説明

アシストハンドル

【課題】障子からの突出量を抑えることができかつ操作性にも優れるアシストハンドルを提供する。
【解決手段】本発明のアシストハンドル70では、ガラス戸13の戸先框18に取り付けられたベース部71における上下の両端部から戸先側に1対のベース突部73,73が突出し、ベース部71全体が略C字形状になっている。これにより、指先又は指の関節部分を1対のベース突部73,73の間に突入させてハンドル部75に指を掛けることができ、アシストハンドル70全体を薄くしても、ハンドル部75を操作する際の手がベース部71に干渉することがなくなる。即ち、本発明のアシストハンドル70によれば、全体を薄くしてガラス戸13からの突出量を抑えることが可能でありかつ操作性も向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス戸等の室内面に取り付けられて、障子を開く際の初動抵抗を軽減することが可能なアシストハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアシストハンドルとして、ガラス戸の戸先框に取り付けられたベース部に対して、ハンドル部を回動操作可能に備えたもの(例えば、特許文献1参照)や、スライド操作可能に備えたもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97248号公報(図2〜図6)
【特許文献2】特許第3927938号公報(図3,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アシストハンドルはガラス戸から室内側に突出した状態になるため、その突出量が大きいと、ハンドル部がカーテンに引っ掛かったり、和障子と干渉する等の事態が生じ得た。しかしながら、上記した従来のアシストハンドルでは、ガラス戸からの突出量を抑えるためにアシストハンドル全体を薄くすると、ハンドル部を操作する際の指先がベース部に干渉し、操作性が低下するという問題が生じ得た。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、障子からの突出量を抑えることができかつ操作性にも優れるアシストハンドルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るアシストハンドルは、建物の開閉口を開閉可能な障子の戸先框における室内面に取り付けられるベース部と、ベース部に対して上下に延びた回動軸を中心に回動可能か或いは障子のスライド方向にスライド可能なハンドル部と、ベース部に対して障子のスライド方向に往復動可能な押圧部とを備えてなり、障子が閉鎖位置にあるときにハンドル部をベース部に対して戸尻側に操作すると押圧部が戸先側に移動して開閉口の内側面を押圧し、障子の初動抵抗を軽減することが可能なアシストハンドルにおいて、ベース部の上下の両端部から戸先側に1対のベース突部を突出させて、ベース部全体を略C字形状にすると共に、押圧部を対にして1対のベース突部にそれぞれ組み付けたところに特徴を有する。
【0007】
なお、本書類において「障子」とは、ガラス戸、雨戸等のように建物の開閉口を開閉する「戸」の全般を意味する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のアシストハンドルにおいて、ハンドル部のうち戸先側を向いた部分に、指先を係止可能な前側指先係止凹部を設けたところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のアシストハンドルにおいて、ハンドル部のうち戸尻側を向いた部分に、指先を係止可能な後側指先係止凹部を設けたところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のアシストハンドルにおいて、ハンドル部は、上下に延びた回動軸を中心に回動し、ハンドル部のうち上下方向の中間部の水平断面形状は、ハンドル部の非操作時において、回動軸から室内側に向かって戸尻側に傾斜するように突出した第1L字構成壁と、その第1L字構成壁の先端部から鋭角に屈曲して戸先側に突出した第2L字構成壁とから構成された略L字形状をなし、ハンドル部を可動範囲の初期位置から終端位置まで回動したときに、第1L字構成壁が戸尻側に倒れて、第2L字構成壁が室内側に突出した状態となるように構成したところに特徴を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のアシストハンドルにおいて、ベース部には、ハンドル部を上下方向で挟むように配置された1対の上下対向壁が設けられて、それら1対の上下対向壁を上下に貫通するピン孔に挿入した1対のピンにてハンドル部が回動可能に支持され、ベース部のうち戸先框に宛がわれる底面に底蓋プレートを備え、その底蓋プレートが戸先框に螺子止めされると共に、1対の上下対向壁からハンドル部と反対側に1対の端部突壁が突出し、それら1対の端部突壁が底蓋プレートに重ねられて底蓋プレート固定螺子にて固定され、底蓋プレート固定螺子がピンの延長線上に配置されて、ピンの抜け止めに兼用されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
