説明

アルコール検査装置

【課題】乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供する。
【解決手段】アルコール検査装置10は顔画像特徴データとID情報を含む被験対象者データベースと、ID入力装置18と、アルコール検知器22と、デジタルカメラ28を備える。被験者がアルコール検知器22に直接取り付けられたマウスピース24から呼気を吹き付けた時に呼気のアルコール濃度の測定を行い、被験者の顔画像をアルコール検知器22を含めてデジタルカメラ28で撮影する。そして、アルコール検査時の被験者の顔画像の特徴データと、ID入力装置18から入力されたID情報から特定された被験者の被験対象者データベースに登録されている顔画像特徴データを照合して、被験者の本人認証をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアルコール検査装置に関する。さらに詳しくは、飲酒運転を未然に防止することのできるアルコール検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の飲酒運転を原因とする交通事故は、後を絶たない。そして、運送業務用のトラック、公共のバス、タクシー、電車等の乗務員が飲酒運転により重大な事故を引き起こす例も少なくない。
そこで、運送事業者等は、乗務員の飲酒運転を未然に防ぐために、各事業所にアルコール検査装置を設置し、乗務員を運転業務に就かせる前の点呼時に、アルコール検査装置により乗務員の呼気中のアルコール検査を実施している。
【0003】
アルコール検査装置の従来技術として、特開2004−164197号公報(特許文献1)には、被験者をID情報や生体認証により特定した後に、アルコール検査を行うシステムが記載されている。しかし、特許文献1に記載の方法では、アルコール検査の前に被験者を特定し、アルコール検査結果を被験者のものとしているため、アルコール検査を他人が被験者になりすまして受けることができてしまうという問題があった。
また、特許第4063663号公報(特許文献2)には、被験者をID情報により特定すると共に、アルコール検査の際に撮影した被験者の顔画像をID情報と関連づけて記憶するアルコール検知システムが記載されている。この特許文献2に記載のシステムによれば、アルコール検査時には顔画像の認証はされないため、なりすましによりアルコール検査をパスできてしまうという問題がある。顔画像が記録されるため事後調査によりなりすましを発見することができると考えられるので、なりすましに対して一定の抑止効果は期待できるが、飲酒運転を未然に確実に防止することができるものではない。
【0004】
そこで、特開2008−170395号公報(特許文献3)では、事前に撮影された被験者の顔画像とアルコール検査の際に撮影した被験者の顔画像を比較して、なりすましを防ぐアルコール検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−164197号公報
【特許文献2】特許第4063663号公報
【特許文献3】特開2008−170395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献3に記載の方法によれば、アルコール検査の際に顔画像で被験者の認証を行うので、他人のみで完全になりすましてアルコール検査を受けることは防ぐことができると考えられる。しかしながら、特許文献3に記載の方法においても、被験者と他人でアルコール検査を受け、被験者がカメラの前に立ってダミーのマウスピースを銜え、他人がカメラに写らない位置でアルコール検査装置につながったマウスピースからアルコール検査装置に呼気を吹きかけるというなりすましが可能と考えられる。そのため、特許文献3に記載の方法によっても、完全になりすましを防止するためには点呼者の立ち会いを必要とする。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するために提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明にかかるアルコール検査装置は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、複数の被験対象者に関する顔画像特徴データとID情報とを含む情報が登録された被験対象者データベースと、被験者ID情報を入力するID入力装置と、被験者の呼気のアルコール濃度の検知を行うアルコール検知器と、被験者の顔画像を撮影するデジタルカメラとを備え、
前記アルコール検知器には被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースが直接取り付けられる構成とされており、
前記顔画像特徴データは、被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像の特徴データであり、
前記ID入力装置から被験者のID情報を入力させ、
前記被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けたときに該被験者の呼気のアルコール濃度の測定を行うと共に、
前記被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に該被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させ、
アルコール濃度の測定の最中に前記デジタルカメラに撮影させた前記被験者の顔画像の特徴データと、前記ID入力装置から入力されたID情報から特定された被験者の前記被験対象者データベースに登録されている顔画像特徴データとを照合して、被験者の本人認証をおこなうアルコール検査装置である。
【0009】
