説明

アジュバントとして非メチル化CpGジヌクレオチドを含む核酸の使用

【課題】本発明は、被験体において、少なくとも1つの非メチル化シトシン-グアニン(CpG)ジヌクレオチドを含む核酸が免疫応答に影響するという発見に基づく。
【解決手段】少なくとも1つの非メチル化シトシン-グアニン(CpG)ジヌクレオチドを含むこれらの核酸は、被験体において免疫応答を誘導するために使用され得る。この方法は、抗原ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量、および少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量を被験体に投与する工程を含む。本発明はまた、抗原ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量および少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの有効量を被験体に投与する工程を含む、ウイルス媒介性疾患を有するかまたは有する危険性のある被験体を処置するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的にアジュバントに関し、そして詳細には、アジュバントとして少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG ODN)を有するオリゴヌクレオチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
脊椎動物DNAではなく細菌DNAは、インビトロでの末梢血管単核細胞(PBMC)において直接型の免疫刺激効果を有する(Kriegら、1995)。このリンパ球活性化は、細菌DNAにおいて期待される頻度(1/16)で存在するが、脊椎動物DNAにおいては不十分に示され(CpG抑制、1/50〜1/60)そしてメチル化される非メチル化CpGジヌクレオチドに起因する。活性化はまた、特定の配列状況において非メチル化CpGジヌクレオチドを含む合成オリゴデオキシヌクレオチドの添加によって誘発され得る。おそらくCpGDNAに応答する迅速な免疫活性化が微生物分子に特異的な構造パターンを認識する生得的な免疫防御メカニズムの一つの構成成分として進化し得るようである。
【0003】
CpG DNAは、ほとんどすべての(95%より多い)B細胞の増殖を誘導し、そして免疫グロブリン(Ig)分泌を増加させる。CpGDNAによるB細胞活性化は、T細胞非依存性であり、そして抗原非特異的である。しかし、CpG DNAの低濃度によるB細胞活性化は、B細胞増殖およびIg分泌の両方にB細胞抗原レセプターを通して送達されるシグナルの強力な相乗作用を有する(Kriegら、1995)。B細胞抗原レセプターを通して、およびCpGDNAにより誘発されるB細胞情報伝達経路間のこの強力な相乗作用は、抗原特異的免疫応答を促進する。B細胞の直接的な効果に加えて、CpG DNAもまた、単球、マクロファージ、および樹枝状細胞を直接活性化させて、ハイレベルなIL-12を含む種々のサイトカインを分泌する(Klinmanら、1996;Halpernら、1996;Cowderyら、1996)。これらのサイトカインは、ナチュラルキラー細胞(NK)を刺激して、g-インターフェロン(IFN-g)を分泌し、そして溶解活性を増加させた(Klinmanら、1996,上述;Cowderyら、1996,上述;Yamamotoら、1992;Ballasら、1996)。全体的に、CpGDNAは、Th2サイトカインのわずかな分泌と共にIL-2およびIFN-gによって支配されるサイトカイン産生のTh1様パターンを誘導する(Klinmanら、1996)。B細胞におけるCpGDNAの強力な直接的影響(T細胞非依存性)ならびにT-help経路を介してB細胞で間接的に影響し得るサイトカインの誘導は、ODNの形態におけるCpG DNAのワクチンアジュバントとしての有用性を示唆する。
【0004】
DNAワクチンは、導入遺伝子からインビボで発現された抗原性タンパク質に対して免疫応答を誘導する。このDNAワクチンは、プラスミドDNA発現ベクターの形態において細菌で最もよく産生され、次いで精製されそして筋肉または皮膚に送達される(Vogeland Sarver,1995;Brazolot Millan and Davis,1997;Donnellyら,1996を参照のこと)。DNAワクチンは、動物モデルにおいて多数のウイルス性、細菌性および寄生虫性疾患に対して有効性を示すことが実証されてきた。ほとんどすべての研究は、非常に強くかつ持続性の体液性および細胞介在性免疫反応の誘導、および生存病原体チャレンジに対する防御を示した(ここで評価され得る)。DNAワクチンの有効性は、少なくとも部分的に、有効な抗原提示を導く抗原の連続的なインビボの合成に寄与する。特に、内因的合成抗原は、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)の誘導を導くクラスIMHCによって提示される。対照的に、ほとんど全体が殺傷され、そして抗原が外因性形態において単独にプロセスされたサブユニットワクチンは、しばしばCTLの誘導に失敗する。しかしより最近では、DNAワクチンにおける非メチル化CpGモチーフの存在は、抗原に対する免疫応答の誘導に必要であることが示されている(Satoら、1996)。
【0005】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、深刻な世界規模の健康問題を引き起こす。最近のHBVワクチンは、HBV表面抗原として集団的に知られているいくつかのB細胞およびT細胞抗原エピトープを誘導するHBVエンベロープタンパク質の粒子を含むサブユニットワクチン(HBsAg)である。HBsAg粒子は、慢性的に感染した個体の血漿から精製され得るか、またはより一般的に組み替えタンパク質として生成される。これらのワクチンは、HBsAg(抗-HBs)に対する抗体を誘導し、これは少なくとも1ミリリットルあたり10ミリ国際単位(mIU/ml)の力価を示す場合、保護性を付与した(Ellis,1993)。サブユニットワクチンは安全であり、そして一般的に有効であるが、それらは最近の予防接種の必要性を満たさない。例えば、慢性的に感染した母から生まれた乳児ならびに、風土性領域の他者の早期予防接種は、抜本的に感染率を減少するが、これらの乳児の有意な割合は、いまだ慢性的に彼ら自身に感染している。これは、抗-HBs抗体の高い力価が早期に誘導され得る場合、そしてHBV-特異的CTLが存在する場合においておそらく減少し得る。さらに、応答に失敗する(無応答)、または免疫の保護レベルに達しない(刺激応答)特定の個体が存在する。最終的に、HBVと推定される3億5千万の慢性保菌者のための効果的な処置の緊急必要性が存在し、そして治療用ワクチンは、この必要性を満たし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、B細胞を活性することによって、または単球および他の細胞に誘導することによるTh2からTh1への応答の被験体の免疫応答を再指向することによって、少なくとも1つの非メチル化シトシン-グアニン(CpG)ジヌクレオチドを含む核酸が被験体における免疫応答に影響して、Th1サイトカインを産生するという発見に基づく。少なくとも一つの非メチル化CpGを含むこれらの核酸は、特に抗原タンパク質に対して免疫応答を誘導するアジュバントとして使用され得る。
【0007】
1つの実施態様において、本発明は、抗原の治療的有効量および少なくとも一つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量を被験体に投与することによって、被験体における保護免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、抗原ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量および少なくとも一つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量を被験体に投与することによって免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0009】
なお別の実施態様において、本発明は、抗原の治療的有効量および少なくとも一つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量を被験者に投与することによって慢性感染性疾患を有する被験者を処置する方法を提供する。
【0010】
さらなる実施態様において、本発明は、抗原ポリペプチドをコードする核酸、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量および抗原の治療的有効量を被験者に投与することによって慢性感染性疾患を有する被験体を処置する方法を提供する。
【0011】
別の実施態様において、本発明は、抗原ポリペプチドをコードする核酸および少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの治療的有効量を被験者に投与することによって慢性感染性疾患を有する被験体を処置する方法を提供する。
【0012】
本発明は、薬学的に受容可能なキャリアにおいて免疫刺激性CpGモチーフを含む抗原性タンパク質およびオリゴヌクレオチドをコードする核酸を含む組成物を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアにおいて抗原性タンパク質および抗原をコードする核酸を提供する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアにおいて免疫刺激性CpGモチーフを含む抗原およびオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0014】
したがって、本発明は以下を提供する。
1. 被験体において免疫応答を誘導する方法であって、該方法は、該被験体に、抗原性ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量、ならびに少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量を投与する工程を包含する、方法。
2. 前記オリゴヌクレオチドが8〜30ヌクレオチド長である、項目1に記載の方法。
