケードを遮断するのに十分なものであると考えられるが、やはり光化学的メカニズムを伴う可能性がある。光熱的な処置がそれによって効果的になり得る1つのメカニズムは、細菌のアポトーシス小胞の溶解である。処置メカニズム、およびそれに応じた様々な線量範囲のいずれか、またはその両方を用いる本発明の実施形態を実施することが可能であることが理解されるであろう。
【0046】
最適な線量の決定には、目の安全性の側面を伴うこともある。いくつかの実施形態では、主にその最適条件まで高める目的でディフューザ325を設け、装置の最大許容露光量(MPE)が、「International Standard for the photobiological safety of lamps and lamp systems, (IEC 62471)」によってMPEとして定められる。他の基準が存在し、同様の指針を与えてもよい。脱毛に対するものなど一部の装置に伴う光熱による損傷とは異なり、本発明の波長範囲内での目の安全性に関する問題は、目の網膜における光化学反応も含み、それはこうした波長における光熱による制限より拘束的である傾向がある。目の損傷を防止するために、1日あたりの露光量に対する制限を課すことができる。そうした露光制限は、装置を1日あたり限られた時間だけ作動させることを可能にする、装置の電子部品に組み込まれたタイマーによって実施することができる。適切なディフューザの一例は、DuPont Fluoroproducts,Inc(デラウェア州ウィルミントン)によって製造される、Teflon PTFE 7Aの厚さ0.003インチのウェハである。
【0047】
本開示の装置では、光子リサイクリングも有用である。混合器が、その入出力面の平面に垂直な側壁を有し、屈折率が約1.41より大きい場合には、側壁に入射するすべての光線が全内反射(TIR)を受けるため、光がその側壁を通じて混合器から逃げることはない。したがって、光源が実質的に反射性である場合には、光源に戻された光は再び反射されてディフューザに戻る。混合器は光を空間的に均質化するように働き、その結果、装置のディフューザではビームの強度が空間的に均質になり、したがって、ホットスポットの発生を防止することができる。理想的には平坦な側壁を有し、したがって正方形、六角形などの多角形の断面を有する混合器は、高度の空間的均質性を実現する。湾曲した側壁を有する混合器は、すべてのケースで空間的均質性を実現する傾向にないが、いくつかの実施形態では有用になり得る。他の実施形態では、他の形を用いることができる。
【0048】
次に図7を参照すると、本装置の気流についてより適切に理解することができる。図4に示すように、ファン340を設け、ヒートシンク335の後ろに配置する。一実施形態において、ファン340は、空気をハウジング305内の入口を通して装置に引き込み、そこで、空気を強制的にヒートシンクのフィンを通過させ、次いでハウジングの通気孔部305Cから出す。先に言及したように、送風機、あるいは1つまたは複数の熱電装置を含む代替の熱処理装置を用いることができる。
【0049】
次に図8を参照すると、本発明を使用するための工程について、より適切に理解することができる。ステップ800に示すように、工程は患者の皮膚を、P.acnes細菌によって生成されるポルフィリンに、ソレー帯あるいはQ帯の1つまたは複数における光吸収から蛍光を生じさせる波長の低出力光で照射することによって始まる。波長によって浸透深さが変わるため、ソレー帯および様々なQ帯の吸収に適合させた、選ばれた波長から構成される光を使用して、様々な深さの組織の処置を最適化することができる。次いで、ステップ805に示すように、蛍光を発する細菌によってコロニーが形成された領域を、特定するまたは視覚化することができる。次にステップ810で示すように、患部を十分な出力密度(例えば、約0.4ワット/cm以上)の高強度の青色光に曝す。
【0050】
ステップ815に示すように、使用者は、患部に対して少なくとも10ジュール/cm程度の線量を設定する。所望の線量を適用するために、様々な方法を用いることができる。一実施形態では、装置が連続的に光を放出する間、装置を皮膚の上でゆっくりと移動させることによって、装置を用いて皮膚を「塗る」。使用者は、装置をゆっくり移動させると同時に、装置を皮膚が不快に熱くなるほど長く皮膚の同じ領域に留めないように指示されることがある。組織の隣接する場所に移動する尺度としての温感は、使用者に依存する可能性がある。あるいは、聞き取れるビープ音もしくはブザー音、視覚による指示器、振動源または機械的なローラなどの時間調整メカニズムを設け、装置をいつ皮膚の次の領域に移動させるかを示すことができる。あるいは使用者は、単位面積あたりあらかじめ決められた時間にわたって患部を処置するように指示されることがある。他の代替形態は、装置によって得られる蛍光消光を監視し、そのフィードバックを用いて、使用者にいつ次の領域へ移動するかを示す。そうした監視は光ファイバを使用して、邪魔にならずにかつ好都合に組織によって放出される蛍光をサンプリングし、光を適切な検出器に伝達することができる。その他の実施形態では、パルス装置が用いられ、装置を単一の処置パルスの間しばらく皮膚に接触させ、次いで引き上げ、次の処置領域に移動させる。この手法は、「スタンピング」手法と考えることができる。そうしたパルス化された動作は、持続時間の中のわずか何分の1秒〜数秒のパルスによって、5〜20W/cmを発生させることができる装置に特に適している。
【0051】
最後に、ステップ820に示すように、使用者は、最初は病変を減らすように、次いでP.acnes細菌の濃度を、さらに病変を誘発する細菌の能力を低減する十分に低いレベルに維持するように、毎日または毎週など定期的に工程を繰り返す。
【0052】
(第2の実施形態)
次に図9〜11を参照すると、本発明による処置装置の例示的な第2の実施形態について、より適切に理解することができる。特に、図11に分解斜視図として示す装置400は、上部ハウジング405A、下部ハウジング405B、キャップ開口部405Dを形成するキャップ405C、および出力開口部405Fを形成するノーズピース405Eからなるハウジング405を備えている。ハウジング400に適した材料は、それだけに限らないが、ポリマー、およびポリカーボネート/ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)ブレンドなどのポリマーブレンドを含むが、軽量金属および他のプラスチックなどの他の材料もハウジングに利用できることが、当業者には認識されるであろう。図示した実施形態では、ノーズピース405Eのベゼルまたは前面をプラスチックなどの非導電性材料で製造するが、他の実施形態では、ノーズピース405Eを金属または金属化プラスチックで製造することができる。
【0053】
処置装置400は電池によって駆動されるが、別法として、ねじを用いてハウジング405に取り付け、ハウジング外部の出力開口部407に通じる外部の電力導体406を用いて、装置を外部電源に取り付けることができる。ハウジング405は、装飾的なデザインまたはロゴ409を含むことができ、図示した実施形態では、デザイン上の要素は、ハウジング内の切り取られたロゴデザインであり、ハウジング405の中に取り付けられたライト408によって後ろから照らすことができる。
【0054】
処置装置400の各側面には、アルミニウムなどの軽量材料で製造された通気孔411を配設する。通気孔411のアルミニウム材料は、複数の開口部を有するメッシュとして構成し、図13に関連して以下にさらに詳しく説明するように、通気孔411はそれぞれ、空気取入口領域と空気出口領域の両方を含む。
【0055】
図示した実施形態において、ハウジング405は手持ち式であるように構成され、一般にテーパが付いたある程度平坦な円筒として成形される。他の実施形態では完全に手持ち式である必要はなく、連結物または他の適切な物理的装置によって接続された、基部ステーションおよび手持ち式のヘッドユニットを備えることが可能であることが理解されるであろう。
【0056】
図示した実施形態のハウジング405の内部には、光源416を取り付ける回路基板415が存在し、光源416は、例えばLED、LEDアレイ、あるいは1つまたは複数のレーザダイオード、閃光ランプもしくは他の発光デバイスを含めた他の適切な光源など、1つまたは複数のデバイスとすることができる。少なくともいくつかの実施形態では、光源416によって放出される光を380〜500nmの範囲内とし、またいくつかの実施形態では、例えば413nmなど、400〜420nmの範囲内とする。光源416のサイズは、開口部のサイズおよび出力される所望の出力密度によって決まる。この例示的な実施形態では、光源416を、単一のBeOセラミック回路基板415に取り付けられた6つまたは8つのLEDとするが、回路基板415は、例えばAlN、またはダイヤモンド、または本発明の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で製造することもできる。光源416および回路基板415は、以下に論じる図12においてさらに詳しく示される。これまでに言及したように、他の実施形態は、ただ1つの適切で強力なLED、または20以上ものLEDを含む。
