説明

アコースティックフローサイトメトリーのための装置、システム、方法、およびコンピュータ読み取り可能な媒体

フローサイトメータが、以下のものを含む:試料流路を有する毛管;該毛管に結合された少なくとも一つの振動生成トランスデューサであって、試料流路内で音響放射圧を誘導する音響信号を生成し、試料流路中の流体試料ストリーム内を流れる粒子を音響的に集中させるように構成されている、少なくとも一つの振動生成トランスデューサ;および、音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成するように構成されている紫色レーザおよび青色レーザを有するインテロゲーション光源。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、2009年12月4日出願の米国特許仮出願第61/266,907号、2010年2月12日出願の米国特許仮出願第61/303,938号、および2010年6月28日出願の米国特許仮出願第61/359,310号への優先権を主張する。
【0002】
分野
本出願は一般に、フローサイトメトリーに関し、より具体的には、アコースティック(音響)フローサイトメトリーを使用して希事象を検出するための装置、システム、方法、およびコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
従来のフローサイトメトリーにおいては、試料流体の周囲にシース流体を非常に高い体積比(試料流体の体積比の約100〜1000倍)で流すことによって試料流体を約10〜50μmの小さなコア直径に集束させる。試料流体中の粒子は非常に速い線速度(毎秒数メートル程度)で流れ、その結果、インテロゲーションポイントを通過するのに非常に短い時間(多くの場合、わずか1〜10μs)しか費やさない。これには重大な欠点がある。第一に、流れを逆転させることができないため、粒子をインテロゲーションポイントに再び送ることができない。第二に、シース流体なしでは集束が損なわれるため、粒子をインテロゲーションポイントに保持することができない。第三に、短い通過時間が感度および解像度を制限し、それが、希事象の検出を困難かつ時間のかかるものにする。
【0004】
これらの欠点への対処における従来の試みは不十分であった。これらの欠点のいくつかを補正するために、試料流体中の粒子の濃度を高める場合もあるが、これは常に可能であるわけではなく、コスト高である場合もある。また、インテロゲーションポイントにおける光子束を増加させてより多くの信号を抽出する場合もあるが、多くの場合、これは、信号を生成するために使用される蛍光体を光漂白(すなわち、無放射状態に励起)し、バックグラウンドレイリー散乱、ラマン散乱、および蛍光を増大させる場合がある。したがって、これらの欠点の一つまたは複数を回避または最小化しながらも、粒子のハイスループット分析および高速かつ効率的な希事象検出を可能にする、フローサイトメトリーのための新たな装置、システム、方法、およびコンピュータ読み取り可能な媒体の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
概要
本出願において具現化される原理にしたがって、上記欠点の一つまたは複数を回避または最小化しながらも、粒子のハイスループット分析および高速かつ効率的な希事象検出を可能にする、フローサイトメトリーのための新たな装置、システム、方法、およびコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0006】
本発明の態様にしたがって、(1)試料流路を含む毛管、(2)試料流路内で音響放射圧を誘導する音響信号を生成して、試料流路中の流体試料ストリーム内を流れる粒子を音響的に集中させるように構成されている、毛管に結合された少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、および(3)音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成するように構成されている紫色レーザおよび青色レーザを含むインテロゲーション光源を含む、フローサイトメータが提供される。
【0007】
本発明のもう一つの態様にしたがって、(1)粒子を含む試料流体をその中に流れさせるように構成された毛管、(2)試料流体中の粒子の少なくともいくつかを毛管内の第一の領域において音響的に集束させるように構成された第一の集束機構、(3)少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を第一の領域よりも下流の毛管内の第二の領域において流体力学的に集束させるように構成された第二の集束機構、(4)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかが通過することができる、毛管の中または毛管よりも下流のインテロゲーションゾーン、および(5)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかに関してインテロゲーションゾーンにおいて得られた少なくとも一つの信号を検出するように構成された少なくとも一つの検出器を含む、フローサイトメータが提供される。
【0008】
本発明のもう一つの態様にしたがって、フローサイトメータを使用して希事象を検出する方法であって、(1)粒子を含む試料流体を流路の中に流すこと、(2)流路内に含まれる第一の領域に音響放射圧を加えることによって試料流体中の粒子の少なくともいくつかを第一の領域において音響的に集束させること、(3)第一の領域よりも下流の第二の領域において試料流体の周囲にシース流体を流すことによって少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を流体力学的に集束させること、(4)シース流体:試料流体の体積比を調節して、第二の領域の中またはそれよりも下流のインテロゲーションゾーンにおいて実質的に一定の全粒子速度を維持すること、(5)インテロゲーションゾーンにおいて音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかを分析すること、ならびに(6)インテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて、一つまたは複数の希な蛍光事象、一つまたは複数の細胞型および一つまたは複数の死細胞からなる群より選択される一つまたは複数の希事象を検出することを含む、方法が提供される。
【0009】
本発明のこれらおよび他の態様のさらなる詳細が、例示的かつ説明的であり、本発明をいかなるふうにも限定しない添付図面および以下の詳細な説明に記載される。本発明の他の態様、特徴、目的および利点が詳細な説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み入れられ、その一部を構成する添付図面が本発明の一つまたは複数の態様を例示し、詳細な説明とともに、本発明の様々な態様の原理を説明するように働く。図面は例示的かつ説明的でしかなく、本発明をなんらかのやり方で限定または制限するものと解釈されてはならない。
【0011】
【図1】面集束と線駆動毛管集束との比較を示す。
【図2】図2Aおよび2Bは、線駆動音響集束装置を示す。
【図3】線駆動音響集束装置中、層流線を横切って流れる音響的に集束した粒子を示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、音響集束装置中、音響的に向きを変えられた層流ストリームを示す。
【図5】図5A〜5Cは、音響集束装置中、ナノメートルサイズの緑色粒子のバックグラウンドからのミクロンサイズのポリスチレン蛍光オレンジ/赤色粒子の分離を示す。図5Dは、音響集束装置中、層流線を横切って流れる音響的に集束した粒子を示す。
【図6】図6A〜6Cは、層流境界線を横切る粒子の音響的分離を示す。
【図7】図7A〜7Cは、いくつかの音響集束装置を示す。
【図8】アコースティックフローサイトメータと組み合わせた音響集束フローセルの略図を示す。
【図9】音響集束システムの流れ図を示す。
【図10】インライン層流洗浄を含むように改変された図9の図を示す。
【図11】層流洗浄流体の音響的集束を示す。
【図12】平行流体音響入れ換え装置の略図を示す。
【図13】図13Aおよび13Bは、非溶解全血の入れ換えの略図を示す。
【図14】音響ストリーム入れ換え粒子計数装置の略図を示す。
【図15】血液試料コアからのネガティブコントラストキャリヤ粒子の分離を示す。
【図16】音響洗浄システムにおける多重化イムノアッセイ法を示す。
【図17】音響的集束を使用するハイスループットスクリーニングのフローチャートを示す。
【図18】音響的洗浄を使用する2チャンバ型培養/採取容器を示す。
【図19】図19A〜19Cは、ライブラリからのアプタマー選択を示す。
【図20】デュアルステージ音響バルブソータを示す。
【図21】図21Aおよび21Bは、音響的に位置を変えられた粒子および媒体の光学分析を示す。
【図22】異なるパラメータを有する粒子群の図を示す。
【図23】画像化装置によって画像化された、音響的に位置を変えられた粒子を示す。
【図24】粒子の音響的融合を示す。
【図25】粒子の音響的集束および分離を示す。
【図26】図26A〜26Fは、様々なレーザおよび感度設定を使用して、非アコースティック(非音響)フローサイトメータおよびアコースティックフォーカシング(音響集束)サイトメータ上で試験された蛍光微小球に関する比較出力プロットを示す。
【図27】図27Aおよび27Bは、アコースティックサイトメトリーに関連する、細胞周期分析における通過時間の8倍増の効果を示すヒストグラムプロットである。
【図28】図28Aは、音響的に集中してアコースティックサイトメータ中を流れるロープ様構造を形成する細胞を有する血液の写真であり、図28Bは、アコースティックサイトメータ中で音響的に縦一列に集中した細胞を有する、より希釈された血液の写真である。
【図29】紫色励起蛍光体Pacific Blue(商標)の励起および放出スペクトルを示すスペクトルグラフである。
【図30】生きたCD45陽性細胞の部分集団としての0.07%CD34陽性細胞の希事象集団の検出を示す。
【図31】図31Aおよび31Bは、音響集束システムおよび流体力学のみに基づく集束システムそれぞれにおける溶解全血に関するFSC対SSCのプロットを示す。
【図32】図32Aおよび32Bは、図31Aおよび31Bにおけるものと同じシステムおよびパラメータを使用して得られたジャーカット細胞に関するFSC対SSCのプロットを示す。
【図33】アコースティックフローサイトメトリーシステムの略図を示す。
【図34】アコースティックフローサイトメータ中の音響集束毛管の略図を示す。
【図35】アコースティックフローサイトメータ中の集光ブロックの一部分を示す。
【図36】アコースティックフローサイトメータ中の光学データ収集ブロックの略図を示す。
【図37】アコースティックフローサイトメータ中の流体システムの略図を示す。
【図38】下流で流体力学的集束を実施するシングルトランスデューサ型音響集束毛管の略図を示す。
【図39】アコースティックフローサイトメータ中の順方向散乱アパーチャを調節し得るブロッカーバー(blocker bar)装置の略図を示す。
【図40】図40A〜40Fは、生きたCD45陽性細胞の部分集団としての0.050%および0.045%CD34陽性細胞の希事象集団の検出を示す。
【図41】図41A〜41Dは、非アコースティックフローサイトメータおよびアコースティックフォーカシングサイトメータ上で実施された細胞検出に関する比較出力プロットを示す。
【図42】アコースティックフォーカシングサイトメータの構成部品の略図を示す。
【0012】
図中、同様な記号は同様な要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的態様
本明細書において使用される「音響コントラスト」は、音響放射圧によって位置を操作する能力に関する、二つの物体の材料性質における相対的な差を意味し、たとえば、密度および圧縮性における差を含み得、「アッセイ法」は、一つまたは複数の粒子または一つまたは複数の流体を調査する(interrogate)方法を意味し、「アッセイ」は、製品、たとえばアッセイキット、データおよび/またはレポートを意味し、「フローセル」は、長方形、正方形、楕円形、扁円形、円形、八角形、七角形、六角形、五角形および三角形から選択される内部形状を有する流路、チャンバまたは毛管を意味し、そして「流路」は、少なくとも入口および好ましくは出口を有し、一定量の流体を収容することができ、長方形、正方形、楕円形、扁円形、円形、八角形、七角形、六角形、五角形および三角形から選択される内部形状を有する進路、経路または導管を意味する。
【0014】
本明細書において使用される「音響的に集束させる」、「音響的に集束させた」、「音響的に集束する」および「音響的集束」は、音場によってフローセル内で粒子を配置する行為を意味する。粒子の音響的集束の例は、流路の軸に沿って粒子を整列させることである。粒子が局在化される集束領域の空間的範囲は、フローセルジオメトリ、音場および音響コントラストによって決まりうる。フローセルを断面で見ると、観察される集束領域の形状は、規則的な幾何学形状(たとえば点、線、弧、楕円など)に似る、または不定でありうる。物体を配置するために使用される主な力は音響放射圧である。
【0015】
本明細書において使用される「音響的に向きを変える」および「音響的に向きが変わる」は、音響放射圧によって装置内の流体または媒体の混和性、部分的に混和性または不混和性の層流ストリームの位置を変える行為を意味する。この技術は、流路中の別々の層流ストリームの機械的性質における差(音響コントラスト)を利用する。二つの流体が接触させられると、それらの分子構成における違いにより、大きな濃度勾配が存在して、界面密度および/または圧縮性勾配(ストリーム間の音響コントラスト)を生じさせることができる。音場の作用の下、ストリームは、それらの音響コントラストに基づいてフローセル内で向きを変えられうる。
【0016】
本明細書において使用される「粒子」は、物質の小さな単位、たとえば生物学的細胞、たとえば真核および原核細胞、古細菌、バクテリア、カビ、植物細胞、酵母、原生動物、アメーバ、原生生物、動物細胞、細胞オルガネラ、有機/無機元素または分子、微小球ならびに水中の油のような不混和性流体の小滴を意味する。
【0017】
本明細書において使用される「分析対象物」は、分析される物質または材料を意味し、「プローブ」は、標識または他のやり方でマーキングされ、流体または試料中の別の物質を検出または識別するために使用される物質を意味し、「標的」は、プローブの結合部分を意味し、「試薬」は、特異的方法で反応することが知られている物質を意味する。
【0018】
本明細書において使用される「微小球」または「ビーズ」は、球体におけるように対称であることもできるし、ダンベル形におけるように非対称であることもできるし、または対称性を有しない高分子であることもできる、音響コントラストを有する粒子を意味する。微小球またはビーズの例は、たとえば、シリカ、ガラスおよび空洞ガラス、ラテックス、シリコーンゴム、ポリマー、たとえばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチレンメラミン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニリデン-co-アクリロニトリル)およびポリラクチドを含む。