3. 前記被験体がヒトである、項目1に記載の方法。
4. 前記抗原性タンパク質をコードする核酸がおよび少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量がベクター中で投与される、項目1に記載の方法。
5.前記抗原性タンパク質をコードする核酸がウイルス抗原をコードする、項目1に記載の方法。
6. 前記ウイルス抗原が肝炎ウイルス抗原である、項目5に記載の方法。
7. 前記肝炎ウイルス抗原がB型肝炎ウイルス表面抗原である、項目6に記載の方法。
8. さらにアジュバントを投与する工程を含む、項目1に記載の方法。
9.前記アジュバントが水酸化アルミニウムである、項目8に記載の方法。
10. 前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1CpGX2N23'(配列番号1)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1がアデニン、グアニン、またはチミジンであり、X2は、シトシンもしくはチミジンでありNは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は、約0〜26ヌクレオチドである、項目1に記載の方法。
11. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして核酸配列は、約8〜30塩基長である、項目10に記載の方法。
12. 前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1X2CpGX3X4N23'(配列番号2)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApT、およびApAからなる群より選択され;X3X4は、TpTおよびCpTからなる群より選択され、Nは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は約0〜26ヌクレオチドである、項目1に記載の方法。
13. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして前記核酸配列が、約8〜30塩基長である、項目12に記載の方法。
14. 前記オリゴヌクレオチドが、5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3'(配列番号3)である、項目12に記載の方法。
15. 前記被験体に前記抗原性ポリペプチドの治療有効量を投与する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
16.ウイルス媒介性障害を有するか、ウイルス媒介性障害を有するリスクにある被験体を処置する方法であって、該方法は:該被験体に、抗原性ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量、ならびに少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量を投与する工程を包含する、方法。
17. 前記オリゴヌクレオチドが8〜30ヌクレオチド長である、項目16に記載の方法。
18. 前記被験体がヒトである、項目16に記載の方法。
19. 前記抗原性タンパク質をコードする核酸がおよび少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量がベクター中で投与される、項目16に記載の方法。
20.前記被験体に、前記抗原性ポリペプチドの治療有効量を投与する工程をさらに包含する、項目16に記載の方法。
21.前記抗原性タンパク質をコードする核酸がウイルス抗原をコードする、項目16に記載の方法。
22. 前記ウイルス抗原が肝炎ウイルス抗原である、項目20に記載の方法。
23. 前記肝炎ウイルス抗原がB型肝炎ウイルス表面抗原である、項目22に記載の方法。
24. さらにアジュバントを投与する工程を含む、項目16に記載の方法。
25.前記アジュバントが水酸化アルミニウムである、項目24に記載の方法。
26. 前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1CpGX2N23'(配列番号1)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1がアデニン、グアニン、またはチミジンであり、X2は、シトシンもしくはチミジンでありNは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は、約0〜26ヌクレオチドである、項目16に記載の方法。
27. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして核酸配列は、約8〜30塩基長である、項目26に記載の方法。
28. 前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1X2CpGX3X4N23'(配列番号2)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApT、およびApAからなる群より選択され;X3X4は、TpTおよびCpTからなる群より選択され、Nは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は約0〜26ヌクレオチドである、項目16に記載の方法。
29. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして前記核酸配列が、約8〜30塩基長である、項目28に記載の方法。
30. 前記オリゴヌクレオチドが、5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3'(配列番号3)である、項目28に記載の方法。
31. 慢性ウイルス感染を有するか、慢性ウイルス感染を有するリスクにある被験体を処置する方法であって、該方法は:該被験体に、抗原性ポリペプチドをコードする核酸の治療的有効量、ならびに少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量を投与する工程を包含する、方法。
32. 前記オリゴヌクレオチドが8〜30ヌクレオチド長である、項目31に記載の方法。
33. 前記被験体がヒトである、項目31に記載の方法。
34. 前記抗原性タンパク質をコードする核酸がおよび少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドの治療的有効量がベクター中で投与される、項目31に記載の方法。
35. さらにアジュバントを投与する工程を含む、項目31に記載の方法。
36.前記アジュバントが水酸化アルミニウムである、項目35に記載の方法。
37.前記抗原性タンパク質がウイルス抗原である、項目31に記載の方法。
38. 前記ウイルス抗原が肝炎ウイルス抗原である、項目37に記載の方法。
39. 前記肝炎ウイルス抗原がB型肝炎ウイルス表面抗原である、項目38に記載の方法。
40.前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1CpGX2N23'(配列番号1)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1がアデニン、グアニン、またはチミジンであり、X2は、シトシンもしくはチミジンでありNは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は、約0〜26ヌクレオチドである、項目31に記載の方法。
41. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして核酸配列は、約8〜30塩基長である、項目40に記載の方法。
42. 前記オリゴヌクレオチドが、式:5'N1X1X2CpGX3X4N23'(配列番号2)を有し、ここで少なくとも1つのヌクレオチドは、連続するCpGsを分離し;X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApT、およびApAからなる群より選択され;X3X4は、TpTおよびCpTからなる群より選択され、Nは、任意のヌクレオチドであり、そしてN1+N2は約0〜26ヌクレオチドである、項目31に記載の方法。
43. 前記N1+N2が、1つのCCGGクアドマーまたは1つより多いCGGトリマーを含まず、そして前記核酸配列が、約8〜30塩基長である、項目42に記載の方法。
44. 前記オリゴヌクレオチドが、5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3'(配列番号3)である、項目42に記載の方法。
45.免疫刺激性CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド、および薬学的に受容可能なキャリアにおける抗原性タンパク質をコードする核酸を含む、薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、1μgの組換えHBsAgタンパク質単独、ミョウバンに吸着させた1μgの組換えHBsAgタンパク質(25mgAl3+/mg HBsAg)、100μgの免疫刺激性CpG ODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、またはミョウバンおよびCpGODNの両方を含む1μgの組換えHBsAgタンパク質を用いて免疫されたBALB/cマウスにおける体液性応答を説明するグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより三連で決定された場合の抗HBs(総IgG)の力価についての群の平均(n=10)を表す。終点力価は、0.05のカットオフ値でコントロールの非免疫の血漿の吸光度より2倍高い吸光度値(OD450)を生じる最も高い血漿希釈として定義された。上のグラフは、直線目盛りでの結果を示し、そして下のグラフは対数目盛(log10)での結果を示す。
【図2】図2は、ミョウバン、および0、10、100、または500μgのCpG ODNが添加された1μgの組換えHBsAgタンパク質で免疫されたBALB/cマウスにおける体液性応答を説明するグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=10)を表す。
