説明

アリールピペリジノプロパノール及びアリールピペラジノプロパノール誘導体の製造中間体の製造方法

【課題】虚血性疾患等に基づく症状の改善及び治療薬として有用なピペラジン系化合物の製造中間体の製法を提供する。
【解決手段】アミノ基と容易に交換しうる基を有するベンゾフェノン誘導体とピペラジン誘導体(好ましくは、ピペラジンの2個の窒素原子のうち、1個の窒素原子のみ保護基を有する。)とを反応させたのち、得られるベンゾフェノン誘導体のカルボニル基を還元してメチレン基とし、該ピペラジン誘導体で保護基を有する場合は、脱保護基を行う下式で示される中間体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚血性細胞障害に基づく疾患、例えば脳梗塞、脳浮腫、脳出血、一過性脳虚血、くも膜下出血、頭部外傷、脳手術後遺症、脳動脈硬化後遺症などの脳血管障害、あるいは異形狭心症、不安定狭心症、心筋梗塞、PTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty(経皮的冠状動脈形成術))/PTCR(percutaneous transluminal coronary revascularization(経皮的冠状動脈血栓溶解法))/CABG(coronary artery bypass grafting (冠状動脈バイパス手術))等による血行再建術に伴う心臓血管系障害、重症不整脈などの心筋虚血再灌流障害、更に臓器移植時の移植臓器障害、手術時の臓器の一時的血流遮断、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症) 、並びにその他の神経変性疾患または痙攣、癲癇、偏頭痛、糖尿病、動脈硬化、炎症性疾患などに由来する症状の改善または治療に有効な新規なアリールピペリジノプロパノール及びアリールピペラジノプロパノール誘導体並びにその薬学的に許容される塩、水和物、含水塩及び溶媒和物の製造中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度の虚血による細胞障害においては、ATP の枯渇、細胞内pHの低下、エネルギー依存性の細胞内外のイオン恒常性の維持機構の破綻により、細胞内への大量の細胞内2価Caイオン(Ca2+ ) 蓄積が発生する。Ca2+の過剰負荷(Ca2+オーバーロード)は、ミトコンドリアの機能障害をきたすと共に種々の酵素反応を無秩序に活性化し、更なるCa2+の過剰負荷を引き起こす(非特許文献1、非特許文献2)。一方、生体内でのエネルギー産生、代謝過程に伴って発生する少量の活性酸素やフリーラジカル、例えばスーパーオキシドアニオンラジカル (O2- ・) 、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル (OH・)及びパーオキシナイトライト (ONOO- ) は、SOD(superoxide dismutase) 、カタラーゼ等の酵素並びにα−トコフェロール等の生体内に摂取された天然の抗酸化剤によって有効に消去されているが、虚血性疾患、神経変性疾患、糖尿病、動脈硬化、炎症性疾患等の病態においては、活性酸素/フリーラジカルが過剰に生成することが知られている。活性酸素/フリーラジカルの過剰生成は、脂質過酸化反応あるいは種々のラジカル反応を通じて細胞膜への不可逆的障害を与え、また、その際、細胞膜中のリン脂質の分解により副産したアラキドン酸が、過酸化過程(アラキドン酸カスケード)を通じて、血管収縮並びに血小板凝集作用を有し血栓形成の成因となるトロンボキサンA2 へ変換され、細胞障害を増悪させる。虚血によって生じる細胞疾患における、以上のCa2+の過剰負荷並びに活性酸素/フリーラジカルの過剰生成の二つの過程は、虚血による細胞障害においては、相互に増悪因子として働き、悪循環として繰り返されることにより、最終的に細胞を死に到達せしめると考えられる(非特許文献3、非特許文献4)。
【0003】
従って、細胞障害性のCa2+過剰負荷抑制作用と共に活性酸素/フリーラジカル消去作用あるいは脂質過酸化抑制作用を併せ持つ薬物は、種々の虚血性疾患、例えば脳梗塞、脳浮腫、脳出血、一過性脳虚血、くも膜下出血、頭部外傷、脳手術後遺症、脳動脈硬化後遺症などの脳血管障害、あるいは異形狭心症、不安定狭心症、心筋梗塞、PTCA / PTCR / CABG等による血行再建術に伴う心臓血管系障害、重症不整脈などの心筋虚血再灌流障害、更に臓器移植時の移植臓器障害、手術時の臓器の一時的血流遮断などの諸症状、種々の神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及びALS 並びに痙攣、癲癇、偏頭痛、並びに糖尿病、動脈硬化、炎症性疾患等の有効な改善、治療薬となると考えられる。
【0004】
Ca2+過剰負荷抑制作用を持つアリールピペリジン及びアリールピペラジン誘導体としては、例えば特許文献1および特許文献2に記載の化合物が知られている。しかしながら、脂質過酸化及びCa2+過剰負荷を抑制する作用を併せ持つ化合物は知られていない。
【0005】
【非特許文献1】F. B. Meyer :Brain Res. Rev., 14, 227 (1989)
【非特許文献2】E. Boddekeら:Trends Pharmacol. Sci., 10, 397 (1989)
【非特許文献3】J. M. McCallら:Ann. Rep. Med. Chem., 27, 31 (1992)
【非特許文献4】C.-M. Andersson ら:Advances in Drug Research, 28, 65 (1996)
【特許文献1】国際公開公報WO 96 /22977
【特許文献2】WO 96 /26924
【発明の開示】
【0006】
従って、本発明は細胞障害性のCa2+過剰負荷並びに脂質過酸化生成の抑制作用を有し、安全性が高く、静注剤などの製剤化に適した虚血性疾患に基づく症状、神経変性疾患並びに痙攣、癲癇、偏頭痛、糖尿病、動脈硬化、炎症性疾患などに由来する症状の改善、治療薬として有効な化合物の製造中間体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、細胞障害性Ca2+過剰負荷の抑制作用と虚血性細胞障害を誘因すると考えられる脂質過酸化生成の抑制作用を指標として合成展開を行い、その結果、一般式(I ):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、R1〜R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアラルキル基を示し、R5は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアラルキル基を示し、E1は酸素原子、硫黄原子または基-NR6(但しR6は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアラルキル基を示す)を示し、E2は酸素原子、硫黄原子または基-NR7(但しR7は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアラルキル基を示す)を示し、A はCH、C(OH) または窒素原子を示し、X は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基または置換されていてもよいアルキル基を示し、Q は置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフェニルメチル基または置換されていてもよいシクロアルキルオキシ基を示すが、E1が酸素原子または硫黄原子を示す場合、E2は酸素原子または硫黄原子を示さない]
で表わされるアリールピペリジノプロパノール及びアリールピペラジノプロパノール誘導体が、Ca2+過剰負荷の発現に関与することが報告されているnon-L 型Ca2+チャンネル及びNa+ チャンネル [P. J. Pauwels ら:Life Science, 48, 1881 (1991)]の阻害作用に加え、強力な脂質過酸化抑制作用を有することを見い出した。更に、種々の薬理試験に於ても有効であり、安全性が高く、製剤化に適していることを確認し、本発明を完成するに到った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
脳循環剤として用いられているフルナリジン [J. P. Pauwels ら:Life Science, 48, 1881 (1991);G. E. Billman :Eur. J. Pharmacol., 212, 231 (1992) ] は、ドパミンD2受容体遮断作用に基づくパーキンソン氏病症状の発現が副作用として使用上の大きな欠点となっているが、本発明の一般式(I)で表される化合物は、フルナリジンの副作用の成因となるドパミンD2受容体に対して極めて低親和性であることもわかった。
【0011】
本発明において、虚血性疾患としては、脳虚血性疾患、例えば脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血、くも膜下出血、頭部外傷、脳手術後遺症、脳動脈硬化後遺症などの脳内の機能性及び器質性疾患、虚血性心疾患、例えば異形狭心症、不安定狭心症、心筋梗塞、PTCA/PTCR/CABG等による血行再建術に伴う心臓血管系障害、重症不整脈などの心筋虚血再灌流障害、更に臓器移植時の移植臓器障害、手術時の臓器の一時的血流遮断が挙げられ、神経変性疾患としては、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病、ALS があげられる。
【0012】
本発明の一般式(I )で表される化合物は、一般式(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物を包含する。
【0013】
一般式(Ia):
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R1〜R5、E1、E2、X 及びQ は前記定義の通りである)
において、R1〜R4で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R1〜R4で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0016】
R1〜R4で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0017】
R5で示される置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0018】
E1の基-NR6及びE2の基-NR7において、R6またはR7で示される、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R6またはR7で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R6またはR7で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0019】
X で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0020】
Q で示される、シクロアルキルオキシ基としては、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基等の炭素数4〜8のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
【0021】
Q で示される、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフェニルメチル基または置換されていてもよいシクロアルキルオキシ基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0022】
一般式(Ib):
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、R1〜R5、E1、E2、X 及びQ は前記定義の通りである)
において、R1〜R4で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R1〜R4で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0025】
R1〜R4で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0026】
R5で示される置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0027】
E1の基-NR6及びE2の基-NR7において、R6またはR7で示される、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R6またはR7で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。 R6 またはR7で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0028】
X で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0029】
Q で示される、シクロアルキルオキシ基としては、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基等の炭素数4〜8のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
【0030】
Q で示される、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフェニルメチル基または置換されていてもよいシクロアルキルオキシ基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0031】
一般式(Ic):
【0032】
【化4】

