説明

アゾ顔料およびその製造法

【課題】高速複写機用として実用的な高感度の電子写真感光体、特に積層型感光体に用いられる有機光導電体として有用な有機溶剤に対して溶解性の優れたアゾ顔料を提供する。また、ボールミリング等の手段を用いることなく、均質な、特に積層型感光体に用いられる電荷発生層を形成するアゾ顔料の製造方法を提供する。
【解決手段】式A(E)n(I)で示されるアゾ化合物を、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換するアゾ顔料の製造法に関する。〔但し、Aはアゾ化合物の残基であり、この残基Aは、1つまたはそれ以上のヘテロ原子を介してn個のE基に結合しており、そしてこれらのヘテロ原子は、NおよびOからなる群から選ばれ、残基Aの一部を形成しており、E基は下記のカルボエステル基:−C(=O)−O−R1を表わし、nは、1から9の整数である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機光導電体として有用な新規アゾ顔料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ある主のアゾ顔料が電子写真感光体の一つの形態である積層型感光体に用いられる有機光導電体、特に電荷発生顔料として有用であることが知られている。この積層型感光体は公知のように導電性支持体上に光によって電荷担体を発生する能力を有する電荷発生顔料を主成分とする電荷発生層とその上に電荷発生層で発生した電荷担体を効率よく注入し、更にこれを搬送する能力を有する電荷搬送物質を主成分とする電荷搬送層とを設けた感光体である。従来、このような感光体に使用されるアゾ顔料としては、例えば特許文献1(特開昭47−37543号公報)、特許文献2(特開昭52−55643号公報)等に記載されるベンジジン系ビスアゾ顔料や、特許文献3(特開昭52−8832号公報)に記載されるスチルベン系ビスアゾ顔料、特許文献4(特開昭58−222152号公報)に記載されるジフェニルヘキサトリエン系ビスアゾ顔料、特許文献5(特開昭58−222153号公報)に記載されるジフェニルブタジエン系ビスアゾ顔料等が知られている。
しかし従来のアゾ顔料を用いた積層型感光体は一般に感度が低いため、高速複写機用感光体としては不満足である。この理由の一つとして上記のアゾ顔料は一般に有機溶剤に対する溶解性が極めて低く、精製は有機溶媒による洗浄工程に限られており、不純物を十分に取り除けていないと考えられる。また、感光体の製造において、微細な粒子として均一な分散液を得るためにボールミリング等の手段により長時間の分散工程、また安定な分散性を得るために樹脂、分散安定剤等の併用が避けられなかった。
そこで従来の欠点を克服した有機光導電体として有用なアゾ顔料の製造が望まれている。
【0003】
【特許文献1】特開昭47−37543号公報
【特許文献2】特開昭52−55643号公報
【特許文献3】特開昭52−8832号公報
【特許文献4】特開昭58−222152号公報
【特許文献5】特開昭58−222153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高速複写機用としては勿論、レーザープリンタ用としても実用的な高感度の電子写真感光体、特に積層型感光体に用いられる有機光導電体として有用な有機溶剤に対して溶解性の優れたアゾ顔料を提供することである。また、場合によりボールミリング等の手段を用いることなく、均質な、特に積層型感光体に用いられる電荷発生層を形成するアゾ顔料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「下記一般式(I)で示されるアゾ化合物を、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換することを特徴とするアゾ顔料の製造法;
【0006】
【化1】

〔但し、Aはアゾ化合物の残基であり、この残基Aは、1つまたはそれ以上のヘテロ原子を介してn個のE基に結合しており、そしてこれらのヘテロ原子は、NおよびOからなる群から選ばれ、残基Aの一部を形成しており、E基は下記のカルボエステル基:−C(=O)−O−R1(式中R1は、炭素数4から10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはアラルキル基を表わす。)を表わし、nは、1から9の整数である。〕」、
(2)「前記一般式(I)で示されるアゾ化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換することを特徴とする前記第(1)項に記載のアゾ顔料の製造法」、
(3)「酸性触媒を用いることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のアゾ顔料の製造法」、
(4)「化学的手段と熱的手段を併用することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のアゾ顔料の製造法」、
(5)「前記アゾ化合物の式:A(H)nのAが、下記一般式(II)で示されるアゾ顔料であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のアゾ顔料の製造法;
【0007】
【化2】

