説明

アノテーション利用プログラム、アノテーション利用方法およびアノテーション利用装置

【課題】表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用プログラムで利用者や利用者の状況に応じて異なるアノテーション表示を可能とすること。
【解決手段】アノテーションにメタ情報を付加し、メタ情報に基づいてアノテーションの表示を制御する変更フィルタ情報をフィルタ処理部140がサーバ40を経由して特定のクライアントに送信するとともに、他のクライアントで生成された変更フィルタ情報をサーバ40を経由して他のクライアントから受け取ってフィルタ情報記憶部130に格納し、フィルタ情報記憶部130に格納された変更フィルタ情報およびアノテーション情報記憶部110に格納されたアノテーション情報に基づいてアノテーション処理部120がアノテーションの表示を制御するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用プログラムおよびアノテーション利用装置に関し、特に、利用者や利用者の状況に応じてアノテーションの表示を制御することができるアノテーション利用プログラム、アノテーション利用方法およびアノテーション利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示情報にアノテーションを付加して利用するアノテーション技術は、特許文献1に記載されているように、メタ情報を付加して文書の内容を動的に拡充するシステムや、特許文献2に記載されているように、映像データにおいて特定のコンテンツの位置を識別する必要があるシステムなどで利用されている。
【0003】
特に、サーバからネットワークを介して取得したWebページなどの表示情報を電子会議などで複数のコンピュータ端末にて共通的に利用するようにした共有情報利用システムでは、アノテーション技術の利用が積極的に進められている(例えば、特許文献3参照。)。具体的には、共通表示情報の特定の場所に注目を集めるための「指示ポインタ」や「線画、文字」を付記するようなホワイトボードとしてアノテーションが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114906号公報
【特許文献2】特開2004−357302号公報
【特許文献3】特開2001−243165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の共通情報利用システムには、コンピュータ端末に表示されるアノテーションが全て同じであり、コンピュータ端末の状態(利用者、時刻、場所など)に応じてアノテーションの表示を変えることができないという問題がある。
【0006】
例えば、社内外のメンバーが集まって行う電子会議において、社内のメンバーだけに見せたい情報をアノテーションを使って表示するといった使い方ができないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、利用者や利用者の状況に応じてアノテーションの表示を制御することができるアノテーション利用プログラム、アノテーション利用方法およびアノテーション利用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るアノテーション利用プログラムは、表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用プログラムであって、前記アノテーションおよび該アノテーションの表示態様が定義された属性情報を関連付けて記憶する記憶手段から前記アノテーションおよび前記属性情報を読み出し、該読み出したアノテーションおよび属性情報をネットワークを介して接続される他の装置に送信する送信手順をコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明によれば、アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定し、設定したフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御するよう構成したので、フィルタを設定することによってアノテーションの表示を制御することができる。
【0010】
また、本発明に係るアノテーション利用プログラムは、上記の発明において、前記送信手順は、前記属性情報として、前記他の装置におけるアノテーションの表示可否が定義された情報を前記他の装置に送信する。
【0011】
本発明によれば、複数の利用者間で共有される共有情報に付加されたアノテーションの表示に関して、複数の利用者のうち特定の利用者に対して指定されたフィルタに関するフィルタ情報をリアルタイムで受信してフィルタを設定するよう構成したので、特定の利用者のフィルタを設定することができる。
【0012】
また、本発明に係るアノテーション利用プログラムは、上記の発明において、前記送信手順は、前記属性情報として、前記アノテーションの表示を操作する操作情報を前記他の装置に送信する。
【0013】
本発明によれば、利用者および利用者の利用環境を反映するプロフィールをフィルタの一部として設定するよう構成したので、プロフィールに基づいてアノテーションの表示を制御することができる。
【0014】
また、本発明に係るアノテーション利用プログラムは、上記の発明において、前記送信手順は、前記属性情報として、前記アノテーションが付与された表示情報を特定するための情報を前記他の装置に送信する。
【0015】
本発明によれば、アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定し、設定したフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御するよう構成したので、フィルタを設定することによってアノテーションの表示を制御することができる。
【0016】
また、本発明に係るアノテーション利用装置は、表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用装置であって、前記アノテーションおよび該アノテーションの表示態様が定義された属性情報を関連付けて記憶する記憶手段から前記アノテーションおよび前記属性情報を読み出し、該読み出したアノテーションおよび属性情報をネットワークを介して接続される他の装置に送信する送信手段を備える。
【0017】