【図3】図3は、アジュバントを含まない1μgの組換えHBsAgタンパク質、ミョウバンを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、100μgのCpGODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、またはミョウバンおよびCpG ODNの両方を含む1μgの組換えHBsAgタンパク質で免疫されたC57BL/6マウスにおける体液性応答のグラフである。マウスは6週間後に同一の様式で追加免疫された。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=5)を表す。
【図4】図4は、アジュバントを含まない1μgの組換えHBsAgタンパク質、または1、10もしくは100μgのCpGODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質で免疫されたC57BL/6マウスにおける体液性応答のグラフである。マウスは6週間後に同一の様式で追加免疫された。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=5)を表す。
【図5】図5は、アジュバントを含まず、ミョウバンおよび/または10μgのCpG ODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質で免疫された低応答性マウス(B10.S)における体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=5)を表す。
【図6】図6は、ミョウバンを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、またはミョウバンおよび10μgのCpGODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質で免疫された非応答性マウス(C2D)における体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgMまたはIgG)についての群の平均(n=5)を表す。
【図7】図7は、アジュバントを含まない1μgの組換えHBsAgタンパク質、ミョウバンを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、100μgのCpGODNを含む1μgの組換えHBsAgタンパク質、またはミョウバンおよびCpG ODNの両方を含む1μgの組換えHBsAgタンパク質を用いた免疫後8週間でのC57BL/6マウスにおける体液性応答を説明する棒グラフである。マウスは、6週間目で同じ様式で追加免疫された。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(IgG1およびIgG2aアイソタイプ)についての群の平均(n=5)を表す。
【図8】図8は、単独で、または100もしくは500μgのCpG ODNが添加されて注射された10μgのHBsAg発現DNAワクチン(pCMV-S)で免疫されたBALB/cマウスにおける体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=10)を表す。
【図9】図9は、アジュバントを含まない2μgのHBsAg組換えタンパク質、または50μgのpCMV-SDNAワクチンを含む2μgのHBsAg組換えタンパク質で免疫されたB10.Sマウスにおける体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=5)を表す。
【図10】図10は、ミョウバンを含む1μgのHBsAg組換えタンパク質、または10μgのpCMV-SDNAワクチンを含む1μgのHBsAg組換えタンパク質を用いて出生日または7日後において、免疫された新生仔BALB/cマウスにおける、体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=10)を表す。
【図11】図11は、10μgのHBsAg発現DNAワクチン(pCMV-S)で感作され、そして2μgの組換えHBsAgタンパク質を、同時に、同じもしくは異なる筋肉に与えられたか、または2もしくは8週間後にHBsAgを与えられた、BALB/cマウスにおける体液性応答のグラフである。それぞれの点は、終点希釈ELISAアッセイにより決定された場合の抗HBs力価(総IgG)についての群の平均(n=10)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい実施態様の説明
本発明が、それ自体もちろん変化し得る、記載される特定の方法論、プロトコル、配列、モデル、および試薬に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語が、特定の実施態様のみを説明することを目的とし、そして添付の請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも、理解されるべきである。
【0017】
本明細書に記載のすべての刊行物は、ここで説明される発明に関連して使用され得る刊行物中で説明されるオリゴヌクレオチドおよび方法論を説明および開示する目的のために、参考として本明細書に援用される。
【0018】
細胞へのDNAの結合は、リガンドレセプター相互作用に類似することが示されており;結合は、飽和可能、競合的であり、そしてDNAエンドサイトーシスおよびオリゴヌクレオチドへの分解を導く(Bennet,R.M.ら, J. Clin. Invest. 76:2182, 1985)。DNAと同様に、オリゴデオキシリボヌクレオチドは、配列、温度、およびエネルギーとは独立したプロセスにおいて細胞に侵入し得る(JaroszewskiおよびCohen,Ad. Drug Del. Rev. 6:235, 1991)。本明細書で使用される場合、「オリゴデオキシリボヌクレオチド」は、約3〜50塩基長のデオキシリボ核酸配列である。リンパ球のオリゴデオキシリボヌクレオチド取り込みは、細胞活性化によって調節されることが示されている(Krieg,A.M.ら, Antisense Research and Development 1:161, 1991)。例えば、CpGODNを取り込むB細胞は増殖し、そして増加された量の免疫グロブリンを分泌する。本発明は、少なくとも1つの非メチル化シトシン-グアニン(CpG)ジヌクレオチドを含む特定のオリゴヌクレオチド(ODN)が、免疫応答を活性化するという知見に基づく。
【0019】
1つの実施態様では、本発明は、少なくとも1つの非メチル化CpGを含む核酸配列の治療的に有効な量を投与することによって、被験体における免疫応答を刺激する方法を提供する。用語「核酸」または「オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも5塩基長のヌクレオチドのポリマー形態をいう。本発明のヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの改変された形態であり得る。一般的に、二本鎖分子は、インビボでより安定であるが、一本鎖分子が合成骨格を含む場合、一本鎖分子は増加した活性を有する。
【0020】
核酸分子は、分子の骨格内のホスホジエステラーゼ結合、またはメチルホスホチオエート末端結合よりもむしろホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートの使用を含み得る(Krieg, A.M.ら, Antisense and Nucl Acid Drug Dev 6:133-9,1996;Boggs, R.T.ら, Antisense and Nucl Acid Drug Dev, 7:461-71,1997)。ホスフェート骨格改変は、核酸の5'末端で、例えば、核酸の5'末端の最初の2つのヌクレオチドで、生じ得る。ホスフェート骨格改変は、核酸の3'末端で、例えば、核酸の3'末端の最後の5ヌクレオチドで、生じ得る。「Immunestimulation by phosphorothioate oligonucleotide analogs」という題名の国際特許出願WO 95/26204は、ホスホロチオエート改変したオリゴヌクレオチドの非配列特異的免疫刺激効果を報告する。内因性エンドヌクレアーゼによってそれほど容易に認識されない、イノシンおよびキューオシンのような非伝統的塩基、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル-、チオ-、および類似の改変された形態もまた、含まれ得る。他の安定化した核酸分子としては、アルキル-およびアリール-ホスホネート(ここでは、荷電した酸素部分がアルキル化される)のような非イオン性DNAアナログが挙げられる。いずれかまたは両方の末端で、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールのような、ジオールを含む核酸分子も含まれる。用語「オリゴヌクレオチド」は、一本鎖および二本鎖の両方の形態のDNAを含む。
【0021】
「CpG」または「CpGモチーフ」は、シトシンの後にリン酸結合によって連結されたグアニンを有する核酸をいう。用語「メチル化CpG」とは、通常ピリミジン環の5位に生じる、ピリミジン環におけるシトシンのメチル化をいう。用語「非メチル化CpG」とは、ピリミジン環におけるシトシンのメチル化の不在をいう。本発明のオリゴヌクレオチドにおける非メチル化CpGモチーフのメチル化、部分的除去、または除去は、その効果を減少させると考えられる。オリゴヌクレオチドにおけるすべての非メチル化CpGモチーフのメチル化または除去は、その効果を実質的に減少させる。CpGモチーフのメチル化または除去の効果は、その効果がCpGモチーフを含まないオリゴヌクレオチドの効果に類似するならば、「実質的」である。
