説明

アルデヒド含有空気の浄化剤およびその製造方法

【課題】 空気中に含まれるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのアルデヒド成分を、極めて迅速に、かつ高い除去率で、除去するための空気浄化剤を提供すること。
【解決手段】 シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子の100重量部に対し、ヒドラジド化合物の少なくとも1種の5〜70重量部を担持してなる担持粒子を有効成分として含み、当該担持粒子の細孔容積が0.1〜2.0ml/gである、アルデヒド含有空気浄化剤組成物。当該組成物を支持体に固定してなるアルデヒド含有空気浄化材。平均粒径が1mm〜5mmの粒状アルデヒド含有空気浄化材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカゲル粒子とアルミナ粒子のいずれか1種または2種の無機粒子に、ヒドラジド化合物を担持してなる組成物であって、空気中に含まれるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのアルデヒド成分を、極めて迅速に、かつ高い除去率で、除去するための空気浄化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトアルデヒドはタバコ臭、溶剤臭、体臭、デイーゼルエンジンの排気ガスなどに含まれ、極めて少ない量でも臭気が感知される不快成分であるが、物理的吸着によっては、なかなか除去しにくいガスであるといわれている。またホルムアルデヒドは、合成建材や壁紙用接着剤中に含まれ、室内に拡散して化学物質過敏症の原因になることが知られている。
【0003】
近年、家庭、オフィス、ホテル、レストランの空気浄化や、自動車への空気取り入れフィルターなどの空気浄化のため、浄化機能を設けた空気清浄機やエアコンが販売されている。これらに採用される浄化剤は、ほぼ常温下で、その機能が発揮できなければならないこと、また脱臭剤からの発臭や、吸着された臭気物質の化学変化による別の臭気の発生など、二次的問題が生じないことも必要である。
【0004】
従来、アルデヒド類を含む空気の除去剤としては、多孔質無機粒子への吸着や、アミン類やヒドラジド化合物による反応による捕捉除去や、多孔質無機粒子と反応性有機物質を組み合わせた組成物が数多く知られている。
【0005】
例えば、水溶性または水分散性樹脂と、アルデヒド類吸着能を有する窒素含有化合物(各種アミン類やヒドラジド類)と、活性アルミナ粒子等よりなる、壁紙等に塗布する水性塗料が紹介されている。塗料中には活性アルミナ、活性白土、チタン白、クレー粉などの顔料と、ジヒドラジドなどの化合物と、その他樹脂成分等が、水中あるいは乳化液中で、混合され、塗料とされる。なお該窒素含有化合物(例えばジヒドラジド)の、塗料中の割合は0.1〜3重量%であり、3%を超えると、塗膜の耐水性が低下するとされている(特許文献1を参照)。
【0006】
また、ヒドラジド類、アゾール類等と酢酸ナトリウムなどの弱酸金属塩を、水溶液や有機溶剤溶液として混合した、アルデヒドの消臭性組成物が紹介されている。該溶液組成物は、必要に応じて合成樹脂等を混合して、被処理剤に塗布して使用される。該組成には、効果を損なわない範囲で、公知の消臭剤(ゼオライト、シリカゲル等)を適宜添加できるとされている(特許文献2を参照)。しかしながらシリカゲルやゼオライトについての詳細は、全く開示がない。
【0007】
さらに、水性溶媒またはアルコール性溶媒を分散媒に分散した水性シリカゾルに対して、ヒドラジド水溶液を加えた、アルデヒド類消臭剤が紹介されている(特許文献3を参照)。
【0008】
これら公知技術は、ヒドラジド化合物、無機化合物粒子、その他を混合してなるアルデヒド除去組成物であり、実施例をみると相応の効果を発揮しているようである。しかしながら例えば、特許文献3に開示の発明の消臭剤は、アセトアルデヒド除去作用はみられるものの、濃度低下の早さが遅く、しかも濃度の低下度合いは、大きいとはいえない。
【0009】
空気の浄化材に期待される機能は、たとえば浄化剤を担持したペーパーフィルターに、大量の空気を通過させ、短時間で、アルデヒドを効率的に捕集できること、しかも約50〜100℃程度の高温の空気を接触させても、捕集されたアルデヒド化合物が浄化剤から脱着しないこと、すなわち二次汚染がないことである。この点で、従来技術より、一層優れた浄化剤が望まれている。
【特許文献1】特開2000−95980号公報
【特許文献2】特開2000−152979号公報
