説明

アルツハイマー病治療方法

【課題】アルツハイマー病の治療方法の提供。
【解決手段】患者の脳中のアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するためにペプチドベータアミロイドAβ40及びAβ42の優性遺伝子変異体を特異的に認識することができる抗体を製造するための免疫原として作用するキーホールリンペットタンパク質(KLH)に結合されたペプチドの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルツハイマー病を含むアミロイド沈着物の存在に関連する疾病を治療及び/又は予防する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)の存在と関連する生化学現象及び新陳代謝現象についての幾つかの要因が知られている。ADを有する者の脳に観察される2つの構造的かつ組織病理学的変化は神経原繊維の絡み合い(NFT)及びアミロイド沈着物である。神経内(intraneuronal)の神経原繊維の絡み合いは他の神経変性疾病においても存在するが、神経内空間(神経プラーク)内及び微小血管系(血管プラーク)に近接するアミロイド沈着物の存在はADの特徴であると思われている。これらについて、神経プラークは最も共通であると思われている(プライス・ディー・エル氏及び同僚著の医薬開発研究、1985年、第5巻、第59頁乃至第68頁「Price,D.L.,and co−workers,Drug Development Research(1985)5:59−68」)。
【0003】
これらのアミロイドプラークの主成分はアミロイドペプチドAβ4と呼ばれている40−42アミノ酸のペプチドである。
【0004】
アミロイドペプチドAβ4はアミロイドペプチドAβ4先駆体タンパク質(βAPP)と呼ばれている細胞膜糖タンパク質からのタンパク質分解から生じるポリペプチドである。アミロイドペプチドのこれらのタンパク質先駆体は695乃至770のアミノ酸からなっており、それらのすべては同じ遺伝子によってコード化されている。
【0005】
アミロイドペプチドAβ4の2つの主要な変異体が確認されており、それらはそれぞれ40及び42のアミノ酸を含有しているペプチドAβ40及びペプチドAβ42であり、生理学的及び病理学的状態において異なる組織分布を有している。42のアミノ酸の変異体はADを有する患者の脳内に位置しているアミロイドプラークの優性形質である。
【0006】
現在までADに対する可能なワクチンを提供するために種々の考え得る解決案が提案されている。
【0007】
ヨーロッパ特許第EP526511号明細書において、予め設けたADを有する患者に対してAβの同種治療の投薬が提案されている。しかしながら、使用される投薬により、血漿(プラズマ)内で循環する内因性Aβのレベルは非常に変化するので、治療的な利点は期待されない。
【0008】
シェンク氏等著、ネイチャー、1999年、第400巻、第173頁乃至第177頁「Schenk et al.,Nature,1999;400:173−177」は、ヒト突然変異体APPを過剰に発現させ、かくしてアミロイドプラーク、神経ジストロフィ及びアストログリオシスの形成を予防するAβ42を有する遺伝子導入マウスPDAPPの免疫処置を記載している。
【0009】
国際特許出願公開第WO9927944号(シェンク・ディー氏「Schenk,D」)明細書に、Aβ42の患者に対する投与によるADの治療が記載されている。
【0010】
ヨーロッパの4カ国の国及びアメリカ合衆国においてADを抑えるための媒体により診断された360人の患者にアミロイドペプチドAβ42が抗原として使用された第3期(phaseIII)の臨床実験は何人かの患者に脳炎が発生されたことが報告されたので中断された(スクリプ・デイリー・オンライン、2002年2月25日、S007455320、ザ・サイエンティスト第16[7]巻、第22号、2002年4月1日「Scrip Daily Online,25 Feb 2002,S007455320,The Scientist 16[7]:22,April 1,2002」)。
【0011】
ワクチン(又は予防接種されている動物に自然に存在するタンパク質)として内因性タンパク質を使用する問題はペプチドAβ42の場合であり、生体はAβ42に対してかついままでのところでは未知の生理学的機能を有する小さい断片に対して抗原を作ることによって応答し、我々が記載できる考え得る問題の幾つかのうちには、内因性のタンパク質に対する抗体の発生による考え得る自己免疫病の発育、内因性の抗原を認識するための免疫系の欠陥による免疫応答の発生の困難、及び急性の炎症性応答の考え得る発育がある。
【発明の開示】
【0012】
本発明はタンパク質と結合されているAβのC−末端部のペプチドの投与によるアルツハイマー病及び他のアミロイド疾病を治療することを目的とするものであり、本発明の好適な実施の形態において、前記タンパク質はキーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)である。