〔但し、Bはアゾ化合物の主骨格を示し、Cpはカップラー成分残基であり、mは2又は3の整数を表わす。〕」、
(6)「前記Cp−が下記一般式(5)乃至(13)の少なくともいずれかで表わされるカップラー成分残基であることを特徴とする前記第(5)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0008】
【化3】

【0009】
【化4】

【0010】
【化5】

【0011】
【化6】


上記一般式(5)〜(8)中、X、Y、Z、pおよびqはそれぞれ以下のものを表わす。
X:−OH、−N(R)(R)または−NHSO−R
(ただしここで、RおよびRは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Rは置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
:水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホン基、置換もしくは無置換のスルファモイル基または−CON(R)(Y)。[Rは水素原子、アルキル基もしくはその置換体またはフェニル基もしくはその置換体を表わし、Yは炭化水素環基もしくはその置換体、複素環基もしくはその置換体、または−N=C(R)(R)(但し、Rは炭化水素環基もしくはその置換体、複素環基もしくはその置換体またはスチリル基もしくはその置換体、Rは水素原子、アルキル基またはフェニル基もしくはその置換体を表わすか、あるいはRおよびRはそれらに結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)を示す。]
Z:炭化水素環もしくはその置換体または複素環もしくはその置換体。
p:1または2の整数。
q:1または2の整数。
【0012】
【化7】


(上式中、Rは置換もしくは無置換の炭化水素基を表わし、Xは前記と同じである。)
【0013】
【化8】


(上式中、Aは、式(10)中に記載された2個のN原子と共にN含有ヘテロ環を形成するに必要な芳香族炭化水素の2価基または窒素原子を環内に含むヘテロ原子含有の2価基を表わす(これらの環は置換または無置換でもよい)。Xは前記と同じ。)
【0014】
【化9】


(上式中、Rはアルキル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはそのエステルを表わし、Arは炭化水素環基またはその置換体を表わし、Xは前記と同じである。)
【0015】
【化10】

【0016】
【化11】

(上記式(12)および(13)中、Rは水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表わし、Arは炭化水素環基またはその置換体を表わす。但し、同時にRが水素原子でかつArがシクロアルキル基又はシクロアルケニル基になることはない)。」;
【0017】
前記一般式(6)、(7)または(8)のZの炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環などが例示でき、また複素環(置換基を持っていてもよい)としては、インドール環、カルバゾール環、ベンゾラン環、ジベンゾフラン環などが例示できる。Zの環における置換基としては、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子が例示できる。
またはRにおける炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などが、また複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基などが例示でき、更に、RおよびRが結合して形成する環としては、フルオレン環などが例示できる。また、YまたはRの炭化水素環基または複素環基あるいはRおよびRによって形成される環における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;トリフルオロメチル基などのハロメチル基;ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基またはそのエステル、水酸基、−SONaなどのスルホン酸塩基などが挙げられる。
のフェニル基の置換体としては、塩素原子または臭素原子などのハロゲン原子が例示できる。RまたはRにおける炭化水素基の代表例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基またはこれらの置換体が例示できる。また、RまたはRの炭化水素基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;水酸基、ニトロ基などが例示できる。
ArまたはArにおける炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基などがその代表例であり、またこれらの基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ニトロ基、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;シアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基などが例示できる。また、Xの中では特に水酸基が適当である。
【0018】
上記カップラー残基の中でも好ましいのは上記一般式(6)、(9)、(10)、(11)、(12)および(13)で示されるものであり、この中でも上記一般式におけるXが水酸基のものが好ましい。また、この中でも特に一般式(14)で表わされるカップラー残基が好ましく、更に好ましいのは一般式(15)で表わされるカップラー残基である。
【0019】
【化12】


(YおよびZは前記に同じ。)
【0020】
【化13】

(Z、YおよびRは前記に同じ。)
【0021】
更にまた、上記好ましいカップラー残基の中でも、特に一般式(16)、(17)または(18)で表わされるものが好ましい。
【0022】
【化14】

【0023】
【化15】

(Z、R、RおよびRは前記に同じであり、またR10としては上記のYの置換基が例示できる。)
【0024】
【化16】

(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を、またkは1〜4の整数をそれぞれ表わす。)
Rの具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、弗素原子などのハロゲン原子が挙げられる。
前記一般式(II)におけるBはアゾ化合物の主骨格を示し、mは2又は3の整数を表わす。〕」、
(7)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(III)で示されることを特徴とする前記第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0025】
【化17】

