アッセイ装置及び方法
【課題】液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、装置及び方法を提供する。
【解決手段】サンプルが基板20上の受け取りゾーンA1に添加され、その基板20が、更に、任意の反応ゾーンA3と、受け取りゾーンA1と反応ゾーンA3とを接続して基板20上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、基板が、無孔性基板であり、流動路の少なくとも一部が、表面に対して実質的に垂直な突起22の領域A2から成っており、その突起22により液体サンプルの側方毛細管流動が実現され、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して設けられている。
【解決手段】サンプルが基板20上の受け取りゾーンA1に添加され、その基板20が、更に、任意の反応ゾーンA3と、受け取りゾーンA1と反応ゾーンA3とを接続して基板20上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、基板が、無孔性基板であり、流動路の少なくとも一部が、表面に対して実質的に垂直な突起22の領域A2から成っており、その突起22により液体サンプルの側方毛細管流動が実現され、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の1つ以上の検体の検出に使用される、アッセイ装置又はアッセイシステム又はその成分と、その装置又は成分を使用するための方法と、その装置を使用して検体を検出するための方法と、に関するものである。本発明は、特に、装置、成分、適用方法に関するものであり、サンプルの成分は、検体の検出反応の前又はその間に、分離される必要がある。
【背景技術】
【0002】
分析測定や診断測定は、しばしば、液体サンプルについて実行される。その液体サンプルは、目的の検体に加えて、無数の他の成分を、溶液形態及び/又は粒子形態で含んでおり、そのような他の成分は、サンプルの取り扱いをしばしば妨害し、検体の定量測定又は定性測定に影響する。
【0003】
例えば、多くの臨床診断方法が、生物学的サンプル中の検体の検出に基づいている。そのような検出は、しばしば、使い捨て可能なアッセイ装置で行われ、迅速且つ簡単な診断を可能としている。1つの重要な用途は、免疫学の広い分野であり、その分野では、検体は、特殊な抗体の助けによって検出される。その抗体は、検体と結合することができ、また、通常は、検出を助ける配位子の助けによって検出可能な複合体を形成することができる。
【0004】
患者からの生物学的サンプル、特に血液サンプル、を用いて、テストを実行する場合には、多くの要因を考慮する必要がある。全血は、凝固して、アッセイ装置でのサンプルの所望の流れを弱めたり妨げたりする傾向がある。赤血球は、凝固しない時でさえ、流れを邪魔したり遅くしたりする。更に、赤血球は、特殊な結合対部材間の結合を阻止する。また、赤血球は、酵素活性を有しており、それは、使用されるアッセイに依存するが、生成される信号を妨害する。
【0005】
不幸にも、赤血球は、全血中に存在しており、光を散乱させたり吸収したりするので、反射光又は透過光を測定するアッセイ方法を妨害する。また、他の細胞は、特定の測定を妨害する。例えば、コレステロール測定は、細胞膜中に存在するコレステロールによって影響される。
【0006】
更に、赤血球フラクションは、ある場合には半分の量であるが、かなりの量のサンプルを要する。大切なことは、ヘマトクリット値とも呼ばれるこのフラクションが、異なる固体の間で、及び、同じ固体であっても、異なる測定の間で変化することである。これは、言い換えると、測定の精度及び/又は再現性に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、多くのアッセイ法は、アッセイが血漿又は血清について実行されるとすぐに赤血球を分離するという工程を、含んでいる。凝固する前に分離が行われると、血漿が得られる。分離の前に凝固が起こると、血清が得られる。
【0008】
赤血球は、遠心分離によって血漿から分離できる。しかしながら、遠心分離は、比較的多量のサンプルを必要とし、遠心分離機を使用する必要がある。これは、また、時間がかかり、サンプルを取り扱う追加の工程を構成し、その工程は、コスト及び複雑性を増大させ、しかも、潜在的な伝染性の血液感染症病原菌が含まれている場合には特に避けるべきである。更に、それを取り扱う固体によって汚染されているサンプル、同時進行のサンプルによる二次感染、又は、他のサンプルとの混合、というリスクが、増大する。
【0009】
全血サンプル及び赤血球に関して上述したことは、必要な用途と共に全ての他の生物学的サンプルにも適用され、それでは、細胞、細胞残屑、繊維、又は他の不要な粒子等が、測定を妨害するので、それらは、検体の検出に結びつく反応又は測定の、前又は間に、好ましくは分離されるべきである。
【0010】
使い捨て可能なアッセイ装置の最も一般的なタイプは、サンプルを受け取るためのゾーン又は領域と、反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンを接続する任意の輸送又は培養ゾーンと、から成っている。これらのアッセイ装置は、クロマトグラフアッセイ装置として知られており、あるいは、単にストリップテストと言われている。それらは、毛細管流動を支持できる流体流れの通路を構成する多孔性材料、例えばフィルター材料を使用する。サンプル受け取りゾーンは、しばしば、もっと多孔性の材料から成っており、その材料は、サンプルを吸収することができ、また、血液細胞の分離が望まれるときは、赤血球を捕捉するのに有効である。そのような材料の例としては、紙、フリース、ゲル、又は薄い織物のような、繊維性材料があり、それらは、例えば、セルロース、ウール、ガラス繊維、アスベスト、合成繊維、ポリマー等、あるいは、それらの混合物で、構成されている。輸送又は培養ゾーンは、通常、同じ又は類似の材料から成っており、その材料は、しばしば、サンプル受け取りゾーンとは別の多孔性を備えている。同様に、反応ゾーンは、培養ゾーンと一体であり、又は、培養ゾーンの最先端部を構成しているが、通常は、類似の吸収繊維材料又は上述で列挙した材料、から成っている。
【0011】
アッセイ装置又はストリップテストでは、熱可塑性材料、紙、ボール紙等のストリップのようなキャリア上に、多孔性材料が取り付けられている。更に、カバーを設けることができる。そのカバーは、サンプルを受け取るための少なくとも1つの開口と、アッセイの結果を読み取るための開口又は透明領域と、を有している。
【0012】
また、ニトロセルロース材料が、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する輸送又は反応ゾーン、を構成するマトリックスとして、しばしば、使用される。ニトロセルロースの重大な不利点は、タンパク質及び他の生体分子との高い非特異的結合性である。しかしながら、現在のテストストリップは、しばしば、サンプルの余りを取り扱っており、この結合性の影響を低減している。しかしながら、サンプル容積を最小限とすることが望まれており、それは、テスト全体を小型化する傾向と一致しており、精度や信頼性を損なうことなく試薬の量を最小限にすることを含んでいる。
【0013】
EP1371984は、全血のサンプル中の検体の存在を検知するためのクロマトグラフアッセイ装置及び方法を開示しており、それは、赤血球を凝集させ、血漿又は血清が毛細管作用によって流れるようにするために、赤血球分離剤を利用している。キャリア材料の例としては、多孔性ゲルだけでなく、天然又は合成の、紙(繊維)材料、又は、セルロース、ガラス繊維、クロス等の膜、がある。
【0014】
従来においてよく用いられ、よく知られているが、上述のキャリア材料は、多くの欠点と関係している。材料の構造は、いつも、異なるバッチの間で変動し、また、例えば繊維材料における繊維のランダム分布、又は、例えばゲル用材料におけるキャビティ、によって、材料内においても変動する。同様に、例えば、材料に加えられた化学物質の分布のような材料の化学的特性が、上述したのと同じ理由のために必然的に変動する。WO03/103835は、基板を備えたマイクロ流体システムを開示しており、それは、基板上に、機能手段と相互接続した少なくとも1つの流動路を、備えており、機能手段では、液体サンプルが、異なった所望の処置を受けることができ、上記流動路は、上記基板から突出しているマイクロポストと呼ばれる多数の垂直突起を、備えている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、液体サンプル中の検体を検出する前にサンプル中の成分を分離するための装置を提供する。その装置は、サンプルを受け取るためのゾーンと、反応ゾーンと、任意の輸送又は培養ゾーンと、を備えている。輸送又は培養ゾーンは、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続しており、基板上に流動路を形成している。その基板は、無孔性基板であり、流動路の少なくとも一部は、基板に対して実質的垂直な突起からなる領域から成っている。その突起は、ゾーン中の液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。そして、分離手段が、サンプルを受け取るためのゾーン内に又はそのゾーンに隣接して、設けられている。
【0016】
また、本発明は、液体サンプル中の検体を検出するのに使用する方法を提供する。その検出は、基板上のプロセスで起こる。サンプルの少なくとも一部は、毛細管作用によって、サンプルが加えられた受け取りゾーンから、反応/検出が起こるゾーンへ、輸送される。その輸送距離は、流動路として構成されており、そこでは、上記基板は無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っている。その突起は、液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、及び、不要成分の分離が上記毛細管流動が中断することなく実行されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、真kな装置及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図1b】図1aに示された実施形態の部分図である。
【図2】本発明の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図3a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図3b】図3aに示された実施形態の部分図である。
【図4a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図4b】図4aに示された実施形態の部分図である。
【図5a】上述とは別の実施形態を概略的に示す図である。
【図5b】図5aの実施形態の部分図である。
【図6a】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【図6b】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【図6c】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、参照することによってそれらの全てが一体となっている明細書及び請求の範囲に記載された、上記装置及び方法の実施形態を、包含している。
【0020】
本発明は、以下の記載、実施例、及び添付の図面において、より詳細に説明される。
【0021】
(図面の詳細な説明)
図1aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプルの一滴が、基板10に加えられている。基板10は、その上に、表面に対して実質的に垂直な多数の突起12を有している。矢印14は、流れの方向を示している。
【0022】
図1bは、図1aに示された実施形態の部分図である。これは、上記垂直な突起の一実施形態を示している。上記突起は、上記ゾーンにおいて上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【0023】
図2は、本発明の別の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプルの一滴が基板20の実質的に突起がない領域A1に加えられており、領域A1は、突起22を有する第2領域A2と隣接している。領域A2全体における突起の高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)は、段階的な保持又は濾過効果が実現されるように、変化しており、それに対して、隣接する領域A3は、輸送及び/又は反応ゾーンとして機能する。
【0024】
図3aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプル受け取りゾーン又は領域A1が、基板30の他の表面に対して低くなっており、サンプル受け取りゾーンと他の側方流動路との間に、境界34を形成している。境界34の上には、第2領域A2が設けられており、それは第1突起36を有しており、第1突起36は、側方流動を支持するが、第2突起38を有する第3の連続した領域A3の前で、フィルターとして機能する。したがって、A1は、側方流動において発見された粒子状物質のための流域として機能するが、その粒子状物質が境界を通過するのは、突起36によって防止される。この実施形態では、第2領域A2が周囲の領域A1,A3の両方よりも少し高く、A2の突起は、A3及びそれに連続した領域(図示せず)の突起とは異なる高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【0025】
図3bは、図3aに示された実施形態の部分図であり、第1突起36の寸法を示している。
【0026】
図4aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、基板40に設けられた低いサンプル受け取りゾーン又は領域A1が、サンプル受け取りゾーンと他の側方流動路との間の境界44へ至る、横向きの溝又はリッジ42を、有している。
【0027】
図4bは、図4aに示された実施形態の部分図を示している。これは、突起46が、境界44の上面に、他の側方流動路の突起48とは異なる大きさ及び/又は形態で、どのように設けられているか、を示している。リッジ42が境界の基端部に出会うところでは、隆起部分43が、境界の基端エッジに係合し且つそれを乗り越えて、設けられている。同様に、境界の先端エッジでは、L型要素が境界の先端エッジに係合し且つそれを乗り越える、隆起部分すなわち「爪」47を、形成している。上記細部43、47は、毛細管作用を向上させる、表面の適用を、単に例示しているだけである。赤血球の分離において、上記突起46は、好ましくは、少なくとも約10μmの高さを有し、互いに約3μmの距離で位置している。この部分図は、突起46が境界44の上で蛇行パターンで一列縦隊で配置されている様子を示している。幾つかの代わりのパターン又は配置が考えられる。
【0028】
図5aは、上述とは別の実施形態を概略的に示している。ここでは、基板50の上で2つの区画が境界によって分けられている。第1区画は、上記境界まで伸びて上記境界と係合している、長手方向の溝及びリッジを、有している。上記第2区画は、好ましくは、アッセイゾーン、反応ゾーン、検出ゾーン等と通常は関係している他の機能を、備えている。
【0029】
図5bは、上記実施形態の部分図を示している。これは、境界54の表面上に符号56’、56’’、56’’’で示された垂直な突起が、実質的に平行に設けられている、別の実施形態を、示している。これらは、形、高さ、幅、突起間の距離、において、同じでもよく、異なっていてもよい。また、リッジ52が境界54の基端部と出会うところでは、隆起部分53が、境界の基端エッジと係合し且つそれを乗り越えて、設けられている。同様に、境界の先端エッジでは、L型要素が、境界の先端エッジと係合し且つそれを乗り越える、隆起部分すなわち「爪」57を形成している。上記細部53、57は、毛細管作用を向上させる、表面の適用を、ただ単に例示しているだけである。
【0030】
図6a、6b、6cは、サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示している。磁石Mは、図6a、6bにおいては、基板60の外に離れて設けられており、図6cでは、基板の中又は上に、設けられているが、これらは単なる例である。本発明は、磁力が、問題になっている分離を助けるのに十分である限りは、磁石が、基板と一体であったり、基板に隣接して設けられたり、基板から離れて設けられたりする、実施形態を、包含している。
【0031】
(定義)
本件の装置及び方法を記述するのに先だって、以下、述べる。当然ながら、本発明は、ここに開示されている特定の、形態、方法ステップ、及び材料に、限定されるものではなく、そのような形態、ステップ、及び材料は、少し異ならせてもよい。また、当然ながら、ここで使用された専門用語は、特定の実施形態のみを記述する目的で用いられており、本発明の範囲を限定する意味の無いものである。何故なら、本発明の範囲は、添付の請求の範囲及びその均等物によってのみ制限されるからである。
【0032】
また、この明細書や添付の請求の範囲において使用されているように、「1つの」及び「その」という単数形は、文脈が明らかに別のことを示していない限りは、複数の指示対象を含んでいる。したがって、例えば「1つの抗体」を含む反応混合物への言及は、2つ以上の抗体の混合物を含んでいる。
【0033】
数値の文脈で使用される場合の表現の「約」は、当業者にとってよく知られており許容可能である、精度の区間を、意味している。その区間は、±10%、好ましくは±5%である。
【0034】
本発明を記述し及び主張する際に、以下の専門用語は、ここで述べられる定義に従って使用される。
【0035】