【特許文献3】特開2004−290543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、空気中に含まれるアルデヒド類、特にアセトアルデヒドの除去速度が速く、かつ除去率が大きいアルデヒド含有空気浄化剤組成物を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の目的は、吸着したアルデヒド類の脱着や変質による、二次汚染がないアルデヒド含有空気浄化剤組成物を提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、前記浄化剤組成物を用いた、用途に応じた任意の形態の支持体、例えばハニカム、に担持したアルデヒド含有空気浄化材、あるいは平均粒径1〜5mmの粒状アルデヒド含有空気浄化材を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の別の目的は、前記浄化材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、上記目的達成のため研究した結果、ヒドラジド化合物を、特定の性質を有するシリカゲル粒子および/またはアルミナ粒子に担持させた組成物、すなわち、空気中に含まれるアルデヒド化合物の除去効率(浄化速度と除去率)を著しく向上させることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子の100重量部に対し、ヒドラジド化合物の少なくとも1種の5〜70重量部を担持してなる担持粒子を有効成分として含み、当該担持粒子の細孔容積が0.1〜2.0ml/gである、アルデヒド含有空気浄化剤組成物である。
【0016】
さらに本発明は、上記アルデヒド含有空気浄化剤組成物を支持体に固定したアルデヒド含有空気浄化材にある。
【0017】
さらに、本発明は、上記アルデヒド含有空気浄化材の製造方法にあり、当該製造方法は以下の工程:
:細孔容積が0.3〜2.0ml/gであるシリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子を、ヒドラジド化合物の溶液により、含浸処理し、該無機粒子100重量部に対し、該化合物5〜70重量部を担持してなる、担持粒子を作る工程(工程1);該担持粒子と、バインダーを含む分散液を、支持体に塗布し、該支持体に担持粒子を含む被膜を形成する工程(工程2);及び該被膜を乾燥し、担持粒子を支持体に固定する工程(工程3);を含む。
【0018】
また、本発明は粒状アルデヒド含有空気浄化材の製造方法にあり、当該製造方法は以下の工程:
平均細孔直径40〜250Åであり、平均粒径0.1〜300μmの、シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の粒子を、ヒドラジド化合物の少なくとも1種を含む液体で含浸処理して、該化合物を担持した、担持粒子を作る工程(工程イ);及び;該担持粒子を用いて平均粒径0.5〜5mmの粒状体に造粒する工程(工程ロ);を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアセトアルデヒド浄化剤組成物は、空気中に含まれるアルデヒド類を極めて迅速に除去でき、しかも吸着したアルデヒド類の脱着や変質による、二次汚染がない。この組成物は、多種形状の支持体に担持できるから、多用途に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の空気浄化剤組成物の1成分は、シリカゲル粒子及びアルミナ粒子のいずれか1種または2種の粒子であるが、これらを本明細書では、以下「SiO/Al粒子」と表示することがある。また、当該SiO/Al粒子に、ヒドラジド化合物の少なくとも1種を担持した状態の粒子を「担持粒子」と表示することがある。
【0021】
本発明で使用する各種の性質は以下の方法で測定したものである:すなわち、
平均細孔径、細孔容積、細孔分布;窒素ガス吸脱着法(BJH法)、
BET比表面積;窒素ガス吸脱着法(BET法)、及び
粒度分布、平均粒径; レーザー回折散乱法である。
【0022】
本発明の担持粒子は、SiO/Al粒子に、ヒドラジド化合物溶液を十分含浸させ、その後、乾燥させた状態の粒子である。したがってヒドラジド化合物は粒子の細孔中に、微粒子として少なくとも一部存在しているが、該化合物の残りの一部分は、粒子表面にも担持されている場合があるが、これを排除するものではない。
【0023】
本発明の担持粒子は、SiO/Al粒子の多孔質無機粒子100重量部に対し、ヒドラジド化合物の少なくとも1種を、5〜70重量部で構成されており、しかも該担持粒子は、0.1〜2.0ml/g、好ましくは0.15ml/g以上の細孔容積を有するものである。細孔容積が0.1ml/g未満の担持粒子で構成した浄化剤は、アルデヒド除去作用が十分ではない。担持粒子の細孔容積の上限は、アルデヒド除去効果よりも、むしろ市場入手できるSiO/Al粒子の上限で決められる値であって、2.0ml/g以下である。
【0024】
本発明で使用できるSiO/Al粒子の粒子サイズには、特別な制限はなく、平均粒径0.1μm〜5mm、好ましくは1μm〜5mmの範囲で、担持粒子を空気浄化に使用する際の形態に適した粒径が選択される。例えば担持粒子をハニカムなどの支持体や球状担体表面へ塗布し、被膜を形成して使用する場合、あるいは噴霧造粒等により、より大きいサイズの球や顆粒として使用する場合には、スラリー形成用に適したサイズ、例えば平均粒径0.1〜300μm、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは1〜200μmの範囲の無機粒子を使用するのが適当である。別の態様としては、担持粒子をろ紙等のフィルターに装填して使用する場合には、平均粒径0.5〜5mmの球やペレット状の無機粒子を使用するのが適当である。