【0033】
(式中、R1〜R5、E1、E2、X 及びQ は前記定義の通りである)
において、R1〜R4で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R1〜R4で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0034】
R1〜R4で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0035】
R5で示される置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R5で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0036】
E1の基-NR6及びE2の基-NR7において、R6またはR7で示される、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R6またはR7で示される置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数4〜14のアリール基が挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基等が挙げられ、置換されていてもよいアリール基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。R6またはR7で示される置換されていてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、その環上に窒素、酸素等のヘテロ原子を1つまたはそれ以上含んでいてもよい炭素数5〜12のアラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基等が挙げられ、置換されていてもよいアラルキル基の好ましい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0037】
X で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基が挙げられ、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0038】
Q で示される、シクロアルキルオキシ基としては、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基等の炭素数4〜8のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
【0039】
Q で示される、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフェニルメチル基または置換されていてもよいシクロアルキルオキシ基の好ましい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルコキシ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数 1〜5 の分岐していてもよいアルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0040】
一般式(I )で表される化合物のうち、特に好ましい例を列挙すれば以下の通りである。
【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
【化7】

【0044】
(上記式中、R1〜R7及びX は前記定義の通りである)
【0045】
本発明の一般式(I )で表される化合物には異性体が存在するものが含まれるが、本発明においてはこれら全ての個々の異性体及びそれらの混合物を含む。即ち、一般式(I )において、ベンゼン環上の置換基の置換様式の違いによる構造異性体が存在し、また、プロパノール部分の水酸基が結合した炭素原子について2種類の光学異性体が存在する。本発明化合物はこれら全ての組み合わせによる個々の異性体及びそれらの混合物を含む。
【0046】
本発明に関わる一般式(I )で表される化合物は、例えば以下の様にして合成することができる。以下、それらの方法を順次説明する。
【0047】
一般式(I )中、A がC(OH)を示す化合物(Ia)については、次の様にして得ることができる。即ち、公知の出発原料(II)から化合物(III )を得(工程1)、化合物(IV)へ変換することができる(工程2)。化合物(V )と化合物(VIa )又は (VIb )との反応により化合物(VIIa)、(VIIb)または (VIIc) を得(工程3)、化合物(IV)と反応させることにより化合物(Ia)が得られる(工程4)。一般式(I )中、A が CH を示す化合物(Ib)は、化合物(III )より化合物(X )を得(工程5)、化合物(VIIa)または(VIIb)と反応させることにより得られる(工程6)。
【0048】
一般式(I )中、A が窒素原子を示す化合物(Ic)は、化合物(XI)又は (XIII) を化合物(XII )又は (XII') に変換させ、(工程7,8)、続いて化合物(VIIa)または(VIIb)と反応させることにより得られる(工程9)。
【0049】
工程1:
公知の出発原料である(II)から化合物(III )が下記方法により合成できる。
【0050】
【化8】