【0019】
本明細書において使用される「標識」は、生物学的系のような系に導入され、フローセルまたは流路の進路をたどることができ、フローセルまたは流路中の粒子または標的に関する情報を提供する識別可能な物質、たとえば色素または放射性同位体を意味し、「信号生成分子」は、生物学的系のような系に導入され、粒子のための信号として使用されることができる識別可能な物質、たとえば色素または放射性同位体を意味する。
【0020】
図1は、本発明の例示的態様にしたがって、面集束と線駆動毛管集束との比較を示す。面集束103/105において、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子102は、二次元シートとして集束され、流れ方向に沿って様々な速度(異なる矢印を参照)を有しうる。線駆動毛管集束107/109において、粒子102は、毛管の中心軸へと集束され、流れに沿って共通の速度を有しうる。毛管は、たとえば円形、扁円形または楕円形の断面を有しうる。または、粒子102は、毛管内の別の軸へと集束されるか、または毛管の壁に沿って集束されうる。
【0021】
図2Aおよび2Bは、本発明の例示的態様の線駆動音響集束装置の側面図および軸方向図を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子203は、トランスデューサ205を使用して、たとえば円柱形であり得る管201の中心209において最小である圧力へ向かって音響的に集束されうる。粒子203は一つの線軌道211を形成し得、それが、同様なサイズおよび音響コントラストを有する粒子の均一な滞留時間を可能にし得、それが他方で、感度および解像度を損なうことなく、粒子のハイスループット連続分析を可能にしうる。
【0022】
図3は、本発明の例示的態様にしたがって、線駆動音響集束装置中、層流線を横切って流れる音響的に集束した粒子を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子305は、トランスデューサ303を使用して、線駆動毛管301中、試料ストリーム309から、流れる流体/洗浄ストリーム315の中心307へと音響的に集束されうる。粒子305は、層流線を横切って移動し得、そしてその後、縦一列の線として移動し、分析ポイント311で分析されうる。
【0023】
図4Aおよび4Bは、本発明の例示的態様にしたがって、音響集束装置中、音響的に向きを変えられた層流ストリームを示す。図4Aにおいて、音場は存在せず、層流ストリーム403および407は、音響的に駆動される毛管401中、互いに対して平行に流れる。図4Bにおいて、トランスデューサ405によって音場が印加され、その結果、ストリーム403および407は、それらの音響コントラストに基づいて音響的に向きを変えられる。大きい方の音響コントラストを有するストリーム403bは毛管401の中心へと向きを変えられ、一方、低い方の音響コントラストを有するストリーム407bは毛管401の壁の近くへと向きを変えられうる。音場がたとえば双極モードで起動されると、図4Bに示すように、ストリーム403bは毛管401の中心軸と一致するように移動し、ストリーム407bを部分的に押し退ける。ストリームは、不混和性、部分的に混和性または混和性でありうる。ストリーム間には、それらの異なる分子構成のせいで大きな濃度勾配が存在しうる。音響圧に関して濃度勾配は、密度および/または圧縮性勾配とみなされ得、ストリームは、音響放射圧の作用を受けることができる異なる密度および圧縮性(音響コントラスト)を有する孤立した実体と見なされうる。
【0024】
図5A〜5Cは、本発明の例示的態様にしたがって、音響集束装置中、ナノメートルサイズの緑色粒子のバックグラウンドからのミクロンサイズのポリスチレン蛍光オレンジ/赤色粒子の分離を示す。図5Dは、本発明の例示的態様にしたがって、音響集束装置中、層流線を横切って流れる音響的に集束した粒子を示す。時間平均音響力は粒子の体積とともに増減するため、分離は、サイズおよび音響コントラストの両方に基づきうる。中央の洗浄ストリームが外側の試料ストリームよりも高い比重および/または低い圧縮性を有する場合、はじめは外側試料ストリーム中にあった、中央の洗浄ストリームよりも大きな音響コントラストを有する粒子は、毛管軸へと集束し続け、一方、低い方のコントラストの粒子は排除される。図5Aは、音場がオフであるときの、落射蛍光照明下、毛管中を流れる緑色の200nm粒子と混合した赤色の5.7μm粒子を示す。図5Bは、音場がオンであるとき、5.7μm粒子(青色照明下で黄色の蛍光を発する)は中心線へと音響的に集束されるが、一方、200nm粒子は元のストリーム中にとどまることを示す。図5Cは、5.7μm粒子が、赤帯域フィルタを用いて緑色照明下で赤色の蛍光を発するが、200nm粒子は励起されないことを示す。図5Dは、毛管501中を流れる蛍光バックグラウンド流体を含有する同軸ストリーム505と平行に導入された清浄なコアストリーム507を示す。トランスデューサ503が音響定在波(図示せず)を発生させると、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子509は音響的に集束され、同軸ストリーム505からコアストリーム507へと移動し、そこで縦一列になって分析ポイント511へと流れる。
【0025】
図6A〜6Cは、本発明の例示的態様にしたがって層流境界を横切る粒子の音響的分離を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる媒体または流体中の粒子が音響的に操作または集束されうるのと同時に、媒体または流体は音響的に向きを変えられうる。図6Aは、音場がオフであるとき、250μmの音響集束セル609の端部に結合された光学セルの蛍光画像を示す。白線601および611がフローセルの縁を示す。25μg/mlのR−フィコエリトリン蛍光タンパク質(オレンジ色蛍光)でスパイクされたPBSバッファ中10%全血の混合物がフローセルの下半分605を通って流れ(白血球DNAはSYTOX(登録商標)Greenで染色されている)、上半分603には、PBSバッファ中6%イオジキサノール(暗色)がある。図6Bは、音場がオンであるとき、PBSバッファ中6%イオジキサノールが中心613へと音響的に向きを変えられ、血液/PBSバッファ/R−フィコエリトリン混合物がセルの側面(図中の上下)へと音響的に向きを変えられ、白血球はその元の媒体を離れ、中心へと音響的に集束されて、そこで緑色の線に見える(赤血球も同様に音響的に集束されるが、蛍光画像では見えない)ことを示す。図6Cは、バックグラウンドよりも高密度/非圧縮性である粒子に関する近似音響力ポテンシャルのMATLABプロット617を示す。より高密度でより非圧縮性の粒子/媒体(たとえば細胞およびイオジキサノール/PBSバッファ)は中心へと音響的に集束される/音響的に向きを変えられる(暗青色領域、最小ポテンシャル)のに対して、より低密度および/またはより圧縮性の媒体(たとえば血液/PBSバッファ/R−フィコエリトリン混合物)は左右の側面へと音響的に集束される/音響的に向きを変えられる(暗赤色の領域、最大ポテンシャル)。より低い密度(および/またはより高い圧縮性)の試料ストリームが実質的に円柱形の毛管の軸方向中心に沿って流され、より高い密度(および/またはより低い圧縮性)のストリームがそれに隣接する状態で流されるならば、それらのストリームは音響的に向きを変えられて、図6Cに示すポテンシャルに従うであろう。これは、平面系においては実証または報告されていない特徴である。
【0026】
図7A〜7Cは、本発明の例示的態様の音響集束装置を示す。図7Aは、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子712を含む試料715aおよび洗浄バッファ713aが毛管703に導入されるフローサイトメトリーシステム700aを示す。線駆動装置701(たとえばPZT駆動装置または音響定在波を発生させることができる他の手段)がユーザ決定モード(たとえば双極モード)で音響定在波(図示せず)を導入する。その結果、試料715aおよび洗浄バッファ713aは音響的に向きを変えられ(715bおよび713bとして)、粒子712はそれらの音響コントラストに基づいて音響的に集束されうる(717として)。照明光源709(たとえばレーザもしくはレーザ群または任意の適当な照明光源、たとえば発光ダイオード)がインテロゲーションポイント716において粒子717を照明する。照明光源は、紫色レーザ(たとえば405nmレーザ)、青色レーザ(たとえば488nmレーザ)、赤色レーザ(たとえば640nmレーザ)またはそれらの組み合わせでありうる。調査された試料からの光学信号719が検出器または検出器705のアレイ(たとえばPMTアレイ、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード(APD)、マルチピクセルAPD素子、シリコンPMTなど)によって検出されうる。図7Bは、清浄なストリーム713aが独立して光学セルに流されうるフローサイトメトリーシステム700bを示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みう粒子702は音響的に集束されて線717として流れ、試料バッファ715bは廃棄物721に捨てられ、線717は第二の音波誘導手段714を通過しうる。図7Cは、試料715aが中心のわずかに片側寄りに注入され、毛管壁703の隣りに流れ、一方、バッファ713aが反対側の壁に対して流れるフローサイトメトリーシステム700cを示す。トランスデューサ701が、試料715aを音響的に再配向させ(715bとして)、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子702を音響的に集束させ(714/717として)、バッファ713aを音響的に再配向させうる。
【0027】
図8は、本発明の例示的態様にしたがって、粒子および流れストリームを音響的に再配向させるためのアコースティックフローサイトメータと組み合わせた音響集束フローセルの略図を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子803、807および809を含む試料801が、トランスデューサ811を含むフローセル810に導入され、このトランスデューサが、粒子803、807および809を、収集/インキュベーションサイト819において収集される粒子815として音響的に集束させる。洗浄容器802からの洗浄液または他の試薬805がバックグラウンドストリーム813としてフローセル810に導入され、横方向に退出する。もう一つの洗浄ストリーム821が、洗浄容器817から、音場発生装置822を有するフォーカスサイトメータ850のフローセル810bに導入され、この音場発生装置が、粒子823を、別のフローセル851への進入829の前に粒子825/827として音響的に集束させる。トランスデューサ831がさらに、インテロゲーションポイント852におけるインテロゲーション光833によるインテロゲーションの前に粒子825/827を粒子832として音響的に集束させる。調査された粒子からの信号854が分析のために検出器835に送られたのち、調査された粒子は収集ポイント837において収集される。
【0028】
図9は、本発明の例示的態様にしたがって、音響集束システムの流れ図を示す。ステップ901において、粒子を含む試料が収集され、制御可能なフローポンプに送られる。ステップ903において、制御可能なフローポンプが試料を音響集束装置に送り込む。ステップ905において、音響集束装置が、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子の少なくともいくつかを線または面へと集束させたのち、それらの粒子が、光学励起および検出のためにインテロゲーションゾーンに送られる。ステップ907において、粒子の少なくともいくつかが光学的に励起され、励起された粒子からの少なくともいくらかの信号が検出されたのち、粒子は、さらなる分析に送られるか、または廃棄もしくは何らかの他の処理のいずれかに送られる。ステップ909において、粒子は、より長い通過時間データ収集および分析セクションによってさらに分析されうる。ステップ911において、粒子は、廃棄物として抽出される場合もあるし、廃棄またはさらなる処理セクションによるさらなる処理に付される場合もある。制御可能なポンプは、たとえば約0m/s〜10m/s、約0m/s〜約0.3m/s、または約0.3m/s〜約3m/sの範囲であり得る粒子の所望の線速度のために所望の粒子流量に調節されうる。励起/検出は、パルス化または変調されてもよく、レイリー散乱検出器の使用を含め、アナログ/デジタル電子工学および/または光学において公知である任意の適当な励起/検出法を使用して実施されてもよい。
【0029】
粒子速度の制御には数多くの利点がある。第一に、標識がより長期間にわたり照明されうるため、蛍光/発光標識によって放出される光子の数を増すことによって信号を改善しうる。0.3m/sの線速度において、光子の数は約10倍に増し、その場合、音響的集束を使用すると、毎秒約3,000個の粒子が分析されうる(粒子中心間の平均距離が100ミクロンと仮定)。そして、0.03m/sの線速度においては、その数は約100倍に増し、毎秒300個の粒子が分析されうる。第二に、速い通過時間のせいで従来のフローサイトメトリーにおいては一般に使用されないマーカ(たとえばランタニド、ランタニドキレート、ユーロピウムを使用するナノ粒子、半導体ナノ結晶(たとえば量子ドット)、吸収性色素、たとえば細胞学的染料およびTrypan Blueなど)が使用可能になりうる。第三に、光漂白を減らす低めのレーザパワーおよび線速度の制御によって可能になるより長い通過時間から他のマーカ(たとえば、長い寿命および/または低い量子収量/吸光係数を有する蛍光体または発光体、大部分の化学生物発光種、約10nsよりも大きい、約10ns〜約1μs、約1μs〜約10μs、約10μs〜約100μsおよび約100μs〜約1msの寿命を有する標識)が恩典を受けうる。10μsパルスによって毎秒1000回の速度でパルスすることは、たとえば10msの通過時間の場合、10サイクルの励起および発光収集を可能にし、その間に、たとえばユーロピウムキレートの実質的にすべての発光減衰をモニタしうる。このパルスレートにおいては、本発明の態様によって提供される線速度の制御によって可能になるより長い通過時間の恩典なしには、粒子の90%またはそれ以上が調査されることなく通過するおそれがある。パルスレートを1μsパルスで100kHzに増大させたとしても、ランタニド発光をモニタするために9μs近くがなおも残りうる(大部分の蛍光体は1〜2nsの寿命を有し、大部分の自己蛍光は10ns以内に減衰するため)。
【0030】
