説明

アニオン交換樹脂におけるニトロソアミン形成を抑制する方法

【課題】ニトロソ化剤を伴うアニオン交換樹脂におけるニトロソアミン形成を制御する方法、およびそれから生じるアニオン交換樹脂を提供する。
【解決手段】ニトロソ化剤を伴うアニオン交換樹脂をカチオン交換樹脂と混合して、アニオン交換樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制することを含む、ニトロソアミンの形成を抑制する方法、およびそれから生じるアニオン交換樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂におけるニトロソアミン形成を制御する方法に関する。より具体的には、本発明はカチオン交換樹脂を添加することによりアニオン交換樹脂におけるニトロソアミン形成を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトロソアミンはN−ニトロソアミンもしくはN−ニトロソジアルキルアミンとして知られている。多くの種類が存在するが、1つの共通する特徴はNNO官能性である。ある種のニトロソアミンは、食品、吸入、皮膚接触および飲料水を経由することをはじめとする様々な経路で曝露される場合に、実験動物においてガンを引き起こすことが示されてきた。公衆衛生局カリフォルニア部局(CDPH)、http://www.cdph.ca.gov、によると、10ng/L(ナノグラム/リットル)を超える濃度で懸念があり得る。
【0003】
貯蔵されたおよび導入された当初のアニオン交換樹脂において生じている微量のニトロソアミン(すなわち、>10ng/L)が認められており、特に飲料水適用において特に望ましくない。過塩素酸塩および硝酸塩浄化のような適用のためには、アニオン交換樹脂があらかじめ洗浄されておりかつ導入の時点で様々なニトロソアミンの寄与について試験されていることを多くの行政機関が必要としている。あらかじめの洗浄は、ニトロソアミンについて要求される試験水準を満たすためにある場合には200床体積にもおよぶ水が必要とされるので、時間および水利用の両面での追加のコストがかかる。
【0004】
ニトロソアミンは活性ニトロソ化性中間体もしくはニトロソ化剤と拮抗しうる添加剤を使用することにより抑制されうる。ゲル型カチオン樹脂および強酸カチオン樹脂において全有機炭素およびカラースロー(color throw)を制御するために、酸化防止剤も使用されてきた。Gisch Daryl(ギッシュ ダリル)J.「The Effectiveness of Various Food Acceptable Antioxidants for Controlling Leachable Total Organic Carbon(TOC)and Color Throw on Stored Strong Acid Gel Cation Resins(貯蔵された強酸ゲル型カチオン樹脂における漏出性全有機炭素(TOC)およびカラースローを制御することに対する、食品に許容可能な様々な酸化防止剤の有効性)」http://priorartdatabase.com/IPCOM/000125143、2005年5月20日;米国特許第4,973,607号を参照。しかし、この方法はニトロソアミンレベルを15ng/L未満に制限することができていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,973,607号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Gisch Daryl(ギッシュ ダリル)J.「The Effectiveness of Various Food Acceptable Antioxidants for Controlling Leachable Total Organic Carbon(TOC)and Color Throw on Stored Strong Acid Gel Cation Resins(貯蔵された強酸ゲル型カチオン樹脂における漏出性全有機炭素(TOC)およびカラースローを制御することに対する、食品に許容可能な様々な酸化防止剤の有効性)」http://priorartdatabase.com/IPCOM/000125143、2005年5月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アニオン交換樹脂にカチオン交換樹脂を添加することにより、アニオン交換樹脂の水でのあらかじめの洗浄をなくするかもしくは少なくすることを求める。