【0022】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、約8〜30塩基のサイズの範囲にある。本発明における使用のために、核酸は、当該技術分野で周知の多くの手順のいずれかを使用して新たに合成され得る。例えば、b-シアノエチルホスホロアミダイト法(Beaucage,S.L.およびCaruthers, M.H., Tet. Let. 22:1859, 1981);ヌクレオシドH-ホスホネート法(Gareggら,Tet. Let. 27:4051-4054, 1986;Froehlerら, Nucl. Acid. Res. 14:5399-5407,1986;Gareggら, Tet. Let. 27:4055-4058, 1986;Gaffneyら, Tet. Let.29:2619-2622, 1988)。これらの化学は、市場で入手可能な種々の自動化オリゴヌクレオチド合成機によって行われ得る。あるいは、CpGジヌクレオチドは、プラスミドにおいて大規模で産生され得(Sambrook,T.ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborlaboratory Press, New York, 1989を参照のこと)、これは、被験体に投与された後、オリゴヌクレオチドへと分解される。オリゴヌクレオチドは、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを用いる技術のような、公知の技術を使用して、現存する核酸配列(例えば、ゲノムまたはcDNA)から調製され得る。
【0023】
インビボでの使用のために、核酸は、好ましくは、(例えば、エンドヌクレーアーゼおよびエキソヌクレアーゼによる)分解に対して比較的抵抗性である。ステムループのような二次構造は、分解に対して核酸を安定化し得る。あるいは、核酸安定化は、リン酸骨格改変によって達成され得る。好ましい安定化された核酸は、少なくとも部分的にホスホロチオエート改変された骨格を有する。ホスホロチオエートは、ホスホロアミデートまたはH-ホスホネート化学のいずれかを用いる自動化技術を使用して合成され得る。アリール-およびアルキル-ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載のように作製され得;そしてアルキルホスホトリエステル(ここで、荷電した酸素部分は、米国特許第5,023,243号およびヨーロッパ特許第092,574号に記載のようにアルキル化される)は、市販の試薬を使用して自動化固相合成によって調製され得る。他のDNA骨格改変および置換を作製する方法は記載されている(Uhlmann,E.およびPeyman, A., Chem. Rev. 90:544, 1990;Goodchild, J., BioconjugateChem. 1:165, 1990)。
【0024】
インビボでの投与のために、核酸は、標的細胞(例えば、B細胞、単球細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞)表面へのより高い親和性結合、および/または標的細胞による細胞取り込みの増加を生じて「核酸送達複合体」を形成させる分子と会合され得る。核酸は、当該技術分野で周知である技術を使用して、適切な分子とイオン結合または共有結合され得る。種々のカップリングまたは架橋剤、例えば、プロテインA、カルボジイミド、およびN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)が、使用され得る。あるいは、核酸は、周知の技術を使用してリポソームまたはビロソームにカプセル化され得る。
【0025】
1つの実施態様では、本発明の方法に有用な核酸配列は、以下の式によって表される:
5'NXCGXN3'(配列番号1)
ここで、少なくとも1つのヌクレオチドは連続するCpGを分離し;Xは、アデニン、グアニン、またはチミジンであり;Xは、シトシンまたはチミンであり;Nは、任意のヌクレオチドであり、そしてN+Nは、約0〜26塩基である。好ましい実施態様では、NおよびNは、CCGGクアドマー(quadmer)または1つよりも多くのCGGトリマー(trimer)を含まず;そして核酸配列は、約8〜30塩基長である。しかし、任意のサイズの核酸(kbレベルの長さでさえも)は、より長い核酸が、細胞内でオリゴヌクレオチドに分解されるので、CpGが存在するならば本発明で使用され得る。好ましい合成オリゴヌクレオチドは、5'または3'末端にまたはその近くにCCGGクアドマーも、1つより多くのCCGまたはCGGトリマーも含まず、そして/またはコンセンサスな分裂促進性のCpGモチーフは、パリンドロームではない。「パリンドローム配列」または「パリンドローム」とは、逆方向反復(すなわち、ABCDEE'D'C'B'A'のような配列、ここでAおよびA'は通常のワトソン-クリック塩基対を形成し得る塩基である)を意味する。
【0026】
別の実施態様では、本発明の方法は、以下の式によって表されるCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドの使用を包含する:
5'NXXCGXXN3'(配列番号2)
ここで、少なくとも1つのヌクレオチドは連続するCpGを分離し;XXは、GpT、GpG、GpA、ApT、およびApAからなる群より選択され;XXは、TpTまたはCpTからなる群より選択され;Nは、任意のヌクレオチドであり、そしてN+Nは、約0〜26塩基である。好ましい実施態様では、NおよびNは、CCGGクアドマーも、1つより多くのCCGもしくはCGGトリマーも含まない。CpGODNはまた、好ましくは、8〜30塩基長の範囲であるが、このようなより長い核酸が細胞の内部でオリゴヌクレオチドに分解されるので、十分なモチーフが存在するならば、任意のサイズで(kbレベルの長さでさえ)あり得る。この式の好ましい合成オリゴヌクレオチドは、5'および/または3'末端にまたはその近くにCCGGクアドマーも、1つより多くのCCGまたはCGGトリマーも含まず、および/またはコンセンサスな分裂促進性CpGモチーフは、パリンドロームではない。他のCpGオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の方法を使用して効力についてアッセイされ得る。本発明の例示的な核酸配列は、5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3'(配列番号3)である。
【0027】
延長された効果は、安定化されたオリゴヌクレオチドを使用して得られ得、ここでオリゴヌクレオチドは、リン酸骨格改変(例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート改変)を取り込む。より詳細には、リン酸骨格改変は、核酸の5'末端で、例えば、核酸の5'末端の最初の2つのヌクレオチドで生じる。さらに、リン酸骨格改変は、核酸の3'末端で、例えば、核酸の3'末端の最後の5つのヌクレオチドで生じ得る。非メチル化CpGを含む好ましい核酸は、B細胞、単球、および/またはナチュラルキラー細胞応答(例えば、とりわけ、サイトカインの誘導、増殖応答、溶解応答など)に関する比較的高い刺激を有する。
【0028】
非メチル化CpGを含む核酸は、任意の哺乳動物(好ましくは、ヒト)において効果的であり得る。非メチル化CpGを含む異なる核酸は、哺乳動物種に依存する最適な免疫刺激を引き起こし得る。従って、ヒトにおいて最適な刺激を引き起こすオリゴヌクレオチドは、マウスにおいて最適な刺激を引き起こさないかもしれない。当業者は、目的の特定の哺乳動物種に有用である最適オリゴヌクレオチドを同定し得る。
【0029】
「刺激指数」は、種々の免疫細胞アッセイでテストされ得る免疫応答をもたらすためのCpGODNの尺度である。免疫応答の刺激は、種々の免疫パラメータを測定すること、例えば、抗体形成能力、リンパ球亜集団の数、混合白血球応答アッセイ、リンパ球増殖アッセイを測定することによって、アッセイされ得る。免疫応答の刺激はまた、感染または腫瘍増殖への抵抗性を決定するためにアッセイで測定され得る。刺激指数を測定するための方法は、当業者に周知である。例えば、1つのアッセイは、マウスB細胞培養物中のHウリジンの取り込みであり、これは、37℃にて20時間20μMのオリゴヌクレオチドと接触され、そして1μCiのHウリジンでパルスされ;そして採取されそして4時間後にカウントされた。特定のサイトカインの分泌の誘導はまた、刺激指数を評価するために使用され得る。1つの方法では、B細胞増殖に関するCpGODNの刺激指数は、少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約15、および最も好ましくは少なくとも約20であるが、個体間の刺激指数に差があることを認識する。
【0030】
本発明のCpG ODNは、サイトカイン産生(例えば、IL-6、IL-12、IFN-γ、TNF-α、およびGM-CSF)を刺激し、B細胞を活性化し、そしてMHCおよびB7分子の発現をアップレギュレートする。代表的配列は、以下を含む:
【0031】
【化1】

【0032】
好ましいCpG ODNは、治療指標に依存して、少なくとも約500pg/mlのTNF-α、15pg/mlのIFN-γ、70pg/mlのGM-CSF、275pg/mlのIL-6、200pg/mlのIL-12をもたらし得る。これらのサイトカインは、当該技術分野で周知のアッセイによって測定され得る。上記のODNまたは他の好ましいCpG ODNは、当該技術分野で周知のアッセイで、少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、および最も好ましくは少なくとも約20%のYAC-1細胞特異的溶解、または少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約35%、および最も好ましくは少なくとも約40%の2C11細胞特異的溶解をもたらし得る。
【0033】
「抗原性ポリペプチド」は、適切な条件下で免疫応答を誘導し得る任意のポリペプチドである。抗原性ポリペプチドとしては、ウイルスタンパク質、またはそのフラグメントが挙げられるがこれに制限されない。ウイルス性ポリペプチドの一次アミノ酸配列の小改変はまた、対応する改変されていないポリペプチドと比較して実質的に同等の抗原活性を有するポリペプチドを生じ得る。このような改変は、部位特異的変異誘発によるように、計画的であり得るか、または自然に発生し得る。これらの改変により生成されたポリペプチドの全ては、抗原性が依然として存在する限り、本明細書中に含まれる。抗原性ウイルスポリペプチドの非限定的な一つの例は、B型肝炎の表面抗原である。
【0034】
本明細書中で使用される用語「実質的に精製された」とは、天然に随伴する他のタンパク質、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に含まないポリペプチドをいう。当業者は、ウイルス性ポリペプチドを、タンパク質の精製のための標準的な技術を用いて精製し得る。実質的に純粋なポリペプチドはしばしば、非還元のポリアクリルゲル上で単一の主要なバンドを生じる。ウイルス性ポリペプチドの純度はまた、アミノ末端アミノ酸配列分析により決定され得る。
