説明

アルミナ膜とその製造方法並びに光学装置

【課題】アルミナの持つ本来の特性を持ち、各種絶縁膜やガスバリア膜などに使用可能な、透明性、絶縁性に優れたアルミナ膜を提供すると共に、該アルミナ膜を特殊な装置を用いることなく、簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】アミノアラン類およびイミノアラン類からなる群から選ばれる骨格にAl−N結合を持つ化合物を、酸素含有ガスを含む雰囲気中で50℃〜1000℃で加熱することにより酸化させてなる窒素を0.1〜20質量%含み、屈折率が1.65〜2.0であることを特徴とするアルミナ膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空装置を用いずに容易に形成できるアルミナ膜及びその製造方法並びに該アルミナ膜を用いた光学装置に関するものであり、更に詳しくは、光透過性が良く緻密質で電気絶縁性やガスバリア性に優れるので、LED等の発光素子、CCD等の受光素子、その他半導体素子に用いる拡散防止膜、絶縁膜、反射防止膜、及び封止材や、各種部材の保護皮膜、有機ELを代表とする平面表示素子に用いる保護フィルム、反射防止フィルム、等の構成要素として好適な材料を提供する、骨格にAl−N結合を持つ化合物を原料とするアルミナ膜ならびにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミナ膜は、従来から、半導体の絶縁膜や保護膜、薄膜磁気ヘッドのギャップ層や保護膜、金属部品の保護膜、プラスチックフィルム上のガスバリア膜、等の用途に検討されてきた。アルミナ膜製造方法は、溶射法、蒸着法、スパッタ法、CVD法、アルミニウムアルコキシド等の前駆体を用いる湿式法、ゾルゲル法、金属アルミニウムの陽極酸化法、等が知られており、これらの中から、用途に応じて必要な特性が得られる製造法を適宜選択して用いられてきた。
【0003】
溶射法は、アルミナ粉をプラズマ等で溶融しながら吹き付けて製膜する方法で、数μm以上の厚い膜の製膜に向くが、それ以下の薄い膜の製膜には向かない。出来た膜は、気孔を多く含み、表面の凹凸が大きく、使用環境中のガスを吸着しやすい等の問題がある。蒸着法、スパッタ法、CVD法は、膜の精度や密着性に優れてはいるが、真空容器を用いて、真空中や特定のガス分圧下で、特定の温度に加熱して製膜するので、高価な真空装置、雰囲気制御装置、加熱装置等が必要であり、また、製膜速度が小さい等、経済的に不利なプロセスであった。
【0004】
一方、アルミニウム塩を含む溶液を塗布し焼成する方法や、有機金属を用いるゾルゲル法は、高価な真空装置が不要であり、特別な装置なしに製膜できるが、膜厚を厚くすると膜にひびが入ったり、膜の表面が荒れたり、膜厚が不均一になる等の欠点があった。一般に、この方法では、クラックのない厚さが1μmを超える膜を作成するのは困難と言われている。
【0005】
例えば、薄膜磁気ヘッド用基板の場合、一般に基材として通称アルティック(アルミナ/チタンカーバイド複合材料)が用いられており、その表面に膜厚5〜100μmのアルミナ質保護層を形成する。この製膜は、例えば、Arを用いた高周波スパッタ法により、基板温度300℃、圧力0.66Paで行われるが、アルミナは最もスパッタ収率の小さい化合物の1つであるため、その成膜に長時間を要するといった問題があった。
【0006】
特許文献1には、静電チャック表面に形成するアルミナ膜について記載されている。即ち、半導体や光学薄膜などの製造プロセスであるスパッタリング、CVD、MBEなどに用いる真空処理装置中の、シリコン基板等を保持する静電チャックの電極表面にはアルミナ溶射膜を形成して使用されることがある。しかし、溶射膜は表面の凹凸が大きく、ガス吸着を起こすので、表面を鏡面研磨した後、緻密なスパッタアルミナ膜を形成して、放出ガスを低減することが開示されている。しかし、このアルミナ膜形成法は、溶射、研磨、スパッタの3工程が必要となり、不経済である。
【0007】
