説明

アルデヒド及びケトンの製造方法

【課題】安価で反応性が高く、反応後に副生物の分離容易な、アルデヒド及びケトンの効率よい製造方法を提供する。
【解決手段】第1級アルコール又は第2級アルコールを、下記一般式(1)に示される重量平均分子量300〜5000の高分子カルボジイミドと、スルホキシド化合物と、酸及び塩基又はそれらの塩との存在下で酸化させる酸化ステップを少なくとも含むアルデヒド又はケトンの製造方法を提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穏和な条件下で副生物の除去が容易なアルコールの酸化反応により、有機合成化学的に有用なアルデヒド又はケトンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1級アルコールをアルデヒドに、又は第2級アルコールをケトンに酸化する反応は、アルデヒド及びケトンの有機合成上の有用性からこれまでに多くの検討がなされてきた。これらの酸化反応の中で、毒性の高い重金属酸化剤や爆発性を有する酸化剤を使用せず、室温、中性付近の穏和な反応条件で酸化反応を行える有効な酸化反応の1つとして、アルコールをジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」とも略す。)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とも略す。)及び酸を用いて酸化反応を行うPfizner−Moffat酸化が報告されている(非特許文献1)。
【0003】
しかし、この反応は、反応後にDCCより生ずるジシクロヘキシル尿素が、DMSO、ベンゼン、トルエン等酸化反応へ一般的に用いる溶媒へ溶解性を示すために、反応後に溶解性の低い溶媒へと置換して尿素化合物を析出させ濾過除去する方法が必要である。また、この方法は、操作が頻雑で、かつ副生する尿素化合物を完全に分離することが困難である(非特許文献2)。
【0004】
一方、これらカルボジイミド化合物から副生する尿素化合物の分離を容易にする手段としては、以下の報告がある。1つの方法は、1−エチル−3−(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(以下、「EPCI」とも略す。)又はその塩酸塩等のように、水溶性を有するカルボジイミドを用い、反応後に副生する尿素化合物を水により抽出除去する報告がある(非特許文献3及び特許文献1)。
【0005】
また、もう一つの方法として、N−アルキルカルボジイミドポリスチレン樹脂のように、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンの芳香環上にカルボジイミド基を導入し反応溶媒に不溶性とすることで、反応後副生する尿素化合物を濾過により除去する方法が報告されている(例えば、東京化成工業社製:N−シクロヘキシルカルボジイミドポリスチレン樹脂)(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−116216号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K.E.Pfitzne及びJ.G.Moffatt,J.Am.Chem.Soc.,85,3027(1963)
【非特許文献2】丸善, 実験化学講座第4版21、p11〜13、1.1アルコールからの酸化、a.DMSO−DCC法
【非特許文献3】J.C.Sheehan,P.A.Cruickshank及びG.L.Boshart,J.Org.Chem.Soc.,26,2525(1961)
【非特許文献4】Organic Synthesis, Vol.56,99(1977)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記2種類のカルボジイミドを用いたアルデヒドの製造において幾つかの問題点が確認された。
まず、EPCI等はその合成原料が極めて高価であり、また保存安定性が低いことから工業的規模での使用は困難である。更に、DCCに比べ反応性が低く、長時間の反応や副生成物の増加による収率の低下が問題となる。
また、N−アルキルカルボジイミドポリスチレン樹脂は、その製造に高分子ポリスチレン上での多段階の合成反応が必要であるため、収率が低く極めて高価で、得られる樹脂中のカルボジイミド当量も低い。また、得られたN−アルキルカルボジイミドポリスチレン樹脂は、反応溶媒に対して不溶性の高分子粉体であるために反応性が低く、工業的な酸化方法に用いることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の技術の問題点を解決し、安価で反応性が高く、反応後に副生物の分離容易な、アルデヒド及びケトンの効率よい製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1級アルコール又は第2級アルコールを、下記一般式(1)に示される重量平均分子量300〜5000の有機溶媒に可溶な高分子カルボジイミドと、スルホキシド化合物と、酸及び塩基又はそれらの塩との存在下で酸化させる酸化ステップを少なくとも含むアルデヒド又はケトンの製造方法を提供する。
【化1】