この第1の発明によれば、被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースがアルコール検知器に直接取り付けられる構成とされている。そして、被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させる。そのため、アルコール検知器に吹き付けられた呼気はデジタルカメラに撮影された被験者のものであることが確実であり、呼気のみを替え玉が吹き付けるというなりすましを確実に防止することができる。
そして、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データと、ID入力装置から入力されたID情報から特定された被験者の、被験対象者データベースに登録されている顔画像特徴データとを照合して、被験者の本人認証をおこなう。そのため、ID情報から特定された被験者がアルコール検査を受けた被験者本人であることを裏付けることができるので、他人による完全ななりすましを防止することができる。
よって、乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することのできるアルコール検査装置を提供することができる。そして、点呼者の立ち会いを必要としないことにより点呼業務の合理化を図ることができる。
【0010】
そして、ID情報から特定された被験者の乗務員データベースに登録されている顔画像特徴データのみについて、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データと照合するので、照合データは一件のみであり、本人認証を速やかに行うことができる。
そして、データベースに登録されている顔画像特徴データとアルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データは、ともに被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像の特徴データであるため、顔画像特徴データの照合による被験者の本人認証の精度が高く、確実に本人認証を行うことができる。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るアルコール検査装置であって、
前記ID入力装置は免許証リーダーであり、前記被験者のID情報は免許証情報であることを特徴とする。
この第2の発明によれば、免許証リーダーから読み込まれた免許証情報を被験者のID情報として利用するため、免許証携帯チェックとアルコール検査のためのID情報の入力を一度に済ませることができる。そして、免許証不携帯ではアルコール検査をパスすることができず、免許証不携帯による乗務を防止することができる。また、免許証に記載された情報により、免許証の有効期限切れあるいは交通違反による運転制限中等の乗務違反を防止することができる。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るアルコール検査装置であって、
入力されたID情報またはアルコール測定結果に異常があった場合に、警告音または警告灯により異常の発生を外部に知らせることを特徴とする。
この第3の発明によれば、入力されたID情報またはアルコール測定結果に異常があった場合は警告音または警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者がアルコール検査装置の前に立ち会って被験者と一対一の対応をしなくても良い。そして、入力されたID情報またはアルコール測定結果に異常があった場合には、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明ないし第3の発明のいずれかの発明に係るアルコール検査装置であって、測定されたアルコール濃度と被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録することを特徴とする。
この第4の発明によれば、測定されたアルコール濃度と被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録するので、アルコール検査を実施した証拠を残すことができる。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、複数の被験対象者に関する顔画像特徴データを含む情報が登録された被験対象者データベースと、被験者の呼気のアルコール濃度の検知を行うアルコール検知器と、被験者の顔画像を撮影するデジタルカメラとを備え、
前記アルコール検知器には被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースが直接取り付けられる構成とされており、
前記顔画像特徴データは、被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像特徴データであり、
前記被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けたときに該被験者の呼気のアルコール濃度の測定を行うと共に、
前記被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に該被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させ、
アルコール濃度の測定の最中に前記デジタルカメラに撮影させた前記被験者の顔画像特徴データと、前記被験対象者データベースに登録されている被験対象者の顔画像特徴データとを照合して被験者を特定するアルコール検査装置である。
【0015】
この第5の発明によれば、被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースがアルコール検知器に直接取り付けられる構成とされている。そして、被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させる。そのため、アルコール検知器に吹き付けられた呼気はデジタルカメラに撮影された被験者のものであることが確実であり、呼気のみを替え玉が吹き付けるというなりすましを確実に防止することができる。