本発明によれば、アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定し、設定したフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御するよう構成したので、フィルタを設定することによってアノテーションの表示を制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フィルタを設定することによってアノテーションの表示を制御することができるので、利用者や利用者の状況に応じてフィルタを設定してアノテーションの表示を制御することができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、特定の利用者のフィルタを設定することができるので、一部の利用者だけにアノテーションを表示することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、プロフィールに基づいてアノテーションの表示を制御することができるので、利用者および利用者の利用環境ごとにアノテーションの表示を変えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本実施例に係るアノテーション利用システムが提供する状況対応型ダイナミックアノテーションの概念を説明するための説明図である。
【図2】図2は、本実施例に係るアノテーション利用システムのシステム構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、メタ情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報の形式を示す図である。
【図5】図5は、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報の形式を示す図である。
【図7】図7は、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、クライアントからサーバへの変更フィルタ情報の送信例を示す図である。
【図9】図9は、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報の形式を示す図である。
【図10】図10は、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報の一例を示す図である。
【図11】図11は、クライアントからサーバへの操作フィルタ情報の送信例を示す図である。
【図12】図12は、再生部が表示する再生メニュー画面の一例を示す図である。
【図13】図13は、クライアント・サーバ間で送受信される再生処理関連情報の形式を示す図である。
【図14】図14は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる新規アノテーション生成処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【図15】図15は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる変更フィルタ適用処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【図16】図16は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる操作フィルタ適用処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【図17】図17は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる再生処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【図18】図18は、本実施例に係るアノテーション利用システムの他の分野への適用例(1)を示す図である。
【図19】図19は、本実施例に係るアノテーション利用システムの他の分野への適用例(2)を示す図である。
【図20】図20は、本実施例に係るアノテーション利用プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るアノテーション利用プログラム、アノテーション利用方法およびアノテーション利用装置の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
まず、本実施例に係るアノテーション利用システムが提供する状況対応型ダイナミックアノテーションの概念について説明する。図1は、本実施例に係るアノテーション利用システムが提供する状況対応型ダイナミックアノテーションの概念を説明するための説明図である。ここで、状況対応型ダイナミクアノテーションとは、状況に応じて異なる表示が行われ、かつ、状況の変化に合わせて表示が動的に変化するアノテーションを意味する。
【0024】
図1は、先生、生徒Aおよび生徒Bの端末に共通のWebページで試験問題が表示されている場合を示す。ここで、生徒Aは、試験問題に対する解答を記入済であるとすると、生徒Aと先生の端末には模範解答がアノテーションを用いて表示される。一方、生徒Bは、試験問題に対する解答を記入中であるとすると、生徒Bと先生の端末にはヒントがアノテーションを用いて表示される。
【0025】
すなわち、生徒Aは解答記入済であり、生徒Bは解答記入中であるため、生徒Aと生徒Bの状況に対応して生徒Aと生徒Bの端末には異なるアノテーションが表示される。この例では、先生は、模範解答とヒントの両方をアノテーションとして生成するが、模範解答は先生と生徒Aとの間だけで共有され、ヒントは先生と生徒Bとの間だけで共有される。
【0026】
また、生徒Aの端末には、生徒Aが解答を記入中であった時には表示されていなかった模範解答が解答記入終了後には表示される。すなわち、端末に表示されるアノテーションが生徒Aの状況の変化に対応してダイナミックに変更される。
【0027】
このように、本実施例に係るアノテーション利用システムは、利用者の状況に対応してアノテーションの表示を選択的あるいは動的に変化させる機能を提供することによって、アノテーションの利用形態を拡大することができる。
【0028】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例に係るアノテーション利用システムのシステム構成を示す機能ブロック図である。
【0029】
同図に示すように、このアノテーション利用システムは、利用者が使用するクライアント10〜30と、クライアント10〜30からアノテーション情報を受け取って保存するとともに他のクライアントに配布するサーバ40がネットワーク50を介して接続されて構成される。なお、ここでは説明の便宜上、3台のクライアント10〜30のみを示したが、このアノテーション利用システムは任意の台数のクライアントから構成される。
【0030】
各クライアントで実行されるアノテーション利用プログラム100は、アノテーション情報記憶部110と、アノテーション処理部120と、フィルタ情報記憶部130と、フィルタ処理部140と、プロフィール情報記憶部150と、再生部160と、通信処理部170とを有し、ブラウザ11とともに動作することによって各クライアントをアノテーション利用装置として機能させる。
【0031】
なお、アノテーション利用プログラム100は、ブラウザ11上で動作するJava(登録商標)アプレットやJava(登録商標)Scriptプログラムである。また、ここでは、アノテーションの表示を中心に説明するが、利用者間で共有されるWebページについては、サーバ40によってWebサーバから読み出されて各クライアントに配布され、各クライアントのブラウザ11により表示される。