【0057】
図示した実施形態では、光源416によって放出された光は中空の光混合器417を通過し、光混合器417の環状の壁は、約1cmの長さである。混合器417は反射性の壁を有し、アルミニウムもしくは他の軽量金属、または金属化プラスチックから製造する。特定の実装形態に対して中実の混合器が好ましい場合、混合器は、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、またはガラス(BK7または同様のもの)、または石英など、適切な透明材料からなることができる。いくつかの実施形態において、中空の混合器は、より大きい光の発散を許容し、それによって出口開口部405Fにおけるより均質な分布を可能にするため好ましい。
【0058】
混合器417は光を空間的に均質化するように働き、その結果、ディフューザ425の出力側でビームの強度を実質的に均質にすること、およびホットスポットを低減するまたはその発生を防止する。この文脈で使用される「均質」という用語は、「均質」をどのように測定するかによって、依然としてかなりの変動を許容し得ることが、当業者には理解されるであろう。理想的には平坦な側壁を有し、したがって正方形、六角形などの多角形の断面を有する混合器は、高度の空間的均質性を実現する。湾曲した側壁を有する混合器は、すべてのケースで同程度の空間的均質性を実現しない傾向があるが、いくつかの実施形態では有用になり得る。他の実施形態では、他の形を用いることができる。
【0059】
中空の混合器417は、ディフューザ425を取り付けるガスケット418を含む。ディフューザは、乳白色のガラス、テフロン(登録商標)または同様の散乱媒体などのバルクディフューザとすることが可能であり、一実施形態では、ディフューザは、0.003インチ〜0.005インチの厚さを有するVirgin Electrical Grade Teflonを含むことができる。1つのそうした材料は、DuPont Fluoroproducts,Inc(デラウェア州ウィルミントン)によって製造されるTeflon PTFE 7Aである。いくつかの実施形態において、ディフューザ425は、すりガラスなどの表面散乱体、または例えばリソグラフィ、ホログラフィもしくは他の手段によって製造可能な多数の微小な回折素子または屈折素子からなる表面を有する、工学的に作り出された基板とすることができる。所与の光出力での最大許容露光(MPE)時間に対して目の安全性を最適化するために、光は混合器417からディフューザ425を通って移動する。いくつかの実施形態では、主にその最適条件まで高める目的でディフューザ425を設け、装置の最大許容露光量(MPE)が、「International Standard for the photobiological safety of lamps and lamp systems, (IEC 62471)」によってMPEとして定められる。他の基準が存在し、同様の指針を与えてもよい。脱毛に対するものなど一部の装置に伴う光熱による損傷とは異なり、本発明の波長範囲内での目の安全性に関する問題は、目の網膜における光化学反応も含み、それはこうした波長での光熱による制限より拘束的である傾向がある。ランバート出力に近い分布を有するLEDなどの光源の場合でさえも、いくつかの実施形態では、十分な散乱特性を有するディフューザを用いて、やはり放出された光に対して個々のLEDの出力面積の合計より大きい出力面積をもたらすと同時に、ディフューザの出力面にランバートに近い仮想の光源を作り出すことによって、光源に関する目の安全性を最適化する。
【0060】
いくつかの実施形態では、図4に示すフィルタ325などの光学フィルタを、ハウジングの中に、通常はディフューザ425と光学的に整列させて配置することができる。しかしながら、そうしたフィルタは、すべての実施形態に必要とされない。最終的には、前方に伝わる光は、出力ウィンドウ420を通過する。出力ウィンドウ420はポリカーボネート材料とし、またガラス、サファイア、または石英、ダイヤモンドなどの他の同様の材料で製造することもできる。さらにウィンドウ420は、TiOなどの透明な抗菌性の層で被覆することができる。
【0061】
出力ウィンドウは、正方形、長方形、円形および楕円形を含めた様々な形として構成することができる。しかしながら、図示した実施形態では、出力ウィンドウの形を全体的に丸みのある長方形とし、1/2〜1センチメートル程度の短軸、および2〜5センチメートル程度の長軸を有することができる。一実施形態では、出力ウィンドウを0.5センチメートル×3.5センチメートル程度の丸みのある長方形とし、それによって、患者の快適さおよび処置の速度の適切な組合せをもたらすと同時に、被験者の顔での位置決めを容易にすることも可能になると思われる。
【0062】
ハウジング405の中にヒートシンク435を設け、ヒートシンク435は、ヒートシンク435と回路基板415の間の境界面の薄膜436を形成する、銀充填エポキシ接着剤などの接着剤によって被覆されたアルミニウムで製造する。ヒートシンク435は、ねじ437Bと共に下部ハウジングから上方に向かって突出する柱438によって、ハウジングの中にしっかり取り付けることができる。導体439が柱438を取り囲み、また前方に延びて、金属被覆された混合器417の下面、および第2のプリント回路基板組立体(PCBA)445の下面上の接触パッド(図示せず)の両方との適切な電気接続部を構成する。ヒートシンク435の後ろには、ファン取付け用のブラケット442に取り付けられたファン組立体440を配設されている。ファン組立体は2つのファンを備え、Sunonwealth Electric Machine Industry Co.,Ltdによって製造される、5.5VDCの電圧を有する1.1ワットの組立体とする。補足が望ましい実施形態では、ヒートシンク435を補うためにファン組立体440を設けることができる。ファン組立体440は、送風機、または強制的な対流を得るための同様の装置とすることができる。ヒートシンク435はフィンを有することが可能であり、フィンには斜角を付けてもよく、その結果、斜角を付けていないフィンを有する同様の前面を備えたヒートシンクに対して、気流への抵抗を低減する。いくつかの実施形態では、ヒートシンクおよびファンの代わりに、またはそれらに加えて、熱電冷却装置を用いることもできる。
【0063】
やはりハウジング405の中に収容される第2のPCBA445は、マイクロコントローラ、および環境に対する低い熱インピーダンスを必要としない他の低出力の構成要素のための取付け部を形成する。ねじ437Aが、PCBA445上の各構成要素とヒートシンク435との間に適切な熱接続部を形成し、特に図14に関連して以下に論じる、ヒートシンクと制御FETとの間の適切な熱接続部を形成する。
【0064】
図示した装置では、装置への電力は電池447によって供給され、電池447は、例えば3つのセルの三角形の9.6VDC電池を含むことができるが、他の実施形態では電源に関する他の選択を用いてもよい。電池の頂部および底部に、ポロンフォームの電池支持体を設け、電池447の両端は絶縁体層449を有する。装置400は、導体406によって電気的な主要部または外部電源に接続することができる。回路基板415および445は、リボンケーブル446またはフレキシブル回路基板490など、任意の適切な手段によって接続することが可能であり、例えば基板は、各構成要素を回路基板415に取り付けるために使用されることがある高い組立て温度に耐えることができるように、ポリイミド基板からなる。望ましくない摩耗および接触を防止するために、フォームシート446Aを設けることができる。少なくともいくつかの実施形態では、充電式電池を用いることが可能であり、充電式電池は、例えばニッケル−金属水素化物、リチウムイオン、リチウムリン酸鉄、または他の充電可能な設計のものとすることができる。
【0065】
この例示的な実施形態では、図4に示すように、1つまたは複数の皮膚センサ355をノーズピース405Eの上に位置決めすることもできる。センサ355は、参照によって本明細書に援用する、2008年8月8日出願の米国特許出願第12/189,079号に開示される容量性のもの、または機械的もしくは光学的なものとすることが可能であり、装置と処置を受ける領域との間の近接または接触を保証することを目的とする。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の容量センサ355を出力ウィンドウ330の周りに位置決めすることができる。図示した実施形態など他のものでは、混合器417を金属被覆することが可能であり、混合器417は、前述のように、PCBA445への接続部を形成する導体439、およびPCBA445上に取り付けられた制御用の電子部品によって装置のコントローラに適切に接続されると、容量センサとして働くことができる。機械的接触による適切な電気接続部を確保するために、例えば銅とすることが可能な導体439を、混合器417に接触させる端部で折り返すことができる。あるいは、いくつかの実施形態において、ノーズピース405Eは、例えば混合器が中実の混合器であるときには容量センサとして働くことができるが、その場合、ノーズピースは金属または金属化プラスチックで製造し、電極439に接続すべきである。混合器417が容量センサとして働く実施形態では、センサとしての混合器417の動作を妨げるのを最小限に抑えるために、ノーズピース405Eは金属製あるいは導電性にすべきではない。
