アルミキャスト打込みプレキャストコンクリート
【課題】アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを提供する。
【解決手段】鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャスト12と、アルミキャスト12内に充填されるコンクリート14とからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート10において、アルミキャスト12とコンクリート14との間に設けられ、アルミキャスト12とコンクリート14の熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材16と、熱膨張率の違いによるアルミキャスト12とコンクリート14の変位の差を吸収し、アルミキャスト12とコンクリート14とを接続する接続機構18とを備えるようにする。
【解決手段】鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャスト12と、アルミキャスト12内に充填されるコンクリート14とからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート10において、アルミキャスト12とコンクリート14との間に設けられ、アルミキャスト12とコンクリート14の熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材16と、熱膨張率の違いによるアルミキャスト12とコンクリート14の変位の差を吸収し、アルミキャスト12とコンクリート14とを接続する接続機構18とを備えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミキャスト打込みプレキャストコンクリートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムなどの金属材は建物の外壁の化粧材として使用されている。このような金属材は、建物のコンクリート躯体に対して乾式工法により取り付けることから、下地および仕上げ代が必要となる。また、乾式工法による取り付け作業は、煩雑で手間を要するものとなっている。また、打設されたコンクリートと一体化されるコンクリート型枠が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146807号公報
【特許文献2】特許第3133211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄をアルミニウムで被覆したシームレスなアルミ鋳物(アルミキャスト)を、プレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができれば施工が簡略化される上、意匠性、耐候性、加工性に優れることから好都合である。しかしながら、コンクリートとアルミキャストは熱膨張率が異なることから、熱応力による変形で剥離するおそれがあり、アルミキャストを建物躯体のような構造材の型枠として利用することは難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項1において、前記熱緩衝材は、前記アルミキャスト裏面に膜状に設けた発泡ウレタンからなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項1または2において、前記接続機構は、前記アルミキャストの裏面から突き出た金属製のアンカー部材からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項3において、前記アンカー部材は、前記アルミキャストに対して変位自在に構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えるので、アルミキャストとコンクリートは半永久的に一体化され、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を示す切断斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を示す斜視図である。
【図3】図3は、アルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図4】図4は、熱緩衝材が設けられたアルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図5】図5は、アルミキャスト周辺の部分断面図である。
【図6】図6は、アンカー部材の取り付け状態を示す正面断面図である。
【図7】図7は、アンカー部材の取り付け状態を示す上面断面図である。
【図8】図8は、アンカー部材の取り付け状態を示す側面断面図である。
【図9】図9は、高層建物の立面図である。
【図10】図10は、図9の高層建物の外壁の部分拡大図である。
【図11】図11は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの他の実施例を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11のアルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図13】図13は、図11のアルミキャストの裏面側の別角度からの斜視図である。
【図14】図14は、図10のA−A線に沿った断面図である。
【図15】図15は、図10のB−B線に沿った断面図である。
【図16】図16は、図14および図15の部分拡大図であり、(a)は図14の部分拡大図、(b)は図15の部分拡大図である。
【図17】図17は、図16(a)の部分斜視図である。
【図18】図18は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの建物外壁への設置施工状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1および図2に示すように、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート10は、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャスト12と、アルミキャスト12内に充填されるコンクリート14とからなり、発泡ウレタン16(熱緩衝材)と、アンカー部材18およびリブ20(接続機構)とを備える。
【0014】
発泡ウレタン16は、アルミキャスト12とコンクリート14との間に設けられ、アルミキャスト12とコンクリート14の熱膨張率の違いを緩衝するためのものである。図3〜図5に示すように、コンクリート14充填前の吹き付け処理によってアルミキャスト12の裏面に膜状に設けてある。なお、発泡ウレタン16の代わりに発泡材テープを用いてアルミキャスト12とコンクリート14とを熱的に絶縁してもよい。
【0015】
アンカー部材18は、三角形状に曲げられたステンレス棒からなり、アルミキャスト12の裏面の突出リブ20から内方に突き出すように設けてある。このアンカー部材18は、熱膨張率の違いによるアルミキャスト12とコンクリート14の変位の差を吸収し、アルミキャスト12とコンクリート14とを接続するためのものである。
【0016】
このアンカー部材18は、図6〜図8に示すように、折り曲げられた2つの端部18aを介してアルミキャスト12の裏面のリブ20の係合孔22に係合してある。この係合孔22は、端部18aの径よりも大径で構成してあり、端部18aとの間で隙間を作っている。コンクリート14に定着したアンカー部材18はアルミキャスト12に対して隙間分だけ変位可能である。
【0017】
このように、本発明によれば、外装のアルミキャスト12とコンクリート14とを半永久的に一体化することができる。このため、アルミキャスト12をプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【0018】
また、化粧材としての金属板をコンクリートに乾式工法で取り付けていた従来の方法に比べ、本発明は、アルミキャスト12内にコンクリート14を充填すればよいので、施工手順が簡略化される。さらに、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを工場製作して現場に運搬すれば施工期間の短縮も図れる。