【0051】
(式中、X 及びQ は前記定義の通りであり、D はベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、 tert-ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基またはアセチル基を表す。)
【0052】
即ち、臭化アリール誘導体(II)を常法により対応するアリールグリニャール試薬またはアリールリチウム試薬に変換後、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン等の反応に関与しない溶媒中、−100 ℃〜50℃、好ましくは−78℃〜室温の温度で 1〜1.5 当量の公知の出発原料N-ベンジル-4- ピペリドン、N-(p- メトキシベンジル)-4-ピペリドン、N-ベンジルオキシカルボニル-4- ピペリドン、N-(p- メトキシベンジルオキシカルボニル)-4-ピペリドン、N-(p- ニトロベンジルオキシカルボニル)-4-ピペリドン、N-tert- ブトキシカルボニル-4- ピペリドン、N-エトキシカルボニル-4- ピペリドン、N-アセチル-4- ピペリドンと 1〜6 時間反応させることにより、一般式(III )で表される化合物が得られる。
【0053】
本反応に用いる出発物質(II)は、公知化合物か、あるいは公知の方法 [ L. Martinら:J. Med. Chem., 22, 1347 (1979);J.-P. Genet ら:Tetrahedron Lett., 37, 3857 (1996);G. Faye Crr ら:J. Med. Chem., 40, 1179 (1997)] で合成できるものである。例えば4-ブロモジフェニルエーテル、4-ブロモフェニルエーテル、4-ブロモ-4'-フルオロジフェニルエーテル、4-ブロモ-3'-フルオロジフェニルエーテル、4-ブロモ-2'-フルオロジフェニルエーテル、4-ブロモジフェニルメタン、4-ブロモ-4'-フルオロジフェニルメタン、4-ブロモ-4'-クロロジフェニルメタン、4-ブロモ-4'-メトキシジフェニルメタン、4-ブロモ-4'-トリフルオロメチルジフェニルメタン、4-ブロモビフェニル、4-ブロモ-2- フルオロビフェニル、4-ブロモ-4'-フルオロビフェニル、4-ブロモ-4'-メトキシビフェニル、4-ブロモ-4'-メチルビフェニル、4-ブロモ-4'-トリフルオロメチルビフェニル、4,4'- ジブロモビフェニル、4-ブロモフェニルシクロペンチルエーテル、4-ブロモフェニルシクロヘキシルエーテル等を用いることができる。
【0054】
また、グリニャール試薬及び有機リチウム試薬を調製する条件としては、「コンペンディウム フォア オーガニックシンセシス(Compendium for Organic Synthesis)」(Wiley-Interscience:A Division of John Wiley & Sons 社)などに記載の多様な方法を利用することができる。
【0055】
上記の反応で得られた化合物は、そのまま次工程に用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーなどにより精製してから利用してもよい。
【0056】
工程2:
工程1で得られた化合物(III )から化合物(IV)が合成できる。
【0057】
【化9】

【0058】
(式中、X 及びQ は前記定義の通りであり、D'はベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基またはp-ニトロベンジルオキシカルボニル基を表す。)
【0059】
工程1で得られた化合物(III )を、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の反応に関与しない溶媒中、触媒量のパラジウム炭素、水酸化パラジウム、白金等の存在下、常圧〜6 気圧で水素添加することにより、一般式(IV)で表される化合物へ変換することができる。また、本反応においては、必要に応じて酢酸、塩酸等の酸を添加してもよい。
【0060】
工程3:
化合物(V )に化合物(VIa )または (VIb )を反応させることにより、化合物(VIIa)、(VIIb)または (VIIc) を合成することができる。
【0061】
【化10】

【0062】
(式中、R1〜R4、E1及びE2は前記定義の通りであり、R8は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、 tert-ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチル基またはホルミル基を表し、L はアミノ基と容易に交換しうる基を表す。)
【0063】
即ち、化合物(V )をベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、 tert-ブチルアルコール、エチレングリコール等の反応に関与しない溶媒中、必要に応じて、トルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基またはナトリウム、水素化ナトリウム、カリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウム tert-ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基の存在下、−20℃〜 150℃、好ましくは 0℃〜 100℃の温度で 1.0〜1.5 当量の化合物(VIa )または (VIb )と撹拌することにより、化合物(VIIa)、(VIIb)または (VIIc) が得られる。また、本反応に於ては、必要に応じて、有機塩基及び無機塩基を複数組み合わせて用いてもよく、また、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化テトラブチルアンモニウム等を添加してもよい。L は、アミノ基と容易に交換しうる脱離基であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基のようなアルキルスルホニルオキシ基またはp-トルエンスルホニルオキシ基、3-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基のようなアリールスルホニルオキシ基等が例示される。
【0064】
本反応に用いられる化合物(V )並びに(VIa )または (VIb )としては、市販または公知の、あるいは公知の方法で合成し得る化合物を用いることができる。化合物(V )としては、例えば、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-フェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)- フェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-フェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-フェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,3,5-トリメチルフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,5-トリメチルフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,5-トリメチルフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,5-トリメチルフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-クロロ-3,5,6- トリメチルフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロ-3,5,6- トリメチルフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロ-3,5,6- トリメチルフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロ-3,5,6- トリメチルフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,3,6-トリメチルフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,6-トリメチルフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,6-トリメチルフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,6-トリメチルフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,3-ジメチルフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3-ジメチルフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3-ジメチルフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3-ジメチルフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,5-ジメチルフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,5-ジメチルフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,5-ジメチルフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,5-ジメチルフェノール、2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4,6-ジメチルフェノール、 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-4,6-ジメチルフェノール、 2-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-4,6-ジメチルフェノール、 2-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-4,6-ジメチルフェノール、5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-メトキシフェノール、 5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2- メトキシフェノール、 5-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-メトキシフェノール、 5-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-メトキシフェノール、5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-クロロ-2- メトキシフェノール、 5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-4-クロロ-2- メトキシフェノール、 5-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-4-クロロ-2- メトキシフェノール、 5-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-4-クロロ-2- メトキシフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,6-ジクロロフェノール、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,6-ジクロロフェノール、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,6-ジクロロフェノール、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,6-ジクロロフェノール、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2,3,4,6-テトラメチルアニリン、 4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,4,6-テトラメチルアニリン、 4-(p-メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,4,6-テトラメチルアニリン、 4-(p-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ)-2,3,4,6-テトラメチルアニリン、4-メトキシ-2- メチルアニリン等が例示され、化合物(VIa )としては、例えば、エピブロモヒドリン、エピクロロヒドリン、(R)-エピクロロヒドリン、(S)-エピクロロヒドリン、グリシジルトシレート、(R)-グリシジルトシレート、(S)-グリシジルトシレート、(R)-グリシジル 3-ニトロベンゼンスルホネート、(S)-グリシジル 3-ニトロベンゼンスルホネート、(R)-グリシジル 4-ニトロベンゾエート、(S)-グリシジル 4-ニトロベンゾエート、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等が例示され、化合物 (VIb )としては、3-ブロモ-1,2- プロパンジオール、3-クロロ-1,2- プロパンジオール、(R)-3-クロロ-1,2- プロパンジオール、(S)-3-クロロ-1,2- プロパンジオール等が例示される。
【0065】
工程4:
工程2で得られた化合物(IV)と工程3で得られた化合物(VIIa)または(VIIb)または (VIIc) を反応させることにより、一般式(I )中、A がC(OH) である化合物(Ia)を合成することができる。
【0066】
【化11】