【0066】
図示した第2の実施形態は、図14に関連して論じる制御用の電子部品の使用によって処置の始動およびタイミングを制御することにより、安全および使用者による処置装置の制御された使用を保証する。それらを用いる実施形態では、図4および図11に示す時間調整カートリッジ450を装置に挿入し、処置を始動するように構成することができるが、少なくともいくつかの実施形態では、先に論じたセンサ355が、装置をオンおよびオフにするように機能する。1つの実施形態において、カートリッジ450は、使用者に適した様々な選択可能な処置方法を提供するように構成することができる、使い捨ての光沢のないステンレスの挿入物とすることができる。使用時には、図10に最もよく示されるように、電子工学的な療法と共に構成可能なカートリッジ450、ブラケット454によってカートリッジ450に取り付けられるキャリア452を、キャップ開口部405Dを通してハウジングに挿入することができる。挿入されたカートリッジ450は、主要なPCB445のPCBコネクタの端部456に付着する。次いで処置を行うために、PCB445の電子部品によって、選択された療法を実施する。いくつかの実施形態において、カートリッジ450は、通常は使用時間を記録する、またはあらかじめ記憶された時間の値から漸減させることによって、装置の使用が可能な残りの時間の量を記憶するための手段を提供する。カートリッジ450が使用時間のみを追跡する働きをする実施形態では、制御機能を、以下に論じる駆動用の電子部品の一部を形成するコントローラに埋め込むことができる。最適な線量の決定には、目の安全性の側面を伴うこともある。目の損傷を防止するために、1日あたりの露光量に対する制限を課すことができる。そうした露光制限は、装置を1日あたり限られた時間だけ作動させることを可能にするタイマーカートリッジ450によって実施することができる。
【0067】
本発明の装置では、光子リサイクリングも有用であるが、光子リサイクリングを行う要素は第1の実施形態のものとは若干異なる。特に、一実施形態では、図11B〜11Dに示すように、混合器417は中空とし、オリフィス475がそれを貫通して形成される端壁470を含む。LEDアレイからの光は、オリフィス475を通って混合器に入る。端壁470の内側部分を含む混合器417の内部は、高反射性とする。ディフューザ425は通常、それを照射する光の約50%を透過し、それ以外の50%は混合器に戻される。その戻された光は、LEDアレイまたは後壁に当たり、後壁に当たる光はディフューザの方へ戻される。さらに、ディフューザを通して皮膚に伝えられた光は皮膚によって散乱され、ディフューザに戻される。ここでもディフューザは、それに当たる光の約50%のみを透過し、残りを戻すため、皮膚から戻された光の一部を再び透過して皮膚に戻す。
【0068】
次に図12を参照すると、熱伝導性回路基板415および光源416について、より適切に理解することができる。回路基板415は、BeOもしくはAlNなどのセラミック、またはダイヤモンド、または本発明の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で構成されることが好ましい。一般的には、回路基板415は熱伝導性であると同時に非導電性とすべきである。図示した実施形態では、回路基板415は単一の基板であり、1つまたは複数の光源は、図示されるその単一の基板の上の6つのLED416のアレイなど、様々な従来型の配置として回路基板415の基板に取り付けることができる。この実施形態において、LEDの数は、一般的には6つまたは8つとするが、これまでに論じたように、ただ1つの大型LEDから20以上までの範囲にわたることができる。先に言及したように、光源の数は、主として所望の開口部のサイズおよび出力される出力密度によって決まる。適切な波長および出力での放出を伴うLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州オビエド)、Cree,Inc.(ノースカロライナ州ダラム)、またはNichia Corporation(日本、東京)を含むいくつかの供給源から入手することができる。
【0069】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、過熱を防止するために、図5に示すようなサーミスタまたは半導体ベースの熱検出器などの温度センサ505を、回路基板415に取り付けることもできるが、他の実施形態では、センサとヒートシンクの間の低い熱インピーダンスを保証するために、温度センサ505をPCBA445に取り付けることがより望ましい場合がある。さらに、環境に対する低い熱インピーダンスによって利益を得る、電流制御FET600などの任意の高出力の電子部品を、回路基板415の上に組み立てることができる。電気絶縁性であるだけでなく熱伝導性でもあり、またLED、温度センサおよび高出力の電子部品を備える回路基板415は、回路基板445が、熱放散に対する特別な対策も、ヒートシンク/LEDアレイの温度を別々に検知する手段も用いずに設計されることを可能にする。
【0070】
LED接合と環境の間の低い熱インピーダンスは、本発明の一態様をなすものであり、本発明のこの態様に従って組み込まれた装置が、ダイを通してより多くの電流を駆動することを可能にし、その結果、生成される廃熱が放散することができる熱より多くならず、望ましくない接合温度の大幅な上昇を伴わず、かつ特別な冷却に労力を使うことなく、より大きい光出力が得られるようになる。特に、LED、ならびに示されるフィン付きのアルミニウムのヒートシンクなどの適切なヒートシンクを取り付けるための、酸化ベリリウム(BeO)の使用または同様の回路基板と共に、基板の熱インピーダンスを実質的になくす、フリップチップで取り付けられたLED用のダイを使用することによって、さらに強制的な空気の対流によって生成される小さい空気の境界層によって、10℃/ワットよりずっと低い熱インピーダンスを得ることができる。図示した実施形態では、約2.7℃/ワットの熱インピーダンスが得られるが、一方、パッケージダイがPCBに取り付けられる従来型のLEDの取付け構成は、100℃/ワット超、ことによると数百℃/ワットもの熱インピーダンスを有する可能性がある。この重要な熱インピーダンスの低減によって、より少数のLEDの使用で所望のシステム出力を得ることが可能になる。
【0071】
次に図13を参照すると、本装置の気流についてより適切に理解することができる。先に論じたように、ファン組立体440をヒートシンク435の後ろに設け、配置する。一実施形態では、ファン組立体440の取入口は、ファンの取入口に近接するように位置決めされた、メッシュのアルミニウムの通気孔411の取入口領域412を通して、空気をハウジングに引き込む。ファン組立体は、空気をヒートシンク435の中に方向付け、ヒートシンク435を通すが、そこで、空気を強制的にヒートシンクのフィンを通過させ、次いでヒートシンク435の出口端部に近接するように位置決めされた、通気孔411の出口領域413を通してハウジングから出す。先に言及したように、送風機、あるいは1つまたは複数の熱電装置を含む代替の熱処理装置を用いることができる。
【0072】