ここで「サンプル」という用語は、多量の液体、溶液、又は懸濁液を、意味しており、その特性のいずれかの定性的又は定量的測定、例えば、成分の有無、成分の濃度等の測定を、受けるためのものである。サンプルは、哺乳類好ましくは人間のような生物から採取されたサンプルでもよく、あるいは、水サンプルや流出物のような生物圏から採取されたサンプルでもよく、例えば、薬剤、食品、餌等の生産のような、細胞培養及び醗酵や飲料水の精製や排水の処理等を含む、生産プロセスのような、技術的、化学的、又は生物学的プロセスから採取されたサンプルでもよい。サンプルは、均一化、超音波処理、濾過、沈殿、遠心分離、加熱処理等の、適切な前処理の後に、定性的又は定量的測定を受けてもよい。
【0036】
本発明との関連で代表的なサンプルは、体液、環境流体、プロセス流体である。体液としては、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、精液、胃液、痰、涙液等がある。環境流体としては、例えば、地上水、地下水、汚泥等がある。プロセス流体としては、例えば、ミルク、乳清、肉汁、栄養溶液、細胞培養媒体等がある。本発明は、全てのサンプルに適用可能であるが、体液のサンプルが好ましく、全血サンプルが特に最も好ましい。
【0037】
サンプルの側方流動と、サンプルに存在する成分と装置に存在する反応試薬との相互作用と、そのような相互作用の検出と、に基づく、定性的又は定量的測定は、診断、環境保護、品質管理、規制、法医学、研究目的のようないずれの目的のためであってもよい。そのようなテストは、クロマトグラフアッセイ、又は、免疫クロマトグラフアッセイのような側方流動アッセイ、と呼ばれている。
【0038】
診断測定の例としては、限定するものではないが、種々の疾患、例えば、慢性代謝性疾患、に対して特異的なマーカーと呼ばれる検体、例えば、血糖、血中ケトン、尿グルコース(糖尿病)、血中コレステロール(アテローム性動脈硬化症、肥満等)の測定や、他の特定疾患、例えば、急性疾患の、マーカー、例えば、心筋梗塞マーカー(例えば、トロポニン−T)、甲状腺機能のマーカー(例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定)、ウイルス感染のマーカー(特定のウイルス抗体の検出用の側方流動免疫測定の使用)等の測定、がある。
【0039】
診断測定の他の重要な分野は、妊娠及び受胎能力に関するものである。例えば、妊娠テスト(性腺刺激ホルモン(hCG)の測定)、排卵テスト(黄体形成ホルモン(LH)の測定)、受胎能テスト(卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定)等がある。
【0040】
更に、他の重要な分野は、薬物乱用を示す薬物や薬物代謝物の、容易且つ迅速な検出のための、薬物検査である。例えば、尿サンプル等における特定の薬物や薬物代謝物(例えばTHC)の測定がある。
【0041】
「検体」という用語は、「マーカー」という用語と同義語として使用され、定量的又は定性的に測定されるいかなる物質も包含するためのものである。
【0042】
「ゾーン」、「領域」、「部位」という用語は、この明細書、実施例、及び請求の範囲の文脈の中で使用されて、従来の装置であるか本発明の装置であるかを問わず、基板上の流動路の部分を定義する。
【0043】
「反応」という用語は、サンプルの成分と、上記基板の上や中にある少なくとも1つの反応試薬と、の間で起こったり、上記サンプル中に存在する2つ以上の成分の間で起こったりする、いかなる反応も定義するのに、使用される。「反応」という用語は、特に上記検体の定性的又は定量的測定の一部として、検体と反応試薬との間で起こる反応を、定義するのに、使用される。
【0044】
「基板」という用語は、サンプルが加えられるキャリア又はマトリックスを意味し、測定は、基板において実行され、検体と反応試薬との反応は、基板で起こる。
【0045】
「化学官能性」という用語は、アッセイを行ったり促進したりするのに必要な、化合物や化学成分を、含んでいる。本発明と特に関連する化合物の1つのグループは、サンプル中の1以上の成分に対して、特異的な親和性を示したり、又は、その成分と結合したり相互作用したりすることのできる、化合物又は成分である。赤血球分離剤は、説明に役立つ実例を構成する。その薬剤は、赤血球を凝集させたり結合させたりできる物質である。
【0046】
好ましい薬剤は、ポリカチオンのような正電気を帯びた物質であり、例えば、ポリ−L−リジンハイドロブロマイド;ポリ(ジメチルジアリルアンモニウム)クロライド(Merquat TM 100, Merquat TM 280, Merquat TM 550);ポリ−L−アルギニンハイドロクロライド;ポリ−L−ヒスチジン;ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)ハイドロクロライド;ポリ(4−ビニルピリジン)架橋、メチルクロライド四級塩;ポリ(4−ビニルピリジン−CO−スチレン);ポリ(4−ビニルピリジニウムポリ(フッ化水素));ポリ(4−ビニルピリジニウム−P−トルエンスルホネート);ポリ(4−ビニルピリジニウム−トリブロマイド);ポリ(4−ビニルピロリドン−CO−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリビニルピロリドン架橋;ポリビニルピロリドン、ポリ(メラミン−CO−ホルムアルデヒド);部分メチル化;ヘキサジメトリンブロマイド;ポリ(Glu, Lys)1:4ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Ala)3:1ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Ala)2:1ハイドロブロマイド;ポリ−L−リジンサクシニレート;ポリ(Lys, Ala)1:1ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Trp)1:4ハイドロブロマイドがある。最も好ましいポリカチオンは、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウム)クロライド(Merquat TM 100)である。
【0047】
赤血球分離剤は、サンプルの残りから赤血球を分離するよう機能する適当量で、使用される。好ましくは、赤血球分離剤は、約0.04%〜約1.3%(重量/体積)の濃度、より好ましくは約0.13%〜約0.33%(重量/体積)の濃度で、最も好ましくは約0.20%〜約0.33%(重量/体積)の濃度で、存在する。
【0048】
赤血球分離剤の正電荷は、ストリップ上に存在する負に帯電した薬剤を凝集する傾向を有している。例えば、クロマトグラフキャリアに結合された標識物質又は結合体は、赤血球分離剤によって凝集できる。その赤血球分離剤は、検体が結合体と結合するのを妨げ、又は、競合アッセイにおいて検出部位でのトラップ物質又は結合体に標識物質及び目的の検体が結合するのを妨げる。結局、免疫測定システムの感度及び精度は信用できなくなる。
【0049】
したがって、赤血球分離剤が正電気を帯びた物質である場合、本発明は好ましくは中和剤を利用する。中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和することができ、それによって、赤血球分離剤によって引き起こされるアッセイシステムへの妨害を取り除き又は少なくとも最小化する。好ましくは、中和剤はクロマトグラフキャリアに拡散的に結合されている。中和剤は、クロマトグラフキャリアのどの場所でも拡散的に結合されていればよく、その場所では、中和剤は、赤血球分離剤を中和するよう機能するが、好ましくは赤血球分離剤の下流且つ検出部位の上流に配置され、より好ましくは拡散的に結合された標識物質としてクロマトグラフキャリアの同じ場所に配置される。
【0050】
中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和することができるポリアニオンであってもよい。好ましいポリアニオンとしては、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸Na塩)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(Na−4−スチレンスルホネート)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ−L−アスパラギン酸、カルボキシメチルセルロースがあり、硫酸デキストランが最も好ましい。
【0051】
中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和するよう機能する量で、存在する。一般には、中和剤の濃度は、使用されている赤血球分離剤の濃度に依存する。好ましくは、中和剤は、約0.33%〜約20%(重量/体積)の濃度で存在し、より好ましくは約0.34%〜約10%(重量/体積)の濃度で存在し、最も好ましくは0.34%〜10%(重量/体積)の濃度で存在する。
【0052】
「生物学的官能性」という用語は、サンプルの成分と、基板の上又は中の試薬と、の間の、全ての生物学的相互作用、例えば、触媒作用、結合、内部化、活性化、又は他の生体特異的相互作用を、含んでいる。適切な試薬は、限定されるものではないが、抗体、抗体のフラグメント及び誘導体、一本鎖抗体、レクチン、DNA、アプタマー等を含んでおり、結合能力を備えた他のポリマーや分子を含んでいる。そのような試薬は、分離される成分の選択に続いて、標準的な実験、例えば、スクリーニング法及び化学ライブラリーを用いて、同業者によって同定できる。
【0053】
「物理学的官能性」という用語は、単なる化学的又は生物学的であるもの以外の反応及び相互作用に含まれた、官能性を含んでいる。実施例では、直径、高さ、形、断面、表面形状、及び表面パターン、単位面積当たりの突起の数、上記突起の表面の濡れ挙動、又はそれらの組み合わせがあり、及び/又は、サンプルの成分の流れ、保持力、接着性、又は拒絶反応に影響するその他の官能性がある。
【0054】
化学的、生物学的、及び物理学的相互作用の間の違いは、必ずしも明確ではなく、サンプル中の成分と基板上の試薬との間の相互作用のような、相互作用が、化学的、生物学的、及び物理学的要素を含んでいることは、可能なことである。
【0055】
親水性又は疎水性化合物、親水性又は疎水性相互作用等、において見られるような、「親水性」及び「疎水性」という用語は、当業者によって一般的に理解され、公認のテキストで一般的に使用されるものに相当する意味を有している。
【0056】
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、液体サンプル中の検体の検出中又は検出前に、サンプル中の成分を分離するための、装置及び方法を、提供する。それにおいて、サンプルは、基板上の受け取りゾーンに加えられる。その基板は、任意に更に、反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えている。それにおいて、上記基板は、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部は、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起は、上記ゾーン中の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。そこでは、分離手段が、サンプルを受け取るためのゾーンに隣接して、設けられている。上記分離手段は、親和性結合及び/又は凝集によって任意に強化されたフィルター手段、親和性結合及び/又は凝集によって任意に強化された磁気手段、及び音響手段、の内から選択される。
【0057】
本発明の装置及び方法は、参照することによってここに組み込まれた、添付の請求の範囲において、更に定義される。
【0058】
本発明の装置は、プラスチック基板、好ましくは、熱可塑性基板又はプラスチック上層を有する基板、を足場としている。これは、順に、例えば、スパッタリング、蒸着等の技術を使用することによって、被覆したり誘導体化したりすることができ、また、シリコン、金属、その他のコーティングを得ることができる。また、本発明は、シリコンやガラスの基板で作ることができる。好ましい実施形態では、基板に、親水性の処理又はコーティングが、施される。それは、基板に対して、例えば、ガスプラズマ処理のような酸化処理を施したり、酸化シリコンのような親水性物質や、デキストラン、ポリエチレングリコール、ヘパリン、それらの誘導体のような親水性ポリマーや、洗浄剤や、ポリマーのような生物学的物質でコーティングしたりすることによって、行われる。
【0059】
本発明の一実施形態では、上記分離手段は、上記基板上の上記流動路内に設けられたフィルター又はフィルターゾーンを、備えている。上記フィルターは、上記表面に対して実質的に垂直な突起を備えており、その突起は、上記ゾーン中にて上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。一方、分離される成分は、上記フィルターを通過するのが実質的に妨げられる。
【0060】
別の実施形態では、上記フィルターゾーンは、サンプルを受け取るためのゾーンに隣接して設けられている。上記フィルターゾーンは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有しており、その突起は、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、直径(D)及び/又は相互間隔(t1、t2)は、サンプルの成分が徐々に保持されるように勾配を形成している。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、上記受け取りゾーンは、更に、上記分離手段の分離能力を高める手段を含んでいる。その手段は、好ましくは、受け取りゾーンに予め分配されている。好ましくは、上記手段は、分離される上記成分の凝集を形成することのできる化合物である。そのような化合物又は手段は、上述で定義した、化学的、生物学的、及び/又は、物理学的官能性を有するようなものの内から、選択される。
【0062】
一実施形態では、上記手段はビーズであり、それは、分離される上記成分の凝集を形成することができる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物を表面に担持している。
【0063】
適切なビーズは、誘導体化されたものとして又は元のままで、種々の供給者から入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。
【0064】
別の実施形態では、上記相互間隔(t1、t2)は、1μm〜100μmの間隔であり、好ましくは、上記間隔は、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成する。特定の実施形態では、赤血球を除去するのに適切な上記間隔は、約7μm〜約1μmへ変化する。
【0065】
別の実施形態では、上記受け取りゾーンは、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している。
【0066】
一般的な実施形態が、図1a、1bに示されており、それは、装置の一部を示している。これにおいて、基板の表面は、上記表面に対して実質的に垂直な突起によって覆われており、その突起は、側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0067】
別の実施形態が、図2に示されており、それは、表面に垂直突起22を有する基板20を備えた装置の一部を示している。基板20では、サンプル受け取り領域A1が、表面に突起を有していないが、隣接する領域A2が、勾配を形成している突起を有しており、続く領域A3が、培養、輸送、反応、及び/又は検出のためのゾーンとして、機能している。
【0068】
実施形態では、分離手段が、好ましくはサンプルが加えられる際にそれらの分散又は溶解を可能とする形態で、サンプル受け取りゾーンに予め分配されている。上記手段は、例えば、基板上で凍結乾燥されて沈殿された、化学的又は生化学的化合物である。適切な方法及び助剤を、表面上の析出試薬の技術として当業者によく知られているように、使用できる。
【0069】
更に、本発明の別の実施形態では、分離は、親和性反応に基づいており、上記突起又は少なくともそれらの一部が、上述したような、化学的、生物学的、又は物理学的官能性を、備えている。突起は、それらの表面に化学的な反応基を有している。また、突起は、それらの表面に生物学的親和性を備えた物質を有している。
【0070】
関連する実施形態では、突起は、上述したような化学的、生物学的、又は物理学的官能性を有する、構造又は基を、保持している。
【0071】
問題となっている粒子、例えば、赤血球、と結合する化合物又は基が、特に適切である。糖結合分子が一例であり、特にレクチンがあり、それは、赤血球を凝集させることができるものとして示されている。更なる例としては、好ましくは、多価の化合物又は構造、すなわち2(2価)以上の結合基(多価)を示す化合物又は構造である。抗体及び類似の試薬は、2価結合剤の例である。
【0072】
また、多価構造体は、1以上の結合基のコアとして機能とする、例えば、いわゆるビーズのような市販の粒子に基づいて、又は、2以上の結合基が付加される、例えばアルブミンのような天然化合物に基づいて、作ることができる。適切なビーズは、種々の供給者から、誘導体として又は元のままで、入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。ビーズを適用したり誘導体化したりする技術、及び、例えばアルブミンに官能基を結合させる技術は、従来から知られている。適切な結合剤は、分離される成分の選択に続いて、当業者の創作努力無しに、特定できる。また、市販のビーズの誘導体化は、関連技術の当業者によって可能である。
【0073】
