説明

アプリケータ装置及びアプリケータキット

【課題】 安価で、塗布製品と塗布方法の両方に対して適合できる等の利点を有するアプリケータ装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも部分的に弾性的に圧縮可能であり、製品の塗布面を構成する少なくとも一の面を有する少なくとも一のアプリケータを具備せしめ、該アプリケータが少なくとも一の透孔を介して塗布面に開口する少なくとも一の収容部を画成し、上記収容部が製品ホルダー部材に固定して配された、例えばスティックの形態の、製品を収容するように構成し、製品ホルダー部材をアプリケータに対して取り外し可能にかつアプリケータに対して実質的に固定された軸方向位置に取り付けて、アプリケータ装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばメークアップ製品のためのアプリケータ装置に関する。この種のアプリケータ装置は特にブラッシャー、アイシャドウ、フェイスパウダー、リップスティック、ファンデーション、ケアクリーム、抗日光製品又はヘア製品を塗布するために使用することができる。より一般的には、あらゆる砕けやすい製品を塗布するために使用することができる。本発明はまた本発明に係る少なくとも一のアプリケータ装置を具備するアプリケータキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、特にメークアップ製品に対して使用される様々なタイプのアプリケータが知られている。なかでも、浸漬するかスプレーガンを使用することによって化粧製品が付着させられる一端を持つ棒状の「マッチ棒」又は「キューチップ(Qtip)」タイプのアプリケータが知られている。この最初の範疇のものは塗布時にあまりに多くの製品を付着させてしまうという欠点を有している。更に、この種のアプリケータでは塗布した製品にぼかしを施すことができない。最後に、その構造のためにこれらのアプリケータは一般に壊れやすい。
化粧品タイプの製品が上にプレス又は圧密化される表面を持っているアプリケータがまた知られている。これらのアプリケータの主な欠点の一つはその耐久性が低いことに関連する。一般に、これらのアプリケータはサンプルとして使用される。
最後に、化粧製品が内部に注がれるか圧密化される少なくとも一つのディッシュを有するケースと組み合わされて使用される「パフ」タイプのアプリケータが更に知られている。これらのパウダーコンパクトは比較的高価である。
【0003】
仏国特許出願公開第2642675号は分配孔を有するリザーバ部に含まれる固形又はペースト状製品の分配装置を記載しており、製品はモータ機構によって分配孔に向けて押し出される。この文献によれば、分配孔の縁部は、製品の塗布を可能にするフロック加工又は薄い発泡体のような被覆によって覆われている。この特許に記載された装置は操作が複雑で製造が比較的高価である。
塗布される製品が、チューブと連通する流路を形成する孔が形成された発泡体ブロックが上部に設けられたチューブに含まれている靴磨きアプリケータタイプの他のタイプのアプリケータもまた存在する。これらのアプリケータでは、製品は、アプリケータの流路内に製品を強制的に押し込み塗布面に出させるようにチューブの壁部に圧力を作用させることによって塗布面にもたらされる。サイズは別にして、これらの装置は、主として塗布された製品を正確に定量することが困難であるため、メークアップ製品タイプの製品には適していない。
仏国特許出願公開第1272557号、米国特許第1899386号および米国特許第2450919号は、発泡体ブロックに形成されると共に多孔シート体、ファブリック又は他の多孔材料の形態のシーブによって被覆された自由端を有する収容部にパウダーが収容された一般にパウダー状の製品のためのアプリケータを記載している。これらの装置では、製品はこのように形成された収容部にフリー状態で存在し、製品の定量の塗布が困難になっている。更に、中空収容部を閉塞しているシートに形成された孔、ポア又はその他の穴は直ぐに詰まってしまい、装置が使用できなくなる。最後に、このような装置はリップスティックのような高粘稠度の製品には適していない。
【0004】
米国特許第1524008号に記載された装置は、上述の文献米国特許第1899386号及び米国特許第2450919号に記載されたもののように、収容部が形成された発泡体ブロックと一体部分を形成している底部を有している。この収容部に含まれている石鹸は収容部には固定されておらず、使用の段階で軸方向の移動性が益々大きくなる。この移動性、特に軸方向の移動性は、製品の塗布を正確に定量して行うことを非常に困難にし、塗布の困難性は更に底部が剛性又は半剛性でもないという点によって更に際立たされる。しかし、塗布の正確さと定量のこれらの問題は、米国特許第1524008号におけるように製品が石鹸である場合は重要ではない。