【0032】
アノテーション情報記憶部110は、クライアント10〜30で作成された全てのアノテーションに関する情報を記憶する記憶部であり、各アノテーションについて線画の情報とメタ情報を記憶する。ここで、線画の情報はVMLベースであり、メタ情報はXMLベースであるが、VMLはXMLベースであるため、線画情報もメタ情報もXMLベースで管理することができる。
【0033】
メタ情報は属性(プロパティ)として定義し、アノテーションの識別子となるIDや生成時刻、更新時刻に加え、自由記述となるコメント情報、URLリンク、文書ファイルもメタ情報として定義することができる。図3は、メタ情報の一例を示す図である。同図に示すように、この例では、重要度、グループ、カテゴリ、チェインなどがメタ情報として定義されている。
【0034】
アノテーション処理部120は、アノテーションに関する処理を行う処理部であり、アノテーションの表示制御とアノテーション情報のサーバ40との送受信を行う。具体的には、このアノテーション処理部120は、アノテーション情報記憶部110に情報が記憶されたアノテーションに対して、フィルタ情報記憶部130およびプロフィール情報記憶部150に記憶された情報に基づいて表示制御を行う。
【0035】
また、このアノテーション処理部120は、自クライアントの利用者により作成されたアノテーションの情報をアノテーション情報記憶部110に格納するとともに、サーバ40に送信し、他のクライアントの利用者によって作成されたアノテーションの情報をサーバ40経由で受け取り、アノテーション情報記憶部110に格納する。
【0036】
図4は、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報の形式を示す図である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報には、送信元、配布先、新規作成などを示す通信情報と、作成者、識別子、重要度、グループなどを示すメタ情報と、VMLに基づく線画の情報を示す可視情報とが含まれる。
【0037】
図5は、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報の一例を示す図である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信されるアノテーション情報は、XMLタグ<webcd>を用いて定義される。
【0038】
フィルタ情報記憶部130は、アノテーションの表示/非表示を指定する条件情報をアノテーションのフィルタ情報として記憶する記憶部である。条件情報としては、属性と属性値の組み合わせに対して表示(visible="true")または非表示(visible="false")が指定される。
【0039】
アノテーション処理部120は、このフィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報を用いてアノテーションの表示を制御する。このように、各クライアントのフィルタ情報記憶部130がアノテーションの表示に関する条件をフィルタ情報として記憶し、アノテーション処理部120が、フィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報に基づいてアノテーションの表示を制御することによって、クライアントごとに異なるアノテーションの表示を行うことができる。
【0040】
フィルタ処理部140は、アノテーションのフィルタ情報を処理する処理部であり、具体的には、自クライアントの利用者により作成されたフィルタ情報を配布先を指定してサーバ40経由でクライアントに送信する。また、このフィルタ処理部140は、自クライアントまたは他のクライアントの利用者によって作成されたフィルタ情報をサーバ40経由で受け取り、フィルタ情報記憶部130に格納する。
【0041】
図6は、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報の形式を示す図である。ここで、変更フィルタ情報とは、各クライアントでのアノテーションの表示/非表示の制御に使われるフィルタ情報である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報には、送信元、配布先などを示す通信情報と、プロパティ(属性)による表示/非表示条件を指定する条件情報とが含まれる。
【0042】
図7は、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報の一例を示す図である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信される変更フィルタ情報は、アノテーション情報と同様にXMLタグ<webcd>を用いて定義される。
【0043】
また、条件情報は、XMLタグ<condition>を用いて定義される。例えば、図7では、アノテーションのグループ(Group)という属性の属性値(level)が”公開”であれば表示しない(visible="false")という条件が指定されている。
【0044】
図8は、クライアントからサーバ40への変更フィルタ情報の送信例を示す図である。同図(a)は、利用者がフィルタ情報の指定に使用する画面例を示している。同図(a)において、利用者は、ユーザ名で変更フィルタ情報の送信先を指定し、グループおよび重要度で属性と属性値の組み合わせに対するアノテーションの表示/非表示を指定する。
【0045】
例えば、この画面では、変更フィルタ情報の送信先はユーザ「IRII」であり、グループという属性については、属性値が「公開」であるアノテーションは非表示とし、その他の属性値は表示とし、重要度という属性については、属性値が「低」であるアノテーションは非表示とし、その他の属性値は表示とする条件が指定されている。なお、ここでは、ユーザとして「IRII」が表示され、属性としてグループおよび重要度が表示されているが、ユーザおよび属性は、システムの利用者およびメタ情報に基づいてフィルタ処理部140によって自動的に表示される。
【0046】
同図(b)は、同図(a)の画面からフィルタ処理部140が生成するフィルタ情報を示している。同図(b)に示すように、フィルタ処理部140は、XMLで記述されたフィルタ情報を生成する。
【0047】
同図(c)は、クライアントからサーバ40へ送信される情報の形式を示している。同図(c)に示すように、フィルタ情報は、以下のデータがXML形式であることを示すプロトコルXMLが付加されてサーバ40へ送信される。
【0048】
同図(d)は、クライアントからサーバ40へ送信される情報を示している。同図(d)に示すように、XMLタグ<webcd>を用いて記述された情報がクライアントからサーバ40へフィルタ情報として送信される。
【0049】
このように、フィルタ処理部140が、送付先のクライアントを指定して変更フィルタ情報をサーバ40経由で送信するとともに、サーバ40経由で受信した変更フィルタ情報に基づいてフィルタ情報記憶部130のフィルタ情報を更新し、アノテーション処理部120がフィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報に基づいてアノテーションの表示を行うことによって、アノテーションの表示を動的に制御することができる。
