説明

アスファルトと鉱物の組成物

本発明は、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、アスファルトおよびアスファルトと鉱物の組成物に関し、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物を舗装または覆うために好適なアスファルトおよびアスファルトと鉱物の組成物に関する。この組成物は、少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含み、骨材へのアスファルトバインダーの改善された接着性を示す。
【背景技術】
【0002】
アスファルトは、舗装および屋根材の調製のために利用される一般的な材料である。骨材へのアスファルトの接着性/湿潤性を改善するために、様々な化合物がアスファルトの表面組成物に加えられてきた。
【0003】
シラン類を含む様々なケイ素化合物が、様々な有機樹脂、例えばポリエステル樹脂、エポキシド樹脂またはフェノールホルムアルデヒド樹脂の接着性を促進するためのガラスファイバーの含浸および表面処理のために、ならびに繊維、革、セラミックスおよびガラス材料の表面処理のために使用されてきた。
【0004】
アスファルトのシリカ表面への接着性は、最初に表面をメチルクロロシラン類の混合物の蒸気で処理することによって、著しく改善され得ることが分かった。しかしながら、この骨材表面へシラン類を適用する珍しい方法は、広範囲の用途において実用的ではない(Sanderson, F. C.、「Methylchlorosilanes as Anti-stripping Agents」、Proceedings、Highway Research Board、31、288 (1952))。
【0005】
米国特許第2570185号は、アスファルトのコーティング特性および抗剥離特性が、アミノアルコキシシラン類と少なくとも6個の炭素原子を含む高分子量の脂肪族第一級アミンとの反応生成物をアスファルトに加えることによって改善されることを開示する。
【0006】
米国特許第2570185号において示されたシランの唯一の例は、ジ-t-ブトキシ-ジアミノシランである。米国特許第2985678号は、ケイ素化合物中の高級アルキルまたはアリール基が、化合物の安定性を徐々に低下させることを開示する。しかしながら、第三級ブチル基は、ラウリル基などの長鎖のアルキル基を含むケイ素化合物においても、ケイ素化合物の安定性を増加することが示された。
【0007】
独国特許第800685号は、アスファルト接着剤としての式SiRmXnのシラン類を教示し、ここで、Xはハロゲンまたはアルコキシを表し、Rは有機残基を表し、mおよびnは1から3の整数を表す。Rの具体的な例には、メチル、フェニルおよび2-クロロエチレンが含まれる。米国特許第4036661号は、アスファルトと鉱物の組成物のための接着促進剤として、様々な有機官能性シラン類を使用することを開示する。米国特許第5130354号は、舗装のためのアスファルトコンクリート混合物のための接着促進剤として、シラン官能基化ポリマーを使用することを開示する。米国特許第4170484号および第4038096号は、シラン類を使用して鉱物の骨材へのアスファルトバインダーの接着性を改善することを開示する。
【0008】
しかしながら、ケイ素化合物の熱安定性が、主に重要である。つまり、化合物は鉱物の骨材へのアスファルトの接着性を促進するたけでなく、広い温度範囲にわたって長期間安定なままでいることが非常に望ましい。これに加え、接着促進剤は、珍しい適用方法なしで使用することができることが非常に望ましい。舗装材料に好適であるために、アスファルトとケイ素化合物の混合物がアスファルト内で混合可能であり、続いての加工の間に混合されたままであるべきである。化合物は、加工の間および風化による長期間の劣化の間の酸化に対して安定でなければならない。ケイ素化合物で変性したアスファルトの180℃を超える温度における安定性は、主要な検討事項である。低い蒸気圧、高い沸点および150℃〜180℃における酸化安定性は、改善された性能のために重要である。
【0009】
有機シラン類を使用する1つの欠点は、アスファルトと混合された場合に、使いきれず、骨材の表面で完全に反応できないことである。このように、シランによる骨材の前処理は常に必要とされて、接着促進剤の所望の有効性を達成する。骨材の前処理は実用的ではなく、実用化するには非常に高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第2570185号
【特許文献2】米国特許第2985678号
【特許文献3】独国特許第800685号
【特許文献4】米国特許第4036661号
【特許文献5】米国特許第5130354号
【特許文献6】米国特許第4170484号
【特許文献7】米国特許第4038096号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Sanderson, F. C.、「Methylchlorosilanes as Anti-stripping Agents」、Proceedings、Highway Research Board、31、288 (1952)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
シラン類に加えて、長鎖の第三級アミンおよび第四級アミンは、従来、アスファルト中の添加剤として使用され、アスファルトコンクリートの接着性を改善する。これらの製品は、アスファルトの0.5質量%〜3質量%で十分に作用する。しかしながら、これらの化合物は轍(rutting)を増加させるという欠点を有し、湿潤および物理的結合のメカニズムによって、劣った疲労抵抗および機能を有する。さらに、利用可能性および持続可能性の問題ならびに消費を最小化する必要性ならびに優れた品質の骨材およびアスファルトの欠如の増加により、さらに改善された接着力および/または水分に対する低下した感受性を有するアスファルトと鉱物の組成物への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、アスファルトと骨材との間の改善された接着性を有する、アスファルト組成物およびアスファルトと鉱物の組成物を提供することによって、前述の必要性のうちの少なくともいくつかを満足する。アスファルト組成物およびアスファルトと鉱物の組成物は、少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。カチオン性有機ケイ素化合物は、好ましくは、アスファルトの0.001から5質量%の範囲で組成物中に存在する。