【0019】
また、本発明では乾式工法によらずにアルミキャスト12をコンクリート14に接合するので外装仕上げ寸法の縮小化が図れ、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを窓枠として使用する場合には、窓枠の開口部面積を拡大することも可能になる。
【0020】
次に、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを、高層建物の構造材を兼ねた外壁として使用する場合の実施例について、図9〜図18を参照しながら説明する。
【0021】
図9および図10に示すように、高層建物2には複数の窓枠4が備わっている。この窓枠4を、図11〜図16に示すような門型ユニット構造のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100で構成する。こうすることで、シームレスなアルミキャスト12をプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外装とすることができる。
【0022】
このシームレスなアルミキャスト12は、コンクリート14に生じ得るクラックへの雨水の侵入を防止する役割も担うことができる。
【0023】
また、図16(a)、図17および図14に示すように、突出部24におけるアルミキャスト12の表面に水みち用の溝26を左右に延設してある。このため、アルミキャスト12に付着した雨水は、この溝26に入り込んでアルミキャスト12の側面から下方に落下する。このため、アルミキャスト12表面に雨水による水垢が付着せずに済む。
【0024】
なお、門型ユニット構造のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100を建物2の外壁として設置施工する場合には、図18に示すように、既設の下階のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100の上面にクレーン等で積載する。そして、アルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100から突出した鉄筋6と既設の鉄筋6同士を接続し、現場打ちコンクリート等で接合すればよい。このようにすれば、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100を、高層建物2の構造材を兼ねた外壁として使用することも可能である。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えるので、アルミキャストとコンクリートは半永久的に一体化され、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、プレキャストコンクリートの型枠として有用であり、特に、そのまま建物の外壁躯体として用いるのに適している。
【符号の説明】
【0027】
2 高層建物
4 窓枠
6 鉄筋
10,100 アルミキャスト打込みプレキャストコンクリート
12 アルミキャスト
14 コンクリート
16 発泡ウレタン(熱緩衝材)
18 アンカー部材(接続機構)
18a 端部
20 リブ(接続機構)
22 係合孔
24 突出部
26 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミキャスト打込みプレキャストコンクリートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムなどの金属材は建物の外壁の化粧材として使用されている。このような金属材は、建物のコンクリート躯体に対して乾式工法により取り付けることから、下地および仕上げ代が必要となる。また、乾式工法による取り付け作業は、煩雑で手間を要するものとなっている。また、打設されたコンクリートと一体化されるコンクリート型枠が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146807号公報
【特許文献2】特許第3133211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄をアルミニウムで被覆したシームレスなアルミ鋳物(アルミキャスト)を、プレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができれば施工が簡略化される上、意匠性、耐候性、加工性に優れることから好都合である。しかしながら、コンクリートとアルミキャストは熱膨張率が異なることから、熱応力による変形で剥離するおそれがあり、アルミキャストを建物躯体のような構造材の型枠として利用することは難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項1において、前記熱緩衝材は、前記アルミキャスト裏面に膜状に設けた発泡ウレタンからなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項1または2において、前記接続機構は、前記アルミキャストの裏面から突き出た金属製のアンカー部材からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、上述した請求項3において、前記アンカー部材は、前記アルミキャストに対して変位自在に構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えるので、アルミキャストとコンクリートは半永久的に一体化され、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を示す切断斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を示す斜視図である。
【図3】図3は、アルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図4】図4は、熱緩衝材が設けられたアルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図5】図5は、アルミキャスト周辺の部分断面図である。
【図6】図6は、アンカー部材の取り付け状態を示す正面断面図である。
【図7】図7は、アンカー部材の取り付け状態を示す上面断面図である。
【図8】図8は、アンカー部材の取り付け状態を示す側面断面図である。
【図9】図9は、高層建物の立面図である。
【図10】図10は、図9の高層建物の外壁の部分拡大図である。
【図11】図11は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの他の実施例を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11のアルミキャストの裏面側の斜視図である。
【図13】図13は、図11のアルミキャストの裏面側の別角度からの斜視図である。
【図14】図14は、図10のA−A線に沿った断面図である。
【図15】図15は、図10のB−B線に沿った断面図である。
【図16】図16は、図14および図15の部分拡大図であり、(a)は図14の部分拡大図、(b)は図15の部分拡大図である。
【図17】図17は、図16(a)の部分斜視図である。
【図18】図18は、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの建物外壁への設置施工状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1および図2に示すように、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート10は、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャスト12と、アルミキャスト12内に充填されるコンクリート14とからなり、発泡ウレタン16(熱緩衝材)と、アンカー部材18およびリブ20(接続機構)とを備える。
【0014】