[請求項1の発明]
請求項1のアシストハンドルでは、ベース部全体を略C字形状とし、押圧部を対にしてベース部における上下の両端部の1対のベース突部にそれぞれ組み付けたので、ハンドル部を操作したときには、上下に間隔を空けた2箇所で押圧部が開閉口の内側面を押圧することになり、安定した押圧が可能になる。また、ベース部全体が略C字形状になっているので、指先又は指の関節部分を1対のベース突部の間に突入させてハンドル部に指を掛けることができる。これにより、アシストハンドル全体を薄くしても、ハンドル部を操作する際の手がベース部に干渉し難くなる。即ち、本発明のアシストハンドルによれば、全体を薄くして障子からの突出量を抑えることが可能でありかつ操作性も向上させることができる。
【0013】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、障子を開く際にハンドル部に掛けた指先が、ハンドル部の前側指先係止凹部に係止し、滑り止めが図られる。
【0014】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、障子を閉じる際にハンドル部に掛けた指先が、ハンドル部の後側指先係止凹部に係止し、滑り止めが図られる。
【0015】
[請求項4の発明]
請求項4の構成では、ハンドル部のうち上下方向の中間部の水平断面形状は、回動軸から戸尻側に傾斜して突出した第1L字構成壁と、その先端部から鋭角に屈曲して戸先側に突出した第2L字構成壁とで構成されているので、第1と第2のL字構成壁を直交させた単なるL字形状のハンドル部に比べて、非操作時における室内側への突出量を抑えることができる。
【0016】
[請求項5の発明]
請求項5の構成によれば、ベース部の底蓋プレートをベース部の本体に螺子止めするための底蓋固定螺子を、ハンドル部を回動可能に支持するピンの抜け止めに兼用したので、部品点数の削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のアシストハンドルを備えた開閉口の断面図
【図2】アシストハンドルの斜視図
【図3】アシストハンドルの正断面図
【図4】(A)図3のA−A切断面におけるアシストハンドルの不使用状態の断面図,(B)同切断面におけるアシストハンドルの使用状態の断面図
【図5】(A)図3のB−B切断面におけるアシストハンドルの不使用状態の断面図,(B)同切断面におけるアシストハンドルの使用状態の断面図
【図6】第2実施形態のアシストハンドルを備えた開閉口の断面図
【図7】アシストハンドルの不使用状態の斜視図
【図8】アシストハンドルの使用状態の斜視図
【図9】アシストハンドルの側断面図
【図10】(A)変形例に係るアシストハンドルの不使用状態の断面図,(B)同アシストハンドルの使用状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1には、建物の窓としての開閉口10の平断面図が示されている。この開閉口10のうち室外側の略半分はアルミ及び樹脂にて形成されたガラス戸支持枠11にて囲まれ、室内側の略半分は木製の和障子支持枠12にて覆われている。そして、ガラス戸支持枠11の内側には、1対のガラス戸13,13(本発明の「障子」に相当する)が、互いにすれ違うようにスライド可能に支持される一方、和障子支持枠12の内側には、1対の和障子29,29が互いにすれ違うようにスライド可能に支持されている。
【0019】
各ガラス戸13は、1対のガラス板14,14をガラス枠15にて囲んで支持した二重ガラス構造をなしている。各ガラス枠15は、アルミの角筒体を枠状に接合して構成され、ガラス枠15のうち一方の縦辺部分が本発明に係る戸先框18となり、他方の縦辺部分が戸尻框16となっている。そして、両ガラス戸13,13の戸尻框16,16の間に設けたクレセント錠17にて施解錠されるようになっている。
【0020】