【0014】
一態様において、本発明は、アスファルトと混合された少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含むアスファルト組成物を提供する。アスファルト組成物は、広い範囲の骨材への改善された接着性を示す。特定の実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
からなる群から選択される式を有し、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0015】
別の態様において、本発明は、鉱物の骨材、アスファルト、および少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、アスファルトと鉱物の組成物を提供する。一実施形態において、アスファルトと鉱物の組成物は、100質量部の鉱物の骨材、3から20質量部のアスファルト、およびアスファルトの質量に対して0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。特定の実施形態において、アスファルトと鉱物の組成物中に存在するカチオン性有機ケイ素化合物は、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】煮沸試験後の、アスファルトとコンクリートの対照サンプルを示す。
【図1B】煮沸試験後の、本発明の一実施形態によるカチオン性有機ケイ素化合物を有するアスファルトとコンクリートのサンプルを示す。
【図2A】6時間の煮沸試験後の、対照サンプルからの残留水を示す。
【図2B】6時間の煮沸試験後の、本発明の一実施形態によるカチオン性有機ケイ素化合物を有するアスファルトとコンクリートのサンプルからの残留水を示す。
【図3A】煮沸試験後の、対照サンプルからの残留水を示す。
【図3B】煮沸試験後の、本発明の一実施形態によるカチオン性有機ケイ素化合物を有するアスファルトとコンクリートのサンプルからの残留水を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、以下でより十分に記載する。さらに、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書において記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態を提供して、この開示は適用可能な法的必要性を満たす。本明細書において、および添付した特許請求の範囲において使用される場合、単数形(「a」、「an」、「the」)は、文脈が他で明確に記載していない限り、複数の対象を含む。
【0018】
アスファルトは、習慣的に、骨材粒子のための接着剤またはバインダーとして、建造物の舗装において使用される。つまり、アスファルトを使用して、骨材粒子を一緒に被覆および結合する。加熱した場合に軟化し、冷却で硬化するこれらの熱可塑性様の材料は、特定の温度範囲にわたって、粘弾性を示す(例えば、粘性流および弾性変形の機械的特徴を示す)。
【0019】
しかしながら、アスファルトは、様々な飽和および不飽和の脂肪族および芳香族の化合物を含む、非常に複雑であり、あまりよく特徴付けられていない材料である。これらの化合物は、たいてい最大150個の炭素原子を含む。特定のアスファルトの組成は、原油の供給源に依存して変化する。化合物のうちの多くが、酸素、窒素、硫黄、および他のヘテロ原子を含む。アスファルトは、典型的には、約80質量%の炭素; 約10%の水素; 最大6%の硫黄; 少量の酸素および窒素; 微量の金属、例えば鉄、ニッケル、およびバナジウムを含む。構成化合物の分子量は、数百から数千までの範囲である。
【0020】
様々なアスファルトを使用して、本発明によるアスファルトおよびアスファルトと鉱物の組成物を調製してもよい。一般的に、舗装組成物を調製するために十分なあらゆる舗装用アスファルトバインダーが有用なものであると考えられている。舗装用アスファルトは、硬質アスファルトの30から40dmmから、軟質アスファルトの200から300dmmまで(25℃、100g秒)の範囲の、広い範囲の浸透値(penetration value)を有し得る。本発明の実施形態による最も広く使用される舗装アスファルトは、一般的に、約60〜100dmm(例えば60〜70、70〜80、または80〜100dmm)の25℃における浸透を有する。しかしながら、好ましい実施形態において、アスファルトは、全ての気候条件において粘弾性のままである。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、アスファルトは、瀝青、天然アスファルト、舗装用の石油残留物、コールタール蒸留からのプラスチック残留物、石油ピッチおよびコールタールを含むことができる。
【0022】
接着促進剤は、骨材への接着性(例えば剥離耐性)を改善するために使用される添加剤または調整剤である。本発明による接着促進剤は、以下の式:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
によるカチオン性有機ケイ素化合物であり、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0023】
骨材または鉱物の骨材は、砂、砂利、砕石、土壌、スラグ、再生コンクリート、またはそれらの混合物を含む、建造において使用される粗大粒子材料である。鉱物フィラーも骨材であり、これには典型的には、ドロマイト、花崗岩、河床砕砂利、砂岩、石灰石、玄武岩および他の無機岩石が含まれ、これらは系に加えられることができる。
【0024】
本発明のアスファルトと鉱物の組成物を形成するために使用される、特定の骨材、砂、土壌などは、それらがシランアルコキシ基の加水分解によって作られるシラノールと結合する、表面上の官能基または反応部位(例えばシラノール基)を有する限り、重要ではない。
【0025】
一態様において、本発明は、様々な骨材を被覆してそれらを一緒に結合することができるアスファルト組成物を提供する。本発明の実施形態によるアスファルト組成物は、様々な骨材粒子への改善された接着性を示す。つまり、繰り返された曝露または水への浸漬後の骨材の表面に留まる本発明の実施形態によるアスファルト組成物の量は、本発明の実施形態によるカチオン性イオン性有機ケイ素化合物の組み込みによって十分に増加する。
【0026】