砕けやすい製品のアプリケータは仏国特許出願公開第2754985号から知られており、このアプリケータは、少なくともその一面が製品を塗布するための面を有し、その塗布面に開口する軸Aの穴を有している発泡体ブロックを含んでいる。発泡体ブロックは自由表面を有している製品スティックが配された少なくとも一つの収容部を形成している。発泡体ブロックは、自由面が塗布面のレベル又はその下方に位置している休止位置から、弾性的に変形可能な部材が軸Aに沿って少なくとも部分的に圧縮され、自由面が実質的に塗布面のレベルにある塗布位置まで選択的に移行するように構成されている。
【0005】
発泡体ブロックは剛性支持体に不可逆的に(固定して)取り付けられており、製品は発泡体の連続気泡に捕捉され、又は支持体上に直接固定され得る。この構造のために、消費者にとって、製品スティックはアプリケータから分離できず、各アプリケータ装置はアプリケータと所定の製品の塗布特性によって一義的に規定される。
ところで、皮膚の状態に応じて、所望のメークアップを選択する可能性を消費者に提供し又は単にそのときの気分で、それがそのタイプであろうと、その色彩であろうと又はそのテクスチャーであろうと、異なった製品を塗布するとが望ましいことがあることが分かっている。同様に、製品を変える際、又はこの種の変更には関係なく、使用者がアプリケータを変え、特に所望されるソフトさ又はメークアップ製品の場合に望まれる効果に応じて、塗布面及び/又は圧縮性特性を変えることが望ましいことがある。
仏国特許出願公開第2754985号の既知の装置では、これらの可能性は存在せず、消費者はアプリケータ装置の購入後は自分のアプリケータ装置に「しばられて」毎日同じようにして同じ製品を塗布する。所定の製品については、製品を塗布する場所や所望する効果に応じて、自分が好ましいと思うように異なった形で塗布することができない。
【0006】
仏国特許第782500号は、石鹸によって作り出される泡を集めてシェービングする面にそれを分散させるように、シェービングソープと組み合わされて石鹸の端部を囲む発泡体リングを有する髭剃り用のシェービングブラシを記載している。
この文献では、石鹸バーの環状スポンジ中の軸方向の位置を調節できる。よって、使用者が環状発泡体ブロックに形成された収容部から石鹸の自由面を取り出し、発泡体に作用する力とは無関係に、石鹸が正しく、特に外部から保護されない余地がある。よって、石鹸が発泡体から実質的に出現すると、石鹸の損傷又は最終的には乾燥を生じる危険性が大である。
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2642675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、本発明の目的の一つは、現在知られているアプリケータを参照して上述した欠点を有していない安価なアプリケータ装置を製作することである。
本発明の一般的な目的は、塗布される製品と製品を塗布する方法の両方に対して適合性のあるアプリケータ装置を提供することである。
所定の製品に対して、異なった塗布特性、特に所望される結果に応じて、及び/又は所定の塗布特性及び異なったタイプ及び/又は色彩の製品の塗布が可能になるアプリケータ装置を提供することが特に本発明の目的である。
本発明の他の目的は次の説明から詳細に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の側面では、これらの目的は、少なくとも部分的に弾性的に圧縮可能であり、製品を塗布するための面を構成する少なくとも一の面を有する少なくとも一のアプリケータを具備し、該アプリケータが少なくとも一の透孔を介して塗布面に開口する少なくとも一の収容部を画成し、収容部が、製品ホルダー部材に固定して配された、例えばスティック状の製品を収容するように構成され、ここで製品ホルダー部材がアプリケータに対して取り外し可能にかつアプリケータに対して実質的に固定された軸方向位置に取り付けられた、砕けやすい製品のためのアプリケータ装置を製作することによって達成される。
「実質的に固定された」なる用語は、休止位置で、つまり特にアプリケータに軸方向に作用する力がない状態で、製品の自由面が実質的に塗布面以下又は塗布面のレベルに位置させることができるだけであるように取り付けられていることを意味する。
【0010】