別の実施形態では、突起は、基板の所望の使用目的に応じて、以下のものから選択された物理学的特性を有している。すなわち、直径(D)、高さ(H)、相互間隔(t1、t2)、形状、断面、表面コーティング、単位面積当たりの突起の数、突起表面の濡れ挙動、又は、それらの組み合わせ。
【0074】
別の実施形態では、粒子は、基板に化学的又は物理学的に結合されて設けられており、又は、多数の突起を備えた領域内に機械的に捕捉されて設けられている。上記粒子は、ビーズと呼ばれる市販の粒子の中から選択され、ガラス、金属、又はポリマーの、コア、又は、これらの組み合わせ、を有することができ、それらは、上述したように、1以上の化学的、生物学的、又は物理学的官能性をそれらの上に任意に担持している。好ましくは、それらの表面に結合された上記ビーズは、分離される成分に対して特殊な親和性を備えた薬剤を、有している。より好ましくは、上記ビーズは、磁気コアを有している。元のまま又は誘導体化されたそのようなビーズは、例えば、上述したDynal Biotech A/Sから入手できる。そのようなビーズの誘導体化は、公知のプロトコル又は少し変更されたプロトコルを用いて、又は、製造者の指示に従って、当業者によって実行することができる。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の装置は、磁石を備えているか又は磁石と結合して使用されるようになっている。好ましくは、上記磁石は、永久磁石又は電磁石である。上記磁石が装置の中に組み込まれる場合には、電磁石が好ましく、それは、装置自体の外側の付属機器からもたらされる信号又はインパルスを用いて作動できる。
【0076】
装置の別の実施形態では、上記受け取りゾーンは、分離手段によって流れから分離されるサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している。この実施形態では、上記磁石は、好ましくは上記流域の近くに配置され、最も好ましくは受け取りゾーンの下方又は上流に配置される。
【0077】
一実施形態では、磁気ビーズ又は常磁性ビーズが使用され、それらのビーズは、流れから分離される粒子に対して親和性を有する基、又は、これらの粒子の基に対して親和性を有する基、によって、誘導体化されている。適切な磁気ビーズは、種々の供給者から、誘導体化されたものとして又は元のままで、入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。別の例としては、Bioclone Inc., San Diego, CA, USAから入手できる、機能性磁気ビーズがある。これらは、均一な超常磁性を有する1μm又は5μmの直径のビーズであり、これらは、アミン、カルボキシ、アルデヒド、エポキシ、IDA、ヒドラジド、NADPA等のような異なる表面基を、備えている。上述したように、そのようなビーズの、場合によっては必要とされる、誘導体化は、公知のプロトコル又は少し変更されたプロトコルを用いることによって、あるいは、製造者の指示に従って、当業者によって実行できる。
【0078】
磁気ビーズは、サンプルに接触させられて、分離される粒子に付着することが可能である。そして、結合された粒子を備えたビーズを初期段階で保持するために、好ましくは、側方流動路の基端部において又はその近くで、磁力がサンプルに加えられる。磁力は、例えば磁石を、流動路の下方、上方、又は横、好ましくは流動路の下方又は横で、流動路と密接に関係させることによって、外部から加えることができる。また、磁力は、側方流動路の下方の地点又は横にて、磁石又は磁性粒子を基板中に組み込むことによって、加えることができる。これらの実施形態は、図6a、6b、6cに概略的に示されている。
【0079】
図6aには、流動路が基板60上に設けられている実施形態が示されている。流れの方向は、矢印Aによって左から右へ示されている。サンプルは、受け取りゾーン62に加えられる。受け取りゾーン62では、分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化された磁性粒子が、予め分配されている。サンプルを加えると、粒子はサンプルと混合され、その混合物は、毛細管作用によって方向Aに横方向に移動する。符号64で示された分離ゾーンでは、粒子が、磁力を受けて、矢印Bによって示されるように、主流から引き離される。磁力は、基板60(図示せず)中に組み込まれたり基板の近くに配置されたりした、Mで示される永久磁石又は電磁石、から発生させることができる。磁気作用によって取り除かれた成分が失われたサンプルの流れは、符号66で示される反応ゾーン及び検知ゾーンに、更に続いていく。
【0080】
図6bに示された別の実施形態では、基板60上において、サンプルがサンプル受け取りゾーン63に加えられる。サンプル受け取りゾーン63は、予め分配された磁性粒子を含んでいる。磁性粒子は、分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化されている。上記ゾーン63は、好ましくは、他の流動路よりも少し低くなっているが、他の流動路と同じ高さであってもよい。サンプル受け取りゾーンは、実質的に垂直な突起を含んでもよく、あるいは、含んでいなくともよい。受け取りゾーン63の近くであって、好ましくはそのゾーンの下方には、磁石Mが配置されている。好ましくは、上記磁石は、永久磁石である場合には、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間に、受け取りゾーンの近くに設けられる。上記磁石Mが電磁石である場合には、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間のみ、電磁石が作動される。永久磁石が配置され又は電磁石が作動されると、誘導体化された粒子と結合した成分は、ゾーン63を出て行くのが妨げられ、不要成分が失われた残りのサンプルは、毛細管作用によって、流動路に沿って、その後に続く反応ゾーン、培養ゾーン、及び検知ゾーン(図示せず)に向けて、流れる。
【0081】
図6cに示された更に別の実施形態では、磁石Mが基板60上の流動路に沿って配置されている。分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化されて予め分配された磁性粒子、を含むサンプル受け取りゾーン62に、サンプルが加えられる。サンプル及び上記粒子は、毛細管作用によって、矢印A方向に流れ、流動路に並んで配置された磁石Mの範囲に達すると、磁性粒子は、矢印Bによって示されるように、流れから外れる。上記磁石は、永久磁石又は電磁石である。電磁石は、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間に、作動される。
【0082】
上記実施形態は、例えば、窪んだ領域が、基板の表面の上方に隆起した隆起領域と隣接し、又は、基板の他の表面と同一レベルにある領域と隣接している、実施形態と、一体化してもよい。その実施形態では、突起が、上記窪んだ領域と隆起した領域との間の境界に設けられており、上記ポスト間の距離は、それらの幅、高さ、及び形状と、同様に、全血のサンプルが上記窪みに加えられた場合に赤血球は窪みから出て行くのが妨げられるが血漿や血清は垂直突起を有する上記領域を通って流れるように、選択される。
【0083】
本発明の装置は、液体サンプルが粒子状物質を含んでいる場合の分析用途において、有利に使用される。粒子状物質としては、例えば、細胞、組織残屑、有機物質又は無機物質、その他の汚染物質等があり、それらは、サンプルの大部分から分離することが望まれている。1つの重要な用途は、液体サンプルが全血の場合であり、そのような場合には、側方毛細管流動が、赤血球をひどく破裂させることなく血漿から分離することを含んでいる。一実施形態では、一般的に、そのような分離が、及び、具体的には赤血球の穏やかな分離が、突起の勾配において実現される。突起の勾配においては、間隔(t1、t2)が、上記フィルターゾーンの長さに渡って、約7μmから約1μmへ減少している。
【0084】
一実施形態によれば、上記受け取りゾーンは、側方流動から分離された成分のための流域を、形成している。その成分は、例えば、突起の間を通過するのを妨げられ、限られた分だけ空間に入って行く、粒子状物質又は細胞である。上記流域は、液体の流れが、一方向又は好ましくはそれ以上の方向に制限され、すなわち妨げられたり遅らせられたりするように、形成される。流域が実質的に正方形又は長方形の形状を有している場合には、液体の流れは、3方向に制限され、好ましくは妨げられ、第4の方向は、液体がフィルターゾーンを通り過ぎるよう強いられているものである。流域が実質的に円又は楕円である場合には、液体の流れは、その周辺の少なくとも180度、好ましくはその周辺の210度、最も好ましくは270度、に渡って制限され、好ましくは妨げられる。液体流れの制限又は阻止は、流域を囲む壁又は隆起部分に存在している。また、流れの制限は、側方流動を支持しない材料によって少なくとも部分的に囲まれている流域に、存在する。その材料は、例えば、材料の形状や密度等、無孔性材料、液体をはじく薬剤が含浸された材料、例えば強い疎水性材料等、に起因して、毛細管輸送を支持しないものである。
【0085】
別の実施形態では、流域は、側方流動の平面に対して低い。好ましくは、上記フィルターゾーンは、他の側方流動路に至る境界のように、設けられている。より好ましくは、フィルターゾーンは、隆起部分に設けられており、上記流域と側方流動路との間に境界を形成している。
【0086】
液体サンプルから成分を分離する、例えば、血漿から赤血球を分離する、特別な一実施形態では、上記装置は、突起によってその周囲の少なくとも一部が囲まれている領域、状況に応じては窪んだ領域、を有しており、上記突起の間の距離(t1、t2)は、それらの直径(D)、高さ(H)、及び形状と同様に、次のように選択される。すなわち、全血のサンプルが、上記領域に加えられると、赤血球が上記窪みの下流の突起によって上記領域から出て行くのが妨げられ、一方では、血漿が、上記突起の間を流れるように、選択される。
【0087】
本発明の一実施形態では、サンプル中に存在する粒子状物質は、側方流動によって移動できる粒子状物質である。上記液体サンプルが全血であるという用途においては、上記側方毛細管流動が、輸送(適用可能なとき)と、任意にそれに続く、赤血球のひどい破壊のない分離と、を含んでいることが、重要である。これは、突起の1つ以上のパラメータ、例えば、高さ(H)、直径(D)、相互間隔(t1、t2)を、突起の化学的又は生化学的誘導体化と同様に、コントロールすることによって、本発明によって達成される。
【0088】
上記突起の間の間隔(t1、t2)は、分離されたり輸送されたりする成分の特性と同様に、液体サンプルの使用目的や特性に応じて、変えることができ、好ましくは1μm〜100μmの間隔、より好ましくは1μm〜50μmの間隔である。上記突起の間の距離は、装置が対象とするサンプル、そのサンプルの特性、及び分離されるべき成分の特性、を考慮して、当業者によって選択できる。
【0089】
特に好ましい実施形態では、分離は、重力の作用とフィルター作用との両方によって実現される。この実施形態では、図3a、3b、4a、4b、5a、5b及び6bに概略的に示されているように、第1容積又は領域を設けていることが、不要粒子の一部を保持することを助けている。なぜなら、それらの不要粒子は、境界33、44、54をほとんど通り越すことができず、流域に堆積するからである。更に、垂直突起36,46、56’、56’’、56’’’は、フィルターとして機能して、液体から粒子を分離する。フィルターの機能が血漿から赤血球を分離するという用途においては、これらの垂直突起は、好ましくは、約10μmの高さ及び約3μmの相互距離を有している。他の粒子の分離のためには、異なる寸法が考えられる。また、分離が、他の手段、例えば、磁気的及び/又は化学的に誘導体化されたビーズや、多価化合物等によって、助けられる場合には、異なる寸法を使用できる。
【0090】
図3a、3bに示された実施形態では、垂直突起36が、境界34の全表面を実質的に覆っている。突起は、流動路を横切る連続したフィルターバリアを形成する限りは、他の形態で設けることができる。図4a、4bは、突起46が境界44の表面に渡って蛇行した形で縦列に設けられている実施形態を、示している。更に、この図では、手段43,47が示されており、手段43は、表面44の基端エッジに係合するリッジ42の延長部を示しており、手段47は、表面44の先端エッジに係合し且つ他の流動路に至る、L型部材を示している。手段43,47は、境界を越える液体流れを強める。
【0091】
更に、別の実施形態では、超音波定在波が、液体流れ中に存在する粒子を、本発明の装置における流動路において、粒子の音響反応に基づいて、分離するのに、使用されている。液体媒体中に懸濁されている粒子は、超音波定在波のノードに集まることが知られており、これは、従来から分離目的に使用されている。
【0092】
例えば、Riera−Franco de Sarabia et al.,(流体/固体粒子分離プロセスを向上させるための超音波の適用、Ultrasonics. 2000 Mar; 38(1−8):642−6)は、従来の分離技術を助けるために超音波エネルギーを使用することの可能性を、示している。また、超音波分離は、大手術中に血中の脂質粒子を分離するのに使用されており、心臓手術後の脳に対する塞栓症負担を大きく低減している。例えば、Jonsson et al.(超音波を用いる粒子分離が、心臓手術後の脳に対する塞栓症負担を完全に低減できる、Ann Thorac Surg. 2004 Nov; 78(5): 1572−7; discussion 1577−8)を参照。Jonsson et al.によれば、脂質粒子の平均分離率は、81.9%±7.6%であり、赤血球の場合は、79.8%±9.9%であり、両者共、入ってくる血液サンプルのヘマトクリットレベルに関係していた。重要なことに、その手段は、無外傷性であり、溶血を引き起こさなかった。著者は、次のように結論している。すなわち、音響定在波技術を用いた粒子分離は、無外傷性で、脂質粒子を血液から効果的に取り除くのに使用でき、心肺バイパスの後の神経認知合併症を低減する、という実効的な臨床上の意義を備えている。引用文献の著者は、また、特許SE0100819−2を手助けした発明者であり、その特許は、超音波を用いることによって流体から懸濁粒子を分離するための装置、及びそのような分離の方法、に関するものである。
【0093】
本発明では、超音波定在波は、側方流動の中に生成され、不要粒子が前進するのを妨げ、粒子の失われたサンプルが流動路の下流に向けて更に流れるのを促進する。1つの例は、定在波を用いることによって赤血球を固定化することであり、それでは、赤血球の失われた血漿が、毛細管作用によって流動路に沿って流れる。
【0094】
定在波は、液体流動路を介して互いに対向している、同じ振動数の2つのトランスデューサを設けるか、1つのトランスデューサに対向しているレフレクターを設けるか、トランスデューサ及びレフレクターの幾つかのペアを設けるか、によって生成される。2つのトランスデューサ、又は、レフレクター及びトランスデューサは、流動路のいずれかの側に対して流動路の上方及び下方に設けることができ、あるいは、別の方法で、定在波のノードが流動路内に形成されるのを確かなものにする。
【0095】
したがって、一実施形態によれば、サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段は、少なくとも2つの超音波エネルギー源を備えており、それらは、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0096】
代わりの実施形態では、サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段は、少なくとも1つの超音波エネルギー源と1つのレフレクターとを備え、又は、対応するレフレクターを備えた2つの超音波エネルギー源を備えており、それらは、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0097】
上記トランスデューサ及びレフレクターは、本発明の装置に組み込むことができ、又は、補助装置に設けることができ、例えば、結果を読み出すために使用される装置に組み込むことができる。定在波を生成することについての詳しい情報は、超音波についての一般的なテキスト、例えば、1967年のJ. Blitz, Butterworthsによる「Fundamentals of Ultrasonics」で知ることができる。超音波フィルターも、特許に開示されている。例えば、発明者R. SaylesのUK2098498、発明者C.J.SchramのEP147032を参照。
【0098】
また、本発明は、液体サンプル中の検体を検知するための装置内で、又は、その装置と共に、使用するのに適した装置を、提供する。それにおいて、上記装置は、その表面に対して実質的に垂直な突起を有している。その突起は、上記装置が上記液体サンプルの側方流動を実現しながら上記液体サンプルの成分を分離することができるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。この装置は、その使用目的に応じて、上述したような1つ以上の特性及び機能性を有している。
【0099】
この装置は、液体サンプルを分析するための装置と、共同して又は一体化されて、別々に使用できる。この装置は、従来の分析中に又はその前に、前処理工程として機能する。
【0100】
また、本発明は、液体サンプルのアッセイを実行するための方法を提供する。そのサンプルは、基板に適用される。基板は、反応ゾーンと流体連通している、サンプルを受け取るためのゾーンを、有しており、また、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する、輸送又は培養ゾーンを、任意に有している。上記基板は、無孔性基板である。上記受け取りゾーン、任意の反応ゾーン、及び輸送又は培養ゾーンは、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っている。突起は、上記ゾーン中の上記液体サンプルの側方毛細管流動が達成されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0101】