【0013】
本発明はアルツハイマー病及び他の関連のアミロイド疾病の予防及び/又は治療用のワクチンに関するものである。
【0014】
本発明の好適な実施の形態によれば、ワクチンはペプチド、タンパク質又は内因性免疫原を使用することに関連する不都合を克服するアルツハイマー病及び他のアミロイド疾病の予防及び/又は治療のために提供することにある。
【0015】
アミロイド沈着物によって特徴付けられる他の疾病の例は島状遺伝性症候群、多発性骨髄種、及びクロイツフェルト−ヤコブ病を含む海綿状脳炎である。
【0016】
免疫応答の導入は患者のAβと反応する抗体を誘起するように免疫原が投与される時のように活性にすることができるか、又は患者のAβとそれ自体で反応するように抗体が投与される時のように非活性にすることができる。
【0017】
本発明の目的に関して以下の用語は以下のごとく定義されものとする。
【0018】
用語「関連のアミロイド疾病」は1つの器官、局在的アミロイドシス、全体的に拡がった幾つかの器官、系統的アミロイドシスに制限され得るアミロイドの蓄積に関連する疾病を含んでいる。第2アミロイドシスは、慢性感染(例えば、結核のような)又は慢性炎(例えば、慢性間接リウマチ)、家族性地中海熱(FMF)及び血液透析の長期間の治療において患者に見出される他の型の系統的アミロイドシスと関連され得る。局在形状のアミロイドシスはタイプIIの糖尿病及びそれに関連する他のあらゆる疾病、即ちスクラピーを有する神経変性疾病、ウシ型海綿状脳炎、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病、大脳アミロイド血管症を包含するが、それらに限定するものではない。
【0019】
用語「非活性の免疫処置」は個人についての免疫を付与する意図によりその個人に抗体又はその断片を投与することに関連して使用される。
【0020】
第1実施態様において、本発明はアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するために免疫原として又は抗体として作用するペプチドを使用するペプチドの使用方法を提供する。その使用方法は患者に存在するアミロイド沈着物のペプチド成分に対する免疫応答の誘導からなっている。前記誘導は免疫原の投与によって活性にするか、又は抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体の投与により非活性にすることができる。
【0021】
本発明の好適な実施例において、疾病はアルツハイマー病である。
【0022】
得られる薬剤は疾病の症状を示す者又は無症候性の患者の双方に使用することができる。
【0023】
本発明により、アミロイドプラークの幾つかの成分に向けられる免疫応答を引き起こすことができる組成物はアミロイド沈着物に関連付けられる疾病の治療又は予防に有効である。特に、本発明の態様によれば、ペプチド又はそれから得られた抗体の免疫賦活量が患者に投与される時、個人のアミロイドの進行を防止し、アミロイドの症状を減少し及び/又は沈殿過程を減少することができる。
【0024】
本発明の態様によれば、抗体は免疫原としてタンパク質に結合されるペプチドの使用により哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られる。
【0025】
本発明の好適な実施例によれば、免疫処置に使用される哺乳動物は反芻動物、ウマ科の動物、ウサギ、肉食動物、霊長類、又は抗体のために抽出されるような適量の血清を有する他のあらゆる動物にすることができる。免疫処置に使用される鳥類の中で、我々は、とくに、ガリフォームズ(Galliformes)、アンセリフォームズ(Anseriformes)、及びコロンビフォームズ(Columbiformes)を記載することができるが、それらに限定するものではない。
【0026】
本発明の好適な実施例によれば、これは患者の脳中のアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病の予防及び/又は治療用の薬剤を調製するためにペプチドベータアミロイドAβ40及びAβ42の優性遺伝子変異体を特異的に認識することができる抗体を生成するために免疫原として作用するタンパク質に結合されたペプチドを使用するペプチドの使用方法を提供する。
【0027】
本発明の最も好適な実施例によれば、ペプチドと結合して使用されるタンパク質はキーホールリンペットタンパク質(KLH)である。
【0028】
本発明の同様に好適な実施例において、ペプチドは、SEQ ID No.1のペプチド,SEQ ID No.2のペプチド,SEQ ID No.3のペプチド,SEQ ID No.4のペプチド,SEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3又はSEQ ID No.4のN末端及び/又はC末端からアミノ酸残基を除去することによって切断することから生じるペプチド、及びSEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3又はSEQ ID No.4のいずれかのペプチドに残基を添加することによる伸張(lengthening)から生じるペプチドからなる群から選択されている。