(ただし、R11,R12は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(8)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(IV)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0026】
【化18】

(ただし、R13,R14,R15は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(9)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(V)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0027】
【化19】

(ただし、R16,R17,R18は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(10)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(VI)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0028】
【化20】

(ただし、R19,R20は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(11)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(VII)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0029】
【化21】

(ただし、R21,R22は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わし、R23は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基を表わす。)」、
(12)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(VIII)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0030】
【化22】

(ただし、R24,R25,R26は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(13)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(IX)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0031】
【化23】

(ただし、R27,R28,R29は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)」、
(14)「前記一般式(II)のBが、下記一般式(X)で示されることを特徴とする第(5)項又は第(6)項に記載のアゾ顔料の製造法;
【0032】
【化24】

(ただし、R30,R31は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす」。
【発明の効果】
【0033】
本発明の製造法で得られるアゾ顔料は、高速複写機用として高い感度を示す電子写真感光体に用いられる有機光導電体としてきわめて有用である。即ち、溶解性の良いアゾ化合物を、吸着処理で精製しアゾ顔料を製造することにより高純度のアゾ顔料が製造でき、高感度な感光体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の前記式:A(H)nで示されるアゾ顔料の好ましい化合物としては、アゾ顔料の主骨格が一般式(III)である式(III)−1〜(III)−14、アゾ顔料の主骨格が一般式(IV)である式(IV)−1〜(IV)−5、アゾ顔料の主骨格が一般式(V)である式(V)−1〜(V)−7、アゾ顔料の主骨格が一般式(VI)である式(VI)−1〜(VI)−5、アゾ顔料の主骨格が一般式(VII)である式(VII)−1〜(VII)−7、アゾ顔料の主骨格が一般式(VIII)である式(VIII)−1〜(VIII)−5、アゾ顔料の主骨格が一般式(IX)である式(IX)−1〜(IX)−4、アゾ顔料の主骨格が一般式(X)である式(X)−1〜(X)−6である。
以下に化合物例を示す。
<アゾ顔料の主骨格が一般式(III)である化合物の例>
【0035】
【化25】

【0036】
【化26】

【0037】
【化27】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(IV)である化合物の例>
【0038】
【化28】

【0039】
【化29】

【0040】
【化30】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(V)である化合物の例>
【0041】
【化31】

【0042】
【化32】

<アゾ顔料の主骨格が一般式(VI)である化合物の例>
【0043】
【化33】

【0044】
【化34】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(VII)である化合物の例>
【0045】
【化35】

【0046】
【化36】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(VIII)である化合物の例>
【0047】
【化37】

【0048】
【化38】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(IX)である化合物の例>
【0049】
【化39】


<アゾ顔料の主骨格が一般式(X)である化合物の例>
【0050】
【化40】

【0051】
【化41】

【0052】
前記式(I)の化合物は、例えば特願2007−172269号明細書に記載されているようにして合成でき、例えば非プロトン性有機溶剤中、触媒として塩基の存在下0〜150℃、好ましくは10〜100℃の温度で、30分から20時間、前記一般式(II)のものと、下記式のものとを、適切なモル比で反応させて合成できる。
【0053】
【化42】

(B,Cp,Rは前記に記載のとおりである)
それぞれの場合において、モル比は導入されるEの数に左右される。好ましくはピロ炭酸ジエステルを少し過剰に用いるのが適している。
【0054】
適切な非プロトン性有機溶剤は、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。好ましい溶剤は、ピリジン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0055】
触媒として適切な塩基は、例えばアルカリ金属:ナトリウム、カリウムなど、ならびにそれらの水酸化物及び炭酸塩、またはアルカリ金属アミド類であり、ナトリウムアミド、カリウムアミド類であり、また水素化アルカリ金属類たとえば水素化リチウムなどがある。有機脂肪族、芳香族またはヘテロ環式N−塩基類としては、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ジメチルピリジン、ピリジン、トリエチルアミンなどが使用できる。好ましいのは、有機N−塩基類であり、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ジメチルピリジン、ピリジンである。
【0056】
下記式で示されるピロ炭酸ジエステルは、一般に知られている方法で製造できる。また商業的にも入手できる。Rは、上記の記載のものを示すが、好ましくは溶解性の驚くべき向上の点で分岐のアルキル基が好ましい。
【0057】
【化43】