好ましくは、アプリケータはアプリケータホルダー部材に固定して配され、製品ホルダー部材はアプリケータホルダー部材に対して取り外し可能に取り付けられている。
よって、休止位置、つまりアプリケータが処理される表面に対してもはや当接させられていない場合には、スティックは、特に外部環境に対するその保護が良好なアプリケータに形成された収容部内に一体に含まれている。
本発明によれば、収容部はスティックの形態で一般に提供される製品に対して自立的な(autonomous)リザーバを形成している。よって、本発明では、軸方向の孔が貫通する発泡体アプリケータに特に圧縮性チューブの形態の取り付けリザーバからの製品が供給される、靴磨きのような製品のためのある種の既知のアプリケータ装置とは異なり、製品の全体が、アプリケータホルダーと製品ホルダーからなる構造体内に含まれている。
好ましくは、収容部はアプリケータの高さ全体にわたって延び、収容部の断面(少なくとも透孔に隣接する部分)と実質的に同一の断面の透孔を介して塗布面に開口している。換言すれば、塗布位置では、それは、製品が塗布される面からそれを隔離させ得るシーブ又は他の有孔又は多孔性部材によって覆われていない。
【0011】
よって、アプリケータホルダーと製品ホルダーの間の装置の取り外し可能な性質のために、例えば異なったメークアップ結果を得る目的で、消費者は異なった形で所定の製品を塗布することを選択することができる。同様に、同じアプリケータ装置によって、消費者は、そのアプリケータ装置と組み合わされる製品ホルダーを単に変えることによって、塗布することを望んでいる製品の色彩、タイプ又はテクスチャーを変えることを選択することができる。同じアプリケータによって二つの異なった製品を連続して二回塗布する間、第二の製品の塗布が第一の製品の残留物によって汚染されないようにアプリケータをたたいて通過させることができる。
同様に、製品は製品ホルダー部材に固定して取り付けられているので、製品はアプリケータにより画成される収容部内に少なくとも軸方向に固定した位置にある。その結果、塗布は、製品を囲む弾性的に変形可能な部材の表面を変位させる(圧縮/除圧)ことにより実施され、この変位が選択的に製品を「出現させ」、処理される面へのその直接の塗布のためにその自由面を実質的に塗布面のレベルにすることに寄与する。製品は製品ホルダーの底部又はその側部に設けられた固着手段(フィン又はリブ)により軸方向に固定化されうる。
製品が収容部内に固定して取り付けられているという点は更に正確な量の製品が塗布できることに貢献している。
製品は弾性的に圧縮可能なブロックにより定まる収容部内に注がれ、又は圧密化されうる。製品はまた製品ホルダーに形成される杯状体(cupule)に前もって注がれ又は圧密化されうる。製品ホルダーとアプリケータホルダーが後で組み立てられるだけである。
【0012】
製品は、粒状固相を水性相又はバインダー、特に油相を溶媒中で混合することによって得られるペーストの形態で提供されうる。製品はまた熱い状態で注がれるゲル又はホットメルトワックスに基づく製品の形態であってもよい。従って、選択される組成物のタイプに依存して、水又は溶媒の蒸発か、冷却か化学反応によって成形後に固化が起こる。製品は、特に得られるスティックの形状に適合化される形状の可撓性のモールド中に熱い又は冷たい状態で注がれる無水ペーストであってもよい。あるいは、注がれる製品は、着色顔料は別にして、フィラー及びバインダー、硫酸カルシウム半水化物(CaSO・1/2HO)及び注ぐことが可能な混合物を得るために十分な水を含み、固化は硫酸カルシウム二水和物(CaSO・2HO)を生成することによって起こる。組成物が固化した後、スティックを型から取り外し製品ホルダーに取り付けられ得る。あるいは、製品ホルダーはそれ自体組成物が直接注がれるモールドの部分を形成しうる。
またあるいは、弾性的に圧縮可能な部材からなる収容部は組成物が直接注がれるモールドを形成しうる。このためには、取り外し可能な蓋部を位置させ、装置を上下逆さにした後に、組成物が、製品ホルダーに設けられた適当な透孔を介してアプリケータによって定まった収容部内に注がれる。ついで、キャップ、特にスナップ嵌合、接着又は溶接されたキャップが製品ホルダーの透孔を閉塞するために使用できる。
好ましくは、弾性的に圧縮可能な部材は、収容部内の製品のレベルの如何にかかわらず、塗布面が製品の自由面のレベルまで下げられるように、ある高さにわたって圧縮され得、実質的に全ての製品の塗布が可能になり、製品は収容部内に固定して配される。
【0013】
本発明の好適な実施態様では、アプリケータ装置は、製品の表面が塗布面のレベルにあるかその下方に位置する休止位置から、製品の表面が実質的に塗布面のレベルにある塗布位置へ選択的に移行可能である。