【0050】
図9は、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報の形式を示す図である。ここで、操作フィルタ情報とは、各クライアントでのアノテーションの点滅などの操作、アノテーションに付随する情報の表示やプログラムの実行に使われるフィルタ情報である。この操作フィルタ情報を用いて特定の利用者に所定の情報をプッシュすることができる。
【0051】
同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報には、送信元、配布先などを示す通信情報と、操作対象アノテーションを識別する識別子(ID)、操作の動き、パラメタ情報などを指定する操作情報とが含まれる。
【0052】
図10は、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報の一例を示す図である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信される操作フィルタ情報は、アノテーション情報と同様にXMLタグ<webcd>を用いて定義される。また、操作情報は、XMLタグ<action>、<blinkid>などを用いて定義される。例えば、図10では、操作として"blink"(点滅表示)が指定され、パラメタ情報として”VML_SHAPE_△村タカシ先生_1"が指定されている。なお、特定の利用者に所定の情報をプッシュする場合には、パラメタ情報として所定の情報を格納するWebページのURLや、所定の情報をプッシュするプログラムを指定する。
【0053】
図11は、クライアントからサーバ40への操作フィルタ情報の送信例を示す図である。同図(a)は、利用者がフィルタ情報の指定に使用する画面例を示している。同図(a)において、利用者は、操作対象のアノテーションの識別子を指定する。
【0054】
例えば、この画面では、「VML_SHAPE_IRII_1」が操作対象アノテーションとして指定されている。なお、ここでは、二つのアノテーションの識別子が表示されているが、アノテーション情報記憶部110に記憶された情報に基づいてフィルタ処理部140がアノテーションの一覧を自動的に表示する。
【0055】
同図(b)は、同図(a)の画面からフィルタ処理部140が生成するフィルタ情報を示し、同図(c)は、クライアントからサーバ40へ送信される情報の形式を示し、同図(d)は、クライアントからサーバ40へ送信される情報を示している。
【0056】
このように、フィルタ処理部140が、送付先のクライアントを指定して操作フィルタ情報をサーバ40経由で送信するとともに、サーバ40経由で受信した操作フィルタ情報に基づいてフィルタ情報記憶部130のフィルタ情報を更新し、アノテーション処理部120がフィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報に基づいてアノテーションの表示を行うことによって、特定のクライアントに対してアノテーションの操作や情報のプッシュを行うことができる。
【0057】
図2に戻って、プロフィール情報記憶部150は、クライアント固有の情報を記憶する記憶部であり、利用者のユーザ名などの情報を記憶する。
【0058】
再生部160は、過去に行われたアノテーション利用セッションを非リアルタイムに再生する要求を利用者から受け付け、アノテーション利用セッションに関する情報を記憶するサーバ40に送信する処理部である。ここで、アノテーション利用セッションとは、1回の電子化会議など、アノテーション利用の単位である。
【0059】
図12は、再生部160が表示する再生メニュー画面の一例を示す図である。同図は、上から順に、XML形式で記憶されたアノテーション利用セッションの一覧、一覧から選択されたアノテーション利用セッションを構成するWebページ一覧、Webページ一覧から選択されたWebページを表示中に送受信された情報(プロトコル)を示している。
【0060】
例えば、プロトコルが「xml」であるデータは、XML形式で送受信された情報を示す。また、利用者は、この再生メニュー画面を用いて、過去に入力・更新・操作されたアノテーション全体を一度に呼び出す一括表示や、時間軸に沿って入力・更新・操作されたとおりにアノテーションを表示する再現表示を指定することができる。
【0061】
図13は、クライアント・サーバ間で送受信される再生処理関連情報の形式を示す図である。同図に示すように、クライアント・サーバ間で送受信される再生処理関連情報には、クライアントからサーバ40へ送られる再生指示情報と、サーバ40からクライアントへ送られるアノテーション情報と、サーバ40からクライアントへ送られるフィルタ情報とがある。
【0062】
再生指示情報には、通信情報と補足情報とが含まれ、補足情報には、一度に全ての情報を再生するなどの再生に関する条件が含まれる。なお、アノテーション情報およびフィルタ情報については、複数の利用者がリアルタイムでアノテーションを共有するリアルタイムセッションにおいてクライアント・サーバ間で送受信される情報の形式と同じである。
【0063】
通信処理部170は、サーバ40などとネットワーク50を介して通信する処理部であり、Webページ情報、アノテーション情報、フィルタ情報などを送受信する。
【0064】
サーバ40で実行されるアノテーション利用サーバプログラム200は、アノテーション情報記憶部210と、フィルタ情報記憶部220と、セッション情報記憶部230と、保存処理部240と、再生処理部250と、通信処理部260とを有し、サーバ40をアノテーション情報中継・格納装置として機能させる。
【0065】
アノテーション情報記憶部210は、クライアント10〜30から送信されてくるアノテーション情報を記憶する記憶部である。このアノテーション情報記憶部210に記憶されたアノテーション情報は、アノテーション利用セッションを非リアルタイムに再生する場合などに使用される。
【0066】
フィルタ情報記憶部220は、クライアント10〜30から送信されてくるフィルタ情報を記憶する記憶部である。このフィルタ情報記憶部220に記憶されたフィルタ情報も、アノテーション利用セッションを非リアルタイムに再生する場合などに使用される。
【0067】
セッション情報記憶部230は、アノテーション利用セッションに関するセッション情報を記憶する記憶部である。このセッション情報記憶部230もセッション情報をXML形式で記憶する。
【0068】
保存処理部240は、クライアント10〜30から送信されてくるアノテーション情報およびフィルタ情報をそれぞれアノテーション情報記憶部210およびフィルタ情報記憶部220に格納するとともに、配布先で指定されたクライアントに送信する処理部である。また、この保存処理部240は、アノテーション利用セッションに関するセッション情報をセッション情報記憶部230に格納する。
【0069】