これらの方法の一実施形態では、フィルター工程は、サンプルの添加に続いて実行され、そのフィルター効果は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起によってフィルターゾーンで生じる。突起は、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、サンプルの成分が次第に保持されるように、直径(D)及び/又は相互間隔(t1、t2)に関して勾配を形成している。
【0102】
上記相互間隔(t1、t2)は、好ましくは約1μm〜約100μmの間隔、より好ましくは約7μm〜約1μmの間隔である。
【0103】
代わりに、上記分離は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有するフィルター手段を用いることによって、達成できる。その突起は、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0104】
本発明の方法においては、上記分離手段の分離能力を高める手段が、好ましくは、上記受け取りゾーンに設けられている。上記手段は、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物であるのが好ましい。
【0105】
一実施形態では、上記手段は、ビーズであり、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物で誘導体化され、又は、その化合物を表面に担持している。
【0106】
別の実施形態では、分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域内に、含まれている。
【0107】
本発明の好ましい実施形態では、上記分離は、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段によって強められ、その手段は、流動路内に設けられる。好ましくは、上記手段は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起は、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。そして、上記突起は、分離される成分に対して特殊な親和性を備えた薬剤をそれらの表面に結合して備えている。あるいは、上記手段は、それらの表面に結合されたビーズであり、ビーズは、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤を有している。
【0108】
好ましくは、上記ビーズは、磁気コアを有している。適切な磁気ビーズは、誘導体として又は元のままで、種々の供給者から入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。別の例としては、Bioclone Inc., San Diego, CA, USAから入手できる、機能性磁気ビーズがある。これらは、均一な超常磁性を有する1μm又は5μmの直径のビーズであり、例えば、アミン、カルボキシ、アルデヒド、エポキシ、IDA、ヒドラジド、NADPA等の、種々の表面基を有している。当業者は、不当な負担無く、適切なビーズを注文したり既存のビーズを改変したりすることができる。改変又は誘導体化は、現行のプロトコル、変更プロトコル、又は製造者の指示、に従って、当業者によって実行できる。
【0109】
好ましい実施形態では、上記ビーズは、上記装置内に又はそれに隣接して、設けられた、磁石によって、流れに保持されたり流れから取り除かれたりする。上記磁石は、永久磁石でもよく、電磁石でもよい。
【0110】
本発明の実施形態では、分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域内に、含まれている。この実施形態では、磁石を用いる場合には、上記磁石は、上記流域の近くに配置され、好ましくは流れの方向に関して上記受け取りゾーンの下方又は後ろに配置される。
【0111】
本発明の別の実施形態では、上記分離は、サンプルに超音波定在波を受けさせることによって、強められる。好ましくは、サンプルは、少なくとも2つの超音波エネルギー源による超音波定在波を受ける。それらの超音波エネルギー源は、流動路内で定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によってノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0112】
あるいは、上記サンプルは、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターによる、又は、2つ以上の超音波エネルギー源及びそれらに対応するレフレクターによる、超音波定在波を、受ける。それらは、流動路内で定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によってノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0113】
これらの方法は、液体サンプルの成分をサンプルの塊から分離することが要求される全ての用途において、使用できる。しかしながら、その方法は、上記液体サンプルが全血であり、且つ、上記側方毛細管流動が赤血球をひどく破壊することなく血漿から分離することを含んでいる、という場合の用途に、特に適している。
【0114】
本発明の装置は、驚くことに、従来装置に取って代わるものである。なお、その従来装置では、基板及び/又は1つ以上の上記ゾーンが、例えば、ニトロセルロース、セルロース、石綿繊維、ガラス繊維等のような多孔性材料でできている。
【0115】
(本発明の利点)
本発明の装置の利点は、細胞材料の分離を必要としないので、速いスピードで測定できることである。すなわち、そのような分離が望まれる場合には、迅速な分離が行われる。
【0116】
この装置の別の利点は、毛細管流動ゾーンの開かれた一定構造及び明確な特性によって、これらのゾーンへの試薬の添加、又は、突起の表面の誘導体化が、非常に簡単であることである。
【0117】
この装置の更に別の利点は、1つの装置内だけでなく、生産された全ての装置の間においても、構成が均一であることである。これは、本発明の装置に基づくアッセイの信頼性及び再現性を、非常に増大させることになる。
【0118】
本発明の装置の重要な利点は、血液細胞の分離の程度を0から全部まで正確に制御できることである。
【0119】
本発明の装置は、製造プロセスに対して多くの利点を有している。毛細管ゾーンは、ワンステップで作ることができ、部品の組み合わせを必要としない。任意に、サンプルを添加するための少なくとも1つの開口を有するカバー、及び、アッセイの結果を読み出すものを、基板及び毛細管ゾーンの上に、置くことができる。
【0120】
本発明は、発明者にとって現在知られているベストモードを構成する好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者にとって明らかであるような種々の変更や改良を、これに添付した請求の範囲で述べている発明の範囲から逸脱することなく、行うことができることは言うまでもない。
【0121】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、装置であって、その装置が、基板を有しており、その基板が、サンプルを受け取るゾーンと、任意の反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記ゾーン内の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して又はそのゾーン中に、設けられていることを特徴とする装置。
(2) 上記分離手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有する基板上の領域から成っており、その突起が、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している、実施態様1記載の装置。
(3) 上記受け取りゾーンが、上記分離手段の分離能力を高める手段を更に含んでいる、実施態様1記載の装置。
(4) 上記手段が、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物である、実施態様3記載の装置。
(5) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物をその表面に担持している、実施態様3記載の装置。
(6) 上記相互間隔(t1、t2)が、1μm〜100μmの間隔である、実施態様2記載の装置。
(7) 上記間隔が、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成している、実施態様6記載の装置。
(8) 上記間隔が、約7μm〜約1μmまで変化する、実施態様7記載の装置。
(9) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を形成している、実施態様1〜8のいずれか一つに記載の装置。
(10) 上記分離手段が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段である、実施態様1記載の装置。
(11) 上記手段が化合物であり、その化合物が、液体サンプル中に溶解可能又は分散可能であって、サンプル受け取りゾーンに予め分配されている、実施態様10記載の装置。
(12) 上記手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起が、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、上記突起が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様10記載の装置。
(13) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様10記載の装置。
(14) 上記ビーズが、磁気コアを有している、実施態様13記載の装置。
(15) 上記装置が、磁石を備えている、実施態様14記載の装置。
(16) 上記磁石が、永久磁石又は電磁石である、実施態様15記載の装置。
(17) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している、実施態様10〜16のいずれか一つに記載の装置。
(18) 上記磁石が、上記流域の近くに配置されている、実施態様17記載の装置。
(19) 上記分離手段が、サンプルに超音波定在波を受けさせるための手段を備えている、実施態様1記載の装置。
(20) サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段が、少なくとも2つの超音波エネルギー源を備えており、それらが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様19記載の装置。
(21) サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段が、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターを備えており、それらが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様19記載の装置。
(22) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を形成している、実施態様19〜21のいずれか一つに記載の装置。
(23) 上記基板が、プラスチック基板、好ましくは熱可塑性基板である、上記実施態様のいずれか一つに記載の装置。
(24) 上記基板が、シリコン基板又はガラス基板である、上記実施態様のいずれか一つに記載の装置。
(25) 上記ビーズが、ガラス、ポリマー、金属、又はそれらの組み合わせ、からなるビーズの内から選択される、実施態様5又は13に記載の装置。
(26) 液体サンプル中の検体の検出に使用するための方法であって、上記検出が、基板上のプロセスにおいて行われ、上記サンプルの少なくとも一部が、毛細管作用によって、上記サンプルが加えられる受け取りゾーンから、反応/検出が行われる任意のゾーンまで、輸送され、毛細管作用による上記輸送が、流動路を構成しており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現され、且つ、不要成分の分離が上記毛細管流動の中断無く実施されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有していることを特徴とする方法。
(27) 上記分離が、フィルター手段を用いることによって実現され、そのフィルター手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有しており、その突起が、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している、実施態様26記載の方法。
(28) 上記分離手段の分離能力を高める手段が、上記受け取りゾーン内に設けられている、実施態様27記載の方法。
(29) 上記手段が、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物である、実施態様28記載の方法。
(30) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物をその表面に担持している、実施態様28記載の方法。
(31) 上記相互間隔(t1、t2)が、約1μm〜約100μmの間隔である、実施態様26記載の方法。
(32) 上記間隔が、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成している、実施態様31記載の方法。
(33) 上記間隔が、約7μm〜約1μmまで変化する、実施態様32記載の方法。
(34) 分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様26〜33のいずれか一つに記載の方法。
(35) 上記分離が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段によって強められ、その手段が流動路に設けられている、実施態様26記載の方法。
(36) 上記手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起が、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、上記突起が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様35記載の方法。
(37) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様35記載の方法。
(38) 上記ビーズが、磁気コアを有している、実施態様37記載の方法。
(39) 上記ビーズが、上記装置内に又は上記装置に隣接して設けられた磁石によって、流れに保持され又は流れから取り除かれる、実施態様38記載の方法。
(40) 上記磁石が、永久磁石又は電磁石である、実施態様39記載の方法。
(41) 分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様35〜40のいずれか一つに記載の方法。
(42) 磁石が、上記流域の近くに配置されている、実施態様41記載の方法。
(43) 上記分離が、サンプルに超音波定在波を受けさせることによって強められる、実施態様26記載の方法。
(44) サンプルが、少なくとも2つの超音波エネルギー源による超音波定在波を受け、それらの超音波エネルギー源が、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様43記載の方法。
(45) サンプルが、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターによる超音波定在波を受け、それらの超音波エネルギー源及びレフレクターが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様43記載の方法。
(46) 分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様43〜45のいずれか一つに記載の方法。
(47) 上記基板が、プラスチック基板、好ましくは熱可塑性基板である、実施態様26〜45のいずれか一つに記載の方法。
(48) 上記基板が、シリコン基板又はガラス基板である、実施態様26〜45のいずれか一つに記載の方法。
(49) 上記化合物が、親水基、疎水基、正電荷基及び/又は負電荷基、酸化ケイ素、炭水化物、レクチン、アミノ酸、高分子、抗体、及びそれらの組み合わせ、の内から選択される、実施態様29又は30に記載の方法。
(50) 上記ビーズが、ガラス、ポリマー、金属、又はそれらの組み合わせ、からなるビーズの内から選択される、実施態様30又は37に記載の方法。
(51) サンプル中の成分を分離するための方法であって、実施態様1〜25のいずれか一つの装置を使用することを特徴とする方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の1つ以上の検体の検出に使用される、アッセイ装置又はアッセイシステム又はその成分と、その装置又は成分を使用するための方法と、その装置を使用して検体を検出するための方法と、に関するものである。本発明は、特に、装置、成分、適用方法に関するものであり、サンプルの成分は、検体の検出反応の前又はその間に、分離される必要がある。
【背景技術】
【0002】