【0029】
他の好適な実施例によれば、ペプチドはSEQ ID No.1のペプチド、SEQ ID No.1からN末端及び/又はC末端アミノ酸の残基の除去から生じる配列を有するペプチド、及び前述の配列にタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されている。
【0030】
本発明の他の好適な実施例において、ペプチドはSEQ ID No.2のペプチド、SEQ ID No.2からのN末端及び/又はC末端アミノ酸の残基の除去から生じる配列によるペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されている。
【0031】
本発明の他の好適な実施例において、ペプチドはSEQ ID No.3のペプチド、SEQ ID No.3からN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去から生じる配列を有するペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されている。
【0032】
本発明の他の好適な実施例において、ペプチドはSEQ ID No.4のペプチド、SEQ ID No.4からN末端及び/又はC末端アミノ酸の残基の除去から生じる配列を有するペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されている。
【0033】
本発明の他の実施例によれば、これは患者の脳中のアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病の予防及び/又は治療用の薬剤を調製するために、ベータアミロイドペプチドAβ40及びAβ42の優性遺伝子変異体のいずれかを特異的に認識する抗体又はその活性断片若しくは誘導体を使用する使用方法を提供することにある。
【0034】
本発明の他の好適な実施例によれば、ペプチドAβの優性遺伝子変異体のいずれかを特異的に認識することができる抗体又はその活性断片若しくは誘導体はN末端及び/又はC末端からアミノ酸残基の除去によって任意にショートニング(shotened)され、かつタンパク質結合に適切なアミノ酸残基の添加により任意にレングスニング(lengtheneg)されたSEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3,SEQ ID No.4からなる群から選択されたペプチドから得られる。
【0035】
他のより好適な実施例において、抗体又はその活性断片若しくは誘導体は、SEQ ID No.1のペプチド、SEQ ID No.1のN末端及び/又はC末端のアミノ酸残基の除去から生じる配列を有するペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群の中から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られる。
【0036】
他のより好適な実施例において、抗体又はその活性断片若しくは誘導体は、SEQ ID No.2のペプチド、SEQ ID No.2のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去から生じる配列を有するペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基に添加することから生じるペプチドからなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られる。
【0037】
他のより好適な実施例において、抗体又はその活性断片若しくは誘導体はSEQ ID No.3のペプチド、SEQ ID No.3のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去から生じるペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られる。
【0038】
他のより好適な実施例において、抗体又はその活性断片若しくは誘導体はSEQ ID No.4のペプチド、SEQ ID No.4のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去から生じるペプチド、及び前記配列のいずれかにタンパク質結合に必要なアミノ酸残基を添加することから生じるペプチドからなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明において、アミノ酸はこの分野において認められている単文字コードを使用して以下に指示したように略記されている。