【0025】
本発明で使用できるSiO/Al粒子は、いわゆる二次粒子もしくは二次粒子で造粒された造粒粒子であって
、多孔質である。SiO/Al粒子の細孔は、ヒドラジド化合物を担持することにより、減少あるいは消滅しやすく、とりわけ細孔直径が約30Å以下の小細孔は、消滅程度が大きい。またSiO/Al粒子に対するヒドラジドの重量割合が大きくなるほど、担持粒子の細孔容積は減少する。したがって平均細孔径30Å以上、好ましくは40Å以上、250Å以下を有し、しかも細孔容積0.3ml/g以上、好ましくは0.5ml/g以上、より好ましくは0.6ml/g以上を有するSiO/Al粒子を使用するのが、アセトアルデヒド除去性能に優れた浄化剤組成物を得る上で好ましい。なおSiO/Al粒子の細孔容積および平均細孔径の上限には、特に制限はないが、市販品の入手可能性を考慮すると、2.0ml/g程度、250Å以下である。またSiO/Al粒子が、例えば10〜50Åの範囲と、50〜250Åの範囲に2つの細孔分布ピークを有する粒子でも構わない。

本発明では、シリカゲル粒子とアルミナ粒子のいずれか単独、またはシリカゲルとアルミナの割合が1:99〜99:1(重量)の混合物が使用できる。
【0026】
本発明の担持粒子で構成された浄化剤は、SiO/Al粒子と、ヒドラジド化合物との相乗作用により、アルデヒド除去速度が速く、かつ除去率も大きい浄化効果を発揮する。ちなみにシリカゾルやアルミナゾルとヒドラジド化合物との混合液を塗布して、作成した被膜、あるいは混合系から溶媒を蒸発乾固して得た固形物では、アルデヒド除去作用が、本発明の浄化剤に比べて、非常に小さい。
【0027】
本発明で使用され得るシリカゲル粒子は、市販品として入手できる。たとえば富士シリシア社製のキャリアクトG−10,同G−3,同Q−10、日本化学工業製の多孔質シリカが例示されるが、前記の細孔性状を有するものであれば、これらに限定されるものではない。
【0028】
また本発明で使用できるアルミナ粒子は、活性アルミナであって、多孔質構造をもつ、γ―アルミナ単独からなるアルミナ、無定形アルミナ分、擬ベーマイト分を含んでいても良い。該活性アルミナは、無定形水和ゲルなどのアルミナ水和物を200〜900℃で焼成して、その結晶水が脱水して活性アルミナとなる活性アルミナ前駆体(細孔構造を有する中間アルミナ)である。本発明で使用されるアルミナ粒子は、たとえば市販品としてUOP社製V-GL25が例示されるが、前記の細孔性状を有するものであれば、これらに限定されるものではない。例えば市販品としてUOP社製NST-9、NST-7、EAB-11、EAB-15が例示される。なお本発明で使用できるアルミナ粒子には、アルミナ構造の一部分をシリカで置換した、シリカ・アルミナ粒子を包含し、例えば市販品としてUOP社製SAB-6、SAB-10、SAB-12が好ましく使用できる。
【0029】
本発明で使用できるヒドラジド化合物は、分子中にヒドラジド基(−CONHNH2)を1または2個有する、モノまたはジヒドラジド化合物であって、下記式1で表される1種または2種以上である;下式1:
【0030】
【化1】

【0031】
(式1において、R−COは炭素数1〜8の飽和または不飽和脂肪族モノまたはジカルボン酸残基であり、nは1または2である)で表される1種または2種以上である。
【0032】
具体的には、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸などのカルボン酸群から選択される少なくとも1種のモノまたはジヒドラジド化合物の1種または2種以上が好ましく、中でも常温〜150℃の温度範囲で、固体であって、水溶解性のものが、浄化剤の製造面では好ましく、具体的にはコハク酸ジヒドラジドやアジピン酸ジヒドラジドが好ましく使用される。
【0033】
以下、担持粒子の製造について説明する。本発明の担持粒子は、SiO/Al粒子100重量部あたり、ヒドラジド化合物を5〜70重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜40重量部とするのが、浄化速度と浄化率の向上面から好ましい。なおヒドラジド化合物が70重量部を超えると、浄化速度がむしろ低下する。
【0034】
担持粒子は、ヒドラジド化合物の溶液、好ましくは水溶液を用意し、これにSiO/Al粒子を含浸させて、細孔の内部まで、溶液を十分に浸透させ、その後、乾燥する工程により、製造できる。含浸操作において、SiO/Al粒子は、多量の溶媒を吸収するため、粒子全体が十分湿潤する状態になるよう、溶媒量が、多めのヒドラジド溶液を使用するのが好ましい。溶液を含浸した後、80〜150℃の温度範囲で乾燥し、溶媒を蒸発させることにより、ヒドラジド化合物が、粒子の細孔内部に固体状に析出した担持粒子が得られる。なお以上の含浸と乾燥の処理操作は、複数回、繰り返しても良い。別の態様例は、SiO/Al粒子を含むスラリーを支持体に塗布し、乾燥して被膜形成後に、ヒドラジド化合物溶液を含浸させ、その後乾燥することによって、担持粒子を製造しても良い。
