説明

アラーム装置

【課題】 同室の複数の人のうち、特定の人のみを選択してアラーム音を聞かせることができるアラーム装置を提供する。
【解決手段】 狭指向性をもってアラーム音を放音するスピーカ7と、このスピーカ7を搭載してスピーカ7の向きを移動可能に変更する移動機構部8と、予め設定されたアラーム時刻に移動機構部8を駆動させてスピーカ7を予め設定された向きに向け、この状態でスピーカ7からアラーム音を発生させる指示をする制御部40とを備えている。従って、現在時刻が予め定められたアラーム時刻になると、制御部40が移動機構部8を駆動させてスピーカ7を予め設定された向きに向け、この状態で狭指向性をもってスピーカ7からアラーム音を放音することができる。このため、複数の人が同じ部屋で就眠していても、他の人に迷惑をかけずに、特定の人のみを選択し、この選択した人のみにアラーム音を確実に聞かせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目覚まし時計や掛け時計などの時計に用いられるアラーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、目覚まし時計は、一般に、就眠している人の枕元において使用するためのものであり、アラーム音の広がりが大きく、部屋の中の何処にいてもアラーム音が聞こえるように構成されている。このため、部屋の中に家族などの複数の人が就眠している場合には、それぞれ起床時間が異なっていても、最初のアラーム音によって部屋の中にいる全ての人を起してしまう。
【0003】
そこで、このような問題を解消するために、特許文献1に記載されているように、時計に耳掛けフックを設け、この耳掛けフックによって時計を使用者の耳に引っ掛けて使用するタイプの目覚まし時計が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−31056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような耳掛けタイプの時計では、就眠する際に使用者の耳に引っ掛けているので、他の人の迷惑にならないように、使用者本人のみがアラーム音を聞くことができても、就眠中に時計が耳から脱落してしまい、アラーム音を確実に聞くことができないという不都合があるほか、部屋の中にいる複数の人それぞれが、起床時間にアラーム音を発生する耳掛けタイプの時計を持つ必要があるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、同室の複数の人のうち、特定の人のみを選択してアラーム音を聞かせることができるアラーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、放音部と、前記放音部の放音方向を変更可能な駆動機構部と、予め設定されたアラーム時刻に、前記駆動機構部を駆動させることにより、前記放音部の放音方向を予め設定された方向に向けるとともに、当該放音部からアラーム音を発生させる指示をする制御部と、を備えていることを特徴とするアラーム装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、アラーム時刻になると、制御部が移動機構部を駆動させてスピーカを予め設定された向きに向け、この状態で狭指向性をもってスピーカからアラーム音を放音することができる。このため、複数の人が同じ部屋で就眠していても、他の人に迷惑をかけずに、特定の人のみを選択し、この選択した人のみにアラーム音を確実に聞かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明を掛け時計に適用した実施形態1を示した斜視図である。
【図2】図1に示された掛け時計のアラーム装置を示した拡大斜視図である。
【図3】図2に示されたアラーム装置を分解して示した拡大斜視図である。
【図4】図2に示されたアラーム装置の基準位置検出部による位置検出状態を示した要部の拡大図である。
【図5】図1に示された掛け時計の回路構成を示したブロック図である。
【図6】図5に示された掛け時計の回路構成におけるRAMの作業テーブルを示した図である。
【図7】図5に示された掛け時計の時計動作における割り込み処理の動作フローを示した図である。
【図8】図7に示された割り込み処理であるアラーム処理の動作フローを示した図である。
【図9】図8に示されたアラーム設定処理の動作フローを示した図である。
【図10】図8に示されたイニシャル処理の動作フローを示した図である。
【図11】図8に示されたアラーム報知処理の動作フローを示した図である。
【図12】この発明を掛け時計に適用した実施形態2におけるアラーム装置を示した拡大斜視図である。
【図13】図12に示されたアラーム装置の基準位置検出部によって基準位置を検出するイニシャル処理の動作フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、図1〜図11を参照して、この発明を指針式の掛け時計に適用した実施形態1について説明する。
この掛け時計は、図1に示すように、時計ケース1内に時計機構部(図示せず)を備え、この時計機構部によって時針2a、分針2b、秒針2cなどの指針2を文字板3上で運針させて時刻を指示するように構成されている。
【0011】
また、この掛け時計は、図1に示すように、リモートコントローラ(以下、リモコン(図示せず)と称する)の操作によってアラーム時刻が設定されるように構成されている。すなわち、時計ケース1の一部、例えば時計ケース1の右下部にはリモコン受信部4が設けられており、時計ケース1内の文字板3の一部、例えば文字板3の左下部には表示部5が設けられている。
【0012】
リモコン受信部4は、リモコンの操作に応じた情報を受信するように構成されている。表示部5は、液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、リモコン受信部4で受信した情報に基づくアラーム時刻などのアラーム情報や、現在時刻などの時刻情報など、時計としての各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0013】
また、この時計ケース1には、図1に示すように、アラーム装置6が搭載されている。このアラーム装置6は、図1〜図3に示すように、アラーム音を放音するスピーカ7と、このスピーカ7を搭載してスピーカ7の向きを移動可能に変更する移動機構部8と、スピーカ7および移動機構部8を覆って保護するカバー部材9とを備え、時計ケー1の下面に設けられている。