特定の実施形態において、アスファルト組成物は、アスファルトの質量に基づいて、0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。一実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、以下の式:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10のいずれかの値を有することができ;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0027】
他の実施形態において、アスファルト組成物は、アスファルトの質量に基づいて、0.01から5質量%、または0.01から3質量%、または0.02から1質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。一実施形態において、アスファルト組成物は、アスファルトの質量に基づいて、0.02から0.1質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。
【0028】
別の態様において、本発明は、鉱物の骨材、アスファルト、およびカチオン性有機ケイ素化合物を含む、アスファルトと鉱物の組成物を提供する。一実施形態において、組成物は、100質量部の鉱物の骨材、およびアスファルトの質量に基づいて、0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、3から20質量部のアスファルトを含む。特定の実施形態において、組成物中のカチオン性有機ケイ素化合物は、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10のいずれかの値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0029】
好ましい一実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、以下の式:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
であり、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10のいずれかの値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートである。
【0030】
別の実施形態において、以下の化合物:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-、および
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; またはそれらの混合物
におけるR2は、C4アルキレン基である。
【0031】
さらに別の実施形態において、組成物中のカチオン性有機ケイ素化合物は、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、3-(トリメトキシシリル)プロピルメチルジデシルアンモニウムクロリド、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、および3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドから選択される少なくとも1つである。
【0032】
カチオン性有機ケイ素化合物は、表面組成物(例えばアスファルトおよびアスファルトと鉱物の組成物)中に、以下に記載する水の浸漬試験後の骨材の表面に留まるアスファルトの量を、実質的に増加させるために有効な量で存在する。一般的に、剥離試験後の骨材、砂、土壌などを被覆する留められたアスファルトを実質的に増加させるために必要なカチオン性有機ケイ素化合物の量は、アスファルトの100質量部あたり、約0.001質量部から約5質量部の範囲である。好ましくは、カチオン性有機ケイ素化合物は、アスファルトの100質量部あたり、約0.05から約0.1質量部の範囲の量で存在する。
【0033】
カチオン性有機ケイ素化合物は、表面組成物(例えばアスファルトおよびアスファルトと鉱物の組成物)中に、その製造の間に様々な方法で導入され得る。例えば、カチオン性有機ケイ素化合物を、骨材と混合する前に、好ましい方法で溶融アスファルトまたはアスファルトエマルションに加えることができる。所望の場合、いくつかの理由のために、カチオン性有機ケイ素化合物を、アスファルトと骨材とを混合する前に、骨材の表面に適用または被覆することができる。代わりに、カチオン性有機ケイ素化合物を、アスファルトと骨材とを含むあらかじめ混合された組成物に加えることができる。
【0034】
上記の成分に加えて、数多くの他の材料が、本発明の特定の実施形態によって存在し得る。これらは、最終表面組成物の物理的特性に影響を与える材料を含むことができる。一般的に、典型的には得られる表面組成物を改善するために使用され、カチオン性有機ケイ素化合物と相溶性のあるあらゆる添加剤を、本発明の実施形態による組成物に加えることができる。
【0035】
アニオン性、カチオン性または非イオン性であり得る乳化されたアスファルトの場合において、低温混合物を、舗装の保存および修復のための、スラリーの封止、マイクロサーフェシング(micro surfacing)、封止コーティングなどに有用な、微細な骨材とブレンドすることによって調製することができる。このような場合において、カチオン性有機ケイ素化合物を、骨材と混合する前にエマルションに加える。本発明の実施形態による、カチオン性有機ケイ素化合物との提案された添加剤との相溶性の試験は、直接的かつ容易に行われる。例えば、少量のサンプルを調製し、12から24時間の最低限のエマルションの安定性を試験することができる。
【0036】
別の態様において、本発明は、水中に分散されたアスファルトを含むエマルション、およびアスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、水系アスファルト組成物を提供する。
【0037】
好ましい実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0038】
特定の実施形態において、水系アスファルト組成物は、場合によって1つ以上の有機共溶媒を含むことができる。好適な有機溶媒は、好ましくは、組成物中のカチオン性有機ケイ素化合物の安定性に悪い影響を与えるべきではない。好適な溶媒には、これに限定される必要はないが、一般的に、アルコール類(好ましくはグリコール類)、ケトン類、エステル系溶媒および極性アセテート溶媒が含まれる。