図10は、本発明の例示的態様にしたがって、インライン層流洗浄を含むように改変された図9の図を示す。ステップ1001において、粒子を含む試料が収集され、制御可能な試料フローポンプに送られる。ステップ1005において、制御可能な試料フローポンプが試料を音響装置1019の層流洗浄装置部に送り込む(粒子および流体の音響的集束および/または再配向に基づきうる)。その間、ステップ1003において、洗浄流体が収集され、制御可能な洗浄流体ポンプに送られる。ステップ1007において、制御可能な洗浄流体ポンプが洗浄流体を層流洗浄装置に送り込む。ステップ1009において、層流洗浄装置が試料/粒子をインラインで洗浄する。ステップ1011において、清浄な流体が収集されたのち、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる洗浄された試料/粒子が光学励起および検出のためにインテロゲーションゾーンに送られる。ステップ1013において、粒子の少なくともいくつかが光学的に励起され、励起された粒子からの少なくともいくらかの信号が検出されたのち、粒子は、さらなる分析に送られるか、または廃棄もしくは何らかの他の処理のいずれかに送られる。ステップ1015において、粒子は、より長い通過時間データ収集および分析セクションによってさらに分析される場合がある。ステップ1017において、粒子は、廃棄物として抽出される場合もあるし、または廃棄もしくはさらなる処理セクションによるさらなる処理に付される場合もある。
【0031】
図11は、本発明の例示的態様の層流洗浄流体の音響的集束を示す。ここでは、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子1109を含有する試料が層流洗浄流体1107とともに面音響フローセル1101に導入される。トランスデューサ1103が音波1105を発生させ、その音波が音響コントラストに基づいて粒子1109をノード1111を通過する軌道へと音響的に集束させる。面音響フローセル1101はまた、外部に位置する音響ノードを有する場合があり、その場合、粒子1109はフローセルの上部へと音響的に集束されうる。
【0032】
図12は、本発明の例示的態様の平行流体音響入れ換え装置の略図を示す。ここでは、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる第一および第二の粒子1202および1204を含む第一の最外側の試料媒体1205が毛管1201に導入される。第二の中間媒介1213が第三の最内側媒体1209とともに毛管1201に導入される。線駆動装置1203が第一、第二および第三の媒体を音響的に再配向させ、第一および第二の粒子を、それらの音響コントラストに基づいて音響的に集束させうる。そして、粒子は毛管から外に流れうる。入れ換えにより、粒子のいくつかが第一の媒体から第二の媒体(試薬ストリームであり得る)を通過して第三の媒体へと音響的に集束され得、または粒子のいくつかが第二の媒体から第三の媒体へと音響的に集束されうる。
【0033】
図13Aおよび13Bは、本発明の例示的態様の非溶解全血の入れ換えを示す。血液試料1309および洗浄バッファ1307が毛管1302中の異なる位置において導入される。トランスデューサ1304を起動すると、一つまたは複数の希事象赤/白血球を含みうる赤血球1303および白血球1305が音響的に集束され、そして試料1309および洗浄バッファ1307が音響的に向きを変えられる。白血球は、その相対的に少ない数のおかげで、集束した血液のロープ状構造中の分離状態を維持する。
【0034】
図14は、本発明の例示的態様の音響ストリーム入れ換え粒子計数装置の略図を示す。装置1400は、未知または使用可能でない伝導性のバッファ1403とともに流れる、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子1409を含む試料1405のインライン分析を可能にする。粒子1409は、トランスデューサ1407を使用してバッファ1403へと音響的に集束され、一方、試料媒体は廃棄物出口1411において捨てられうる。粒子は、第二のトランスデューサ1413を通過して孔径1419bの検出ポイント1419まで移動するとき、電極1415における信号を検出する任意の適当な電子検出器1417によって分析および計数されうる。
【0035】
図15は、本発明の例示的態様の、血液試料コアからのネガティブコントラストキャリヤ粒子の分離を示す。ここでは、トランスデューサ1507が、一つまたは複数の希事象粒子を含みうるネガティブコントラストキャリヤ粒子1505を、はじめはそれらの粒子および血球1503を含む血液コア試料1511から音響的に集束させて、血液コア試料1511と清浄なバッファ1513との間の界面1502を毛管壁1501の方向に横切らせうる。他の音響モードにおいては、血球1503が壁へと駆動され、一方、ネガティブコントラストキャリヤ粒子1505が中心軸へと駆動されうる。
【0036】
図16は、本発明の例示的態様の音響洗浄システムにおける多重化イムノアッセイ法を示す。音響洗浄システム1600においては、分析対象物1609/1611/1613を中心ストリーム1607の中に流し、かつ蛍光性抗原と事前に結合させたビーズ1603/1605/1621を外側ストリーム1601から中心ストリーム1607の中に押し込むことにより、競合的イムノアッセイ法が速やかに実施されうる。一つの反応容器中で混合され、流れの中で処理される集団それぞれにおいて特異的薬品が配置されうる。一つまたは複数の希事象集団を含みうる、容器から出る集団1615は、分析ポイント1617においてサイズおよび/または蛍光色および/または蛍光によって区別されうる。
【0037】
図17は、本発明の例示的態様にしたがって音響流体を使用するハイスループットスクリーニングのフローチャートを示す。ステップ1701において、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる細胞/ビーズタイプ粒子が試験のために収集および/または培養される。ステップ1703において、標識および/または対象の薬物候補物質とともにインキュベートされ、音響集束装置/ストリーム入れ換え装置に送られる。その間、ステップ1709において、他の薬物および/またはさらなる反応体が音響集束装置/ストリーム入れ換え装置に導入されうる。ステップ1705において、音響集束装置/ストリーム入れ換え装置が、粒子および/またはストリームを集束させ、および/または入れ換え、粒子を過剰な薬物/リガンドから分離しうる。ステップ1707において、ただちに、またはさらなる入れ換えののち、音響集束装置/ストリーム入れ換え装置を使用して清浄な流体が収集される。ステップ1711において、粒子は識別および/または選別されうる。次いで、ステップ1713において、不要な粒子が廃棄に送られる場合があり、ステップ1715において、選択された粒子がさらなる分析または処理に送られる場合がある。ステップ1717において、結合した薬物の決定、シンチレーション計数、バイアビリティー/アポトーシス判別および遺伝子発現分析を含むさらなる処理が実施される場合がある。
【0038】
図18は、本発明の例示的態様にしたがって音響的清浄を使用する2チャンバ型培養/採取容器を示す。ここでは、一つまたは複数の希事象細胞を含みうる細胞がチャンバ1801中で培養され、定期的に送られて流路1805中で音響的に集束されて、その中で細胞密度/増殖に関して光学検出器1817によって試験されうる。増殖目標が達成され、チャンバ1801中の増殖培地が消費されると、弁を起動して、新鮮な培地が貯留部1803から流路1805に沿って流れ、使用済み培地がチャンバ1811中に採取されることを可能にしうる。そして、細胞は新鮮な培地の中で音響的に集束され、第二の培養チャンバ1809に移されうる。そして、細胞がチャンバ1809中で培養され、チャンバ1801中の新鮮な培地の中に移されるように同じプロセスが逆に繰り返されうる。
【0039】
図19A〜19Cは、本発明の例示的態様の、ライブラリからのアプタマー選択を示す。図19Aは、アプタマーライブラリ1901とともにインキュベートされた標的分子を有する多重化ビーズ/細胞1903を示す。図19Bは、ビーズ/細胞1903および1907を非結合アプタマー1904から分離するためのインライン音響媒体入れ換えの使用を示す。より高い親和性のアプタマーを選択するために洗浄コア(中心円)の塩および/またはpHが調節され、純度を高めるために連続洗浄が実施されうる。図19Cは、選別されたビーズ1911を示す。
【0040】
図20は、本発明の例示的態様にしたがって希細胞集団のインライン非希釈高速選別を可能にするデュアルステージ音響バルブソータを示す。ここでは、粒子2007を含む試料が音響バルブソータ2000の部分2001に導入される。第一のトランスデューサ2002が流路2004中に音波を誘導し、インテロゲーション光源2013がインテロゲーションポイント2006において粒子2007を調査する。選別ポイント2009において検出された不要な粒子は廃棄物弁2010aに通して送られうるのに対して、選択された粒子は流路2004に沿って下流処理2011に送られて、第二のトランスデューサ2002によるさらなる集束、光源2015によるインテロゲーションおよび不要な粒子の場合には廃棄物弁2010bまたは選択された粒子2019の場合には流路2004からの出口に向かう適切な選別に付される。希な細胞の場合、これは、対象の細胞を捕獲して、それによって選別分画中の目的細胞の比率を高める高速初期弁選別を提供し、その後、純度を高めるために、より低速で再び実施される場合もある。たとえば、細胞が毎秒30,000個の速度で分析され、弁選別が毎秒300個の細胞を選別することができるならば、初期選別決定それぞれが平均約100個の細胞を含むはずである。そして、これら100個の細胞がより低い流量で第二のソータ(または初期選別後、同じソータ)に移されるならば、対象の細胞はかなり精製されうる。
【0041】
図21Aおよび21Bは、本発明の例示的態様の、音響的に位置を変えられた粒子および媒体の光学分析を示す。ここでは、線駆動装置2105による音響コントラストに基づいて、試料2103中の、一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子2102が音響的に集束される(粒子2115として)。粒子2115は光学セル2117に入り、インテロゲーション光源2111がそれらを調査する。そして、検出器2107のアレイが各粒子からの光学信号2113を収集し、その信号が特定のユーザ決定基準を満たすならば、対応する粒子(または粒子の群)が光源2119(たとえばフラッシュLED(広帯域またはUV))によって照明され、画像化装置2109によって画像化される。図21Aにおいて、画像は取得されず、粒子2125の流量2129は変化しないままである。しかし、図21Bにおいては、粒子2125の流量2127は、粒子の画像を取得するために求められる解像度に適切な値まで減らされている。
【0042】
図22は、図21Aおよび21Bに示すシステムにおいて分析され得るような、異なるパラメータを有する粒子群の図を示す。粒子2202の群内の各粒子はパラメータ1およびパラメータ2(それぞれは、たとえば、順方向散乱、側方散乱または蛍光でありうる)に関して類似している。ユーザ決定しきい値2201が、パラメータ1およびパラメータ2の値に基づく画像化のためのしきい値を満たす粒子を識別する。粒子がユーザ決定しきい値を満たすならば、流量は、画像化装置が粒子の合焦画像を捕獲するのに適切な速度まで減らされうる。また、他の検出しきい値2205、2209および2215が設定される場合もある。当然、あらゆる粒子が画像化される必要はない。それどころか、散乱および蛍光シグナチャに基づいて捕獲される粒子画像のセットを画定するために、ゲートされた部分集団からの粒子のサンプリングマトリックスが構築される場合があり、それが、高い粒子分析速度(たとえば毎秒2000個を超える)を可能にしうる。画像は細胞形態、向きおよび内部構造(たとえば核の位置および数)を捕獲する場合があり、電子CCDパンニング技術を含む当技術分野において公知の任意の適当な画像化装置を使用して得られうる。画像化は相対的に低速(細胞300個/secまで)でありうるが、より低速の流れが、感度を高く維持し、良好な空間解像度(0.5ミクロンまで)を可能にする長い積分時間を可能にしうる。
【0043】
図23は、本発明の例示的態様にしたがって画像化装置によって画像化された、音響的に位置を変えられた粒子を示す。この図は、光学セル2307中のストリームが血球2303の合焦画像捕獲のために低速化されている、音響的に向きを変えられたストリーム2305から捕獲された血球2303の写真を示す。画像を創製するために、たとえば内径410μmの線駆動毛管が、光学セル(たとえば、線駆動毛管の内径と同じ直径を有する内部円柱形流路を有するホウケイ酸塩ガラスキューブ)によって切り詰められうる。励起の周波数は約2.1MHzであり、音響装置の消費電力は125ミリワットである。線駆動毛管は、5ml/minを超える体積流量で5μmラテックス粒子および血球の微集束を生じさせうる。線駆動毛管は正方形断面の石英光学セルに取り付けられうる。光学セルの内部キャビティは断面が円形であり得、流体カラムの共振状態を延ばし、それにより、音響集束力を光学セルの中に延ばすために、線駆動毛管と同じ内径を有しうる。
【0044】
図24は、本発明の例示的態様の粒子の音響的融合を示す。第一の粒子タイプを含有する第一の試料2401が、PZTトランスデューサ2404によって駆動される第一の音響集束装置2402の中に送り込まれ、粒子が線2408へと音響的に集束される。第二の粒子タイプを含有する第二の試料2403が同様に送り込まれ、PZTトランスデューサ2407によって駆動される第二の音響集束装置2405中、線2409へと集束される。試料は、PZTトランスデューサ2411によって駆動される第三の音響集束装置2410の中に流されて、粒子の線どうしが集束されて、粒子どうしが相互作用することができる一つの線を形成するようになっている。下流で、粒子は、粒子2412を融合させて一つまたは複数の希事象粒子を潜在的に形成する電極2413を使用して生成される電場を通過する。
【0045】
図25は、本発明の例示的態様の粒子の音響的集束および分離を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子2503は第一の音響集束装置2505に移され、この装置が第一のトランスデューサ2507によって粒子を縦一列の線2509へと集束させる。その後、線2509は、サイズおよび音響特性の一つまたは複数に基づく分離および収集のために、第二のトランスデューサ2512ならびに多数の出口ビン2519a、2519bおよび2519cを備えた音響セパレータ2513に送り込まれうる。音響セパレータ2513への進入時、線2509の位置は、流体をたとえば側流路2511に通して抜き取る、または他のやり方で除去することによって調節されうる。
【0046】