特許文献2には、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス等の駆動に用いる薄膜トランジスタ(TFT)の絶縁膜として用いられるアルミナ膜の形成法が記載されている。即ち、真空チャンバ内で、アルミニウムターゲット、或いはアルミニウム蒸着源を用いて、アルミニウムを基板上にスパッタ、或いは蒸着してアルミニウム膜を形成し、該アルミニウム膜を酸化性ガスを用いて酸化する工程を繰り返すアルミナ膜形成方法が記載されている。この方法は、アルミニウムの蒸着とアルミニウム蒸着膜の酸化の2つの工程を行うため、蒸着装置と酸化装置を分けて交互に処理したり、酸化性ガスの供給方法を微妙に制御したり、また、一度に形成するアルミナ膜の厚さを、100Å以下の厚さに限定するなどの工夫が必要であった。
【0008】
他のTFTの絶縁膜として用いられるアルミナ膜の形成方法は、回転する基板上に、トリメチルアルミニウム(TMA)、水蒸気、アルゴンガスを導入し、アルゴンガスにより前記の二種類のガスが混ざらないように工夫し、半導体基板の回転によって二種類の原料ガス雰囲気に何回も曝されて、Al膜の形成とその表面の酸化処理により、アルミナ膜の形成を順次行うという、CVD法の一種であるALD法が用いられることがあった。ところが、この方法は非常に薄い膜を積み重ねるので、手間がかかり、また、約20バッチも成膜処理を行うと、回転体や基板ホルダからアルミナ膜が剥離して、成膜中のアルミナ膜上に微細なゴミとなって付着し、絶縁膜としての信頼性を低下させていた。
【0009】
また,TMA等の原料ガスを使用すると、TMAのタンクはもちろんのこと、排ガス処理装置やリーク警報器などの附帯設備が必要であり、更に、排ガス処理装置のフィルタ交換やTMAタンク交換の手間が重なり、安全面、コストの点でも種々の問題が生じていた。
【0010】
アルミナ膜は、金属製の装飾品の保護膜としても用いられており、この場合は、一般に成膜速度が速いイオンプレーティング法が用いられる。例えば、特許文献3には、金属アルミニウムを酸素中に蒸発させる反応性イオンプレーティング法が開示されている。しかし、この方法は、製膜条件の幅が狭く、その条件から少しでも外れると、膜が変色して透明性が得られなかったり、未反応のアルミニウムが析出して電気絶縁性が損なわれるという問題があった。
【0011】
これに対して、特許文献4には、アルミナを蒸着材として高周波イオンプレーティング法によりアルミナ膜を製膜することが開示されている。この従来方法は、一般に、密着力が低くいので、使用中に剥がれ易く、また、蒸発材料のアルミナに焼結アルミナを用いると、溶解中にガスが発生しやすく、突沸が生じ基板表面にアルミナ粒子が付着し表面荒れを起こすという問題があった。
【0012】
この点を改良するために、特許文献5では、蒸着材料として溶融アルミナ粒を用い、2層に分けて蒸着し、一層目の蒸着時の圧力を高真空にすることや、2層目の蒸着で特定の圧力範囲に保ち酸素ガスを導入することや、製膜速度を10μm/hr以下に制限することが開示されており、手間の掛かる複雑な工程になっている。
【0013】
特許文献6には、アルミニウムアルコキシドを用いた湿式法によるアルミナ膜の形成方法の例が記載されている。各種アルミニウムアルコキシド、アセチルアセトン等の安定化剤、およびエチルアルコール等の溶媒とからなる塗布液を、基体上に塗布し、乾燥し、200℃から550℃で熱処理して、アルミナ膜が得られる。この膜は、熱水中へ浸漬したり、熱水蒸気に曝すと、表面が解膠作用を受けて、特異で微小な孔状の空隙を持った花弁状の形状物がランダムに集合体化した表層表面を有するものとなる。この様に、耐久性の乏しい膜となり、また、膜を構成する結晶性ベーマイト(AlOOH)の末端のOH基が空気中に配向し、そのため空気中の水分や不純物を必然的に吸着しており、それらがガス放出源となるという欠点を持つ。
【0014】