【0067】
(式中、R1〜R5、R8、E1、E2、X 、Q 及びL は前記定義の通りである)
工程3で得られた化合物(VIIa)または(VIIb)をベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、 tert-ブチルアルコール、エチレングリコール等の反応に関与しない溶媒中、室温〜 200℃、好ましくは50℃〜 150℃の温度で 0.9〜1.5 当量の工程2で得られた化合物(IV)と 1〜24時間反応させることにより、化合物(VIII)が得られる。
【0068】
また、工程3で得られた化合物 (VIIc) を公知の方法 [K.B. Sharplessら:Tetrahedron, 48, 10515 (1992) ;S. Takano ら:Synthesis, 503 (1985); A.K. Ghosh ら:J. Chem. Soc., Chem. Commun., 273 (1992); M.K. Ellisら:Organic Synthesis, Collective
Volume 7, 356 (1990); S.Takanoら:Heterocycles, 16, 381 (1981); A.K.M. Anisuzzamanら:J. Chem. Soc., C, 1021 (1967)]で化合物 (VIIa) または (VIIb) へと導き、続いて化合物 (IV) と同様に反応させることにより、化合物 (VIII) が得られる。
【0069】
また、本反応に於ては、必要に応じて、トルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基または炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基、またはヨウ化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、臭化亜鉛、臭化マグネシウム等の金属塩を単独あるいは複数を組み合わせて添加してもよい。
【0070】
また、R8がベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基またはp-ニトロベンジルオキシカルボニル基を表す化合物(VIII)を水素添加するか、あるいはR8が tert-ブトキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチル基またはホルミル基を表す化合物(VIII)を、塩酸、硫酸、硝酸、臭酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などでの酸処理にて脱保護することにより、一般式(I )中、A がC(OH) である化合物(Ia)を合成することができる。
【0071】
上記の各反応で得られた化合物は、そのまま次工程に用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーなどにより精製してから利用してもよい。
【0072】
また、各反応で得られた化合物を単離することなく工程3と工程4を連続して同一反応用器の中で行うこともできる。
【0073】
工程5:
工程1で得られた化合物(III )で表される化合物から化合物(X )が合成できる。
【0074】
【化12】

【0075】
(式中、X 、Q 及びD は前記定義の通りであり、D'' は水素原子、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基またはp-ニトロベンジルオキシカルボニル基を表す。)
【0076】
工程1で得られた化合物(III )を、無溶媒条件下またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、水、メタノール、エタノール等の反応に関与しない溶媒中、−20℃〜 150℃、好ましくは 0℃〜80℃の温度で 1〜20当量の酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸または塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸と 1〜12時間処理することにより、あるいは化合物(III )をベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の反応に関与しない溶媒中、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、−20℃〜 150℃、好ましくは 0℃〜 100℃の温度で 1〜5 当量の塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、塩化p-トルエンスルホニル、オキシ塩化リン等の酸塩化物誘導体と 1〜6 時間処理することにより、あるいは、上記と同様の塩基処理と酸処理による操作を連続して行うことにより、化合物(IX)が得られる。次いで、化合物(IX)を、工程2と同様の方法にて処理することにより、一般式(X )で表される化合物が得られる。
【0077】
上記の各反応で得られた化合物は、そのまま次工程に用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーなどにより精製してから利用してもよい。
【0078】
工程6:
工程3で得られた化合物(VIIa)、(VIIb)または (VIIc) と工程5で得られた化合物(X )より、工程4と同様の方法で、一般式(I )中、A がCHである化合物(Ib)を合成することができる。
【0079】
【化13】

【0080】
(式中、R1〜R5、E1、E2、X 及びQ は前記定義の通りである。)
【0081】
工程7:
化合物(XI)から、化合物(XII )を合成することができる。
【0082】
【化14】

【0083】
(式中、X 及びQ は前記定義の通りである。)
【0084】
即ち、一般式(XI)で表されるアニリン誘導体を、無溶媒条件下またはn-ブタノール、 tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジグリム、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシド等の反応に関与しない溶媒中、50〜 300℃、好ましくは 150〜 250℃の温度で 1〜1.5 当量の公知のビス-2- クロロエチルアミン塩酸塩と 1〜12時間反応させることにより、一般式(XII )で表される化合物が得られる。
【0085】
本反応に用いる出発物質(XI)は、市販または公知の化合物 [K. Suzuki ら:J. Org. Chem., 26, 2239 (1961)] か、あるいは例えば特公平6-25191 号記載の公知の方法により合成することができる。例えば、4-フェノキシアニリン、4-(4- フルオロフェノキシ) アニリン、4-ベンジルアニリン、4-(4- フルオロフェニル) メチルアニリン、4-(4- メトキシフェニル) メチルアニリン、4-(4- クロロフェニル) メチルアニリン、4-(4- トリフルオロメチルフェニル)メチルアニリン、4-ベンジル-3- メトキシアニリン、4-(4- フルオロフェニル) メチル-3- メトキシアニリン、3-フルオロ-4-(4-フルオロフェニル) メチルアニリン、3-フルオロ-4-(4-メトキシフェニル) メチルアニリン、3-メトキシ-4-(4-メトキシフェニル) メチルアニリン、4-アミノビフェニル等が挙げられる。
【0086】
また、本反応においては、必要に応じて炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基を添加してもよい。
【0087】
上記の反応で得られた化合物は、そのまま次工程に用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーなどにより精製してから利用してもよい。
【0088】
工程8:
化合物(XIII) と化合物 (XIV )から、一般式 (XII )で表される化合物中、Q が置換されていてもよいフェニルメチル基を示す化合物 (XII') を合成することができる。
【0089】
【化15】

【0090】
(式中、L 及びX は前記定義の通りであり、Q'は置換されていてもよいフェニル基を示し、W は水素原子、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、tert- ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基またはアセチル基を表す。)
【0091】
即ち、ベンゾフェノン誘導体 (XIII) を、無溶媒条件下またはメタノール、エタノール、n-ブタノール、tert- ブチルアルコール、アセトニトリル、ニトロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセタミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2- ピロリドン等の反応に関与しない溶媒中、50〜300 ℃の温度で 1〜20当量のピペラジン誘導体 (XIV )と1時間〜20日間反応させることにより化合物 (XV) が得られる。本反応においては、必要に応じて、トルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基またはナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムエトキシド、カリウムtert- ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基、あるいはそれらの複数を組み合わせて添加してもよい。
【0092】
次に化合物 (XV) を工程2と同様の操作にて処理するか、あるいはエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、液体アンモニア、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の反応に関与しない溶媒中、 1〜20当量のナトリウム、トリエチルシラン又はボランで処理することにより化合物 (XII') が得られる。必要に応じて、本反応においては、触媒量の酸、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、硝酸、三フッ化ほう素を添加することができる。また、一般式 (XV) 中、W がエトキシカルボニル基またはアセチル基を表す化合物は、上記の操作に続いて酢酸、酢酸/塩酸、臭化水素酸、硫酸等の酸性水溶液中、50〜200 ℃の温度で1時間〜3日間、攪拌することにより化合物(XII') へ変換することができる。
【0093】
本反応に用いる化合物 (XIII) としては、2,4-ジフルオロベンゾフェノン、2,4'- ジフルオロベンゾフェノン、3,4-ジフルオロベンゾフェノン、4,4'- ジフルオロベンゾフェノン、4-ブロモ-4'-フルオロベンゾフェノン、4-クロロ-4'-フルオロベンゾフェノン、4-フルオロ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-ブロモ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-フルオロ-4'-メチルベンゾフェノン、4-ブロモ-4'-メチルベンゾフェノン等が挙げられ、化合物 (XIV )としては、ピペラジン、1-ベンジルピペラジン、1-(p- メトキシベンジル) ピペラジン、1-ベンジルオキシカルボニルピペラジン、1-(p- メトキシベンジルオキシカルボニル) ピペラジン、1-(p- ニトロベンジルオキシカルボニル) ピペラジン、1-(tert-ブトキシカルボニル) ピペラジン、1-エトキシカルボニルピペラジン、1-アセチルピペラジン等が挙げられる。
【0094】
上記の各反応で得られた化合物は、そのまま次工程に用いることもできるが、必要に応じて一般に用いられる精製方法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーなどにより精製してから利用してもよい。
【0095】
工程9:
工程3で得られた化合物(VIIa)、(VIIb)または (VIIc) と工程7で得られた化合物(XII )あるいは工程8で得られた化合物 (XII') より、工程4と同様の方法で、一般式(I )中、A が窒素原子である化合物(Ic)を合成することができる。
【0096】
【化16】