【0039】
アルコール類の例には、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびグリコール類が含まれ、本発明の特定の実施形態によって使用することができるグリコール類の例には、これに限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、エーテルアルコール類(例えばエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテル)、エチレンのジアルキルエーテル、エチレングリコモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールジブチルエーテル; ジエチレングリコールのモノ-およびジアルキルエーテル(例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)が含まれる。
【0040】
本発明の特定の実施形態によって使用することができるケトン類の例には、これに限定されないが、アセトン、アセトフェノン、ブタノン、シクロヘキサノン、エチルイソプロピルケトン、ジアセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、および3-ペンタノンが含まれる。
【0041】
本発明の特定の実施形態によって使用することができるエステル系溶媒およびアセテート溶媒の例には、これに限定されないが、安息香酸ベンジル、酢酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、酢酸メチル酢酸プロピル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが含まれる。
【0042】
本発明は、水中に分散されたアスファルトを含むエマルション、少なくとも1つの鉱物の骨材、およびアスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、水系アスファルトと鉱物の組成物を提供する。本発明の特定の実施形態による水系アスファルトと鉱物の組成物は、場合によって、1つ以上の前に記載した有機溶媒を含むことができる。好ましい実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である。
【0043】
本発明の特定の実施形態による水系アスファルトエマルションは、水中に分散されたアスファルトの滴またはせん断粒子を含む。典型的には、アスファルトは、知られている化学安定化剤(例えば乳化剤)の助けにより、分散相中に維持される。本発明の実施形態による水系アスファルトエマルションは、コロイドミル(colloidal mill)などの高せん断系において、溶融アスファルトを微細な滴にせん断加工することによって提供されることができる。アスファルトを、本発明の実施形態による化学安定化溶液に密に接触させることができる。ミルから送り出す際に、エマルションは、その中に分散されたアスファルトの微細な粒子を有する水を含む。
【0044】
本発明の実施形態によるアスファルトと水の系(例えばエマルション)のために使用することができる例示的な乳化剤には、これに限定されないが、オクタ-デシルアミン、タロウアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルフェノールエトキシレート(例えばエチレンオキシドのノニルフェノール、オクチルフェノール縮合体)が含まれる。特定の実施形態によると、このような乳化剤(10から20モル)を、本発明の実施形態によるエマルションの調製において使用して、安定なエマルションを提供することができる。特定の実施形態において、乳化剤の濃度は、最終エマルションの質量の0.2〜2.0%、または0.2〜1.0%、または0.2〜0.5%の範囲であり得る。
【0045】
本発明の実施形態による水系アスファルトエマルションを利用することによって実現されるいくつかの便益には、典型的に使用される「カットバック(cutback)」材料(例えばケロシンおよび軽油の煙)の蒸発を除去することによる汚染制御、組成物が可燃性または爆発性ではないために強化された安全性、ならびに使用の容易さが含まれる。例えば、本発明の実施形態による水系アスファルトエマルションは、単純に処理のために表面にスプレーされるか、あるいは手動または道具(例えばシャベルもしくはバッフル)によって注ぐまたは広げられることによって、ドラムから直接操作される。さらに、エマルションが水系であるため、骨材は適用のために乾燥する必要はない。
【0046】
特定の実施形態において、HMA(Hot Mix Asphalt)または本発明の実施形態によるエマルションの形態のどちらかにおけるアスファルトと鉱物の組成物が、アスファルト膜、シングル屋根板、または下地としての使用のために理想的である。様々な実施形態が、「キャップシート(cap sheet)」および/または「ベースシート(base sheet)」としての使用のために理想的である。「キャップシート」は環境に曝される1つの表面を有し、一方「ベースシート」は環境の要因に曝されることを意図しない。キャップシートまたはシングルは、典型的には、ベースシートの最上面に適用される。典型的にはファイバーガラス(例えば)で強化されるが、強化材料を有しないこともできる下地が、より典型的には、シングルの下に使用される。
【0047】
このような実施形態において、組成物は、場合によって、典型的にこのような用途に用いられる様々なポリマーのおよび/または非ポリマーの添加剤を含むことができる。例えば、アスファルトを改良するために一般的に使用されるいくつかのポリマーには、非晶質またはアタクチックポリプロピレン(APP)、非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、合成ゴムまたはアスファルトの特性を強化する他のアスファルト調整剤が含まれる。このような調整剤のアスファルトへの組み込みは、屋根の用途のための機能可能な温度範囲を広げ、改善された機械的特性および粘弾性をもたらす。
【0048】
別の態様において、本発明は、本発明の1つ以上の実施形態による組成物で飽和および/または被覆されたコアから構成される屋根材を提供する。コアは、典型的には、強化材としての不織または織物の布、もしくは両方の組合せから作られる、強化担体またはポリマー繊維で強化されたマットである。これらのマットは、ガラスなどの無機ファイバー、またはポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの有機ポリマー、あるいは無機と有機ポリマーの両方の組合せから作られ得る。