【0014】
スピーカ7は、図2および図3に示すように、発生したアラーム音を特定の方向のみに、広がりをもたずに、放音する狭指向性を有するものである。移動機構部8は、ベース部材10と、このベース部材10に搭載されて第1モータ11によって水平方向に回転移動する第1移動ユニット12と、この第1移動ユニット12に搭載されて第2モータ13によって上下方向に回転移動する第2移動ユニット14とを備えている。
【0015】
この場合、スピーカ7は、図2および図3に示すように、第2移動ユニット14に搭載され、第1、第2の各移動ユニット12、14によって水平方向(左右方向)および上下方向に移動して、アラーム音を放音する放音部7aの向きが上下左右の任意の方向に自由に変わるように構成されている。
【0016】
また、カバー部材9は、図1および図2に示すように、半球形状に形成されて、第1移動ユニット12に搭載され、この第1移動ユニット12によって水平方向のみに回転移動するように構成されている。このため、このカバー部材9には、図2に2点鎖線で示すように、スピーカ7の放音部7aが対応する放音孔9aが半球形状の球面における上下方向に沿って細長く形成されている。
【0017】
ところで、移動機構部8は、ベース部材10によって時計ケース1の下面に取り付けられるように構成されている。すなわち、ベース部材10は、図2および図3に示すように、時計ケース1の下面に取り付けられるものであり、円板状に形成されている。このベース部材10の中心部には、固定軸10aがカシメ加工によって下側に突出した状態で設けられている。
【0018】
このベース部材10には、図2および図3に示すように、第1モータ11が搭載されている。この第1モータ11は、1パルスごとに所定角度だけ回転するステップモータである。この第1モータ11の下端部に位置する出力軸には、図2および図3に示すように、第1駆動ギア11aが設けられている。
【0019】
また、この第1モータ11の下端部には、取付部材15が取り付けられている。これにより、この第1モータ11は、第1駆動ギア11aがベース部材10のギア挿入孔10bに上方から挿入して下側に突出し、この状態で取付部材15がビス15aによってベース部材10上に取り付けられている。
【0020】
第1移動ユニット12は、図2および図3に示すように、第1モータ11によって回転する第1ギア16と、この第1ギア16と共に回転する第1フレーム17とを備えている。第1ギア16は、その中心部に設けられた軸受け部16aがベース部材10の固定軸10aに回転自在に取り付けられている。また、この第1ギア16は、その外周部の歯部に第1モータ11の第1駆動ギア11aが噛み合っていることにより、第1モータ11の回転に応じてベース部材10の固定軸10aを中心に水平方向に回転するように構成されている。
【0021】
また、この第1移動ユニット12の第1フレーム17は、図3に示すように、第1ギア16の下面にビス18aによって取り付けられる水平板部18と、この水平板部18の一端部(図3では左端部)に折り曲げによって設けられた垂直板部19とを備え、これらが金属板によって一体に形成された構成になっている。
【0022】
水平板部18は、図3に示すように、第1ギア16と共に水平方向に回転する部分であり、その中心部には、ベース部材10の固定軸10aが挿入する軸挿入孔18bが設けられている。これにより、水平板部18は、軸挿入孔18bに挿入して下側に突出した固定軸10aの下端部に抜け止めリング20が取り付けられることにより、固定軸10aを中心に第1ギア16と共に回転するように構成されている。
【0023】
また、垂直板部19は、図2および図3に示すように、水平板部18の回転に伴って水平方向に回転移動する部分である。この垂直板部19の中心部には、支持軸21がカシメ加工によって、ベース部材10の固定軸10aの軸方向と直交する方向に向けてほぼ水平な状態で、固定軸10aの下側に位置して取り付けられている。
【0024】
この第1フレーム17には、図2および図3に示すように、第2モータ13が搭載されている。この第2モータ13も、第1モータ11と同様、1パルスごとに所定角度だけ回転するステップモータである。この第2モータ13の一端部(図3では左端部)に位置する出力軸には、第2駆動ギア13aが設けられている。
【0025】
また、この第2モータ13の一端部(図3では左端部)には、図2および図3に示すように、取付部材22が取り付けられている。これにより、この第2モータ13は、第2駆動ギア13aが支持軸21の上方に位置して支持軸21と平行な状態で、取付部材22がビス22aによって水平板部18の下面に取り付けられている。
【0026】
一方、第2移動ユニット14は、図2および図3に示すように、第2モータ13によって回転する第2ギア23と、この第2ギア23と共に回転する第2フレーム24とを備えている。第2ギア23は、その中心部に設けられた軸受け部23aが第1フレーム17の垂直板部19の支持軸21に回転自在に取り付けられている。
【0027】
また、この第2ギア23は、図2および図3に示すように、その外周部における上部に位置する歯部に第2モータ13の第2駆動ギア13aが噛み合っていることにより、第2モータ13の回転に応じて第1フレーム17の支持軸21を中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0028】
この第2移動ユニット14の第2フレーム24は、図3に示すように、第2ギア23の一側面(図3では右側面)にビス25aによって取り付けられる垂直板部25と、この垂直板部25の一端部(図3では下端部)に折り曲げによって設けられた水平板部26とを備え、これらが金属板によって一体に形成された構成になっている。
【0029】
垂直板部25は、図3に示すように、第2ギア23と共に上下方向に回転する部分であり、その中心部には、第1フレーム17の支持軸21が挿入する軸挿入孔25bが設けられている。これにより、垂直板部25は、軸挿入孔25bに挿入してベース部材10の固定軸10aの下側に突出した支持軸21の先端部(図3では右端部)に抜け止めリング27が取り付けられることにより、支持軸21を中心に第2ギア23と共に回転可能に取り付けられている。
【0030】
また、水平板部26は、図2および図3に示すように、垂直板部25の回転に伴って上下方向に回転移動する部分である。この水平板部26の中心部には、スピーカ7が水平板部26に対して垂直な状態で挿入するスピーカ挿入孔26aが設けられている。この水平板部26には、そのスピーカ挿入孔26a内に垂直な状態で挿入したスピーカ7がビス26bによって取り付けられている。この場合、スピーカ7は、その放音部7aが水平板部26の下側に向けて突出した状態で取り付けられている。