本発明の例示的態様にしたがって、一人の患者の血液に対する臨床免疫表現型検査パネルアッセイ法におけるアッセイの量が、本明細書に記載されるように粒子速度を制御し、長い通過時間を可能にすることができる、一度にアッセイすることができるマーカの数を増すアコースティックフローサイトメータを使用してそのようなアッセイ法を実施することにより、減らされうる。たとえば一度に四つ、六つまたはより多くの抗体のより大きな補正フリーのパネルが実施されうる。たとえば、AIDS進行モニタリングにおけるT細胞のCD4陽性列挙に使用される抗CD45、CD4およびCD8抗体のパネルにおいては、T細胞を識別することを支援するために、たとえばCD3が追加または代用されうる。アッセイ法は、各抗体が異なる蛍光色素(たとえばFITC、PE、PE-Cy5およびAPC)を有する状態で、青(たとえば488nm)および赤(たとえば635nm)レーザサイトメータを使用して実施されうる。たとえば(1)CD3、CD14、HLADrおよびCD45、(2)CD7、CD13、CD2およびCD19、(3)CD5、ラムダ、CD19およびカッパ、(4)CD20、CD11c、CD22およびCD25、(5)CD5、CD19、CD10およびCD34ならびに(6)CD15、CD56、CD19およびCD34を含む、白血病/リンパ腫分類のための多くの4抗体組み合わせアッセイ法が使用されうる。さらには、全体として参照により本明細書に組み入れられる、Sutherland et al., "Enumeration of CD34+ Hematopoietic Stem and Progenitor Cells," Current Protocols in Cytometry, 6.4.1-6.4.23 (2003)に記載されているプロトコルが、本明細書に記載される発明の例示的態様の一つまたは複数とともに有利に使用されうる。
【0047】
また、表1に示す例を含む、白血病/リンパ腫分類のための多くの6抗体組み合わせアッセイ法が使用されうる(左の列がアッセイ番号を示し、上の列が各抗体に使用された蛍光色素を示す。各抗体の特異性が、それぞれの蛍光色素標識の下、左から右に列記されている)。蛍光色素に代えて長寿命試薬および狭帯域試薬を用いることにより、最小補正抗体パネルが可能である。補正制御を要しない補正最小化結果を達成し得る標識のさらにいくつかの例が表2に示されている。アッセイ法は、たとえば、405nmおよび635nmパルスダイオードレーザを使用しうる。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
血液における免疫表現型検査は、急速赤血球溶解試薬を中央洗浄ストリームに配合して、フローセパレータ中、インラインで赤血球を溶解させることによる赤血球溶解によって実施されうる。溶解ののち、非溶解白血球は、後続のセパレータ中の急冷バッファに速やかに移されうる。これは、白血球の損傷または損失を最小限にしながら数秒で実施される場合もあるし、また、溶解プロセスから生じる低下した音響コントラストを有する溶解赤血球「ゴースト」を含む細胞片を排除するために使用される場合もある。免疫表現型検査のための白血球の染色は、溶解の前に少量の血液の中で実施される場合もあるし、または溶解後に実施される場合もある(正しい免疫反応を保証するために試料量および白血球の数を注意深く制御しながら)。本明細書に記載されるような音響洗浄システムは、標的細胞または粒子を、低濃度の標的細胞を有する試料の場合に有用である正しい免疫染色のための小さな量にまで濃縮するために使用されうる。たとえば、そのようなシステムは、AIDS進行モニタリングのためのCD4陽性T細胞計数におけるアッセイ法のコストを下げるために使用されうる。
【0051】
また、血液における免疫表現型検査は、散乱信号ではなく蛍光学信号に対して検出を誘発させることにより、赤血球溶解なしで実施される場合もある。その場合、全血が適切な抗体で染色され、溶解なしで、場合によっては実質的に希釈なしでサイトメータに送られうる。血液細胞を非常にわずかな隙間しかない状態で中心コアの中に集中させることができるため、本発明の態様のアコースティックサイトメータは、毎分約100〜500μlの全血に対してこのタイプのアッセイ法を実施しうる。正常な患者における白血球は通常、全血中の細胞総数の1%未満しか構成しないため、高密度血液コア中の白血球の一致は希である。流体力学的集束のみの使用がそのような固いコアを生み出すとは思われず、それが、所与の断面積を通過する細胞の数を制限する。また、血球を遊離抗体から清浄なバッファの中に移す音響洗浄ステップが実施される場合もあり、このステップは、蛍光バックグラウンドを減らし、感度を高めうる。
【0052】
図26A〜26Fは、本発明の例示的態様のアコースティックサイトメータを使用して達成され得る通過時間の増大を示すために、様々なレーザおよび感度設定を使用して、非アコースティックフローサイトメータおよびアコースティックフォーカシングサイトメータ上で試験された蛍光微小球に関する比較出力プロットを示す。蛍光微小球(Spherotech, Libertyville, ILから商品名Rainbow RCP-30-5Aとして市販。3.2μm)を、流体力学的集束のみを使用する非アコースティックフローサイトメータ(図26Cおよび26F)および上流で音響的集束を使用したのち下流で流体力学的集束を使用するアコースティックフォーカシングサイトメータ(図26A、26B、26Dおよび26E)上、488nm青色レーザ(上の行、図26A〜26C)および405nm紫色レーザ(下の行、図26D〜26F)を使用して試験した。非アコースティックフローサイトメータは、その最高感度設定において、15μl/minの試料入力速度で作動させた(右の列、図26Cおよび26F)。アコースティックフォーカシングサイトメータは、その標準感度設定において、100μl/minの試料入力速度で作動させ(中間列、図26Bおよび6E)、また、その最高感度設定において、100μl/minの試料入力速度で、粒子がレーザによって照明される間に費やす時間を約4倍に増した状態で作動させた(左列、図26Aおよび26D)。二つの全流量(2.4ml/minおよび0.6ml/min)を考慮した。シースおよび試料入力速度を互いに対して調節して、2.4ml/minの全速度の場合には25μl/min〜1000μl/min、および0.6ml/minの全速度の場合には25μl/min〜200μl/minの試料入力速度を可能にした。図26A〜26Fは、特に図26Aおよび26Dにおける8ピークビーズセット中のピーク間のより大きくより明確な分離によって見てとれるように、8ピーク蛍光レインボー微小球(異なる蛍光強さレベルの八つの集団からなる)がアコースティックフォーカシングサイトメータによってより明確に解像されることを示し、これは、粒子がレーザによって照明される間に費やす時間の4倍増(たとえば約10μsから約40μsまで)から恩恵を受けている。これは、流れを減速させ、通過時間を増すことから生じる蛍光集団のより良好な解像を実証する。
【0053】
図27Aおよび27Bは、本発明の例示的態様のアコースティックサイトメトリーに関連する、細胞周期分析における通過時間の約8倍増の効果を示すヒストグラムプロットである。図27Aは、紫色染剤(Life Technologies Corp., Carlsbad, CAから商品名FxCycle(商標)として市販)で標識されたST486Bリンパ球を、紫色レーザおよび低い試料速度設定(通過時間は約5μsであった)を使用する非アコースティック(流体力学的のみ)フローサイトメータに通したときに得られたデータを示す。図27Bは、上流での音響的集束ののち下流で流体力学的集束を用いるアコースティックフォーカシングサイトメータを使用して、紫色レーザおよび25μl/minの試料入力速度(通過時間は約40μsであった)で得られた同じタイプのデータを示す。いずれの場合にも全部で約15,000の事象が取得された。Verity Software Houseから商品名ModFit LT v. 3.2.1の下で市販されている曲線当てはめソフトウェアを使用して実施されたデータ分析は、根元的な細胞周期相分布ならびにソフトウェア決定G0G1ピークおよびG2/G1比の変動係数(%CV)を出した。%CVは、G0G1ピークに入る細胞の精度の計測値である(%CVが低ければ低いほど、計測値はより正確である)。図27Aは、音響的集束を使用した場合の、より明確な集団およびより低い%CV(2.81%対5.84%)を示す。
【0054】
他の類似した細胞周期分析実験が、流体力学的集束のみを使用する場合、試料速度が増すとともにデータの質および%CVが低下しうるが、音響的集束を使用する場合、試料速度が増してもデータの質および%CVがほとんどまたはまったく変化を受けない場合があることを示した。具体的には、1×106個/mlの細胞濃度で流体力学的集束のみの場合、12μl/min、35μl/minおよび60μl/minの試料速度の場合の%CV値はそれぞれ4.83%、6.12%および7.76%であり、S期データは、12μl/minの低い速度の場合の37.83%から60μl/minの高い速度の場合の26.17%まで変化した。しかし、すでに音響的に集束した試料に対して下流で流体力学的集束を加えた場合、25μl/min、100μl/min、200μl/min、500μl/minおよび1000μl/minの試料速度の場合の%CV値はそれぞれ3.22%、3.16%、3.17%、4.16%および4.21%であり、S期データは、25μl/minの低い速度の場合の40.29%から1000μl/minの高い速度の場合の38.55%までしか変化しなかった。したがって、非音響集束システムの試料速度をはるかに超える試料速度でさえ、音響システムは性能をかなり改善しうる。
【0055】
本発明の例示的態様にしたがって、アコースティックサイトメータは、そのようなサイトメータが一桁近く高い試料入力速度を与え得るため、統計的に有意な数の希事象を大幅に短い期間中に取得することを可能にしうる。たとえば、非アコースティックフローサイトメータは通常、10〜150μl/minの試料入力速度を有し、それが、2ml試料を細胞5×105個/mlの濃度で試験するために13分超の推定試験時間を生じさせうるのに対し、アコースティックフォーカシングサイトメータは、25〜1000μl/minの試料入力速度を有し得て、それが、2ml試料を細胞5×105個/mlの濃度で試験するために約2分の推定試験時間を生じさせうる。表3は、試料濃度と試料流量との様々な組み合わせの場合に達成し得る事象の数を示す。当然、濃度を高めることによって事象の数を増すことは可能である。しかし、音響的集束によって可能になる高い体積試料入力速度を使用することにより、同じ数をより低い濃度で達成しうる。すなわち、高い試料入力速度は、非音響システムに関連する試料濃度を増す必要なく、高いデータ速度を可能にする。
【0056】
【表3】

【0057】
アコースティックフォーカシングサイトメータによって提供される広い範囲の試料入力速度は、低いシースと組み合わせても、またはシースなしのいずれでも、または望むならば高い体積シースと組み合わせても、高体積試料スループットを可能にする。低濃度試料の場合、高い体積スループットとは、はるかに速い粒子分析速度と言い換えられ、それは他方で、特に、統計的に有意な結果を達成するために処理されなければならない量がミリリットルまたはそれ以上のオーダである希事象分析の場合、より短いアッセイ時間と言い換えられる。この体積スループットはまた、適度に高濃度の試料の場合、超高速粒子速度と言い換えることもできる。たとえば、アコースティックサイトメータが細胞600万個/mlの試料濃度を使用し、試料入力速度が1000μl/minであるならば、細胞は100,000個/sの速度で機器レーザに押し通されるであろう。2.4ml/minの全流量の場合、この濃度は、非常に高い率の一致事象を生じさせるが、しかし機器は、はるかに速い全流量、たとえば24ml/minを使用することもできる。このような性能は、インテロゲーションレーザへの通過時間が通常、約1〜6μsでしかない従来のサイトメータよりもかなり良好である。単位時間あたり0.1の平均事象率の場合、10μsが粒子約10,000個/sの分析速度に相当する。許容しうる一致および粒子1000個/sの事象率の場合、本発明の音響システムは、光子統計を大幅に改善し、より長く作用するフォトプローブの応用分野を開拓する範囲である100μsの通過時間を受け入れうる。アコースティックフォーカシングサイトメータにおける粒子分析の速度は、粒子70,000個/sに達する場合があり、集束されるストリームの速度を定期的に調節する場合、細胞100,000個/minを超えうる。
【0058】
直径300μmの音響集束毛管、インテロゲーションレーザ中の10μsの通過時間および粒子10,000個/sの粒子速度の場合、10の時間ウィンドウ中で1未満の平均事象率を達成するためには約2.8×105個/mlまたはそれ以下の濃度が求められる。ポアソン統計学に従うと、これは、時間ウィンドウが一よりも多い事象を含む確率約1%に相当し、事象の約10%が一致であることを意味する。この粒子10,000個/sの速度の例に求められる体積流量は約2.1ml/minである。そのような直径300μmの毛管の場合、約10%の一致事象を有する最大スループットのためには約2.8×105個/mlの細胞濃度が最適である。より大きな粒子またはより大きなレーザビームの場合、またはより少ない一致事象が望まれるならば、濃度を下げることによって一致事象を減らす場合がある。2.1ml/minの流量でアコースティックサイトメータにおいて試験される試料は、10μl/minの試料速度で作動する非アコースティックサイトメータの場合よりも多くの時間が試料を処理するために必要になる前に、210倍まで希釈されうる。したがって、簡単な最初の希釈により、アコースティックサイトメータは、約6×107個/mlまでの細胞濃度の場合、非アコースティックサイトメータよりも高いスループットで作動することができる。6×106個/mlの細胞濃度の試料は、従来のやり方で細胞1000個/sの最大速度で処理することができる。約10μl/minの入力速度は一般に約20倍に希釈されて、アコースティックサイトメータに最適な濃度に到達する。アコースティックフォーカシングサイトメータを使用すると、2ml/minで作動することにより、粒子は、非アコースティックサイトメータの速度のほぼ10倍の速度で分析されうる。いくつかの態様において、粒子は、非アコースティックサイトメータの速度の少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍または少なくとも15倍の速度で分析されうる。ユーザが、より長いレーザ通過時間の利点を活かすことを好むならば、試料を0.2ml/minまで減速させることもでき、その場合、非アコースティックサイトメータに類似した粒子分析速度を有するであろうが、しかしより長く作用するフォトプローブのための応用分野を開拓するより長い通過時間が得られる。
【0059】
過剰な抗体で染色された試料を希釈することは、溶液中の遊離抗体の濃度を下げ、したがって、バックグラウンド信号を減らし、感度を高める。したがって、希釈係数が十分に高いならば、相対的に高い分析速度を維持しながらも、遠心分離洗浄なしで高感度アッセイを実施することが可能になる。または、染色反応をより速く駆動するために染色抗体の量を増すことができ、そして、より速やかに希釈して非特異的結合を減らすことができる。これが、はるかに速い全体的な作業の流れを生じさせることができる。通常ならば15分のインキュベーションおよび15分の遠心分離を要する試料を潜在的にわずか2分で処理することができる。たとえば、2μl試料が、15分のインキュベーションの場合に使用される濃度の10倍の全抗体染色濃度で染色されるならば、染色は、わずか2分の非常に短い期間で実施することもでき、その後、1mlおよび通常の染色濃度の50倍の低さの抗体濃度まで500倍に希釈される。1ml試料は、1000μl/minの試料入力速度でわずか1分で分析することができる。