そして、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データと、被験対象者データベースに登録されている複数の被験対象者の顔画像特徴データとを照合して、被験者の特定をおこなう。よって、アルコール検査を受けた被験者がそのまま被験者として特定されるので、他人による完全ななりすましを防止することができる。
よって、乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供することができる。
【0016】
そして、アルコール検査時に被検者に関する氏名コード、免許証番号、乗務員ID等の被験者を特定することができる情報の入力が不要なので、アルコール検査装置の構成を簡単にすることができると共に、アルコール検査自体も簡単に済ませることができる。なお、被験者に関する情報は、被験対象者データベースから、顔画像特徴データの照合により特定された被験者に関する情報として得ることができる。
また、データベースに登録されている被験対象者の顔画像特徴データとアルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データは、ともに被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像の特徴データであるため、顔画像特徴データの照合により被験者を特定する精度が高く、確実に被験者を特定することができる。
【0017】
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係るアルコール検査装置であって、アルコール測定結果に異常があった場合に、警告音または警告灯により異常の発生を外部に知らせることを特徴とする。
この第6の発明によれば、アルコール測定結果に異常があった場合は警告音または警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者がアルコール検査装置の前に立ち会って被験者と一対一の対応をしなくても良い。そして、アルコール測定結果に異常があった場合には、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
【0018】
次に、本発明の第7の発明は、上記第5または第6の発明に係るアルコール検査装置であって、測定されたアルコール濃度と、特定された被験者に関する情報と検査時刻とを関連づけて記録することを特徴とする。
この第7の発明によれば、測定されたアルコール濃度と特定された被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録するので、アルコール検査を実施した証拠を残すことができる。
【発明の効果】
【0019】
上述の本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述の第1の発明によれば、乗務員の呼気中アルコール検査時に撮影した顔画像により被験者の本人認証を行うので、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することのできるアルコール検査装置を提供することができる。
次に、上述の第2の発明によれば、免許証情報を被験者特定のためのID情報として利用するため、免許証携帯チェックとアルコール検査のためのID情報の入力を一度に済ませることができる。そして、免許証不携帯あるいは免許証情報に問題があるときはアルコール検査をパスすることができず、免許証に起因する乗務違反を防止することができる。
次に、上述の第3の発明によれば、入力されたID情報またはアルコール測定結果に異常があった場合は警告音または警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
次に、上述の第4の発明によれば、測定されたアルコール濃度と被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録するので、アルコール検査を実施した証拠を残すことができる。
次に、上述の第5の発明によれば、アルコール検査を受けた被験者がそのまま被験者として特定されるので、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供することができる。
次に、上述の第6の発明によれば、アルコール測定結果に異常があった場合は警告音または警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
次に、上述の第7の発明によれば、測定されたアルコール濃度と特定された被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録するので、アルコール検査を実施した証拠を残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1におけるアルコール検査装置の構成を示す図である。
【図2】アルコール検査装置を構成するアルコール検知スタンドの外観を示す図である。
【図3】実施例1におけるアルコール検査装置を用いたアルコール検査の概要を示すフロー図である。
【図4】アルコール検知スタンドでの呼気測定状況を示す図である。
【図5】アルコール検査装置のデジタルカメラによって撮影される顔画像を示す図である。
【図6】アルコール検査を行ったときにアルコール検査装置に記録される情報を示した図である。
【図7】実施例2におけるアルコール検査装置の構成を示す図である。
【図8】実施例2におけるアルコール検査装置を用いたアルコール検査の概要を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に、本発明の実施例1に係るアルコール検査装置10の構成図を示す。実施例1は本発明の第1の発明に係る実施例である。アルコール検査装置10は、運送事業者が乗務員を運転業務に就かせる前の点呼を行うときに、アルコール検査を行うために使用される装置である。そして、点呼時の免許証チェックをあわせて行う構成とされている。