【0031】
これにより、移動機構部8は、図2および図3に示すように、第1モータ11が回転すると、その回転に伴って第1移動ユニット12の第1ギア16が第1フレーム17と共にベース部材10の固定軸10aを中心に水平方向に回転し、この第1ギア16および第1フレーム17の回転に伴って第2移動ユニット14が水平方向に回転移動し、この第2移動ユニット14の回転移動によって、ベース部材10の固定軸10aを中心として、スピーカ7を水平方向(左右方向)に回転移動させるように構成されている。
【0032】
また、この移動機構部8は、図2および図3に示すように、第2モータ13が回転すると、その回転に伴って第2移動ユニット14の第2ギア23が第2フレーム24と共に第1フレーム17の支持軸21を中心に上下方向に回転し、この第2ギア23および第2フレーム24の回転に伴って第2移動ユニット14が上下方向に回転移動し、この第2移動ユニット14の回転移動によって、第1フレーム17の支持軸21を中心として、スピーカ7を上下方向に回転移動させるように構成されている。
【0033】
ところで、この移動機構部8には、図2〜図4に示すように、スピーカ7の基準位置を光学的に検出する基準位置検出部28が設けられている。基準位置検出部28は、スピーカ7が搭載された第2移動ユニット14に設けられた第1光学部30と、第1移動ユニット12を搭載するためのベース部材10に設けられた第2光学部31とを備えている。第1光学部30は、センサー基板32上に発光素子33と受光素子34とを設けたセンサーユニットである。
【0034】
この第1光学部30は、図2〜図4に示すように、スピーカ7に隣接する第2移動ユニット14の箇所、例えば第2フレーム24における水平板部26の取付部29にセンサー基板32がビス32aによって取り付けられた構成になっている。第2光学部31は、反射部であり、ベース部材10の固定軸10aを挟んで第1モータ11と反対側に位置するベース部材10の箇所に設けられている。
【0035】
これにより、基準位置検出部28は、図4に示すように、第2フレーム24に設けられた第1光学部30の発光素子33と受光素子34とがほぼ真上を向いて、ベース部材10に設けられた第2光学部31に対向したときに、発光素子33で発光した光がその上方に位置する第2光学部31で反射され、この反射された光が受光素子34で受光され、この受光素子34が反射光を受光した位置をスピーカ7の基準として検出するように構成されている。
【0036】
この場合、基準位置におけるスピーカ7の向き、つまり放音部7aから放音されるアラーム音の方向は、図1および図2に示すように、時計ケース1の下面から時計ケース1の前方に向けてほぼ水平な方向であり、スピーカ7のアラーム音を部屋内の反対側に位置する壁に向けて放音させるようになっている。
【0037】
これにより、スピーカ7は、基準位置の状態で、第1モータ11が正方向と逆方向とのいずれかの方向に回転すると、スピーカ7の向きが部屋の中心部から左右方向(時計ケース1に対する左右方向)のいずれかの方向に向き、また基準位置の状態で、第2モータ13が正方向と逆方向とのいずれかの方向に回転すると、スピーカ7の向きが部屋内における前後方向(時計ケース1に接近または離れる方向)のいずれかの方向に向くように構成されている。
【0038】
このため、スピーカ7は、基準位置の状態で、第1、第2の各モータ11、13が正方向と逆方向とのいずれかの方向に回転すると、スピーカ7の向きが部屋における左右前後の斜め方向に向き、アラーム音を部屋内の全域におけるいずれかの箇所に向けて放音させるように構成されている。
【0039】
次に、この掛け時計の回路構成について、図5に示されたブロック図を参照して説明する。
この掛け時計は、CPU(中央演算処理装置)などを内蔵して時計の全体的な統括制御を行う制御部40と、この制御部40のCPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)41と、制御部40のCPUにより実行される種々のプログラムや初期設定データなどを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)42とを備えている。
【0040】
また、この掛け時計は、一定周波数の発振信号を生成して出力する発振回路43と、この発振回路43から入力された発振信号を分周して時刻表示などの運針の基準となる周波数信号を生成する分周回路44と、制御部40からの制御信号に基づいて時針2a、分針2b、秒針2cなどの指針2を運針する時計機構部(図示せず)の指針モータ45を駆動するための指針モータ駆動回路46とを備えている。
【0041】
また、この掛け時計は、リモコン(図示せず)の操作に応じてアラーム時刻などの情報を受信するリモコン受信部4と、このリモコン受信部4で受信したアラーム情報や現在時刻などの各種の情報を表示する表示部5と、予め設定されたアラーム時刻にアラーム音を発生する狭指向性のスピーカ7と、このスピーカ7の放音部7aの位置を検出する基準位置検出部28とを備えている。
【0042】
さらに、この掛け時計は、予め設定されたアラーム時刻に応じて第1モータ11を駆動させてスピーカ7の水平方向の向きを変更する第1モータ駆動回路47と、予め設定されたアラーム時刻に応じて第2モータ13を駆動させてスピーカ7の上下方向の向きを変更する第2モータ駆動回路48とを備えている。
【0043】
そして、この掛け時計の回路を構成する制御部40、RAM41、ROM42、発振回路43、分周回路44、指針モータ駆動回路46、リモコン受信部4、表示部5、スピーカ7、基準位置検出部28、第1モータ駆動回路47、第2モータ駆動回路48のすべては、バスライン49によって電気的に接続されている。
【0044】
ところで、RAM41には、図6に示すように、各種の情報を記憶するエリアのうち、1番目〜n番目までの複数のアラーム情報(1)〜(n)をそれぞれ記憶する複数のメモリエリアが設けられている。この複数のメモリエリアにそれぞれ記憶される1番目〜n番目の各アラーム情報は、それぞれ第1〜第nの各アラーム時刻、第1〜第nの各アラーム音量、第1モータ11における第1〜第nの各回転方向、第1モータ11における第1〜第nの各駆動パルス数(回転量)、第2モータ13における第1〜第nの各回転方向、第2モータ13における第1〜第nの各駆動パルス数(回転量)などである。