カチオン交換樹脂の使用はアニオン交換樹脂上でのニトロソアミンの形成をゆっくりにするかもしくはなくする。アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とのブレンドによって、微少量のアミンがアニオン交換樹脂から放出される場合に、カチオン交換樹脂の活性官能基がこのアミンと結合し、よってN−ニトロソアミンを形成するためのさらなる反応へのその利用可能性を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態においては、ニトロソ化剤を伴うアニオン交換樹脂を提供し、およびカチオン交換樹脂をこのアニオン交換樹脂と混合して、このアニオン交換樹脂が15ng/Lを超えてニトロソアミンを含まないようにこのアニオン交換樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制することを含む、ニトロソアミンの形成を抑制する方法が提供される。
本発明の第2の形態においては、フェノールホルムアルデヒドの架橋重縮合物、アミンおよびニトロソ化剤を有する樹脂;アニオン交換樹脂と混合されており、前記樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制するカチオン交換樹脂;並びに15ng/L以下のニトロソアミン;を含むアニオン交換樹脂が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明はアニオン交換樹脂におけるニトロソアミン形成を抑制する方法に関する。ニトロソ化剤を伴うアニオン交換樹脂が提供される。このアニオン交換樹脂は、好ましくは、フェノールホルムアルデヒドの架橋重縮合物およびアミンを含む。好ましい実施形態においては、アニオン交換樹脂は、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンもしくはこれらの混合物を含む。
【0010】
アニオン交換樹脂はゲルもしくはマクロポーラスビーズの形態であり得る。アニオン交換樹脂がマクロポーラス球状ビーズの形態である場合には、これらは典型的には100μm〜2mmの平均粒子直径および約10〜1000平方メートル/グラム(m/g)の表面積を有する。架橋コポリマー粒子はガウス(Gaussian)粒子サイズ分布を有しうるが、好ましくは比較的均一な粒子サイズ分布、すなわち「単分散性」を有することができ、すなわち、ビーズの少なくとも90体積パーセントが体積平均粒子直径の約0.9〜約1.1倍の粒子直径を有する。
【0011】
アニオン交換樹脂は架橋マクロポーラスコポリマーから製造されることができ、この架橋マクロポーラスコポリマーは全モノマー重量を基準にして少なくとも1重量パーセントのポリビニル不飽和モノマーを含むモノマーもしくはモノマーの混合物から重合されるポリマーもしくはコポリマーである。多孔性はポロゲン(「相エキステンダー」もしくは「沈殿剤」とも称される)、すなわちモノマーのための溶媒であるがポリマーのための非溶媒;の存在下での懸濁重合によってコポリマービーズに導入されうる。
【0012】
コポリマー粒子はスチレンのようなモノビニリデンモノマー、ジビニルベンゼンのような架橋性モノマー、フリーラジカル開始剤並びに場合によって相分離希釈剤を含む微細に分けられた有機相の懸濁重合によって製造されうる。用語「ゲル型」および「マクロポーラス」は当該技術分野において周知であり、一般的にはコポリマー粒子の多孔度の特性を説明する。用語「マクロポーラス」は、当該技術分野において一般的に使用される場合には、コポリマーがマクロポア(macropores)およびメソポア(mesopores)の双方を有することを意味する。用語「ミクロポーラス」、「ゲル状」、「ゲル」および「ゲル型」の用語は同義語であり、約20Å(オングストローム)未満の孔サイズを有するコポリマー粒子を説明するが、一方でマクロポーラスコポリマー粒子は約20Å〜約500Åのメソポアと約500Åより大きいマクロポアの双方を有する。ゲル型およびマクロポーラスコポリマー粒子は、それらの製造と共に、米国特許第4,256,840号および米国特許第5,244,926号にさらに記載されており、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