分析測定や診断測定は、しばしば、液体サンプルについて実行される。その液体サンプルは、目的の検体に加えて、無数の他の成分を、溶液形態及び/又は粒子形態で含んでおり、そのような他の成分は、サンプルの取り扱いをしばしば妨害し、検体の定量測定又は定性測定に影響する。
【0003】
例えば、多くの臨床診断方法が、生物学的サンプル中の検体の検出に基づいている。そのような検出は、しばしば、使い捨て可能なアッセイ装置で行われ、迅速且つ簡単な診断を可能としている。1つの重要な用途は、免疫学の広い分野であり、その分野では、検体は、特殊な抗体の助けによって検出される。その抗体は、検体と結合することができ、また、通常は、検出を助ける配位子の助けによって検出可能な複合体を形成することができる。
【0004】
患者からの生物学的サンプル、特に血液サンプル、を用いて、テストを実行する場合には、多くの要因を考慮する必要がある。全血は、凝固して、アッセイ装置でのサンプルの所望の流れを弱めたり妨げたりする傾向がある。赤血球は、凝固しない時でさえ、流れを邪魔したり遅くしたりする。更に、赤血球は、特殊な結合対部材間の結合を阻止する。また、赤血球は、酵素活性を有しており、それは、使用されるアッセイに依存するが、生成される信号を妨害する。
【0005】
不幸にも、赤血球は、全血中に存在しており、光を散乱させたり吸収したりするので、反射光又は透過光を測定するアッセイ方法を妨害する。また、他の細胞は、特定の測定を妨害する。例えば、コレステロール測定は、細胞膜中に存在するコレステロールによって影響される。
【0006】
更に、赤血球フラクションは、ある場合には半分の量であるが、かなりの量のサンプルを要する。大切なことは、ヘマトクリット値とも呼ばれるこのフラクションが、異なる固体の間で、及び、同じ固体であっても、異なる測定の間で変化することである。これは、言い換えると、測定の精度及び/又は再現性に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、多くのアッセイ法は、アッセイが血漿又は血清について実行されるとすぐに赤血球を分離するという工程を、含んでいる。凝固する前に分離が行われると、血漿が得られる。分離の前に凝固が起こると、血清が得られる。
【0008】
赤血球は、遠心分離によって血漿から分離できる。しかしながら、遠心分離は、比較的多量のサンプルを必要とし、遠心分離機を使用する必要がある。これは、また、時間がかかり、サンプルを取り扱う追加の工程を構成し、その工程は、コスト及び複雑性を増大させ、しかも、潜在的な伝染性の血液感染症病原菌が含まれている場合には特に避けるべきである。更に、それを取り扱う固体によって汚染されているサンプル、同時進行のサンプルによる二次感染、又は、他のサンプルとの混合、というリスクが、増大する。
【0009】
全血サンプル及び赤血球に関して上述したことは、必要な用途と共に全ての他の生物学的サンプルにも適用され、それでは、細胞、細胞残屑、繊維、又は他の不要な粒子等が、測定を妨害するので、それらは、検体の検出に結びつく反応又は測定の、前又は間に、好ましくは分離されるべきである。
【0010】
使い捨て可能なアッセイ装置の最も一般的なタイプは、サンプルを受け取るためのゾーン又は領域と、反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンを接続する任意の輸送又は培養ゾーンと、から成っている。これらのアッセイ装置は、クロマトグラフアッセイ装置として知られており、あるいは、単にストリップテストと言われている。それらは、毛細管流動を支持できる流体流れの通路を構成する多孔性材料、例えばフィルター材料を使用する。サンプル受け取りゾーンは、しばしば、もっと多孔性の材料から成っており、その材料は、サンプルを吸収することができ、また、血液細胞の分離が望まれるときは、赤血球を捕捉するのに有効である。そのような材料の例としては、紙、フリース、ゲル、又は薄い織物のような、繊維性材料があり、それらは、例えば、セルロース、ウール、ガラス繊維、アスベスト、合成繊維、ポリマー等、あるいは、それらの混合物で、構成されている。輸送又は培養ゾーンは、通常、同じ又は類似の材料から成っており、その材料は、しばしば、サンプル受け取りゾーンとは別の多孔性を備えている。同様に、反応ゾーンは、培養ゾーンと一体であり、又は、培養ゾーンの最先端部を構成しているが、通常は、類似の吸収繊維材料又は上述で列挙した材料、から成っている。
【0011】
アッセイ装置又はストリップテストでは、熱可塑性材料、紙、ボール紙等のストリップのようなキャリア上に、多孔性材料が取り付けられている。更に、カバーを設けることができる。そのカバーは、サンプルを受け取るための少なくとも1つの開口と、アッセイの結果を読み取るための開口又は透明領域と、を有している。
【0012】
また、ニトロセルロース材料が、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する輸送又は反応ゾーン、を構成するマトリックスとして、しばしば、使用される。ニトロセルロースの重大な不利点は、タンパク質及び他の生体分子との高い非特異的結合性である。しかしながら、現在のテストストリップは、しばしば、サンプルの余りを取り扱っており、この結合性の影響を低減している。しかしながら、サンプル容積を最小限とすることが望まれており、それは、テスト全体を小型化する傾向と一致しており、精度や信頼性を損なうことなく試薬の量を最小限にすることを含んでいる。
【0013】
EP1371984は、全血のサンプル中の検体の存在を検知するためのクロマトグラフアッセイ装置及び方法を開示しており、それは、赤血球を凝集させ、血漿又は血清が毛細管作用によって流れるようにするために、赤血球分離剤を利用している。キャリア材料の例としては、多孔性ゲルだけでなく、天然又は合成の、紙(繊維)材料、又は、セルロース、ガラス繊維、クロス等の膜、がある。
【0014】
従来においてよく用いられ、よく知られているが、上述のキャリア材料は、多くの欠点と関係している。材料の構造は、いつも、異なるバッチの間で変動し、また、例えば繊維材料における繊維のランダム分布、又は、例えばゲル用材料におけるキャビティ、によって、材料内においても変動する。同様に、例えば、材料に加えられた化学物質の分布のような材料の化学的特性が、上述したのと同じ理由のために必然的に変動する。WO03/103835は、基板を備えたマイクロ流体システムを開示しており、それは、基板上に、機能手段と相互接続した少なくとも1つの流動路を、備えており、機能手段では、液体サンプルが、異なった所望の処置を受けることができ、上記流動路は、上記基板から突出しているマイクロポストと呼ばれる多数の垂直突起を、備えている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、液体サンプル中の検体を検出する前にサンプル中の成分を分離するための装置を提供する。その装置は、サンプルを受け取るためのゾーンと、反応ゾーンと、任意の輸送又は培養ゾーンと、を備えている。輸送又は培養ゾーンは、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続しており、基板上に流動路を形成している。その基板は、無孔性基板であり、流動路の少なくとも一部は、基板に対して実質的垂直な突起からなる領域から成っている。その突起は、ゾーン中の液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。そして、分離手段が、サンプルを受け取るためのゾーン内に又はそのゾーンに隣接して、設けられている。
【0016】
また、本発明は、液体サンプル中の検体を検出するのに使用する方法を提供する。その検出は、基板上のプロセスで起こる。サンプルの少なくとも一部は、毛細管作用によって、サンプルが加えられた受け取りゾーンから、反応/検出が起こるゾーンへ、輸送される。その輸送距離は、流動路として構成されており、そこでは、上記基板は無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っている。その突起は、液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、及び、不要成分の分離が上記毛細管流動が中断することなく実行されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、真kな装置及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図1b】図1aに示された実施形態の部分図である。
【図2】本発明の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図3a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図3b】図3aに示された実施形態の部分図である。
【図4a】本発明の実施形態を概略的に示す図である。
【図4b】図4aに示された実施形態の部分図である。
【図5a】上述とは別の実施形態を概略的に示す図である。
【図5b】図5aの実施形態の部分図である。
【図6a】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【図6b】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【図6c】サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、参照することによってそれらの全てが一体となっている明細書及び請求の範囲に記載された、上記装置及び方法の実施形態を、包含している。
【0020】
本発明は、以下の記載、実施例、及び添付の図面において、より詳細に説明される。
【0021】
(図面の詳細な説明)
図1aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプルの一滴が、基板10に加えられている。基板10は、その上に、表面に対して実質的に垂直な多数の突起12を有している。矢印14は、流れの方向を示している。
【0022】
図1bは、図1aに示された実施形態の部分図である。これは、上記垂直な突起の一実施形態を示している。上記突起は、上記ゾーンにおいて上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【0023】
図2は、本発明の別の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプルの一滴が基板20の実質的に突起がない領域A1に加えられており、領域A1は、突起22を有する第2領域A2と隣接している。領域A2全体における突起の高さ(H)、直径(D)及び相互間隔(t1,t2)は、段階的な保持又は濾過効果が実現されるように、変化しており、それに対して、隣接する領域A3は、輸送及び/又は反応ゾーンとして機能する。
【0024】
図3aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、サンプル受け取りゾーン又は領域A1が、基板30の他の表面に対して低くなっており、サンプル受け取りゾーンと他の側方流動路との間に、境界34を形成している。境界34の上には、第2領域A2が設けられており、それは第1突起36を有しており、第1突起36は、側方流動を支持するが、第2突起38を有する第3の連続した領域A3の前で、フィルターとして機能する。したがって、A1は、側方流動において発見された粒子状物質のための流域として機能するが、その粒子状物質が境界を通過するのは、突起36によって防止される。この実施形態では、第2領域A2が周囲の領域A1,A3の両方よりも少し高く、A2の突起は、A3及びそれに連続した領域(図示せず)の突起とは異なる高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1,t2)を有している。
【0025】
図3bは、図3aに示された実施形態の部分図であり、第1突起36の寸法を示している。
【0026】
図4aは、本発明の実施形態を概略的に示している。ここでは、基板40に設けられた低いサンプル受け取りゾーン又は領域A1が、サンプル受け取りゾーンと他の側方流動路との間の境界44へ至る、横向きの溝又はリッジ42を、有している。
【0027】
図4bは、図4aに示された実施形態の部分図を示している。これは、突起46が、境界44の上面に、他の側方流動路の突起48とは異なる大きさ及び/又は形態で、どのように設けられているか、を示している。リッジ42が境界の基端部に出会うところでは、隆起部分43が、境界の基端エッジに係合し且つそれを乗り越えて、設けられている。同様に、境界の先端エッジでは、L型要素が境界の先端エッジに係合し且つそれを乗り越える、隆起部分すなわち「爪」47を、形成している。上記細部43、47は、毛細管作用を向上させる、表面の適用を、単に例示しているだけである。赤血球の分離において、上記突起46は、好ましくは、少なくとも約10μmの高さを有し、互いに約3μmの距離で位置している。この部分図は、突起46が境界44の上で蛇行パターンで一列縦隊で配置されている様子を示している。幾つかの代わりのパターン又は配置が考えられる。
【0028】
図5aは、上述とは別の実施形態を概略的に示している。ここでは、基板50の上で2つの区画が境界によって分けられている。第1区画は、上記境界まで伸びて上記境界と係合している、長手方向の溝及びリッジを、有している。上記第2区画は、好ましくは、アッセイゾーン、反応ゾーン、検出ゾーン等と通常は関係している他の機能を、備えている。
【0029】
図5bは、上記実施形態の部分図を示している。これは、境界54の表面上に符号56’、56’’、56’’’で示された垂直な突起が、実質的に平行に設けられている、別の実施形態を、示している。これらは、形、高さ、幅、突起間の距離、において、同じでもよく、異なっていてもよい。また、リッジ52が境界54の基端部と出会うところでは、隆起部分53が、境界の基端エッジと係合し且つそれを乗り越えて、設けられている。同様に、境界の先端エッジでは、L型要素が、境界の先端エッジと係合し且つそれを乗り越える、隆起部分すなわち「爪」57を形成している。上記細部53、57は、毛細管作用を向上させる、表面の適用を、ただ単に例示しているだけである。
【0030】
図6a、6b、6cは、サンプルの不要成分を分離するための磁気手段をどのように設けることができるか、を概略的に示している。磁石Mは、図6a、6bにおいては、基板60の外に離れて設けられており、図6cでは、基板の中又は上に、設けられているが、これらは単なる例である。本発明は、磁力が、問題になっている分離を助けるのに十分である限りは、磁石が、基板と一体であったり、基板に隣接して設けられたり、基板から離れて設けられたりする、実施形態を、包含している。
【0031】
(定義)
本件の装置及び方法を記述するのに先だって、以下、述べる。当然ながら、本発明は、ここに開示されている特定の、形態、方法ステップ、及び材料に、限定されるものではなく、そのような形態、ステップ、及び材料は、少し異ならせてもよい。また、当然ながら、ここで使用された専門用語は、特定の実施形態のみを記述する目的で用いられており、本発明の範囲を限定する意味の無いものである。何故なら、本発明の範囲は、添付の請求の範囲及びその均等物によってのみ制限されるからである。
【0032】
また、この明細書や添付の請求の範囲において使用されているように、「1つの」及び「その」という単数形は、文脈が明らかに別のことを示していない限りは、複数の指示対象を含んでいる。したがって、例えば「1つの抗体」を含む反応混合物への言及は、2つ以上の抗体の混合物を含んでいる。
【0033】
数値の文脈で使用される場合の表現の「約」は、当業者にとってよく知られており許容可能である、精度の区間を、意味している。その区間は、±10%、好ましくは±5%である。
【0034】
本発明を記述し及び主張する際に、以下の専門用語は、ここで述べられる定義に従って使用される。
【0035】
ここで「サンプル」という用語は、多量の液体、溶液、又は懸濁液を、意味しており、その特性のいずれかの定性的又は定量的測定、例えば、成分の有無、成分の濃度等の測定を、受けるためのものである。サンプルは、哺乳類好ましくは人間のような生物から採取されたサンプルでもよく、あるいは、水サンプルや流出物のような生物圏から採取されたサンプルでもよく、例えば、薬剤、食品、餌等の生産のような、細胞培養及び醗酵や飲料水の精製や排水の処理等を含む、生産プロセスのような、技術的、化学的、又は生物学的プロセスから採取されたサンプルでもよい。サンプルは、均一化、超音波処理、濾過、沈殿、遠心分離、加熱処理等の、適切な前処理の後に、定性的又は定量的測定を受けてもよい。
【0036】
本発明との関連で代表的なサンプルは、体液、環境流体、プロセス流体である。体液としては、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、精液、胃液、痰、涙液等がある。環境流体としては、例えば、地上水、地下水、汚泥等がある。プロセス流体としては、例えば、ミルク、乳清、肉汁、栄養溶液、細胞培養媒体等がある。本発明は、全てのサンプルに適用可能であるが、体液のサンプルが好ましく、全血サンプルが特に最も好ましい。
【0037】
サンプルの側方流動と、サンプルに存在する成分と装置に存在する反応試薬との相互作用と、そのような相互作用の検出と、に基づく、定性的又は定量的測定は、診断、環境保護、品質管理、規制、法医学、研究目的のようないずれの目的のためであってもよい。そのようなテストは、クロマトグラフアッセイ、又は、免疫クロマトグラフアッセイのような側方流動アッセイ、と呼ばれている。
【0038】
診断測定の例としては、限定するものではないが、種々の疾患、例えば、慢性代謝性疾患、に対して特異的なマーカーと呼ばれる検体、例えば、血糖、血中ケトン、尿グルコース(糖尿病)、血中コレステロール(アテローム性動脈硬化症、肥満等)の測定や、他の特定疾患、例えば、急性疾患の、マーカー、例えば、心筋梗塞マーカー(例えば、トロポニン−T)、甲状腺機能のマーカー(例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定)、ウイルス感染のマーカー(特定のウイルス抗体の検出用の側方流動免疫測定の使用)等の測定、がある。