(上式中、R及びRは、互いに同一又は異なる、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を示す。Rは、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリーレン基、炭素数4〜18の置換もしくは非置換のアルキレンシクロアルキレン基、又は炭素数7〜18の置換もしくは非置換のアルキレンアリーレン基を示す。nは、上記の分子量を満たす数である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、有機合成化学的に有用なアルデヒド又はケトンを、穏和な条件下で収率よく製造でき、副生する尿素化合物を、濾過等により容易に除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。
第1級アルコール又は第2級アルコールは、好ましくは、各々一般式(2)又は(3)に示されるものである。
−CH−OH (2)
(R)CH−OH (3)
(上式中、Rは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示し、R及びRは、独立して互いに同一又は異なる炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示し、互いに環を形成しても良い。)
【0012】
第1級アルコールから得られるアルデヒドの具体例としては、直鎖状飽和アルデヒド、直鎖状不飽和アルデヒド、分岐状飽和アルデヒド、分岐状不飽和アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられる。
直鎖状飽和アルデヒドとしては、1−ヘキシルアルコールからの1−ヘキシルアルデヒド、1−オクチルアルコールからの1−オクチルアルデヒド、1−デシルアルコールからの1−デシルアルデヒド、1−ドデシルアルコールからの1−ドデシルアルデヒド、1−テトラデシルアルコールからの1−テトラデシルアルデヒド、1−ヘキサデシルアルコールからの1−ヘキサデシルアルデヒド、及び1−オクタデシルアルコールからの1−オクタデシルアルデヒド等が挙げられる。
直鎖状不飽和アルデヒドとしては、Z−5−デセニルアルコールからのZ−5−デセニルアルデヒド、Z−8−ドデセニルアルコールからのZ−8−ドデセニルセニルアルデヒド、Z−9−ドデセニルアルコールからのZ−9−ドデセニルアルデヒド、Z−7−テトラデセニルアルコールからのZ−7−テトラデセニルアルデヒド、Z−9−テトラデセニルアルコールからのZ−9−テトラデセニルアルデヒド、Z−11−テトラデセニルアルコールからのZ−11−テトラデセニルアルデヒド、Z−7−ヘキサデセニルアルコールからのZ−7−ヘキサデセニルアルデヒド、Z−9−ヘキサデセニルアルコールからのZ−9−ヘキサデセニルアルデヒド、Z−10−ヘキサデセニルアルコールからのZ−10−ヘキサデセニルアルデヒド、E−10−ヘキサデセニルアルコールからのE−10−ヘキサデセニルアルデヒド、Z−11−ヘキサデセニルアルコールからのZ−11−ヘキサデセニルアルデヒド、E−11−ヘキサデセニルアルコールからのE−11−ヘキサデセニルアルデヒド、Z−11−オクタデセニルアルコールからのZ−11−オクタデセニルアルデヒド、Z−13−オクタデセニルアルコールからのZ−13−オクタデセニルアルデヒド、E,E−2,6−オクタジエノールからのE,E−2,6−オクタジエナール、E,Z−2,4−オクタジエノールからのE,Z−2,4−オクタジエナール、E,E−2,4−ノナジエノールからのE,E−2,4−ノナジエナール、E,E,Z−2,4,6−ノナトリエノールからのE,E,Z−2,4,6−ノナトリエナール、E,E−2,4−デカジエノールからのE,E−2,4−デカジエナール、E,Z−8,10−ドデカジエノールからのE,Z−8,10−ドデカジエナール、Z,E−5,7−ドデカジエノールからのZ,E−5,7−ドデカジエナール、E,Z−4,9−テトラデカジエノールからのE,Z−4,9−テトラデカジエナール、Z−11,13−テトラデカジエノールからのZ−11,13−テトラデカジエナール、Z,E−9,11,13−テトラデカトリエノールからのZ,E−9,11,13−テトラデカトリエナール、E,Z−4,6−ヘキサデカジエノールからのE,Z−4,6−ヘキサデカジエナール、Z,Z−7,11−ヘキサデカジエノールからのZ,Z−7,11−ヘキサデカジエナール、Z,Z−11,13−ヘキサデカジエノールからのZ,Z−7,11−ヘキサデカジエナール、E,E,Z−4,6,11−ヘキサデカトリエノールからのE,E,Z−4,6,11−ヘキサデカトリエナール、及びZ,Z,E−7,11,13−ヘキサデカトリエノールからのZ,Z,E−7,11,13−ヘキサデカトリエナール等が挙げられる。
分岐状飽和アルデヒドとしては、2,7−ジメチルオクチルアルコールからの2,7−ジメチルオクチルアルデヒド、3,7−ジメチルオクチルアルコールからの3,7−ジメチルオクチルアルデヒド、4,5−ジメチルデシルアルコールからの4,5−ジメチルデシルアルデヒド、4,8−ジメチルデシルアルコールからの4,8−ジメチルデシルアルデヒド、及び2−エチルドデシルアルコールからの2−エチルドデシルアルデヒド等が挙げられる。
分岐状不飽和アルデヒドとしては、2,6−ジメチル−5−ヘプテノールからの2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、14−メチル−Z−8−ヘキサデセノールからの14−メチル−Z−8−ヘキサデセノール、3,7−ジメチル−E−2,6−オクタジエノールからの3,7−ジメチル−E−2,6−オクタジエナール、3,7,11−トリメチル−E−6,10−ドデカジエノールからのE−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエナール、ゲラニオールからのゲラニアール、及びシトロネロールからのシトロネラール等が挙げられる。
