説明

アルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法

【課題】新たな工程数を増やすことなく、活物質利用率が向上したアルカリ蓄電池用カドミウム負極を得ることができるの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のアルカリ蓄電池用カドミウム負極11の製造方法は、酸化カドミウムを主体とするカドミウム活物質と有機高分子糊料とを含有する活物質ペーストを電極基板11aに塗布して形成するようにしている。この場合、予備充電活物質となる金属カドミウムと有機高分子糊料とを主体とするカドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加する添加工程と、ピロリン酸銅(Cu227)が添加されたカドミウム糊料と主活物質となる酸化カドミウム(CdO)とを混練して活物質ペーストを調製する活物質ペースト調製工程と、活物質ペーストを導電性芯体からなる電極基板11aに塗布して活物質塗布層11bを形成する活物質塗布工程とを備えるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも酸化カドミウムを主体とするカドミウム活物質と有機高分子糊料とを含有する活物質ペーストを電極基板に塗布して形成するアルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニッケル−カドミウム蓄電池に用いられるカドミウム負極には焼結式負極と非焼結式負極とがある。焼結式負極はニッケル粉末を焼結して形成したニッケル焼結基板に水酸化カドミウム(Cd(OH)2)を主体とするカドミウム活物質を充填して作製されるものである。一方、非焼結式負極は酸化カドミウム(CdO)を主体とするカドミウム活物質と有機高分子糊料や合成繊維等とを混練して活物質ペーストを調製し、この活物質ペーストをパンチングメタル等の導電性芯体(電極基板)に塗布して作製されるものである。
【0003】
近年、電動工具等のコードレス機器においてニッケル−カドミウム蓄電池が使用されているが、それら機器の小型化・高出力化の流れを受け、ニッケル−カドミウム蓄電池に対して高容量化、高充填密度化が要請されている。そこで、ニッケル正極、カドミウム負極の特性を向上させるための開発が種々行われてきた。
【0004】
その一つとして、充電効率を向上させて活物質利用率を高めるための種々の提案がなされるようになった。例えば、特許文献1(特開平2−30066号公報)においては、カドミウム負極に酸化銅(CuO)を固形添加することにより、カドミウム負極の充電効率を向上させることが提案されている。
【0005】
また、特許文献2(特開昭63−308872号公報)においては、カドミウム負極を硫酸銅(CuSO4)溶液などの銅塩溶液に浸漬し、それをアルカリ電解液中で陰電解して予備放電を行うとともに、銅塩の一部あるいは全部を金属銅に変換することにより、カドミウム負極に金属銅の導電性マトリックスを形成する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平2−30065号公報
【特許文献2】特開昭63−308872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1にて提案されたカドミウム負極にあっては、酸化銅(CuO)は固形添加であるため、カドミウム活物質中に酸化銅(CuO)が均一に分散しがたく、導電性が充分に向上しないことが明らかになった。このため、活物質利用率が十分に向上しないという問題を生じた。
【0007】
また、上述した特許文献2にて提案された方法においては、カドミウム負極を作製した後、銅塩溶液に浸漬し、陰電解を行った後、水洗・乾燥を行うという新たな複数の工程が増えることとなる。このため、工程数の増加に伴い、製造効率が低下するという新たな問題が生じた。また、上述した特許文献2にて提案された方法においては、銅塩溶液に浸漬する代わりに、活物質中に予め硫酸銅(CuSO4)粉末を混合して用いることも開示されている。
ところが、溶媒に水を用いた場合、硫酸銅(CuSO4)粉末を活物質となる酸化カドミウム(CdO)に対して銅の質量換算で3質量%以上添加すると、ペースト混練時にペーストが固化し、ペースト混練工程やペーストの塗布工程でハンドリング性が悪化するという問題も生じた。
【0008】
そこで、本発明においては上記の如き問題点を解決するためになされたものであって、新たな工程数を増やすことなく、活物質利用率が向上したアルカリ蓄電池用カドミウム負極を得ることができる製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法は、少なくとも酸化カドミウムを主体とするカドミウム活物質と有機高分子糊料とを含有する活物質ペーストを電極基板に塗布して形成するようにしている。そして、上記の如き目的を達成するため、予備充電活物質となる金属カドミウムと有機高分子糊料とを主体とするカドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加するピロリン酸銅添加工程と、ピロリン酸銅(Cu227)が添加されたカドミウム糊料と主活物質となる酸化カドミウム(CdO)とを混練して活物質ペーストを調製する活物質ペースト調製工程と、活物質ペーストを導電性芯体からなる電極基板に塗布して活物質塗布層を形成する活物質塗布工程とを備えるようにしている。
【0010】