【0035】
本発明は抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用する。これらのポリヌクレオチドには、抗原性ポリペプチドをコードするDNA、cDNA、およびRNA配列が挙げられる。このようなポリヌクレオチドには、天然に存在する、合成の、および意図的に操作されたポリヌクレオチドが挙げられる。例えば、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドが抗原性のままである限り、部位特異的変異誘発に供され得る。
【0036】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸配列」とは、少なくとも10塩基長の重合形態のヌクレオチドをいう。「単離されたポリヌクレオチド」により、それが由来する生物の天然に存在するゲノムにおいて、すぐに連続する(1つは5'末端上および1つは3'末端上)コード配列の両側の配列とは、すぐには連続していないポリヌクレオチドが意味される。従って、この用語には、例えば、ベクター、自己複製するプラスミドもしくはウイルス、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれる組換えDNA、あるいは他の配列と独立した別個の分子(例えば、cDNA)として存在する組換えDNAが挙げられる。本発明のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたは改変された形態のいずれかのヌクレオチドであり得る。この用語には一本鎖および二本鎖形態のDNAが含まれる。
【0037】
本発明において、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現ベクターに挿入され得る。用語「発現ベクター」とは、抗原性ポリペプチドをコードする遺伝子配列の挿入もしくは組み込みにより操作された当該分野で公知のプラスミド、ウイルスまたは他のビヒクルをいう。抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結され得る。「作動可能に連結された」とは、並列(juxtaposition)をいい、ここでそのように記載される成分は、その成分が、それらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある。コード配列に作動可能に連結された発現制御配列は、コード配列の発現が、発現制御配列に適合する条件下で達成されるように、連結される。本明細書中に使用される場合、用語「発現制御配列」とは、作動可能に連結された核酸配列の発現を調節する核酸配列をいう。発現制御配列は、その発現制御配列が、核酸配列の転写および適切な場合に翻訳を制御し、そして調節する場合、核酸配列に作動可能に連結されている。従って、発現制御配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター(タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)として)、イントロンについてのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にするための遺伝子の正確なリーディングフレームの維持および停止コドンを含み得る。用語「制御配列」は、最低限、その存在が発現に影響を与え得る成分が含まれることが意図され、そして、その存在が利点であるさらなる成分(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)もまた含み得る。発現制御配列はプロモーターを含み得る。
【0038】
「プロモーター」によって、転写を指向する十分な最小限の配列が意味される。細胞型特異的、組織特異的について制御可能な、または外部シグナルもしくは因子により誘導可能なプロモーター依存性の遺伝子発現を付与するのに十分なこれらのプロモーターエレメントもまた本発明に含まれる。このようなエレメントは遺伝子の5'または3'領域に位置され得る。構成性プロモーターおよび誘導プロモーターの両方が本発明に含まれる(例えば、Bitterら、1987,Methods in Enzymology 153:516-544を参照のこと)。哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルスの長末端反復、;アデノウイルスの後期プロモーター;ワクシニアウイルスの7.5Kプロモーター)、サイトメガロウイルス(CMV)、もしくはB型肝炎ウイルス(HBV)が使用され得る。組換えDNAまたは合成技術により生成されたプロモーターはまた、本発明の核酸配列の転写を提供するために使用され得る。
【0039】
「治療的有効量」とは、被験体において徴候を予防、治癒、または少なくとも部分的に抑止するために必要な本発明の化合物の量を意味する。被験体は、任意の哺乳動物、好ましくはヒトである。治療使用に有効な量は、疾患の重篤度、ならびに被験体の体重および一般的状態に依存して変化し得る。代表的には、インビトロで使用される投与量は、薬学的組成物のインサイチュ投与に有用な量に、有用なガイダンスを提供し得、そして動物モデルは、特定の障害の処置に有効な投与量を決定するために使用され得る。種々の考察が、例えば、Gilmanら編, Goodman And Gilman's: The Pharmacological Bases ofTherapeutics, 第8版, Pergamon Press, 1990;およびRemington's PharmaceuticalScience, 第17版, Mack Publishing Co., Easton, Pa, 1990(それぞれ参考として本明細書に援用される)に記載される。
【0040】
少なくとも1つの非メチル化CpGを含むオリゴヌクレオチドは、免疫応答を賦活化するために単独で使用され得るか、または別のアジュバントと組み合わせて投与され得る。「アジュバント」は、体液性および/または細胞性免疫応答を刺激し得る任意の分子または化合物である。例えば、少なくとも1つの非メチル化CpGを含むオリゴヌクレオチドが、別のアジュバントと組み合わせて投与される場合、オリゴヌクレオチドは、他のアジュバントの前、後および/または同時に投与され得る。少なくとも1つの非メチル化されたCpGを含むオリゴヌクレオチドは、免疫応答を賦活化するその能力に加え、さらなる効力を有し得る。
【0041】
本発明はさらに、サイトカインのレベルを調節する方法を提供する。用語「調節する」とは、過剰発現される場合の特定のサイトカインの発現の抑制、あるいは発現不足の場合の特定のサイトカインの発現の増大を意味する。特定のサイトカインの調節は、局所的または全身的に起こり得る。CpGオリゴヌクレオチドは、精製されたNK細胞を直接活性化しないが、むしろ、NK細胞をそれらのIFN-γ産生の顕著な増加を伴いつつIL-12に対して応答するためにコンピテントにさせると考えられる。NK細胞によるIL-12産生およびその後の増加したIFN-γ分泌を誘導することによって、免疫刺激性核酸はまた、Th1型免疫応答を促進する。高度に精製されたT細胞による増殖またはサイトカイン分泌の直接活性化は、見いだされていない。サイトカインプロファイルは、免疫応答におけるT細胞調節およびエフェクター機能を決定する。
【0042】
サイトカインはまた、T細胞応答を指示する役割を果たす。ヘルパー(CD4)T細胞は、B細胞および他のT細胞を含む他の免疫系細胞において作用する可溶性因子の産生によって、哺乳動物の免疫応答を構成する。ほとんどの成熟CD4Tヘルパー細胞は、2つのサイトカインプロファイル:Th1またはTh2の1つを発現する。Th1細胞は、IL-2、IL-3、IFN-γ、TNF-β、GM-CSF、および高レベルのTNF-αを分泌する。Th2細胞は、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、GM-CSF、および低レベルのTNF-αを発現する。Th1サブセットは、遅延型過敏症、細胞媒介免疫、およびIgG2aへの免疫グロブリンクラススイッチを促進する。Th2サブセットは、B細胞を活性化すること、抗体産生を促進すること、およびIgGおよびIgEへのクラススイッチを誘導することによって、体液性免疫を誘導する。
【0043】
いくつかの因子は、Th1またはTh2プロファイルへの拘束に影響を及ぼすことが示されている。最もよく特徴づけられたレギュレーターはサイトカインである。IL-12およびIFN-γは、ポジティブTh1およびネガティブTh2レギュレーターである。IL-12は、IFN-γ産生を促進し、そしてIFN-γは、IL-12についてのポジティブフィードバックを提供する。IL-4およびIL-10は、TH2サイトカインプロファイルの確立に必要とされ、そしてTh1サイトカイン産生をダウンレギュレートするようであり;IL-4の効果は、いくつかの場合には、IL-12の効果よりも優性である。IL-13は、IL-4と類似のように、LPS誘導した単球によるIL-12およびTNF-αを含む、炎症性サイトカインの発現を阻害することが示された。IL-12p40ホモダイマーは、IL-12レセプターに結合し、そしてIL-12生物学的活性を拮抗し;したがって、IL-12のプロTh1効果をブロックする。
【0044】
本発明はさらに、ウイルス媒介性の障害を有するかまたは有する危険のある被験体に、本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを提供する。本発明の薬学的組成物を「投与すること」は、当業者に公知の任意の手段によって達成され得る。
【0045】
本発明の薬学的組成物は、一般的には、局所的に、静脈内に、経口で、非経口で、または移植物として投与され、そしてさらに直腸使用が理論上は可能である。適切な固体または液体薬学的調製物形態は、例えば、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、乳剤、懸濁剤、クリーム、エアロゾル、アンプル形態での点滴または注射可能溶液、およびその上、活性化合物の延長された放出を有する調製物であり、その調製物において、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨化剤、滑沢剤、香味剤、甘味剤、または溶解剤のような、賦形剤および添加物、および/または補助剤が、上記のように習慣的に使用される。薬学的組成物は、種々の薬物送達システムにおける使用に適切である。薬物送達のための本発明の方法の簡単な総説については、Langer, Science 249:1527-1533, 1990を参照のこと、これは参考として本明細書に援用される。