各ガラス戸13の戸先框18には、ガラス戸13と開閉口10の内側面10Hとの間の隙間風を防ぐためのシール部材25が取り付けられている。具体的には、各ガラス戸13における戸先框18のうちガラス戸13のスライド方向を向いた端面には、上下方向の全体にシール収容溝21が形成されている。これらに対し、ガラス戸支持枠11の各内側面10Hからは、各シール収容溝21内に突入可能な待受突壁22が上下方向全体に亘って突出形成されている。
【0021】
シール収容溝21内にはガイド部品23とシール突片24とが設けられている。ガイド部品23は、シール収容溝21内における奥面と室内寄りの内側面とを被っている。また、室内側を被った部分がシール収容溝21の開口面まで膨らんだ形状をなし、室内寄りの内側面を被った部分は、シール収容溝21の幅方向における中央位置まで膨らんでいる。そして、ガラス戸13を閉じるとガイド部品23のテーパ面23Aが待受突壁22に当接し、テーパの作用により、ガラス戸13が室内側へ移動させられて、シール突片24が待受突壁22に密着するように構成されている。
【0022】
シール収容溝21の溝内側面からは、シール部材25に備えた1対のシール突片24,24が、待受突壁22の側面に向かって突出している。これら1対のシール突片24,24は、先端に向かって若干肉薄になったヒレ状をなし、互いに平行になって上下方向に延びている。そして、シール突片24,24はガラス戸13を閉じたときに待受突壁22に密着する。なお、シール突片24は3枚以上であってもよい。
【0023】
ガラス戸13,13を閉めた状態では、ガラス戸13,13における戸尻框16,16同士の間の隙間風もシール部材27によって防がれるようになっている。具体的には、一方のガラス戸13の戸尻框16には、他方のガラス戸13の戸尻框16と対向する面のうち戸先框18から離れた側の縁部に沿ってシール部材27が設けられている。このシール部材27は、前記した戸先框18のシール突片24と同形状のシール突片26を1つ備え、他方のガラス戸13の戸尻框16における戸先框18側の縁部に密着する。そして、このシール突片26も、ガラス戸13の開操作時に、弓なり形状から逆弓なり形状に反転する。また、この戸尻框16のシール突片26は、戸先框18における1対のシール突片24,24が待受突壁22から離間する前に、他方のガラス戸13の戸尻框16から離間する。
【0024】
さて、上記したシール部材25,27とそれらの密着対象部材との間の摩擦により、ガラス戸13を開く際には、初動時に比較的大きな抵抗がかかる。そこで、ガラス戸13を開く際の初動抵抗を軽減するために、各ガラス戸13の戸先框18における室内面には、それぞれアシストハンドル70が取り付けられている。これらアシストハンドル70は、戸先框18に固定されるベース部71に対してハンドル部75を回動操作可能に組み付けた構造になっている。
【0025】
図2に示すように、ベース部71は、上下方向に延びた連絡部72と、その連絡部72の上下の両端部から戸先側に突出した1対のベース突部73,73とを有し、室内側から見るとベース部71全体が略C字形状になっている。また、ベース部71の上下の両端部からは、室内側に向けて1対の上下対向壁74,74を連絡部72から突出形成され、それら上下対向壁74,74の間にハンドル部75が配置されて上下方向に延びている。
【0026】
ベース部71のうち戸先框18に宛がわれる部分には、金属製の底蓋プレート77が備えられ、ベース部71のうち底蓋プレート77以外は、樹脂で構成されたベース部本体71Hになっている。また、ベース部本体71Hにおける上下の両端部は、1対のキャップ部71C,71Cになっている。具体的には、ベース部本体71Hのうちハンドル部75より上側と下側の端部は、それぞれ上下に2分割されて、その分割面より端側部分がキャップ71C,71Cになっている。また、キャップ71C,71Cを外した状態で露出するベース部本体71Hの各端面71Tからは端部突壁71Wが突出形成され、その端部突壁71Wと底蓋プレート77とが重ねられて底蓋固定螺子77Nにて固定されている。
【0027】
底蓋固定螺子77Nは、底蓋プレート77のうち戸尻側の端部に配置され、底蓋プレート77における戸先側の端部には、框固定孔77Aが貫通形成されている。そして、框固定孔77Aに挿通した図示しない螺子によって底蓋プレート77が戸先框18に固定されている。また、ベース部本体71Hの各端面71Tには、端部突壁71Wを間に挟んで底蓋プレート77と反対側にピン孔71Pが開口している。図3に示すように、ピン孔71Pは、上下対向壁74(キャップ71Cを除く)とハンドル部75とに跨って上下に延びるように形成されている。そして、ベース部本体71Hの各端面71T側からピン孔71Pに挿入したピン75P,75Pにてハンドル部75が回動可能に支持されている。また、上記した底蓋固定螺子77N,77Nは、ピン75P,75Pの延長線上に位置し、ピン75P,75Pをピン孔71P,71Pに抜け止めしている。このように、本実施形態のアシストハンドル70では、底蓋固定螺子77Nを、底蓋プレート77の固定とピン75Pの抜け止めとに兼用したので、部品点数の削減が図られる。