【0060】
図28Aは、本発明の例示的態様にしたがって音響的に集中してアコースティックサイトメータ中を流れるロープ様構造を形成する細胞を有する血液の写真である。図28Bは、アコースティックサイトメータ中で音響的に縦一列に集中した細胞を有する、より希釈された血液の写真である。図28Bの細胞は、多くの一致散乱事象を生じさせるのに十分に集中しているが、しかし同様な試料の紫色励起を使用する散乱高さデータはなおも、異なる白血球集団を互いに分解することができる。ロープ様構造が密な線になるように細胞濃度が下げられるならば、散乱計測を使用して、散乱を使用し続けて白血球集団を赤血球から区別することが可能である。所望の集団のみを染色する蛍光マーカ(たとえば蛍光性CD45抗体または有核細胞を指示するDNA色素)が使用されるならば、この線の中の細胞の間隔は、一致事象に通常に許容可能であるものよりもはるかに近くなりうる。
【0061】
図29は、紫色励起Pacific Blue(商標)蛍光体の励起および放出スペクトルを示すスペクトルグラフである。405nm紫色レーザ励起および自己蛍光補正のためにPacific Blue(商標)蛍光体と併せて用いることができる狭帯域通過フィルタ(415/10)を示す。自己蛍光は、自己蛍光のピーク放出(430nm近くのピーク放出)の近くの色の狭い帯域中に、ただし相対的に低いPacific Blue(商標)蛍光体(455nm近くのピーク放出)の領域中に収集されうる。
【0062】
図30は、本発明の態様にしたがって、生きたCD45陽性細胞の部分集団としての0.07%CD34陽性細胞の希事象集団の検出を示す。約800個のCD34陽性KG-1a細胞を、正常なドナーから収集した全血100μl中にスパイクした。試料をCD45 Pacific Blue(商標)コンジュゲートおよびCD34フィコエリトリンコンジュゲートで標識した。インキュベーションののち、赤血球溶解のためにHigh Yield Lyse溶液を加え、標識のためにSYTOX(登録商標)AADvanced(商標)Dead Cell Stainを加えた。アコースティックフォーカシングサイトメータ上、上流での音響的集束、次いで下流での流体力学的集束により、ハイスループット速度設定(200μl/min)で細胞を分析し、全部で約200,000の事象を収集した。SYTOX(登録商標)AADvanced(商標)上で陰性細胞をゲートしたのち、CD45対CD34事象を見ることにより、死細胞を分析から排除した。
【0063】
図31Aおよび31Bは、音響集束システムおよび流体力学のみに基づく集束システムそれぞれにおける溶解全血に関する順方向散乱(FSC)対側方散乱(SSC)のプロットを示す。図31Aは、音響集束システム中、100μl/minの試料入力速度での、405nm励起における溶解全血に関するFSC対SSCのプロットを示す。図31Bは、流体力学的集束システム中、15μl/minの試料入力速度での、488nm励起における同じプロットを示す。FSCおよびSSCはいずれも、主レーザラインとして405nmレーザ(紫色)を使用して収集した。図31Aは、図31Bに対して集団間のより大きな分離および死細胞と合致すると思われるさらなる細胞集団の可能な創製を示す。
【0064】
図32Aおよび32Bは、図31Aおよび31Bそれぞれに関して上述した同じシステムおよびパラメータを使用して得られたジャーカット細胞に関するFSC対SSCのプロットを示す。ここでもまた、図32Aは、図32Bに対して集団間のより大きな分離を示して、音響集束システムの向上した性能を示している。
【0065】
図33は、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメトリーシステムの略図を示す。システム3000は、毛管3006に送り込まれる、一つまたは複数の希粒子を含みうる粒子を含む試料3004を含む試料管3002を有する。毛管3006に隣接して配設された圧電素子3008が、プロセッサ3022の制御下、制御回路3009によって動かされ、音響エネルギーを印加して、粒子をそれらの性質、たとえばサイズおよび密度に基づいて音響的に集束および/または分別しうる。そして、音響的に集束した粒子はインテロゲーションゾーン3010に入り、そこでインテロゲーション光源3012からのビーム(たとえば、高度に集束したレーザビームまたは二つまたはそれ以上のレーザビーム)を通過し、粒子のすべてまたはいくつかは廃棄サイト3014において収集されうる。インテロゲーション光源3012と粒子との相互作用から生じる散乱光は、集光レンズおよび集光ブロック3016によって収集され、データ取得モジュール3020およびプロセッサ3022と相互接続した光電子増倍管3018のアレイによって分析されうる。
【0066】
図34は、粒子に対する圧電素子の効果を示すための、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメータ中の音響集束毛管の略図を示す。試料3004中の粒子3001aおよび3001bは、バックグラウンドまたはキャリヤ流体3003の中で、音響集束毛管3006中を移動する。圧電セラミック素子であり得る圧電素子3008が、粒子3001aを内側同軸ストリーム3030へと音響的に集束させ、かつ粒子3001bを外側同軸ストリーム3032へと音響的に集束させる。
【0067】
図35は、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメータの集光ブロックの一部分を示す。集光ブロック3016は、第一のレーザ3040(たとえば405nm紫色レーザ)および第二のレーザ3042(たとえば488nm青色レーザ)を有するインテロゲーションゾーン3010を含む。レーザ3040および3042によって放出されたビームはビーム成形光学部品3044の構造に入り、この構造が、粒子3001a(図34)の音響的に集束した同軸ストリーム上にビームを集束させる。粒子3001aがレーザビームを通過するとき、散乱光が集光レンズ3046によって収集され、集光ブロック3048(図36)に入ったのち、検出器アレイ3018(図33)に通過する。405nmの波長が、長い通過時間と組み合わされた場合、パルス状であるかパルス状でないかにかかわらず、非常に有用であり得、そして多色アッセイ法に有用な量子ドットの励起に特に有用である。たとえば640nmを含む他の波長が使用されうる。同じ粒子が二つの異なるレーザによって分析されうる。より暗い粒子を分析するために強い方のレーザが使用され、より明るい粒子を分析するために別の弱い方のレーザが使用されうる。増大した通過時間の場合には、一つの弱めのレーザが信号積分とともに使用され得、そのようなレーザはまた、強い方のパルスおよび弱い方のパルスを異なるタイミングで印加することにより、パルス化システムにおいて使用されうる。
【0068】
二つのレーザの使用は、信号およびバックグラウンドの両方の変動を減らすことにより、自己蛍光およびバックグラウンド変動の心配を改善し、SN(信号対雑音)比を高めるのに有用である。たとえば、第一のレーザは自己蛍光を励起レーザの波長よりも高く励起し得、その波長よりも上で検出された信号は、主検出レーザに関して予測される自己蛍光寄与を推定するために使用されうる。これは、紫色レーザおよび青色レーザを有するシステムまたは紫色レーザもしくは、自己蛍光をモニタするための別個のカラーバンドがあるならば、一つより多い色を励起する紫色レーザのみを有するシステムによって実施されうる。青色蛍光流路のみがモニタされる場合があり、その場合、他の流路における予想される寄与が減じられる。また、赤色レーザが使用される場合もある。長寿命プローブを用いるパルス化または変調システムの場合、長寿命プローブの初期出力と組み合わさった自己蛍光の短命の寄与が計測されうる。また、自己蛍光が減衰した後の長寿命プローブの蛍光が計測され、逆算されて、全流路における自己蛍光寄与が決定されうる。
【0069】
本発明の例示的態様にしたがって、Qdot(登録商標)525、585、655および800ならびに一つの紫色ダイオードレーザを使用して、自己蛍光補正のみの4色アッセイ法が実施されうる。第二のレーザ、たとえば650nmまたは780nmレーザダイオードが加えられるならば、実質的に補正フリーである他の組み合わせをより多くの色とともに加えることができる。たとえば、Qdot(登録商標)525、565、605、705、および780nmで非常に効率的に励起されるAlexa Fluor(登録商標)750が加えられうる。473nm DPSS青色レーザ、488nm波長レーザおよび緑色DPSSモジュールを含む他のレーザまたはダイオードのように、他の色素組み合わせが使用されうる。たとえば、休止期間が1μsであり、四つの異なるレーザが10nsパルスで使用されるならば、各レーザが1マイクロ秒ごとに起動され、異なる波長のパルスが約250nsごとに標的を打つ。ダイナミックレンジを延ばすために、各レーザのために第二の低パワーパルスが使用されうる(もっとも明るい信号が低パワーパルスから定量され、もっとも暗い信号が高パワーパルスから定量されうる)。405nm、532nm、650nmおよび780nmのレーザを使用すると、405nm自己蛍光およびPacific Orange(商標)、532nm-PEまたはCy3、635nm-Alexa Fluor(登録商標)647および780nm-Alexa Fluor(登録商標)790を使用して、四つの色および自己蛍光が実質的に補正なしでモニタされうるが、405nmでのPEのいくらかの励起および635nmでのAlexa Fluor(登録商標)790のいくらかの励起があるため、わずかな補正が必要になるおそれがある。
【0070】
図36は、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメータ中の光学データ収集ブロックの略図を示す。レーザ3040および3042からの散乱光3050が集光レンズ3046によって収集され、矢印Aの方向に集光ブロック3048に入り、ビーム3050を一次ビーム3054と二次ビーム3056とに分ける一対の空間フィルタリングピンホール3052(一方はミラー(図示せず)によって裏当てされている)まで進む。一次ビーム3054はコリメータレンズ3060に入り、ビームスプリッタBS1、BS2およびBS3ならびに対応する集束レンズを通過して、検出器アレイ3018(図33)中の蛍光流路FL4、FL5およびFL6ならびに側方散乱流路3062に入る。二次ビーム3056はコリメータレンズ3070に入り、ミラー3072ならびにビームスプリッタBS5およびBS4ならびに対応する集束レンズを通過して、検出器アレイ3018中の蛍光流路FL1、FL2およびFL3に入る。
【0071】
図37は、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメータ中の流体システムの略図を示す。システム3100において、ポンプセクション3702中の試料ポンプ3102が試料流体3004(図34)を試料管3002から試料セクション3705中のマニホルド3104に送り込み、また、試料ライン中の空気の存在を検出するために使用されるバブルセンサ3008の通過ののち、ダイアフラムポンプ3106に送り込む。その結果、所定の体積試料抜き取りを実施する必要がない場合があり、試料抜き取り段階中、空気の検出が試料の終了を合図するとき、試料は、試料終了状態で抜き取られうる。バブルセンサ3008は、超音波、インピーダンス、容量、光学または流体試料に対して空気の存在を決定することができる他のタイプのセンサモダリティーを含む様々なモダリティーに基づきうる。そして、マニホルド3104中の試料流体は、音響集束毛管3006への導入に備えて、下マニホルドセクション3703中の下マニホルド3110に送り込まれうる。シース流体ポンプ3124が、貯蔵セクション3701中のシース貯留部3120中に維持されているシース流体3205(図38)をシースバッファタンク3122の中に送り込み、さらに、毛管3006において上マニホルドセクション3704中の上マニホルド3130の中に送り込む。水および洗浄流体が貯水部3140および洗浄流体貯留部中3150に維持され、必要に応じてシステムに送り込まれる場合があり、廃棄物は廃棄物貯留部3160に集められる。
【0072】
図38は、本発明の例示的態様にしたがって、上流で音響的集束を実施したのち下流で流体力学的集束を実施するシングルトランスデューサ型音響集束毛管の略図を示す。一つまたは複数の希事象粒子を含みうる粒子3204を含む試料流体が毛管3206の中を通って流れる。そして、一つのトランスデューサ3208が、第一の領域中、毛管3206の実質的に中心の軸に沿って粒子3204を音響的に集束させうる(3201として)。これは、任意の流体力学的集束の前に実施されうる。そして、シース流体3205が、音響的に集束した試料流体および粒子の周囲を流れ、第一の領域よりも下流にある第二の領域中で流体および粒子3201をさらに流体力学的に集束させるために使用されうる。上流での音響的集束のために一つより多いトランスデューサを使用することが可能であろうが、一つのトランスデューサが好ましい。また、いずれも粒子3201を音響的かつ流体力学的に集束させる第一の上流側音響集束段階およびその後の第二の下流側デュアル集束段階を使用することが可能であろう。しかし、好ましくは、粒子は、まず音響的に集束され、次いで、音響的集束の場所よりも下流の第二の場所で、さらなる音響的集束なしで流体力学的に集束される。理由は、この組み合わせが特に印象的な希事象検出能力を提供することがわかったからである。
【0073】
流体力学的集束の代わりに音響的集束を単独で使用してもかなりの恩典が得られうるが、音響的集束および流体力学的集束を併用する特定の構成が特に有用であることがわかった。たとえば、複合的音響/流体力学的集束は、外力に対して粒子ストリームの絶対的場所をさらに安定化させ、集束した粒子ストリームの焦点をさらに絞り(試料が希釈されている場合または凝集を防ぐために「粘着性」の細胞を低めの濃度に維持しなければならない場合に特に有用でありうる)、および試料が壁と接触しないこと(用途によっては重要でありうる)を保証するのに役立ちうる。最後に、予想外にも、音響的集束を上流で一度使用したのち、同じ流路に沿って流体力学的集束を下流で使用すると、上記例示的態様のいくつかにおいて記載されているように、相対的に短い期間で特定の希事象の検出を可能にする優れた性質が得られるということがわかった。
【0074】