アルコール検査装置10は、図1に示すとおり、パソコン12、モニタ13、キーボード14、マウス16、免許証リーダー18及びアルコール検知スタンド20から構成されている。そして、モニタ13、キーボード14、マウス16、免許証リーダー18及びアルコール検知スタンド20はパソコン12に接続されている。そして、パソコン12には、乗務員登録、アルコール検査、免許証読み込み、を行うためのソフトが組み込まれている。
【0023】
図2に、アルコール検知スタンド20の外観を示す。図2(A)が側面図、図2(B)が正面図、図2(C)が平面図である。
アルコール検知スタンド20は、呼気のアルコール濃度を測定するアルコール検知器22とアルコール検知器22に呼気を吹き込むマウスピース24、被験対象者である点呼を受ける乗務員を撮影するデジタルカメラ28及びそれらを支えるスタンド26からなる。そして、デジタルカメラ28は、マウスピース24の方向に固定され、被験対象者である乗務員がマウスピース24を銜えた状態のとき、乗務員の顔と、マウスピース24とアルコール検知器22が撮影できる画角に設定されている。そして、スタンド26にはアルコール検知器22とパソコン12を結ぶインタフェース回路が内蔵されている。また、スタンド26には、アルコール検査装置10の状態及びアルコール検査装置10による検査結果を外部に知らせるためのブザー30及びランプ32が配設されている。
【0024】
図3に実施例1に係るアルコール検査装置10を用いたアルコール検査の概要のフローを示す。アルコール検査を実施するための準備として、図3に示すとおり、事業所に登録されている乗務員を被験対象者として、アルコール検査装置10に乗務員の登録をすることが必要である。乗務員の登録では、管理者の立ち会いの下に、被験対象者である事業所に登録されたすべての乗務員について、顔画像と運転免許証の情報を登録して、乗務員データベースを作成する。この乗務員データベースが本発明の被験対象者データベースに相当する。
【0025】
個々の乗務員の登録は管理者の立ち会いの下に図1に示したパソコン12により点呼執行者が行う。まず、点呼執行者がアルコール検査装置10を乗務員登録モードに設定し、被験対象者である乗務員の本人確認と免許証の確認を行い、社員コードをキーボード14操作により入力する。すると、パソコン12に組み込まれた乗務員登録ソフトが、入力された社員コードとパソコン12に登録されている乗務員の人事データを照合し、社員コードに対応した乗務員の氏名等の社員情報を取り出す。
次に、点呼執行者は、乗務員に運転免許証を図1に示した免許証リーダー18に挿入させる。すると、免許証リーダー18により免許証の情報が画像として読み込まれ、パソコン12に組み込まれた免許証読み込みソフトにより画像情報がコード化された免許証情報に変換されて、乗務員登録ソフトに送られる。この免許証リーダー18が本発明のID入力装置に相当し、免許証情報がID情報に相当する。
【0026】
次に、点呼執行者は、乗務員にアルコール検知スタンド20で実際に呼気を測定させて、呼気測定中の乗務員の顔画像を撮影させる。
具体的には、乗務員が個人用に貸与されたマウスピース24をアルコール検知スタンド20のアルコール検知器22のマウスピース装着位置に差し込んで、マウスピース24を使用して呼気をアルコール検知器22に吹き付ける。図4にアルコール検知スタンド20での呼気測定状況を示す。図4の丸印の内側がデジタルカメラ28の視野の中心部分を示している。
そして、アルコール検知器22が、呼気が吹き付けられていることを検知すると、アルコール検知スタンド20に取り付けられているデジタルカメラ28が、マウスピース24を使用して呼気をアルコール検知器22に吹き付けている状態の乗務員の顔画像を撮影する。そして、アルコール検知器22により測定された乗務員の呼気のアルコール濃度のデータとデジタルカメラ28により撮影された乗務員の顔画像データがアルコール検知スタンド20のインタフェース回路を通じて乗務員登録ソフトに送られる。
そこで、乗務員登録ソフトが、アルコール検知スタンド20から送られてきた乗務員の顔画像データを、画像データの照合がしやすいコード化された顔画像特徴データに変換して、乗務員の社員情報及び免許証情報と共に、乗務員データベースに登録する。
ここで、顔画像データの元データを併せて乗務員データベースに登録しておくこともできる。また、顔画像データ自体を顔画像特徴データとして、乗務員データベースに登録しておくこともできる。顔画像データが乗務員データベースに保存されていれば、画像認証のアルゴリズムの改良等で特徴データの抽出方法が変わった場合や、画像認証で画像データを直接比較するアルゴリズムを採用する場合に、顔画像を撮り直す手間を省略できる。
そして、乗務員データベースは、パソコン12に内蔵されたハードディスク上に構築される。なお、乗務員データベースはパソコン12と通信回線で結ばれたデータベースサーバー上に構築する構成とすることもできる。
【0027】
実施例1では、乗務員の登録は管理者の立ち会いの下に点呼執行者が実施しているが、管理者が直接乗務員の登録を行ってもよい。なお、既に他のアルコール検査装置10に登録されている乗務員データベースから登録データをコピーして乗務員データベースを構築することもできる。また、データベースサーバー上に構築された乗務員データベースを利用する構成とすることもできる。
【0028】
次に、アルコール検査装置10を使用して乗務員に対して乗務前の点呼時にアルコール検査をさせる方法について説明する。
点呼執行者は、乗務員の乗務前における点呼時のアルコール検査の実施に当たり、アルコール検査装置10をアルコール検査モードに設定する。実施例1では、アルコール検査装置10で、アルコール検査のほかに、免許証の携帯検査も併せて行っている。アルコール検査装置10がアルコール検査モードに設定されると、モニタ13に免許証読み込み待ちであることが表示される。なお、点呼を受ける乗務員が多数の場合は、点呼に要する時間を短縮するため、アルコール検査は複数台のアルコール検査装置10を使用して並行して実施することで、点呼業務の合理化を図ることができる。
【0029】
