説明

アッパーへのタグ付け方法

【課題】本発明は、作業を簡素化させる上、アッパーとタグとの間の接着力が強いアッパーへのタグ付け方法を提供しようとすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、表面に保護層が形成されたアッパーの所定位置をレーザビームで前記保護層を照射しタグ貼着エリアを形成するレーザ処理工程と、前記アッパーの前記タグ貼着エリアに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記タグ貼着エリアにタグを付けるタグ付け工程とを含むことを特徴とするアッパーへのタグ付け方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタグを靴のアッパーに固着するアッパーへのタグ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、靴のアッパーに、商標や装飾のためのタグを付けることがある。ところが、アッパーの表面に、艶出しや防水、防塵などのために、平滑な保護層が形成されているので、接着剤でタグをアッパーにつけるのは、アッパーとタグとの間の接着力が弱いという問題点がある。
【0003】
上記問題点を解消するためには、図1に示すような方法が提案されている。この方法においては、図示のように、アッパー1に孔101を開けてから、タグ2を孔101に入れて縫い合わせにより、タグ2をアッパー1に固着する。この方法は単に接着剤を使用してタグをアッパーに付ける方法に比べると、タグ2をしっかりアッパー1に固着するが、孔開け工程及び縫い合わせ工程が繁雑でかなり時間がかかるという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明は、作業を簡素化させる上、アッパーとタグとの間の接着力が強いアッパーへのタグ付け方法を提供しようとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、表面に保護層が形成されたアッパーの所定位置をレーザビームで前記保護層を照射しタグ貼着エリアを形成するレーザ処理工程と、前記アッパーの前記タグ貼着エリアに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記タグ貼着エリアにタグを付けるタグ付け工程とを含むことを特徴とするアッパーへのタグ付け方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明のアッパーへのタグ付け方法によれば、レーザビームを使用してタグ貼着エリアを形成するので、アッパーに孔を開けてから縫い合わせにより、タグをアッパーにつける従来の方法より作業を簡素化させることができる。
【0007】
また、前記レーザ処理工程は、レーザビームの設定条件及び/または保護層の材質によって多種多様あるが、前記保護層の前記タグ貼着エリアにあたる所定の位置をレーザビームで照射溶融して孔を形成し、且つ溶融した保護層を粒状またはランダンに凝結させ該孔内のアッパー表面を粗化させる方法、及び、前記保護層の前記タグ貼着エリアにあたる所定の位置をレーザビームで照射気化して孔を形成すると共に、でこぼこの残留を残し該孔内のアッパー表面を粗化させる方法などが挙げられる。いずれも、前記タグ貼着エリアを粗化させることができるので、アッパーとタグとの間の接着力を強くさせることができる。
【0008】
なお、前記タグ貼着エリア以外の表面を前記接着剤から保護するために、前記レーザ処理工程を行う前に、予め剥離可能な保護膜を前記タグ貼着エリアを含めた前記アッパーの前記保護層の上に貼着しておき、前記溶融工程を行う際に、前記保護膜を含めた前記保護層の前記タグ貼着エリアにあたる所定の位置をレーザビームで溶融して前記タグ貼着エリアを形成することが好ましい。もちろん、前記保護膜の採用は、その性質が前記保護層と同じように、レーザビームの照射により溶融されたりまたは気化されたりすることができるものが要件である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図2乃至図5を参照しながら、本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態を説明する。
【0010】
図2及び図3に示すように、まず、表面に保護層11が形成されたアッパー10を用意する。そして、予め剥離可能な保護膜(30)をタグ貼着エリアにあたる所定の位置を含めたアッパー10の保護層11の上に貼着しておく(保護膜貼着工程)。
【0011】
それから、図4に示すように、レーザ装置100からのレーザビームで保護膜30を含めた保護層11の前記タグ貼着エリアにあたる所定の位置を照射してタグ貼着エリア12を形成する(レーザ処理工程)。
【0012】
そして、図5に示すように、アッパー10のタグ貼着エリア12に接着剤40を塗布する(接着剤塗布工程)。その後、アッパー10から保護膜30を剥離する(保護膜剥離工程)。そして、タグ貼着エリア12にタグ20を付ける(タグ付け工程)。このようにして、タグ20をしっかりアッパー10のタグ貼着エリア12に固着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
上記のように、本発明は、レーザビーム及び接着剤を使用してタグをアッパーにつけるので、アッパーに孔を開けてから縫い合わせにより、タグをアッパーにつける従来の方法より作業を簡素化させることができる上、前記レーザビームで前記タグ貼着エリアを粗化させるため、アッパーとタグとの間の接着力を強くさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】タグを縫い合わせによりアッパーへ接着する方法を示す説明図
【図2】本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態の流れを示すフローチャート
【図3】本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態の流れを示す説明図
【図4】本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態の流れを示す説明図
【図5】本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態の流れを示す説明図
【図6】本発明のアッパーへのタグ付け方法の実施形態の流れを示す説明図
【符号の説明】
【0015】
10 アッパー
11 保護層
12 タグ貼着エリア
20 タグ
30 保護膜
40 接着剤
100 レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に保護層が形成されたアッパーの所定位置をレーザビームで前記保護層を照射しタグ貼着エリアを形成するレーザ処理工程と、
前記アッパーの前記タグ貼着エリアに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記タグ貼着エリアにタグを付けるタグ付け工程とを含むことを特徴とするアッパーへのタグ付け方法。
【請求項2】
前記タグ貼着エリア以外の表面を前記接着剤から保護するために、前記レーザ処理工程を行う前に、予め剥離可能な保護膜を前記タグ貼着エリアを含めた前記アッパーの前記保護層の上に貼着しておく保護膜貼着工程を行い、
前記レーザ処理工程を行う際に、前記保護膜を含めた前記保護層の前記タグ貼着エリアにあたる所定の位置をレーザビームで溶融して前記タグ貼着エリアを形成することを特徴とする請求項1に記載のアッパーへのタグ付け方法。
【請求項3】
前記接着剤塗布工程を行った後、前記アッパーから前記保護膜を剥離する保護膜剥離工程を行うことを特徴とする請求項2に記載のアッパーへのタグ付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−95046(P2006−95046A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284134(P2004−284134)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(599038086)
【Fターム(参考)】