次に図14を参照すると、図9〜11に示す実施形態の制御回路の態様について、より適切に理解することができる。電池1400は、複数のチャネルに直接電力を供給するが、分かりやすくするために、図14にはチャネルの1つのみを示す。各チャネルは、1つまたは複数のヒューズ1410を介して、LED−1からLED−nで記号を付けた複数のLED1405を備えており、例えばある装置は、全部で6つまた8つのLEDに対して、チャネル毎に2つのLEDからなる、3つまたは4つのチャネルを有することができる。それぞれのチャネルにおいて、LEDは、センチネルFET1415および制御FET1420に直列に接続され、そのゲートは、コントローラ、または例えばFreescale MC9S08LL64CLHとすることが可能な他のプロセッサ1425によって制御することができる。コントローラ1425は、制御FET1420のゲートに適当な電圧を印加し、駆動電流がLED1405に流れることを可能にする。先に言及したものなど、一部のコントローラはアナログ電圧を出力することができず、D/A変換器を必要とし、D/A変換器は図6に示す単純なRC回路でもよいが、分かりやすくするために、ここでは繰り返さない。コントローラ1425は、センチネルFETと制御FETの間のノード1430の状態も監視する。コントローラは、検出抵抗器1435によって、信号処理マルチプレクサ1440を通して検知される各チャネルの状態も監視する。信号処理マルチプレクサ1440は、第2の信号処理マルチプレクサ1445を通してヒートシンクの温度および電池の温度を表す入力も受け取る。したがって、コントローラがリアルタイムでLEDの電流、電圧および温度、ならびに電池の電圧、充電および温度を監視することを理解することができる。センチネルFETは、本質的に安全スイッチとして機能する。コントローラ1425は通常、センチネルFETを「オン」状態に維持するが、監視されるパラメータのいずれかに誤り状態が生じた場合には、コントローラは、デフォルトとしてセンチネルFETに対するゲートをオフにし、したがって、装置がそのチャネル内のLEDに通電できないようにする。少なくともいくつかの構成では、エラー状態の場合、コントローラは制御FETもオフにすることができる。電池チャージャ1455を切り離すために、コントローラによって作動されるFETスイッチを設けることもできる。
【0073】
先に論じたように、容量センサまたは他の皮膚センサ1450は、導体439または同様の装置を通してコントローラ1425に接続する。以下で図15および16A〜Bに関連してさらに詳しく論じるように、コントローラは、1460で示されるユーザインターフェースのLCDおよびバックライトに対する入力を与える。コントローラに対する電力調整は、調節器1465によって従来の方法で行う。
【0074】
さらにコントローラは、2つの機能を果たすカートリッジのインターフェース1470と通信する。製造中、インターフェース1470は、製造システムが製造用インターフェース1475を通して装置と直接通信することを可能にし、したがって、ファームウェアのロード、システムの較正およびシステム性能の試験を可能にする。通常動作の間、インターフェース1470は、いくつかの構成において、コントローラに処置時間の配分を提供するセキュアEEPROMを備える交換可能なカートリッジ1480を受容する。他の構成において、カートリッジ1480は、完全な処置レジメンを提供する。あるいは、1つまたは複数の処置レジメンを、コントローラおよびそれに関連するメモリの中にプログラムすることができる。
【0075】
カートリッジが信頼できるものであり、したがって不安全な動作状態を引き起こさないことを保証するために、カートリッジ1480は、コントローラおよびセキュリティコプロセッサ1485と協働する。セキュリティコプロセッサは、MaximによるDS2460などの装置とすることができ、カートリッジ1480内のMaxim DS28CN01などの対応する装置を伴う。信頼性は、例えばセキュアハッシュアルゴリズムなど、任意の都合のよいセキュリティメカニズム使用することによって保証する。コプロセッサ1485内に認証データの第1の部分を、カートリッジ内に認証の第2の部分を記憶することにより、複数の部分で構成される認証方式を実施することができる。少なくともいくつかの実施形態において、コプロセッサに保持される認証データは、順番に行われる導入プロセスによって特定のユニットとして生成され、導入プロセスでは、データの順番が結果に影響を及ぼし、また完全な装置側の認証データがコプロセッサにのみ存在するようになる。この導入プロセスは、製造中、インターフェース1475を介して、装置のコントローラに「コプロセッサ初期化」ファームウェアをロードすることによって処理する。そのファームウェアは、装置を公知の安全な状態とし、次いで少なくとも認証データの第1の部分をインストールする。いくつかの実施形態では、認証データの第1の部分をインストールした後、装置をリセットし、その後、コプロセッサ初期化ファームウェアの第2の部分をプロセッサにロードし、コプロセッサの認証データの第2の部分をコプロセッサにロードする。いくつかの実装形態では、認証データを、1つまたは複数のファームウェア導入機能を用いて、前述の2つより少ないまたはそれより多いステップでロードすることが可能であることを理解することができる。
【0076】
少なくともいくつかの実施形態において、カートリッジに保持される認証データは、それぞれの特定のカートリッジにのみ存在する。いくつかの実施形態では、例えばスタティック部と共に、カートリッジのシリアル番号のすべてまたは一部から、さらに読出し専用メモリページの内容のすべてまたは一部から、認証データを得ることができる。少なくともいくつかの実施形態では、主装置と同じように、カートリッジ内の認証データを複数のステップでインストールすることが可能であり、それらのステップの順番が最終結果に影響を及ぼす。一実施形態では、装置に取り付けるとき、カートリッジを、メインコントローラ1425を介してコプロセッサ1485によって照合し、またインターフェース1470に接続されている限り、絶えず認証する。カートリッジが認証されると、コントローラ1425によってカートリッジ内のメモリを読み取り、データを使用する。
【0077】
動作中、図9〜11に示す装置400は、患部に接するように、または少なくとも患部の近くに配置する。(1つまたは複数の)容量センサがLEDアレイの通電を可能にし、時間調整カートリッジ450は利用可能な処置時間の最大量を制御し、あるいはいくつかの実施形態では、処置レジメンを提供する。そうした実施形態において、時間調整カートリッジ450は、約413nmの波長のパルスまたは連続ビームの放出を制御する。一実施形態において、装置は約0.5W/cmの出力密度でビームを放出し、皮膚の患部を30秒間照射する。
【0078】
装置の出力密度は、0.3〜1W/cmの範囲内とすることができ、白人の皮膚の場合、0.5W/cm未満、また場合によっては約0.3〜0.4W/cmの出力密度が、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を与えると思われる。現在理解されているように、処置メカニズムは、光化学効果と光熱効果の組み合わせたものである。そうした低い線量はさらに、処置後の皮膚の色素沈着過剰を軽減または排除する。
【0079】
次に図15、16A、16Bおよび17を参照すると、本発明を使用するための工程の一実施形態について、より適切に理解することができる。図15、16Aおよび16Bに示すディスプレイの機能は、使用者に所与の処置に対する処置時間の量に関する表示を与える。以下から理解されるように、処置レジメンの実施形態は、予防的な部分、ならびにより重大な部分を含む。さらに、以下に論じる処置レジメンは、最初の2週間にわたる第1の部分、および最初の2週間の後の期間にわたる第2の部分に分けられる。
【0080】
したがって図17に示すように、工程はステップ900で始まり、処置カートリッジ450を挿入することによって可能になる。実施形態に応じて、カートリッジ450は利用可能な処置時間の量を示す、または処置レジメンのすべてもしくは一部を示す。次いで図17に示す実施形態の場合、ステップ910において、使用者は第1〜2週(第1〜14日)の間、処置される患者の皮膚の領域を、さする/塗る動きを利用しながら、約0.3〜0.5W/cmの出力密度および約413nmの波長を有する光で3分間照射することによって、朝および夜の処置を実施する。これによって、朝および夜の処置のそれぞれに対して約1ジュール/cmの予防的な線量、すなわち、合計で1日あたり約2ジュール/cmの予防的な線量が得られる。
【0081】
さらにステップ920に示すように、朝および夜の処置のそれぞれの間、使用者はそれぞれ約30秒の追加時間の間、病変の上で動きを停止することができ、それによって、病変を有する領域に約12ジュール/cmの追加の線量を送達する。したがって最初の2週間の間に、朝および夜の処置のそれぞれによって、約1ジュール/cmの予防的な線量、および病変を有する領域に対してさらに約12ジュール/cmの停止による線量が得られる。これにより、一般に処置される領域に対して1日あたり約2ジュール/cmの予防的な線量、および病変を有する領域に対して1日あたり約26ジュール/cmの停止による線量が得られる。
【0082】
前述の実施形態は2つの処置を企図しているが、他の処置レジメンも同様に実施可能であり、当業者にはその処置レジメンが明らかになることが理解されるであろう。処置の目的は、患者に対して適切な1日あたりの線量を提供することであり、その線量は通常、予防的な処置として1〜4ジュール/cm、病変を有する領域に対して20〜40ジュール/cmである。したがって、1つの代替形態は、それぞれの処置をより短い時間にして、1日あたりより多くの回数の処置を行うこと、あるいは1日につき1回のより長い処置である。
【0083】
最初の数週間を超える処置によって、通常、特定の病変上で動きを停止する必要がなくなる。それに応じて、ステップ930は第3〜8週のための次の処置レジメンを示している。処置領域は、朝および夜に、さする/塗る動きによって3分間処置され、推定で1日あたり約2ジュール/cmの線量を与える。