【0035】
本発明の浄化剤組成物は、ヒドラジド化合物を担持した状態のSiO及び/又はAl粒子である。この担持粒子は、細孔容積0.1ml/g以上、好ましくは0.2ml/g以上、さらに好ましくは0.25ml/g以上、2.0ml/g以下のものが、アルデヒド浄化速度が高く、浄化率が高く、しかも耐久性が大きい。細孔容積が0.1ml/g未満の担持粒子で構成された組成物では、アルデヒド浄化速度が高いものにならない。
【0036】
本発明の浄化剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、ゼオライト、モルデナイト等の粒子の1種または2種以上を適宜添加することができる。またアルデヒド成分のほか、空気中に含まれる揮発性炭化水素(VOC)(例えば炭素数2〜10の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど芳香族炭化水素)を同時に吸着除去する目的の場合、疎水性ゼオライト、特にはシリカライト、あるいはβゼオライト粒子を、SiO/Al粒子の100重量部あたり、5〜50重量部配合することが好ましい。
【0037】
(アルデヒド含有空気浄化材への適用)
以上述べた本発明のアルデヒド含有空気浄化剤組成物の適用形態例は、空気浄化触媒等に使用される公知のハニカム状担体、フィルター、網その他各種形状の成形支持体に担持して使用できる。あるいは該組成物とバインダー等を加えたスラリーあるいは混煉物として、より大きいサイズの球、顆粒、円柱などの粒状体に造粒し、これをフィルター等に装填して、アルデヒド浄化用として使用される。これら該組成物が成形支持体に担持され、もしくは、該組成物を含む粒状体が担持あるいは充填された状態の構造体を、本発明ではアルデヒド含有空気浄化材という。
【0038】
なお支持体の構造、材料、組成物の担持量などは、使用される温度、処理量、空気中の他の含有成分、耐久性その他の処理条件を考慮して、適宜選択される。また支持体への担持あるいは粒状物の形成には、公知のバインダーの使用が好ましい。
【0039】
したがって本発明は、成形構造を有するアルデヒド含有空気浄化材の製造方法であって、以下の工程1〜3を包含するものである;すなわち、
工程1;細孔容積が0.3〜2.0ml/gである、シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子を、ヒドラジド化合物の溶液により、含浸処理し、該無機粒子100重量部に対し、該化合物5〜70重量部を担持してなる、担持粒子を作る工程;
工程2;該担持粒子と、バインダーを含む分散液を、支持体に塗布し、該支持体に担持粒子を含む被膜を形成する工程;
工程3;該被膜を乾燥し、担持粒子を支持体に固定する工程
である。
【0040】
更に工程1と工程2との間に、含浸粒子を 50〜150℃の温度範囲で乾燥させる工程を含ませることができる。本発明の浄化剤組成物は、使用条件や製造時の温度条件を考慮して選択されるが、常温〜90℃程度で十分効果を発揮するから、支持体の材料やバインダーには、耐熱性は要求されない。具体例としてはコージライト、アルミナ、シリカ・アルミナ、ゼオライト、セピオライト、ホプカライト等ほか、セルロースアセテート繊維、和紙、不織布、樹脂、金属、ガラス繊維が好ましい。
【0041】
前記本発明の製造方法で使用できるバインダーとしては、担持粒子間の結合、担持粒子と支持体との固着性、被膜中の担持粒子と空気中のアルデヒド成分との接触性が阻害されないこと、および担持粒子の細孔構造への悪影響がないこと、さらには加工性、経済性、使用される環境条件等を考慮して、用途に応じて、シリカゾル、アルミナゾル、コロイダルシリカゾル、水ガラス、樹脂等の公知のバインダーから選択できる。
【0042】
支持体へ本発明の組成物を担持するには、例えば平均粒径0.1〜300μmの担持粒子を、濃度10〜45重量%で、これに適宜バインダーを加えた水、アルコールあるいは有機溶剤のスラリーを用意して、デイップコーテイング、スプレー散布など、公知の手段で塗布し、80〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度範囲で、空気乾燥させるのが好ましい。
【0043】
本発明の粒状アルデヒド含有空気浄化材は、ろ紙、不織布などの通気性材料を重ねあわせ、その層間に、当該浄化材を充填した、粉塵などの除去を兼ね備えた、フィルター材として使用することができる。この場合、通気抵抗の抑制等のため、平均粒径がより大きい、具体的には0.5〜5mm程度の、粒状体が好ましい。本明細書中では、「粒状体」という用語には真球に限らず、柱状、ペレット、顆粒、外面へ被膜形成した球なども含む。
【0044】
このような、粒状体の製造には、SiO及び/又はAl粒子として、平均細孔直径40〜250Å、細孔容積0.1〜2.0ml/gを有する、粒子径0.5〜5mmの、造粒粉を使用し、これにヒドラジド化合物溶液を含浸し、乾燥して、製造してもよい。
【0045】
別の手段としては、最初に平均細孔直径40〜250Å、平均粒径0.1〜300μmのSiO/Al粒子の、少なくとも1種の粒子を、ヒドラジド化合物を含む液体で処理して、該化合物を担持した担持粒子を作成し、これを用いて0.5〜5mmの粒状体に造粒する。これによりアルデヒドに除去効率が優れる浄化材が得られる。