【0039】
診断測定の他の重要な分野は、妊娠及び受胎能力に関するものである。例えば、妊娠テスト(性腺刺激ホルモン(hCG)の測定)、排卵テスト(黄体形成ホルモン(LH)の測定)、受胎能テスト(卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定)等がある。
【0040】
更に、他の重要な分野は、薬物乱用を示す薬物や薬物代謝物の、容易且つ迅速な検出のための、薬物検査である。例えば、尿サンプル等における特定の薬物や薬物代謝物(例えばTHC)の測定がある。
【0041】
「検体」という用語は、「マーカー」という用語と同義語として使用され、定量的又は定性的に測定されるいかなる物質も包含するためのものである。
【0042】
「ゾーン」、「領域」、「部位」という用語は、この明細書、実施例、及び請求の範囲の文脈の中で使用されて、従来の装置であるか本発明の装置であるかを問わず、基板上の流動路の部分を定義する。
【0043】
「反応」という用語は、サンプルの成分と、上記基板の上や中にある少なくとも1つの反応試薬と、の間で起こったり、上記サンプル中に存在する2つ以上の成分の間で起こったりする、いかなる反応も定義するのに、使用される。「反応」という用語は、特に上記検体の定性的又は定量的測定の一部として、検体と反応試薬との間で起こる反応を、定義するのに、使用される。
【0044】
「基板」という用語は、サンプルが加えられるキャリア又はマトリックスを意味し、測定は、基板において実行され、検体と反応試薬との反応は、基板で起こる。
【0045】
「化学官能性」という用語は、アッセイを行ったり促進したりするのに必要な、化合物や化学成分を、含んでいる。本発明と特に関連する化合物の1つのグループは、サンプル中の1以上の成分に対して、特異的な親和性を示したり、又は、その成分と結合したり相互作用したりすることのできる、化合物又は成分である。赤血球分離剤は、説明に役立つ実例を構成する。その薬剤は、赤血球を凝集させたり結合させたりできる物質である。
【0046】
好ましい薬剤は、ポリカチオンのような正電気を帯びた物質であり、例えば、ポリ−L−リジンハイドロブロマイド;ポリ(ジメチルジアリルアンモニウム)クロライド(Merquat TM 100, Merquat TM 280, Merquat TM 550);ポリ−L−アルギニンハイドロクロライド;ポリ−L−ヒスチジン;ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)ハイドロクロライド;ポリ(4−ビニルピリジン)架橋、メチルクロライド四級塩;ポリ(4−ビニルピリジン−CO−スチレン);ポリ(4−ビニルピリジニウムポリ(フッ化水素));ポリ(4−ビニルピリジニウム−P−トルエンスルホネート);ポリ(4−ビニルピリジニウム−トリブロマイド);ポリ(4−ビニルピロリドン−CO−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート);ポリビニルピロリドン架橋;ポリビニルピロリドン、ポリ(メラミン−CO−ホルムアルデヒド);部分メチル化;ヘキサジメトリンブロマイド;ポリ(Glu, Lys)1:4ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Ala)3:1ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Ala)2:1ハイドロブロマイド;ポリ−L−リジンサクシニレート;ポリ(Lys, Ala)1:1ハイドロブロマイド;ポリ(Lys, Trp)1:4ハイドロブロマイドがある。最も好ましいポリカチオンは、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウム)クロライド(Merquat TM 100)である。
【0047】
赤血球分離剤は、サンプルの残りから赤血球を分離するよう機能する適当量で、使用される。好ましくは、赤血球分離剤は、約0.04%〜約1.3%(重量/体積)の濃度、より好ましくは約0.13%〜約0.33%(重量/体積)の濃度で、最も好ましくは約0.20%〜約0.33%(重量/体積)の濃度で、存在する。
【0048】
赤血球分離剤の正電荷は、ストリップ上に存在する負に帯電した薬剤を凝集する傾向を有している。例えば、クロマトグラフキャリアに結合された標識物質又は結合体は、赤血球分離剤によって凝集できる。その赤血球分離剤は、検体が結合体と結合するのを妨げ、又は、競合アッセイにおいて検出部位でのトラップ物質又は結合体に標識物質及び目的の検体が結合するのを妨げる。結局、免疫測定システムの感度及び精度は信用できなくなる。
【0049】
したがって、赤血球分離剤が正電気を帯びた物質である場合、本発明は好ましくは中和剤を利用する。中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和することができ、それによって、赤血球分離剤によって引き起こされるアッセイシステムへの妨害を取り除き又は少なくとも最小化する。好ましくは、中和剤はクロマトグラフキャリアに拡散的に結合されている。中和剤は、クロマトグラフキャリアのどの場所でも拡散的に結合されていればよく、その場所では、中和剤は、赤血球分離剤を中和するよう機能するが、好ましくは赤血球分離剤の下流且つ検出部位の上流に配置され、より好ましくは拡散的に結合された標識物質としてクロマトグラフキャリアの同じ場所に配置される。
【0050】
中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和することができるポリアニオンであってもよい。好ましいポリアニオンとしては、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸Na塩)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(Na−4−スチレンスルホネート)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ−L−アスパラギン酸、カルボキシメチルセルロースがあり、硫酸デキストランが最も好ましい。
【0051】
中和剤は、赤血球分離剤の正電荷を中和するよう機能する量で、存在する。一般には、中和剤の濃度は、使用されている赤血球分離剤の濃度に依存する。好ましくは、中和剤は、約0.33%〜約20%(重量/体積)の濃度で存在し、より好ましくは約0.34%〜約10%(重量/体積)の濃度で存在し、最も好ましくは0.34%〜10%(重量/体積)の濃度で存在する。
【0052】
「生物学的官能性」という用語は、サンプルの成分と、基板の上又は中の試薬と、の間の、全ての生物学的相互作用、例えば、触媒作用、結合、内部化、活性化、又は他の生体特異的相互作用を、含んでいる。適切な試薬は、限定されるものではないが、抗体、抗体のフラグメント及び誘導体、一本鎖抗体、レクチン、DNA、アプタマー等を含んでおり、結合能力を備えた他のポリマーや分子を含んでいる。そのような試薬は、分離される成分の選択に続いて、標準的な実験、例えば、スクリーニング法及び化学ライブラリーを用いて、同業者によって同定できる。
【0053】
「物理学的官能性」という用語は、単なる化学的又は生物学的であるもの以外の反応及び相互作用に含まれた、官能性を含んでいる。実施例では、直径、高さ、形、断面、表面形状、及び表面パターン、単位面積当たりの突起の数、上記突起の表面の濡れ挙動、又はそれらの組み合わせがあり、及び/又は、サンプルの成分の流れ、保持力、接着性、又は拒絶反応に影響するその他の官能性がある。
【0054】
化学的、生物学的、及び物理学的相互作用の間の違いは、必ずしも明確ではなく、サンプル中の成分と基板上の試薬との間の相互作用のような、相互作用が、化学的、生物学的、及び物理学的要素を含んでいることは、可能なことである。
【0055】
親水性又は疎水性化合物、親水性又は疎水性相互作用等、において見られるような、「親水性」及び「疎水性」という用語は、当業者によって一般的に理解され、公認のテキストで一般的に使用されるものに相当する意味を有している。
【0056】
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、液体サンプル中の検体の検出中又は検出前に、サンプル中の成分を分離するための、装置及び方法を、提供する。それにおいて、サンプルは、基板上の受け取りゾーンに加えられる。その基板は、任意に更に、反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えている。それにおいて、上記基板は、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部は、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起は、上記ゾーン中の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。そこでは、分離手段が、サンプルを受け取るためのゾーンに隣接して、設けられている。上記分離手段は、親和性結合及び/又は凝集によって任意に強化されたフィルター手段、親和性結合及び/又は凝集によって任意に強化された磁気手段、及び音響手段、の内から選択される。
【0057】
本発明の装置及び方法は、参照することによってここに組み込まれた、添付の請求の範囲において、更に定義される。
【0058】
本発明の装置は、プラスチック基板、好ましくは、熱可塑性基板又はプラスチック上層を有する基板、を足場としている。これは、順に、例えば、スパッタリング、蒸着等の技術を使用することによって、被覆したり誘導体化したりすることができ、また、シリコン、金属、その他のコーティングを得ることができる。また、本発明は、シリコンやガラスの基板で作ることができる。好ましい実施形態では、基板に、親水性の処理又はコーティングが、施される。それは、基板に対して、例えば、ガスプラズマ処理のような酸化処理を施したり、酸化シリコンのような親水性物質や、デキストラン、ポリエチレングリコール、ヘパリン、それらの誘導体のような親水性ポリマーや、洗浄剤や、ポリマーのような生物学的物質でコーティングしたりすることによって、行われる。
【0059】
本発明の一実施形態では、上記分離手段は、上記基板上の上記流動路内に設けられたフィルター又はフィルターゾーンを、備えている。上記フィルターは、上記表面に対して実質的に垂直な突起を備えており、その突起は、上記ゾーン中にて上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。一方、分離される成分は、上記フィルターを通過するのが実質的に妨げられる。
【0060】
別の実施形態では、上記フィルターゾーンは、サンプルを受け取るためのゾーンに隣接して設けられている。上記フィルターゾーンは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有しており、その突起は、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、直径(D)及び/又は相互間隔(t1、t2)は、サンプルの成分が徐々に保持されるように勾配を形成している。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、上記受け取りゾーンは、更に、上記分離手段の分離能力を高める手段を含んでいる。その手段は、好ましくは、受け取りゾーンに予め分配されている。好ましくは、上記手段は、分離される上記成分の凝集を形成することのできる化合物である。そのような化合物又は手段は、上述で定義した、化学的、生物学的、及び/又は、物理学的官能性を有するようなものの内から、選択される。
【0062】
一実施形態では、上記手段はビーズであり、それは、分離される上記成分の凝集を形成することができる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物を表面に担持している。
【0063】
適切なビーズは、誘導体化されたものとして又は元のままで、種々の供給者から入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。
【0064】
別の実施形態では、上記相互間隔(t1、t2)は、1μm〜100μmの間隔であり、好ましくは、上記間隔は、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成する。特定の実施形態では、赤血球を除去するのに適切な上記間隔は、約7μm〜約1μmへ変化する。
【0065】
別の実施形態では、上記受け取りゾーンは、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している。
【0066】
一般的な実施形態が、図1a、1bに示されており、それは、装置の一部を示している。これにおいて、基板の表面は、上記表面に対して実質的に垂直な突起によって覆われており、その突起は、側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0067】
別の実施形態が、図2に示されており、それは、表面に垂直突起22を有する基板20を備えた装置の一部を示している。基板20では、サンプル受け取り領域A1が、表面に突起を有していないが、隣接する領域A2が、勾配を形成している突起を有しており、続く領域A3が、培養、輸送、反応、及び/又は検出のためのゾーンとして、機能している。
【0068】
実施形態では、分離手段が、好ましくはサンプルが加えられる際にそれらの分散又は溶解を可能とする形態で、サンプル受け取りゾーンに予め分配されている。上記手段は、例えば、基板上で凍結乾燥されて沈殿された、化学的又は生化学的化合物である。適切な方法及び助剤を、表面上の析出試薬の技術として当業者によく知られているように、使用できる。
【0069】
更に、本発明の別の実施形態では、分離は、親和性反応に基づいており、上記突起又は少なくともそれらの一部が、上述したような、化学的、生物学的、又は物理学的官能性を、備えている。突起は、それらの表面に化学的な反応基を有している。また、突起は、それらの表面に生物学的親和性を備えた物質を有している。
【0070】
関連する実施形態では、突起は、上述したような化学的、生物学的、又は物理学的官能性を有する、構造又は基を、保持している。
【0071】
問題となっている粒子、例えば、赤血球、と結合する化合物又は基が、特に適切である。糖結合分子が一例であり、特にレクチンがあり、それは、赤血球を凝集させることができるものとして示されている。更なる例としては、好ましくは、多価の化合物又は構造、すなわち2(2価)以上の結合基(多価)を示す化合物又は構造である。抗体及び類似の試薬は、2価結合剤の例である。
【0072】
また、多価構造体は、1以上の結合基のコアとして機能とする、例えば、いわゆるビーズのような市販の粒子に基づいて、又は、2以上の結合基が付加される、例えばアルブミンのような天然化合物に基づいて、作ることができる。適切なビーズは、種々の供給者から、誘導体として又は元のままで、入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。ビーズを適用したり誘導体化したりする技術、及び、例えばアルブミンに官能基を結合させる技術は、従来から知られている。適切な結合剤は、分離される成分の選択に続いて、当業者の創作努力無しに、特定できる。また、市販のビーズの誘導体化は、関連技術の当業者によって可能である。
【0073】
別の実施形態では、突起は、基板の所望の使用目的に応じて、以下のものから選択された物理学的特性を有している。すなわち、直径(D)、高さ(H)、相互間隔(t1、t2)、形状、断面、表面コーティング、単位面積当たりの突起の数、突起表面の濡れ挙動、又は、それらの組み合わせ。
【0074】
別の実施形態では、粒子は、基板に化学的又は物理学的に結合されて設けられており、又は、多数の突起を備えた領域内に機械的に捕捉されて設けられている。上記粒子は、ビーズと呼ばれる市販の粒子の中から選択され、ガラス、金属、又はポリマーの、コア、又は、これらの組み合わせ、を有することができ、それらは、上述したように、1以上の化学的、生物学的、又は物理学的官能性をそれらの上に任意に担持している。好ましくは、それらの表面に結合された上記ビーズは、分離される成分に対して特殊な親和性を備えた薬剤を、有している。より好ましくは、上記ビーズは、磁気コアを有している。元のまま又は誘導体化されたそのようなビーズは、例えば、上述したDynal Biotech A/Sから入手できる。そのようなビーズの誘導体化は、公知のプロトコル又は少し変更されたプロトコルを用いて、又は、製造者の指示に従って、当業者によって実行することができる。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の装置は、磁石を備えているか又は磁石と結合して使用されるようになっている。好ましくは、上記磁石は、永久磁石又は電磁石である。上記磁石が装置の中に組み込まれる場合には、電磁石が好ましく、それは、装置自体の外側の付属機器からもたらされる信号又はインパルスを用いて作動できる。
【0076】
装置の別の実施形態では、上記受け取りゾーンは、分離手段によって流れから分離されるサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している。この実施形態では、上記磁石は、好ましくは上記流域の近くに配置され、最も好ましくは受け取りゾーンの下方又は上流に配置される。
【0077】