【0046】
薬学的組成物は、好ましくは、用量単位で調製および投与される。固体投与単位は、錠剤、カプセル、および坐剤である。患者の処置については、化合物の活性、投与の様式、障害の性質および重篤度、患者の年齢および体重に依存して、異なる用量が必要である。しかし、特定の状況下では、より高いまたはより低い用量は適切であり得る。用量の投与は、個々の用量単位または他にいくつかのより少量の用量単位の形態での単回投与、および特定の間隔で分割した用量の複数回の投与の両方によって行われ得る。
【0047】
本発明の薬学的組成物は、局所的または全身的に投与され得る。「治療的有効用量」とは、障害およびその合併症の徴候を予防、治癒、または少なくとも部分的に抑止するために必要な本発明の化合物の量を意味する。この使用に有効な量は、もちろん、疾患の重篤度ならびに患者の体重および一般的状態に依存する。代表的には、インビトロで使用される投与量は、薬学的組成物のインサイチュ投与に有用な量に有用な指針を提供し得、そして動物モデルは、特定の障害の処置に有効な投与量を決定するために使用され得る。種々の考察が、例えば、Glimanら編, Goodman And Gilman's: The Pharmacological Bases ofTherapeutics, 第8版, Pergamon Press, 1990;およびRemington's PharmaceuticalScience, 第17版, Mack Publishing Co., Easton, Pa, 1990(それぞれ参考として本明細書に援用される)に記載される。
【0048】
以下の実施例は、明示的にまたは暗示的にかのいずれかで、いかなる様式、形状、または形態で本発明を限定しないように例示することを意図する。これらは、使用され得るものの代表であるが、当業者に公知の他の手順、方法論、または技法が、代わりに使用され得る。
【実施例】
【0049】
実施例
ここで、本発明者らは、組換えタンパク質として与えられたかまたはDNAワクチンからインビボで発現されたB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)に対するマウスの免疫のためのアジュバントとしてのCpGODNの使用を評価する。
【0050】
材料および方法
動物
成体マウスにおける実験を6〜8週齢の雌性BALB/c(H-2d,好(good)応答性マウス)、C57BL/6(B10,H2b,平均的応答性マウス)およびB10.S(H-2b,HBsAgに対してMHC拘束性の低応答性マウス)マウス(Chars River,Montereal,QC)を用いて行った。遺伝子ノックアウトに起因してMHCクラスII欠損を有するマウス(C2D,H-2b, GenPharm, Mountain View, CA)を、非応答性モデルとして使用した。
【0051】
新生マウスを本発明者らの独自の動物施設(Loeb ResearchInstitute, Ottawa Civic Hospital, Ottawa, ON)において雄および雌のBALB/cマウス(Chars River)繁殖させることにより得た。妊娠した雌を出生日の正確な記録を保証するために、毎日モニタリングした。雄および雌の新生仔を免疫のために用いた。
HBsAgサブユニットのマウスのワクチン接種
サブユニットワクチンは、酵母細胞(Medix Biotech #ABH0905)において組換えタンパク質として産生されたHBsAg(ayサブタイプ)からなる。これをアジュバントを含まない使用のために生理食塩水で希釈した。HBs抗原をまた、アジュバントとしてのミョウバンおよび/またはCpGODNを用いて処方した。HBsAgタンパク質を、市販のワクチン(すなわち、HBs抗原1μgあたり2.5μlの2% Al2O3)において使用されるように、タンパク質1mgあたり25mgのAl3+と同じ割合で、水酸化アルミニウム(Alhydrogel85, [Al2O3],Superfos Biosector, Vedbaek, Denmark)と混合した。タンパク質およびミョウバンをボルテックスで混合し、次いで、Al2O3にタンパク質を吸着させるために、使用前に氷上に少なくとも30分間静置した。この溶液をシリンジに3〜5回引くことにより、注射のすぐ前に再度混合した。
【0052】
CpG ODNで処置した群について、適切な容量のホスホロチオエート骨格(OligosEtc. & Oligo Therapeutics, Wilsonville, OR)で合成された配列(TCCATGACGTTCCTGACGTT)の合成オリゴヌクレオチド(ODN#1826)を注射の日に、単独、またはミョウバンとともに、HBsAgに添加した。成体マウスは、アジュバント(ミョウバンおよび/またはCpG ODN)を含むかまたは含まない、1または2μgのHBsAgを50μlのビヒクルで、左前脛骨(TA)筋に単回の筋肉内(IM)注射を受けた。CpGODNを添加した場合、それぞれの動物は、総量1、10、100または500μgのODNを受けた。新生マウスに、合計1μgのHBsAgを、後部大腿筋肉に左右に分けて(2×10μl@0.05mg/ml)注射することにより、出生後24時間または出生後7日以内に免疫した。全ての注射を、連結された(fused)29G注射針を有する0.3mlのインスリンシリンジ(BectonDickenson, Franklin Lakes, NJ)を用いて行った。成体の注射のために、注射針に、注射針の貫通を約3mmまでに制限するためにポリエチレンチューブ(PE)のカラー(collar)を取り付けた。全ての筋肉内注射を皮膚(剃られていない)を介して、および全身麻酔下(ハロタン,HalocarbonLaboratories, River Edge,NJ)で行った。
【0053】
DNAに基づいたマウスの免疫
HBVエンベロープの主要タンパク質(S)をコードするプラスミド構築物を用いて、マウスをHBsAgに対して免疫した。頭部〜尾部(head-to-tail)融合(Duboisら、1980)として、HBVゲノム(aywサブタイプ;GeneBank参照番号 HPBAYW)の2つのコピーを含むプラスミドpCP10を、エンベロープコード配列およびウイルスポリアデニル化シグナルを含む3'非翻訳配列の供給源とした。pCP10(Sコード配列を含む)由来の1.9kbのXhoI-BglII制限フラグメントを、ポリリンカーにおける外部制限部位を含む、改変されたpBluescript SKベクター(Shahragim Tajbakhsh博士の厚意により提供された、Pasteuer Institute)の対応する部位にクローニングした。次いで、KpnI-BssHII制限フラグメントを取り除き、そして、ポリリンカーのKpnI部位およびベクターのネオマイシン遺伝子内のBssHII部位を用いて、pRc/CMV発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。このクローニング工程は、エンベロープ配列をCMVプロモーターの制御下に配置し、そしてウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、f1複製起点、SV40プロモーターおよびSV40複製起点、ならびにほとんどのネオマイシン遺伝子を取り除く。pRc/CMVベクターからのSV40ポリアデニル化シグナルは、転写されたHBV配列の後に見出される。この構築物は、以前に記載(Davisら、1993)されており、本明細書中ではpCMV-Sと命名する。
【0054】
DNAをQiagen 陰イオン交換クロマトグラフィーカラム(Qiagen GmbH,Hilden, Germany)で精製した。主に、スーパーコイルで、二本鎖で、閉環DNAを生じるこの方法は、実質的に、染色体DNA、RNAまたはタンパク質の混入を生じず、そしてエンドトキシンの混入も非常に少ない。DNAを滅菌生理食塩水(0.15MNaCl, BDH)に再懸濁し、そしてDNAの濃度を紫外線の吸光度(OD 260)に基づいて計算した。最終濃度を0.1〜1mg/mlに調整し、そしてDNA溶液を注射のために必要となるまで-20℃で保存した。
【0055】
成体マウスへの直接的な遺伝子の移入を、それぞれの動物が総量1、10、または100μgのDNAを受けるように、50μlのDNAをTA筋肉へ、片側または左右のIM注射により行った。新生マウスは、後部大腿筋肉の左右への注射(2×10μl@0.5mg/ml)により合計10μgのDNAを受けた。連結された29Gの注射針を有する0.3mlのインスリンシリンジを用いて注射を行い、そして成体への注射のために、注射針の貫通が約2mmまでに制限されるようにPEチューブのカラーを針に取り付けた。全ての筋肉内注射を(成体については剃られた皮膚を介する)全身麻酔(ハロタン)下で行った。
【0056】
実験群
アジュバントとしてのミョウバンおよびCpG ODNとHBsAgサブユニットワクチンとの比較
成体BALB/cマウス(n=10)の6つの群に、1μgのHBsAg((i)HBsAg単独、(ii)ミョウバンとの混合されたHBsAg(iii)、100μgのCpGODNと混合されたHBsAg、または(iv、v、vi)ミョウバンおよび10、100もしくは500μgのCpG ODNの両方と混合されたHBsAg)を注射した。これらの動物を、免疫後1、2、3および4週間目に採血し、そして血漿を抗HBsについてアッセイした。成体のC57BL/6(B10)、B10.SおよびC2Dマウス(n=5)の群に、1μgのHBsAg((i)HBsAg単独、(ii)ミョウバンと混合されたHBsAg(iii、iv、v)1、10もしくは100μgのCpGODNと混合されたHBsAg、または(vi、vii)ミョウバンおよび10もしくは100μgのCpG ODNの両方と混合されたHBsAg)を注射した。それぞれの動物を、6週間目に同一の手順で追加免疫した。免疫後、1、2、4、6および8週間目に、マウスを採血し、そして血漿を抗HBsについてアッセイした。
【0057】
HBsAg発現DNAワクチンを伴うアジュバントとしてのCpG ODNの使用