再生処理部250は、クライアントからのアノテーション利用セッション再生要求を受け付け、アノテーション情報記憶部210、フィルタ情報記憶部220およびセッション情報記憶部230を用いてアノテーション利用セッション再生に必要な情報をクライアントに送信する処理部である。
【0070】
保存処理部240が、アノテーション情報、フィルタ情報およびセッション情報をそれぞれアノテーション情報記憶部210、フィルタ情報記憶部220およびセッション情報記憶部230に保存し、再生処理部250がアノテーション情報記憶部210、フィルタ情報記憶部220およびセッション情報記憶部230を用いてアノテーション利用セッション再生に必要な情報をクライアントに送信することによって、非リアルタイムでのアノテーション利用セッションの再生が可能となる。
【0071】
通信処理部260は、ネットワーク50を介してクライアント10〜30などと通信する処理部であり、Webページ情報、アノテーション情報、フィルタ情報などを送受信する。
【0072】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムによる新規アノテーション生成処理の処理手順について説明する。図14は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる新規アノテーション生成処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【0073】
同図に示すように、このアノテーション利用システムでは、アノテーション利用プログラム100のアノテーション処理部120がアノテーションに関する情報を利用者から受け付けて新規にアノテーション情報を作成する(ステップS101)。なお、アノテーション処理部120は、アノテーションに関する情報を利用者から受け付ける代わりに、外部媒体に記憶されたアノテーションに関する情報を入力することもできる。
【0074】
そして、アノテーション処理部120がアノテーション情報をアノテーション情報記憶部110に格納し、通信処理部170がアノテーション処理部120の指示に基づいてアノテーション情報をサーバ40に送信する(ステップS102)。
【0075】
そして、アノテーション利用サーバプログラム200の通信処理部260がアノテーション情報を受信し(ステップS103)、受信したアノテーション情報を保存処理部240に渡す。そして、保存処理部240が、配布先の情報に基づいてアノテーション情報をクライアントへ送付するとともに(ステップS104)、アノテーション情報記憶部210に格納する(ステップS105)。
【0076】
そして、アノテーション情報の送信先のクライアントで動作するアノテーション利用プログラム100の通信処理部170がアノテーション情報を受信し(ステップS106)、アノテーション処理部120に渡す。そして、アノテーション処理部120がアノテーション情報をアノテーション情報記憶部110に格納するとともに、フィルタ情報やプロフィール情報に基づいて表示情報を生成し(ステップS107)、ブラウザ11がアノテーションを表示する(ステップS108)。
【0077】
このように、アノテーション利用サーバプログラム200の保存処理部240が、配布先の情報に基づいてアノテーション情報を各クライアントへ送付するとともに、アノテーション情報記憶部210に格納することによって、非リアルタイムでのアノテーション利用セッションの再生が可能となる。
【0078】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムによる変更フィルタ適用処理の処理手順について説明する。図15は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる変更フィルタ適用処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【0079】
同図に示すように、このアノテーション利用システムでは、アノテーション利用プログラム100のフィルタ処理部140がフィルタ変更に関する情報を利用者から受け付けて変更フィルタ情報を作成する(ステップS201)。なお、フィルタ処理部140は、フィルタ変更に関する情報を利用者から受け付ける代わりに、外部媒体に記憶されたフィルタ変更に関する情報を入力することもできる。そして、通信処理部170がフィルタ処理部140により作成された変更フィルタ情報をサーバ40に送信する(ステップS202)。
【0080】
そして、アノテーション利用サーバプログラム200の通信処理部260が変更フィルタ情報を受信し(ステップS203)、受信した変更フィルタ情報を保存処理部240に渡す。そして、保存処理部240が、配布先の情報に基づいて変更フィルタ情報をクライアントへ送付するとともに(ステップS204)、フィルタ情報記憶部220に格納する(ステップS205)。
【0081】
そして、変更フィルタ情報の送信先のクライアントで動作するアノテーション利用プログラム100の通信処理部170が変更フィルタ情報を受信し(ステップS206)、フィルタ処理部140に渡す。そして、フィルタ処理部140が変更フィルタ情報に基づいてフィルタ情報記憶部130のフィルタ情報を更新し(ステップS207)、アノテーション処理部120が更新されたフィルタ情報やプロフィール情報に基づいて表示状態を設定し(ステップS208)、ブラウザ11がアノテーションを表示する(ステップS209)。
【0082】
このように、変更フィルタ情報を受信したアノテーション利用プログラム100のフィルタ処理部140がフィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報を更新し、アノテーション処理部120が更新されたフィルタ情報に基づいてアノテーションの表示情報を生成することによって、利用者ごとにアノテーション表示を異なるものとするとともに、アノテーションの表示状態を動的に変更することができる。
【0083】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムによる操作フィルタ適用処理の処理手順について説明する。図16は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる操作フィルタ適用処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【0084】
同図に示すように、このアノテーション利用システムでは、アノテーション利用プログラム100のフィルタ処理部140が操作フィルタに関する情報を利用者から受け付けて操作フィルタ情報を作成する(ステップS301)。なお、フィルタ処理部140は、操作フィルタに関する情報を利用者から受け付ける代わりに、外部媒体に記憶された操作フィルタに関する情報を入力することもできる。そして、通信処理部170がフィルタ処理部140によって作成された操作フィルタ情報をサーバ40に送信する(ステップS302)。
【0085】