【0049】
本発明の実施形態によるアスファルト膜は、好ましくは、所望の程度の伸縮性および構造強度を示す。このような膜は、有益には、防水または水のバリア用途のために使用され得る。このような実施形態において、アスファルトの含有量は、50%を超える(例えば50〜100%、または50〜90%、または50〜70%)。特定の実施形態において、アスファルト組成物は、60%を超え(例えば60〜100%、または60〜90%、または60〜70%)、70を超え(例えば70〜100%、または70〜90%、または70〜80%)、80%を超え(例えば80〜100%、または80〜90%)、または90%を超える(例えば90〜100%、または90〜95%)。
【0050】
さらに別の態様において、本発明は、水または別の所望の溶媒(例えば、所望の場合、有機溶媒)を加えることによって希釈されることができる「濃縮」組成物を提供する。一実施形態において、「濃縮」組成物は、水中に本発明によるカチオン性有機ケイ素化合物を含む。このような実施形態において、カチオン性有機ケイ素化合物は、典型的には、約0.01から約5.0質量%で存在する。他の実施形態において、本発明は、好ましくは前に記載した溶媒から選択される1つ以上の有機溶媒中に、少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を有する「濃縮」組成物を提供する。最も好ましくは、有機溶媒はエチレングリコールである。他の実施形態において、「濃縮」組成物は、水と1つ以上の有機溶媒の混合物(例えば、混和性または液-液分散体)中に少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。
【0051】
有益には、本発明の実施形態による「濃縮」組成物は、大きな保有体積または空間を必要とせず、経済的に包装され、輸送され、および/または貯蔵され得る。「濃縮」組成物は、例えば、所望の場合、適用時に水で希釈され得る。水(または他の所望の溶媒)に対する濃縮組成物の希釈比は、250部の水に対して1部の「濃縮」組成物、または200、150、100、75、50、25、もしくは10部の水(もしくは意図された用途に応じた他の好適な溶媒)に対して1部の「濃縮物」の範囲であり得る。好ましい一実施形態において、「濃縮」組成物は、エチレングリコール中に少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む。好ましくは、この実施形態の固形分含有量は、約35%から約55%、または約40%から約50%の範囲である。「濃縮」組成物を水(例えば)で希釈して、本発明の実施形態によって使用することができる希釈された組成物を提供することができる。
【実施例】
【0052】
(アスファルトと骨材の接着性の試験)
サンプルの調製および水の浸漬試験の手順(剥離耐性)
表面組成物を、3〜5部のアスファルトと100部の骨材または砂を混合することによって調製した。混合する前に、アスファルトと骨材または砂の両方を、165℃に加熱した。混合物を15分間135℃で硬化した。所定の硬化に続けて、サンプルを冷却し、その後水の浸漬試験に曝した。様々な浸漬条件を調べた。これらは、1時間から24時間の80℃の水への短い曝露、および40℃における長い曝露(1、2および5日間)を含む。水の浸漬試験の完了における骨材に残留するアスファルトの被覆の割合を、視覚的に0〜100%の尺度で評価した。浸漬試験後の骨材における95%未満の保持の評価を、悪い/失敗と考える。以下の実施例において、他に示されていない限り、全ての部は質量部である。
【0053】
本発明の実施形態は実施例によってここに例示され、それらは本発明の実施形態によって実現される改善された特性を例示することを意図しており、本発明の範囲に対していかなる限定をすることを意味すると解釈されるべきではない。
【0054】
(実施例1)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%から0.1質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験(40℃で24時間)を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
結果は、添加剤なしのアスファルトを超える十分な改善を示す。
【0057】
(実施例2)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験を40℃で5日間行った。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
浸漬試験後の95%未満の接着割合の評価を、悪い/失敗と考える。表2において示されたとおり、0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含む組成物は、全て5日後に骨材に対する優れた接着性を示した。したがって、これらの結果は、明らかに、カチオン性有機ケイ素化合物を加えることによる骨材へのアスファルトの接着性の十分な改善を示す。
【0060】
(実施例3)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[トリメトキシシリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(メタノール中の42%溶液)を含ませた。5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却し、その後、水の浸漬試験を40℃で3日間行った。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
また、浸漬試験後の95%未満の接着割合の評価を、悪い/失敗と考える。
【0063】
(実施例4)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験を80℃で24時間行った。
【0064】
結果は、対照サンプル(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を含まないアスファルト)の85%未満と比較して、カチオン性有機ケイ素化合物を含むアスファルトの場合において、骨材表面にわたるアスファルトの被覆の98%の保持を示した。