芳香族アルデヒドとしては、ベンジルアルコールからのベンズアルデヒド、3−メチルベンジルアルコールからの3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンジルアルコールからの4−メチルベンズアルデヒド、及び4−イソプロピルベンジルアルコールからの4−イソプロピルベンズアルデヒドが挙げられる。
【0013】
第2級アルコールから得られるケトンの具体例としては、直鎖状飽和ケトン、直鎖状不飽和ケトン、分岐状飽和ケトン、分岐状不飽和ケトン、環状飽和ケトン、環状不飽和ケトン等が挙げられる。
直鎖状飽和ケトンとしては、2−ヘキサノールからの2−ヘキサノン、3−ヘキサノールからの3−ヘキサノン、2−オクタノールからの2−オクタノン、3−オクタノールからの3−オクタノン、2−ノナノールからの2−ノナノン、3−ノナノールからの3−ノナノン、4−ノナノールからの4−ノナノン、2−デカノールからの2−デカノン、3−デカノールからの3−デカノン、2−ドデカノールからの2−ドデカノン、及び3−ドデカノールからの3−ドデカノン等が挙げられる。
直鎖状不飽和ケトンとしては、E−3−ノネン−2−オールからのE−3−ノネン−2−オン、Z−6−ノネン−2−オールからのZ−6−ノネン−2−オン、E−7−デセン−2−オールからのE−7−デセン−2−オン、1−ドデセン−3−オールからの1−ドデセン−3−オン、E−7−テトラデセン−2−オールからのE−7−テトラデセン−2−オン、1−ヘキサデセン−3−オールからの1−ヘキサデセン−3−オン、Z−7−オクタデセン−11−オールからのZ−7−オクタデセン−11−オン、Z−12−ノナデセン−11−オールからのZ−12−ノナデセン−11−オン、Z−13−イコセン−10−オールからのZ−13−イコセン−10−オン、Z−6−ヘンエイコセン−11−オ−ルからのZ−6−ヘンエイコセン−11−オン、及びZ−14−トリコセン−10−オールからのZ−14−トリコセン−10−オン等が挙げられる。
分岐状飽和ケトンとしては、2−メチル−4−ヘプタノールからの2−メチル−4−ヘプタノン、4−メチル−3−ヘプタノールからの4−メチル−3−ヘプタノン、4,6−ジメチル−3−オクタノールからの4,6−ジメチル−3−オクタノン、4−メチル−5−ノナノールからの4−メチル−5−ノナノン、5−エチル−4−ノナノールからの5−エチル−4−ノナノン、4,6,8−トリメチル−2−デカノールからの4,6,8−トリメチル−2−デカノン、及び3,7,11−トリメチル−5−ドデカノールからの3,7,11−トリメチル−5−ドデカノン等が挙げられる。
分岐状不飽和ケトンとしては、4−メチル−E−4−ヘキセン−3−オールからの4−メチル−E−4−ヘキセン−3−オン、5−エチル−2−ヘプテン−4−オールからの5−エチル−2−ヘプテン−4−オン、4,6−ジメチル−E−4−オクテン−3−オールからの4,6−ジメチル−E−4−オクテン−3−オン、4,6,10−トリメチル−E,E−2,4−ドデカジエン−7−オールからの4,6,10−トリメチル−E,E−2,4−ドデカジエン−7−オン、及び7−エチル−4−ペンタデセン−6−オールからの7−エチル−4−ペンタデセン−6−オン等が挙げられる。
環状飽和ケトンとしては、シクロペンタノールからのシクロペンタノン、2−メチル−シクロペンタノールからの2−メチル−シクロペンタノン、シクロヘキサノールからのシクロヘキサノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノールからの4−tert−ブチルシクロヘキサノン、及びL−メントールからのメントン等が挙げられる。
環状不飽和ケトンとしては、2−シクロヘキセノールからの2−シクロヘキセノン、3−シクロヘキセノールからの3−シクロヘキセノン、3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オールからの3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキセン−2−オールからの3,3,5−トリメチルシクロヘキセン−2−オン、及び6−イソプロピル−3−メチルシクロヘキセン−2−オールからの6−イソプロピル−3−メチルシクロヘキセン−2−オン等が挙げられる。
【0014】
アルデヒド又はケトンの製造方法において、使用される高分子カルボジイミドは、一般式(1)に示されるものである。
【化2】

(上式中、R及びRは、互いに同一又は異なる、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を示す。Rは、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリーレン基、炭素数4〜18の置換もしくは非置換のアルキレンシクロアルキレン基、又は炭素数7〜18の置換もしくは非置換のアルキレンアリーレン基を示す。nは、上記の分子量を満たす数である。)
【0015】
及びRとしては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられ、特にシクロヘキシル基が好ましい。
【0016】
としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンシクロアルキレン基、
アリーレン基、アルキレンアリーレン基が挙げられる。
のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
のシクロアルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