【0058】
本発明の、下記一般式(I)で示されるアゾ化合物を、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換することを内容とするアゾ顔料の製造法について、説明する。
【0059】
【化44】

〔但し、Aはアゾ化合物の残基であり、この残基Aは、1つまたはそれ以上のヘテロ原子を介してn個のE基に結合しており、そしてこれらのヘテロ原子は、NおよびOからなる群から選ばれ、残基Aの一部を形成しており、E基は下記のカルボエステル基:−C(=O)−O−R1(式中R1は、炭素数4から10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはアラルキル基を表わす。)を表わし、nは、1から9の整数である。〕
【0060】
化学的手段(化学的方法)は、酸または塩基などの触媒によりアゾ顔料を製造する方法であるが、好ましい触媒は酸であり、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、安息香酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、p-トルエンスルホン酸。サリチル酸等が挙げられる。
熱的手段(熱的方法)は、無溶媒あるいは溶媒の存在下に50℃〜300℃に加熱することによりアゾ顔料を製造する方法であるが、好ましくは、70℃〜250℃に大気圧下で30分から20時間反応させることが望ましい。
光分解的手段(方法)は、前記一般式(I)で示されるアゾ化合物が、吸収を有する光であれば使用することができる。具体的には、高圧または低圧水銀灯、タングステンランプ、LEDランプ、レーザー光源などが使用できる。
【0061】
ここに用いられる有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
化学的方法、熱的方法または光分解的方法は、併用することによりさらに効率的にアゾ顔料が製造できる。特に化学的方法と熱的方法を組み合わせることにより収率良く、高純度のアゾ顔料が製造できる。
【0062】
前記一般式(I)で示されるアゾ化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、化学的方法、熱的方法または光分解的方法を用いることにより、A(H)nで示される前記アゾ顔料の製造法について、説明する。
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、4塩化炭素、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、n-ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。吸着処理の具体的方法としては、カラムクロマトグラフィー、室温または、加熱時に吸着剤を加え、濾過する方法がある。また、再結晶と組み合わせることによりさらに効率的に高純度のアゾ顔料が製造できる。
【0063】
本発明で製造されるアゾ顔料は有機光導電体、特に電荷発生物質として各種電子写真用感光体に例えば次のようにして利用される。
(1)導電性支持体上に前記アゾ顔料、結着樹脂及び必要あれば増感剤を主成分とする光導電層を設けて単層型感光体とする。
(2)前記(1)の系に更に電荷輸送物質を添加して同様に単層型感光体とする。
(3)導電性支持体上に前記アゾ顔料を主成分とする電荷発生層を設け、更にその上に電荷輸送物質及び結着樹脂を主成分とする電荷輸送層を設けて積層型感光体とする。
(4)また前記(3)の電荷発生層、電荷輸送層を逆に積層した層構成の感光体とする。
また、本発明のアゾ顔料の製造方法は、各種電子写真用感光体を作成する段階と併用することができる。たとえば、前記一般式(I)で示されるアゾ化合物を溶剤に溶解し導電性支持体上にキャスト法などによりアゾ化合物の薄膜を形成し、化学的方法、熱的方法または光分解的方法を用いることによりアゾ顔料を主成分とする電荷発生層を作成し、更にその上に電荷輸送物質及び結着樹脂を主成分とする電荷輸送層を設けて積層型感光体とすることもできる。
【実施例】
【0064】
以下に本発明を実施例及び応用例によって説明する。
<実施例1>
・アゾ顔料(III−3)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例1で製造されるアゾ化合物(III−3)(E:C)0.49グラム、トリフルオロ酢酸1.0グラムをo−キシレン50mlとともに、還流温度下に8時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元の(脱カルボブトキシ基化された)アゾ顔料と同じであることを認めた。
【0065】
<実施例2>
・アゾ顔料(III−4)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例2で製造されるアゾ化合物(III−4)(E:C)0.48グラム、トリフルオロ酢酸1.0グラムをo−ジクロロベンゼン50mlとともに、還流温度下に4時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0066】
<実施例3>
・アゾ顔料(III−2)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例3で製造されるアゾ化合物(III−2)(E:C)0.48グラム、トリフルオロ酢酸1.0グラムをクロロベンゼン50mlとともに、還流温度下に5時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0067】
<実施例4>
・アゾ顔料(III−3)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例4で製造されるアゾ化合物(III−3)(E:C)0.52グラム、酢酸2.0グラムをトルエン50mlとともに、80℃に5時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0068】