【0046】
したがって本発明は、以下の工程を包含する、粒状アルデヒド含有空気浄化材の製造方法である;すなわち、
工程イ;平均細孔直径40〜250Å、平均粒径0.1〜300μmのシリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の粒子を、ヒドラジド化合物を含む液体に含浸処理して、該化合物を担持した、担持粒子を作る工程;及び
工程ロ;該担持粒子を用いて、平均粒径0.5〜5mmを有する粒状体に造粒する工程、
である。
【0047】
上記、工程ロの造粒工程では、必要に応じて、前記のバインダーを使用することができる。さらにアルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなど、各種の無機酸化物粒子を、担持粒子に混合して、使用することができる。
【0048】
以上の説明のとおり、本発明のアセトアルデヒド浄化材剤組成物および浄化材は、常温〜100℃の温度範囲で、除去作用を発揮するため、工場、家庭、商業施設、車両など、多くの分野の空気浄化に使用できる。使用形態としては、エアコン、空気清浄機などへの装着、あるいは和紙や不織布などへ担持したシートとして、室内に取り付けてもよい。また他のVOC成分を同時に除去するために、公知の貴金属系酸化触媒との併用も可能である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例にもとづき、本発明の構成および効果を具体的に説明する。これらは本発明の一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0050】
なお粒径および細孔に関する測定は、以下の方法で行った。
【0051】
平均粒径;レーザー回折散乱法(測定装置;LS230、ベックマンコールター社製)
細孔分布、細孔容積および平均細孔径;窒素ガス吸脱着法(BJH法)(測定装置;ASAP2010 micromeritics社製)
BET比表面積;窒素ガス吸脱着法(BET法)(測定装置;ASAP2010 micromeritics社製)
なお以下の実施例および比較例の記載において、使用した原料や試料の、識別符号として、シリカゲル粒子とシリカゾル粒子を併せて、例えば「シリカ粒子S1」というような表現する場合があるが、本発明の範囲に影響を与えることを意図したものではない。
【0052】
(実施例、比較例)
シリカ粒子およびアルミナ粒子
表1に実施例および比較例の試料調整に用いた、シリカ粒子(S1〜S7)およびアルミナ粒子(A1〜A3)の種類と、その細孔性状を示す。また表1には、これらにヒドラジド化合物としてアジピン酸ジヒドラジド化合物(以下ADHで表す)を、33重量%(注:粒子100重量部あたり49重量部に相当)担持した、担持粒子の細孔性状も併せて示す。
【0053】
【表1】

【0054】
シリカ粒子S5は、SiOの超微細粒子を21重量%含有する水系ゾルである。シリカゲル粒子S6は、S5のゾルから水分を蒸発除去し、150℃で乾燥して得られた固形物を粉砕、分級したものである。
【0055】
アルミナ粒子A2は、アルミナゾルから水分を蒸発除去し、150℃で乾燥して得られた固形物を粉砕、分級したものである。
【0056】
図1A〜図1Eに、以下のシリカおよびアルミナの各粒子、ならびにこれらにADHを33重量%担持した粒子(担持粒子)の、細孔分布チャートを示す。ここで、図1Aはシリカ粒子S1、図1Bはシリカ粒子S2、図1Cはシリカ粒子S3、図1Dはシリカ粒子S4、図1Eはシリカ粒子S6、図1Fはアルミナ粒子A1、及び図1Gはアルミナ粒子A2である。
【0057】
試料調製
シリカ粒子を用いた浄化剤試料を表2に、アルミナ粒子を用いた浄化剤試料を表3に示す。これら試料を以下のとおり作成した。
【0058】
<試料1> アジピン酸ジヒドラジド水溶液(オーシカ製ディアムッシュFC-7)を80℃にて12時間かけて蒸発乾固して得た固形物を100メッシュ以下に粉砕して試料とした。
【0059】
<試料2〜試料4、試料6> 表1に示したシリカ粒子を試料とした。
【0060】
<試料5> 水性シリカゾル分散液(日産化学製、スノーテックスC)を80℃にて蒸発乾固して、得た固形物を粉砕して、100メッシュ以下に粒径をそろえて試料とした。
【0061】
<試料7> 水性シリカゾル分散液(日産化学製、スノーテックスO)を80℃にて蒸発乾固して、得た固形物を粉砕して、100メッシュ以下に粒径をそろえて使用した。
【0062】
<試料8> 試料1で用いたADHの40gを、イオン交換水460CCに溶解した溶液中に、シリカ粒子S1の80gを、攪拌下で徐々に投入し、30分間攪拌した。その後、80℃で、12時間、乾燥器内に放置して、水分を蒸発し、100メッシュ以下に粉砕して試料8を調製した。
【0063】
<試料9> シリカ粒子S1の代りに、シリカ粒子S2を使用した他は試料8と同じ方法で、試料9を調製した。
【0064】
<試料10> シリカ粒子S1の代りに、シリカ粒子S3を使用した他は試料8と同じ方法で、試料10を調製した。