のアルキレンシクロアルキレン基としては、1,3−シクロヘキシレンメチレン基、1,4−シクロヘキシレンメチレン基等のシクロヘキシレンメチレン基、シクロヘキシレンエチレン基、4,4’−ジシクロヘキシレンメチレン基等のジシクロヘキシレンメチレン基、ジシクロヘキシレンエチレン基、シクロヘキシレンジメチレン基、シクロヘキシレンジエチレン基等が挙げられる。
のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
のアルキレンアリーレン基としては、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ジフェニレンメチレン基、ジフェニレンエチレン基、フェニレンジメチレン基等が挙げられる。
非置換のRとしては、特にジシクロヘキシレンメチレン基、シクロヘキシレンメチレン基、フェニレンジメチレン基が好ましい。
【0017】
、R及びRが有しても良い置換基としては、好ましくは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基等のアルキル基(但し、R、R及びR自体がアルキル基の場合を除く)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、塩素、臭素などのハロゲン基、アセトキシ基が挙げられる。
置換されたRとしては、3,5,5−トリメチル−1,3−シクロヘキシレンメチレン基、α,α,α’,α’−テトラメチルメタキシリレン基、及びα,α,α’,α’−テトラメチルパラキシリレン基等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で表される高分子カルボジイミドの好ましい具体例を以下に記載する。
【化3】

市販品としては、例えば、R及びRがシクロヘキシル基、Rが4,4’−ジシクロヘキシレンメチレン基であるカルボジライト(登録商標)V−03(50質量%高分子カルボジイミド/トルエン溶液:日清紡ケミカル株式会社製品)が挙げられる。
【0019】
高分子カルボジイミドの重量平均分子量は、溶媒への溶解性の点から300〜5000、好ましくは2000〜3000である。高分子カルボジイミドの重量平均分子量は、ポリスチレンを基準としたGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)を用いて得ることができる。
アルコールの酸化反応の副生物として、カルボジイミド化合物から尿素化合物が生成する。高分子カルボジイミドを用いた場合、この尿素化合物は高分子カルボジイミド中のカルボジイミド結合が尿素結合に変換された一般式(5)に示すものであると考えられる。
【化4】

(上式中、R、R、R及びnは、上記と同様である。)
【0020】
高分子カルボジイミドの使用量は、特に限定されないが、反応性や生産性の点から、原料アルコール1モルに対して、高分子カルボジイミド中のカルボジイミド基当量として、1.2〜5.0モル、特に1.5〜2.0モルが好ましい。
【0021】
高分子カルボジイミドは、好ましくは、有機溶媒に溶解して用いる。
高分子カルボジイミドを溶解する際の有機溶媒としては、高分子カルボジイミドを溶解し反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、好ましくは、アルコールの酸化反応の副生物としてカルボジイミドから生ずる尿素化合物が不溶な有機溶媒である。尿素化合物を濾過等により容易に除去できるからである。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒やクロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、特にはトルエンが好ましい。これら溶媒は単独で使用されても、2種類以上の混合溶媒を用いても良い。
有機溶媒は、高分子カルボジイミドだけでなく、第1級又は第2級アルコール、スルホキシド、酸及び塩基を溶解するものが好ましい。第1級アルコール又は第2級アルコールを、高分子カルボジイミドの有機溶媒溶液と、スルホキシド化合物と、酸、塩基との存在下で酸化することで、反応中に均一層となり、従来知られていた水溶性カルボジイミドやN−アルキルカルボジイミドポリスチレン樹脂に比べ反応性が向上する。
ジメチルスルホシドは、後述するスルホキシドの例に含まれ、高分子カルボジイミドを溶解する溶媒としても使用できる。
【0022】
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、原料アルコール1モルに対して、好ましくは50〜500ml、より好ましくは100〜300mlである。また、有機溶媒が、スルホキシド化合物でもある場合の使用は、原料アルコール1モルに対して、好ましくは100〜3000ml、より好ましくは500〜1000mlである。
【0023】
酸化反応は、高分子カルボジイミド、スルホキシド化合物、酸及び塩基又はそれらの塩の存在下で行う。
スルホキシド化合物としては、一般式(4)に示されるものである。
CH(R)S=O (4)
(上式中、Rは、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。)
【0024】
スルホキシド化合物は、一般的にPfizner−Moffat酸化に用いられるジメチルスルホキシドが好ましいが限定されるものではなく、反応後副生するジメチルスルフィドの臭気が問題となる場合、より分子量が大きく臭気の影響の少ない、スルホキシド化合物を用いることが出来る。
具体的には、ジメチルスルホキシド、エチルメチルスルホキシド、プロピルメチルスルホキシド、ブチルメチルスルホキシド、ペンチルメチルスルホキシド、ドデシルメチルスルホキシドが挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用しても良い。