発泡ウレタン16は、アルミキャスト12とコンクリート14との間に設けられ、アルミキャスト12とコンクリート14の熱膨張率の違いを緩衝するためのものである。図3〜図5に示すように、コンクリート14充填前の吹き付け処理によってアルミキャスト12の裏面に膜状に設けてある。なお、発泡ウレタン16の代わりに発泡材テープを用いてアルミキャスト12とコンクリート14とを熱的に絶縁してもよい。
【0015】
アンカー部材18は、三角形状に曲げられたステンレス棒からなり、アルミキャスト12の裏面の突出リブ20から内方に突き出すように設けてある。このアンカー部材18は、熱膨張率の違いによるアルミキャスト12とコンクリート14の変位の差を吸収し、アルミキャスト12とコンクリート14とを接続するためのものである。
【0016】
このアンカー部材18は、図6〜図8に示すように、折り曲げられた2つの端部18aを介してアルミキャスト12の裏面のリブ20の係合孔22に係合してある。この係合孔22は、端部18aの径よりも大径で構成してあり、端部18aとの間で隙間を作っている。コンクリート14に定着したアンカー部材18はアルミキャスト12に対して隙間分だけ変位可能である。
【0017】
このように、本発明によれば、外装のアルミキャスト12とコンクリート14とを半永久的に一体化することができる。このため、アルミキャスト12をプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【0018】
また、化粧材としての金属板をコンクリートに乾式工法で取り付けていた従来の方法に比べ、本発明は、アルミキャスト12内にコンクリート14を充填すればよいので、施工手順が簡略化される。さらに、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを工場製作して現場に運搬すれば施工期間の短縮も図れる。
【0019】
また、本発明では乾式工法によらずにアルミキャスト12をコンクリート14に接合するので外装仕上げ寸法の縮小化が図れ、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを窓枠として使用する場合には、窓枠の開口部面積を拡大することも可能になる。
【0020】
次に、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートを、高層建物の構造材を兼ねた外壁として使用する場合の実施例について、図9〜図18を参照しながら説明する。
【0021】
図9および図10に示すように、高層建物2には複数の窓枠4が備わっている。この窓枠4を、図11〜図16に示すような門型ユニット構造のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100で構成する。こうすることで、シームレスなアルミキャスト12をプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外装とすることができる。
【0022】
このシームレスなアルミキャスト12は、コンクリート14に生じ得るクラックへの雨水の侵入を防止する役割も担うことができる。
【0023】
また、図16(a)、図17および図14に示すように、突出部24におけるアルミキャスト12の表面に水みち用の溝26を左右に延設してある。このため、アルミキャスト12に付着した雨水は、この溝26に入り込んでアルミキャスト12の側面から下方に落下する。このため、アルミキャスト12表面に雨水による水垢が付着せずに済む。
【0024】
なお、門型ユニット構造のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100を建物2の外壁として設置施工する場合には、図18に示すように、既設の下階のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100の上面にクレーン等で積載する。そして、アルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100から突出した鉄筋6と既設の鉄筋6同士を接続し、現場打ちコンクリート等で接合すればよい。このようにすれば、本発明のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート100を、高層建物2の構造材を兼ねた外壁として使用することも可能である。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えるので、アルミキャストとコンクリートは半永久的に一体化され、アルミキャストをプレキャストコンクリートの型枠として利用し、そのまま建物の外壁とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係るアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートは、プレキャストコンクリートの型枠として有用であり、特に、そのまま建物の外壁躯体として用いるのに適している。
【符号の説明】
【0027】
2 高層建物
4 窓枠
6 鉄筋
10,100 アルミキャスト打込みプレキャストコンクリート
12 アルミキャスト
14 コンクリート
16 発泡ウレタン(熱緩衝材)
18 アンカー部材(接続機構)
18a 端部
20 リブ(接続機構)
22 係合孔
24 突出部
26 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、
前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、
前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えることを特徴とするアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項2】
前記熱緩衝材は、前記アルミキャスト裏面に膜状に設けた発泡ウレタンからなることを特徴とする請求項1に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項3】
前記接続機構は、前記アルミキャストの裏面から突き出た金属製のアンカー部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項4】
前記アンカー部材は、前記アルミキャストに対して変位自在に構成してあることを特徴とする請求項3に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項1】
鉄をアルミニウムで被覆してなり、プレキャストコンクリートの型枠として用いるアルミキャストと、前記アルミキャスト内に充填されるコンクリートとからなるアルミキャスト打込みプレキャストコンクリートにおいて、
前記アルミキャストと前記コンクリートとの間に設けられ、前記アルミキャストと前記コンクリートの熱膨張率の違いを緩衝するための熱緩衝材と、
前記熱膨張率の違いによる前記アルミキャストと前記コンクリートの変位の差を吸収し、前記アルミキャストと前記コンクリートとを接続する接続機構とを備えることを特徴とするアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項2】
前記熱緩衝材は、前記アルミキャスト裏面に膜状に設けた発泡ウレタンからなることを特徴とする請求項1に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項3】
前記接続機構は、前記アルミキャストの裏面から突き出た金属製のアンカー部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【請求項4】
前記アンカー部材は、前記アルミキャストに対して変位自在に構成してあることを特徴とする請求項3に記載のアルミキャスト打込みプレキャストコンクリート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−241651(P2011−241651A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116692(P2010−116692)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
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