薄膜化してもピンホールの少ない改良アルミナ膜は、例えば、磁気ディスク装置や磁気テープ装置に用いうる複合型薄膜磁気ヘッドを構成する、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)の読取位置の分解能を高めるための薄くて絶縁性良好なリードギャップ層、あるいはインクジェットプリンタの印字ヘッドの圧電駆動部に、望まれている。これらの用途において、アルミナ膜はスパッタ法、CVD法、電子ビーム蒸着法などで製造されている。
【0015】
しかしながら、スパッタ法や電子ビーム蒸着法により成膜されたアルミナ絶縁体膜は、原子レベルでみると、比較的大きなアルミナのクラスタが重なり合って製膜されているので、クラスタ同士の空隙ができやすく、十分な絶縁性を確保するためには、絶縁体膜の膜厚を厚くせざるを得なかった。しかし、市場から強く要求されている高密度記録化には、記録ピッチをいっそう狭くする必要があり、狭い記録ピッチに合わせてMRヘッド周辺のリードギャップ絶縁層もいっそう薄くすることが必要となっている。
【0016】
そこで、特許文献7には、下部リードギャップ層と上部リードギャップ層に、厚さ10nmのアルミニウムを熱酸化して形成したアルミナ膜と、厚さ80〜100nmのスパッタアルミナ膜との複合膜を用いることが開示されている。また、特許文献8には、基材上に第1のアルミナ膜を形成し、その上にアルミニウムを成膜して、それを酸化処理して第2のアルミナ膜を形成する、アルミナ膜の製造方法が開示されている。
【0017】
しかし、これらの方法によれば、リードギャップ層の形成プロセスにおいて、成膜工程が増えるとともに、酸化工程が必要になり、工程が複雑化するという問題があり、かつ、スパッタアルミナ膜自体が80〜100nmと厚く、膜厚が50nm以下の高記録密度化に対応したMRヘッドにそのまま適用することは難しい。
【0018】
また、特許文献9には、アルミニウムアルコキシド、マグネシウム有機化合物、及び、酸素を原料としたプラズマCVD法によって、MgO添加アルミナ膜を堆積することを特徴とする絶縁膜の製造方法が開示されている。上記マグネシウム有機化合物がビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウムであり、上記アルミニウムアルコキシドがアルミニウムトリセカンダリブトキシドであり、複合型薄膜磁気ヘッドを構成するシールド間距離の狭いMRヘッドのリードギャップ層等に適しているとされている。
【0019】
ガスバリアフィルムの分野では、特許文献10に、アルミナ膜を形成した透明性に優れたガスバリア性二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法について記載されている。これによれば、基材である二軸配向ポリプロピレンフィルムが、ロール状から巻き出され、金属アルミニウムの蒸着を連続的に受け、連続的に酸化されながら、ロール状に巻き取られる。このアルミナ膜中には微細な気孔が存在し、また、金属アルミを若干量含んでいるので、ガスバリア性は不十分であるので、蒸着が行われたフィルムを蒸着容器から取り出し、特定の条件で大気に曝してエージングすることにより、十分なガスバリア性能が発現されるとしている。
【0020】
蛍光ランプにおいては、特許文献11に、ガラス管内面にアルミナ保護膜を形成し、よって高い光束を維持する蛍光ランプおよびその製造方法が記載されている。水銀および希ガスを含む封入ガスが充填された光透過性ガラス管の内壁面に、ベーマイト形アルミナおよびγ−アルミナを含むアルミナを主体として成る、厚み200から2000nmの保護膜を設けることを特長としている。しかし、この保護膜は、粉体を塗布して焼き付けているので、多孔質であり、保護膜の本来の目的であるガラス管に含まれるナトリウムと水銀との反応の防止という観点から不十分な物である。
【0021】
一方、特許文献12には、イミノアラン誘導体を含有する可溶性窒化アルミニウム前駆体が、収率の高い窒化アルミニウム前駆体となりうること、およびその合成方法が開示されている。非特許文献1、非特許文献2には、イミノアラン誘導体の中でも、かご型構造をとるプロピルイミノアラン6量体、エチルイミノアラン8量体は、アンモニアガス中で熱分解すると、高い収率で窒化アルミニウムが得られることが示されている。しかし、これらの文献には、イミノアラン誘導体が、優れた特性を持つアルミナ膜の原料となることは、記載されていない。