【0097】
(式中、R1〜R5、E1、E2、X 及びQ は前記定義の通りである。)
【0098】
本発明の一般式(I )で表される化合物に含まれる個々の異性体は、通常の方法、例えば再結晶法、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、或いは光学活性試薬を用いた同様の方法により分割することが可能である。
【0099】
本発明の一般式(I )で表される化合物は、適当な有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert- ブチルアルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン等に溶かし、無機酸または有機酸と処理することにより相当する塩を得ることができる。ここで用いられる無機酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過ヨウ素酸等が、また有機酸としてはギ酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、プロピオン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などがあげられる。
【0100】
この際、化合物 (I )中の塩基性窒素原子の数に応じて、無機酸または有機酸の使用量を1〜3当量の間で増減することにより、1〜3分子の酸より成る塩を選択的に製造することも可能である。
【0101】
得られた塩の粗結晶は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert- ブチルアルコール、エーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、アセトニトリル、酢酸、酢酸エチル等の溶媒あるいはそれらの複数を混合した溶媒から再結晶を行うことにより、精製することができる。この際、塩に対応する無機酸または有機酸を少量添加してもよい。
【0102】
本発明の一般式(I )で表される化合物は、低毒性でありそれ自体単独で使用してもよいが、所望により他の通常の薬学的に許容される公知慣用の担体と共に、虚血性疾患及び神経変性疾患に基づく症状、痙攣、癲癇及び偏頭痛由来の症状並びに糖尿病、動脈硬化、炎症性疾患に起因する症状の改善、治療を目的とする製剤に調製することができる。例えば、有効成分を単独、又は慣用の賦形剤と共にカプセル剤、錠剤、注射剤等の適宜な剤形として、経口的又は非経口的に投与することができる。例えば、カプセル剤は、粉末状の原体を乳糖、澱粉又はその誘導体、セルロース誘導体等の賦形剤と混合してゼラチンカプセルに詰めて調製する。また、錠剤は、上記賦形剤の他にカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、アラビアゴム等の結合剤と水を加えて混練し、必要により顆粒とした後、更にタルク、ステアリン酸等の潤滑剤を添加して通常の圧縮打錠機を用いて調製する。注射による非経口投与に際しては、有効成分を溶解補助剤と共に滅菌蒸留水又は滅菌生理食塩水に溶解し、アンプルに封入して注射用製剤とする。必要により安定化剤、緩衝物質等を含有させてもよい。
【0103】
本発明の医薬の投与量は、種々の要因、例えば治療すべき患者の症状、重症度、年齢、合併症の有無等によって異なり、また投与経路、剤形、投与回数等によっても異なるが、経口投与の場合は、有効成分として、通常、 0.1〜1000mg/日/人、好ましくは 1〜500mg /日/人、非経口投与の場合は、経口投与の場合の 1/100 〜 1/2 量を投与すればよい。これらの投与量は、患者の年齢、症状等により適宜増減することが可能である。
【実施例】
【0104】
以下、参考例及び実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
参考例1:N-tert- ブトキシカルボニル-4-[4-(4- フルオロフェノキシ) フェニル]-4-ピペリジノール(1)(注:表1の化合物番号1(以下同じ))の合成
N-tert- ブトキシカルボニル-4- ピペリドン4.08g の10mlテトラヒドロフラン溶液に、氷冷下、4-ブロモ-4'-フルオロジフェニルエーテルより調製した (4-フルオロフェノキシ) フェニルマグネシウムブロミド(0.6mol/lテトラヒドロフラン溶液)30mlを滴下し、1
時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mlを添加し、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄、乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製することにより標題化合物(1)を2.45g (収率42%)得た。
【0105】
参考例2:N-ベンジル-4-(3-フルオロ-4- フェニル) フェニル-4- ピペリジノール(2)の合成
N-ベンジル-4- ピペリドンと4-ブロモ-2- フルオロビフェニルより、参考例1と同様にして製造した。
【0106】
参考例3:N-tert- ブトキシカルボニル-4-(4-シクロペンチルオキシ) フェニル-4- ピペリジノール(3)の合成
4-ブロモフェノキシシクロペンタンより、参考例1と同様にして製造した。
【0107】
参考例4:4-[4-(4-フルオロフェノキシ) フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(4)の合成
氷冷下、参考例1で合成した化合物(1)2.4gの15ml塩化メチレン溶液にトリフルオロ酢酸5ml を滴下した。室温で一晩攪拌後、10% 水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9〜10に調整し、エーテルにて抽出した。抽出液を乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製することにより標題化合物(4)を1.62g (収率97%)得た。
【0108】
参考例5:4-(4- シクロペンチルオキシ) フェニル-1,2,3,6- テトラヒドロピリジン(5)の合成
参考例3で合成した化合物(3)より、参考例4と同様にして製造した。
【0109】
参考例6:4-(4- シクロペンチルオキシ) フェニルピペリジン(7)の合成
参考例5で合成した化合物(5)より、後記実施例1と同様にして製造した。
【0110】
参考例7:4-(4- フェノキシフェニル)ピペリジンの合成
工程A
N-tert- ブトキシカルボニル-4- ピペリドン3.5gの100ml テトラヒドロフラン溶液に、氷冷下、4-ブロモジフェニルエーテルより調製した4-フェノキシフェニルマグネシウムブロミド(0.6mol/l テトラヒドロフラン溶液)35mlを滴下し、1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mlを添加し、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄、乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製することによりN-tert- ブトキシカルボニル-4-(4-フェノキシフェニル)-4- ピペリジノールを2.92g (収率45%)得た。
【0111】
工程B
氷冷下、工程Aで合成したN-tert- ブトキシカルボニル-4-(4-フェノキシフェニル)-4- ピペリジノール772mg の3ml 塩化メチレン溶液にトリフルオロ酢酸3ml を滴下した。室温で2時間撹拌後、10%水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9 〜10に調整し、エーテルにて抽出した。抽出液を乾燥、濾過後、減圧濃縮して粗結晶を得、エーテル/塩化メチレンから再結晶することにより、4-(4-フェノキシフェニル)-1,2,3,6- テトラヒドロピリジンを250mg (収率47%)得た。
【0112】
工程C
工程Bで合成した4-(4-フェノキシフェニル)-1,2,3,6- テトラヒドロピリジン3.51g の100ml メタノール溶液にパラジウム炭素200mg 及び酢酸1ml を加え、常圧、室温で水素添加した。反応終了後、不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣を塩化メチレンに溶かし、10%水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9〜10に調整後、振盪した。有機層を乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=20:1 )にて精製することにより標題化合物4-(4- フェノキシフェニル)ピペリジンを2.32g (収率66%)得た。
【0113】
参考例8:4-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]ピペリジンの合成
4-ブロモ-4'-フルオロジフェニルメタン2.5gの25mlエーテル溶液に、−78℃でn-ブチルリチウム(1.6mol/l ヘキサン溶液)6.5mlを徐々に滴下した。−20℃まで昇温して1時間撹拌後、N-tert- ブトキシカルボニル-4- ピペリドン1.8gの8ml テトラヒドロフラン溶液を滴下した。 0℃で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液15mlを添加し、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄、乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 4:1 )にて精製することによりN-tert- ブトキシカルボニル-4- [4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]-4- ピペリジノールを2.69g (収率77%)得た。
【0114】
得られたN-tert- ブトキシカルボニル-4- [4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]-4- ピペリジノールより、参考例7の工程Bと同様にして、4-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]-1,2,3,6- テトラヒドロピリジンを製造した。
【0115】
得られた4-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]-1,2,3,6- テトラヒドロピリジンより、参考例7 の工程Cと同様にして標題化合物4-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]ピペリジンを製造した。
【0116】
参考例9:1-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル]ピペラジンの合成
4,4'- ジフルオロベンゾフェノン426mg とピペラジン841mg の10mlアセトニトリル溶液にトリエチルアミン395mg を加え、 100℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、クロロホルムにて抽出した。抽出液を乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、5mlトリフルオロ酢酸、520mg トリエチルシラン及び濃硫酸60mgを加えて室温で1時間攪拌した。反応液を10%水酸化ナトリウム水溶液でpH=9〜11に調整後、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:水(2%酢酸)=65:35:5)にて精製することにより標題化合物1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンを305mg (収率58%)得た。
【0117】
例1:4-[(4-フルオロフェノキシ) フェニル] ピペリジン(6)の合成
参考例4で合成した化合物(4)1.25g の100ml メタノール溶液にパラジウム炭素200mg 及び酢酸1ml を加え、常圧、室温で水素添加した。反応終了後、不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=10:1)にて精製することにより標題化合物(6)を1.17g (収率93%)得た。
【0118】
例2:4-(3- フルオロ-4- フェニル) フェニル-4- ピペリジノール(8)の合成