【0084】
ステップ940に示すように、最初は病変を減らすように、次いでP.acnes細菌の濃度を炎症カスケードを妨げるのに十分に低いレベルに維持し、他の病変を形成する可能性を低減することを保証するように、毎日または毎週など定期的に処置レジメンを繰り返すことができる。
【0085】
ステップ930および940は1つの処置レジメンを例示するものであるが、第1〜2週のレジメンを継続して、第3〜4週、所望される場合にはそれより長くすることも許容される、また場合によっては望まれることも理解されるであろう。別法として、処置の動きを停止する部分を省いてもよく、あるいは予防的な塗る処置の時間を例えば3分ではなく2分に減らす、または夜もしくは朝のセッションを省くことができる。
【0086】
装置が連続的に光を放出する間、装置を皮膚の上でゆっくりと移動させることによって、装置を用いて皮膚を「塗る(paint)」。使用者は、装置をゆっくり移動させると同時に、装置を皮膚が不快に熱くなるほど長く皮膚の同じ領域に留めないように指示されることがある。組織の隣接する位置に移動する尺度としての温感は、使用者に依存する可能性がある。あるいは、聞き取れるビープ音もしくはブザー音、視覚による指示器、振動源または機械的なローラなど、装置をいつ皮膚の次の領域に移動させるかを示すように、時間調整カートリッジまたは装置自体をプログラムすることができる。あるいは使用者は、単位面積あたりあらかじめ決められた大体の時間にわたって、患部を処置するように指示されることがある。他の代替形態は、装置によって得られる蛍光消光を監視し、そのフィードバックを用いて、使用者にいつ次の領域へ移動するかを示す。そうした監視は光ファイバを使用して、邪魔にならずにかつ好都合に組織によって放出される蛍光をサンプリングし、光を適切な検出器に伝達することができる。
【0087】
図15、16Aおよび16Bに示すように、ポリカーボネートの処置装置のウィンドウ460は、挿入された時間調整カートリッジについての情報を提供するために、液晶ディスプレイ(LCD)を有する。LCDディスプレイは、例えば処置時間、およびいつカートリッジを交換する必要があるかの表示を与える。ディスプレイ460が、送達される出力量、および特定の処置レジメンを識別する数または名称などの他の重要なパラメータを示すことも可能であることが、当業者には認識されるであろう。
【0088】
本明細書に教示される方法、システムおよび器具は、P.acnes細菌による患者の皮膚のコロニー形成のレベルを効果的に低減することが可能であることが理解されるであろう。先に論じたように患部を処置することによって、皮脂管および皮脂腺における細菌の濃度を著しく低減させることができる。細菌負荷が低下すると、炎症性の細菌代謝産物の濃度が低減され、それによって、病変を引き起こすタイプの炎症カスケードを誘発する可能性が低減される。本質的には、炎症サイクルの連鎖を断つことによって、本発明は病変の形成を低減および防止し、かつ/または病変が消える速度を高めることができる。
【0089】
換言すれば、本発明のいくつかの実施形態は、毛嚢脂腺管、腺および/または内容物の選択的な光熱溶解を使用する。感染した腺の中の物質の塊がP.acnes細菌によって構成されることが確かめられている。これによって、皮脂腺によって生成される皮脂ではなく、細菌によって生成される発色団を吸収するという選択的なターゲティングが可能になる。これはまた、許容可能な短い時間の中で、患部に十分な線量を送達する可能性をもたらす。その結果が、過度の角質化の低減、細菌の破壊および炎症の軽減を伴うこともできる処置レジメンである。さらに、その内容物が周りの真皮に漏れるのを防ぐ皮脂腺の能力は、GLA、または通常はアクネ患者の皮脂に不足している同様の長鎖脂肪酸の食品栄養補充によって高めることができる。
【0090】
(第3の実施形態)
装置の第3の好ましい実施形態の概略図を図18に示す。この実施形態において、装置はハウジング80の中に収容され、ハウジング80は、強い紫青色光をそれを通して皮膚のある領域に送達することができる出力ウィンドウ10を含む。光の放出前に、ウィンドウ10を処置される皮膚の領域に密接に接触させる。放出中、ウィンドウ10を皮膚に接触した状態に保持する。放出後、ウィンドウを皮膚の新しい領域に再位置決めして処置を繰り返すことができる。
【0091】
ウィンドウ10の1つの目的は、光源20によって生成された光を処置される皮膚の領域に伝達することである。したがって、ウィンドウ10は、光源20によって生成さる治療用の波長に対して透過性の材料で形成しなければならない。サファイアが好ましい材料であるが、溶融石英、溶融シリカ、高分子材料、オパールガラスまたはガラスを含めた他の透過性材料を用いてもよい。透過性があるとは、材料が治療用の波長において少なくとも50%の透過率を有することである。しかしながら、均質性もしくは目の安全性を改善するためにオパールガラスなどの拡散性材料を使用することを含めた様々な理由によって、いわば、光源を囲む反射体のために、最初の通過時に透過されない光が透過の他の機会を有する場合には、より低い透過率を許容することができる。
【0092】
ウィンドウ10の他の目的は、皮膚温度が、過度の不快感を引き起こすまたは皮膚を損傷するような高い温度まで上昇しないように、皮膚に対するヒートシンクを形成することである。紫青色光は皮膚の短い距離(約0.3mmの有効吸収長さ)の中で吸収され、皮膚温度を上昇させる。皮膚からウィンドウ10内への熱伝達は、この温度上昇を緩和する。厚さ5mm、直径1センチメートルのサファイアのディスクは十分な熱容量を有し、また20℃未満の温度上昇を伴う10秒の露光の間に、25ジュール/cmの熱を受容するのに十分な高い熱拡散率を有している。ウィンドウ10にサファイア以外の材料を用いることもできる。
【0093】
本発明のこの実施形態において、ウィンドウ10は、皮膚に接触する前に公称の皮膚温度にする、または公称温度に近くすることができ、実質的に皮膚の表面をその公称温度より低く冷却することはない。公称の皮膚温度とは接触もしくは照射前の皮膚の温度であり、一般的には32〜35℃付近とする。この場合、ウィンドウは皮膚をあらかじめ冷却しないが、光の放出中、ウィンドウは、皮膚の温度が高くなりすぎることを防止するようにヒートシンクとして働く。第1の実施形態の一態様では、ヒートシンクは表皮での最大温度上昇を約25℃未満に制限する。
【0094】
本発明の第3の実施形態の他の態様は、ウィンドウ10を公称の皮膚温度より低い温度、例えば0℃と公称の皮膚温度の間の温度まで冷却することを含む。光の放出前にウィンドウ10を皮膚に接触させると、皮膚をウィンドウ10によってあらかじめ冷却し、皮膚温度を公称の皮膚温度未満に下げる。光の放出中、ウィンドウ10は、放出と同時に存在する皮膚に対するヒートシンクを形成する。
【0095】
鼻の側面のような皮膚の小さい領域、または個々のアクネ病変でも処置できるように、このウィンドウ10に対する最も望ましい面積の大きさは約1cmである。本発明の他の態様では、いくつかの病変を処置できるように、またはある程度大きい領域を一度に処理できるように、ウィンドウ10は、5cmまたは25cmと大きくすることができる。しかしながら、ウィンドウ10の最大サイズは、ウィンドウの全面積が、照射される皮膚の全領域に対するヒートシンクを形成できるように皮膚に接触する必要があることによって制限される。ウィンドウが大きすぎると、鼻および上唇の上またはその近くの皮膚の領域など、主要部が曲線的である皮膚に一致しなくなる。
【0096】
本文書で用いる「スポットサイズ」という用語は、ウィンドウ10の放出面における処置ビームの面積を指す。この領域の周縁は、処置ビームの強度がスポットの中心における強度の1/eまで低下する位置によって画定することができる。出力ウィンドウ10は、例えば光学的な皮膚センサに適合させるために、スポットサイズより大きいサイズを有すること、または異なる形状を有することが可能であり、例えば費用を削減し、製造を容易にするには、処置ビームは正方形に、出力ウィンドウ10は円形にする。一態様では、正方形の断面でのスポットサイズを約0.81cmとし、ウィンドウは約1.3cmの面積を有する円形とする。
【0097】
本発明の第3の実施形態の一態様は、皮膚の照射時に、光源20によって放出された光を空間的により均質にするために用いられる、混合器30を含む。皮膚における照射を空間的に均質にするには、処置される皮膚のすべてが同様の線量の光を受けるように、±40%未満の変化量を有することが望ましい。より好ましい一態様では、混合器30は、正方形の断面を有し、長さが約2cmの中空のアルミニウム管とする。混合器30の壁は、混合器30の壁に当たる光を反射するように、光源20によって放出される治療用の波長において実質的に非吸収性である。光は混合器30を通って、光源20から出力ウィンドウ10まで移動するため、光の空間的均質性が高まる。光を十分に混合するのに必要な混合器30の長さ、最大吸収量および断面形状は、ウィンドウ10のサイズ、および光源20の出力特性に依存する。