ここで、カドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加すると、ピロリン酸銅(Cu227)は糊料中に溶解されて極めて均一に分散することとなる。そして、ピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散した糊料を主活物質となる酸化カドミウム(CdO)に混合し、混練すると、ピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散した活物質ペーストを得ることができる。この場合、ピロリン酸銅(Cu227)として銅を添加すると、銅の質量換算で3質量%以上を添加しても、活物質ペーストの混練中にペーストの固化が起こらず、次工程でのハンドリング性を向上させることが可能となる。
【0011】
そして、このようにして作製された活物質ペーストを導電性芯体からなる電極基板に塗布すると、活物質層中にピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散したカドミウム負極を得ることが可能となる。これにより、電池組立後の充電の際に緻密な銅の導電性ネットワークを形成させることが可能となる。この結果、新たな工程を増加させることなく、活物質ペーストの混練中にペーストの固化が起こらず、かつ、次工程でのハンドリング性が良好で、活物質利用率が向上したカドミウム負極を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、活物質層中にピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散したカドミウム負極を得ることができるので、電池組立後の充電の際に緻密な銅の導電性ネットワークを形成させることが可能となる。これにより、新たな工程を増加させることなく、活物質ペーストの混練中にペーストの固化が起こらず、かつ、次工程でのハンドリング性が良好で、活物質利用率が向上したカドミウム負極を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ついで、本発明のアルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法の一実施の形態を以下に説明するが、本発明は以下の実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は本発明のニッケル−カドミウム蓄電池を模式的に示す断面図である。
【0014】
1.カドミウム活物質ペースト
(1)活物質ペーストa
予備充電活物質となる金属カドミウム20質量部と、有機高分子糊料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなど)1質量部と、ナイロン繊維1質量部と、水和防止剤としてリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)1質量部と、水30質量部とからなるカドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を銅の質量換算で3質量部添加し、ピロリン酸銅(Cu227)をカドミウム糊料中に溶解させた。この後、主活物質となる酸化カドミウム80質量部に、上述したピロリン酸銅(Cu227)が溶解されたカドミウム糊料を混練して活物質ペーストを調製し、これを活物質ペーストaとした。
【0015】
(2)活物質ペーストb
予備充電活物質となる金属カドミウム20質量部と、有機高分子糊料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなど)1質量部と、ナイロン繊維1質量部と、水和防止剤としてリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)1質量部と、水30質量部とからなるカドミウム糊料を調製した。この後、主活物質となる酸化カドミウム80質量部に、上述したカドミウム糊料を混練してカドミウム活物質ペーストを調製し、これを活物質ペーストbとした。
【0016】
(3)活物質ペーストc
予備充電活物質となる金属カドミウム20質量部と、有機高分子糊料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなど)1質量部と、ナイロン繊維1質量部と、水和防止剤としてリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)1質量部と、水30質量部とからなるカドミウム糊料を調製した。この後、主活物質となる酸化カドミウム80質量部と、酸化銅(CuO)を銅の質量換算で3質量部と、上述したカドミウム糊料を混練してカドミウム活物質ペーストを調製し、これを活物質ペーストcとした。
【0017】
(4)活物質ペーストd
予備充電活物質となる金属カドミウム20質量部と、有機高分子糊料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなど)1質量部と、ナイロン繊維1質量部と、水和防止剤としてリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)1質量部と、水30質量部とからなるカドミウム糊料中に硫酸銅(CuSO4)を銅の質量換算で3質量部添加し、硫酸銅(CuSO4)をカドミウム糊料中に溶解させた。この後、主活物質となる酸化カドミウム80質量部に、上述した硫酸銅(CuSO4)が溶解されたカドミウム糊料を混練してカドミウム活物質ペーストを調製し、これを活物質ペーストdとした。
【0018】
(5)活物質ペーストe