参考例2で合成した化合物(2)1.39g の50mlメタノール溶液に水酸化パラジウム280mg を加え、室温、5 気圧で水素添加した。反応終了後、不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=10:1)にて精製することにより標題化合物(8)を710mg (収率 68%) 得た。
【0119】
例3:(2S)-1-[4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ) フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(9)の合成
水素化ナトリウム60mgの8ml ジメチルホルムアミド懸濁液に、氷冷下、4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ) フェノール300mg を加え、室温で1 時間攪拌した。氷冷下、(S)-グリシジル 3-ニトロベンゼンスルホナート372mg を徐々に加え、室温で2 時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液5ml を添加し、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄、乾燥、濾過後、減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製することにより標題化合物(9)を315mg (収率83%)得た。
【0120】
例4:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5- トリメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(10)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5- トリメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0121】
例5:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,5- ジメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(11)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,5- ジメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0122】
例6:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3- ジメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(12)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3- ジメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0123】
例7:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,6- トリメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(13)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,6- トリメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0124】
例8:(2S)-1-[(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- メトキシ)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(14)の合成
(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- メトキシ)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0125】
例9:(2S)-1-[(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4,6- ジメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(15)の合成
(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4,6- ジメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0126】
例10:(2S)-1-[(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4- クロロ-2- メトキシ)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(16)の合成
(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4- クロロ-2- メトキシ)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0127】
例11:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,6- ジクロロ)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(17)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,6- ジクロロ)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0128】
例12:(2S)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- クロロ-3,5,6- トリメチル)フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(18)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- クロロ-3,5,6- トリメチル)フェノールより、例3と同様にして製造した。
【0129】
例13:(2R)-1-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(19)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5- トリメチル) フェノールと(R)-グリシジル 3-ニトロベンゼンスルホナートより、例3と同様にして製造した。
【0130】
例14:(2R)-1-[(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-2,3-エポキシプロパン(20)の合成
(5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2- メトキシ) フェノールと(R)-グリシジル 3-ニトロベンゼンスルホナートより、例3と同様にして製造した。
【0131】
例15:1-クロロ-3-[(4- メトキシ-2- メチル)フェニル] アミノ-2- プロパノール(21)の合成
4-メトキシ-2- メチルアニリン300mg とエピクロロヒドリン213mg の5ml イソプロピルアルコール溶液を80℃で一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:ヘキサン:酢酸エチル=10:2:1)にて精製することにより標題化合物(21)を315mg (収率 63%) 得た。
【0132】
例16:(2R)-1- クロロ-3-[(4- メトキシ-2- メチル)フェニル] アミノ-2- プロパノール(22)の合成
(R)-エピクロロヒドリンより、例15と同様にして製造した。
【0133】
例17:(2S)-1- クロロ-3-[(4- メトキシ-2- メチル)フェニル] アミノ-2- プロパノール(23)の合成
(S)-エピクロロヒドリンより、例15と同様にして製造した。
【0134】
例18:1-クロロ-3-[(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5,6- テトラメチル)フェニル] アミノ-2- プロパノール(24)の合成
(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2,3,5,6- テトラメチル)アニリンとエピクロロヒドリンより、例15と同様にして製造した。
【0135】
例19:(2S)-1-(4-アミノフェノキシ)-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(25)の合成
例3で合成した化合物(9)300mg と参考例7で合成した4-(4- フェノキシフェニル) ピペリジン287mg の8ml イソプロピルアルコール溶液を100 ℃で2 時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して残渣を得、氷冷下、5ml 塩酸飽和エタノールと2ml トリフルオロ酢酸を加えた。室温で1 時間攪拌後、溶媒を減圧濃縮して粗結晶を得、再結晶にて精製することにより標題化合物(25)の塩酸塩を156mg (収率82%)得た。
【0136】
例20:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(26)の合成
例4で合成した化合物(10)より、例19と同様にして製造した。
【0137】
例21:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(27)の合成
例4で合成した化合物(10)と参考例8で合成した4-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例19と同様にして製造した。
【0138】
例22:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(28)の合成
例4で合成した化合物(10)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0139】
例23:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェノキシ) フェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(29)の合成
例1で合成した化合物(6)と例4で合成した化合物(10)より、例19と同様にして製造した。
【0140】
例24:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(3-フルオロ-4- フェニルフェニル)-4-ヒドロキシピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(30)の合成
例2で合成した化合物(8)と例4で合成した化合物(10)より、例19と同様にして製造した。
【0141】
例25:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-シクロペンチルオキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(31)の合成
参考例6で合成した化合物(7)と例4で合成した化合物(10)より、例19と同様にして製造した。
【0142】
例26:(2S)-1-[(4- アミノ-2,5- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(32)の合成
例5で合成した化合物(11)より、例19と同様にして製造した。
【0143】
例27:(2S)-1-[(4- アミノ-2,5- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(33)の合成
例5で合成した化合物(11)と参考例8で合成した4-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例19と同様にして製造した。
【0144】
例28:(2S)-1-[(4- アミノ-2,5- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(34)の合成
例5で合成した化合物(11)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0145】