架橋コポリマーの製造に使用されうる好適なモノマーには、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレンおよびジビニルキシレン、並びにこれらの混合物から選択される1種以上のモノマーが挙げられ;上記架橋剤のそれぞれの様々な位置異性体のいずれも好適であると理解される。好ましい実施形態においては、ポリビニル芳香族モノマーはジビニルベンゼンである。
【0014】
場合によっては、ポリビニル芳香族架橋剤に加えて、非芳香族架橋性モノマー、例えば、エチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、およびトリビニルシクロヘキサンが使用されうる。
【0015】
架橋コポリマーの製造に使用されうる好適なモノ不飽和ビニル芳香族モノマーには、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(C−C)アルキル−置換スチレン、ハロ−置換スチレン(例えば、ジブロモスチレンおよびトリブロモスチレン)、ビニルナフタレン、およびビニルアントラセンが挙げられる。好ましくは、モノ不飽和ビニル芳香族モノマーは、スチレン、(C−C)アルキル−置換スチレンおよびその混合物から選択される。好適な(C−C)アルキル−置換スチレンに含まれるものは、例えば、エチルビニルベンゼン、ビニルトルエン、ジエチルスチレン、エチルメチルスチレンおよびジメチルスチレンである。上記ビニル芳香族モノマーのそれぞれの様々な位置異性体のいずれも好適であることが理解される。場合によっては、非芳香族モノ不飽和ビニルモノマー、例えば、脂肪族不飽和モノマー、例えば、塩化ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルが、ビニル芳香族モノマーに加えて使用されうる。
【0016】
マクロポーラスコポリマーを製造するのにポロゲンが使用されてもよい。好適なポロゲンには、疎水性ポロゲン、例えば、(C−C10)芳香族炭化水素および(C−C12)飽和炭化水素、および親水性ポロゲン、例えば、(C−C10)アルカノールおよびポリアルキレングリコールが挙げられる。好適な(C−C10)芳香族炭化水素には、例えば、トルエン、エチルベンゼン、オルト−キシレン、メタ−キシレンおよびパラ−キシレンの1種以上が挙げられ;上記炭化水素のそれぞれの様々な位置異性体のいずれも好適であると理解される。好ましくは、芳香族炭化水素はトルエンもしくはキシレンまたはキシレンの混合物、またはトルエンとキシレンとの混合物である。好適な(C−C12)飽和炭化水素には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、およびイソオクタンの1種以上が挙げられ;好ましくは、飽和炭化水素はイソオクタンである。好適な(C−C10)アルカノールには、例えば、イソブチルアルコール、tert−アミルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール(4−メチル−2−ペンタノール)、ヘキサノールおよびオクタノールの1種以上が挙げられ;好ましくはアルカノールは1種以上の(C−C)アルカノール、例えば、メチルイソブチルカルビノールおよびオクタノールから選択される。
【0017】
コポリマーを製造するのに有用な重合開始剤には、モノマー可溶性開始剤、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、および関連する開始剤、例えば、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンペルオキシド、テトラリンペルオキシド、アセチルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオクトアート(tert−ブチルペルオキシ−2−エチルへキサノアートとしても知られている)、tert−アミルペルオクトアート、tert−ブチルペルベンゾアート、tert−ブチルジペルフタラート、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、およびメチルエチルケトンペルオキシドが挙げられる。また有用なのはアゾ開始剤、例えば、アゾジイソブチロニトリル、アゾジイソブチルアミド、2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾ−ビス(α−メチルブチロニトリル)およびジメチル−、ジエチル−もしくはジブチルアゾ−ビス(メチルバレラート)である。
【0018】