【0045】
次に、この指針式の掛け時計の動作手順について、図7〜図11に示す動作フローを参照して説明する。この場合、図7は制御部40により実行される時針2a、分針2b、秒針2cなどの指針2の駆動制御における動作フローを示す図である。
この制御部40による処理は、分周回路45から制御部40に入力する1Hz(ヘルツ)の信号に基づいて制御部40により開始される割り込み処理である。
【0046】
この割り込み処理は、秒針2cの駆動タイミングに呼び出されて開始されると、ステップS1で計時処理を行う。すなわち、RAM41に記憶されている現在時刻データに+1秒して現在時刻データを更新する。制御部40の処理がステップS2に移行すると、制御部40は、駆動パルスを指針モータ46に供給するように、指針モータ駆動回路47に指令を送り、指針モータ46を1ステップ回転させる。
【0047】
これにより、指針モータ46の回転が秒針2cに伝達されて、秒針2cが1ステップ回転する。このステップS1からステップS2の動作を順次繰り返すことにより、秒針2c、分針2b、時針2aが運針して、現在時刻を指示する。このステップS1からステップS2の動作を繰り返す。
【0048】
次に、この掛け時計のアラーム処理について、図8に示す動作フローを参照して説明する。
このアラーム処理が開始すると、ステップS10でリモコンの操作によってリモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信したか否かを判断する。
【0049】
このステップS10で、リモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信すると、ステップS11進んで、リモコンの操作による情報に基づいてアラーム設定処理を行い、ステップS12に進んで、再びリモコンの操作によってリモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信したか否かを再度判断する。
【0050】
このステップS12で、リモコンの操作によってリモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信したと判断すると、ステップS11に戻り、前回と異なるアラーム設定処理を行う。このとき、例えば掛け時計が設置された部屋に家族などの複数の人が就眠する場合、その複数の人ごとに、それぞれアラーム設定処理を行う。そして、ステップS12で、リモコンの操作によってリモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信していなければ、ステップS13に進んで、リモコンの操作によってリモコン受信部4にアラーム設定の解除指示が与えられたか否かを判断する。
【0051】
このステップS13で、リモコン受信部4に解除指示が与えられていなければ、ステップS12に戻り、リモコン受信部4に解除指示が与えられるまで、アラーム設定処理を繰り返し、リモコン受信部4に解除指示が与えられると、アラーム設定処理を終了して、ステップS14に進んで、アラーム装置6のスピーカ7を基準位置に移動させるイニシャル処理を行い、再びステップS10に戻る。
【0052】
そして、ステップS10で、再びリモコンの操作によってリモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信したか否かを判断し、リモコン受信部4がアラーム設定の指示を受信していないと判断すると、ステップS15に進み、アラーム設定処理で設定された複数のアラーム時刻を表示部5に順次表示させてアラーム設定時刻を確認する。
【0053】
この後、ステップS16に進んで、現在時刻が設定された複数のアラーム時刻のいずれかと一致したか否かを判断する。このとき、現在時刻が予め設定された複数のアラーム時刻のいずれにも一致していなければ、ステップS10に戻り、ステップS10〜ステップS16の動作を繰り返し、ステップS16で、現在時刻が予め設定された複数のアラーム時刻のいずれかに一致すれば、ステップS17に進んで、スピーカ7からアラーム音を放音させるアラーム報知処理を行い、ステップS10に戻る。
【0054】
次に、アラーム設定処理について、図9に示す動作フローを参照して説明する。
このアラーム設定処理は、リモコン受信部4がリモコンの操作による情報を受信した際に、リモコンの操作による情報に基づいてアラームの設定を行う処理である。この処理が開始すると、ステップS20でRAM41のメモリエリアを確保し、ステップS21に進んで、リモコンの操作によってリモコン受信部4が受信したアラーム時刻や、アラーム音量のアラーム情報を取り込み、ステップS22に進み、取り込んだアラーム情報をRAM41の所定のメモリエリアに格納する。
【0055】
そして、ステップS23に進んで、アラーム装置6のスピーカ7を基準位置に移動するイニシャル処理を行い、ステップS24でリモコン操作によってリモコン受信部4が受信したスピーカ7の向きを読み込む。このときには、使用者が就眠する場所でリモコンを操作し、スピーカ7を使用者自身に向ける。このときのリモコンの操作によるスピーカ7の回転方向の情報、つまり第1、第2の各モータ11、13の回転方向、例えば正回転方向と逆回転方向とのいずれかを読み込む。
【0056】
この後、ステップS25に進んで、読み込んだスピーカ7の回転方向に向けて第1、第2の各モータ11、13をリモコン操作によって回転させるために、第1、第2の各モータ11、13にそれぞれ駆動パルスを供給し、ステップS26で第1、第2の各モータ11、13に供給した駆動パルス数をカウントする。
【0057】
そして、ステップS27に進んで、リモコン操作によってリモコン受信部4がスピーカ7の移動停止の指示を受信したか否かを判断する。このステップS27で、リモコン受信部4がスピーカ7の移動停止の指示を受信していなければ、ステップS25に戻り、リモコン操作によってスピーカ7が使用者自身の方向に向くまで、第1、第2の各モータ11、13に供給する駆動パルス数をカウントし続ける。
【0058】
また、ステップS27で、リモコン受信部4がスピーカ7の移動停止の指示を受信すると、ステップS28に進んで、指定されたスピーカ7の向きに相当する第1、第2の各モータ11、13の各回転方向、および第1、第2の各モータ11、13に供給した各駆動パルス数をRAM41の所定メモリエリアに格納し、このアラーム設定処理を終了してアラーム処理に戻る。
【0059】
次に、アラーム装置6のイニシャル処理について、図10に示す動作フローを参照して説明する。