例29:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(35)の合成
例6で合成した化合物(12)より、例19と同様にして製造した。
【0146】
例30:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(36)の合成
例6で合成した化合物(12)と参考例8で合成した4-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例19と同様にして製造した。
【0147】
例31:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(37)の合成
例6で合成した化合物(12)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0148】
例32:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,6- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(38)の合成
例7で合成した化合物(13)より、例19と同様にして製造した。
【0149】
例33:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,6- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェノキシ) フェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(39)の合成
例1で合成した化合物(6)と例7で合成した化合物(13)より、例19と同様にして製造した。
【0150】
例34:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,6- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(40)の合成
例7で合成した化合物(13)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0151】
例35:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(41)の合成
例8で合成した化合物(14)より、例19と同様にして製造した。
【0152】
例36:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェノキシ) フェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(42)の合成
例1で合成した化合物(6)と例8で合成した化合物(14)より、例19と同様にして製造した。
【0153】
例37:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(43)の合成
例8で合成した化合物(14)と参考例8で合成した 4-[4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例19と同様にして製造した。
【0154】
例38:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(44)の合成
例8で合成した化合物(14)と参考例9で合成した 1-[4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0155】
例39:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-シクロペンチルオキシフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(45)の合成
参考例6で合成した化合物(7)と例8で合成した化合物(14)より、例19と同様にして製造した。
【0156】
例40:(2S)-1-[(2- アミノ-4,6- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(46)の合成
例9で合成した化合物(15)より、例19と同様にして製造した。
【0157】
例41:(2S)-1-[(2- アミノ-4,6- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(47)の合成
例9で合成した化合物(15)と参考例8で合成した4-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例19と同様にして製造した。
【0158】
例42:(2S)-1-[(2- アミノ-4,6- ジメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(48)の合成
例9で合成した化合物(15)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
例43:(2S)-1-[(5- アミノ-4- クロロ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(49)の合成
例10で合成した化合物(16)より、例19と同様にして製造した。
【0159】
例44:(2S)-1-[(5- アミノ-4- クロロ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(50)の合成
例10で合成した化合物(16)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0160】
例45:(2S)-1-[(4- アミノ-2,6- ジクロロ) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(51)の合成
例11で合成した化合物(17)より、例19と同様にして製造した。
【0161】
例46:(2S)-1-[(4- アミノ-2,6- ジクロロ) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(52)の合成
例11で合成した化合物(17)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0162】
例47:1-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-3-[(4-メトキシ-2- メチル) フェニルアミノ]-2-プロパノール(53)の合成
例15で合成した化合物(21)91mg、参考例7で合成した4-(4- フェノキシフェニル) ピペリジン100mg 及び炭酸カリウム109mg の4ml イソプロピルアルコール懸濁液を80℃で3 時間攪拌した。不溶物を濾過して除き、濾液を減圧濃縮して残渣を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=30:1)にて精製することにより 標題化合物(53)を146mg (収率84%)得た。
例48:1-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペリジン-1- イル]-3-[(4-メトキシ-2- メチル) フェニルアミノ]-2-プロパノール(54)の合成
参考例8で合成した4-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペリジンより、例47と同様にして製造した。
【0163】
例49:1-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-3-[(4-メトキシ-2- メチル) フェニルアミノ]-2-プロパノール(55)の合成
参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジンより、例47と同様にして製造した。
【0164】
例50:(2R)-1-[4-(4- フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-3-[(4-メトキシ-2- メチル) フェニルアミノ]-2-プロパノール(56)の合成
例16で合成した化合物(22)より、例47と同様にして製造した。
【0165】
例51:(2S)-1-[4-(4- フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-3-[(4-メトキシ-2- メチル) フェニルアミノ]-2-プロパノール(57)の合成
例17で合成した化合物(23)より、例47と同様にして製造した。
【0166】
例52:3-[(4-アミノ-2,3,5,6- テトラメチル) フェニルアミノ]-1-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(58)の合成
例18で合成した化合物(24)より、例19と同様にして製造した。
【0167】
例53:(2S)-1-[(4- アミノ-2- クロロ-3,5,6- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(59)の合成
例12で合成した化合物(18)より、例19と同様にして製造した。
【0168】
例54:(2R)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル)メチルフェニル)ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール(60)の合成
例13で合成した化合物(19)と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル)メチルフェニル] ピペラジンより、例19と同様にして製造した。
【0169】
例55:(2R)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ)フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル)ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール(61)の合成
例14で合成した化合物(20)より、例19と同様にして製造した。
【0170】
例56:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール 2メタンスルホン酸塩(62)の合成
例3で合成した化合物(10)480mg と参考例9で合成した1-[4-(4-フルオロフェニル) メチルフェニル] ピペラジン432mg の10mlイソプロピルアルコール溶液を 100℃で2時間攪拌した。反応液に0.65ml濃塩酸を添加し、1時間加熱環流後、10%水酸化ナトリウム水溶液にてpH=8〜10に調整し、酢酸エチルにて遊離アミン体を抽出した。溶媒を減圧濃縮して残渣を得、常法により2当量のメタンスルホン酸306mg にて処理した。得られた粗結晶を再結晶にて精製することにより標題化合物(62)を940mg (収率88%)得た。
【0171】
例57:(2S)-1-[(5- アミノ-2- メトキシ) フェノキシ]-3-[4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジン-1- イル]-2-プロパノール p-トルエンスルホン酸塩 (63)の合成
例8で合成した化合物(14)と参考例7で合成した4-(4-フェノキシフェニル) ピペリジンより、例56と同様にして遊離アミン体を得、常法により1当量のp-トルエンスルホン酸で処理することにより製造した。
【0172】
例58:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール 2塩酸塩(64)の合成
例56と同様にして遊離アミン体を得、常法により2当量の塩酸で処理することにより製造した。
【0173】
例59:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノール 1/2 スルホン酸塩(65)の合成
例56と同様にして対応する遊離アミン体を 1/2 当量の硫酸で処理することによって上記化合物を合成した。
【0174】
例60:(2S)-1-[(4- アミノ-2,3,5- トリメチル) フェノキシ]-3-[4-(4-(4- フルオロフェニル) メチルフェニル) ピペラジン-1- イル]-2-プロパノールスルホン酸塩(66)の合成
例56と同様にして対応する遊離アミン体を1当量の硫酸で処理することによって上記化合物を合成した。
【0175】
参考例及び各例で得た化合物の物性データを表1に示す。
【0176】
【表1】