予備充電活物質となる金属カドミウム20質量部と、有機高分子糊料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなど)1質量部と、ナイロン繊維1質量部と、水和防止剤としてリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)1質量部と、水30質量部とからなるカドミウム糊料中に酢酸銅(Cu(CH3COO)2)を銅の質量換算で3質量部添加し、酢酸銅(Cu(CH3COO)2)をカドミウム糊料中に溶解させた。この後、主活物質となる酸化カドミウム80質量部に、上述した酢酸銅(Cu(CH3COO)2)が溶解されたカドミウム糊料を混練してカドミウム活物質ペーストを調製し、これを活物質ペーストeとした。
【0019】
(6)活物質ペーストの粘度の測定
ついで、得られた活物質ペーストa〜eの粘度(Pa・s)の測定を行うと、下記の表1に示すような結果が得られた。なお、下記の表1において、測定不能は粘度が800Pa・s以上で、活物質ペーストが固化していることを示している。
【表1】

【0020】
上記表1の結果から明らかなように、カドミウム糊料中に硫酸銅(CuSO4)を添加した活物質ペーストd、およびカドミウム糊料中に酢酸銅(Cu(CH3COO)2)を添加した活物質ペーストeは、ペースト粘度が800Pa・s以上(測定不能)で、固化していることが分かった。
【0021】
一方、カドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加した活物質ペーストaにおいては、ペースト粘度が300Pa・sで、混練および芯体への塗布工程でのハンドリング性に問題のないペースト性状であることが分かった。また、銅化合物が無添加の活物質ペーストb、およびカドミウム糊料中ではなく、活物質ペースト中に酸化銅(CuO)の粉末を添加した活物質ペーストcについても、ペースト粘度がそれぞれ220Pa・sおよび250Pa・sで、混練および芯体への塗布工程でのハンドリング性に問題のないペースト性状であることが分かった。
【0022】
2.カドミウム負極
そこで、混練および芯体への塗布工程でのハンドリング性に問題のないペースト性状である活物質ペーストa,b,cを用いて、以下のようにしてカドミウム負極A,B,Cをそれぞれ作製した。この場合、まず、パンチングメタルよりなる導電性芯体(電極基板)11aを用意する。そして、この導電性芯体(電極基板)11aの両面に活物質ペーストa,b,cをそれぞれ塗布した後、乾燥させて導電性芯体(電極基板)11aの両面に活物質層11bを形成させた。その後、所定の厚みに圧延し、所定の寸法になるように切断して、カドミウム負極A,B,Cをそれぞれ作製した。なお、活物質ペーストaを用いたものをカドミウム負極Aとし、活物質ペーストbを用いたものをカドミウム負極Bとし、活物質ペーストcを用いたものをカドミウム負極Cとした。
【0023】
3.ニッケル−カドミウム蓄電池簡易セル
ついで、上述のようにして作製したカドミウム負極A,B,Cを用いて、以下のようにしてニッケル−カドミウム蓄電池簡易セルを作製した。この場合、上述したカドミウム負極A,B,Cの表面積に対して十分大きな表面積を有するニッケル正極を用い、これらのカドミウム負極A,B,Cとニッケル正極とがそれぞれ対向するように、各簡易セル容器内にカドミウム負極A,B,Cとニッケル正極とを配設した。そして、これらの各簡易セル容器内に比重が1.2の水酸化カリウム(KOH)水溶液を注液してニッケル−カドミウム蓄電池簡易セルをそれぞれ作製した。
【0024】
ついで、上述のように作製した各ニッケル−カドミウム蓄電池簡易セルを用いて、25℃の温度雰囲気で、0.3Itの充電々流で16時間充電した後、2/3Itの放電々流で簡易セルの電圧が0.8Vになるまで放電させた。そして、このときの放電時間から各簡易セルの放電容量(W2)を求めた。ついで、各カドミウム負極A,B,Cの理論容量(W1)に対する得られた放電容量(W2)の比率を活物質利用率W(%)(W=(W2/W1)×100)として求めると、下記の表2に示すような結果となった。
【表2】

【0025】
上記表2の結果から以下のことが明らかになった。即ち、ピロリン酸銅の溶解や酸化銅添加の無いカドミウム負極Bを用いたセルの活物質利用率は71.9%と低いことが分かる。これに対して、活物質ペースト中に酸化銅(CuO)の粉末を添加した活物質ペーストcにより形成されたカドミウム負極Cを用いたセルの活物質利用率は77.3%で、無添加のカドミウム負極Bを用いたセルよりも向上していることが分かる。
さらに、カドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加して調製された活物質ペーストaにより形成されたカドミウム負極Aを用いたセルの活物質利用率は79.7%で、酸化銅(CuO)の粉末を添加した活物質ペーストcにより形成されたカドミウム負極Cを用いたセルよりもさらに向上していることが分かる。
【0026】
これは、ピロリン酸銅(Cu227)の溶解や酸化銅(CuO)の添加が無いことにより、カドミウム負極B中での導電性が劣るために、活物質利用率が低下したと考えられる。一方、活物質ペースト中に酸化銅(CuO)の粉末を添加することにより、カドミウム負極C中での導電性は多少は改善されるが、酸化銅(CuO)は固形添加であるため、カドミウム負極Cの活物質層中に均一に分散しがたく、導電性が充分に向上しないために活物質利用率が十分に向上しなかったと考えられる。
【0027】
これらに対して、カドミウム負極Aは、カドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加、溶解させて、ピロリン酸銅(Cu227)を糊料中に極めて均一に分散させた後、主活物質となる酸化カドミウム(CdO)に混合し、混練して活物質ペーストとしている。そして、ピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散した活物質ペーストを導電性芯体に塗布しているので、カドミウム負極Aの活物質層中にはピロリン酸銅(Cu227)が均一に分散して存在することとなる。これにより、電池組立後の充電の際に緻密な銅の導電性ネットワークを形成させることが可能となり、活物質利用率が十分に向上したと考えられる。