そして、アノテーション利用サーバプログラム200の通信処理部260が操作フィルタ情報を受信し(ステップS303)、受信した操作フィルタ情報を保存処理部240に渡す。そして、保存処理部240が、配布先の情報に基づいて操作フィルタ情報をクライアントへ送付するとともに(ステップS304)、フィルタ情報記憶部220に格納する(ステップS305)。
【0086】
そして、操作フィルタ情報の送信先のクライアントで動作するアノテーション利用プログラム100の通信処理部170が操作フィルタ情報を受信し(ステップS306)、フィルタ処理部140に渡す。そして、フィルタ処理部140が操作フィルタ情報に基づいてフィルタ情報記憶部130のフィルタ情報を更新するとともにイベントを設定し(ステップS307)、アノテーション処理部120がイベントを実行することによって(ステップS308)、ブラウザ11がアノテーションに付随する情報を表示したり動作を実行したりする(ステップS309)。
【0087】
このように、操作フィルタ情報を受信したアノテーション利用プログラム100のフィルタ処理部140がフィルタ情報記憶部130に記憶されたフィルタ情報を更新するとともにイベントを設定し、アノテーション処理部120がイベントを実行することによって、アノテーションに対する操作、アノテーションに付随する情報の表示やプログラムの実行を行うことができる。なお、アノテーションに付随する情報の表示やプログラムの実行を行うことによって、特定の利用者に所定の情報をプッシュすることができる。
【0088】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムによる再生処理の処理手順について説明する。図17は、本実施例に係るアノテーション利用システムによる再生処理の処理手順を示す処理フロー図である。
【0089】
同図に示すように、このアノテーション利用システムでは、アノテーション利用プログラム100の再生部160が利用者からの再生条件を受け付けて再生指示情報を作成し(ステップS401)、通信処理部170が再生部160の指示に基づいて再生指示情報をサーバ40に送信する(ステップS402)。
【0090】
そして、アノテーション利用サーバプログラム200の通信処理部260が再生指示情報を受信し(ステップS403)、受信した再生指示情報を再生処理部250に渡す。そして、再生処理部250が、再生条件に基づいてアノテーション情報やフィルタ情報を生成し(ステップS404)、再生要求を行ったクライアントへ送付する(ステップS405)。
【0091】
そして、再生要求を行ったクライアントで動作するアノテーション利用プログラム100の通信処理部170がアノテーション情報やフィルタ情報を受信し(ステップS406)、アノテーション情報をアノテーション処理部120に渡し、フィルタ情報をフィルタ処理部140に渡す。
【0092】
そして、フィルタ処理部140がフィルタ情報に基づいてフィルタ情報記憶部130のフィルタ情報を更新し(ステップS407)、アノテーション処理部120が更新されたフィルタ情報に基づいて表示状態を設定し(ステップS408)、ブラウザ11がアノテーションを表示する(ステップS409)。
【0093】
このように、アノテーション利用プログラム100の再生部160が利用者からの再生条件を受け付けて再生指示情報を作成してサーバ40に送信し、アノテーション利用サーバプログラム200の再生処理部250が、再生条件に基づいてアノテーション情報やフィルタ情報を生成して再生要求を行ったクライアントへ送付することによって、アノテーション利用システムを非同期型で利用することができる。
【0094】
なお、非同期型の応用としては、文書に対するコメントをアノテーションを用いて付加するなど文書システムへの応用があり、本実施例に係るアノテーション利用システムを文書システムとして用いることによって、フィルタ情報やプロフィール情報などを利用して利用者の状況に応じて表示するコメントを変えることなどが可能な文書システムを実現することができる。
【0095】
次に、本実施例に係るアノテーション利用システムの適用例について説明する。本実施例に係るアノテーション利用システムを教育に適用する場合については図1で説明したが、本実施例に係るアノテーション利用システムを他の分野に適用することもできる。
【0096】
図18は、本実施例に係るアノテーション利用システムの他の分野への適用例(1)を示す図である。同図は、複数の利用者が会議議事録をWebページを用いて共有する場合を示している。具体的には、市民グループAに属する「市民A1」と「市民A2」は、会議議事録に対してアノテーションを用いて質問やコメントを共有している。また、「市民B」は会議議事録に対してアノテーションを用いて質問を付加し、「市民C」は会議議事録に対してアノテーションを用いてコメントを付加している。
【0097】
このような状況で、「管理者D1」は、質問に関するアノテーションを表示することを条件とするフィルタを設定することによって、質問だけを見ることができる。また、「管理者D2」は、市民グループAのアノテーションを表示することを条件とするフィルタを設定することによって、市民グループAに関する質問およびコメントだけを見ることができる。
【0098】
図19は、本実施例に係るアノテーション利用システムの他の分野への適用例(2)を示す図である。同図は、複数の拠点の利用者が情報を共有し、各拠点には温度センサなど各種のセンサが設置されている場合を示している。このような場合、センサによって検出される拠点の状況に応じて、各拠点のアノテーションの表示を変えることができる。例えば、光センサによって拠点の明るさを検出することによって、昼と夜で表示を変えることができる。
【0099】
すなわち、アノテーションにメタ情報として光センサの検出結果に関する情報を付加し、変更フィルタによって光センサの検出結果に関する情報を条件情報として設定する。そして、光センサの検出結果からXML形式の属性情報を生成して各拠点のプロフィール情報とすることによって、各拠点における表示を昼と夜で変えることができる。このように、センサからの情報や他のシステムで生成された情報をXML形式で外部媒体などに記憶し、外部媒体などからこれらの情報を読み出してアノテーションの表示を動的に変更することができる。
【0100】
また、他の適用例としては、アノテーションにメタ情報として付加した属性の値をキーとしてアノテーションを検索することによって、あるアノテーション利用セッションで共有されたWebページのうち、特定のWebページだけを再生して利用することができる。例えば、遠隔会議において、Webコンテンツ資料を基に議論を進めていく中で、重要事項にはアノテーションのメタ情報に重要度「高」を設定しておき、会議後、重要度「高」をキーに絞り込み検索することで、会議のダイジェスト版を作成でき、会議欠席者や中途参加、退席者が、あとで会議の概要を把握する際に役立てることができる。
【0101】
次に、本実施例に係るアノテーション利用プログラム100を実行するコンピュータ(クライアント)について説明する。なお、ここでは、本実施例に係るアアノテーション利用プログラム100を実行するコンピュータについて説明するが、本実施例に係るアノテーション利用サーバプログラム200についても、同様の構成を有するコンピュータで実行することができる。