<実施例5>
・アゾ顔料(IV−1)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例5で製造されるアゾ化合物(IV−1)(E:C)1.18グラム、o−キシレン100mlとともに、還流温度下に5時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0069】
<実施例6>
・アゾ顔料(V−1)(E=H)の製造
特願2007−172269の号明細書実施例6で製造されるアゾ化合物(V−1)(E:C)0.53グラム、トリフルオロ酢酸1.0グラムをクロロベンゼン50mlとともに、還流温度下に5時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0070】
<実施例7>
・アゾ顔料(VI−1)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例7で製造されるアゾ化合物(VI−1)(E:C)0.50グラム、塩酸1.0グラムをシクロヘキサノン50mlとともに、還流温度下に5時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺青色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0071】
<実施例8>
・アゾ顔料(VII−2)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例8で製造されるアゾ化合物(VII−2)(E:C)0.53グラム、トリフルオロ酢酸2グラムをN,N−ジメチルホルムアミド50mlとともに、還流温度下に3時間反応させた。徐々に青色味をおび、濃紺青色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0072】
<実施例9>
・アゾ顔料(VIII−5)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例9で製造されるアゾ化合物(VIII−5)(E:C)0.46グラム、トリフルオロ酢酸1グラムをクロロベンゼン50mlとともに、100℃に3時間反応させた。徐々に青色味をおび、濃紺青色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0073】
<実施例10>
・アゾ顔料(X−1)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例10で製造されるアゾ化合物(X−1)(E:C)0.32グラム、トリフルオロ酢酸1.0グラムをo−ジクロロベンゼン50mlとともに、還流温度下に4時間反応させた。徐々に黒色味をおび、濃紺色の沈殿が析出した。室温に戻し、0.1ミクロンのフルオロポアで濾取し、テトラヒドロフラン50mlで洗浄し濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0074】
<実施例11>
・アゾ顔料(III−2)(E=H)の製造
特願2007−172269号明細書の実施例3で製造されるアゾ化合物(III−2)(E:C)0.30グラムをナスフラスコに入れ、170℃に2時間反応させた。徐々に黒青色味をおびてきた。室温に戻し、濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0075】
<実施例12>
・アゾ顔料(III−2)(E=H)の製造
・特許第3026645号公報の実施例5に準じてアゾ顔料を合成した、ただし、反応後のN,N−ジメチルホルムアミドによる、洗浄・精製を行わずに次の特願2007−172269号明細書の実施例3に準じ反応を行なった。
ここで得られた(III−2)(E=H)1.61グラム、ピロカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル4.3グラム(10倍モル)を脱水ピリジン50ml、脱水N、N−ジメチルホルムアミド200mlに分散させ、室温で15分間攪拌した後、さらに約50℃に加温し2時間反応させた。徐々に赤色味を帯び、均一な溶液が得られた。室温に戻し、溶媒を除去し、酢酸エチル約100mlを加えの赤色の粉末を得た。
これをさらにカラムクロマトグラム(シリカゲル/クロロフォルム)で精製を行なった。このものを、上記実施例3と同様に反応し、濃青紫色の粉末を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、アゾ化合物の2980cm−1の飽和炭化水素による吸収、1760cm−1のカルボネートのC=Oの伸縮振動に基づく吸収が消失し、元のアゾ顔料と同じであることを認めた。
【0076】
<応用例>
上記実施例12で製造したアゾ顔料を用いた以外は、特許第3026645号公報に記載の応用例2と同様にして積層型の電子写真感光体を作成した。
この積層型感光体について、静電複写紙試験装置((株)川口電機製作所製、SP428型)を用いて、−6KVのコロナ放電を20秒間行なって負に帯電せしめた後、20秒間暗所に放置し、その時の表面電位Vpo(V)を測定し、次いで、タングステンランプによってその表面が照度4.5ルックスになるように光を照射し、光減衰によってVpoが1/2になるまでの時間(秒)を求め、感光体の感度として半減露光量E1/2(ルックス・秒)を算出した。
本発明にかかわる感光体のVpoは−1105V、E1/2は0.6ルックス・秒であり、高感度な感光体であることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアゾ化合物を、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換することを特徴とするアゾ顔料の製造法。
【化1】