このイニシャル処理は、基準位置検出部28によってスピーカ7の基準位置を検出して、スピーカ7を基準位置に移動させる処理である。この場合、基準位置は、移動機構部8の第2移動ユニット14に搭載された第1光学部30が最上部に位置して、移動機構部8のベース部材10に設けられた第2光学部31のほぼ真下に対向した位置である。
【0060】
この基準位置を検出するイニシャル処理が開始すると、ステップS30で基準位置検出部28の第1光学部30の発光素子33を発光させ、ステップS31に進み、発光素子33で発光した光が第2光学部31で反射され、その反射光を第1光学部30の受光素子34が受光したか否かを判断する。このステップS31で発光した光の反射光を受光素子34が受光していなければ、スピーカ7が基準位置にないと判断し、ステップS32に進んで、第2モータ13に駆動パルスを供給して、第1光学部30を最上部に向けて移動させる。
【0061】
そして、ステップS33に進み、発光素子33で発光した光の反射光を受光素子34が受光したか否かを判断し、このステップS33で発光した光の反射光を受光素子34が受光していなければ、ステップS34に進んで、第1モータ11に駆動パルスを供給して第1光学部30を左右方向に1往復移動させ、ステップS31に戻り、発光素子33で発光した光の反射光を受光素子34が受光するまで、ステップS31〜ステップS34の動作を繰り返す。
【0062】
すなわち、ステップS32で第2モータ13に駆動パルスを供給して第1光学部30を最上部に向けて移動させ、ステップS34で第1モータ11に駆動パルスを供給して第1光学部30を水平方向に1往復移動させると、発光素子33と受光素子34とを有する第1光学部30と反射部である第2光学部31とが必ず対向する。
【0063】
これにより、ステップS31またはステップS33において、発光素子33からの光を第2光学部31で反射し、その反射光を受光素子34が受光して、スピーカ7が基準位置にあると判断し、ステップS35に進んで、発光素子33の発光を停止させて、このイニシャル処理を終了し、アラーム処理またはアラーム設定処理に戻る。
【0064】
次に、アラーム報知処理について、図11に示す動作フローを参照して説明する。
このアラーム報知処理は、現在時刻がアラーム時刻と一致した際に、動作を開始する。この処理動作を開始すると、ステップS40でイニシャル処理を行ってスピーカ7を基準位置に移動させ、ステップS41に進んで、現在時刻と一致したアラーム時刻に対応するアラーム情報をRAM41から読み出す。
【0065】
このときには、アラーム情報のうち、現在時刻と一致したアラーム時刻に対応する第1、第2の各モータ11、13の各回転方向、および第1、第2の各モータ11、13の各駆動パルス数である。そして、ステップS42に進んで、読み出した第1、第2の各モータ11、13の各回転方向、および第1、第2の各モータ11、13の各駆動パルス数に基づいて、第1、第2の各モータ11、13を駆動させ、スピーカ7を移動させてスピーカ7の向きを現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人に向ける。
【0066】
そして、ステップS43で第1、第2の各モータ11、13の動作が終了したか否かを判断する。このステップS43で第1、第2の各モータ11、13の動作が終了していなければ、ステップS42に戻って、スピーカ7の向きを現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人に向くまで第1、第2の各モータ11、13を動作させる。
【0067】
このステップS43で第1、第2の各モータ11、13を動作が終了して、スピーカ7の向きを現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人に向いていると判断すると、ステップS44に進んで、現在時刻と一致したアラーム時刻に対応するアラーム音量をRAM41から読み出し、ステップS45に進んで、スピーカ7からアラーム音をステップS44で読み出したアラーム音量で発生させる。
【0068】
このときには、スピーカ7が、アラーム音を現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人に向けて所定時間だけ狭指向性をもって放音し、このアラーム報知処理を終了し、アラーム処理に戻る。この場合には、部屋の中に家族などの複数の人が就眠しても、現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人以外の人に迷惑をかけずに、現在時刻と一致したアラーム時刻に起床する人のみにアラーム音を聞かせて起床させることができる。
【0069】
このように、この掛け時計のアラーム装置6によれば、狭指向性をもってアラーム音を放音するスピーカ7と、このスピーカ7を搭載してスピーカ7の向きを移動可能に変更する移動機構部8と、予め設定されたアラーム時刻に移動機構部8を駆動させてスピーカ7を予め設定された向きに向け、この状態でスピーカ7からアラーム音を発生させる指示をする制御部40とを備えていることにより、同室の複数の人のうち、特定の人のみを選択してアラーム音を聞かせることができる。
【0070】
すなわち、このアラーム装置6では、予め定められたアラーム時刻になると、制御部40が移動機構部8を駆動させてスピーカ7を予め設定された向きに向け、この状態で狭指向性をもってスピーカ7からアラーム音を放音することができる。このため、複数の人が同じ部屋で就眠していても、他の人に迷惑をかけずに、特定の人のみを選択し、この選択した人のみにアラーム音を聞かせることができる。
【0071】
この場合、移動機構部8は、ベース部材10と、このベース部材10に搭載されて第1モータ11によって水平方向に回転移動する第1移動ユニット12と、この第1移動ユニット12に搭載されて第2モータ13によって上下方向に回転移動する第2移動ユニット14とを備え、この第2移動ユニット14にスピーカ7が搭載されていることにより、第1、第2の各モータ11、13の回転によって第1、第2の各移動ユニット12、14をそれぞれ回転移動させることができ、これによりスピーカ7を任意の方向に自由に回転移動させて、スピーカ7の向きを自由に変更することができる。
【0072】