【0040】
A=Ala=アラニン
C=Cys=システイン
D=Asp=アスパラギン酸
E=Glu=グルタミン酸
F=Phe=フェニルアラニン
G=Gly=グリシン
H=His=ヒスチジン
I=Ile=イソロイシン
K=Lys=リシン
L=Leu=ロイシン
M=Met=メチオニン
N=Asn=アスパラギン
P=Pro=プロリン
Q=Gin=グルタミン
R=Arg=アルギニン
S=Ser=セリン
T=Thr=スレオニン
V=Val=バリン
W=Trp=トリプトファン
Y=Tyr=トリオシン
【0041】
本発明において前述されかつSEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3,SEQ ID No.4として確認された配列は以下のアミノ酸配列に対応する。
SEQ ID NO.1 LVFFAEDV
SEQ ID NO.2 GLMVGGVV
SEQ ID NO.3 GLMVGGVVIA
SEQ ID NO.4 RHDSGYEVHHQK
【0042】
前述のペプチドから得られる抗体は以下に示されているコードに対応するコードSAR−1,SAR−2,SAR−3及びSAR−4が付与されている。
SEQ ID NO.1 SAR−2
SEQ ID NO.2 SAR−3
SEQ ID NO.3 SAR−4
SEQ ID NO.4 SAR−1
【0043】
コンピュータ読み取り可能なフォーマット中に本明細書を添付する本発明に記載されたペプチド配列の確認に関する情報は本明細書とともに提出される配列のリストに指示されている。
【0044】
本発明は以下の実施例によって例示されている。
例1 多クーロン抗体の発生
免疫原として使用されたKLHと結合された4つのペプチドに対して4つの多クーロン抗体がニュージーランド産白ウサギにおける免疫処置によって発生された。
【0045】
各免疫原は各ウサギに5回の注入により2匹のウサギに注入された。すなわち、PBSに結合の完全なフロイントのアジュバント中に乳化されたペプチド−KLHの最初の皮内注射及び14日、28日、49日及び80日でのブースター投与量として、PBSに結合の同じペプチド−KLHであるが、しかし今回は抗体の存在を検出するために90日放置させた血液で不完全なフロイントのアジュバント中に乳化させたペプチド−KLHの4回の皮内注射が行なわれた。
【0046】
採血後、血清は分離されかつ脱塩により予備純化され、次いで抗体は5mgの対応するペプチドが添加されている1.5mlのEMD−Epoxy(エポキシ)活性化材料(Merck)を含んでいるマトリクス中で親和性により純化された。純化された断片は0.1%BSA(シグマ)にパックされかつ4℃で保管され、そしてグリセロール20−50%がクリオプロテクタ(抗凍結剤)として添加され得る。
【0047】
例2 Aβ用のウエスタン−ブロット
1.電気泳動
小さいペプチドの分離を改善することにより変更された1998年、ニューヨーク、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ著の、分子バイオロジにける現行のプロトコルに記載されたレムリ方法「The Laemmli method described in Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,New York,1998,modified by improve the separation of small peptides」が使用された。
【0048】
使用された装置はBio−Radからのミニプロテアン(Miniprotean)3であった。
【0049】
以下の成分と混合された、15%アクリルアミドゲルが使用された。
貯蔵液 分離ゲル(15%) 堆積ゲル
40%アクリルアミド 3.75ml 500μl
トリス3M,pH=8.45 3.3ml 250μl
グリセロール 1.05ml −
水 1.9ml 4.2μl
SDS20% 50μl 18.6μl
APS10% 50μl 25μl
TEMED 10μl 5μl
【0050】
1mg/mlのペプチドAβ40及び42の最初の貯蔵液が使用された(PBS中に溶解された)。必要な容量はサンプルの各々に関してこれらの液から採られかつSBLT(SBL+トリスベース2M)で20μlまで作られた。サンプルは次いでペプチドを変性させかつ考え得るプロテアーゼを除去するために5分間沸騰された。
【0051】
キュベットの中心はカソードバッファでかつ外側はアノードバッファで充填され、これらのバッファの組成は以下の通りである。
【0052】
アノードバッファ
24.2gトリスベース(0.2M最終濃度)
Oにより1リットルに希釈
濃縮された塩酸によりpH8.9の調整
1ヶ月まで4℃で貯蔵
【0053】
カソードバッファ
12.11gトリスベース(0.1M最終濃度)
12.92gトリシン(0.1M最終濃度)
1gSDS(0.1%最終濃度)
Oにより1リットルに希釈