【0025】
スルホキシド化合物の使用量は、特に限定されないが、反応性、生産性の点で、原料アルコール1モルに対して、好ましくは0.5〜50.0モル、より好ましくは10.0〜20.0モルである。
【0026】
酸としては、例えばトリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、無水オルソリン酸、亜リン酸等が挙げられ、特にトリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、無水オルソリン酸が好ましい。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
酸の使用量は特に限定されないが、反応性、不純物の副生量の点で、原料アルコール1モルに対して、好ましくは0.3〜2.0モル、より好ましくは0.3〜0.5モルである。
【0027】
塩基としては、例えばピリジン、キノリン、トリエチルアミン、アニリン、モルホリン、ピペリジン等が挙げられ、特にピリジンが好ましい。使用量としては反応性、不純物の副生量の点で、原料アルコール1モルに対して、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜1.0モルである。
【0028】
第1級又は第2級アルコールを、高分子カルボジイミド、スルホキシド、酸及び塩基、場合によっては有機溶媒の存在下で酸化させる場合、第1級又は第2級アルコール、スルホキシド、酸及び塩基、場合によっては有機溶媒の混合物に高分子カルボジイミドの有機溶媒溶液を添加することが、反応性の点から好ましい。
【0029】
酸と塩基を使用するため、酸と塩基から形成される塩が存在していてもよい。また、酸と塩基に換えて、酸と塩基から形成される塩を使用することも可能である。例えば、ピリジンとトリフルオロ酢酸に換えて、トリフルオロ酢酸のピリジニウム塩を使用することも可能である。一般的には、酸と塩基を使用することが好ましい。
反応機構としては、初めに酸からのHが高分子カルボジイミドを活性化することで、例えばジメチルスルホキシドと反応して活性種を発生し、これにアルコールが反応して尿素が副生され、最後にアルデヒドが脱離してジメチルスルフィドを生成することが考えられる。塩基は、最後のアルデヒド生成のHの引き抜きを行うものと考えられる。
【0030】
酸化反応の反応温度は、特に限定されないが、室温付近の穏和な条件で行える反応の有効性、また不純物の副生を制御する点から、好ましくは10〜30℃、より好ましくは20〜25℃である。
酸化反応の反応時間は、特に限定されないが、生産性の点から、好ましくは3〜10時間、より好ましくは5〜6時間である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、E,Z−4,6−ヘキサデカジエルアルコール(119.2g:0.50mol)、ジメチルスルホキシド(586g:7.50mol)、トルエン(200g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(39.6g:0.50mol)続いてトリフルオロ酢酸(28.5g:0.25mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(431.1g:1.0mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(80g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下で溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、E,Z−4,6−ヘキサデカジエニルアルデヒド(bp:123−128℃[0.27KPa]、98.0g:0.41mol)が得られた(収率82.9%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0032】
[実施例2]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、Z,Z−7,11−ヘキサデカジエルアルコール(71.5g:0.30mol)、ジメチルスルホキシド(352g:4.50mol)、トルエン(120g)を添加し、反応溶液温度20−23℃にて撹拌した。これにピリジン(23.7g:0.30mol)続いてトリフルオロ酢酸(17.1g:0.15mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(258.7g:0.60mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(48g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、Z,Z−7,11−ヘキサデカジエルアルデヒド(bp:112−117℃[0.27KPa]、65.3g:0.28mol)が得られた(収率99.0%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0033】