成体のBALB/cマウス(n=10)の3つの群に、単独または添加された100もしくは500μgのCpGODN含む合計10μgのpCMV-S DNAを、2つの注射部位間に分けて注射した。低応答性マウス(B10.S)および類似遺伝子(B10)マウス(n=10)に50μgのpCMV-SDNAを2つの部位間に分けて免疫した。
【0058】
サブユニットまたはDNAワクチンによる新生児の免疫化
新生BALB/cマウス(n=10)、24時間未満齢または7日未満齢の群に、全量1μgのHBsAgをミョウバンとともにまたは10μgのpCMV-SDNAとともに注入した。血漿を4、8、12、および16週で、抗HBsのアッセイのために取得した。
【0059】
タンパク質追加免疫と組み合わせたDNA感作
まず、BALB/cマウス(n=10)の5つの群を、左TAへの10μgのpCMV-Sの1度の注入で免疫化し、そして(i)他の処置を受けない、または2μgの純粋なHBsAg(アジュバントなし)を(ii)同時に同一部位へ受ける、(iii)同時に異なる部位(左四頭筋)に受ける、(iii)2週間後異なる部位に受ける、あるいは(iv)8週間後異なる部位で受ける。マウスを、1、2、4、6、8、12、20および24週で出血させた。
【0060】
HbsAgに対する免疫応答の評価
ヘパリン処理した血液は、他で述べるように(Michelら、1995)、軽度に麻酔されたマウスの眼球後の穿刺により収集した。血漿を、遠心分離により回収した(13,000rpm、7分間)。血漿中のHBsAgに特異的な抗体を、個体のサンプルにおいて検出し、そして、終点希釈ELISAアッセイ(3通り)により定量した。血漿の10倍連続希釈を、最初に、血漿由来HBsAg粒子からなる固相を含む96ウェルマイクロタイタープレート(1μg/mlのHBsAgay サブタイプの100μl/ウェルを、一晩、室温でコーティング)に加え、そして37℃で1時間インキュベートする。次いで、結合抗体を、HRP結合化ヤギ抗マウスIgG、IgM、IgG1、またはIgG2a(PBS-Tween、10%FCS中で1:4000希釈;100μl/ウェル、Southern Biotechnology Inc., Birmingham, AL)とともに37℃で1時間インキュベート、次にOPD溶液(100μl/ウェル、Sigma,St. Louis, MO)とともに30分間、室温にて暗所でインキュベートすることによって検出する。反応を、硫酸(50μlの4N H2SO4)を加え停止させた。終点力価を、0.05のカットオフ値を用いて、非免疫血漿の場合を超えて2倍の吸光度の値(OD450)を生じる最大の血漿希釈として定義した。抗HBs力価を、個々の動物の値(この値自体は、3通りのアッセイの平均値)の群の平均として表した。
【0061】
結果
CpG ODN対HBVサブユニットワクチンのためのアジュバントとしてのミョウバン
体液性の応答の強度および反応速度論
HBsAg単独を用いるBALB/cマウスの免疫化は、4週間までに低力価の抗HBs(<100)のみを誘発する。これらの力価は、アジュバントとしてミョウバンを加えると、10倍高く、CpGODNを用いると60倍高く、そしてミョウバンとCpG ODNの両方を用いると500倍を越える高さであった(図1)。ミョウバンと組み合わせた場合、CpG ODNについて用量応答性があり、中間的な用量(100μg)で最も良好な結果が得られ、ならびに、より低い用量およびより高い用量(10または500μg)を用いると同様のいくぶん乏しい結果が得られた。それにもかかわらず、CpGODNの全ての用量は、ミョウバン単独と比べて、力価を非常に改善した。
【0062】
マウスC57BL/6系統において、HBsAg感作後4週間の抗体力価はBALB/cマウスにみられるものの約10分の1であったが、6週間後に追加免疫した場合、2週間以内に同様のレベルにまで上昇した。単独で用いた場合、ミョウバンおよびCpGODN(100μg)は各々体液性応答を約100倍増強したが、共に用いた場合、力価を約1000倍増加させた。これらのマウス(ミョウバン非存在)におけるCpGODNの用量応答にもまた注目した。全ての用量はアジュバント効果を有していたが、100μgは、10μgまたは1μgのいずれかよりも優れていた(図4)。
【0063】
低応答性B10.Sマウスにおいて、HBsAg単独を用いると抗HBs抗体は検出されず、そしてCpGODNまたはミョウバンのいずれかを添加した場合、低力価が得られた。ミョウバンおよびCpGを共に用いると、BALB/cおよびC57BL/6マウスにおいてよりも相乗効果はより不明確になるが、最も良好な結果が得られた(図5)。非応答性(C2D)マウスは、HBsAgを単独で用いた免疫化の後、検出可能な抗HBsを有さなかった。ミョウバンを加えると、低レベルのIgMが存在し、そしてこれはさらなるCpGODNの添加により4倍に上昇した。HBsAgおよびミョウバンの注入後、本質的に検出可能なIgGは存在しないが、ミョウバンおよびCpG ODNの両方を用いると低力価が存在する(図6)。CpGDNAを用いる処置は全てのマウスにより十分に耐性を示し、500μg用量さえ受け入れた。毛の逆立て、下痢または他の毒性のシグナルは、出現しなかった。
【0064】
Th1対Th2応答
C57BLマウスの、HBsAg単独またはミョウバンを含むHBsAgのいずれかでの免疫化は、IgGイソ型抗体であるほとんどすべて(>99%)の抗体とのTh2型体液性応答を主に誘導した。CpGODNは、有意により多くのIgG2a抗体を誘導し、これは、IgG1がいまだに優位ではあるが、Th1型応答の指標である。注目すべきことに、ミョウバンとCpGODNの組合せは、IgG1よりIgG2をさらに約10倍を誘導し、これはTh2からのTh1への実際の移動を示唆する(図7)。BALB/cマウスにおいて、ミョウバンとの、抗HBs応答はTh2であるが、アジュバント非存在下ではTh1−Th2の混合であり、CpGODNをともなう場合は、強力にTh1であった。
【0065】
HBV DNAワクチンへのアジュバントとしてのCpG ODN
DNAワクチンは、HBsAgを誘導する場合(ミョウバンが含まれている場合でさえ)よりも迅速に抗HBsのレベルをより高く誘導した(図1および図8を比較のこと)。CpGODNのpCMV-S DNAワクチンへの添加は、4週間までに、抗HBs力価をさらに5倍増加させた。500μg用量は、100μg用量よりもわずかに良好であった(図8)。DNAワクチンはまた、低応答性マウスにおけるHBsAgサブユニットワクチンよりも優れていた。1度のDNA注入は、より早期の抗HBsの出現を誘導し、そしてこれらは0週および4週で与えられるタンパク質の2用量よりも高い力価に達した(図9)。
【0066】
新生児の抗原対DNAベース免疫化
HBsAgおよびミョウバンを用いる、出生日におけるマウスの免疫化は、その後16週まででさえも、検出可能な抗HBsを有しなかった。それに対して、DNAワクチンを注入したものは、低いレベルの抗HBsを4週間までに有し、そして、16週までに良好な力価(103)を有した。DNAワクチンを用いると、抗HBsの誘導はより非常に早期に出現し、そしてさらに非常に高くなることを示したが、DNAまたはタンパク質のいずれかによる7日齢マウスの免疫化は、抗HBsを誘導した。実際、1日目のDNAワクチンは、7日目に与えられるタンパク質ワクチンより優れている(図10)。
【0067】
DNAベース免疫化および抗原ベース免疫化の組合せ
同一部位または異なる部位のいずれかにおける純粋な組換えHBsAgおよびDNAワクチンの同時投与は、DNAワクチン単独で誘導されたものを超える、抗HBsの力価を有意には改善しなかった。また、DNAワクチン後2週間で、HBsAgタンパク質が与えられた場合、追加免疫応答は、見られなかった。しかし、DNAワクチン後8週間でのタンパク質ワクチンの投与は、DNAワクチン単独の場合より10倍を越える力価の上昇をともなう強力な追加免疫応答を与えた(図11)。
【0068】
考察
HBVサブユニットワクチンを伴うアジュバントとしてのマウスにおけるCpG ODN対ミョウバン
CpG ODNは、マウスにおけるHBsAgサブユニットを用いたアジュバントとして、それぞれ単独で用いる場合、ミョウバンと同程度に良好、またはミョウバンより優れている。これは、CpGODNが、ワクチン処方物においてミョウバンを置き換えるために用いられ得、これは筋肉における局所的な刺激作用に起因する関連した副作用を避けるために所望され得ることを示す。さらに、特定の生−弱毒化ワクチンまたは多価ワクチンについて、化学的相互作用を通じてワクチンの有効性を妨害するミョウバンを用いることは不可能である。これはCpGODNの場合は生じない。
【0069】
さらに興味深いのは、CpG ODNおよびミョウバンがHBsAgサブユニットワクチンのアジュバントに対して共に用いられる場合の、強力な相乗作用応答である。ヒトにおいて、これは、2用量のワクチン後、またはおそらく1用量のワクチン後であっても抗HBsの感染防御力価を達成する個体の、さらに高い割合を生じ得る。さらに、感染防御力価は、より急速に到達されるべきであり、そしてこれは特定の地域(endemicarea)における免疫化について有利である。これらは、ミョウバンの存在下または非存在下にかかわらず、明らかに弱いCpG ODN用量応答性であり、このことは広範囲のCpGODNが、ヒトにおけるアジュバントワクチンに有用であり得ることを示す。
【0070】
ミョウバン存在下であっても、CpG ODNはTh1応答を誘導する。
【0071】
水酸化アルミニウム(ミョウバン)は、現在、ヒトでの使用に承認された唯一のアジュバントである。ミョウバンの重要な不利な点は、ミョウバンがTh1型免疫応答よりもむしろTh2免疫応答を誘導することであり、これはCTLの誘導により妨害され得る。実際、組換えHBsAgにより免疫化されたマウスにおいて、ミョウバンの添加は選択的にCD8+CTLの活性化をブロックする(Schirmbeckら、1994)。HBVに対する感染防御免疫には必須ではないが、それにもかかわらず、CTLは重要な役割を果たし得る。例えば、HBV特異的CTLの欠損は、慢性キャリアー状態に寄与すると考えられる。対照的に、ミョウバンに対するCpGODNのアジュバントとしての主な利点の1つは、応答のTh1バイアスであり、従ってCTL誘導の可能性となる。本発明による顕著な発見は、2つのアジュバントが一緒に送達される場合、CpGは、ミョウバンのTh2バイアスを完璧に相殺し得ることである。これにより、2つのアジュバントの体液性応答における強い相乗的作用の利用が可能になり、一方、CTLはなお体液性応答が可能である。