pH調整しない
1ヶ月まで4℃で貯蔵
【0054】
最後に、サンプルは容器、すなわち、20μl/容器に負荷された。マーカとしてBio−Radからのポリペプチド標準カレイドスコープを使用して、移動が低電圧(30V)で開始され、かつ次いで電圧は、およそ1時間の電気泳動後、100Vに上昇させられた。
【0055】
2.膜転移(MEMBRANE TRANSFER)
ゲル中に分離されたタンパク質は電子吸着(electroblotting)によりPVDF膜に転移された。移転小冊子において、以下が配置された。
【0056】
ブラック側−スポンジ−3ホワットマンペーパ(又はフィルタペーパ)−ゲル−膜−3ホワットマンペーパ−スポンジ−透明側。
【0057】
キュベットは次いで電子吸着バッファにより充填された。
グリシン38nM
トリスベース50mM
メタノール40%
【0058】
転移は200mAで2時間行なわれた。転移中に、バッファは磁気攪拌器により攪拌し続けられた。
【0059】
3.抗体による培養
抗体及び粉末ミルクがPBS−t(PBS+0.5%トィーン20)内に溶解され、またPBS−Tによる洗浄をも実施している。
【0060】
転移後、膜の表面は攪拌しながら室温(RT)で1時間粉末ミルクの5%溶液によりブロックされた。
【0061】
この後、膜はRTで2×5分洗浄された。
【0062】
その後、その膜はPBS−Tにおいて1:500に少なくとも希釈されたRTで1時間最初の抗体(SAR−1,SAR−2,SAR−3又はSAR−4)により培養された。
【0063】
膜はRTで3×10分洗浄された。次いで、それは第2抗体、すなわちヤギアンチウサギHRPによりRTで1時間(すべての場合に、1:10,000)培養された。
【0064】
膜の洗浄は、再度RTで3×10分繰り返された。
【0065】
4.発育
最後の洗浄後、その膜はファーマシア(Pharmacia)からのECLキット+Plusを使用して、化学ルミネセンス(chemoluminescence)キットの溶液により培養された。
【0066】
膜はセロファンで包まれそして2重エマルジョンフィルム(アメルシャムからのハイパーフィルムMP)に30秒と2分の間の異なる時間で露出された。
【0067】
例3 ヒト脳の組織中のSAR−1,SAR−2,SAR−3及びSAR−4抗体による免疫組織化学
組織の部分は以下の工程に続いてパラフィン中に固定された。
a)10%での中性ホルマリン内に固定
b)増大するアルコール濃度において連続する工程による脱水
c)キシロール及びパラフィンを通過その工程は60−62℃におけるオーブン中で
d)4ミクロンに切断されかつスライド内に取り付けられるパラフィンブロックの実施
【0068】
上記組織部分は次いで以下の溶液を通すことにより脱パラフィン化された。
キシロール 100% 10分
キシロール 100% 10分
エタノール 100% 5分
エタノール 100% 5分
エタノール 96% 5分
エタノール 90% 5分
エタノール 70% 5分
PBS 5分×3回
【0069】
その後、それらは以下の方法において処理された。
a)換気装置内でかつ攪拌しながら3分間96%蟻酸
b)水での急速洗浄
c)PBS2×5分における洗浄
d)70mlのPBS,30mlkエタノール及び1mlのH から作られた溶液中で15分間の内因性ペルオキシダーゼのブロック
e)PBS3×5分における洗浄
f)PBS/T(PBS中0.5%でのトリトン又はトィーン−20)3×5分における洗浄
g)2時間PBS/Tにおける10:100に希釈されたヤギ血清(ノーマルヤギ血清)による非特定結合のブロック
h)水蒸気室中で4°Cにおいて夜間中最初の抗体の培養
SAR−1・・・PBS中の希釈1:150
SAR−2・・・PBS中の希釈1:1500
SAR−3・・・PBS中の希釈1:1500
SAR−4・・・PBS中の希釈1:2000
i)PBS/T3×5分における洗浄
j)45分の間中のPBS中で1:200に希釈された第2抗体(アンチウサギヤギ)中での培養
k)PBS4×5分における洗浄
l)発育が完了するまでこれらの条件を維持して、暗闇で45分間PBS/T中で1:100の希釈においてベクトル・ラブスのABC(アビディン−ビオチン複合体)の培養
m)PBS3×5分における洗浄
n)ジアミンベンジディン(DAB)中の発育
【0070】
時間は立体顕微鏡により経験的に制御された。このため、先ず、洗浄が揺動させながら10分間トリス−HCl0.5Mの溶液中で行なわれ、次いでトリス−HCl0.05M中に希釈されかつ4℃で0.5l/mlHが添加されているジアミンベンジディン基板(DAB)による培養で継続する。反応がいったん完了すると、3回の洗浄が各回5分4°CにおいてPBS中で行なわれ、かつ次いでエタノール中での脱水が4分間キシロールを通して、各回2分間70%,90%及び100%で行なわれ、そしてそれらが顕微鏡による観察のためにユーキット(Eukitt)により取り付けられるまで、2分間さらにキシロールを通した。
【0071】
配列のリスト