【0065】
<試料11> シリカ粒子S1の代りに、シリカ粒子S4を使用した他は試料8と同じ方法で、試料11を調製した。
【0066】
<試料12> 試料1で用いたADHの40gを、イオン交換水460CCに溶解した溶液中に、シリカ粒子S2を80gと、バインダーとして、水性シリカゾル分散液(スノーテックスC、SiO分21%含有)を、SiO分として13.3g相当量を、攪拌下で徐々に投入し、その他は試料8と同じ条件で、試料12を調製した。
【0067】
<試料13> シリカ粒子S5240gに、ADH(8wt%水溶液)300gを加えて、30分間攪拌した後、乾燥器によって、80℃、約12時間かけて、水分を蒸発させて、固形物を得た。これを乳鉢にて破砕して、100メッシュの篩で、粒径150μm以下に揃えて、試料13を調製した。
【0068】
<試料14> シリカ粒子S1の代りに、それぞれシリカ粒子S6,S7を使用した以外は試料8と同じ方法で、試料14および15を調製した。
【0069】
<試料15> シリカ粒子S7を使用した以外は、試料13と同様の操作にて、試料15を調製した。
【0070】
<試料20> 試料1に同じ。
【0071】
<試料21> アルミナ粒子A1を、使用して試料21とした。
【0072】
<試料22> アルミナ粒子A2を、使用して試料22とした。
【0073】
<試料23> アルミナ粒子A3を、使用して試料23とした。
【0074】
<試料24> シリカ粒子S1の代りに、アルミナ粒子A1を使用した以外は試料8と同じ方法で、試料24を調製した。
【0075】
<試料25> シリカ粒子S1の代りに、アルミナ粒子A2を使用した以外は試料8と同じ方法で、試料25を調製した。
【0076】
<試料26> シリカ粒子S1の代りに、アルミナ粒子A3を使用した以外は試料8と同じ方法で、試料26を調製した。
【0077】
評価試験A
撹拌用ファンを取り付けた、30リットルの密閉型試験箱の底部に、各試料(粉末状)0.5gを時計皿に入れて設置した。温度25℃、湿度50%に調整した後、アセトアルデヒドを加熱蒸発させて、試料箱内の濃度を100ppmに調整した後、撹拌用ファンの運転を開始した。運転開始から5分、10分、30分、60分経過後のアセトアルデヒド濃度をFID式ガスクロマトグラフィーにより測定し、初期濃度に対するアセトアルデヒド除去率(%)を次式で求めた。
【0078】
【数1】

【0079】
実験1の結果;
各試料について、評価試験Aを行った結果を表2および表3に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
表2に示すとおり、ADHのみで調製した試料1(比較例1)は、10分後の除去率が36%、60分後のそれは51%であった。
【0083】
粒子のみで調製した試料2〜7(比較例2〜7)は、10分後の除去率が14〜35%、60分後のそれは17〜41%であった。
【0084】
シリカゾル分散液にADHを添加して調製した試料13(比較例8)、および該シリカゾル分散液を蒸発、乾燥して得られたシリカ粒子S6を使用して製造した試料14(比較例9)は、試料1とほぼ同様の除去性能であり、併用による相乗作用はほとんど認められなかった。
【0085】
これに対して、シリカ粒子S1、S2、S3およびS4と、ADHを組み合わせて調製した試料8〜12(実施例1〜5)は、10分後の除去率が71〜87%、30分後で91〜98%と、短時間に、アセトアルデヒドを除去した。すなわち、ADHとシリカゲル粒子の組み合わせによって、アセトアルデヒドの除去率が向上した。
【0086】
表3に示すとおり、アルミナ粒子A1とADHを組み合わせて調製した試料25(実施例6)においても、10分後のアセトアルデヒドの除去率が64%、60分後のそれは96%であった。
【0087】
以上の結果より、本発明の組成物は、SiO2/Al2O3粒子とヒドラジド化合物との相乗作用により、短時間で、アルデヒドを除去することが明らかである。
【0088】
〔ADH担持粒子の細孔〕
本発明の組成物を製造するSiO2/Al2O3粒子の細孔性状と、ヒドラジド化合物との組み合わせにより作られた組成物、すなわち担持粒子、のアセトアルデヒド除去性能の関係について説明する。なおADH化合物を担持していないシリカゲルあるいはアルミナ粒子を“担持前”といい、該化合物を担持したあとの粒子(すなわち組成物)を“担持後あるいは担持粒子”という場合がある。
【0089】
図2に、試料8〜11、14,15、および24〜26につき、担持前の各粒子の細孔容積と、担持後の細孔容積の関係を示す。図2は、表2及び表3の結果から、表1の細孔容積(担持前及び担持後)のデータをプロットしたものである。図中の◆印は、ADH担持により、アセトアルデヒドの除去効果が著しく向上した、すなわち本発明の浄化剤を構成する組成物を表している。また図中の●印は、ADH担持後でも、除去効果の向上が小さいか、認められなかった組成物を表している。
【0090】
図2から明らかなように、担持粒子の細孔容積が0.1ml/g以上、好ましくは0.2ml/g以上、さらに好ましくは0.25ml/g以上を有する組成物で構成された浄化剤が、アセトアルデヒドの浄化性能が極めて優れることが明らかである。