【0072】
ミョウバンの使用は、Th2型疾患と関連づけられてきた。より高度な先進国ほど喘息(別のTh2型疾患)の罹患率がはるかに高いことは、高い衛生レベルおよび小児感染の迅速な処置と関連づけられ得る(CooksonおよびMoffatt、1997)。細菌DNA(および免疫賦活性CpGモチーフ)への初期の曝露は、Th2型応答からTh1型応答へ免疫系を押しやり、そしてこれはより発展途上国に(ここでは、小児期の間にかなり高い頻度の上気道感染が存在する)おけるより低い喘息の発生率を説明する。全ての小児科ワクチンへのアジュバントとしてのCpGODNの添加は、Th1型応答を再確立し得、これにより喘息の発生率を減少させる。
【0073】
CpGジヌクレオチドおよびDNAワクチン
ごく最近ではあるが、DNAワクチン中の非メチル化CpGの存在は、非常に少量しか発現されない抗原に対する免疫応答の誘導に必須であることが示された(Satoら、1996)。このように、DNAワクチンは、CpGDNAの形態において、それ自体のアジュバントを提供する。2本鎖ではなく1本鎖がインビトロで免疫賦活性を誘導し得るので(Kriegら、未公開の観察)、インビボにおけるDNAワクチンのCpGアジュバント効果は、ヌクレアーゼによるプラスミド分解により生じるオリゴヌクレオチドに起因するようである。筋肉に注射されたプラスミドDNAの少量部分のみが、実際に筋線維に侵入し、そして発現され、プラスミドの大部分は細胞外空間で分解される。
【0074】
ヒトでの使用のためのCpGおよびHBVワクチン
予防薬ワクチン
20%未満の健常個体は、サブユニットHBVワクチンの1用量後に抗HBsの感染防御レベル(10mIU/ml)を達成し、そして60%〜70%のみが、2用量後にこのレベルに達する。従って、ワクチン化された個体の>90%が抗体陽転するためには、3用量(通常、0、1、6ヶ月に与えられる)が必要である。3用量レジメは、患者の不十分な服薬率によって、しばしば完了せず、そして特定の地域において、感染防御レベルは十分に急速には誘導され得ない。従って、感染防御免疫を、より急速に、およびより少ない用量で誘導し得る、予防薬ワクチンの必要性が存在する。これは、サブユニットワクチンへのアジュバントとしてのCpGODNの添加により可能となり得る。別の可能性はHBsAg発現DNAワクチンであり、これはCpGジヌクレオチドモチーフを添加することにより最適化され得る。DNAワクチンは、製造における比較的低コスト、製造の簡便さ、およびコールド・チェーンを回避する熱安定性のような、さらなる利点を提供する。
【0075】
特定の地域に生まれた新生児は、若年齢での感染から生じる高い慢性の割合による強力なHBV特異的免疫の迅速な誘導が、特に必要である。免疫学的予防がない場合、HBsAgおよびe抗原(HBeAg)の両方について陽性である母親から生まれた小児の70%〜90%は感染し、そしてそのほとんどすべてが慢性キャリアーとなる(Stevensら、1987)。たとえ、出生日に開始するHBVサブユニットワクチンの4用量レジメによりワクチン化された場合でも、そのような小児の20%は慢性的に感染性となり、そしてこれは、HBV特異的免疫グロブリンもまた与えられた場合は、わずか15%まで減少する(Chenら、1996)。CpGアジュバントを伴うサブユニットワクチンまたはDNAワクチンは、さらに、抗HBs抗体のより迅速な出現およびより高い力価、ならびにHBV特異的CTLの誘導により、さらにこの感染率を減少させるべきであり、これは子宮内で感染した乳児の肝臓からウイルスを取り除くのを助け得、およびこれは新生児ワクチン化のほとんどの失敗の原因であるようである。DNAワクチンはタンパク質追加免疫と共役する場合、特に効果的であり得る。
【0076】
非応答者および低応答者
5%〜10%の間の個体は、サブユニットHBsAgに対して、非応答者または低応答者である。これは、MHC拘束化であり得(Kruskallら、1992)、そしてTヘルパーエピトープの認識不全から生じると考えられている。特定の免疫無防備状態の個体(例えば、腎臓透析患者、アルコール依存患者)において、非応答者の割合は50%に近接する。本研究において、ミョウバンおよびCpGODNは、Tヘルパーエピトープ認識不全を生じると考えられる、HBsAgに対するMHC拘束化低応答性を有するマウスの系統において、ミョウバン単独よりもより高い抗HBs力価を与えた。CpGODNはまた、クラスII MHCの欠損により遺伝学的にTヘルプを提供し得ないマウスにおいて非応答を克服する(Milich、1988)。これらの結果は、CpGODNがT細胞非依存性B細胞活性化を駆動するというインビトロにおける発見を支持する。アジュバントとしてのCpG DNAの使用は、ヒトにおけるHBsAgの応答率を増加し得る。MHC表現型およびHBsAgに対する非応答性の間の関連は、ヒトにおいて示されている(Kruskallら、1992)。
【0077】
HBVの慢性キャリアー
慢性HBVは、青年期または成人期に感染した個体中の10%〜15%で生じるが、感染者(水平的または垂直的のいずれか)の90%〜95%は幼児期である。慢性HBVは、最終的に肝硬変をもたらし、そして肝細胞ガンの危険度を増加し、そして推定で毎年100万人がHBV関連肝疾患で死亡する。肝臓の持続性HBV感染は、急性感染がウイルスを除去する適切な免疫応答を開始し得ない場合に、生じる。このような慢性キャリアーは、循環するHBsAgおよびHBVコア抗原(HBcAg/HBeAg)を、特異的免疫なしに有する。HBV特異的CTLの非存在は、慢性キャリアー状態の確立および維持に寄与し得ると考えられている。実際、多くの以前に感染した個体は、臨床学的および血清学的な回復の数年後であっても、その血液中のHBVおよびHBV特異的CTL(これは、抗原との最近の接触を示す活性化マーカーを発現する)の痕跡を有する(Rehermannら、1996)。これらの結果は、無菌化免疫はHBV感染後には生じ得ず、そしてCTLの慢性的活性化は制御下でのウイルスの維持を担うことを示唆する。
【0078】
現在、慢性HBV感染の治療法はない。インターフェロンは、現在使用されているが、これは、処置された個体の10%〜20%しか治療しない(Niederauら、1996)。抗ウイルス薬物(例えば、ラミブジン(lamivudine))は、循環ウイルスを検出不可能なレベルまで減少させ得るが、薬物が止められると、処置前のレベルに戻る。処置のこれらの型の各々はまた、高価であり、そして特定の所望されない副作用を有する。
【0079】
サブユニットワクチンに加えられたCpG ODNを用いる強力なTh1型応答を誘導する可能性は、慢性キャリアー状態の克服を助け得る。この適用において、HBVエンベロープタンパク質の他のドメイン(例えば、プレS1およびプレS2)にコードされる、さらなるB細胞エピトープおよびT細胞エピトープが所望され得る。プレS1ポリペプチドは、分泌を阻止し得るので、Liら(1994)が記載したようなこの短縮型バージョンを、アミノ酸21〜47(これは、肝実質細胞レセプター結合部位を含み、そして抗プレS1免疫応答を誘導するが、なお、粒子を分泌し続けている)のみとともにコードすることが所望され得る。中間HBV包膜タンパク質(プレS2およびS)を含むサブユニットワクチンの反復用量は、ワクチン接種慢性キャリアーのウイルス複製を50%減少させた(Polら、1993)。CpGODNの添加は、その強力なTh1バイアスを介して、これらの結果を、おそらく改善する。
【0080】
DNAワクチンはまた、HBV慢性キャリアーについての治療的ワクチンとして、非常に効果的であることを証明し得る。以前に本発明者らは、HBsAg発現DNAワクチンが、出生前から肝臓中でHBsAgを発現するトランスジェニックマウスにおいて、HBsAgに対する寛容性を破り得ることを示した(Manciniら、1996)。この応答は、非溶解性機構を介するT細胞によって媒介されるようである。Th1サイトカインおよび強力なCTL応答を優先的に誘導するCpGジヌクレオチドモチーフの添加は、さらにDNAワクチンの慢性HBVキャリアーへの適用を改善し得る。
【0081】
結論
免疫活性化を生じる適切な基礎となる状況において、CpGジヌクレオチドを含むODNは、タンパク質ワクチン(病原体全体またはサブユニット)に対するアジュバントとして有用である。CpGODNは、単独で、またはミョウバンと組み合わせて用いられ得る。単独で用いられる場合、ミョウバンと混合され得ないアジュバントワクチンの可能性を許容する(例えば、生弱毒化病原体、多価ワクチン)。共に用いられる場合、非常に強力な免疫応答を誘導する相乗的効果を利用するが、なおCpGDNAのTh1バイアスを保持する。CpGジヌクレオチドはまた、DNAワクチンのアジュバントとして作用する。ODNとして与えられるさらなるCpGまたはプラスミドベクターにクローン化されたCpGは、さらに免疫応答を増強し得る。
【0082】
HBVに対するワクチンに関して、CpG ODNは、単独でまたはミョウバンとの組合せで、アジュバントとして組換えHBsAgサブユニットワクチンに加えられ得、あるいは、HBsAg発現DNAワクチン中にクローン化され得る。これらの改善されたワクチンは、(i)より高い力価をより急速に誘導し得、そして感染防御免疫性の誘導に必要な用量数を3から2に減らし得、(ii)HBsAgに対する低応答性および非応答性を克服し、(iii)CTLの誘導を介して慢性キャリアーの状態を制御し得、そして(iv)新生児において、HBVの特定の地域における迅速なそしてより強力な免疫性を誘導し得る。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−280606(P2009−280606A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183917(P2009−183917)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【分割の表示】特願平10−539730の分割
【原出願日】平成10年3月10日(1998.3.10)
【出願人】(502302592)ザ オタワ ヘルス リサーチ インスティチュート (1)
【出願人】(509223601)キアゲン ゲーエムベーハー (1)
【出願人】(304051252)ユニバーシティー オブ アイオワ リサーチ ファウンデーション (11)
【Fターム(参考)】