一実施形態では、磁気ビーズ又は常磁性ビーズが使用され、それらのビーズは、流れから分離される粒子に対して親和性を有する基、又は、これらの粒子の基に対して親和性を有する基、によって、誘導体化されている。適切な磁気ビーズは、種々の供給者から、誘導体化されたものとして又は元のままで、入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。別の例としては、Bioclone Inc., San Diego, CA, USAから入手できる、機能性磁気ビーズがある。これらは、均一な超常磁性を有する1μm又は5μmの直径のビーズであり、これらは、アミン、カルボキシ、アルデヒド、エポキシ、IDA、ヒドラジド、NADPA等のような異なる表面基を、備えている。上述したように、そのようなビーズの、場合によっては必要とされる、誘導体化は、公知のプロトコル又は少し変更されたプロトコルを用いることによって、あるいは、製造者の指示に従って、当業者によって実行できる。
【0078】
磁気ビーズは、サンプルに接触させられて、分離される粒子に付着することが可能である。そして、結合された粒子を備えたビーズを初期段階で保持するために、好ましくは、側方流動路の基端部において又はその近くで、磁力がサンプルに加えられる。磁力は、例えば磁石を、流動路の下方、上方、又は横、好ましくは流動路の下方又は横で、流動路と密接に関係させることによって、外部から加えることができる。また、磁力は、側方流動路の下方の地点又は横にて、磁石又は磁性粒子を基板中に組み込むことによって、加えることができる。これらの実施形態は、図6a、6b、6cに概略的に示されている。
【0079】
図6aには、流動路が基板60上に設けられている実施形態が示されている。流れの方向は、矢印Aによって左から右へ示されている。サンプルは、受け取りゾーン62に加えられる。受け取りゾーン62では、分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化された磁性粒子が、予め分配されている。サンプルを加えると、粒子はサンプルと混合され、その混合物は、毛細管作用によって方向Aに横方向に移動する。符号64で示された分離ゾーンでは、粒子が、磁力を受けて、矢印Bによって示されるように、主流から引き離される。磁力は、基板60(図示せず)中に組み込まれたり基板の近くに配置されたりした、Mで示される永久磁石又は電磁石、から発生させることができる。磁気作用によって取り除かれた成分が失われたサンプルの流れは、符号66で示される反応ゾーン及び検知ゾーンに、更に続いていく。
【0080】
図6bに示された別の実施形態では、基板60上において、サンプルがサンプル受け取りゾーン63に加えられる。サンプル受け取りゾーン63は、予め分配された磁性粒子を含んでいる。磁性粒子は、分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化されている。上記ゾーン63は、好ましくは、他の流動路よりも少し低くなっているが、他の流動路と同じ高さであってもよい。サンプル受け取りゾーンは、実質的に垂直な突起を含んでもよく、あるいは、含んでいなくともよい。受け取りゾーン63の近くであって、好ましくはそのゾーンの下方には、磁石Mが配置されている。好ましくは、上記磁石は、永久磁石である場合には、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間に、受け取りゾーンの近くに設けられる。上記磁石Mが電磁石である場合には、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間のみ、電磁石が作動される。永久磁石が配置され又は電磁石が作動されると、誘導体化された粒子と結合した成分は、ゾーン63を出て行くのが妨げられ、不要成分が失われた残りのサンプルは、毛細管作用によって、流動路に沿って、その後に続く反応ゾーン、培養ゾーン、及び検知ゾーン(図示せず)に向けて、流れる。
【0081】
図6cに示された更に別の実施形態では、磁石Mが基板60上の流動路に沿って配置されている。分離される成分に対して親和性を示すよう誘導体化されて予め分配された磁性粒子、を含むサンプル受け取りゾーン62に、サンプルが加えられる。サンプル及び上記粒子は、毛細管作用によって、矢印A方向に流れ、流動路に並んで配置された磁石Mの範囲に達すると、磁性粒子は、矢印Bによって示されるように、流れから外れる。上記磁石は、永久磁石又は電磁石である。電磁石は、サンプルと磁性粒子との間の反応が起こるのに十分なサンプル添加後のある時間に、作動される。
【0082】
上記実施形態は、例えば、窪んだ領域が、基板の表面の上方に隆起した隆起領域と隣接し、又は、基板の他の表面と同一レベルにある領域と隣接している、実施形態と、一体化してもよい。その実施形態では、突起が、上記窪んだ領域と隆起した領域との間の境界に設けられており、上記ポスト間の距離は、それらの幅、高さ、及び形状と、同様に、全血のサンプルが上記窪みに加えられた場合に赤血球は窪みから出て行くのが妨げられるが血漿や血清は垂直突起を有する上記領域を通って流れるように、選択される。
【0083】
本発明の装置は、液体サンプルが粒子状物質を含んでいる場合の分析用途において、有利に使用される。粒子状物質としては、例えば、細胞、組織残屑、有機物質又は無機物質、その他の汚染物質等があり、それらは、サンプルの大部分から分離することが望まれている。1つの重要な用途は、液体サンプルが全血の場合であり、そのような場合には、側方毛細管流動が、赤血球をひどく破裂させることなく血漿から分離することを含んでいる。一実施形態では、一般的に、そのような分離が、及び、具体的には赤血球の穏やかな分離が、突起の勾配において実現される。突起の勾配においては、間隔(t1、t2)が、上記フィルターゾーンの長さに渡って、約7μmから約1μmへ減少している。
【0084】
一実施形態によれば、上記受け取りゾーンは、側方流動から分離された成分のための流域を、形成している。その成分は、例えば、突起の間を通過するのを妨げられ、限られた分だけ空間に入って行く、粒子状物質又は細胞である。上記流域は、液体の流れが、一方向又は好ましくはそれ以上の方向に制限され、すなわち妨げられたり遅らせられたりするように、形成される。流域が実質的に正方形又は長方形の形状を有している場合には、液体の流れは、3方向に制限され、好ましくは妨げられ、第4の方向は、液体がフィルターゾーンを通り過ぎるよう強いられているものである。流域が実質的に円又は楕円である場合には、液体の流れは、その周辺の少なくとも180度、好ましくはその周辺の210度、最も好ましくは270度、に渡って制限され、好ましくは妨げられる。液体流れの制限又は阻止は、流域を囲む壁又は隆起部分に存在している。また、流れの制限は、側方流動を支持しない材料によって少なくとも部分的に囲まれている流域に、存在する。その材料は、例えば、材料の形状や密度等、無孔性材料、液体をはじく薬剤が含浸された材料、例えば強い疎水性材料等、に起因して、毛細管輸送を支持しないものである。
【0085】
別の実施形態では、流域は、側方流動の平面に対して低い。好ましくは、上記フィルターゾーンは、他の側方流動路に至る境界のように、設けられている。より好ましくは、フィルターゾーンは、隆起部分に設けられており、上記流域と側方流動路との間に境界を形成している。
【0086】
液体サンプルから成分を分離する、例えば、血漿から赤血球を分離する、特別な一実施形態では、上記装置は、突起によってその周囲の少なくとも一部が囲まれている領域、状況に応じては窪んだ領域、を有しており、上記突起の間の距離(t1、t2)は、それらの直径(D)、高さ(H)、及び形状と同様に、次のように選択される。すなわち、全血のサンプルが、上記領域に加えられると、赤血球が上記窪みの下流の突起によって上記領域から出て行くのが妨げられ、一方では、血漿が、上記突起の間を流れるように、選択される。
【0087】
本発明の一実施形態では、サンプル中に存在する粒子状物質は、側方流動によって移動できる粒子状物質である。上記液体サンプルが全血であるという用途においては、上記側方毛細管流動が、輸送(適用可能なとき)と、任意にそれに続く、赤血球のひどい破壊のない分離と、を含んでいることが、重要である。これは、突起の1つ以上のパラメータ、例えば、高さ(H)、直径(D)、相互間隔(t1、t2)を、突起の化学的又は生化学的誘導体化と同様に、コントロールすることによって、本発明によって達成される。
【0088】
上記突起の間の間隔(t1、t2)は、分離されたり輸送されたりする成分の特性と同様に、液体サンプルの使用目的や特性に応じて、変えることができ、好ましくは1μm〜100μmの間隔、より好ましくは1μm〜50μmの間隔である。上記突起の間の距離は、装置が対象とするサンプル、そのサンプルの特性、及び分離されるべき成分の特性、を考慮して、当業者によって選択できる。
【0089】
特に好ましい実施形態では、分離は、重力の作用とフィルター作用との両方によって実現される。この実施形態では、図3a、3b、4a、4b、5a、5b及び6bに概略的に示されているように、第1容積又は領域を設けていることが、不要粒子の一部を保持することを助けている。なぜなら、それらの不要粒子は、境界33、44、54をほとんど通り越すことができず、流域に堆積するからである。更に、垂直突起36,46、56’、56’’、56’’’は、フィルターとして機能して、液体から粒子を分離する。フィルターの機能が血漿から赤血球を分離するという用途においては、これらの垂直突起は、好ましくは、約10μmの高さ及び約3μmの相互距離を有している。他の粒子の分離のためには、異なる寸法が考えられる。また、分離が、他の手段、例えば、磁気的及び/又は化学的に誘導体化されたビーズや、多価化合物等によって、助けられる場合には、異なる寸法を使用できる。
【0090】
図3a、3bに示された実施形態では、垂直突起36が、境界34の全表面を実質的に覆っている。突起は、流動路を横切る連続したフィルターバリアを形成する限りは、他の形態で設けることができる。図4a、4bは、突起46が境界44の表面に渡って蛇行した形で縦列に設けられている実施形態を、示している。更に、この図では、手段43,47が示されており、手段43は、表面44の基端エッジに係合するリッジ42の延長部を示しており、手段47は、表面44の先端エッジに係合し且つ他の流動路に至る、L型部材を示している。手段43,47は、境界を越える液体流れを強める。
【0091】
更に、別の実施形態では、超音波定在波が、液体流れ中に存在する粒子を、本発明の装置における流動路において、粒子の音響反応に基づいて、分離するのに、使用されている。液体媒体中に懸濁されている粒子は、超音波定在波のノードに集まることが知られており、これは、従来から分離目的に使用されている。
【0092】
例えば、Riera−Franco de Sarabia et al.,(流体/固体粒子分離プロセスを向上させるための超音波の適用、Ultrasonics. 2000 Mar; 38(1−8):642−6)は、従来の分離技術を助けるために超音波エネルギーを使用することの可能性を、示している。また、超音波分離は、大手術中に血中の脂質粒子を分離するのに使用されており、心臓手術後の脳に対する塞栓症負担を大きく低減している。例えば、Jonsson et al.(超音波を用いる粒子分離が、心臓手術後の脳に対する塞栓症負担を完全に低減できる、Ann Thorac Surg. 2004 Nov; 78(5): 1572−7; discussion 1577−8)を参照。Jonsson et al.によれば、脂質粒子の平均分離率は、81.9%±7.6%であり、赤血球の場合は、79.8%±9.9%であり、両者共、入ってくる血液サンプルのヘマトクリットレベルに関係していた。重要なことに、その手段は、無外傷性であり、溶血を引き起こさなかった。著者は、次のように結論している。すなわち、音響定在波技術を用いた粒子分離は、無外傷性で、脂質粒子を血液から効果的に取り除くのに使用でき、心肺バイパスの後の神経認知合併症を低減する、という実効的な臨床上の意義を備えている。引用文献の著者は、また、特許SE0100819−2を手助けした発明者であり、その特許は、超音波を用いることによって流体から懸濁粒子を分離するための装置、及びそのような分離の方法、に関するものである。
【0093】
本発明では、超音波定在波は、側方流動の中に生成され、不要粒子が前進するのを妨げ、粒子の失われたサンプルが流動路の下流に向けて更に流れるのを促進する。1つの例は、定在波を用いることによって赤血球を固定化することであり、それでは、赤血球の失われた血漿が、毛細管作用によって流動路に沿って流れる。
【0094】
定在波は、液体流動路を介して互いに対向している、同じ振動数の2つのトランスデューサを設けるか、1つのトランスデューサに対向しているレフレクターを設けるか、トランスデューサ及びレフレクターの幾つかのペアを設けるか、によって生成される。2つのトランスデューサ、又は、レフレクター及びトランスデューサは、流動路のいずれかの側に対して流動路の上方及び下方に設けることができ、あるいは、別の方法で、定在波のノードが流動路内に形成されるのを確かなものにする。
【0095】
したがって、一実施形態によれば、サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段は、少なくとも2つの超音波エネルギー源を備えており、それらは、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0096】
代わりの実施形態では、サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段は、少なくとも1つの超音波エネルギー源と1つのレフレクターとを備え、又は、対応するレフレクターを備えた2つの超音波エネルギー源を備えており、それらは、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0097】
上記トランスデューサ及びレフレクターは、本発明の装置に組み込むことができ、又は、補助装置に設けることができ、例えば、結果を読み出すために使用される装置に組み込むことができる。定在波を生成することについての詳しい情報は、超音波についての一般的なテキスト、例えば、1967年のJ. Blitz, Butterworthsによる「Fundamentals of Ultrasonics」で知ることができる。超音波フィルターも、特許に開示されている。例えば、発明者R. SaylesのUK2098498、発明者C.J.SchramのEP147032を参照。
【0098】
また、本発明は、液体サンプル中の検体を検知するための装置内で、又は、その装置と共に、使用するのに適した装置を、提供する。それにおいて、上記装置は、その表面に対して実質的に垂直な突起を有している。その突起は、上記装置が上記液体サンプルの側方流動を実現しながら上記液体サンプルの成分を分離することができるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。この装置は、その使用目的に応じて、上述したような1つ以上の特性及び機能性を有している。
【0099】
この装置は、液体サンプルを分析するための装置と、共同して又は一体化されて、別々に使用できる。この装置は、従来の分析中に又はその前に、前処理工程として機能する。
【0100】
また、本発明は、液体サンプルのアッセイを実行するための方法を提供する。そのサンプルは、基板に適用される。基板は、反応ゾーンと流体連通している、サンプルを受け取るためのゾーンを、有しており、また、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する、輸送又は培養ゾーンを、任意に有している。上記基板は、無孔性基板である。上記受け取りゾーン、任意の反応ゾーン、及び輸送又は培養ゾーンは、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っている。突起は、上記ゾーン中の上記液体サンプルの側方毛細管流動が達成されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0101】
これらの方法の一実施形態では、フィルター工程は、サンプルの添加に続いて実行され、そのフィルター効果は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起によってフィルターゾーンで生じる。突起は、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、サンプルの成分が次第に保持されるように、直径(D)及び/又は相互間隔(t1、t2)に関して勾配を形成している。
【0102】
上記相互間隔(t1、t2)は、好ましくは約1μm〜約100μmの間隔、より好ましくは約7μm〜約1μmの間隔である。
【0103】
代わりに、上記分離は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有するフィルター手段を用いることによって、達成できる。その突起は、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。
【0104】
本発明の方法においては、上記分離手段の分離能力を高める手段が、好ましくは、上記受け取りゾーンに設けられている。上記手段は、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物であるのが好ましい。
【0105】
一実施形態では、上記手段は、ビーズであり、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物で誘導体化され、又は、その化合物を表面に担持している。
【0106】
別の実施形態では、分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域内に、含まれている。
【0107】
本発明の好ましい実施形態では、上記分離は、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段によって強められ、その手段は、流動路内に設けられる。好ましくは、上記手段は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起は、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している。そして、上記突起は、分離される成分に対して特殊な親和性を備えた薬剤をそれらの表面に結合して備えている。あるいは、上記手段は、それらの表面に結合されたビーズであり、ビーズは、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤を有している。