【0065】
(実施例5)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。3部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。骨材を前もって等級分けして、100%が20mmの標準ふるいを通過し、100%が12mmの標準ふるい上に残った。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験を40℃で5日間行った。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
また、浸漬試験後の95%未満の接着割合の評価を、悪い/失敗と考える。
【0068】
(実施例6)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の悪い品質の骨材(これらの骨材は、水の吸収が2%を超えるため、典型的なアスファルト-コンクリート混合物に適さなかった)と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験を40℃で24時間行った。
【0069】
結果は、カチオン性有機ケイ素化合物を含まない対照アスファルト組成物の50%未満のアスファルトの被覆と比較して、カチオン性有機ケイ素化合物を含むアスファルトの場合において、骨材表面に残留した95%を超えるアスファルトの被覆を示した。
【0070】
(実施例7)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.08質量%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を含ませた。3部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の砂と混合した。混合物を135℃で15分間硬化し、その後室温まで冷却した。水の浸漬試験を40℃で1日間行った。
【0071】
結果は、カチオン性有機ケイ素化合物を含まない対照アスファルト組成物を有する80%未満の被覆された骨材と比較して、カチオン性有機ケイ素化合物を含むアスファルトの場合において、砂表面にわたるアスファルトの被覆の95%の保持を示した。
【0072】
(実施例8)
舗装用アスファルト(25℃において60/70の浸透)のサンプルを調製して、0.0質量%(つまり、カチオン性有機ケイ素化合物を有しない対照)および0.1質量%の3-[トリメトキシシリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(メタノール中の42%溶液)を含ませた。4.5部のこれらの混ぜ合わされたアスファルト組成物を、100部の火成骨材と混合した。試験および評価のために使用した骨材組成物の粒子サイズのプロファイルは、以下のとおりであった: 約45%の粒子は、20mm未満であるが、10mmより大きく; 約10%の粒子は、10mm未満であるが、6mmより大きく; 約45%の粒子は、6mm未満であった。つまり、100%が20mmのふるいを通過し、45%が10mmのふるい上に残り、10%が6mmのふるい上に残り、45%が6mmのふるいを通過した。混合物を標準条件の時間として135℃で120分間硬化し、その後室温まで冷却し、その後、ASTM D3625手順による水の煮沸試験を行った。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
煮沸試験後のアスファルトとコンクリートの対照サンプルを図1Aに示す。煮沸試験後の0.1質量%の3-[トリメトキシシリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(メタノール中の42%溶液)を含むアスファルトとコンクリートのサンプルを図1Bに示す。図1Aと図1Bとの比較は、カチオン性有機ケイ素を含むことが、より多くの骨材へのアスファルトの残留をもたらすことを例示する。つまり、図1Aに示された対照サンプルは悪く、ほとんどのアスファルトが骨材から除去された。対照的に、図1Bは、アスファルトとコンクリートの黒光りする外観を証拠として、ほとんど全てのアスファルトが骨材の表面に残留することを例示する。
【0075】
煮沸試験後、残留水を除去し、水中のあらゆる剥離したアスファルトの存在を検査した。図2Aは対照サンプルの残留水を示す。図2Aに示したとおり、対照サンプルの残留水は、骨材から剥離したアスファルトのかなりの存在により、暗い(例えば黒色)。図2Bは、カチオン性有機ケイ素化合物で処理されたアスファルトを含むサンプルの残留水を示す。図2Bに示したとおり、残留水はほとんど透明であり、骨材から剥離した非常に少ないアスファルトを含む。これらの結果は、対照サンプルは骨材からの全てまたはほとんどのアスファルトを失った(つまり、骨材にほとんど接着していない)一方、有機ケイ素第四級塩を含むアスファルトとコンクリートのサンプルは、骨材混合物のアスファルトの95%を超える接着を示したことを示す。
【0076】
(実施例9)
アスファルトバインダーの浸透指数
80〜100および60〜70等級のアスファルトバインダーの浸透指数を、ASTM D946-09法: 舗装工事における使用のための浸透等級アスファルトセメントのための標準仕様によって定めた。浸透値を、0.1%および0.4%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を有するサンプル、ならびに本発明の実施形態による有機ケイ素第四級塩を有しない対照サンプルに対して得た。結果を表6に示す。
【0077】
【表6】

【0078】
これらの結果は、アスファルトに有機ケイ素第四級塩を加えること(本発明の実施形態による)が、浸透値を低下させることを助け、これはHMA(加熱混合アスファルト)の剛性および引張強度の改善をもたらすことを例示する。
【0079】
(実施例10)
アスファルトバインダーの安定度
0.1%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を有するおよび有しない劣化したアスファルトのサンプル(60〜70の浸透等級)を、160℃で15日間オーブン中でサンプルを保つことによって調製した。これらの熱で劣化したアスファルトのサンプルを、玄武岩の骨材を使用する5.1%のアスファルトを含み、33%が20mmのふるいを通過するが10mmのふるい上に残り、24%が10mmのふるいを通過するが6mmのふるい上に残り、41%が6mmのふるいを通過する、HMA(加熱混合アスファルト)のサンプルの作製において使用した。対照サンプルを、劣化させない同じ等級のアスファルトを使用して調製した。マーシャル安定度(Marshall Stability)、安定比、および流動値を、ASTM D1075/AASHTO T165法: 圧縮された瀝青混合物の圧縮強度への水の影響のための標準試験法によって定めた。結果を以下の表7に要約する。