コポリマーは、コポリマーのベンジル炭素に結合した窒素原子並びに3つのアルキル基(ここで、各アルキル基は独立して1〜8個の炭素原子を含む)を含む第四級アンモニウム官能基を含むことができる。コポリマーは何らかの従来のプロセス、例えば、ハロアルキル化(例えば、クロロメチル化)、その後のアミノ化(例えば、トリブチルアミンのような第三級アミンとの反応による)によって官能化されることができる。
【0019】
ハロアルキル化反応を行うのに有用な触媒は周知であり、しばしば当該技術分野においては「ルイス酸」もしくは「フリーデル−クラフツ」触媒と称される。非限定的な例には、塩化亜鉛、酸化亜鉛、塩化第二鉄、酸化鉄、塩化スズ、酸化スズ、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、硫酸およびこれらの組み合わせが挙げられる。塩化物以外のハロゲンが使用されてもよい。
【0020】
ハロアルキル化反応において、溶媒および/または膨潤剤が使用されてもよい。好適な溶媒の例には、脂肪族炭化水素ハロゲン化物、例えば、二塩化エチレン、ジクロロプロパン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテルおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
ハロアルキル化されたら、この樹脂は、米国特許出願公開第2004/025697号;米国特許第4,564,644号および米国特許第6,924,317号(これら文献の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるような従来のプロセスによってアミノ化されうる。アミノ化はハロアルキル化樹脂(好ましくは、あらかじめ洗浄された)をアミン溶液と一緒にすることにより行われうる。強塩基アニオン交換樹脂が必要とされる場合には、アミンの種類は好ましくは第三級アミンであり、そして弱塩基アニオン交換樹脂が望まれる場合には、アミンの種類は好ましくは第二級もしくは第一級アミンである。アミン溶液はアルコール(例えば、メタノール)および場合によっては水のスラリー溶媒を含むことができ、並びに膨潤剤、例えば、メチラールもしくは二塩化エチレンを含むことができる。アミン溶液は塩化ナトリウムのような無機塩を含んでいてもよい。さらに、アミン溶液のpHは7もしくはわずかにアルカリ性に調節されていてよい。
【0022】
アニオン交換樹脂のニトロソ化剤は、ニトロソ化可能な窒素官能基をニトロソ化できる物質を含むことができる。このニトロソ化剤には、亜硝酸塩、例えば、Nが挙げられ、このニトロソ化剤は、ニトロソニウムイオンと樹脂からのアミンとの反応によってニトロソ化すると一般的には考えられる。これらニトロソ化剤は、このアニオン樹脂を製造するのに使用される原料アミン中の微量不純物として、さらに分解して一時的なNO種となる水もしくは塩ソースからの微量NOとして、貯蔵中に生じる副生成物として含まれる場合がある。このような物質種が樹脂中の微量アミンとさらに反応して、N−ニトロソアミンを生じさせることができる。
【0023】
本方法はカチオン交換樹脂をアニオン交換樹脂と混合して、アニオン交換樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制することをさらに含む。ニトロソアミンには、N−ニトロソジエチルアミン(NDEA)、N−ニトロソジメチルアミン(NDMA)、N−ニトロソジ−n−プロピルアミン(NDPA)、N−ニトロソジ−n−ブチルアミン(NDBA)、N−ニトロソメチルエチルアミン(NMEA)、N−ニトロソモルホリン、N−ニトロソピペリジン(NPIP)、N−ニトロソジエタノールアミン(NDELA)、N−ニトロソモルホリン(NMOR)、N−ニトロソジシクロヘキシルアミン、N−ニトロソジシクロヘキシルアミン、N−ニトロソメチル(ベンジル)アミン、N−ニトロソノルニコチン、およびN−ニトロソピロリジン(NYPR)が挙げられる。
【0024】
N−ニトロソアミンの標準的な合成は第二級アミンと酸性ニトリットとのpH約3以下での反応である。亜硝酸(HNO)もしくはその無水物(N)はニトロソ化剤である。ニトリットイオンは水性溶液中でプロトンと反応して亜硝酸およびNを生じさせる。
【化1】

この反応はpH依存性であり、プロトンの濃度が高くなると、平衡はこの化学量論的式の右に向けて進められるので、生じる亜硝酸がより多くなる。
【0025】
直接のニトロソ化物質種は、亜硝酸もしくはNのイオン的解離によって生じるニトロニウムイオン(NO)であると考えられる。
【化2】