本発明の例示的態様にしたがって、試料ポンプ3102およびシース流体ポンプ3124は、インテロゲーションゾーンにおいて実質的に一定の全粒子速度を維持するために毛管3006中のシース流体:試料流体の体積比を調節するためにプロセッサによって制御されうる。たとえば、シース流体:試料流体の体積比は約1:10〜約100:1に維持されうる。堅く集束した粒子ストリームを維持しながら試料入力速度を調節する能力は、インテロゲーションレーザを通過する速度(ひいては、その中で費やされる時間)の調節を可能にする。より長いインテロゲーション時間は、時間とともにより多くの光子の収集を可能にすることにより、より高感度の計測を可能にする。粒子分析システムが試料流量だけを制御し得る場合、試料入力速度の増減は必然的に通過時間を増減させるため、調節可能な流量は、所与の試料濃度に関して粒子分析速度を増減させる能力を制限する。全流量が一定に維持されるように試料入力に応答して調節されるシース流を含めることにより、全流体速度を変化させることなく広い範囲の試料入力速度を許すことが可能である。そして、全流体速度を変化させることにより、より長いインテロゲーション時間の利点を活かすことが可能である。同軸シース流とともに粒子を加速させないことにより、アコースティックフローサイトメータのレーザインテロゲーション領域中の粒子通過時間は、従来の流体力学的集束システムよりも約20〜100倍長くなりうる。好ましくは、粒子通過時間は、少なくとも20μs、少なくとも25μs、少なくとも30μs、少なくとも35μs、少なくとも40μs、少なくとも60μs、少なくとも80μsまたは少なくとも100μsでありうる。これは、同様な粒子分析速度を維持しながらも、より高感度の光学的計測を可能にしうる。
【0075】
図39は、本発明の例示的態様のアコースティックフローサイトメータ中の順方向散乱アパーチャを調節し得るブロッカーバー装置の略図を示す。ブロッカーバー3300は、順方向散乱光が集光レンズ3048に入る前に順方向散乱光のアパーチャを変化させるために使用されうる。レーザ3040および3042によって放出されたビーム3041が、音響的に集束した粒子のストリーム(図の紙面から外に流れる)と相互作用する。ブロッカーバー3300は、ペグ3302の回転が散乱レーザビーム3050の伝搬に対するその場所を変化させるように円柱形ペグ3302の下面に軸外しに取り付けられうる。これは、ひとたびレーザが粒子ストリームと整列したならば、オペレータがブロッカーバー3300をレーザ3040および3042と整列させることを可能にする。順方向散乱3050のためのアパーチャは、ブロッカーバー3300の形状を変化させることによって変えることができ、それは、バーの上にカラーを加えることによって実施されうる。ペグ3302は、約15°〜約23°または約17°〜約21°または約19°の順方向散乱3050のアパーチャαを提供するようにブロッカーバー3300を配置するために回されうる。
【0076】
図40A〜40Fは、本発明の例示的態様にしたがって、生きたCD45陽性細胞の部分集団としての0.050%および0.045% CD34陽性細胞の希事象集団の検出を示す。ここでは、末梢血を染色し、アコースティックフォーカシングサイトメータを使用して、上流での音響的集束ののち、下流での流体力学的集束により、500μl/min(図40A〜40C)および1000μl/min(図40D〜40F)の流量で、500,000個の合計細胞数に設定されたストップゲートで試験した。図40Aおよび40Dは、SYTOX(登録商標)AADvanced(商標)Dead Cell Stainで染色した全細胞を示し、生きた細胞ゲートを示す。図40Bおよび40Eは、生きた細胞においてゲートされた細胞を示す。図40Cおよび40Fは、生きたCD45陽性細胞においてゲートされた細胞を示す。500μl/minの流量において、取得時間は約6分26秒であり、白血球の0.050%のCD34陽性細胞が検出され、CD34陽性細胞の直接計測値は0.07個/μlであった。1000μl/minの流量において、取得時間は約4分28秒であり、白血球の0.045%のCD34陽性細胞が検出され、CD34陽性細胞の直接計測値は0.05個/μlであった。
【0077】
図41A〜41Dは、非アコースティックフローサイトメータおよびアコースティックフォーカシングサイトメータ上で実施された細胞検出に関する比較出力プロットを示す。正常なドナーからの末梢血を、CD34陽性細胞およびCountBright(商標)Absolute Counting Beads50μlでスパイクし、それを使用してCD34計数を計算した。図41Aおよび41Bは、流体力学的集束のみのフローサイトメータにおいて試験された生きた細胞(図41A)およびCD45陽性細胞(図41B)においてゲートされたデータを示す。図41Cおよび41Dは、本発明の例示的態様にしたがって、アコースティックフォーカシングサイトメータ上、上流での音響的集束ののち、下流での流体力学的集束によって試験された生きた細胞(図41C)およびCD45陽性細胞(図41D)においてゲートされたデータを示す。流体力学的集束のみのフローサイトメータを使用した場合、取得時間は13分49秒であり、ビーズを使用して導出されたCD34陽性細胞計数は8.01個/μlであり、直接計測値は出なかった。アコースティックフォーカシングフローサイトメータを使用した場合、取得時間は1分17秒であり、ビーズを使用して導出されたCD34陽性細胞計数は7.91個/μlであり、CD34陽性細胞の直接計測値は8個/μlであった。
【0078】
図42は、本発明の例示的態様のアコースティックフォーカシングサイトメータの構成部品の略図を示す。例示的サイトメータは、シース流体4208、シース流体フィルタ4207およびシース流体貯留部4206を含む、シース流体のための第一の流体経路4025ならびに試料流体4213、バブルセンサ4212、試料ループ4211および毛管アセンブリ4210を含む、試料流体のための第二の流体経路4209を含む。シースおよび試料流体はフローセル4204の中を流れ、第一および第二のレーザ4202および4203が、試料流体中にあり得る流体を調査しうる。最後に、いくらかのシースおよび試料流体が廃棄物容器4201に送られうる。
【0079】
本発明の態様は、希細胞事象をより速やかに分析し、感度の損失なしでより多くの細胞をより少ない時間で試験し、細胞中の抗原の暗い発現を検出し、および曖昧さを少なくして細胞集団をより明確に解像しうる。本発明の態様は、試料濃度、流量、検出可能な光子の数、実験の長さおよび試料スループットに対して強力な制御を提供しうる。アコースティックフォーカシングサイトメトリーは、多くの現在の細胞アッセイが実施される方法を造り直し、および新たな細胞アッセイを創製する機会を提供しうる。たとえば2MHzを超える超音波を使用して、高速または高体積シース流体なしで細胞を流路の中心軸に沿って一つの集束した線へと配置し、体積にかかわらず細胞を集中させうる。音響的集束は、バックグラウンド媒体に対する細胞または粒子の間の物理的差異を利用して、細胞が堅く集束した状態にとどまることを可能にしうる。音響的集束は、音エネルギーによって細胞を流体の中心に集中させ、それが、分析される試料濃度においてかなりの融通を利かせうる。より重要には、音響的集束は、毛管中の細胞の集束を乱すことなく細胞流量が増減され得るように細胞の整列を粒子流量から切り離しうる。この調節可能な流量の精度は、研究者が、分析される細胞の数および細胞が集束レーザビーム中で費やす時間の量を決定することに役立ちうる。アコースティックフローサイトメトリーのさらなる特徴および利点は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWard et al., Fundamentals of Acoustic Cytometry, Current Protocols in Cytometry, Supplement 49, 1.11.1-1.22.12 (2009)に見いだされうる。
【0080】
流体力学的集束のみを使用するシステムにおいては、高速で流れるシース流体によって試料コアが「はさみつけられ」、シース流体の量は一般に試料流の100〜1000倍の大きさである。そのような大きな比が低い試料入力速度を招き、それが一般に解像を妨げる。しかし、本発明の例示的態様にしたがって、事前に音響的に集束させた試料が音響的集束よりも下流でさらに流体力学的に集束され、シース流体:試料流体の体積比が有意に下げられうる。たとえば、体積比は、たとえば約50対1、40対1、30対1、20対1、10対1、9対1、8対1、7対1、6対1、5対1、4対1、3対1または2対1まで下げられうる。また、体積比は、約1対1、1対2、1対3、1対4、1対5、1対6、1対7、1対8、1対9および1対10でありうる。これらの数字は例示的であり、これらの間の他の分数比が使用されうる。好ましくは、シース流体:試料流体の体積比は約10対1〜1対10または約5対1〜1対5でありうる。システムは、試料流体およびシース流体の合計入力速度を一定に維持して、一つまたは複数のインテロゲーションレーザを通過する粒子のインテロゲーション時間が試料流体入力速度にかかわらず一定のままであることを保証しながらも、粒子を含む流体試料を毛管中の試料流路に約200μl/min〜約1000μl/minの試料流体入力速度で流し、シース流体をシース流路に約2200μl/min〜約1400μl/minのシース流体入力速度で流しうる。システムはまた、試料流体を約25μl/min〜約1000μl/minの試料流量で流し、シース流体を約2375μl/min〜約1400μl/minのシース流量で流しうる。システムはまた、シース流体:試料流体の体積比を約11対1〜約1.4対1の比に調節しながら、試料流体を少なくとも200μl/minの試料流量で流し、シース流体を多くとも2200μl/minのシース流体流量で流しうる。システムはまた、シース流体:試料流体の体積比を約3.8対1〜約1.4対1の比に調節しながら、試料流体を少なくとも500μl/minの試料流量で流し、シース流体を多くとも1900μl/minのシース流体流量で流しうる。
【0081】
本発明の態様にしたがって、(1)試料流路を含む毛管、(2)試料流路内で音響放射圧を誘導する音響信号を生成して、試料流路中の流体試料ストリーム内を流れる粒子を音響的に集中させるように構成されている、毛管に結合された少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、および(3)音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成するように構成されている紫色レーザおよび青色レーザを含むインテロゲーション光源を含む、フローサイトメータが提供される。
【0082】
そのようなフローサイトメータにおいて、少なくとも一つの振動生成トランスデューサは圧電素子を含み、紫色レーザは約405ナノメートルの波長を有し、青色レーザは約488ナノメートルの波長を有しうる。さらに、毛管は、音響放射圧による粒子の音響的集中よりも下流で流体試料ストリームの周囲にシース流体を流して、音響的に集中させた粒子を流体試料ストリーム内で流体力学的に集中させるように構成されたシース流路をさらに含みうる。さらに、そのようなフローサイトメータは、粒子を含む流体試料を毛管中の試料流路の中に毎分約200マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流体入力速度で流すように構成された第一のポンプおよびシース流体を毛管中のシース流路の中に毎分約2200マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流体入力速度で流すように構成された第二のポンプを含み、第一および第二のポンプは、毛管中を流れる試料流体およびシース流体の合計入力速度を一定に維持して、紫色および青色レーザを通過する音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかのインテロゲーション時間が試料流体入力速度にかかわらず一定のままであることを保証するように構成されうる。
【0083】
このようなフローサイトメータはまた、インテロゲーション光源からの出力信号を収集するための光学モジュール、光学モジュールの出力信号を検出するための検出器モジュール、および検出器モジュールの出力を処理するためのデータ取得モジュールを含み、さらに、少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、検出器モジュールおよびデータ取得モジュールの少なくとも一つを制御するように構成されたプロセッサを含みうる。さらに、このようなフローサイトメータは、毛管と光学モジュールとの間にブロッカーバーを含み、このブロッカーバーは、ブロッカーバーを配置し、インテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャを調節するために回転可能である実質的に円柱形のペグに取り付けられ、インテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャは約17°〜約21°でありうる。さらに、光学モジュールは、インテロゲーション光源からの出力信号を収集するための集光レンズを含み、集光レンズの出力は、空間フィルタリングピンホール装置によって二つのビームに分割され、第一のビームは紫色レーザから出力され、第二のビームは青色レーザから出力されうる。そして、検出器モジュールは、紫色レーザによって出力される第一のビームから順方向散乱信号および側方散乱信号を検出するための検出器を含みうる。
【0084】
本発明のもう一つの態様にしたがって、(1)粒子を含む試料流体をその中に流れさせるように構成された毛管、(2)試料流体中の粒子の少なくともいくつかを毛管内の第一の領域において音響的に集束させるように構成された第一の集束機構、(3)少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を第一の領域よりも下流の毛管内の第二の領域において流体力学的に集束させるように構成された第二の集束機構、(4)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかが通過することができる、毛管の中または毛管よりも下流のインテロゲーションゾーン、および(5)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかに関してインテロゲーションゾーンにおいて得られた少なくとも一つの信号を検出するように構成された少なくとも一つの検出器を含む、フローサイトメータが提供される。
【0085】
そのようなフローサイトメータはまた、試料流体を毛管の中に毎分約25マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流量で流すように構成された試料流体ポンプ、およびシース流体を毛管の中に毎分約2375マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流量で流すように構成されたシース流体ポンプを含みうる。さらに、第一の集束機構は、第一の領域における音響的に集束させた粒子の少なくともいくつかを第一の領域から第二の領域に流れる縦一列の線へと集束させるように構成され、試料流体およびシース流体ポンプは、毛管中を流れる試料流体およびシース流体の合計速度を一定に維持して、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかのインテロゲーション時間が試料流量にかかわらず一定のままであることを保証するように構成されうる。そのようなフローサイトメータはまた、試料流体を毛管の中に毎分約200マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流量で流すように構成された試料流体ポンプ、およびシース流体を毛管の中に毎分約2200マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流量で流すように構成されたシース流体ポンプを含みうる。