よって、製品を塗布するためには、アプリケータ装置は処理される表面に配される。アプリケータへ圧力を作用させることによって、アプリケータを少なくとも部分的に圧縮させ、製品が処理される表面に接触するようになる。この瞬間に、例えば小さな円運動によって、製品が表面に付着させられる。アプリケータに作用させている圧力を解くことによって、製品の自由表面は収容部の内部に戻る。弾性的に変形可能な部材の塗布面だけが処理される表面に接触したままになる。ついで、この自由面は更なる製品を追加しないで製品の塗布を完了させ、及び/又は製品のぼかしを施すために使用されうる。
好ましくは、塗布位置への移行は、処理される表面への塗布面の係合に応答するアプリケータの圧縮によって少なくとも部分的になされる。
製品のスティックは、アプリケータホルダー部材の剛性又は半剛性基部に設けられた更なる手段に、例えばスナップ嵌合、バヨネット締結、又は螺合によって係合可能な取り付け手段を具備する、剛性又は半剛性の底部に取り付けることができる。アプリケータホルダーの基部と製品ホルダーの底部はポリエチレン又はポリプロピレンのような熱可塑性材料を成形することにより得ることができる。
【0014】
好ましくは、アプリケータは塗布面を覆うことができる着脱可能な蓋部を有している。この種の蓋部はアプリケータホルダーか製品ホルダーの何れかに取り付けることができる。蓋部はネジ止め、スナップ嵌合又はバヨネットシステムによって締結することができる。
アプリケータについては、これはアプリケータホルダー部材に溶接、接着又はクリンピング加工により取り付けることができる。
好ましくは、アプリケータホルダー部材はアプリケータを把持するための部材を形成している。アプリケータホルダーの一体部分を形成するかそれに取り外し可能に取り付けられる把持スリーブがまた所望の位置に製品を塗布するのを容易にするために提供されうる。あるいは、スリーブは製品ホルダーに取り付けてもよい。
第一の実施態様では、アプリケータは連続、半連続又は独立気泡を持つ少なくとも一つの発泡体ブロックを含んでなる。発泡体はポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステルあるいはSBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR、シリコーン又はニトリルタイプのエラストマー等々からなる発泡体であってもよい。
【0015】
特定の一実施態様では、アプリケータは収容部の回りに配された複数の同心の発泡体ブロックを具備している。
あるいは、アプリケータは複数の発泡体ブロックの積層体を具備し、各発泡体ブロックはそれを真っ直ぐに貫通する中央穴を有し、発泡体ブロックは、その各穴がこのようにして形成された圧縮性部材の高さ全体にわたって延びる収容部を形成するように実質的に位置決めされて積層されている。
一様な又は差別的(プリファレンシャル)な形でアプリケータの圧縮を促進する手段が設けられていてもよい。このような手段は収容部の全体又は一部の回りに形成された一又は複数の溝からなりうる。
他の実施態様によれば、アプリケータはベローズを形成する部分を有していてもよい。
塗布面は、製品の塗布性を向上させ、それによってソフトさを増大させるようにフロック加工、テクスタイル又はスクリーンで覆われていてもよい。
塗布される製品は、ブラッシャー、フェイスパウダー、アイシャドウ、リップスティック、ファンデーション、ケア製品、抗太陽製品又はヘア製品等々でありうる。
【0016】
本発明の他の側面では、本発明の第一の側面に係る少なくとも一のアプリケータ装置を対になって形成可能な、少なくとも一のアプリケータホルダー部材と少なくとも一の製品ホルダー部材を具備するアプリケータキットが提供される。
この種のキットは様々な塗布面を持つ複数のアプリケータホルダー部材及び/又は異なった圧縮性のアプリケータを具備している。
この種のキットは更に異なったタイプ及び/又は色彩の製品を有する複数の製品保持部材を具備している。
上述した特徴とは別に、本発明は、添付図面を参照して記載される非限定的な実施形態によって以下に特定される所定数の他の構成からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで参照される図1、2、3(a)、3(b)及び4(a)から4(c)は、第一の実施形態によるアプリケータ装置を示している。軸Xの装置1はアプリケータホルダー部材2と製品ホルダー部材30を具備している。