この物質種は第二級アミンと反応して、プロトンを追い出し、ニトロソアミンを生じさせうる。
【化3】

【0026】
アニオン交換樹脂と混合されるカチオン交換樹脂は、過剰なアミン化合物とイオン結合することによって、またはニトロニウムイオン形成を制限するために過剰な酸と結合することによって、ニトロニウムイオン形成を妨害する。微量のアミンがアニオン交換樹脂から放出される場合に、カチオン交換樹脂の活性官能基はこのアミンと結合し、これによりN−ニトロソアミンを形成するさらなる反応へのその利用可能性を制限する。システム中の遊離アミンの量を低減することにより、ニトロソアミンが形成しうるメカニズムが妨害される。
【0027】
本発明において有用なカチオン交換樹脂はニトロソアミン形成を抑制する物質であって、強酸カチオンおよび弱酸カチオン交換樹脂が挙げられる。好適なカチオン交換樹脂には、スチレン、エチルスチレンおよびジビニルベンゼンの少なくとも1種のスルホン化ポリマー、スルホン化ジビニルベンゼン/スチレンコポリマー、アクリル系コポリマー、ジビニルベンゼン架橋ポリアクリラートポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。典型的なカチオン交換樹脂には、ダウエックス(DOWEX(商標))マラソン(MARATHON(商標))650C(H)、ダウエックスマラソンC、ダウエックスマラソンC−10、ダウエックスモノスフェア(MONOSPHERE(商標))C−350、ダウエックスモノスフェアC−400、ダウエックスHCR−S/S、ダウエックスHCR−S/SFF、ダウエックスマラソンMSC、ダウエックスアップコア(UPCORE(商標))モノC−600、ダウエックスモノスフェア650C(H)、ダウエックスモノスフェア650HXC(H)、ダウエックスモノスフェア650HXC NG(H)、ダウエックスHCR−W2、ダウエックスHGR−W2、ダウエックスモノスフェア575C NG(H)、ダウエックスモノスフェア650C UPW(H)、ダウエックスモノスフェア650C NG(H)、ダウエックスHGR NG(H)、ダウエックスDR−G8、ダウエックス88MB、ダウエックス88MB(H)、ダウエックス88、ダウエックス88(H)、ダウエックスモノスフェア88、ダウエックスモノスフェア88(H)、ダウエックスモノスフェアC−600 B、ダウエックスモノスフェア575C(H)、ダウエックスモノスフェア545C(H)、ダウエックスモノスフェア545C NG(H)、ダウエックスモノスフェアMP−525C(H)、ダウエックスモノスフェア750C(H)、ダウエックスモノスフェアM−31、ダウエックスモノスフェアDR−2030、ダウエックスアップコアモノMC−575(H)、ダウエックスアップコアモノIF−62、ダウエックスM−31、ダウエックスN406、ダウエックスG−26(H)、ダウエックスモノスフェア99Ca/320、ダウエックスモノスフェア99Ca/350、ダウエックスモノスフェア99K/320、ダウエックスモノスフェア99K/350、ダウエックスC−75 NG(H)、ダウエックスCM−15、ダウエックスHCR−S、ダウエックスHGR、ダウエックスHGR NG(NH4)、ダウエックスMAC−3 LB、アンバージェット(AMBERJET)1300H、アンバージェット1300Na、アンバージェット1500H、アンバージェットUP1400、アンバーライト(AMBERLITE(商標))UP252、アンバーライトCR1310Ca、アンバーライトCR1320Ca、アンバーライトCR1320K、アンバーライトFPC11 Na、アンバーライトFPC14 Na、アンバーライトFPC22 H、アンバーライトFPC22 Na、アンバーライトFPC23 H、アンバーライトSR1L Na、アンバーライトIR120 H、アンバーライトIR120 Na、アンバーライトIRN77、アンバーライトIRN97 H、アンバーライトIRN99、アンバーライトIRP69、アンバーリスト(AMBERLYST(商標))131ウェット、アンバーリストBD10ドライ、アンバーリスト15ドライ、アンバーリスト15ウェット、アンバーリスト16ウェット、アンバーリスト31ウェット、アンバーリスト33、アンバーリスト35ドライ、アンバーリスト35ウェット、アンバーリスト36ドライ、アンバーリスト36ウェット、アンバーリスト39ウェット、アンバーリスト40ウェット、アンバーリスト70、アンバーリストCH10、アンバーリストCH28、アンバーリスト121ウェット、ダウエックスMAC−3、アンバーライトIRC76、アンバーライトIRC747、アンバーライトIRC748、アンバーライトIRC86、アンバーライトIRC86SB、アンバーライトIRP64、アンバーセップ(AMBERSEP(商標))GT74、およびIMAC(登録商標)HP366が挙げられ、これら全てはミシガン州ミッドランドのザダウケミカルカンパニーから入手可能である。