【0098】
他の態様では、混合器30は、光源20からの光をウィンドウ10への光導波路に沿って全内反射する、中実の光導波路とすることができる。中実の光導波路である混合器は、それ自体が光のための出口開口部を形成し、それによってウィンドウ10として働くことができる。
【0099】
他の態様では、混合器30を不要にする、十分な均質性およびサイズを有する光源を開発することが可能であると考えられる。
【0100】
第3の実施形態の一態様では、光源20にLEDの2次元アレイを用いる。405nmの波長での発光を伴う複数のLEDを用いて、約2.5ワットの光出力を送達する光源を構成する。2.5ワットの光源は、10秒で1cmの領域の皮膚に約25ジュールのエネルギーを送達する。これは、1回の15分の処置で前述のClearLight装置によって送達される線量にほぼ等しい。入手可能なLEDは現在のところ、電気的な光の光出力への変換効率が約10〜15%であり、したがって、25ジュールの処置線量に対して約250ジュールの廃熱を発生させる。
【0101】
2次元のLED光源の一態様を、図23に概略的に示す。示されるように、光源は、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州オビエド)から入手可能なものなど、128個の発光ダイオードダイ210の2次元アレイである。ダイは未処理の半導体発光デバイスであり、そのため、ダイは組立体またはパッケージの一部ではなく、したがってレンズを含まない。本願では、前述のものを「レンズなし」LEDと呼ぶ。市販のLEDは、ダイ、ダイを取り付ける基板、電気リード、およびレンズを形成するように成形される封入物(encapsulation)を含む、ランプ組立体として販売されることがしばしばある。本発明のこの態様では、通電されると熱をダイから除去するように働く熱伝導性エポキシ樹脂を用いて、ダイを銅のヒートシンク200に結合する。ダイへの電気的な接点は、ワイヤボンディングを用いて作成され、32の平行なストランドがそれぞれ、直列に接続された4つのダイを有する。各系列は、電流が一連の4つのダイを通って流れるように、正に帯電した母線220および負に帯電した母線230にワイヤボンディングする。母線は、銅のヒートシンクから電気的に分離する。特定の構成は、約16Vの供給電圧を使用する。各ダイは名目上、20mAの駆動電流によって4.5mWの405nmの光出力を有し、それによって、アレイから約575mWの強い紫青色光がもたらされる。適当な冷却が行われる限り、過度に寿命を縮めることなく2.5Wに近い光源を得るために、ダイは、実質的に20mAより高い電流で駆動させることができる。そうした適当な冷却は、銅のヒートシンクへの適切な結合、さらにヒートシンクの他の熱除去要素への熱的結合という形を取ることができる。
【0102】
他の態様では、光源20として紫青色ダイオードレーザを使用する。例えばNichia America,Inc.(ペンシルベニア州マウントヴィル)は、70mAの駆動電流によって、400〜415nmの帯域の利用可能なピーク波長を有する30mWの光力を伴うダイオードレーザ(Nichia部品番号:NDHV310ACA)を製造している。したがって、強い紫青色光の100mW、500mWおよび2.5Wの光源を、それぞれ約3、16または83個のレーザダイオードのアレイによって作り出すことができる。LEDと同様に、レーザダイオードは、適当なヒートシンクに十分に結合されている場合、および/または寿命の短縮が許容できる場合には、より高い電流で駆動させ、必要とされるダイオードレーザの数を減らすことができる。さらに、紫青色ダイオードレーザは現在、規格性能(regular performance)の改善に関する研究が盛んな領域であり、ダイオードレーザは、本発明においてますます現実性のある光源になる。
【0103】
この実施形態の光源は、最も好ましくはアクネ領域で最も優勢であると考えられるポルフィリンの吸収ピークに大体において一致する、約400〜420nmの波長帯域に集中した出力を有することができる。この帯域は、KjeldstadおよびJohnsson(1986年)によって報告された、412〜415nm付近にピークを有する生体外の作用スペクトルにも大体において一致する。しかしながら、出力が400〜450nmのより広い波長帯域に存在する可能性もある。
【0104】
光源は、好ましくは紫青色の帯域における少なくとも100mW/cmの出力を有し、より好ましくは紫青色の帯域における少なくとも500mW/cmの出力を有する。
【0105】
さらに他の態様では、光源20の代替構造を用いることができる。他の実施形態は、紫青色の帯域に加えて、やはりポルフィリンの吸収を有することができる緑色もしくは黄色の帯域、または抗炎症の利益を有すると考えられる赤色の帯域などの波長帯域でも光エネルギーを放出する。
【0106】
図18に示す実施形態において、混合器31は、出力ウィンドウ11によって吸収された熱を熱電池41に伝達する機能も有する。混合器31の熱伝達は、前の露光の間に皮膚から伝えられ、ウィンドウ11に蓄えられた熱が、次の露光の開始前にウィンドウ11から実質的に除去されることを保証するのに十分なだけ高くすべきである。本発明の別の実施形態では、混合器31の機能、すなわち光の混合および熱の移動は、2つの別個の構成要素によって実施することができる。そうした熱電池はすべての実施形態において、特に冷却にファンまたは熱電装置を用いる場合には必要とされないが、やはり当業者には理解されるであろう。
【0107】
図示した装置の実施形態は、ウィンドウ11、混合器31、光源21および熱電池41からなる組立体が、処置パルスの開始前に過度に高い温度にならないことを保証するために、温度センサ51の使用を採用する。複数の処置パルスの後に、過度の温度に達する恐れがある。温度センサは、照射前にウィンドウ10を室温未満に冷却する装置の態様においてより重要である。そのような態様では、皮膚に接触する前にウィンドウが適当な温度になることを保証するために、ウィンドウ11のより近くに温度センサ51を有することが望ましい場合がある。
【0108】
図示した本発明の実施形態は、装置が数十もしくは数百の10秒パルスに対して、10℃未満の温度上昇で機能することを可能にするように、実質的に十分な熱容量を有する材料で構成する熱電池41も有する。この熱除去要素は、単に金属の塊でもよい。あるいは、室温近くで相変化を受ける材料を用いることができる。こうした相変化材料は、多量の熱を小さい温度変化で吸収することができる。室温の近くまたは皮膚温度の近くで相変化するように設計された最適化された材料は、TEAP Energy(オーストラリア、パース)など複数の製造業者から入手可能である。こうした材料は、熱を相変化材料に効率的に伝達するように設計された金属のハウジングの中に収容することができる。約50J/cm/℃のエネルギー密度を有する相変化材料を、容易に入手することが可能である。100回超の露光による廃熱を受容する熱電池は、安価なものであり、手持ち式の装置の中に簡単に収容される。他のタイプの熱電池は、COなどの圧縮された物質の使用を必要とし、そうした物質は、膨張すると冷え、それによってより高い温度の熱源から熱エネルギーを吸収することができる。
【0109】
装置の熱電池41は、単に装置を室温の環境に置くこと、装置を冷却器入れること、または装置を熱電池41からの熱を活発に伝達するように設計された第2の装置に接触させること、圧縮された物質を交換するもしくは再加圧すること、または他のいくつかの充電メカニズムによって「再回復」することができる。
【0110】
本発明の他の態様は、熱電池からの熱を空間により効率的に吐き出すために、フィン付きのヒートシンクおよびファンを含む。1ワット未満を必要とし、手持ち式の装置に嵌まるヒートシンクおよびファンは、Wakefield Thermal Solutions(ニューハンプシャー州ペルハム)を含めた複数の製造業者から入手することができる。フィン付きのヒートシンクはハウジングの外側の空気に対して開放されてもよいが、その要素はハウジングの内側にあると考えられる。
【0111】
本発明のさらに他の特徴は、熱電池41から熱を除去するために、Melcor(ニュージャージー州トレントン)から入手可能なものなど、ペルチェ効果装置としても公知の熱電冷却器モジュールである。熱電冷却器モジュールを用いる装置は、小型の熱電池を必要とするか、または熱電池が全く不要である。
【0112】