すなわち、この移動機構部8は、第1モータ11を回転させると、これに伴って第1移動ユニット12がベース部材10に対して水平方向に回転移動するので、スピーカ7を水平方向(つまり左右方向)に回転させることができ、また第2モータ13を回転させると、これに伴って第2移動ユニット14が上下方向に回転移動するので、スピーカ7を上下方向に回転させることができ、これによりスピーカ7を上下左右の任意の方向に自由に回転移動させて、スピーカ7の向きを自由に変更することができる。
【0073】
また、このアラーム装置6は、移動機構部8に搭載されたスピーカ7の基準位置を光学的に検出する基準位置検出部28を備えていることにより、基準位置検出部28によってスピーカ7を基準位置に正確に且つ確実に移動させることができ、これによりスピーカ7を基準位置から正確に移動させてスピーカ7の向きを自由に変更することができると共に、スピーカ7の向きをアラーム時刻に起床する特定の人に正確に且つ確実に向けることができる。
【0074】
この場合、基準位置検出部28は、スピーカ7が搭載された第2移動ユニット14に設けられた第1光学部30と、第1移動ユニット12が搭載されるベース部材10に設けられた第2光学部31とを備えていることにより、第2移動ユニット14の第1光学部30とベース部材10の第2光学部31とによってスピーカ7を基準位置に正確に且つ確実に移動させることができ、これによりスピーカ7を基準位置から任意の方向に自由に回転移動させて、スピーカ7の向きを自由に変更させることができる。
【0075】
すなわち、第1光学部30は、センサー基板32上に発光素子33と受光素子34とを設けた構成であり、また第2光学部31は反射面を有する反射部であるので、第1光学部30の発光素子33を発光させながら、移動機構部8の第1移動ユニット12を水平方向に回転移動させると共に、第2移動ユニット14を上下方向に回転移動させることにより、発光素子33の光を第2光学部31が反射し、この反射光を第1光学部30の受光素子34が受光したときに、その受光位置がスピーカ7の基準位置として正確に特定することができる。
【0076】
また、このアラーム装置6では、予め設定された複数のアラーム時刻と、この複数のアラーム時刻のそれぞれに対応するスピーカ7の向きを変更するためのスピーカ7の複数の移動情報とを、複数のアラーム時刻ごとにそれぞれ記憶する記憶部であるRAM41を備えているので、1つの部屋に家族などの複数の人が就眠している際に、その複数の人の各起床時間に応じたアラーム情報をそれぞれ個別に登録することができる。
【0077】
また、このアラーム装置6では、遠隔操作部であるリモコンの操作に応じて送信されたアラーム時刻およびスピーカ7の向きを変更するためのスピーカ7の移動情報を取込むリモコン受信部4を備えているので、リモコン操作の遠隔操作による複数のアラーム時刻やスピーカ7の複数の移動情報をリモコン受信部4によって簡単に且つ容易に受信して取り込むことができ、これにより使い勝手の良いものを提供することができる。
【0078】
さらに、このアラーム装置6では、制御部40が、現在時刻と複数のアラーム時刻のいずれかが一致した際に、記憶部であるRAM41に記憶された現在時刻と一致するアラーム時刻に対応するスピーカ7の移動情報を読み出し、この読み出した移動情報に基づいて第1、第2の各モータ11、13を駆動させて、スピーカ7を現在時刻と一致するアラーム時刻に対応する向きに向け、この状態でスピーカ7からアラーム音を発生させるので、1つの部屋に家族などの複数の人が就眠していても、その複数の人の各起床時間に応じてアラーム音をそれぞれ個別に放音させて、複数の人それぞれに個別にアラーム音を聞かせることができる。
【0079】
(実施形態2)
次に、図12および図13を参照して、この発明を指針式の掛け時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図11に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この掛け時計は、図12に示すように、アラーム装置2の基準位置検出部50が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0080】
すなわち、この基準位置検出部50は、図12に示すように、スピーカ7が搭載された第2移動ユニット14に設けられた第1光学部30と、第1移動ユニット12を搭載するためのベース部材10に設けられた第2光学部51とを備えている。第1光学部30は、実施形態1と同様、センサー基板32上に発光素子33と受光素子34とを設けたセンサーユニットである。
【0081】
第2光学部51は、ベース部材10の上下に貫通して光を透過する透孔であり、実施形態1と同様、ベース部材10の固定軸10aを挟んで第1モータ11と反対側に位置するベース部材10の箇所に設けられている。これにより、基準位置検出部50は、図12において、第2フレーム24に設けられた第1光学部30の発光素子33と受光素子34とがほぼ真上を向いて、ベース部材10に設けられた第2光学部51に対向したときに、発光素子33で発光した光がその上方に位置する第2光学部51の透孔を透過して、受光素子34が反射光を受光しない位置をスピーカ7の基準として検出するように構成されている。
【0082】
すなわち、この基準位置検出部50は、図12において、第2フレーム24に設けられた第1光学部30の発光素子33と受光素子34とがほぼ真上を向いても、ベース部材10に設けられた第2光学部51に対向しないときに、発光素子33で発光した光がその上方に位置するベース部材10で反射され、その反射光を受光素子34が受光し、この状態で第1、第2の各モータ11、13を駆動させて第2フレーム24を上下左右方向に移動させることにより、第1光学部30が第2光学部51に対向したときに、発光素子33で発光した光が第2光学部51の透孔を透過して、受光素子34が反射光を受光しない位置をスピーカ7の基準として検出するように構成されている。
【0083】
この場合、第2光学部51の透孔は、第1光学部30が上方に移動してほぼ真上に位置した状態で、第1光学部30が水平方向に回転移動する軌跡上に位置するペース部材10の箇所に設けられている。このため、基準位置検出部50は、第2モータ13によって第2移動ユニット14が上方に向けて最も回転移動した際に、第1光学部30が真上を向き、この状態で第1モータ11によって第1移動ユニット12を水平方向に回転させることにより、スピーカ7の基準位置を検出するように構成されている。
【0084】
これにより、基準位置におけるスピーカ7の向き、つまり放音部7aから放音されるアラーム音の方向は、実施形態1と同様、時計ケース1の下面から時計ケース1の前方に向けてほぼ水平な方向であり、スピーカ7のアラーム音を部屋内の反対側に位置する壁に向けて放音させるようになっている。