配列の数:4

配列1についての情報:
配列の特徴:
長さ:8
タイプ:アミノ酸
分子のタイプ:ペプチド
起源:化学合成
配列記載

SEQ ID NO1
LeuValPhePheAlaGluAspVal
1 5

配列2についての情報:
配列の特徴:
長さ:8
タイプ:アミノ酸
分子のタイプ:ペプチド
起源:化学合成
配列記載

SEQ ID NO1
GlyLeuMetValGlyGlyValVal
1 5

配列3についての情報:
配列の特徴:
長さ:10
タイプ:アミノ酸
分子のタイプ:ペプチド
起源:化学合成
配列記載

SEQ ID NO1
GlyLeuMetValGlyGlyValValIleAla
1 5 10

配列4についての情報:
配列の特徴:
長さ:12
タイプ:アミノ酸
分子のタイプ:ペプチド
起源:化学合成
配列記載

SEQ ID NO4
ArgHisAspSerGlyTyrGluValHisHisGinLys
1 5 10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脳中のアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するためにペプチドベータアミロイドAβ40及びAβ42の優性遺伝子変異体を特異的に認識することができる抗体を製造するための免疫原として作用するタンパク質に結合されたペプチドを使用するペプチドの使用方法。
【請求項2】
前記疾病がアルツハイマー病であることを特徴とする請求項1に記載のペプチドの使用方法。
【請求項3】
前記タンパク質がキーホールリンペットタンパク質(KLH)であることを特徴とする請求項1に記載のペプチドの使用方法。
【請求項4】
前記ペプチドが、
・SEQ ID No.1のペプチド,SEQ ID No.2のペプチド,SEQ ID No.3のペプチド,SEQ ID No.4のペプチド;
・SEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3又はSEQ ID No.4のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によるショートニング(短縮)から生じるペプチド;
・SEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3又はSEQ ID No.4のいずれかのペプチドにタンパク質を結合するのに適するアミノ酸残基の添加によるレングスニング(伸張)から生じるペプチド;
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペプチドの使用方法。
【請求項5】
前記ペプチドが、
・SEQ ID No.1のペプチド;
・SEQ ID No.1のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によるショートニングから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基の添加によるレングスニングから生じるペプチド;
からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のペプチドの使用方法。
【請求項6】
前記ペプチドが、
・SEQ ID No.2のペプチド;
・SEQ ID No.2のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によるショートニングから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基の添加によるレングスニングから生じるペプチド;
からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のペプチドの使用方法。
【請求項7】
前記ペプチドが、
・SEQ ID No.3のペプチド;
・SEQ ID No.3のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によるショートニングから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基の添加によるレングスニングからして生じるペプチド;
からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のペプチドの使用方法。
【請求項8】
前記ペプチドが、
・SEQ ID No.4のペプチド;
・SEQ ID No.4のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によるショートニングから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基の添加によるレングスニングから生じるペプチド;
からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のペプチドの使用方法。
【請求項9】
患者の脳中のアミロイド沈着物の蓄積によって特徴付けられる疾病を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するためにベータアミロイドペプチドAβ40及びAβ42の優性遺伝子変異体のいずれかを特異的に認めることができる抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体を使用するペプチドの使用方法。
【請求項10】
前記疾病がアルツハイマー病であることを特徴とする請求項9に記載のペプチドの使用方法。
【請求項11】
ペプチドAβの優性遺伝子変異体のいずれかを特異的に認めることができる抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体がN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基の除去によって任意にショートニングされかつタンパク質結合に適切なアミノ酸残基の添加により任意にレングスニングされたSEQ ID No.1,SEQ ID No.2,SEQ ID No.3又はSEQ ID No.4からなる群から選択されたペプチドから得られることを特徴とする請求項9乃至10のいずれか1項に記載のペプチドの使用方法。
【請求項12】
前記抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体が、
・SEQ ID No.1のペプチド;
・SEQ ID No.1のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基を除去することから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基を前記配列のいずれかに添加させることから生じるペプチド;
からなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られることを特徴とする請求項9に記載のペプチドの使用方法。
【請求項13】
前記抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体が、
・SEQ ID No.2のペプチド;
・SEQ ID No.2のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基を除去することから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基を前記配列のいずれかに添加させることから生じるペプチド;
からなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られることを特徴とする請求項9に記載のペプチドの使用方法。
【請求項14】
前記抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体が、
・SEQ ID No.3のペプチド;
・SEQ ID No.3のN末端及び/又はC末端のアミノ酸を残基の除去することから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基を前記配列のいずれかに添加させることから生じるペプチド;
からなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られることを特徴とする請求項9に記載のペプチドの使用方法。
【請求項15】
前記抗体又は抗体の活性断片若しくは誘導体が、
・SEQ ID No.4のペプチド;
・SEQ ID No.4のN末端及び/又はC末端のアミノ酸の残基を除去することから生じるペプチド;
・タンパク質結合に必要なアミノ酸残基を前記配列のいずれかに添加させることから生じるペプチド;
からなる群から選択されるペプチドを用いた哺乳動物又は鳥類の免疫処置によって得られることを特徴とする請求項9に記載のペプチドの使用方法。

【公開番号】特開2012−6967(P2012−6967A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−191515(P2011−191515)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【分割の表示】特願2006−505607(P2006−505607)の分割
【原出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【出願人】(506242957)
【Fターム(参考)】