【0080】
【表7】

【0081】
これらの結果は、明らかに、本発明の実施形態による有機ケイ素第四級塩を含むHMAが、本発明の実施形態による有機ケイ素第四級塩を使用しないものよりも優れた安定比を提供することを例示する。また、これらの結果は、本発明の実施形態による有機ケイ素第四級塩を含む、15日間劣化したサンプルが、安定度および流動値を保つことも示す。
【0082】
(実施例11)
高性能アスファルトバインダー
アスファルトバインダーの試験を、0.0%(対照)、0.05%および0.1%の3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を有する高性能PG 64-22アスファルトバインダーを使用して行った。アスファルトバインダーを、AASHTO標準法によって試験した。結果を表8に要約する。
【0083】
【表8】

【0084】
これらの結果は、有機ケイ素第四級塩を有するアスファルトバインダーの135℃における回転粘度が、通常のアスファルトバインダーのものより低いことを示す。135℃における低い粘度は、骨材のアスファルトバインダーとの混合および湿潤に優れる。
【0085】
結果は、有機ケイ素第四級塩を含むサンプルの複素せん断弾性率G*が高く、一方、位相角は同じままであることも示す。これは、有機ケイ素第四級塩を加えることが、同じ粘弾性応答(位相角)で剛性を改善することを、明らかに示す。
【0086】
有機ケイ素第四級塩を含むアスファルトバインダーのRFTOT残渣は、同様の位相角でG*値の増加も示した。これらの結果は、有機ケイ素第四級塩を含むアスファルトバインダーが、加工中の酸化安定性を改善したことを示唆する。
【0087】
PAV劣化した有機ケイ素第四級塩を含むアスファルトバインダー残渣は、より大きい値の位相角でより優れた剛性を有した。これは、有機ケイ素第四級塩が長期間の酸化安定性を改善し、その粘弾性応答を維持すること示す。
【0088】
曲げビームレオメーター(Bending beam Rheometer)の結果は、アスファルトバインダー中の有機ケイ素第四級塩の存在が、低温における剛性を低下させることを示す。これは低温の疲労抵抗を改善する。
【0089】
これらの全ての結果は、明らかに、本発明の実施形態による有機ケイ素第四級塩の存在が、元のバインダー特性と比較してアスファルトの特性を望ましく改善することを例示する。
【0090】
(実施例12)
感水性試験(AASHTO T283)
ジョージア(LithoniaおよびLithia Springs)における2つの供給源からの骨材を混合試験のために選択した。12.5mmの通常の骨材のサイズを有する骨材の分類を、試験および評価のために計画した。この混合の計画の2つのサンプルを、アスファルトバインダーに加えた3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)を有するおよび有さないPG 64-22バインダーで作製した。アスファルトと骨材の混合物を、65回転に圧縮した。
【0091】
それぞれの混合物の感水性の評価を、AASHTO T283法による引張強度を測定することによって行った。引張強度比を、条件付けたおよび条件付けていないサンプルの引張強度の値を使用して計算した。それらの試験の結果の要約を表9から14に示す。
【0092】
【表9】

【0093】
【表10】

【0094】
【表11】

【0095】
【表12】

【0096】
【表13】

【0097】
【表14】

【0098】
Lithoniaの0.05%の有機ケイ素第四級塩およびLithia Springsの0.05%の有機ケイ素第四級塩のTSRの値はそれぞれ0.95であり、一方、対照混合物の値はそれぞれ0.85および0.82であった。0.1%の有機ケイ素第四級塩を有する混合物は、0.99および1.00のTSRの値を示し、有機ケイ素第四級塩が十分に改善されたHMA混合物の耐水性を有することを例示した。
【0099】
(実施例13)
低温混合アスファルト組成物
以下の粒子サイズ分布を有する500gの混合玄武岩骨材: 33%が20mmのふるいを通過したが10mmのふるい上に残り、24%が10mmのふるいを通過したが6mmのふるい上に残り、41%が6mmのふるいを通過した。500gの混合玄武岩骨材を、低温混合アスファルトを作製するために使用した。対照サンプルを、手動の混合によって、骨材を58.3gの急速硬化用アスファルトエマルション(60%の固形分を含む)と混合することによって調製した。
【0100】
急速硬化アスファルトエマルションを、0.034gの有機ケイ素第四級塩、0.306gの水中に溶解した3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(エチレングリコール中の42%溶液)と混合した。低温混合アスファルト組成物を上記のとおりに調製した。
【0101】
両方のサンプルを外気中(大気条件、25から40℃の範囲の温度)で48時間乾燥した。サンプルを、ASTM D3625法: 煮沸水を使用する瀝青で被覆された骨材への水の影響のための標準技法を使用して評価した。結果を表15に要約する。
【0102】
【表15】

【0103】
煮沸試験後、残留水を除去し、水中のあらゆる剥離したアスファルトの存在を検査した。図3Aは対照サンプルの残留水を示す。図3Aに示したとおり、対照サンプルの残留水は、骨材から剥離した暗色(例えば黒色)のアスファルトの大きな層を含む。図3Bは、カチオン性有機ケイ素化合物で処理されたアスファルトを含むサンプルの残留水を示す。図3Bに示したとおり、残留水は透明であり、剥離したアスファルトは視覚検査から見ることができない。これらの結果は、明らかに、有機ケイ素第四級塩を含むサンプルが骨材に対するアスファルトの改善された結合を示したことを例示する。例えば、当分野における標準技法による視覚的な観察において、対照サンプルは約30%の剥離(例えば約30%のアスファルトが骨材から剥離した)を示した一方、有機ケイ素第四級塩を含むサンプルは約2%の剥離量(例えば約2%のアスファルトが骨材から剥離した)を示した。