アプリケータホルダー2は、その中心を製品ホルダー30に配された製品スティック31の断面より僅かに大きな断面の穴部5が貫通する横断壁4からなる剛性基部3を具備している。横断壁4は、側方スカート部6に連結されており、その横断壁4とは逆の端部は開口している。
アプリケータ部材は、発泡体ブロック7により形成され、円筒状の軸方向に延びる収容部8が貫通し、その横断面は穴部5の断面に類似しており、スカート部6とは反対の壁4の面に接合されている。収容部8は発泡体ブロック7の軸方向の全高さにわたって延びている。収容部8は、発泡体ブロックに形成された塗布面9の中心に形成された孔部13を介し、横断壁4の反対端にて開口している。透孔13は収容部8の断面と実質的に同一の断面を持つ。
横断壁4は、側方スカート部6と反対の側には、取り外し可能なキャップ12の内面に設けられた対応するネジ部24と係合可能なネジ部11を外面に有するスカート部10を有している。
【0018】
製品ホルダー30は、アプリケータホルダー2の側方スカート部6の内部断面より僅かに小さい外部断面を持つ側方スカート部33に連結された横断壁32に形成された底部38を具備している。側方スカート部33は横断壁32の反対のその端部が開口している。直径方向に対向する2つの耳部(突部)34、35が、側方スカート部6の内面に設けられた対応する収容部(凹部)22、23と共に、バヨネット(差し込み)締結システムを形成するように、側方スカート部33の外面に配されている。
側方スカート部33と反対の横断壁32の側には、側方スカート部33の断面より小さく、アプリケータホルダー2の発泡体ブロック7に画成された軸方向の収容部8の断面より僅かに小さい断面の軸方向に延びるチムニー部(煙突状部)36が形成されている。軸方向に延びるチムニー部36は、壁32の対応する部分と共に、ファンデーションのようなメークアップ製品Pのスティック31を収容可能な杯状体を形成している。スティック31は、クリンピング加工により杯状体の内部に保持されている。杯状体へのスティック31の締結を改善するために、フィン又は溝型の手段(図示せず)を杯状体の底部又は側面に設けてもよい。
【0019】
壁37によって側方スカート部33の断面が2つの同一な部分に切断され、アプリケータホルダーに対し製品ホルダー30をある角度だけ相対的に回転させることにより、アプリケータホルダーに設けられた対応の収容部22、23とバヨネットシステムの耳部34、35が係合するようにするキー部を形成している。また、キー部37はアプリケータ装置1の2つの部材の分解をも容易にする。
アプリケータホルダー2の基部3及び製品ホルダー30の底部38は、ポリプロピレンの成形により得られている。
このようにして、必要に応じて所定のアプリケータに関連させる製品を変更したり、又は所定の製品に関連させるアプリケータを変更するために分離することができるアプリケーターホルダー2と製品ホルダー30を具備する装置1が形成される。
取り付け状態において、図3(a)に示すように、スティックは発泡体ブロック7により画成された収容部8の内部に配され、製品Pの自由面は塗布面9の下方にある。目安を示すと、休止位置(格納状態)での深さが約13mmである収容部8に対して、スティックの高さは約10mmである。
【0020】
製品を塗布するためには、図3(b)に示されるように、アプリケータ1が、皮膚に適用されると、製品Pの自由表面が本質的に塗布面9の高さになるまで、発泡体7が圧縮(少なくとも部分的)される。その後、製品Pのスティック31は皮膚と接触し、塗布面により皮膚上への製品の良好な分散が可能となる。アプリケータ1に加えられる圧力を解くと、使用者は塗布面9で製品をぼかし処理することができる。ついで、製品は、アプリケータに加えられる圧力に応じて、また圧力が加えられる時間に応じて、所定量が測られ完璧に塗布される。使用している間、収容部内の製品の量は、製品が実質的に完全に使い切られるまで減少する。
使用者が、特に製品が厚い層となるように塗布することで、異なるメークアップ効果を得ることを望んでいる場合は、耳部34、35を各々の収容部22、23から分離させ、製品ホルダー30からアプリケータホルダー2を分離することができるように製品ホルダー30のキー37を回転させる。ついで、使用者は異なった表面条件及び/又は異なった密度を持つ発泡体7を有するアプリケータホルダーを取り、同じ製品ホルダー30にそれを取り付ける。
【0021】
よって、図4(a)は、使用者の顔の最初の位置にファンデーションの比較的薄い層を塗布するように、低圧縮性の発泡体ブロック7からなるアプリケータによって塗布される所定の色彩のファンデーションのスティック31を持つ上述のタイプのアプリケータ装置1を示している。