[実施例3]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、Z−11−ヘキサデセニルアルコール(72.1g:0.30mol)、ジメチルスルホキシド(352g:4.50mol)、トルエン(120g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(23.7g:0.30mol)続いてトリフルオロ酢酸(17.1g:0.15mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(258.7g:0.60mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(48g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、Z−11−ヘキサデセニルアルデヒド(bp:114〜120℃[0.27KPa]、59.6g:0.25mol)が得られた(収率83.4%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0034】
[実施例4]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、シトロネロール(46.9g:0.30mol)、ジメチルスルホキシド(352g:4.50mol)、トルエン(120g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(23.7g:0.30mol)続いてトリフルオロ酢酸(17.1g:0.15mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(258.7g:0.60mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(48g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、シトロネラール(bp:76〜78℃[0.27KPa]、34.6g:0.22mol)が得られた(収率74.7%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0035】
[実施例5]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、1−ドデシルアルコール(55.9g:0.30mol)、ジメチルスルホキシド(352g:4.50mol)、トルエン(120g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(23.7g:0.30mol)続いてトリフルオロ酢酸(17.1g:0.15mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(258.7g:0.60mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(48g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、1−ドデシルアルデヒド(bp:75〜78℃[0.27KPa]、39.4g:0.21mol)が得られた(収率71.3%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0036】
[実施例6]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、4−tert−ブチルシクロヘキサノール(15.6g:0.10mol)、ジメチルスルホキシド(117.2g:1.50mol)、トルエン(40g)を添加し、反応溶液温度20−23℃にて撹拌した。これにピリジン(7.9g:0.10mol)続いてジクロロ酢酸(6.4g:0.05mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(86.2g:0.20mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(16g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、4−tert−ブチルシクロヘキサノン(bp:88〜90℃[1.06KPa]、14.1g:0.09mol)が得られた(収率91.3%)。得られたケトン化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0037】
[実施例7]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、L−メントール(15.6g:0.10mol)、ジメチルスルホキシド(117.2g:1.50mol)、トルエン(40g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(7.9g:0.10mol)続いてジクロロ酢酸(6.4g:0.05mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、カルボジライトV−03(日清紡ケミカル社製:431.1g/mol)(86.2g:0.20mol)を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で5時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(16g)にて反応を停止した。反応停止後、析出した尿素化合物を濾過により分離した。濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、メントン(bp:82〜85℃[1.33KPa]、12.3g:0.08mol)が得られた(収率79.7%)。得られたケトン化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0038】