点呼を受ける乗務員は、モニタ13の表示を確認してアルコール検査装置10の免許証リーダー18に免許証を挿入する。すると、免許証リーダー18により免許証の情報が画像として読み込まれ、パソコン12に組み込まれた免許証読み込みソフトにより画像情報がコード化された情報に変換される。そして、コード化された免許証情報と乗務員データベースに登録されている被験対象者の免許証情報が照合されて、アルコール検査を受ける乗務員が特定される。
被験対象者である乗務員が特定されると、アルコール検査の準備が完了しモニタ13に乗務員の呼気測定待ちである旨の表示がされて、アルコール検知器22のランプ32が準備完了を示す色に点灯し、ブザー30から準備完了を示す音が鳴る。
【0030】
この時、読み込まれた免許証情報に該当する乗務員が乗務員データベースに登録されていない等の理由で特定できない、又は、免許証情報から有効期限が切れているあるいは交通違反による運転制限中である等の問題点が発見された場合は、アルコール検知器22のランプ32が免許証情報に問題が発見されたことを示す色に点灯し、ブザー30から異常を示す音が鳴り、異常の発生が外部に知らされる。
【0031】
アルコール検知器22の準備完了を確認すると、乗務員は個人用に貸与され乗務員登録をしたときに使用したマウスピース24をアルコール検知器22のマウスピース装着位置に差し込んで、マウスピース24を使用して呼気をアルコール検知器22に数秒間吹き付ける。そして、アルコール検知器22が、呼気が吹き付けられていることを検知すると、アルコール検知スタンド20に取り付けられているデジタルカメラ28が、マウスピース24を使用して呼気をアルコール検知器22に吹き付けている状態の乗務員の顔画像を撮影する。そして、アルコール検知器22により測定された乗務員の呼気のアルコール濃度のデータと、デジタルカメラ28により撮影された乗務員の顔画像データがアルコール検知スタンド20のインタフェース回路を通じてパソコン12に送られる。
【0032】
そこで、アルコール検査ソフトが、アルコール検知スタンド20から送られてきた、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラ28に撮影された乗務員の顔画像データをコード化された顔画像特徴データに変換する。そして、アルコール濃度測定中の顔画像の特徴データと免許証から特定された被験対象者の乗務員データベースに登録されている顔画像特徴データとを照合して本人確認、すなわち両者が同一人物であるか否かを判定する。
図5に照合対象となる顔画像データの範囲を示す。枠Fは撮影範囲を示しており、枠Aの範囲で本人確認のために画像認証による比較を行い、枠Bの範囲でマウスピース24が確実に装着されアルコール検知器22及びマウスピース24が正常な状態で使用されているか画像認証による比較を行う。なお、画像認証の技術は公知の技術を利用している。
【0033】
そして、アルコール検査ソフトが、アルコール検知器22から送信されたアルコール濃度が乗務に支障のない良好な値であり、アルコール検査を受けた乗務員が免許証情報から特定された乗務員と一致し、マウスピース24に異常がないと判断したときは、アルコール検査結果の詳細をモニタ13に表示し、アルコール検査が良好な状態で終了したことを示す色でランプ32を点灯させ、点呼が良好な状態で終了したことを示す音でブザー30を鳴らす。
そして、アルコール検査が良好な状態で終了したときは、アルコール検査結果がアルコール検査装置に記録され、アルコール検査装置10は次の被験者のアルコール検査ができる状態に設定される。
一方、乗務に支障のあるアルコール濃度が検出された場合、あるいは、顔画像特徴データの照合でアルコール検査を受けた乗務員と免許証情報から特定された乗務員が一致せず本人確認ができなかった場合、あるいはマウスピース24に異常があり呼気がデジタルカメラ28に撮影された乗務員のものでない疑いがある場合は、アルコール検査ソフトは、アルコール検査結果の詳細をパソコン12の画面に表示し、アルコール検査が不良状態で終了したことを示す色でランプ32を点灯させ、点呼不良を示す音でブザー30を鳴らす。そして、アルコール検査装置10は点呼執行者の処理待ち状態となる。
【0034】
点呼執行者は、乗務員のアルコール検査を監視し、何らかの異常を知らせる色でランプ32が点灯し異常を知らせる音でブザー30が鳴ったときは、異常が発生したアルコール検査装置10で必要な対応を行い、特記事項があればモニタ13に表示されている特記欄に記入する。そして、検査結果をアルコール検査装置10に記録した後に、アルコール検査装置10を次の被験者のアルコール検査ができる状態に設定する。
【0035】
図6に、アルコール検査を行ったときにアルコール検査装置に記録される情報を示す。記録される項目は、点呼日時、点呼執行者の社員コード、被験者である乗務員の社員コード及び氏名、本人確認の良否、免許証番号、免許証の適否、検知したアルコール値とその良否、点呼執行者による特記事項である。アルコール検査装置10に記録されたアルコール検査の結果は、結果の良否にかかわらず、アルコール検査を実施した記録として、すべて通信回線を通じて、アルコール検査装置10から総合管理部署に報告される。
なお、アルコール検査中に撮影された乗務員の顔画像データ及び顔画像を変換した顔画像特徴データはアルコール検査装置10には記録されず、記録及び報告されるのは図6に示したアルコール検査結果のコード化されたデータのみであるため、記録及び送信の負荷が少ない。
【0036】
この実施例1のアルコール検査装置10によれば、被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピース24がアルコール検知器22に直接取り付けられる構成とされている。そして、被験者が呼気をアルコール検知器22に吹き付けている最中に被験者の顔画像をマウスピース24およびアルコール検知器22を含めてデジタルカメラ28に撮影させる。そのため、アルコール検知器22に吹き付けられた呼気はデジタルカメラ28に撮影された被験者のものであることが確実であり、呼気のみを替え玉が吹き付けるというなりすましを確実に防止することができる。