【0028】
好ましくは、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂の重量比は少なくとも100:1である。しかし、重量比500:1の低さの水準も依然として遊離アミンに結合し、そしてN−ニトロソアミン形成を妨害するというメカニズムを提供する。より長い貯蔵期間、もしくは周囲貯蔵温度よりも高い温度の場合には、アニオン:カチオンが50:1の範囲である、より多くのカチオン交換樹脂を含む配合物の重量比が好ましい。
【0029】
典型的には、カチオン交換樹脂はアニオン交換樹脂と混合される。この混合物は、生成物が例えばドラムもしくはバッグに充填される際に少量のカチオン交換樹脂をアニオン交換樹脂に添加することによる包装の際に生じうる。あるいは、包装される前のドライヤーベルト上を進む場合に、カチオン交換樹脂は一定量でアニオン交換樹脂に添加されうる。
【0030】
本発明に従ってニトロソアミンの形成が抑制される場合には、アニオン交換樹脂は、好ましくは、ニトロソアミンを15ng/L以下、より好ましくはニトロソアミンを10ng/L以下、最も好ましくはニトロソアミンを5ng/L以下しか含まない。この範囲が検出できないほど低い場合には、この樹脂床が使用に供されうる前の、あらかじめの洗浄(pre−wash)樹脂すすぎの体積は少なくなり、そしてある場合には必要とされない。
【0031】
本発明は、フェノールホルムアルデヒドの架橋重縮合物、アミンおよびニトロソ化剤を有する樹脂、アニオン交換樹脂と混合されており樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制するカチオン交換樹脂、並びに15ng/L以下のニトロソアミンを含むアニオン交換樹脂にも関する。カチオン交換樹脂と混合されたアニオン交換樹脂は、貯蔵中に、微量ニトロソアミンの発生をより少ししかもたらさず、このことは、過塩素酸塩、硝酸塩および他の飲料水適用のような適用にこの樹脂を使用するために必要とされるあらかじめの水すすぎをなくするかまたはその体積を非常に低減させる。
【0032】
以下の実施例は本発明を例示するために示される。実施例においては、以下の略語が使用された。
DIは脱イオンである。
gはグラムである;ngはナノグラムである;ppmは100万あたりの部である;Lはリットルである;およびmLはミリリットルである。
ダウエックス(DOWEX)1は、ミシガン州ミッドランドのザダウケミカルカンパニーから入手可能なゲルコポリマー上のCl形態のトリメチルアミンであるタイプI強塩基アニオン交換樹脂である。
ダウエックスPSR−2は、ミシガン州ミッドランドのザダウケミカルカンパニーから入手可能なゲルコポリマー上のCl形態のトリ−n−ブチルアミン樹脂である。
ダウエックス66は、ミシガン州ミッドランドのザダウケミカルカンパニーから入手可能なマクロポーラスコポリマー上のフリー塩基形態のジメチルアミン弱塩基アニオン交換樹脂である。
【0033】
試験方法
ベースラインデータ:様々なダウエックス(商標)アニオン樹脂でのベースラインデータを最初に確立し、そして分析方法間でのいくつかの比較試験情報を確保するために、以下の静的試験方法を用いて単純なボトル抽出が評価された。目的の化合物の安定同位体ラベルした類似体が1リットルの廃水サンプルに添加された。連続抽出技術を使用して、このサンプルは塩化メチレンでpH12〜13で、次いでpH<2で抽出された。この抽出物は硫酸ナトリウムで乾燥させられ、1mLの体積に濃縮された。この抽出物に内部標準が添加され、この抽出物はガスクロマトグラフ(GC)にインジェクトされた。GCによって化合物群は分離され、質量分析計(MS)によって検出された。ラベルされた化合物は分析技術の変動を修正する役目を果たした。GC保持時間およびバックグラウンド修正された特徴的なスペクトルの質量を真正な標準物質のものと比較することにより化合物の同定(定性分析)が行われた。定量分析はエクストラクテッドイオンカレントプロファイル(extracted ion current profile:EICP)領域を使用するGC/MSによって行われた。ラベル化された化合物が利用可能であった場合には同位体希釈が使用され、そうでない場合には内部標準方法が使用された。