[比較例1]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、E,Z−4,6−ヘキサデカジエルアルコール(23.8g:0.10mol)、ジメチルスルホキシド(117g:1.50mol)、トルエン(20g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これにピリジン(7.9g:0.10mol)続いてトリフルオロ酢酸(6.4g:0.05mol)を滴下し、25℃以下に保って10分間撹拌した。撹拌後、1−エチル−3−(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EPCI:38.2g:0.20mol)のトルエン(50g)懸濁液を反応液が25℃以下となるように滴下した。滴下後、23〜25℃で28時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(16g)にて反応を停止した。反応停止後、水層を分液した後に食塩水で再度洗浄を行った。
得られた有機層は減圧下溶媒を除去し、残渣を減圧蒸留して、E,Z−4,6−ヘキサデカジエニルアルデヒド(bp:125〜132℃[0.27KPa]、14.7g:0.06mol)が得られた(収率62.3%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。
【0039】
[比較例2]
撹拌機、冷却コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応器に、E,Z−4,6−ヘキサデカジエルアルコール(0.72g:3.0mmol)、ジメチルスルホキシド(3.52g:45mmol)、トルエン(4.00g)を添加し、反応溶液温度20〜23℃にて撹拌した。これに25℃以下で、ピリジン(0.24g:3.0mmol)続いてトリフルオロ酢酸(0.17g:1.5mmol)を滴下、10分間撹拌した。撹拌後、:N−シクロヘキシルカルボジイミドポリスチレン樹脂(東京化成工業株式会社製:666.7g/mol)(4.0g:6.0mmol)を反応液が25℃以下となるように添加した。滴下後、23〜25℃で8時間撹拌し、反応液は1.0%酢酸水溶液(3g)にて反応を停止した。反応停止後、反応液し濾液は水層を分液した後に、食塩水で洗浄を行った。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)にて精製し、E,Z−4,6−ヘキサデカジエニルアルデヒド(0.34g:1.45mmol)が得られた(収率48.2%)。得られたアルデヒド化合物は、NMR、Mass及びIRスペクトルを用いて確認した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1級アルコール又は第2級アルコールを、下記一般式(1)
【化1】

(上式中、R及びRは、互いに同一又は異なる、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を示し、Rは、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリーレン基、炭素数4〜18の置換もしくは非置換のアルキレンシクロアルキレン基、又は炭素数7〜18の置換もしくは非置換のアルキレンアリーレン基を示し、nは、上記の分子量を満たす数である。)
で示される重量平均分子量300〜5000の有機溶媒に可溶な高分子カルボジイミドと、スルホキシド化合物と、酸及び塩基又はそれらの塩との存在下で酸化させる酸化ステップを少なくとも含むアルデヒド又はケトンの製造方法。
【請求項2】
上記酸化ステップが、上記酸化後に副生する尿素化合物が不溶な上記有機溶媒の存在下で行われる請求項1に記載のアルデヒド又はケトンの製造方法。
【請求項3】
上記第1級アルコール又は第2級アルコールが、下記一般式(2)又は(3)
−CH−OH (2)
(R)CH−OH (3)
(上式中、Rは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示し、R及びRは、独立して互いに同一又は異なる炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示し、互いに環を形成しても良い。)
で示される請求項1又は請求項2に記載のアルデヒド又はケトンの製造方法。
【請求項4】
上記スルホキシド化合物が、下記一般式(4)
CH(R)S=O (4)
(上式中、Rは、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。)
で示される請求項1〜3のいずれかに記載のアルデヒド又はケトンの製造方法。
【請求項5】
上記酸が、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、無水オルソリン酸及び亜リン酸からなる群から選ばれる請求項1〜4のいずれかに記載のアルデヒド又はケトンの製造方法。
【請求項6】
上記塩基が、ピリジン、キノリン、トリエチルアミン、アニリン、モルホリン、及びピペリジンからなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれかに記載のアルデヒド又はケトンの製造方法。


【公開番号】特開2011−236177(P2011−236177A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111041(P2010−111041)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】