図4(b)では、製品ホルダー30は同一である。他方、アプリケータホルダー2は密度の少ない発泡体ブロック7を使用するアプリケータに置き換えられ、顔の他の部分に同じ製品の薄い層を塗布する。
図4(c)では、アプリケータホルダー2は再び変更され、図4(a)及び4(b)のアプリケータ装置で製品が塗布された位置に「仕上げ」を行うように、塗布面9にフロック加工21が施されている再び異なった密度のアプリケータホルダー2に置き換えられている。
【0022】
図5(a)の実施形態は製品ホルダー30にネジ込むことによってアプリケータホルダー2が取り付けられるように設計されている点で先の実施形態とは区別される。このために、製品ホルダー30は、アプリケータホルダー2の側方スカート部6の内面に設けられた対応するネジ部14と係合可能なネジ部39を側方スカート部33の外面に有している。蓋部12は、アプリケータホルダーに螺合される代わりに、フランジ15/溝16の構造によるスナップ嵌合によって取り外し可能に取り付けられている。
更に、アプリケータホルダーに配されたアプリケータ7は、環状発泡体ブロック7'、7"、7'"の軸方向の積層体から形成され、ブロックの各々は製品の塗布の際に微妙な差を生じさせるように異なった硬さ又は密度を持つことができる。積層体は様々な積層ブロックを接合することにより又は成形することにより得ることができる。好適な解決手段を構成するが、積層体の全てのブロックが弾性的に圧縮性である必要はない。例えば、塗布面9に隣接するブロック7"'は焼結された剛性の熱可塑性材料からなりうる一方、他のブロック7'及び7"は弾性的に圧縮可能な発泡体からなる。
【0023】
図5(b)の実施形態は、ブロック7'、7"が、軸方向に積層される代わりに、収容部8の回りに同心状に配されている点が先の実施形態と区別される。アプリケータホルダー2はスナップ嵌合、フランジ40/溝17の構造によって製品ホルダー30に取り外し可能に取り付けられている。先の実施形態と同じようにして、取り外し可能な蓋部12がアプリケータホルダー2にスナップ嵌合によって取り付けられている。
図5(c)の実施形態では、環状の発泡体ブロックは、収容部8の回り全体に位置し異なった軸方向レベルで配された複数の周方向に延びる溝18、19、20を有している。このような溝により、塗布面9が処理される面に係合させられたときに、発泡体ブロック7の圧縮を促進させることができる。その結果、塗布のソフトさが増加する。この特性は、リップスティックのような比較的長く小さい断面を持つスティックに対して特に有利である。製品ホルダー30は、図1、2、3(a)、3(b)及び4(a)から4(c)の実施形態のものに従うバヨネットシステム(22、23、34、35)によってアプリケータホルダー2に取り外し可能に締結されている。更に、塗布面9は塗布のソフトさを更に改善するようにナイロン繊維から形成されたフロックコーディング21で覆われている。
【0024】
図6(a)から6(c)の実施形態では、先の実施形態とは異なり、溝18、19、20は、その溝18、19、20が形成された側の変形が増大することが図6(c)に示されているように許容されるように、発泡体ブロック7の周囲の半分だけにわたって存在している。この種の構成は、製品スティック31の自由面が傾斜面を有している場合に特に好適である。この場合、差別的(プレファレンシャルな)変形の溝18、19、20はスティック31の高さ方向下方半分に面して配されている。
【0025】
図7(a)の実施形態では、アプリケータホルダー2に取り付けられたアプリケータは、その本体がその高さの少なくとも一部においてベローズを形成している環状部材25からなる。ベローズを形成するこの種の部材はエラストマー材料又は低密度ポリエチレンを成形することにより得ることができる。ベローズの上部により形成される塗布面はレーヨン繊維からなるフロックコーティング21で覆われている。
図7(b)の実施形態は、アプリケータホルダー2が、収容部8の軸線に実質的に直交する配置の長い形状を持つ取り外し可能な把持スリーブ27に取り付けられている点で図7(a)の実施形態とは区別される。スリーブ27がスナップ嵌合によってアプリケータホルダー2に取り外し可能に締結されている。
【0026】
次に参照する図8は、メークアップ製品のアプリケータキット100を示している。該キットは蓋部103がヒンジ連結された底部102を有しているケース101の形態に構成されている。ミラー104が、メークアップ製品の塗布を容易にするように蓋部103の内面に配されている。