【0034】
ニトロソアミン試験:
サンプルがニトロソアミン試験を行う研究所、例えば、カリフォルニア州ウェストサクラメントのテストアメリカ、カリフォルニア州インダストリーのヴェックラボインコーポレーティド(Weck Labs Inc.)、およびアリゾナ州スコッツデールのMWHラボラトリーズに送られた。これらの研究所は未規制汚染物質モニタリング規則2(UCMR2)リスト2(除草剤、除草剤分解生成物、およびニトロソアミン)試験サービスを行う。UCMR2は、飲料水への脅威を明らかにする目的での、化学的、放射線的および微生物的汚染の発生を調査するプログラムの部分としての、EPAによって後援されている連邦監視要件である。
【実施例】
【0035】
当初の探索の試みとして、作業は漂白剤の存在下で、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を伴うアニオン交換樹脂の溶液を使用して完了された。ジャー1〜9がサンプリングされ、ニトロソアミン分析のためにMWHラボラトリーズに送られた。その後で、500ppmCl溶液(NaOClとして)の追加の1500mLがそれぞれのジャーに添加され、攪拌された。さらなるニトロソアミン試験のためのサンプリングの前に、さらに30日間これらサンプルは平衡化させられた。ジャー1〜9はサンプリングされ、ニトロソアミン分析のためにMWHラボラトリーズに送られた。
【0036】
結果
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロソ化剤を伴うアニオン交換樹脂を提供し、並びに
カチオン交換樹脂を前記アニオン交換樹脂と混合して、前記アニオン交換樹脂が15ng/Lを超えてニトロソアミンを含まないように前記アニオン交換樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制する
ことを含む、ニトロソアミンの形成を抑制する方法。
【請求項2】
前記混合する工程が、少なくとも100:1のアニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂の重量比で、カチオン交換樹脂をアニオン交換樹脂に添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アニオン交換樹脂がフェノールホルムアルデヒドの架橋重縮合物およびアミンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アニオン交換樹脂が、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリ−n−ブチルアミンの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カチオン交換樹脂がスチレン、エチルスチレンおよびジビニルベンゼンの少なくとも1種のスルホン化ポリマー、スルホン化ジビニルベンゼン/スチレンコポリマー、アクリル系コポリマー、ジビニルベンゼン架橋ポリアクリラートポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
過剰なアミン化合物にイオン結合すること、およびニトロニウムイオン形成を制限するために過剰な酸に結合することの少なくとも一方によって、ニトロソアミン形成のメカニズムを妨害することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法を用いて製造されたアニオン交換樹脂。
【請求項8】
フェノールホルムアルデヒドの架橋重縮合物、アミンおよびニトロソ化剤を有する樹脂;
アニオン交換樹脂と混合されており、前記樹脂上でのニトロソアミンの形成を抑制するカチオン交換樹脂;並びに
15ng/L以下のニトロソアミン;
を含むアニオン交換樹脂。
【請求項9】
前記樹脂が、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリ−n−ブチルアミンの少なくとも1種を含む請求項8に記載のアニオン交換樹脂。
【請求項10】
カチオン交換樹脂がスチレン、エチルスチレンおよびジビニルベンゼンの少なくとも1種のスルホン化ポリマー、スルホン化ジビニルベンゼン/スチレンコポリマー、アクリル系コポリマー、ジビニルベンゼン架橋ポリアクリラートポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む請求項8に記載のアニオン交換樹脂。