【0022】
【特許文献1】特開平5−1375号公報
【特許文献2】特開平6−101019号公報
【特許文献3】特開昭57−73178号公報
【特許文献4】特開昭63−62868号公報
【特許文献5】特開平6−116711号公報
【特許文献6】特開2000−181068号公報
【特許文献7】特開平9−198619号公報
【特許文献8】特開平11−181564号公報
【特許文献9】特開2001−279442号公報
【特許文献10】特開平10−329262号公報
【特許文献11】特開2001−15017号公報
【特許文献12】特開2001−172010号公報
【非特許文献1】Jurnal of Material Chemistry、6卷、6号、1055〜1058頁、1996年
【非特許文献2】無機マテリアル、4卷、五月号、280〜286頁、1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述のように、これまでに開発されたアルミナ膜は、種々の製膜方法に応じて、気泡やアルミニウム金属を含んでいて電気絶縁性が劣っていたり、製膜速度が遅いので製膜に長時間かかり経済的でなかったり、耐食性や耐久性が劣っていたり、基材との密着性が劣っていたり、といった欠点を持っていたので、本来のアルミナが持っている電気絶縁性、耐食性、非磁性といった優れた性質が十分に生かされず、応用範囲も限られていた。
【0024】
本発明の目的は、アルミナの持つ本来の特性を持ち、各種絶縁膜やガスバリア膜などに使用可能なアルミナ膜と、簡便な装置を用いる、低コストな、アルミナ膜の製造方法、並びに該アルミナ膜を用いた光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者らは、以上の点を鑑み、真空装置のような高価な装置を用いずに、簡便に製膜できる塗布法を用いて、アルミナ膜の作成法を種々検討した結果、本発明を完成した。
【0026】
本発明のアルミナ膜は、骨格にAl−N結合を持つ化合物を、酸素含有ガスを含む雰囲気中で酸化させてなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明のアルミナ膜の製造方法は、基材に、骨格にAl−N結合を持つ化合物、または該化合物の溶液を塗布し、酸素含有ガスを含む雰囲気中、50℃から1000℃の範囲中で加熱することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の光学装置は、上記アルミナ膜を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、絶縁性、耐食性、非磁性、耐摩耗性といったアルミナの持つ本来の特性を持った、各種部品の絶縁膜、保護膜、およびガスバリア膜などに使用可能なアルミナ膜が得られ、真空装置のような高価な装置を用いずに、簡便な装置で、低コストでアルミナ膜を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
【0031】
<アルミナ膜>
本発明のアルミナ膜は、骨格にAl−N結合を持つ化合物を、酸素含有ガスを含む雰囲気中で酸化させてなることを特徴とする。
【0032】
本発明のアルミナ膜は、窒素を0.1〜20質量%含み、屈折率が1.65から2.0であるが好ましい。アルミナ単結晶の屈折率は1.76であるが、アルミナ薄膜では1.63の値が報告されている。これは、結晶化の程度や含まれる不純物によって屈折率が変化することを示している。骨格にAl−N結合を持つ化合物を、酸素含有ガスを含む雰囲気中で酸化させると、出来たアルミナ膜に窒素が含まれることがある。本発明の窒素を含むアルミナ膜は、窒素を含まないアルミナ膜より屈折率が大きくなるので、用途によっては窒素が残ったほうが好ましい。アルミナ膜に含まれる窒素が0.1質量%より少ないと、屈折率を高める効果が期待できない。窒素が20質量%を超えると、膜の透明性が悪くなることがあるので、光学用途には適さない。