【0028】
4.ニッケル−カドミウム蓄電池
ついで、上述したカドミウム負極11を用いて、本発明に係るニッケル−カドミウム蓄電池10を作製する例について、図1に基づき、以下に説明する。
まず、発泡ニッケルからなる電極基板12aに水酸化ニッケルを主体とする正極活物質と結着剤とからなる正極活物質スラリー12bを充填する。ついで、乾燥後、所定の厚みになるまで圧延し、所定の寸法になるように切断して、ニッケル正極12を作製する。この場合、このニッケル正極12の電極基板12aの上端部には活物質が充填されていない活物質の未充填部12cが形成されるようにする。
【0029】
ついで、例えばナイロン製であるセパレータ13を用意し、このセパレータ13を上述のように作製されるカドミウム負極11の両面に配置するとともに、このセパレータ13の上にニッケル正極12を配置して帯状積層体とする。この場合、セパレータ13の上にニッケル正極12を配置するに際しては、ニッケル正極12の活物質の未充填部12cの下端部がセパレータ13の上端部に位置するように配置する。一方、セパレータ13の上にカドミウム負極11を配置するに際しては、カドミウム負極11の上端部から若干パレータ13の上端が突出するとともに、カドミウム負極11の下端部から所定の長さだけセパレータ13の下端が突出するように配置する。
【0030】
ついで、上述のような配置関係となった帯状積層体を渦巻状に巻回して渦巻状電極群を形成する。ついで、渦巻状電極群の活物質の未塗布部11cの下に負極集電体14を配置して、この負極集電体14と活物質の未塗布部11cとを抵抗溶接する。また、渦巻状電極群の上に正極集電体15を配置して、この正極集電体15と未充填部12cとを抵抗溶接して、電極体を形成する。なお、正極集電体15には、この正極集電体15より延出してリード部15aが形成されている。ついで、上述のようにして作製された電極体を外装缶16内に挿入した後、負極集電体14と外装缶16の底部とを溶接する。
【0031】
また、正極蓋17aと正極キャップ17bとからなる封口体17を用意し、正極集電体15から延出するリード部15aを封口体17に設けられた正極蓋17aの底部に溶接する。ついで、外装缶16の上部外周面に溝入れ加工を施して環状溝部16aを形成する。この後、金属製外装缶16内に電解液(例えば、30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液)を注液し、封口体17の外周部に装着された封口ガスケット18を外装缶16の環状溝部16aの上に載置するとともに、外装缶16の先端部16bを封口体17側にかしめて封口することにより、ニッケル−カドミウム蓄電池10を組み立てることができる。
【0032】
上述したように、本発明においては予備充電活物質である金属カドミウムと有機高分子糊料を主体とするカドミウム糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を添加し、溶解させて、糊料中にピロリン酸銅(Cu227)を均一に分散化させた後、主活物質である酸化カドミウムと混合して活物質ペーストを調製するようにしている。そして、このように調製された活物質ペーストを導電芯体に塗布して活物質層を形成するようにしているので、活物質層中にピロリン酸銅(Cu227)を均一に分散させたカドミウム負極を作製することが可能となる。これにより、電池組立後の充電の際に緻密な銅の導電性ネットワークを形成させることができ、新たな工程数を増やすことなく、かつ、活物質ペースト混練中にペーストの固化が起らず、ハンドリング性が良好で、活物質利用率が向上したアルカリ蓄電池用カドミウム負極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のニッケル−カドミウム蓄電池を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
11…カドミウム負極、11a…基板、11b…負極活物質、11c…活物質未充填部、12…ニッケル正極、12a…基板、12b…正極活物質、12c…活物質未充填部、13…セパレータ、14…負極集電体、15…正極集電体、15a…リード部、16…外装缶、16a…環状溝部、16b…先端部、17…封口体、17a…正極蓋、17b…正極キャップ、18…封口ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも酸化カドミウムを主体とするカドミウム活物質と有機高分子糊料とを含有する活物質ペーストを電極基板に塗布して形成するアルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法であって、
予備充電活物質となる金属カドミウムと有機高分子糊料とを主体とするカドミウム糊料中にピロリン酸銅を添加するピロリン酸銅添加工程と、
前記ピロリン酸銅が添加されたカドミウム糊料と主活物質となる酸化カドミウムとを混練して活物質ペーストを調製する活物質ペースト調製工程と、
前記活物質ペーストを導電性芯体からなる電極基板に塗布して活物質塗布層を形成する活物質塗布工程とを備えたことを特徴とするアルカリ蓄電池用カドミウム負極の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−187886(P2009−187886A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29040(P2008−29040)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】