そして、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラ28に撮影させた被験者の顔画像の特徴データと、免許証リーダー18から入力された免許証情報から特定された被験者の乗務員データベースに登録されている顔画像特徴データとを照合して、被験者の本人認証をおこなう。そのため、免許証から特定された被験者がアルコール検査を受けた被験者本人であることを確認できるので、他人による完全ななりすましを防止することができる。
よって、アルコール検査装置10によれば、乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供することができる。
【0037】
そして、免許証リーダー18から読み込まれた免許証情報を被験者のID情報として利用するため、免許証携帯チェックとアルコール検査のためのID情報の入力を一度に済ませることができる。そして、免許証不携帯ではアルコール検査をパスすることができず、免許証不携帯による乗務を防止することができる。また、免許証情報をチェックすることにより、有効期限切れあるいは交通違反による運転制限中等の乗務違反を防止することができる。
【0038】
そして、入力された免許証情報またはアルコール測定結果に異常があった場合はブザーによる警告音またはランプによる警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者がアルコール検査装置の前で立ち会って被験者と一対一の対応をしなくても良い。そして、入力された免許証情報またはアルコール測定結果に異常があった場合には、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
【0039】
なお、実施例1では点呼時にアルコール検査を受ける被験者である乗務員の特定手段として免許証の情報を利用しているが、被験者の特定手段は免許証に限られない。社員証を読み込ませて社員証に記載された社員コードから被験者を特定してもよいし、被験者にキーボードから社員コードを入力させてもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の実施例2に係るアルコール検査装置10Aについて説明する。実施例2は本発明の第5の発明に係る実施例である。アルコール検査装置10Aのアルコール検査装置10との違いは、免許証リーダーを備えていない点である。そして、アルコール検査を受けた被験者の顔画像の特徴データを乗務員データベースに登録された被験対象者の顔画像特徴データとを照合して被験者を特定する点に特徴がある。
【0041】
図7にアルコール検査装置10Aの構成を示す。アルコール検査装置10Aは、パソコン12、モニタ13、キーボード14、マウス16及びアルコール検知スタンド20から構成されている。そして、図7に示すとおり、モニタ13、キーボード14、マウス16及びアルコール検知スタンド20はパソコン12に接続されている。そして、パソコン12には、乗務員登録、アルコール検査及び被験者の特定を行うためのソフトが組み込まれている。アルコール検知スタンド20は実施例1で図2に示したものと同一の構成であるため、詳細な構成の説明は省略する。
【0042】
図8に実施例2に係るアルコール検査装置10Aを用いたアルコール検査の概要のフローを示す。実施例2においても、実施例1と同様にアルコール検査を実施するための準備として、事業所に登録されている乗務員を被験対象者として、アルコール検査装置に乗務員の登録をすることが必要である。乗務員の登録では、管理者等の立ち会いの下に、被験対象者である事業所に登録されたすべての乗務員について、顔画像と社員コード等の社員情報を登録して、乗務員データベースを作成する。
個々の乗務員の登録は管理者の立ち会いの下に図7に示したパソコン12により点呼執行者が行う。まず、点呼執行者がアルコール検査装置10Aを乗務員登録モードに設定し、被験対象者である乗務員の本人確認を行い、社員コードをキーボード14操作により入力する。すると、パソコン12に組み込まれた乗務員登録ソフトが、入力された社員コードとパソコン12に登録されている乗務員の人事データを照合し、社員コードに対応した乗務員の氏名等の社員情報を取り出す。
次に、点呼執行者は、乗務員にアルコール検知スタンド20で実際に呼気を測定させて、呼気測定中の乗務員の顔画像を撮影させる。アルコール検知スタンド20による顔画像の撮影は実施例1と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、乗務員登録ソフトが、アルコール検知スタンド20から送られてきた乗務員の顔画像データを、画像データの照合がしやすいコード化された顔画像特徴データに変換して、登録対象の乗務員の社員情報と共に、乗務員データベースに登録する。
ここで、画像照合方法が変更される場合等に備えて、顔画像の元データも併せて乗務員データベースに登録しておくこともできる。
そして、乗務員データベースは、パソコン12に内蔵されたハードディスク上に構築される。なお、乗務員データベースはパソコン12と通信回線で結ばれたデータベースサーバー上に構築する構成とすることもできる。
なお、乗務員データベースは既に他のアルコール検査装置10Aに登録されている乗務員データベースから登録データをコピーして構築することもできる。また、データベースサーバー上に構築されている乗務員データベースを利用する構成とすることもできる。
【0043】
次に、アルコール検査装置10Aを使用して乗務員について乗務前の点呼時にアルコール検査をする方法について説明する。
点呼執行者は、乗務員の乗務前における点呼時のアルコール検査の実施に当たり、アルコール検査装置10Aをアルコール検査モードに設定する。実施例2では、アルコール検査モードになると、アルコール検知スタンド20のアルコール検知器22が準備完了の状態となり、アルコール検知器22のランプ32が準備完了を示す色に点灯し、ブザー30から準備完了を示す音が鳴る。