【0033】
本発明における骨格にAl−N結合を持つ化合物は、アラン(AlH3)、ジイソブチルアラン(AlHBu2i)、水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)、トリアルキルアルミニウム(R3Al)等のアルミニウム化合物を、第一級アミン(RNH2)、アンモニア(NH3)、エチレンジアミン(H2NCH2CH2NH2)、アルキルアミン塩酸塩(RNH2・HCl)等の窒素源と反応させて得た、アルミニウム−窒素結合を含む化合物である。
【0034】
すなわち、骨格にAl−N結合を持つ化合物を例示すれば、ジアルキルアルミニウムアミド(R2AlNH2、R=Me、Et、But)、アルキルアルミニウムイミド(RAlNH)、ジエチルアルミニウムアミド(Et2AlNH2)、エチルアルミニウムイミド(EtAlNH)、ビス−ジアルキルアルミニウムイミノ−エタン(R2AlNHCH2CH2NHAlR2)、アルキルアルミニウムイミノエタン(RAlNCH2CH2NAlR)、トリアミノアルミニウム(Al(NH23)、アミノアルミニウムイミン(Al(NH2)NH)、イミノアラン(HAlNH)、ジメチルイミノアラン(H2AlNMe2)、エチルイミノアラン(HAlNEt)、イソプロピルイミノアラン(HAlNPri)、これらの多量体、縮合体、これらの混合物、等を含む。これらの合成方法は、非特許文献2に記載されている。
【0035】
これらの骨格にAl−N結合を持つ化合物の中でも、アミノアラン類、イミノアラン類が好ましく、更に、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基を含むものが好ましい。また、メチル基の一部をエチル基又はプロピル基で置換されたメチルイミノアランまたはメチルアミノアランであり、その分子量が100〜1000000g/molの範囲であるものが好ましい。
【0036】
更に好ましくは、エチルイミノアラン8量体やプロピルイミノアラン6量体である。これらの物質は、Al−N結合によってかご型構造を形成しており、無極性溶媒に良く溶解し、分解後のアルミニウム収率が高いという特長を有する。
【0037】
アルミナ膜を形成する目的で、基材に骨格にAl−N結合を持つ化合物を塗布する場合、塗布厚さの制御や塗布方法の選択等の作業上の観点から、溶媒に良く解けることが重要である。また、塗布膜にクラックが入り難く、剥離が起きにくい膜を形成するには、アルミニウム収率が高いことが望まれる。
【0038】
骨格にAl−N結合を持つ化合物に、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基などのアルキル基が存在すると、有機溶媒への溶解性が増すので、アルミナ膜の原料となる塗布液の作成に好都合である。また、アルキル基が存在すると骨格にAl−N結合を持つ化合物の熱分解や酸化処理後のAl収率が向上し、生成アルミナ量が増すので、アルミナ膜製造工程において、骨格にAl−N結合を持つ化合物を含む塗布膜の収縮を小さくし、クラックの発生等を防止する。ブチル基より炭素数の大きいアルキル基を含むと、熱分解や酸化処理後の揮発分が多くなったり、また場合によっては残存炭素量が増加する可能性がある。
【0039】
また、メチル基の一部をエチル基又はプロピル基で置換されたメチルイミノアランまたはメチルアミノアランの分子量が、100g/mol未満の場合、分解時に一部揮散してアルミニウム収率が低下する可能性がある。一方、1000000g/molより大きいと、固体化し、溶媒に不溶となり、基材上の塗膜形成が困難となる可能性がある。100g/molと1000000g/molの間で、骨格にAl−N結合を持つ化合物の種類と塗布方法により適宜選択する。
【0040】
<製造方法>