実施形態のさらに他の特徴は、装置から熱を直接吐き出す熱除去要素としてのフィン付きのヒートシンクおよびファンである。例えば光源および出力ウィンドウは、ファンによる空気冷却されるフィン付きのヒートシンクに、熱的に直接結合することができる。そうした態様は、装置を熱的に再回復する必要がない定常状態において動作し、また熱伝達の観点からいつまでも動作することが可能である。この態様も、熱電冷却器モジュールを用いることができる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態は、電池61および制御用の電子部品71も含む。500J/cm超のエネルギー密度を有する電池は、簡単に入手することが可能であり、また本発明に100回超の露光に対する電力を供給する電池は、安価なものであり、手持ち式の装置の中に簡単に収容される。代替の実施形態は、電池または電池パックからではなく、主電源から電力の供給を受けることができる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態の光の出力は、特にダイオードレーザベースの光源の場合、緩和なしでは目に安全でない可能性がある。この場合、好ましい態様は、光の積分放射輝度を目の安全値まで低減するように、光ディフューザを使用する。ディフューザは、PTFEまたはオパールガラスなどの透過ディフューザを含むことができ、またSpectralon(ニューハンプシャー州ノースサットン、Labsphere,Inc.)などの反射ディフューザを含むことができる。
【0115】
本発明の実施形態の好ましい態様は、装置が皮膚の表面を含めたある表面に実質的に接触しているときだけ光を放出することができる、接触センサも含む。最も好ましくは、接触センサが出力ウィンドウ11と皮膚の間の接触を示し、それによって、出力ウィンドウ11が皮膚に対して効果的なヒートシンクを形成することを保証するのを助ける。接触センサは、不快に明るい、または目に安全ではない恐れもある周囲環境への放出を低減するように働くこともできる。接触センサは、機械的スイッチ、容量性スイッチ、圧電材料または他の手法で製造すること、および出力ウィンドウ11の周縁部の周りに配置されたセンサを含むことができる。接触センサは、皮膚などのコンプライアントな材質に対してのみ機能することも好ましく、したがって、眼鏡または平坦で透明な面との接触では、明確な接触の指示は得られない。これは、例えば接触センサの作動ボタンをウィンドウ21の放出面より下に引っ込め、平坦で堅い面との接触によってボタンが作動されないようにすることによって実現することができる。また最も好ましくは、接触センサは、皮膚との実質的な接触を生じさせると自動的に光放出が引き起こされるような、光放出のトリガとして働く。光放出は、一定の露光時間の後、もしくは接触が断たれた場合、または他の理由によって終了させることができる。接触に対する自動的なトリガは使用者にとって好都合であり、指によって作動させるものなど、別のトリガを不要にする。
【0116】
電池によって電力を供給される実施形態の好ましい態様は、電池が直接的な駆動構成で光源に電力を直接供給するものである。「直接的な電力供給」および「直接的な駆動」とは、特定の瞬間に適時に電池を通って流れる瞬間電流および光源を通って流れる瞬間電流が、実質的に等しいことを意味するものである。瞬間電流は、電池から取り出される比較的少量の電流が、制御用の電子部品など、光源ではない構成要素に電力を供給するために用いられる点においてのみ異なる。
【0117】
(詳細な熱計算)
皮膚の露光前、露光中および露光後に行われる熱伝達をシミュレートするために、第1の実施形態および皮膚の有限要素モデルを開発した。多くの異なるケースをモデル化した。本願では、4つのケースが含まれる。それらをケース1、ケース2、ケース3およびケース4と名付け、グラフによる結果をそれぞれ図19、図20、図21および図22に示す。図19〜22に含まれるグラフは、皮膚およびウィンドウの温度と位置の関係を示している。位置x=0の左側の領域は皮膚である。位置x=0の右側の領域は空気(ケース1)、または皮膚に接触させるウィンドウ(ケース2、ケース3およびケース4)である。
【0118】
各ケースにおいて、これらの計算の目的のための皮膚の初期温度は37℃である。第1のケースを除く各ケースでは、装置の出力ウィンドウを時間t=−10秒で皮膚に接触させ、皮膚の照射の開始前、10秒間にわたって皮膚と接触した状態に保つ。第1のケースは、ウィンドウが皮膚に接触した状態に保たれず、したがって空気のみが皮膚に接触する処置をシミュレートしている。ケース2およびケース3では、ウィンドウの初期温度は、公称の皮膚温度に相当する37℃である。ケース4では、ウィンドウの初期温度は5℃である。各ケースにおいて、照射の開始は時間t=0秒で行われる。ケース1、2および3では、皮膚を2.5W/cmの強度の光で10秒間照射する。第4のケースでは、皮膚を12.5W/cmの強度で2秒間照射する。各ケースでは、0.3mmの皮膚の有効吸収長さを用いて入射光の吸収をモデル化した。この有効吸収長さ0.3mmは大体、皮膚における約405nmの入射光のものである。
【0119】
図19に示すケース1に対する結果のグラフから、空気のみが皮膚に接触しているときには、皮膚の温度は80℃超の最高温度に達することに留意されたい。80℃という温度は、皮膚を損傷する閾値より高く、痛みを伴う。
【0120】
図20のケース2に対する結果のグラフは、照射のパルスの前に10秒間、5mmの厚さおよび37℃の初期温度を有するサファイアのウィンドウを皮膚に接触させたときには、皮膚の最高温度が約52℃にすぎないことを示している。この温度は皮膚を損傷する閾値より低い。それは熱さとして知覚されるが、容易に許容され、痛みはわずかであるか、または痛みがない。
【0121】
図21のケース3に対する結果のグラフは、ガラスの熱拡散率が乏しいため、5mmの厚さおよび37℃の初期温度を有するガラスのウィンドウが、サファイアのようにうまく機能しないことを示している。時間t=10秒に現れたガラスのウィンドウにおける大きい温度勾配は、照射パルスの間、熱がガラスの裏面に効果的に伝達されなかったことを示すことに留意されたい。ケース3での皮膚の最高温度は約63℃である。
【0122】
最後に、図22のケース4に対する結果グラフは、サファイアのウィンドウを皮膚に接触させる前に5℃まで冷却することにより、これまでの3つのケースよりずっと強い12.5W/cmの照射によっても、皮膚の最高温度が45℃未満であることを示している。
【0123】
これらのシミュレーションから、皮膚の露光前または露光中に、皮膚に接触させる出力ウィンドウを有する装置が、皮膚の熱損傷を防止するのに有効となることは明らかである。
【0124】
本明細書に教示される方法、システムおよび器具は、P.acnes細菌による患者の皮膚のコロニー形成のレベルを効果的に低減することが可能であることが理解されるであろう。先に論じたように患部を処置することによって、皮脂管および皮脂腺における細菌の濃度を著しく低減させることができる。細菌負荷が低下すると、炎症性の細菌代謝産物の濃度が低下し、それによって、病変を引き起こすタイプの炎症カスケードを誘発する可能性が低減される。本質的には、炎症サイクルの連鎖を断つことによって、本発明は病変の形成を低減および防止し、かつ/または病変が消える速度を高めることができる。
【0125】
換言すれば、本発明のいくつかの実施形態は、毛嚢脂腺管、腺および/または内容物の選択的な光熱溶解を使用する。感染した腺の中の物質の塊がP.acnes細菌によって構成されることが確かめられている。これによって、皮脂腺によって生成される皮脂ではなく、細菌によって生成される発色団を吸収するという選択的なターゲティングが可能になる。これはまた、許容可能な短い時間の中で、患部に十分な線量を送達する可能性をもたらす。その結果が、過度の角質化の低減、細菌の破壊および炎症の軽減を伴うこともできる処置レジメンである。さらに、その内容物が周りの真皮に漏れるのを防ぐ皮脂腺の能力は、GLA、または通常はアクネ患者に不足している同様の長鎖脂肪酸の食品栄養補充によって高めることができる。
【0126】
本発明の好ましい実施形態および様々な代替形態について詳しく説明してきたが、本明細書における教示を考慮すると、本発明から逸脱しない多くの代替形態および等価物が存在することが、当業者には認識されるであろう。したがって、本発明は前述の説明によって限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおいてP.acnes細菌によって引き起こされる病変を処置するための装置であって、
380〜500nmの範囲内の波長の光を放出し、約0.4ワット/cm以上の出力密度を有する光源と、
入力部および出力部を有し、前記光源からの前記光を入力部で受容し、その光を前記出力部全体に分配する光混合器と、
ディフューザであって、前記光を前記ディフューザ全体に実質的に均質に分配するために前記光混合器の前記出力部からの光を受容するためのディフューザと、
前記光混合器の前記出力部から光を受容し、前記光を処置されるヒトの皮膚の領域に伝達するように適合される出力ウィンドウと
を備える装置。
【請求項2】