【0085】
次に、このような基準位置検出部50によってスピーカ7の基準位置を検出するイニシャル処理について、図13に示す動作フローを参照して説明する。
このイニシャル処理が開始すると、ステップS50で基準位置検出部50の第1光学部30の発光素子33を発光させ、ステップS51に進み、発光素子33で発光した光の反射光を第1光学部30の受光素子34が受光したか否かを判断する。
【0086】
このステップS51で発光した光の反射光を受光素子34が受光していなければ、第1光学部30が真上を向いてベース部材10に対面していないと判断し、ステップS52に進んで、第2モータ13に駆動パルスを供給して、第2移動ユニット14を上方に向けて回転移動させ、第1光学部30を上方に向けて移動させる。そして、ステップS51に戻り、再び発光素子33で発光した光の反射光を第1光学部30の受光素子34が受光したか否かを判断する。
【0087】
このとき、ステップS51で発光した光の反射光を受光素子34が受光していなければ、第1光学部30が真上を向いてベース部材10に対面するまで、第2モータ13に駆動パルスを供給する。そして、第1光学部30が真上を向いてベース部材10に対面し、この状態で発光した光がベース部材10で反射され、その反射光を受光素子34が受光すると、ステップS53に進み、再び発光素子33で発光した光の反射光を第1光学部30の受光素子34が受光したか否かを判断する。
【0088】
すなわち、このステップS53では、第2光学部51が光を透過する透孔であることにより、発光素子33で発光した光が第2光学部51の透孔を透過して反射されず、受光素子34が反射光を受光しない状態であるか否かを判断する。このステップS53で、受光素子34が光を受光すると、第1光学部30が第2光学部51に対応していないと判断し、ステップS54に進んで、第1モータ11に駆動パルスを供給して第1光学部30を左右方向に移動させる。
【0089】
この後、ステップS53に戻り、発光素子33で発光した光の反射光を受光素子34が受光しなくなるまで、ステップS53〜ステップS54の動作を繰り返す。そして、ステップS53で、発光素子33からの光が反射されず、受光素子34が反射光を受光しなければ、第1光学部30が第2光学部51に対応して、スピーカ7が基準位置にあると判断し、ステップS55に進んで、発光素子33の発光を停止させて、このイニシャル処理を終了し、上述した実施形態1のアラーム処理またはアラーム設定処理に戻る。
【0090】
このように、この実施形態2における掛け時計のアラーム装置6によれば、移動機構部8に搭載されたスピーカ7の基準位置を光学的に検出する基準位置検出部50を備えていることにより、実施形態1と同様、基準位置検出部50によってスピーカ7を基準位置に正確に且つ確実に移動させることができ、これによりスピーカ7を基準位置から正確に移動させてスピーカ7の向きを自由に変更することができると共に、スピーカ7の向きをアラーム時刻に起床する特定の人に正確に且つ確実に向けることができる。
【0091】
この場合、基準位置検出部50は、スピーカ7が搭載された第2移動ユニット14に設けられた第1光学部30と、第1移動ユニット12が搭載されるベース部材10に設けられた第2光学部51とを備えていることにより、第2移動ユニット14の第1光学部30とベース部材10の第2光学部51とによってスピーカ7を基準位置に正確に且つ確実に移動させることができ、これによりスピーカ7を基準位置から任意の方向に自由に回転移動させて、スピーカ7の向きを自由に変更させることができる。
【0092】
すなわち、第1光学部30は、実施形態1と同様、センサー基板32上に発光素子33と受光素子34とを設けた構成であり、また第2光学部51はベース部材10に設けられて光を透過する透孔であるので、第1光学部30の発光素子33を発光させながら、移動機構部8の第2移動ユニット14を上下方向に回転移動させた後に、第1移動ユニット12を水平方向に回転移動させることにより、発光素子33の光が第2光学部51を透過して反射光を第1光学部30の受光素子34が受光しないたときに、その位置をスピーカ7の基準位置として正確に特定することができる。
【0093】
この場合、第2光学部51は、ベース部材10に設けられて光を透過する透孔であり、ベース部材10に上下に貫通する孔を設けるだけで良いので、実施形態1の第2光学部31のように、ベース部材10に反射部を設ける場合に比べて、その構造が簡単で、製作も容易にでき、より一層の低コスト化を図ることができる。
【0094】
なお、上述した実施形態1、2では、基準位置検出部28、50が、移動機能部8の第2移動ユニット14に搭載された第1光学部30と、ベース部材10に搭載された第2光学部31、51とを備え、第1光学部30が発光素子33と受光素子34とを備え、第2光学部31、51が反射部または透孔である場合について述べたが、これに限らず、例えば第1光学部30を発光素子33のみで構成し、第2光学部31、51を受光素子34で構成しても良い。
【0095】
また、上述した実施形態1、2およびその変形例では、指針式の掛け時計に適用した場合について述べたが、必ずしも指針式の掛け時計である必要はなく、例えば目覚まし時計、置き時計などの各種の指針式の時計に適用することができるほか、必ずしも指針式の時計である必要はなく、時刻を表示パネルなどの平面型の表示部に表示するデジタル式の時計にも適用することができる。
【0096】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0097】
(付記)
請求項1に記載の発明は、放音部と、前記放音部の放音方向を変更可能な駆動機構部と、予め設定されたアラーム時刻に、前記駆動機構部を駆動させることにより、前記放音部の放音方向を予め設定された方向に向けるとともに、当該放音部からアラーム音を発生させる指示をする制御部と、を備えていることを特徴とするアラーム装置である。
【0098】
請求項2に記載の発明は、アラーム音を放音する放音部と、前記放音部の放音方向を変更可能な駆動機構部と、アラーム時刻と前記放音部の放音方向とを設定する設定手段と、この設定手段により設定されたアラーム時刻になったら、設定された放音方向に前記駆動機構部の駆動制御により駆動された放音部によりアラーム音を放音させる制御手段と、を備えていることを特徴とするアラーム装置である。