【0028】
ハンドル部75の水平断面形状は、図4(A)及び図4(B)に示されている。図4(A)に示すように、ハンドル部75は、非操作時において、回動軸から室内側に向かって戸尻側に傾斜するように突出した第1L字構成壁75Xと、その第1L字構成壁75Xの先端部から鋭角に屈曲して戸先側に突出した第2L字構成壁75Yとから構成された略L字形状をなしている。そして、ハンドル部75を可動範囲の終端位置まで回動したときには、図4(B)に示すように、第1L字構成壁75Xが戸尻側に倒れて、第2L字構成壁75Yが室内側に突出した状態となる。また、本実施形態では、第1L字構成壁75Xと第2L字構成壁75Yの間の凹部が、本発明に係る前側指先係止凹部75Fになっている。さらに、ハンドル部75の非操作時においては、第1L字構成壁75Xの戸尻側への傾斜とベース部71のうち第1L字構成壁75Xより戸尻側に配置された壁部とによって、ハンドル部75のうち戸尻側を向いた外面に凹部が形成され、その凹部が本発明に係る後側指先係止凹部75Rになっている。
【0029】
詳細には、図4(A)に示すように、ハンドル部75の非操作時においては、第2L字構成壁75Yの外面が上下対向壁74のうち室内側を向いた側面と面一になると共に、第1L字構成壁75Xの先端部の外面が上下対向壁74のうち戸尻側を向いた側面とが面一になる。また、第2L字構成壁75Yは、先端に向かうに従って薄くなっていて、第2L字構成壁75Yの内面は、ハンドル部75の非操作時には、戸先框18におけるアシストハンドル70の取り付け面に対して傾斜している。そして、ハンドル部75を可動範囲の終端位置まで回動したときには、図4(B)に示すように、第2L字構成壁75Yの内面が、戸先框18におけるアシストハンドル70の取り付け面に対して略直交した状態になる。さらに、第2L字構成壁75Yの内面には、先端寄り位置に滑り止め用の段差75Dが設けられている。
【0030】
図3に示すように、両方のベース突部73の内部には、それぞれ略角柱状の押圧部78,78がガラス戸13の開閉方向に直動可能に収容されている。その押圧部78には、図4(A)に示すように、ベース突部73と反対側の面にバネ収容溝78Aが形成されている。また、ベース部本体71Hからはバネ収容溝78A内に向かってバネ受け片71Sが突出形成されている。そのバネ受け片71Sは、アシストハンドル70の不使用時には、バネ収容溝78Aのうち底蓋プレート77から離れた側の端部に位置している。そして、バネ収容溝78Aのうち底蓋プレート77側の端面とバネ受け片71Sとの間に圧縮コイルバネ79が収容され、その圧縮コイルバネ79の弾発力によって押圧部78が戸尻側に付勢されている。
【0031】
ハンドル部75の上下の両端部には、回動中心から底蓋プレート77側に突出して、各押圧部78における戸尻側の端面に当接した1対のハンドル基端摺接部75K,75Kが設けられている。そして、ハンドル部75を戸尻側に回動すると、図4(B)に示すように、ハンドル基端摺接部75K,75Kが押圧部78,78に摺接しながら圧縮コイルバネ79に抗して押圧部78をベース部71から戸先側に押し出す。また、押圧部78の直動ストロークの初期位置では、図4(A)に示すようにハンドル基端摺接部75Kとベース部71の内面(図4(A)の符号71N参照)との当接によって押圧部78が位置決めされる。また、押圧部78の直動ストロークの終端位置では、図4(B)に示すように、ハンドル部75とベース部71のうちハンドル部75より戸尻側の外面(図4(B)の符号71M参照)との当接によって押圧部78が位置決めされる。なお、アシストハンドル70は、図1に示すように、ガラス戸13を閉じかつ押圧部78が直動ストロークの後端位置に配置された状態で、押圧部78の端面が開閉口10の内側面10Hに対して所定寸法の隙間を開けて対向するように配置されている。
【0032】