【0102】
図20は、本実施例に係るアノテーション利用プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このコンピュータ300は、RAM310と、CPU320と、HDD330と、LANインタフェース340と、入出力インタフェース350と、DVDドライブ360とを有する。
【0103】
RAM310は、プログラムやプログラムの実行途中結果などを記憶するメモリであり、CPU320は、RAM310からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。
【0104】
HDD330は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、LANインタフェース340は、コンピュータ300をLAN経由で他のコンピュータに接続するためのインタフェースである。
【0105】
入出力インタフェース350は、マウスやキーボードなどの入力装置および表示装置を接続するためのインタフェースであり、DVDドライブ360は、DVDの読み書きを行う装置である。
【0106】
そして、このコンピュータ300において実行されるアノテーション利用プログラム100は、LANインタフェース340を介して接続されたサーバ40のデータベースに記憶され、データベースから読み出されてコンピュータ300に転送されてアノテーション利用プロセス321として実行される。
【0107】
上述してきたように、本実施例では、アノテーションにメタ情報を付加し、メタ情報に基づいてアノテーションの表示を制御する変更フィルタ情報をフィルタ処理部140がサーバ40を経由して特定のクライアントに送信するとともに、他のクライアントで生成された変更フィルタ情報をサーバ40を経由して他のクライアントから受け取ってフィルタ情報記憶部130に格納し、フィルタ情報記憶部130に格納された変更フィルタ情報およびアノテーション情報記憶部110に格納されたアノテーション情報に基づいてアノテーション処理部120がアノテーションの表示を制御することとしたので、クライアントで異なるアノテーションを表示することができるとともに、各クライアントにおける表示を動的に変更することができる。
【0108】
また、本実施例では、ユーザ名など利用者の固有な情報をプロフィール情報としてプロフィール情報記憶部150に記憶し、プロフィール情報に基づいてアノテーションの表示を制御するフィルタ情報をフィルタ処理部140がサーバ40を経由して特定のクライアントに送信するとともに、他のクライアントで生成されたフィルタ情報をサーバ40を経由して他のクライアントから受け取ってフィルタ情報記憶部130に格納し、フィルタ情報記憶部130に格納されたフィルタ情報およびプロフィール情報記憶部150に格納されたプロフィール情報に基づいてアノテーション処理部120がアノテーションの表示を制御することとしたので、クライアントで異なるアノテーションを表示することができるとともに、各クライアントにおける表示を動的に変更することができる。
【0109】
また、本実施例では、アノテーションを操作する操作フィルタ情報をフィルタ処理部140がサーバ40を経由して他のクライアントに送信するとともに、他のクライアントで生成された操作フィルタ情報をサーバ40を経由して他のクライアントから受け取ってフィルタ情報記憶部130に格納し、フィルタ情報記憶部130に格納された操作フィルタ情報およびアノテーション情報記憶部110に格納されたアノテーション情報に基づいてアノテーション処理部120がアノテーションを操作することとしたので、特定のクライアントのアノテーションを操作することができる。また、アノテーション操作のパラメタとしてブラウザやプログラムの起動を指定することによって、特定ユーザに所定の情報をプッシュすることもできる。
【0110】
また、本実施例では、クライアントから送信されるアノテーション情報およびフィルタ情報をアノテーション利用セッションのセッション情報とともにアノテーション利用サーバプログラム200の保存処理部240が保存し、クライアントからアノテーション利用セッション再生要求を受け付けると、保存したセッション情報に基づいてアノテーション情報およびフィルタ情報をクライアントに送信することとしたので、アノテーション利用システムを非同期型のシステムとしても利用することができる。
【0111】
(付記1)表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用プログラムであって、
アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定するフィルタ設定手順と、
前記フィルタ設定手順により設定されたフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御する表示制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするアノテーション利用プログラム。
【0112】
(付記2)前記表示情報は、複数の利用者間で共有される情報であり、
前記フィルタ設定手順は、複数の利用者のうち特定の利用者に対して指定されたフィルタに関するフィルタ情報をリアルタイムで受信してフィルタを設定することを特徴とする付記1に記載のアノテーション利用プログラム。
【0113】
(付記3)アノテーションに対する操作を設定する操作設定手順をさらにコンピュータに実行させ、
前記表示制御手順は、前記操作設定手順により設定された操作をさらに行うことを特徴とする付記1または2に記載のアノテーション利用プログラム。
【0114】
(付記4)前記フィルタ設定手順は、利用者および利用者の利用環境を反映するプロフィールをフィルタの一部として設定することを特徴とする付記1、2または3に記載のアノテーション利用プログラム。
【0115】
(付記5)表示情報に対して付加されたアノテーションを記録した記録情報を用いて該付加されたアノテーションを再生する再生手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のアノテーション利用プログラム。
【0116】
(付記6)前記再生手順は、表示情報に付加された複数のアノテーションを同時に表示する機能を有することを特徴とする付記5に記載のアノテーション利用プログラム。
【0117】
(付記7)表示情報にアノテーションを付加して表示するクライアントからアノテーションに関する情報を受信して該表示情報を共有するクライアントに配信するアノテーション利用サーバプログラムであって、
アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタに関するフィルタ情報を配信先クライアントの情報とともにクライアントから受信するフィルタ情報受信手順と、
前記フィルタ情報受信手順により受信されたフィルタ情報を前記配信先クライアントに送信するフィルタ情報配信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするアノテーション利用サーバプログラム。