【0099】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のアラーム装置において、前記制御部は、アラーム時刻設定に連動して、前記駆動機構部を駆動させて、前記放音部の放音方向を所定の基準方向から前記予め設定された方向に変更させることにより変更情報を取得し、その後前記放音方向を前記基準方向に戻すように前記駆動機構部を制御するとともに、前記設定されたアラーム時刻及び当該アラーム時刻に対応する変更情報を所定の記憶部に記憶させることを特徴とするアラーム装置である。
【0100】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のアラーム装置において、前記駆動機構部は、ベース部材と、このベース部材に搭載されて第1モータによって水平方向に回転移動する第1移動ユニットと、この第1移動ユニットに搭載されて第2モータによって上下方向に回転移動する第2移動ユニットとを備えており、この第2移動ユニットには、前記放音部が搭載されていることを特徴とするアラーム装置である。
【0101】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のアラーム装置はさらに、前記駆動機構部に搭載された前記基準方向を検出する基準方向検出部を備え、前記基準方向検出部は、前記放音部が搭載された前記第2移動ユニットと、前記第1移動ユニットが搭載される前記ベース部材とが所定の位置関係になったこと検出することを特徴とするアラーム装置である。
【0102】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載のアラーム装置において、前記記憶部は、前記設定されたアラーム時刻及び当該アラーム時刻に対応する変更情報を複数記憶していることを特徴とするアラーム装置である。
【0103】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載のアラーム装置はさらに、外部より送信されたアラーム時刻を取込む受信部を備えていることを特徴とするアラーム装置である。
【0104】
請求項8に記載の発明は、請求項6のいずれかに記載のアラーム装置において、前記制御部は、現在時刻が前記複数のアラーム時刻のいずれかと一致した際に、前記記憶部から前記一致したアラーム時刻に対応する放音部の変更情報を読み出し、この読み出された前記変更情報に基づいて前記第1、第2の各モータを駆動させることにより、前記放音部を前記所定の基準方向から前記変更情報に対応する向きに変更するとともに、当該放音部からアラーム音を発生させることを特徴とするアラーム装置である。
【符号の説明】
【0105】
1 時計ケース
2 指針
3 文字板
4 リモコン受信部
5 表示部
6 アラーム装置
7 スピーカ
7a 放音部
8 移動機構部
10 ベース部材
11 第1モータ
12 第1移動ユニット
13 第2モータ
14 第2移動ユニット
28、50 基準位置検出部
30 第1光学部
31、51 第2光学部
33 発光素子
34 受光素子
40 制御部
41 RAM
42 ROM


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放音部と、
前記放音部の放音方向を変更可能な駆動機構部と、
予め設定されたアラーム時刻に、前記駆動機構部を駆動させることにより、前記放音部の放音方向を予め設定された方向に向けるとともに、当該放音部からアラーム音を発生させる指示をする制御部と、
を備えていることを特徴とするアラーム装置。
【請求項2】
アラーム音を放音する放音部と、
前記放音部の放音方向を変更可能な駆動機構部と、
アラーム時刻と前記放音部の放音方向とを設定する設定手段と、
この設定手段により設定されたアラーム時刻になったら、設定された放音方向に前記駆動機構部の駆動制御により駆動された放音部によりアラーム音を放音させる制御手段と、
を備えていることを特徴とするアラーム装置。
【請求項3】
請求項1記載のアラーム装置において、前記制御部は、アラーム時刻設定に連動して、前記駆動機構部を駆動させて、前記放音部の放音方向を所定の基準方向から前記予め設定された方向に変更させることにより変更情報を取得し、その後前記放音方向を前記基準方向に戻すように前記駆動機構部を制御するとともに、前記設定されたアラーム時刻及び当該アラーム時刻に対応する変更情報を所定の記憶部に記憶させることを特徴とするアラーム装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアラーム装置において、前記駆動機構部は、ベース部材と、このベース部材に搭載されて第1モータによって水平方向に回転移動する第1移動ユニットと、この第1移動ユニットに搭載されて第2モータによって上下方向に回転移動する第2移動ユニットとを備えており、この第2移動ユニットには、前記放音部が搭載されていることを特徴とするアラーム装置。
【請求項5】
請求項3に記載のアラーム装置はさらに、前記駆動機構部に搭載された前記基準方向を検出する基準方向検出部を備え、
前記基準方向検出部は、前記放音部が搭載された前記第2移動ユニットと、前記第1移動ユニットが搭載される前記ベース部材とが所定の位置関係になったこと検出することを特徴とするアラーム装置。
【請求項6】
請求項3に記載のアラーム装置において、前記記憶部は、前記設定されたアラーム時刻及び当該アラーム時刻に対応する変更情報を複数記憶していることを特徴とするアラーム装置。
【請求項7】
請求項3に記載のアラーム装置はさらに、外部より送信されたアラーム時刻を取込む受信部を備えていることを特徴とするアラーム装置。
【請求項8】
請求項6のいずれかに記載のアラーム装置において、前記制御部は、現在時刻が前記複数のアラーム時刻のいずれかと一致した際に、前記記憶部から前記一致したアラーム時刻に対応する放音部の変更情報を読み出し、この読み出された前記変更情報に基づいて前記第1、第2の各モータを駆動させることにより、前記放音部を前記所定の基準方向から前記変更情報に対応する向きに変更するとともに、当該放音部からアラーム音を発生させることを特徴とするアラーム装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−29476(P2013−29476A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167348(P2011−167348)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】