【0091】
〔実験2〕
表4のとおり、シリカ粒子S2とADHの重量割合を100:0〜0:100に変えた試料つき、評価試験Aの方法で、アセトアルデヒドの残存濃度を計測し、除去率を算出した。その結果を図3に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
図3のとおり、シリカゲル粒子:ADH(重量比)が95:5〜50:50の担持粒子で構成した浄化剤組成物は、10分後のアセトアルデヒド除去率が60%以上と、それぞれ単独成分に比べて、著しく向上すること、中でも90:10〜60:40、特には85:15〜65:35の割合の組成物では、除去速度が極めて速いこと、また30分〜60分で、95%以上と、ほぼ完全にアセトアルデヒドを除去できることが明らかである。
【0094】
〔実験3〕
ハニカム型浄化材の作成
試料8の製法により調製した、シリカ粒子S1にADHを担持した粒子(シリカ粒子S1の100重量部あたりADH50重量部を担持)225gと、バインダー(SiO2換算で20重量%のSiOを含むシリカゾル)280gと、イオン交換水300ccを混合して、スラリーを調製した。このスラリーにコージライト製ハニカム(日本ガイシ社製:400セル、縦75mm×横36mm×厚さ19mm)を浸漬し、引き上げた後、ハニカム支持体の見かけ体積1リットル当たり100gの担持量となるように空気を吹き付けて、余剰のスラリーを除去した後、80℃で2時間乾燥し、ハニカム型浄化材Iを得た。
【0095】
評価試験B
1mのチャンバー内を、アセトアルデヒド濃度4ppm、相対湿度50%、温度25℃の空気を満たし、中に設けたシロッコファンの出口部に、ハニカム型浄化材Iを取り付けた。このファンによって、空間速度SVを385,000h−1(線速度3.1m/秒に相当)で、空気を該浄化材Iに連続的に通過させて、チャンバー内のアセトアルデヒドの濃度推移を評価試験Aの方法で測定した。図4に示すとおり、本発明の浄化剤を用いて作成したハニカム浄化材は、通風開始から10分後で89%、20分後では99%の除去率を達成した。
【0096】
〔実験4〕
本発明の浄化剤組成物を用いて、以下の方法により、アセトアルデヒドの脱着性能(すなわち二次汚染防止性能)を評価した。
【0097】
吸着操作
1mチャンバーに、前掲の試料9の粉末1.5gを散布したガラス時計皿を設置したのち、アセトアルデヒド濃度を50ppmに設定した。温度25℃、相対湿度50%に設定した。チャンバー内の攪拌ファンを回して、3分後の残留濃度を初期値とし、その後18時間攪拌ファンを回しながらアセトアルデヒドを吸着させた。3分後の残留濃度は34.0ppmであった。18時間後残留濃度は14.2ppmであった。濃度差から、重量換算した後、サンプル1g当たりの吸着量を計算した結果は、23.78mg/gであった。
【0098】
脱着操作
吸着処理した試料9をガラス製サンプル瓶に保管しておいて、350ccのガス採取口付き三角フラスコに、該試料9の約0.2gを精秤して、ガラス時計皿に設置した。室温に安定させた後のフラスコ内のアセトアルデヒド濃度は0.9ppmであった。その後80℃の乾燥器内で、30分間三角フラスコを加熱させて脱着を行ったところ、フラスコ内残留濃度は20.3ppmに上昇した。
【0099】
【数2】

【0100】
これを重量換算した後、試料1g当たりの脱着量を計算した。
【0101】
【数3】

【0102】
同様に、60〜100℃の各温度での脱着率を測定した結果は以下のとおりである;
60℃における脱着率;0.09%
80℃における脱着率;0.26%
100℃における脱着率;0.47%
本発明の浄化剤は、100℃に加熱しても、吸着されたアセトアルデヒドは脱着され難く、二次汚染を起こし難い浄化剤であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のアセトアルデヒド浄化材剤組成物および浄化材は、常温〜100℃の温度範囲で、除去作用を発揮するため、工場、家庭、商業施設、車両など、多くの分野の空気浄化に使用できる。使用形態としては、エアコン、空気清浄機などへの装着、あるいは和紙や不織布などへ担持したシートとして、室内に取り付けてもよい。また他のVOC成分を同時に除去するために、公知の貴金属系酸化触媒との併用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1A】シリカ粒子S1の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1B】シリカ粒子S2の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1C】シリカ粒子S3の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1D】シリカ粒子S4の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1E】シリカ粒子S6の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1F】アルミナ粒子A1の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図1G】アルミナ粒子A2の担持前とADH(33重量%)担持後の細孔分布図である。