【0177】
【表2】

【0178】
【表3】

【0179】
【表4】

【0180】
【表5】

【0181】
【表6】

【0182】
【表7】

【0183】
【表8】

【0184】
【表9】

【0185】
【表10】

【0186】
【表11】

【0187】
【表12】

【0188】
【表13】

【0189】
【表14】

【0190】
【表15】

【0191】
【表16】

【0192】
【表17】

【0193】
【表18】

【0194】
ベラトリジン誘発ナトリウムチャネル活性化阻害作用
Aiuchiらの方法 [T. Aiuchi ら:Biochimi. Biophys. Acta, 771, 228 (1984)] に準じ、Wistar系ラット(雄、10〜12週齢)大脳皮質より作製したシナプトゾームの膜電位を膜感受性蛍光色素、ローダミン6G を用いて測定し、ベラトリジン誘発脱分極応答に対する化合物の抑制効果を評価した。結果を表IIに示す。
【0195】
【表19】

【0196】
【表20】

【0197】
T 型カルシウムチャネル阻害作用
Takahashi らの方法 [K. Takahashiら:J. Pharmacol. Exp. Ther., 256, 169 (1991)]に準じ、Wistar系ラット(雌、1週齢)より海馬CA1 錐体細胞を急性単離し、ホールセル変法によるパッチクランプ法を用いて膜電位固定下のT 型カルシウム電流を記録した。化合物の効果は、コンセントレーションクランプ法を用いて適用1分後のピーク電流の抑制率から評価した。結果を表III に示す。
【0198】
【表21】

【0199】
脂質過酸化抑制作用
Wistar系ラット (10週齡、雄性)より全脳を摘出し10倍量の50mMリン酸バッファー溶液 (pH7.4) (以下PBS)を加えホモジナイズし、遠心上清をPBS でさらに4 倍希釈したものを脳膜標本として用いた。この膜標本をvehicle (0.5% DMSO) あるいは化合物存在下で37℃、30分間インキュベートし自動酸化反応を進行させた。35% 過塩素酸で反応を停止させた後、遠心上清に存在する過酸化脂質の主要分解物であるmalonaldehyde 及び4-hydroxyalkenals の合計量をBIOXYTECH (R) /LPO-586 TM過酸化脂質比色定量キット (OXIS International, Inc.) を用いて測定し、脂質過酸化の指標とした。化合物存在下でのこれらアルデヒド類の産生抑制濃度曲線よりIC50値を求めた。
【0200】
結果を表IVに示す。
【0201】
【表22】

【0202】
ドパミンD2受容体遮断作用
Wister系雄性ラット(6週齡)の線条体より調製した膜画分57μlを化合物及び1.0nM [3H]ラクロプライドと共に緩衝液中、25℃で1時間インキュベーションした。GF/Cグラスフィルター(0.1%ポリエチレンイミン処理)を用いてB/F分離を行い、ベータプレートより放射活性を測定し、化合物の効果を評価した。
【0203】
結果を表Vに示す。
【0204】
【表23】

【0205】
聴原性痙攣抑制作用
Sarro らの方法 [G. B. De Sarroら:Br. J. Pharmacol., 93, 247 (1988)]に準じて化合物の聴源性痙攣抑制作用を評価した。即ち、DBA/2N系マウス(雄、3週齢)に10% 2-ヒドロキシプロピル- β- シクロデキストリンに溶解した化合物を腹腔内投与し、20分後、超音波洗浄器を用いて90dB以上の音刺激を1分間与えた際に生じるwild runninng (WR)、間代性痙攣(clonus)、強直性痙攣 (tonus)、呼吸停止(RA)を観察した。痙攣抑制作用は、0 = no response、1 = WR、2 = clonus、3 = tonus 、4 = RAとして求めた痙攣スコアーの平均値の抑制率から評価した。結果を表VIに示す。
【0206】
【表24】

【0207】
【表25】

【0208】
急性毒性試験
ddY 系マウス(雄、6週齢)に薬物を静脈内投与し、投与後24時間までの死亡率から、常法により急性毒性の50%致死量LD50を算出した。
結果を表VII に示す。
【0209】
【表26】

【産業上の利用可能性】
【0210】
前述の如く、本発明に係る式(I )によって表わされるアリールピペラジノプロパノール及びアリールピペラジノプロパノール誘導体は細胞障害性のCa2+の過剰負荷及び脂質過酸化生成を抑制する効果を有し、安全性が高く、虚血性疾患の改善又は治療用の薬剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(XII') :
【化1】

(式中、Q'は置換されていてもよいフェニル基を示し、そしてX は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基または置換されていてもよいアルキル基を表す)
で表わされる化合物を製造する方法であって、
一般式 (XIII):
【化2】

(式中、Q'及びX は前記定義の通りであり、そしてL はアミノ基で容易に交換しうる基を表す)
で表わされるベンゾフェノン誘導体を一般式 (XIV ):
【化3】

(式中、W は水素原子、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、tert- ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基又はアセチル基を表す)
で表わされるピペラジン誘導体と反応させて一般式 (XV) :
【化4】

(式中、Q', W 及びX は前記定義の通りである)
で表わされる化合物を得、そして続いて一般式 (XV) で表わされる化合物を還元及び脱保護する方法。

【公開番号】特開2008−1712(P2008−1712A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211113(P2007−211113)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【分割の表示】特願平11−525931の分割
【原出願日】平成10年10月30日(1998.10.30)
【出願人】(503062312)アスビオファーマ株式会社 (25)