前記波長の範囲が400〜420nmである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記出力ウィンドウが、前記皮膚に対する冷却をもたらすように適合される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光源が、処置手順の間、連続的に光を供給する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記光源が1つまたは複数のLEDを備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光源が1〜8つのLEDを備える請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光源がレーザダイオードである請求項1に記載の装置。
【請求項8】
P.acnes細菌による皮膚のコロニー形成を特定するための方法であって、
コロニー形成されたことが疑われる皮膚の領域を、前記P.acnes細菌によって生成されるポルフィリンを蛍光発光させるのに適した波長を有する光で照射するステップと、
前記ポルフィリンの前記蛍光を分離するために、前記皮膚によって反射される前記光を濾波するステップと
を含む方法。
【請求項9】
P.acnes細菌によってコロニー形成された皮膚を処置するための方法であって、
皮膚の患部を、前記皮膚に対して1〜4ジュール/cmの範囲内の1日あたりの累積線量を送達するのに十分な累積時間にわたり、0.3ワット/cm〜1ワット/cmの範囲内の出力密度、および390〜430nmの波長を有する光で塗ることによって照射する工程、
前記P.acnes細菌によって引き起こされた病変を有する皮膚の領域の上で、病変を有する前記領域に対して20〜40ジュール/cmの範囲内の1日あたりの累積線量を送達するのに十分な累積時間にわたり、動きを停止することによって照射する工程、ならびに
前記塗るステップおよび前記動きを停止するステップの一方または両方を、必要に応じて繰り返す工程
を含む方法。
【請求項10】
前記塗るステップのみが繰り返される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塗るステップと前記動きを停止するステップの両方が、最初の2週間の間、毎日繰り返される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
プラグインモジュールを認証するための方法であって、
データの第1の部分をプラグイン装置に記憶すること、
データの第2の部分をプラグイン装置に記憶すること、
データの第3の部分を、コントローラによってのみアクセス可能な内部装置に記憶すること、
前記第1の部分、前記第2の部分および前記第3の部分をハッシュすること
を含む方法。
【請求項13】
皮膚の存在を検知するための容量性センサであって、
少なくとも1つの金属化された部分を有する光混合器と、
前記金属部分に電気的に接続される1つまたは複数のコンデンサと、
前記1つまたは複数のコンデンサにおける電荷の変化に応答し、皮膚の前記混合器への近接を指示するように適合されるコントローラと
を備える容量性センサ。
【請求項14】
P.acnes細菌によるヒトの皮膚のコロニー形成を低減するための器具であって、
380〜500nmの範囲内の波長の光を放出し、約0.4ワット/cm以上の出力密度を有する光源と、
入力部および出力部を有し、前記光源からの前記光を入力部で受容し、その光を前記出力部全体に分配する光混合器と、
ディフューザであって、前記光を該ディフューザ全体に実質的に均質に分配するために前記光混合器の前記出力部からの光を受容し、該ディフューザに見かけ上の仮想の光源を作り出し、前記器具の出力が目に安全であるようにするディフューザと、
前記光混合器の前記出力部から光を受容し、前記光を処置されるヒトの皮膚の領域に伝達するように適合される出力ウィンドウと
を備える器具。
【請求項15】
皮膚の存在を検知するための容量性センサであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの前面にあり、通常動作中、ヒトの皮膚に近接して配置されるように適合される金属構成要素と、
前記金属の構成要素に電気的に結合される1つまたは複数のコンデンサと、
前記1つまたは複数のコンデンサにおける電荷の変化に応答し、皮膚の前記金属構成要素への近接を指示するように適合されるコントローラと
を備える容量性センサ。
【請求項16】
光学装置における熱インピーダンスを低減する方法であって、
フリップチップで取り付けられた1つまたは複数の光源を、熱伝導性基板に取り付ける工程、
前記熱伝導性基板をヒートシンクに固定する工程、および
対流によって空気の境界位置を生成する工程
を含む方法。
【請求項17】
ホストに差し込むように企図されたカートリッジの信頼性を保証する方法であって、
認証データの第1の部分および第2の部分を順々に、ホスト内部のロジックに記憶すること、
前記認証データの第1の部分および前記認証データの第2の部分から得られる、第1の暗号化されたデータストアを作成し、前記第1の暗号化されたデータストアが前記ホスト内に一意に存在するようにすること、
認証データを、順々にカートリッジに記憶すること、
前記カートリッジ内の前記認証データから得られる、第2の暗号化されたデータストアを作成し、前記第2の暗号化されたデータストアが前記カートリッジ内に一意に存在するようにすること、ならびに
前記第1の暗号化されたデータストアと前記第2の暗号化されたデータストアから得られるデータを比較して、前記カートリッジの前記信頼性を判定すること
を含む方法。
【請求項18】
皮膚科学的な処置装置において、前記装置の処理に対する処置レジメンを提供するための方法であって、
前記皮膚科学的な処置装置による使用に適当な、1つまたは複数の処置レジメンが記憶されたカートリッジを提供するステップと、
前記カートリッジに電気的に接続するためのレセプタクルを提供するステップと、
前記カートリッジに記憶された処置レジメンの少なくとも一部を読み取るステップと、
前記皮膚科学的な処置装置を、処置レジメンの前記読み取られた部分に従って動作させるステップと
を含む方法。
【請求項19】
1つの処置レジメンが、前記皮膚科学的な処置装置の使用時間の測定を含む請求項18に記載の発明。
【請求項20】
1つの処置レジメンが、所定の最大値の前に残されている時間の測定を含む請求項18に記載の発明。
【請求項21】
ハウジングと、
約390ナノメートル〜約430ナノメートルの波長を有する光を、被験者の標的部分に向けて放出するように構成された前記ハウジング内の光源と、
前記光源と前記被験者の前記標的部分との間に置かれ、約390ナノメートル未満の波長を有する光、および/または約430ナノメートル超の波長を有する光を低減もしくは除去するように構成された光学フィルタと、
電源と、
被験者の皮膚に接触する場合に前記電源および前記光源を電気的に結合し、被験者の皮膚に接触していない場合は、前記電源および前記光源を電気的に切り離すように構成された接触式スイッチと、
前記被験者の皮膚と接触し、前記被験者の非標的部分が放出される光に曝されるのを低減もしくは排除するように構成された光シールドと、
前記光源と前記被験者の前記標的部分との間に置かれた光混合器およびディフューザと、
前記光混合器と前記被験者との間に置かれた出力ウィンドウと
を備える光線療法の装置。
【請求項22】
前記光学フィルタが、約407ナノメートル未満の波長を有する光を濾波し、かつ約420ナノメートル超の波長を有する光を濾波するように構成される請求項21に記載の光線療法の装置。
【請求項23】
前記光源が、発光ダイオード、レーザダイオード、閃光ランプまたはそれらの組合せを含む請求項21に記載の光線療法の装置。
【請求項24】
前記光混合器が、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、ガラス、石英またはそれらの組合せを含む請求項21に記載の光線療法の装置。
【請求項25】
前記出力ウィンドウが、ガラス、サファイア、石英、ダイヤモンドまたはそれらの組合せを含む請求項21に記載の光線療法の装置。
【請求項26】
前記光混合器が中空である請求項21に記載の光線療法の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図6】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−502696(P2012−502696A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527068(P2011−527068)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057204
【国際公開番号】WO2010/033630
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505318905)トリア ビューティ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】