【0104】
本明細書に記載した発明の多くの修正および他の実施形態が当業者は思い浮かび、この発明は前述の記載において表された教示の便益を有することに関連する。それゆえ、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、修正および他の実施形態は添付した特許請求の範囲に含まれることを意図する。特定の用語を本明細書において用いるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定を目的としない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 100質量部の鉱物の骨材; および
(b) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、3から20質量部のアスファルト
を含むアスファルトと鉱物の組成物。
【請求項2】
前記カチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン性有機ケイ素化合物が、式:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
であり、ここで、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオン性有機ケイ素化合物が、約0.01から約3質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン性有機ケイ素化合物が、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、3-(トリメトキシシリル)プロピルメチルジデシルアンモニウムクロリド、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、および3-[ジメトキシ(2-ヒドロキシエトキシ)シリル]プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドから選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
R2がC4-アルキレン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(a) アスファルト; および
(b) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物
を含むアスファルト組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(a) 水中に分散されたアスファルトを含むエマルション; および
(b) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物
を含む水系アスファルト組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
(a) 水中に分散されたアスファルトを含むエマルション;
(b) 鉱物の骨材; および
(c) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物
を含む水系アスファルトと鉱物の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a) アスファルト;
(b) 無機フィラー; および
(c) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物
を含むアスファルト膜。
【請求項14】
前記少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項13に記載の膜。
【請求項15】
(a) アスファルト;
(b) 無機フィラー;
(c) 繊維強化マット; および
(d) アスファルトの質量の0.001から5質量%の少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物
を含む、アスファルトの屋根システムに使用される組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つのカチオン性有機ケイ素化合物が、以下:
Y3-aSi(R1a)R2N+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2P+R3R4R5X-
Y3-aSi(R1a)R2ZX-; およびそれらの混合物
からなる群から選択され、
ここで、それぞれの式において、
Yは、独立に、OR、O(CH2CH2O)nH、(CH3OCH2CH2O)、および(CH3CH2OCH2CH2O)からなる群から選択され;
aは0、1または2から選択される値を有し;
nは1から10の値であり;
RはC1〜C4アルキルであり;
R1はメチルまたはエチルのどちらかであり;
R2はC1〜C4アルキレン基であり;
R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C1〜C22アルキル(ここで、少なくとも1つのこれらの基は8個より多いC原子を有する)、-CH2C6H5、-CH2CH2OH、-CH2OHおよび-(CH2)yNHC(O)R6(ここで、yは2から10の値を有し、R6はC1〜C12パーフルオロアルキル基である)からなる群から選択され;
Xはクロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、アセテートまたはトシレートであり;
Zは式C5H5N+のピリジニウム環である、請求項15に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A−3B】
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【公表番号】特表2012−513491(P2012−513491A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541716(P2011−541716)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000712
【国際公開番号】WO2010/073261
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511151259)
【Fターム(参考)】