【0086】
本発明のもう一つの態様にしたがって、フローサイトメータを使用して希事象を検出する方法であって、(1)粒子を含む試料流体を流路の中に流すこと、(2)流路内に含まれる第一の領域に音響放射圧を加えることによって試料流体中の粒子の少なくともいくつかを第一の領域において音響的に集束させること、(3)第一の領域よりも下流の第二の領域において試料流体の周囲にシース流体を流すことによって少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を流体力学的に集束させること、(4)シース流体:試料流体の体積比を調節して、第二の領域の中またはそれよりも下流のインテロゲーションゾーンにおいて実質的に一定の全粒子速度を維持すること、(5)インテロゲーションゾーンにおいて音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかを分析すること、および(6)インテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて、一つまたは複数の希な蛍光事象、一つまたは複数の希な細胞型および一つまたは複数の死細胞からなる群より選択される一つまたは複数の希事象を検出することを含む、方法が提供される。
【0087】
そのような方法はまた、試料流体を毎分少なくとも200マイクロリットルの試料流量で流し、シース流体を毎分多くとも2200マイクロリットルのシース流体流量で流すことを含み、シース流体:試料流体の体積比を調節することは、シース流体:試料流体の体積比を約11:1〜約1.4:1の比に調節することを含みうる。さらに、そのような方法は、試料流体を毎分少なくとも500マイクロリットルの試料流量で流し、シース流体を毎分多くとも1900マイクロリットルのシース流体流量で流すことを含み、シース流体:試料流体の体積比を調節することは、シース流体:試料流体の体積比を約3.8:1〜約1.4:1の比に調節することを含みうる。さらに、方法は、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約20マイクロ秒を超えることを保証すること、またはインテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約40マイクロ秒を超えることを保証することを含みうる。
【0088】
本発明のもう一つの例示的態様にしたがって、アコースティックフローサイトメトリー装置の中にある、またはそれと連絡したコンピュータによって実行されると、装置を制御して、(1)粒子を含む試料流体を流路の中に流させ、(2)流路内に含まれる第一の領域に音響放射圧を加えることによって試料流体中の粒子の少なくともいくつかを第一の領域において音響的に集束させ、(3)第一の領域よりも下流の第二の領域において試料流体の周囲にシース流体を流すことによって少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を流体力学的に集束させ、(4)シース流体:試料流体の体積比を調節して、第二の領域の中またはそれよりも下流のインテロゲーションゾーンにおいて実質的に一定の全粒子速度を維持させ、(5)インテロゲーションゾーンにおいて音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかを分析させ、および(6)インテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて、一つまたは複数の希な蛍光事象、一つまたは複数の希な細胞型および一つまたは複数の死細胞からなる群より選択される一つまたは複数の希事象を検出させる、コンピュータ読み取り可能な命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0089】
このようなコンピュータ読み取り可能な媒体はまた、装置を制御して、試料流体を毎分少なくとも200マイクロリットルの試料流量で流させ、シース流体を毎分多くとも2200マイクロリットルのシース流体流量で流させ、シース流体:試料流体の体積比を約11:1〜約1.4:1の比に調節することによってシース流体:試料流体の体積比を調節させうる。さらに、そのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、装置を制御して、試料流体を毎分少なくとも500マイクロリットルの試料流量で流させ、シース流体を毎分多くとも1900マイクロリットルのシース流体流量で流させ、シース流体:試料流体の体積比を約3.8:1〜約1.4:1の比に調節することによってシース流体:試料流体の体積比を調節させうる。さらに、コンピュータ読み取り可能な媒体はまた、装置を制御して、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約20マイクロ秒を超えることを保証させること、またはインテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約40マイクロ秒を超えることを保証させることを含みうる。
【0090】
本発明の態様にしたがって、(1)流路を含む毛管、(2)振動を流路に印加するように構成されている、毛管に結合された少なくとも一つの振動源、および(3)毛管中を流れる一つまたは複数の粒子と相互作用する出力を有するように構成されている、405nmレーザを含むインテロゲーション光源を含む、装置が提供される。インテロゲーション光源はさらに488nmレーザを含みうる。振動源は圧電材料を含みうる。振動源は、流路中の流体試料ストリーム内の複数の選択された粒子を集中させ得る音響放射圧を誘導する音響信号を流路内に生成するように構成され、毛管は、流体試料ストリーム内の選択された粒子を流体力学的に集中させるためのシース流路を含みうる。
【0091】
本発明のもう一つの態様にしたがって、(1)流路を有する毛管、(2)流路中の流体試料ストリーム内の複数の選択された粒子を集中させる音響放射圧を流路内で誘導する音響信号を生成するように構成されている、毛管に結合された少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、(3)選択された粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成する出力を有するように構成されている、405nmレーザを含むインテロゲーション光源、(4)インテロゲーション光源からの出力信号を収集するための光学モジュール、(5)光学モジュールの出力信号を検出するための検出器モジュール、および(6)検出器モジュールの出力を処理するためのデータ取得モジュールを含む、システムが提供される。振動生成トランスデューサは圧電素子を含みうる。インテロゲーション光源はさらに488nmレーザを含み、405nmレーザおよび488nmレーザの両方が、選択された粒子の少なくともいくつかを調査しうる。毛管は少なくとも一つのシース流路を含み、シース流路は、流体試料ストリーム内で選択された粒子を流体力学的に集中させるためのシース流体を含みうる。システムは、振動生成トランスデューサ、検出器モジュールおよびデータ取得モジュールの少なくとも一つを制御するように構成されたプロセッサを含みうる。システムはさらに、毛管と光学モジュールとの間にブロッカーバーを含み、ブロッカーバーは、ブロッカーバーを配置し、インテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャを調節するために回転可能であり得る実質的に円柱形のペグに取り付けられうる。インテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャは約19°でありうる。光学モジュールは、インテロゲーション光源からの出力信号を収集するための集光レンズを含み、集光レンズの出力は、空間フィルタリングピンホール装置によって二つのビームに分割され、第一のビームは405nmレーザから出力され、第二のビームは488nmレーザから出力されうる。検出器モジュールは、405nmレーザによって出力される第一のビームからの順方向散乱信号および側方散乱信号を検出するための検出器を含みうる。システムは、試料流体を試料流路に沿って貯留部から毛管まで移動させる、バブルセンサを含みうるポンプを含み、ポンプは、試料流体を毛管の中に毎分約200μl〜毎分約1000μlの試料入力速度で流すように構成されうる。システムはまた、流体試料ストリーム中の粒子を画像化するための画像化装置を含みうる。
【0092】
本発明のもう一つの態様にしたがって、(1)粒子を含む試料流体を毛管中の第一の流路の中に流すように構成された第一のポンプ、(2)面方向に音響放射圧を生成して第一の流路中で粒子を音響的に集束させるように構成された圧電素子、(3)シース流体を第二の面方向に毛管中の第二の流路の中に流して、粒子を第二の面方向に流体力学的に集束させ、さらに粒子を集束させるように構成された第二のポンプ、(4)405nmレーザからの第一の光ビームおよび488nmレーザからの第二の光ビームを出力し、第一および第二の光ビームが、毛管中を流れる粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成するインテロゲーション光源、(5)インテロゲーション光源からの出力信号を収集するように構成された光学モジュール、(6)光学モジュールからの出力信号を検出するように構成された検出器モジュール、および(7)検出器モジュールの出力を処理するように構成されたデータ取得モジュールを含む、フローサイトメトリーシステムが提供される。
【0093】
本発明のもう一つの態様にしたがって、フローサイトメータを使用して希事象を検出する方法であって、(1)粒子を含む試料を流路の中に毎分約25μl〜毎分約1000μlの流量で流すこと、(2)流路内に含まれる第一の領域において試料中の粒子の少なくともいくつかを音響的に集束させること、(3)第一の領域よりも下流の第二の領域において少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料を流体力学的に集束させること、および(4)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかが通されるインテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて希事象を検出することを含む、方法が提供される。方法は、試料を毎分少なくとも200μlの流量または毎分少なくとも500μlの流量で流すことを含みうる。方法はさらに、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約20マイクロ秒を超えることまたは約40マイクロ秒を超えることを保証することを含みうる。そして、方法は、希な蛍光事象を検出すること、希な細胞型の一つまたは複数の細胞を検出すること、および/または一つまたは複数の死細胞を検出することを含みうる。
【0094】
本発明のもう一つの例示的態様にしたがって、アコースティックフローサイトメトリー装置の中にある、またはそれと連絡したコンピュータによって実行されると、装置を制御して、(1)粒子を含む試料を流路の中に毎分約25μl〜毎分約1000μlの流量で流させ、(2)流路内に含まれる第一の領域において試料中の粒子の少なくともいくつかを音響的に集束させ、(3)第一の領域よりも下流の第二の領域において少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料を流体力学的に集束させ、および(4)音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかが通されるインテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて希事象を検出させる、コンピュータ読み取り可能な命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。コンピュータ読み取り可能な媒体はまた、装置を制御して、試料を毎分少なくとも200μlまたは毎分少なくとも500μlの流量で流させうる。コンピュータ読み取り可能な媒体はさらに、装置を制御して、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約20マイクロ秒または約40マイクロ秒を超えることを保証させうる。そして、コンピュータ読み取り可能な媒体は、装置を制御して、希な蛍光事象を検出させ、希な細胞型の一つまたは複数の細胞を検出させ、および/または一つまたは複数の死細胞を検出させることを含みうる。
【0095】
本発明のもう一つの態様にしたがって、(1)粒子を含む試料流体を流体流路の中に流すこと、(2)流体流路の第一の領域において粒子を音響的に集束させること、(3)シース流体を第一の領域よりも下流の第二の領域の中に流して、音響的に集束させた粒子を流体力学的にさらに集束させること、(4)試料流体:シース流体の体積比を調節して、第二の領域において実質的に一定の全粒子速度を維持すること、および(5)第二の領域において粒子を分析することを含む、フローサイトメトリーの方法が提供される。
【0096】
本発明のもう一つの例示的態様にしたがって、アコースティックフローサイトメトリー装置の中にある、またはそれと連絡したコンピュータによって実行されると、装置を制御して、(1)粒子を含む試料流体を流体流路の中に流させ、(2)流体流路の第一の領域において粒子を音響的に集束させ、(3)シース流体を第一の領域よりも下流の流体流路の第二の領域の中に流して、音響的に集束させた粒子を流体力学的にさらに集束させ、(4)試料流体:シース流体の体積比を調節して、第二の領域において実質的に一定の全粒子速度を維持させ、および(5)第二の領域において粒子を分析させる、コンピュータ読み取り可能な命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0097】
本発明の上記例示的態様の一つまたは複数において存在し得る、またはそれを使用して検出され得る希事象または希事象粒子の例は、幹細胞(任意のタイプ)、最小残留疾病細胞、テトラマー、NKT細胞、母子出血細胞、死細胞、希な蛍光シグナチャを有する細胞などを含み、より一般的には、試料中の全粒子または細胞の小さな割合でのみ存在することが予想される、特定の識別された特性を有する任意の識別される粒子もしくは細胞または粒子もしくは細胞の集団を含みうる。該当する割合は、当然、所与の問題または用途の場合の特定の細胞または粒子に依存する。たとえば、希な識別される集団は、粒子または細胞の総数の約5%または約2.5%または約1%または約0.1%または約0.05%または約0.01%に相当する粒子または細胞を表すこともできる。これらの値は例示的でしかなく、これらの任意の二つの間の他の値がより小さな値と同様に可能である。