本実施形態に係るアシストハンドル70の構成に関する説明は以上である。次に、アシストハンドル70の作用効果について説明する。ガラス戸13が閉じた状態でアシストハンドル70を利用してガラス戸13を開くには、図5(A)に示すように、ハンドル部75の第2L字構成壁75Yに指を掛け、図5(B)に示すように戸尻側に引いてハンドル部75を回転させる。すると、押圧部78が開閉口10の内側面10Hを押圧して、ガラス戸13を開く際の初動抵抗が軽減される。ここで、押圧部78は対をなしてベース部71の上下の1対のベース突部73,73に組み付けられているので、ハンドル部75を戸尻側に引いたときには、1対の押圧部78,78が上下方向で間隔を空けた2箇所で開閉口10の内側面10Hを押圧することになる。これにより、安定した押圧が可能になる。また、ハンドル部75に指を掛ける際に、例えば、図5(A)に示すように、折り曲げた指の間接が戸先框18側に突出しても、図2に示すようにベース部71全体が略C字形状になっているので、指先又は指の関節部分をベース部71における上下の1対のベース突部73,73の間に突入させてハンドル部75に指を掛けることができる。これにより本実施形態のアシストハンドル70では、全体を薄くしてもハンドル部75を操作する際の手がベース部71に干渉し難くなる。即ち、本実施形態のアシストハンドル70によれば、全体を薄くしてガラス戸13からの突出量を抑えることが可能でありかつ操作性も向上させることができる。しかも、ハンドル部75は、回動軸から戸尻側に傾斜して突出した第1L字構成壁75Xと、その先端部から鋭角に屈曲して戸先側に突出した第2L字構成壁75Yとで構成されているので、第1と第2のL字構成壁を直交させた単なるL字形状のハンドル部に比べても非操作時における室内側への突出量を抑えることができる。
【0033】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るアシストハンドル40について、図6〜図9を参照して説明する。このアシストハンドル40は、図6に示すように、戸先框18に固定され、ハンドル部45をスライド操作可能に備えている。
【0034】
アシストハンドル40のベース部41は、図7に示すように、上下方向に延びた連絡部42と、その連絡部42の上下の両端部から戸先側に突出した1対のベース突部43,43とを有し、室内側から見るとベース部41全体が略C字形状になっている。また、ベース部41には、図8に示すように、1対のベース突部43,43のうち連絡部42側の縁部を除いた略全体を、連絡部42に対して室外側に膨出させて1対のフード部44,44が形成されている。また、各フード部44には、戸尻側に向かって開放した開口44Kが形成されている。なお、各フード部44は、連絡部42から突出した方向の途中部分で2分割され、その分割面より戸先框18から離れた側が着脱可能なキャップ44Cになっている。
【0035】
ハンドル部45は、上下方向でベース部41と同じ長さをなした帯板状の本体部45Hと、その本体部45Hの上下の両端部からフード部44,44の開口44K,44Kに向けて突出した1対の連結突片46,46とからなる。そして、図7に示すように、連結突片46,46の略全体がフード部44,44内に収容された始端位置と、図8に示すように、連結突片46,46の先端部のみがフード部44,44内に収容された終端位置との間をスライドする。なお、本体部45Hのうち戸先側を向いた面には、連結突片46,46の間には、本発明に係る前側指先係止凹部45Aが陥没形成されている。
【0036】
1対のベース突部43,43には、前記第1実施形態のアシストハンドル70と同様に押圧部78,78が直動可能に組み付けられている。そして、図7に示すように、ハンドル部45が始端位置に配置された状態では、押圧部78,78がベース突部43,43内で待機する一方、図8に示すように、ハンドル部45を終端位置まで引くと、押圧部78,78がベース突部43,43から戸先側に突出する。このように、ハンドル部45と押圧部78,78とを連動させるために、図9に示すように、各連結突片46と押圧部78とがギヤ連結されている。
【0037】
具体的には、ベース突部43内には、大歯車53と小歯車54とを一体に備えた中継ギヤ55が設けられて、ガラス戸13の厚さ方向で貫通する回転軸を中心に回転可能に支持されている。また、連結突片46のうち戸先框18側に向いた面には、入力ラック52が一体に設けられている。その入力ラック52が、上下方向で中継ギヤ55を間に挟んで押圧部78と反対側から、中継ギヤ55の大歯車53に噛合している。また、押圧部78には中継ギヤ55側を向いた面に出力ラック56が一体に設けられ、その出力ラック56が中継ギヤ55の小歯車54に噛合している。これにより、ハンドル部45を戸尻側に引くと、押圧部78が戸先側に突出するようになっている。
【0038】
本実施形態のようにハンドル部45をスライド操作するタイプのアシストハンドル40においても、ベース部41全体を略C字形状にすることで、指先又は指の関節部分をベース部41における上下の1対のベース突部43,43の間に突入させてハンドル部45に指を掛けることができるようになる。これによりアシストハンドル40全体を薄くしてもハンドル部45を操作する際の手がベース部41に干渉し難くなる。即ち、前記実施形態と同様に、アシストハンドル40全体を薄くしてガラス戸13からの突出量を抑えることが可能でありかつ操作性も向上させることができる。