【0118】
(付記8)表示情報にアノテーションを付加して表示するクライアントからアノテーションに関する情報を受信して該表示情報を共有するクライアントに配信する配信装置と複数のクライアントから構成されるアノテーション利用システムであって、
前記クライアントは、
アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタに関するフィルタ情報を配信先クライアントの情報とともに前記配信装置に送信するフィルタ情報送信手段を備え、
前記配信装置は、
前記クライアントから送信されたフィルタ情報を配信先クライアントの情報とともに受信するフィルタ情報受信手段と、
前記フィルタ情報受信手段により受信されたフィルタ情報を前記配信先クライアントに配信するフィルタ情報配信手段と、
を備えたことを特徴とするアノテーション利用システム。
【0119】
(付記9)表示情報にアノテーションを付加して利用するアノテーション利用方法であって、
アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定するフィルタ設定工程と、
前記フィルタ設定工程により設定されたフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御する表示制御工程と、
を含んだことを特徴とするアノテーション利用方法。
【0120】
(付記10)表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用装置であって、
アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを設定するフィルタ設定手段と、
前記フィルタ設定手段により設定されたフィルタおよびアノテーションに付加された属性値に基づいてアノテーションの表示を制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするアノテーション利用装置。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように、本発明に係るアノテーション利用プログラム、アノテーション利用方法およびアノテーション利用装置は、複数の利用者が共有情報を利用する電子会議システムなどの共有情報利用システムに有用であり、特に、利用者や利用者の状況などに応じて表示を動的に変更したい場合に適している。
【符号の説明】
【0122】
10,20,30 クライアント
11 ブラウザ
40 サーバ
50 ネットワーク
100 アノテーション利用プログラム
110 アノテーション情報記憶部
120 アノテーション処理部
130 フィルタ情報記憶部
140 フィルタ処理部
150 プロフィール情報記憶部
160 再生部
170 通信処理部
200 アノテーション利用サーバプログラム
210 アノテーション情報記憶部
220 フィルタ情報記憶部
230 セッション情報記憶部
240 保存処理部
250 再生処理部
260 通信処理部
300 コンピュータ
310 RAM
320 CPU
321 アノテーション利用プロセス
330 HDD
340 LANインタフェース
350 入出力インタフェース
360 DVDドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用プログラムであって、
前記アノテーションを記憶するアノテーション記憶部から読み出したアノテーション、および、前記アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを記憶するフィルタ記憶部から読み出したフィルタをネットワークを介して接続される他の装置に送信する第1の送信手順と、
利用者から前記アノテーションの表示を前記フィルタを介して操作する操作フィルタ情報を受け付ける受付手順と、
前記受付手順によって受け付けられた操作フィルタ情報を前記他の装置に送信する第2の送信手順と
をコンピュータに実行させるためのアノテーション利用プログラム。
【請求項2】
前記受付手順は、前記ネットワークを介して接続される他の装置のうち送付先とする装置の指定を受け付け、
前記第2の送信手順は、前記他の装置のうち前記指定を受け付けた装置に前記操作フィルタ情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のアノテーション利用プログラム。
【請求項3】
表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用方法であって、
コンピュータが、
前記アノテーションを記憶するアノテーション記憶部から読み出したアノテーション、および、前記アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを記憶するフィルタ記憶部から読み出したフィルタをネットワークを介して接続される他の装置に送信する第1の送信ステップと、
利用者から前記アノテーションの表示を前記フィルタを介して操作する操作フィルタ情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けられた操作フィルタ情報を前記他の装置に送信する第2の送信ステップと
を実行することを特徴とするアノテーション利用方法。
【請求項4】
前記受付ステップは、前記ネットワークを介して接続される他の装置のうち送付先とする装置の指定を受け付け、
前記第2の送信ステップは、前記他の装置のうち前記指定を受け付けた装置に前記操作フィルタ情報を送信することを特徴とする請求項3に記載のアノテーション利用方法。
【請求項5】
表示情報にアノテーションを付加して利用する機能を提供するアノテーション利用装置であって、
前記アノテーションを記憶するアノテーション記憶部から読み出したアノテーション、および、前記アノテーションの表示をアノテーションにメタ情報として付加された属性値に基づいて制御するフィルタを記憶するフィルタ記憶部から読み出したフィルタをネットワークを介して接続される他の装置に送信する第1の送信部と、
利用者から前記アノテーションの表示を前記フィルタを介して操作する操作フィルタ情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた操作フィルタ情報を前記他の装置に送信する第2の送信部と
を有することを特徴とするアノテーション利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−9069(P2012−9069A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200900(P2011−200900)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2005−195844(P2005−195844)の分割
【原出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(591040236)石川県 (70)
【Fターム(参考)】