【図2】担持前の各粒子の細孔容積と、担持後の細孔容積との関係である。
【図3】シリカゲル粒子対ヒドラジド化合物の割合とアセトアルデヒドの除去率との関係である。
【図4】ハニカム型浄化材での試験結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子の100重量部に対し、ヒドラジド化合物の少なくとも1種の5〜70重量部を担持してなる担持粒子を有効成分として含み、当該担持粒子の細孔容積が0.1〜2.0ml/gである、アルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項2】
多孔質無機粒子の平均細孔直径が40〜250Åである、請求項1又は2に記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項3】
多孔質無機粒子の細孔容積が0.3〜2.0ml/gである、請求項1又は2に記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項4】
担持粒子が、多孔質無機粒子100重量部に対し、ヒドラジド化合物が10〜50重量部担持してなる粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項5】
担持粒子の平均粒径が、0.1μm〜5mmの粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項6】
担持粒子が、ヒドラジド化合物を含浸担持した粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項7】
ヒドラジド化合物が、式1:
【化1】

(式中、R−COは炭素数1〜8の飽和または不飽和脂肪族モノまたはジカルボン酸残基を表し、nは1又は2)で表される1種または2種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項8】
ヒドラジド化合物が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸よりなるカルボン酸群から選ばれる少なくとも1種のモノまたはジヒドラジドのいずれか1種または2種以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のアルデヒド含有空気浄化剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を支持体に固定してなる、アルデヒド含有空気浄化材。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物が造粒されてなる、平均粒径0.5〜5mmの粒状アルデヒド含有空気浄化材。
【請求項11】
以下の工程:
工程1:細孔容積が0.3〜2.0ml/gであるシリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の多孔質無機粒子を、ヒドラジド化合物の溶液により、含浸処理し、該無機粒子100重量部に対し、該化合物5〜70重量部を担持してなる、担持粒子を作る工程;
工程2;該担持粒子と、バインダーを含む分散液を、支持体に塗布し、該支持体に担持粒子を含む被膜を形成する工程;及び
工程3;該被膜を乾燥し、担持粒子を支持体に固定する工程;
を含む、アルデヒド含有空気浄化材の製造方法。
【請求項12】
工程1と工程2の間に、担持粒子を 50〜150℃の温度範囲で乾燥する工程を含む、請求項11に記載のアルデヒド含有空気浄化材の製造方法。
【請求項13】
支持体がフィルター状、シート状、円筒状、積層体、ハニカム構造体又はネットのいずれかである、請求項11又は12に記載アルデヒド含有空気浄化材の製造方法。
【請求項14】
以下の工程:
工程イ;平均細孔直径40〜250Åであり、平均粒径0.1〜300μmの、シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の粒子を、ヒドラジド化合物の少なくとも1種を含む液体で含浸処理して、該化合物を担持した、担持粒子を作る工程;及び
工程ロ;該担持粒子を用いて平均粒径0.5〜5mmの粒状体に造粒する工程;
を含む、粒状アルデヒド含有空気浄化材の製造方法。
【請求項15】
以下の工程:
工程a;平均細孔直径40〜250Åであり、細孔容積が0.1〜2.0ml/gでかつ粒子径が0.5〜5mmの、シリカゲル粒子およびアルミナ粒子から選択される少なくとも1種の造粒粉を準備する工程;及び
工程b;該造粒粉をヒドラジド化合物の少なくとも1種を含む液体で含浸処理して、該化合物を担持した、担持造粒粉を作る工程;
を含む、粒状アルデヒド含有空気浄化材の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2】
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