複数の凹所105−110を画成する発泡体ブロック111がケースの底部に配されている。収容部(凹所)105−107は三つの製品ホルダー30、30'、30"を収容するように設計され、各々がそれに特異的な色彩、テクスチャー及び/又はタイプの製品のスティックを有している。収容部108−110は三つのアプリケータホルダー2、2'、2"を収容するように設計されており、各々はそれに特異的な塗布特性を有するアプリケータを有している。
消費者は異なったアプリケータホルダー2、2'、2"と異なった製品ホルダー30、30'、30"のバッチから自分が望んでいる塗布に適したアプリケータ/製品の対を選択する。もちろん、それぞれの塗布後に、アプリケータホルダーはたたいて通過させてそれを洗浄し、所定の製品の塗布が同じアプリケータによって前に塗布された異なった製品の残留物によって汚されることがないようにする。
上記の詳細な説明では、本発明の好適な実施形態を参照した。特許請求の範囲に記載される発明の精神から逸脱しないようにしてそれに変更を施すことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るアプリケータ装置の第一の実施形態に関する。
【図2】本発明に係るアプリケータ装置の第一の実施形態に関する。
【図3】(a)及び(b)は本発明に係るアプリケータ装置の第一の実施形態に関する。
【図4】(a)ないし(c)は本発明に係るアプリケータ装置の第一の実施形態に関する。
【図5】(a)は本発明に係るアプリケータ装置の第二の実施形態に関し、(b)は本発明に係るアプリケータ装置の第三の実施形態に関し、(c)は本発明に係るアプリケータ装置の第四の実施形態に関する。
【図6】本発明に係るアプリケータ装置の第五の実施形態に関する。
【図7】(a)は本発明に係るアプリケータ装置の第六の実施形態に関し、(b)は本発明に係るアプリケータ装置の第七の実施形態に関する。
【図8】本発明に係る複数のアプリケータ装置を含むアプリケータキットに関する。
【符号の説明】
【0028】
1 アプリケータ装置、7,25 アプリケータ、9 製品の塗布面、13 透孔、30,30',30" 製品ホルダー部材、31 スティック



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に弾性的に圧縮可能であり、製品の塗布面(9)を構成する少なくとも一の面を有する少なくとも一のアプリケータ(7,25)を具備し、該アプリケータ(7,25)が少なくとも一の透孔(13)を介して塗布面(9)に開口する少なくとも一の収容部(8)を画成するとともに、該収容部に連通する穴部(5)を有するアプリケータホルダー部材(2,2',2")に固定され、上記収容部および上記穴部が、製品ホルダー部材(30,30',30")に固定して配された、スティック(31)の形態の製品を収容するように構成され、上記アプリケータホルダー部材に対して上記製品ホルダー部材が連結手段を用いて着脱可能に取り付けられることを特徴とするアプリケータ装置(1)。
【請求項2】
製品(P)の表面が塗布面(9)のレベルにあるかその下方に位置する格納位置から、製品(P)の表面が実質的に塗布面(9)のレベルにある塗布位置へ選択的に移行可能であることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項3】
塗布位置への移行が、処理される面への塗布面(9)の係合に応答するアプリケータ(7,25)の圧縮により少なくとも部分的になされることを特徴とする請求項2に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項4】
収容部(8)が塗布面(9)の直接上部にその断面の全体にわたって開口していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項5】
製品のスティック(31)が、アプリケータホルダー部材(2,2',2")の剛性又は半剛性基部(3)に設けられた更なる手段(22,23,14,17)に、スナップ嵌合、バヨネット締結、又は螺合によって係合可能な取り付け手段(34,35,39,40)を具備する剛性又は半剛性の基部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項6】
格納位置で塗布面(9)をカバー可能な取り外し可能な蓋部(12)を有していることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項7】
アプリケータ(7,25)が、アプリケータホルダー部材(2,2',2")に溶接、接着、スナップ嵌合又はクリンピング加工により取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項8】