【0044】
乗務員の呼気の測定方法は実施例1と同様である。また、アルコール検知器22により測定されたアルコール濃度のデータと、アルコール検査の最中にデジタルカメラ28により撮影された乗務員の顔画像データがアルコール検知スタンド20のインタフェース回路を通じてパソコン12に送られてくるのは実施例1と同様である。
【0045】
次に、アルコール検査ソフトが、アルコール検知スタンド20から送られてきた、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラ28に撮影された乗務員の顔画像データをコード化された顔画像特徴データに変換する。そして、被験者の特定を行うソフトにアルコール濃度測定中の顔画像の特徴データと乗務員データベースに登録された乗務員の顔画像特徴データとを照合させて、乗務員データベース上の顔画像特徴データに対応する社員情報から、アルコール検査を受けた乗務員が誰であるかを特定する。
【0046】
そして、アルコール検査ソフトは、アルコール検知器22から送信されたアルコール濃度が乗務に支障のない良好な値であり、アルコール検査を受けた乗務員が乗務員データベースとの照合により特定されたときは、アルコール検査結果の詳細をパソコン12の画面に表示し、アルコール検査が良好な状態で終了したことを示す色でランプ32を点灯させ、点呼が良好な状態で終了したことを示す音でブザー30を鳴らす。
アルコール検査が良好な状態で終了したときは、アルコール検査結果がアルコール検査装置10Aに記録され、アルコール検査装置10Aは次の被験者のアルコール検査ができる状態に設定される。
一方、乗務に支障のあるアルコール濃度が検出された場合、あるいは、顔画像特徴データの照合で被験者の特定ができなかった場合は、アルコール検査ソフトは、アルコール検査結果の詳細をパソコン12の画面に表示し、アルコール検査が不良状態で終了したことを示す色でランプ32を点灯させ、点呼不良を示す音でブザー30を鳴らす。
【0047】
点呼執行者は、乗務員のアルコール検査を監視し、点呼不良により異常を知らせる色でランプ32が点灯し異常を知らせる音でブザー30が鳴ったときは、異常が発生したアルコール検査装置10Aで必要な対応を行い、特記事項が有ればモニタ13に表示されている特記欄に記入する。そして、アルコール検査結果をアルコール検査装置に記録した後に、アルコール検査装置10Aを次の被験者のアルコール検査ができる状態に設定する。
【0048】
実施例2におけるアルコール検査を行ったときにアルコール検査装置に記録される項目は、点呼日時、点呼執行者の社員コード、被験者である乗務員の社員コード及び氏名、被験者特定の良否、検知されたアルコール値とその良否、点呼執行者による特記事項である。アルコール検査装置10Aに記録されたアルコール検査の結果は、結果の良否にかかわらず、アルコール検査を実施した記録として、すべて通信回線を通じて、アルコール検査装置10Aから総合管理部署に報告される。
なお、アルコール検査中に撮影された乗務員の顔画像のデータは検査記録としてアルコール検査装置10Aに保存される。
【0049】
この実施例2のアルコール検査装置10Aによれば、被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピース24がアルコール検知器22に直接取り付けられる構成とされている。そして、被験者が呼気をアルコール検知器22に吹き付けている最中に該被験者の顔画像をマウスピース24およびアルコール検知器22を含めてデジタルカメラ28に撮影させる。そのため、アルコール検知器22に吹き付けられた呼気はデジタルカメラ28に撮影された被験者のものであることが確実であり、呼気のみを替え玉が吹き付けるというなりすましを確実に防止することができる。
そして、アルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラ28に撮影させた被験者である乗務員の顔画像の特徴データと、乗務員データベースに登録されている複数の被験対象者の顔画像特徴データとを照合して、被験者の特定をおこなう。よって、アルコール検査を受けた被験者がそのまま被験者として特定されるので、他人による完全ななりすましを防止することができる。
よって、アルコール検査装置10Aによれば、乗務員の呼気中アルコール検査時に、点呼者の立ち会いを必要としないで確実になりすましを防止することができ、かつ、点呼業務の合理化を図ることができるアルコール検査装置を提供することができる。
【0050】
そして、実施例2ではアルコール検査時に被験者を特定するための情報の入力が不要なので、アルコール検査装置の構成を簡単にすることができ、アルコール検査自体も簡単にすることができる。なお、被験者を特定する情報は、乗務員データベースから、特定された被験者に関する情報として得ることができる。
また、データベースに登録されている被験対象者の顔画像特徴データとアルコール濃度の測定の最中にデジタルカメラに撮影させた被験者の顔画像の特徴データは、ともに被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像の特徴データであるため、顔画像特徴データの照合により被験者を特定する精度が高く、確実に被験者を特定することができる。
そして、測定されたアルコール濃度と特定された被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録するので、アルコール検査を実施した証拠を残すことができる。
そして、アルコール測定結果に異常があった場合は警告音または警告灯により異常の発生が外部に知らされるので、点呼者が被験者と一対一の対応をしなくても良い。そして、アルコール測定結果に異常があった場合には、点呼者が異常の発生を知り、必要な対応をすることができる。
【0051】
上記の各実施例では、アルコール検査装置を運送事業者が乗務員を運転業務に就かせる前の点呼を行うときのアルコール検査に適用する例を示したが、本発明のアルコール検査装置の用途は上記の実施例に限られない。