【0039】
[第3実施形態]
本実施形態のアシストハンドル70Vは、図10(A)及び図10(B)に示されており、前記第1実施形態のアシストハンドル70のハンドル部75に対して、第1L字構成壁75Xを短くする一方、第2L字構成壁75Yを長くしてベース突部73,73の間の空間を覆う位置まで延ばした構造になっている。これにより、アシストハンドル70全体を一層薄くすることができる。
【0040】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 開閉口
10H 内側面
13 ガラス戸(障子)
18 戸先框
40,70,70V アシストハンドル
41,71 ベース部
43,73 ベース突部
45,75 ハンドル部
45A,75F 前側指先係止凹部
71P ピン孔
71W 端部突壁
72 連絡部
73 ベース突部
74 上下対向壁
75P ピン(回動軸)
75R 後側指先係止凹部
75X 第1L字構成壁
75Y 第2L字構成壁
77 底蓋プレート
77N 底蓋固定螺子
78 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開閉口を開閉可能な障子の戸先框における室内面に取り付けられるベース部と、前記ベース部に対して上下に延びた回動軸を中心に回動可能か或いは前記障子のスライド方向にスライド可能なハンドル部と、前記ベース部に対して前記障子のスライド方向に往復動可能な押圧部とを備えてなり、前記障子が閉鎖位置にあるときに前記ハンドル部を前記ベース部に対して戸尻側に操作すると前記押圧部が戸先側に移動して前記開閉口の内側面を押圧し、前記障子の初動抵抗を軽減することが可能なアシストハンドルにおいて、
前記ベース部の上下の両端部から戸先側に1対のベース突部を突出させて、前記ベース部全体を略C字形状にすると共に、前記押圧部を対にして前記1対のベース突部にそれぞれ組み付けたことを特徴とするアシストハンドル。
【請求項2】
前記ハンドル部における上下方向の中間部のうち戸先側を向いた部分に、指先を係止可能な前側指先係止凹部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のアシストハンドル。
【請求項3】
前記ハンドル部における上下方向の中間部のうち戸尻側を向いた部分に、指先を係止可能な後側指先係止凹部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアシストハンドル。
【請求項4】
前記ハンドル部は、上下に延びた回動軸を中心に回動し、
前記ハンドル部のうち上下方向の中間部の水平断面形状は、前記ハンドル部の非操作時において、回動軸から室内側に向かって戸尻側に傾斜するように突出した第1L字構成壁と、その第1L字構成壁の先端部から鋭角に屈曲して戸先側に突出した第2L字構成壁とから構成された略L字形状をなし、前記ハンドル部を可動範囲の初期位置から終端位置まで回動したときに、前記第1L字構成壁が戸尻側に倒れて、前記第2L字構成壁が室内側に突出した状態となるように構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のアシストハンドル。
【請求項5】
前記ベース部には、前記ハンドル部を上下方向で挟むように配置された1対の上下対向壁が設けられて、それら1対の上下対向壁を上下に貫通するピン孔に挿入した1対のピンにて前記ハンドル部が回動可能に支持され、
前記ベース部のうち前記戸先框に宛がわれる底面に底蓋プレートを備え、その底蓋プレートが前記戸先框に螺子止めされると共に、前記1対の上下対向壁から前記ハンドル部と反対側に1対の端部突壁が突出し、それら1対の端部突壁が前記底蓋プレートに重ねられて底蓋プレート固定螺子にて固定され、
前記底蓋プレート固定螺子が前記ピンの延長線上に配置されて、前記ピンの抜け止めに兼用されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のアシストハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−163075(P2011−163075A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30008(P2010−30008)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)