【0108】
好ましくは、上記ビーズは、磁気コアを有している。適切な磁気ビーズは、誘導体として又は元のままで、種々の供給者から入手できる。1つの例としては、Dynal Biotech A/S, Oslo, Norwayから入手可能な、登録商標「Dynabead」product lineがある。別の例としては、Bioclone Inc., San Diego, CA, USAから入手できる、機能性磁気ビーズがある。これらは、均一な超常磁性を有する1μm又は5μmの直径のビーズであり、例えば、アミン、カルボキシ、アルデヒド、エポキシ、IDA、ヒドラジド、NADPA等の、種々の表面基を有している。当業者は、不当な負担無く、適切なビーズを注文したり既存のビーズを改変したりすることができる。改変又は誘導体化は、現行のプロトコル、変更プロトコル、又は製造者の指示、に従って、当業者によって実行できる。
【0109】
好ましい実施形態では、上記ビーズは、上記装置内に又はそれに隣接して、設けられた、磁石によって、流れに保持されたり流れから取り除かれたりする。上記磁石は、永久磁石でもよく、電磁石でもよい。
【0110】
本発明の実施形態では、分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域内に、含まれている。この実施形態では、磁石を用いる場合には、上記磁石は、上記流域の近くに配置され、好ましくは流れの方向に関して上記受け取りゾーンの下方又は後ろに配置される。
【0111】
本発明の別の実施形態では、上記分離は、サンプルに超音波定在波を受けさせることによって、強められる。好ましくは、サンプルは、少なくとも2つの超音波エネルギー源による超音波定在波を受ける。それらの超音波エネルギー源は、流動路内で定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によってノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0112】
あるいは、上記サンプルは、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターによる、又は、2つ以上の超音波エネルギー源及びそれらに対応するレフレクターによる、超音波定在波を、受ける。それらは、流動路内で定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によってノードのパターンを確立するよう、設けられている。
【0113】
これらの方法は、液体サンプルの成分をサンプルの塊から分離することが要求される全ての用途において、使用できる。しかしながら、その方法は、上記液体サンプルが全血であり、且つ、上記側方毛細管流動が赤血球をひどく破壊することなく血漿から分離することを含んでいる、という場合の用途に、特に適している。
【0114】
本発明の装置は、驚くことに、従来装置に取って代わるものである。なお、その従来装置では、基板及び/又は1つ以上の上記ゾーンが、例えば、ニトロセルロース、セルロース、石綿繊維、ガラス繊維等のような多孔性材料でできている。
【0115】
(本発明の利点)
本発明の装置の利点は、細胞材料の分離を必要としないので、速いスピードで測定できることである。すなわち、そのような分離が望まれる場合には、迅速な分離が行われる。
【0116】
この装置の別の利点は、毛細管流動ゾーンの開かれた一定構造及び明確な特性によって、これらのゾーンへの試薬の添加、又は、突起の表面の誘導体化が、非常に簡単であることである。
【0117】
この装置の更に別の利点は、1つの装置内だけでなく、生産された全ての装置の間においても、構成が均一であることである。これは、本発明の装置に基づくアッセイの信頼性及び再現性を、非常に増大させることになる。
【0118】
本発明の装置の重要な利点は、血液細胞の分離の程度を0から全部まで正確に制御できることである。
【0119】
本発明の装置は、製造プロセスに対して多くの利点を有している。毛細管ゾーンは、ワンステップで作ることができ、部品の組み合わせを必要としない。任意に、サンプルを添加するための少なくとも1つの開口を有するカバー、及び、アッセイの結果を読み出すものを、基板及び毛細管ゾーンの上に、置くことができる。
【0120】
本発明は、発明者にとって現在知られているベストモードを構成する好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者にとって明らかであるような種々の変更や改良を、これに添付した請求の範囲で述べている発明の範囲から逸脱することなく、行うことができることは言うまでもない。
【0121】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、装置であって、その装置が、基板を有しており、その基板が、サンプルを受け取るゾーンと、任意の反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記ゾーン内の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して又はそのゾーン中に、設けられていることを特徴とする装置。
(2) 上記分離手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有する基板上の領域から成っており、その突起が、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している、実施態様1記載の装置。
(3) 上記受け取りゾーンが、上記分離手段の分離能力を高める手段を更に含んでいる、実施態様1記載の装置。
(4) 上記手段が、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物である、実施態様3記載の装置。
(5) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物をその表面に担持している、実施態様3記載の装置。
(6) 上記相互間隔(t1、t2)が、1μm〜100μmの間隔である、実施態様2記載の装置。
(7) 上記間隔が、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成している、実施態様6記載の装置。
(8) 上記間隔が、約7μm〜約1μmまで変化する、実施態様7記載の装置。
(9) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を形成している、実施態様1〜8のいずれか一つに記載の装置。
(10) 上記分離手段が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段である、実施態様1記載の装置。
(11) 上記手段が化合物であり、その化合物が、液体サンプル中に溶解可能又は分散可能であって、サンプル受け取りゾーンに予め分配されている、実施態様10記載の装置。
(12) 上記手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起が、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、上記突起が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様10記載の装置。
(13) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様10記載の装置。
(14) 上記ビーズが、磁気コアを有している、実施態様13記載の装置。
(15) 上記装置が、磁石を備えている、実施態様14記載の装置。
(16) 上記磁石が、永久磁石又は電磁石である、実施態様15記載の装置。
(17) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を、形成している、実施態様10〜16のいずれか一つに記載の装置。
(18) 上記磁石が、上記流域の近くに配置されている、実施態様17記載の装置。
(19) 上記分離手段が、サンプルに超音波定在波を受けさせるための手段を備えている、実施態様1記載の装置。
(20) サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段が、少なくとも2つの超音波エネルギー源を備えており、それらが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様19記載の装置。
(21) サンプルに超音波定在波を受けさせるための上記手段が、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターを備えており、それらが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様19記載の装置。
(22) 上記受け取りゾーンが、分離手段によって分離されたサンプルの一部を含むことができる流域を形成している、実施態様19〜21のいずれか一つに記載の装置。
(23) 上記基板が、プラスチック基板、好ましくは熱可塑性基板である、上記実施態様のいずれか一つに記載の装置。
(24) 上記基板が、シリコン基板又はガラス基板である、上記実施態様のいずれか一つに記載の装置。
(25) 上記ビーズが、ガラス、ポリマー、金属、又はそれらの組み合わせ、からなるビーズの内から選択される、実施態様5又は13に記載の装置。
(26) 液体サンプル中の検体の検出に使用するための方法であって、上記検出が、基板上のプロセスにおいて行われ、上記サンプルの少なくとも一部が、毛細管作用によって、上記サンプルが加えられる受け取りゾーンから、反応/検出が行われる任意のゾーンまで、輸送され、毛細管作用による上記輸送が、流動路を構成しており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現され、且つ、不要成分の分離が上記毛細管流動の中断無く実施されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有していることを特徴とする方法。
(27) 上記分離が、フィルター手段を用いることによって実現され、そのフィルター手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起を有しており、その突起が、サンプルから分離される化合物が受け取りゾーンから出て行くのを実質的に防止するような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有している、実施態様26記載の方法。
(28) 上記分離手段の分離能力を高める手段が、上記受け取りゾーン内に設けられている、実施態様27記載の方法。
(29) 上記手段が、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物である、実施態様28記載の方法。
(30) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される上記成分の凝集体を形成できる化合物によって誘導体化され、又は、その化合物をその表面に担持している、実施態様28記載の方法。
(31) 上記相互間隔(t1、t2)が、約1μm〜約100μmの間隔である、実施態様26記載の方法。
(32) 上記間隔が、上記分離手段内で変化し、流れの方向に勾配を形成している、実施態様31記載の方法。
(33) 上記間隔が、約7μm〜約1μmまで変化する、実施態様32記載の方法。
(34) 分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様26〜33のいずれか一つに記載の方法。
(35) 上記分離が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する手段によって強められ、その手段が流動路に設けられている、実施態様26記載の方法。
(36) 上記手段が、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起であり、その突起が、サンプルの毛細管流動が可能であるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、上記突起が、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様35記載の方法。
(37) 上記手段がビーズであり、そのビーズが、分離される成分に対して特殊な親和性を有する薬剤をその表面に結合して有している、実施態様35記載の方法。
(38) 上記ビーズが、磁気コアを有している、実施態様37記載の方法。
(39) 上記ビーズが、上記装置内に又は上記装置に隣接して設けられた磁石によって、流れに保持され又は流れから取り除かれる、実施態様38記載の方法。
(40) 上記磁石が、永久磁石又は電磁石である、実施態様39記載の方法。
(41) 分離手段によって流れから分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様35〜40のいずれか一つに記載の方法。
(42) 磁石が、上記流域の近くに配置されている、実施態様41記載の方法。
(43) 上記分離が、サンプルに超音波定在波を受けさせることによって強められる、実施態様26記載の方法。
(44) サンプルが、少なくとも2つの超音波エネルギー源による超音波定在波を受け、それらの超音波エネルギー源が、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様43記載の方法。
(45) サンプルが、少なくとも1つの超音波エネルギー源及び1つのレフレクターによる超音波定在波を受け、それらの超音波エネルギー源及びレフレクターが、定在波を構成するそれらの出力の間の干渉によって流動路内にノードのパターンを確立するよう、設けられている、実施態様43記載の方法。
(46) 分離手段によって分離されたサンプルの一部が、上記受け取りゾーンによって形成された流域に、含まれる、実施態様43〜45のいずれか一つに記載の方法。
(47) 上記基板が、プラスチック基板、好ましくは熱可塑性基板である、実施態様26〜45のいずれか一つに記載の方法。
(48) 上記基板が、シリコン基板又はガラス基板である、実施態様26〜45のいずれか一つに記載の方法。
(49) 上記化合物が、親水基、疎水基、正電荷基及び/又は負電荷基、酸化ケイ素、炭水化物、レクチン、アミノ酸、高分子、抗体、及びそれらの組み合わせ、の内から選択される、実施態様29又は30に記載の方法。
(50) 上記ビーズが、ガラス、ポリマー、金属、又はそれらの組み合わせ、からなるビーズの内から選択される、実施態様30又は37に記載の方法。
(51) サンプル中の成分を分離するための方法であって、実施態様1〜25のいずれか一つの装置を使用することを特徴とする方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、装置であって、その装置が、基板を有しており、その基板が、サンプルを受け取るゾーンと、任意の反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記ゾーン内の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して又はそのゾーン中に、設けられていることを特徴とする装置。
【請求項1】
液体サンプル中の検体の検出前に、液体サンプル中の成分を分離するための、装置であって、その装置が、基板を有しており、その基板が、サンプルを受け取るゾーンと、任意の反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続して基板上に流動路を形成する、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、上記基板が、無孔性基板であり、上記流動路の少なくとも一部が、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っており、その突起が、上記ゾーン内の上記液体サンプルの側方毛細管流動が実現されるような、高さ(H)、直径(D)、及び相互間隔(t1、t2)を有しており、分離手段が、サンプルを受け取るゾーンに隣接して又はそのゾーン中に、設けられていることを特徴とする装置。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【公開番号】特開2012−83356(P2012−83356A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264439(P2011−264439)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2007−504918(P2007−504918)の分割
【原出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(501154297)オーミック・アクチボラゲット (13)
【氏名又は名称原語表記】Åmic AB
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2007−504918(P2007−504918)の分割
【原出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(501154297)オーミック・アクチボラゲット (13)
【氏名又は名称原語表記】Åmic AB
【Fターム(参考)】
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