たとえば、建築現場、医療、食品、研究室等の特定したメンバーで業務を行う職場において、そのメンバーの本人確認を行い、なり替わりを防止し、飲酒状況の把握をする場合に適用することができる。また、クレーン運転免許証のような各種作業資格証の確認を合わせて行う場合に適用することができる。
【0052】
上記の各実施例では、乗務員登録時に撮影された顔画像特徴データとアルコール検査時に撮影された顔画像とを、コード化された顔画像特徴データに変換した上で比較しているが、撮影された顔画像をイメージデータのまま顔画像特徴データとすることもできる。そして、顔画像のイメージデータを画像認証による比較対象とすることができる。
その他、本発明に係るアルコール検査装置はその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
【符号の説明】
【0053】
10、10A アルコール検査装置
12 パソコン
13 モニタ
14 キーボード
16 マウス
18 免許証リーダー(ID入力装置)
20 アルコール検知スタンド
22 アルコール検知器
24 マウスピース
26 スタンド
28 デジタルカメラ
30 ブザー
32 ランプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被験対象者に関する顔画像特徴データとID情報とを含む情報が登録された被験対象者データベースと、被験者のID情報を入力するID入力装置と、被験者の呼気のアルコール濃度の検知を行うアルコール検知器と、被験者の顔画像を撮影するデジタルカメラとを備え、
前記アルコール検知器には被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースが直接取り付けられる構成とされており、
前記顔画像特徴データは、被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像の特徴データであり、
前記ID入力装置から被験者のID情報を入力させ、
前記被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けたときに該被験者の呼気のアルコール濃度の測定を行うと共に、
前記被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に該被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させ、
アルコール濃度の測定の最中に前記デジタルカメラに撮影させた前記被験者の顔画像の特徴データと、前記ID入力装置から入力されたID情報から特定された被験者の前記被験対象者データベースに登録されている顔画像特徴データとを照合して、被験者の本人認証をおこなうアルコール検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアルコール検査装置であって、
前記ID入力装置は免許証リーダーであり、前記被験者のID情報は免許証情報であることを特徴とするアルコール検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアルコール検査装置であって、
入力されたID情報またはアルコール測定結果に異常があった場合に、警告音または警告灯により異常の発生を外部に知らせることを特徴とするアルコール検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載のアルコール検査装置であって、
測定されたアルコール濃度と被験者に関する情報と検査時刻を関連づけて記録することを特徴とするアルコール検査装置。
【請求項5】
複数の被験対象者に関する顔画像特徴データを含む情報が登録された被験対象者データベースと、被験者の呼気のアルコール濃度の検知を行うアルコール検知器と、被験者の顔画像を撮影するデジタルカメラとを備え、
前記アルコール検知器には被験者が呼気を吹き付ける時に使用するマウスピースが直接取り付けられる構成とされており、
前記顔画像特徴データは、被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けている状態の顔画像特徴データであり、
前記被験者がマウスピースを使用して呼気をアルコール検知器に吹き付けたときに該被験者の呼気のアルコール濃度の測定を行うと共に、
前記被験者が呼気をアルコール検知器に吹き付けている最中に該被験者の顔画像をマウスピースおよびアルコール検知器を含めてデジタルカメラに撮影させ、
アルコール濃度の測定の最中に前記デジタルカメラに撮影させた前記被験者の顔画像特徴データと、前記被験対象者データベースに登録されている被験対象者の顔画像特徴データとを照合して被験者を特定するアルコール検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアルコール検査装置であって、アルコール測定結果に異常があった場合に、警告音または警告灯により異常の発生を外部に知らせることを特徴とするアルコール検査装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のアルコール検査装置であって、
測定されたアルコール濃度と、特定された被験者に関する情報と検査時刻とを関連づけて記録することを特徴とするアルコール検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−185813(P2010−185813A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30947(P2009−30947)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【特許番号】特許第4319249号(P4319249)
【特許公報発行日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(592177753)株式会社メイエレック (8)
【Fターム(参考)】