【0098】
本発明の上記例示的態様の一つまたは複数における、またはそれとの使用に適したアッセイ法の例は、抗原またはリガンド密度計測、アポトーシス分析、細胞周期研究、細胞増殖アッセイ法、細胞選別、染色体分析、DNA/RNA含量分析、薬物吸収および流出アッセイ法、酵素活性アッセイ法、蛍光タンパク質検出、遺伝子発現またはトランスフェクションアッセイ法、免疫表現型検査、膜電位分析、代謝研究、多重ビーズ分析、核染色検出、網赤血球および血小板分析、幹細胞分析ならびにバイアビリティーおよび細胞毒性アッセイ法を含む。
【0099】
本発明の上記例示的態様の一つまたは複数における、またはそれとの使用に適した媒体製剤の例は、アミドトリゾエート、Pluronic(登録商標)F68のような非イオン界面活性剤との塩化セシウム、用途によっては高い粘度に寄与する化合物(たとえばグリセロール、デキストラン、ポリビニルピロリドンでコートされたナノシリカ)、ジアトリゾエート、グリセロール、重塩、たとえば塩化セシウムまたは臭化カリウム、ヨウ素化化合物、イオジキサノール、イオパミドール、イオキサグレート、メトリザミド、メトリゾエート、ポリマー被覆シリカのようなナノ粒子状物質、Nycodenz(登録商標)、ポリデキストラン、ポリスクロース、塩緩衝液、タンパク質、洗剤または他の添加物で緩衝された塩類液、塩度を過度に増すことなく比重を増すための添加物と合わせた塩およびタンパク質ならびにスクロースを含む。
【0100】
本発明の上記例示的態様の一つまたは複数における、またはそれとの使用に適したプローブの例は、BFPを含む色素、生物発光および/または化学発光物質、Cドット、Ca2+/エクオリン、色素添加ナノ球、フィコエリトリンおよびフルオレセイン、普通のフルオレセインとともに使用されるフルオレセイン/テルビウム錯体、蛍光タンパク質、25,000cm-1M-1未満の吸光係数を有する標識(たとえばAlexa Fluor(登録商標)405および430、APC-C7)および/または量子効率25%未満の標識(たとえばルテニウム、Cy3)、ランタニド、ランタニドキレート(特に、ユーロピウムおよびテルビウムを使用するもの)、ランタニドタンデム色素、LRETプローブ、ルシフェリン/ルシフェラーゼ、金属−リガンド錯体、微生物特異的プローブ、天然の蛍光種、たとえばNAD(P)H、核酸プローブ、蛍光体、光漂白を受けやすい、または三重項状態になりやすい色素(たとえば青色蛍光タンパク質)、フィコエリトリンタンデム色素、非放射状態励起を受けやすいプローブ(たとえばRhodamine Atto532およびGFP)、約50,000/cm2を超えるレーザパワーで光漂白に耐性のプローブ、10ナノ秒よりも長い寿命を有するプローブ、Qdot(登録商標)製品、Qdot(登録商標)タンデムプローブ、ラマン散乱プローブ、半導体ナノ結晶、タンデムプローブ、テルビウム錯体、テルビウムフルオレセイン錯体およびアップコンバート性蛍光体を含む。
【0101】
本発明の上記例示的態様の一つまたは複数における、またはそれとの使用に適した二次試薬の例は、リガンド、たとえばビオチン、プロテインAおよびGを使用する二次試薬、二次抗体、ストレプトアビジン、抗体または他のリガンドにコンジュゲートした紫色励起色素(ストレプトアビジン/ビオチンまたはプロテインA/Gにコンジュゲートした紫色励起二次コンジュゲート、たとえばPacific Blue(商標)またはPacific Orange(商標)を含む)およびQdot(登録商標)製品または二次フォーマットで(たとえばストレプトアビジンコンジュゲートとして)使用される半導体ナノ結晶を含む。
【0102】
上記本発明の様々な例示的態様の一つまたは複数は、多くのタイプの環境的および工業的試料とともに使用されうる(特に、対象の粒子が希であり、通常は有意な濃縮を要する場合)。たとえば、水道水からの微生物、特異性核酸プローブおよび他の微生物特異性プローブ、ジュース、ミルク、ビール、マウスウォッシュなどを含む様々な食品における同様な微生物試験を処理または分析する、環境的および工業的分析対象物を試薬、たとえば染色プローブから分離する、コピー機およびプリンタ用インクの製造ならびにチョコレート製造における品質管理のような特定の工業プロセスにおいて重要である粒子の形状およびサイズを分析する、廃棄物ストリームまたは原料ストリームから粒子を濃縮および/または除去する、特定のフィルタの寿命を延ばす、機械加工流体から金属、セラミックまたは他の粒子状物を除去する、またはモータオイルおよび調理油のような使用済み油から粒子状物を除去ためなどに使用されうる。
【0103】
上記方法のいずれも、プロセッサおよびデータベースによって自動化することができる。命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体が、データ処理媒体(たとえばコンピューティングシステム)中のプログラムをして、上記例示的態様に記載された一つまたは複数のステップを実行させうる。
【0104】
前記例示的態様は、前記例示的態様において記載された一般的または具体的に記載された構成部品および/または物質および/またはステップおよび/または作動条件を加える、または代用することにより、同様にうまく再現されうる。上記例示的態様を特に参照しながら本発明を詳細に説明したが、他の態様が同じく可能であり、本発明の範囲内である。明細書および図面ならびに明細書および図面に記された本発明の実施を考慮すると、本発明の変形および改変が当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料流路を含む毛管、
該毛管に結合された少なくとも一つの振動生成トランスデューサであって、試料流路内で音響放射圧を誘導する音響信号を生成し、試料流路中の流体試料ストリーム内を流れる粒子を音響的に集中させるように構成されている、少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、および
音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかと相互作用して出力信号を生成するように構成されている紫色レーザおよび青色レーザを含むインテロゲーション光源、
を含む、フローサイトメータ。
【請求項2】
前記少なくとも一つの振動生成トランスデューサが圧電素子を含み、紫色レーザが約405ナノメートルの波長を有し、かつ青色レーザが約488ナノメートルの波長を有する、請求項1記載のフローサイトメータ。
【請求項3】
音響放射圧による粒子の音響的集中よりも下流で流体試料ストリームの周囲にシース流体を流して、音響的に集中させた粒子を流体試料ストリーム内で流体力学的に集中させるように構成されたシース流路を毛管がさらに含む、請求項1記載のフローサイトメータ。
【請求項4】
粒子を含む流体試料を毛管中の試料流路の中に毎分約200マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流体入力速度で流すように構成された第一のポンプと、シース流体を毛管中のシース流路の中に毎分約2200マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流体入力速度で流すように構成された第二のポンプとを含み、第一および第二のポンプが、毛管中を流れる試料流体およびシース流体の合計入力速度を一定に維持して、紫色および青色レーザを通過する音響的に集中させた粒子の少なくともいくつかのインテロゲーション時間が試料流体入力速度にかかわらず一定のままであることを保証するように構成されている、請求項3記載のフローサイトメータ。
【請求項5】
インテロゲーション光源から出力信号を収集するための光学モジュール、
光学モジュールの出力信号を検出するための検出器モジュール、および
検出器モジュールの出力を処理するためのデータ取得モジュール、
を含む、請求項3記載のフローサイトメータ。
【請求項6】
前記少なくとも一つの振動生成トランスデューサ、検出器モジュール、およびデータ取得モジュールの少なくとも一つを制御するように構成されたプロセッサを含む、請求項5記載のフローサイトメータ。
【請求項7】
毛管と光学モジュールとの間にブロッカーバーを含む、請求項5記載のフローサイトメータ。
【請求項8】
ブロッカーバーを配置するため、およびインテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャを調節するために回転可能である実質的に円柱形のペグに、ブロッカーバーが取り付けられている、請求項7記載のフローサイトメータ。
【請求項9】
インテロゲーション光源の出力信号の出力アパーチャが約17°〜約21°である、請求項8記載のフローサイトメータ。
【請求項10】
光学モジュールが、インテロゲーション光源から出力信号を収集するための集光レンズを含み、該集光レンズの出力が、空間フィルタリングピンホール装置によって二つのビームに分割され、第一のビームが紫色レーザから出力され、かつ第二のビームが青色レーザから出力される、請求項5記載のフローサイトメータ。
【請求項11】
検出器モジュールが、紫色レーザによって出力される第一のビームから順方向散乱信号および側方散乱信号を検出するための検出器を含む、請求項10記載のフローサイトメータ。
【請求項12】
粒子を含む試料流体をその中に流れさせるように構成された毛管、
試料流体中の粒子の少なくともいくつかを毛管内の第一の領域において音響的に集束させるように構成された第一の集束機構、
該少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を第一の領域よりも下流の毛管内の第二の領域において流体力学的に集束させるように構成された第二の集束機構、
音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかが通過することができる、毛管の中または毛管よりも下流のインテロゲーションゾーン、および
音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかに関してインテロゲーションゾーンにおいて得られた少なくとも一つの信号を検出するように構成された少なくとも一つの検出器、
を含む、フローサイトメータ。
【請求項13】
試料流体を毛管の中に毎分約25マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流量で流すように構成された試料流体ポンプと、シース流体を該毛管の中に毎分約2375マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流量で流すように構成されたシース流体ポンプとを含む、請求項12記載のフローサイトメータ。
【請求項14】
第一の集束機構が、第一の領域における音響的に集束させた粒子の少なくともいくつかを第一の領域から第二の領域に流れる縦一列の線へと集束させるように構成されており、試料流体ポンプおよびシース流体ポンプが、毛管中を流れる試料流体およびシース流体の合計速度を一定に維持して、インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかのインテロゲーション時間が試料流量にかかわらず一定のままであることを保証するように構成されている、請求項13記載のフローサイトメータ。
【請求項15】
試料流体を毛管の中に毎分約200マイクロリットル〜毎分約1000マイクロリットルの試料流量で流すように構成された試料流体ポンプと、シース流体を該毛管の中に毎分約2200マイクロリットル〜毎分約1400マイクロリットルのシース流量で流すように構成されたシース流体ポンプとを含む、請求項12記載のフローサイトメータ。
【請求項16】
フローサイトメータを使用して希事象を検出する方法であって、
粒子を含む試料流体を流路の中に流す工程、
流路内に含まれる第一の領域に音響放射圧を加えることによって試料流体中の粒子の少なくともいくつかを第一の領域において音響的に集束させる工程、
第一の領域よりも下流の第二の領域において試料流体の周囲にシース流体を流すことによって少なくともいくつかの音響的に集束させた粒子を含む試料流体を流体力学的に集束させる工程、
第二の領域の中またはそれよりも下流のインテロゲーションゾーンにおいて実質的に一定の全粒子速度を維持するために、シース流体:試料流体の体積比を調節する工程、
インテロゲーションゾーンにおいて音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の少なくともいくつかを分析する工程、ならびに
インテロゲーションゾーンにおいて検出された少なくとも一つの信号に基づいて、一つまたは複数の希な蛍光事象、一つまたは複数の希な細胞型、および一つまたは複数の死細胞からなる群より選択される一つまたは複数の希事象を検出する工程、
を含む、方法。
【請求項17】
試料流体を毎分少なくとも200マイクロリットルの試料流量で流し、シース流体を毎分多くとも2200マイクロリットルのシース流体流量で流す工程を含み、かつシース流体:試料流体の体積比を調節する工程が、シース流体:試料流体の体積比を約11:1〜約1.4:1の比に調節することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
試料流体を毎分少なくとも500マイクロリットルの試料流量で流し、シース流体を毎分多くとも1900マイクロリットルのシース流体流量で流す工程を含み、かつシース流体:試料流体の体積比を調節する工程が、シース流体:試料流体の体積比を約3.8:1〜約1.4:1の比に調節することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約20マイクロ秒を超えることを保証する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
インテロゲーションゾーンを通過する音響的かつ流体力学的に集束させた粒子の通過時間が約40マイクロ秒を超えることを保証する工程を含む、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26−1】
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【図26−2】
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【図26−3】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公表番号】特表2013−513109(P2013−513109A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542118(P2012−542118)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058242
【国際公開番号】WO2011/068764
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)