〔但し、Aはアゾ化合物の残基であり、この残基Aは、1つまたはそれ以上のヘテロ原子を介してn個のE基に結合しており、そしてこれらのヘテロ原子は、NおよびOからなる群から選ばれ、残基Aの一部を形成しており、E基は下記のカルボエステル基:−C(=O)−O−R1(式中R1は、炭素数4から10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはアラルキル基を表わす。)を表わし、nは、1から9の整数である。〕
【請求項2】
前記一般式(I)で示されるアゾ化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、化学的手段、熱的手段または光分解的手段を用いて脱カルボエステル化することにより、A(H)nで示されるアゾ化合物に変換することを特徴とする請求項1に記載のアゾ顔料の製造法。
【請求項3】
酸性触媒を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のアゾ顔料の製造法。
【請求項4】
化学的手段と熱的手段を併用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアゾ顔料の製造法。
【請求項5】
前記アゾ化合物の式:A(H)nのAが、下記一般式(II)で示されるアゾ顔料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアゾ顔料の製造法。
【化2】

〔但し、Bはアゾ化合物の主骨格を示し、Cpはカップラー成分残基であり、mは2又は3の整数を表わす。〕
【請求項6】
前記Cp−が下記一般式(5)乃至(13)の少なくともいずれかで表わされるカップラー成分残基であることを特徴とする請求項5に記載のアゾ顔料の製造法。
【化3】

【化4】


【化5】


【化6】


上記一般式(5)〜(8)中、X、Y、Z、pおよびqはそれぞれ以下のものを表わす。
X:−OH、−N(R)(R)または−NHSO−R
(ただしここで、RおよびRは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Rは置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
:水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホン基、置換もしくは無置換のスルファモイル基または−CON(R)(Y)。[Rは水素原子、アルキル基もしくはその置換体またはフェニル基もしくはその置換体を表わし、Yは炭化水素環基もしくはその置換体、複素環基もしくはその置換体、または−N=C(R)(R)(但し、Rは炭化水素環基もしくはその置換体、複素環基もしくはその置換体またはスチリル基もしくはその置換体、Rは水素原子、アルキル基またはフェニル基もしくはその置換体を表わすか、あるいはRおよびRはそれらに結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)を示す。]
Z:炭化水素環もしくはその置換体または複素環もしくはその置換体。
p:1または2の整数。
q:1または2の整数。
【化7】


(上式中、Rは置換もしくは無置換の炭化水素基を表わし、Xは前記と同じである。)
【化8】


(上式中、Aは、式(10)中に記載された2個のN原子と共にN含有ヘテロ環を形成するに必要な芳香族炭化水素の2価基または窒素原子を環内に含むヘテロ原子含有の2価基を表わす(これらの環は置換または無置換でもよい)。Xは前記と同じ。)
【化9】


(上式中、Rはアルキル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはそのエステルを表わし、Arは炭化水素環基またはその置換体を表わし、Xは前記と同じである。)
【化10】


【化11】


(上記式(12)および(13)中、Rは水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表わし、Arは炭化水素環基またはその置換体を表わす。但し、同時にRが水素原子でかつArがシクロアルキル基又はシクロアルケニル基になることはない。)
【請求項7】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(III)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化12】

(ただし、R11,R12は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項8】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(IV)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化13】

(ただし、R13,R14,R15は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項9】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(V)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化14】

(ただし、R16,R17,R18は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項10】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(VI)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化15】

(ただし、R19,R20は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項11】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(VII)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化16】

(ただし、R21,R22は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わし、R23は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基を表わす。)
【請求項12】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(VIII)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化17】

(ただし、R24,R25,R26は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項13】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(IX)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化18】

(ただし、R27,R28,R29は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。)
【請求項14】
前記一般式(II)のBが、下記一般式(X)で示されることを特徴とする請求項5又は6に記載のアゾ顔料の製造法。
【化19】

(ただし、R30,R31は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、カルボキシル基及びそのエステルを表わす。

【公開番号】特開2009−67850(P2009−67850A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235747(P2007−235747)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】