アプリケータホルダー部材(2,2',2")が、上記アプリケータを把持するための部材を形成していることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項9】
連続、半連続又は独立気泡を持つ少なくとも一の発泡体ブロック(7,7',7",7"')を有することを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項10】
アプリケータ(7,7',7",7"')が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステルあるいはSBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR、シリコーン又はニトリルタイプのエラストマー製の発泡体からなることを特徴とする請求項9に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項11】
アプリケータが、収容部(8)の回りに配された複数の同心の発泡体ブロック(7',7")を具備していることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項12】
アプリケータが、複数の発泡体ブロック(7',7",7"')の積層体を具備し、各発泡体ブロックは中央穴を有し、発泡体ブロックは、その各穴が収容部(8)を形成するように実質的に同心に位置決めされて積層されていることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項13】
一様な又は差別的な形でアプリケータ(7,25)の圧縮を促進可能な手段(18,19,20)を有することを特徴とする請求項1ないし12の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項14】
上記手段が、収容部(8)の全体又は一部の回りに形成された一又は複数の溝(18,19,20)からなることを特徴とする請求項13に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項15】
アプリケータ(7,25)がベローズ(25)を形成する部分を有していることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項16】
塗布面(9)が、フロック加工(21)、テクスタイル又はスクリーンで覆われていることを特徴とする請求項1ないし14の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項17】
アプリケータホルダー(2)と一体部分を形成するか、あるいは取り外し可能に取り付けられた把持スリーブ(27)を具備していることを特徴とする請求項1ないし16の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項18】
上記製品(P)が、ブラッシャー、フェイスパウダー、アイシャドウ、リップスティック、ファンデーション、ケア製品、抗太陽製品又はヘア製品であることを特徴とする請求項1ないし17の何れか1項に記載のアプリケータ装置(1)。
【請求項19】
請求項1ないし18の何れか1項に記載の少なくとも一のアプリケータ装置(1)を対になって形成可能な少なくとも一のアプリケータホルダー部材(2,2',2")と少なくとも一の製品ホルダー部材(30,30',30")を具備するアプリケータキット(100)。
【請求項20】
様々な塗布面(9)を持つ複数のアプリケータホルダー部材(2,2',2")及び/又は異なった圧縮性のアプリケータ(7,25)を具備していることを特徴とする請求項19に記載のアプリケータキット(100)。
【請求項21】
異なったタイプ及び/又は色彩の製品(P)を有する複数の製品ホルダー部材(30,30',30")を具備していることを特徴とする請求項19又は20に記載のアプリケータキット(100)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−247407(P2006−247407A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133883(P2006−133883)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【分割の表示】特願2002−36059(P2002−36059)の分割
【原出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)