本発明のアルミナ膜の製造方法は、基材に、骨格にAl−N結合を持つ化合物、または該化合物の溶液を塗布し、酸素含有ガスを含む雰囲気中、50℃から1000℃の範囲中で加熱することを特徴とする。
【0041】
まず、骨格にAl−N結合を持つ化合物そのものか、または骨格にAl−N結合を持つ化合物の有機溶媒溶液を、適度な粘度に調整して、スクリーンコーター、スピンコーター、ディップコーター、各種印刷機、等を用いて、基材に塗布する。この時、塗布厚みは、その後の酸化処理で得られるアルミナ膜の厚みを決めるので、用途毎に必要な膜厚になるように、実験的に確認して決める必要がある。スピンコーターを用いれば、有機溶媒溶液の粘度と、試料ホルダーの回転数を調整することにより、10nmから500nm程度のアルミナ膜を得ることができる。更に厚いアルミナ膜が必要な場合は、溶液粘度を上げ、スクリーンコーター、ディップコーターや各種印刷機を用いればよい。
【0042】
有機溶媒溶液に用いる有機溶媒は、一般に非極性溶媒を用いるのが好ましい。極性溶媒は、骨格にAl−N結合を持つ化合物と反応しやすいので、溶液の保存性が悪くなる可能性がある。無極性溶媒として、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等が好ましい。
【0043】
本発明の酸素含有ガスとは、酸素、空気、水蒸気、オゾン、酸素ラジカル、二酸化炭素、二酸化窒素等であり、酸素、水蒸気、オゾン、および酸素ラジカルを含むガスからなる群から選ばれる1種類以上のガスが好ましい。本発明のアルミナ膜の製造方法では、これらの少なくとも一種類の酸素含有ガスを含む雰囲気中で、骨格にAl−N結合を持つ化合物を含む塗布膜を加熱処理する。中でも、酸素ガス90%以上の雰囲気や、オゾンや酸素ラジカルを含む雰囲気中で加熱処理すると、得られたアルミナ膜が緻密になりやすく、優れた絶縁性や保護特性を持つ膜ができる。本発明で用いる骨格にAl−N結合を持つ化合物には、アルミナの構成元素以外の炭素、窒素、水素が含まれている。これらは、骨格にAl−N結合を持つ化合物を塗布した後の加熱工程と、酸化工程で多くは除去されるが、条件によっては除去されずに膜中に残存する。酸素ガス90%以上の雰囲気や、オゾンや酸素ラジカルを含む雰囲気で加熱すると、これらの残存成分を少なくすることが出来る。
【0044】
また、酸素含有ガスを含む雰囲気中で、50℃から1000℃の範囲中で加熱する。50℃未満では、溶剤が残存して、密度の低い膜しかできず、また、骨格にAl−N結合を持つ化合物の構成成分の多くが残存するので、不純物の多いアモルファスアルミナ膜しかできない。高温で加熱する程、アルミナ構成元素以外の不純物が減少し、透明性が増すが、膜の収縮や結晶化によって、膜のひび割れが起きやすくなるので、塗布した骨格にAl−N結合を持つ化合物の種類に応じて、所望の膜物性が得られるように、加熱温度は決める必要がある。好ましくは、200〜700℃に加熱するとよい。
【0045】
更に好ましくは、酸素含有ガスを含む雰囲気中での加熱を、プラズマ中で行うとよい。プラズマ中では、酸素含有ガスが分解し、酸素ラジカルを含むようになるので、塗布膜と酸素含有ガスが反応しやすくなり、残存不純物量が低下し、アルミナの純度が向上する。プラズマ中で骨格にAl−N結合を持つ化合物を処理すると、プラズマを用いない場合に比べて、低温で製膜できるので、磁気ヘッドにおける磁性体の保護膜や絶縁膜の形成や、平面ディスプレイに用いるフィルム上のTFT用の絶縁膜形成に有用である。特に、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学製)を用いると、常圧で酸化処理できるので、生産性高く、良質なアルミナ膜を製造できる。
【0046】
本発明により、金属アルミニウムを含まず、密度の高い、クラックや微小な気孔のない、作成できる膜厚の範囲が広い、絶縁性、耐食性、非磁性、耐摩耗性といったアルミナの持つ本来の特性を持った、各種部品の絶縁膜、保護膜、およびガスバリア膜などに使用可能なアルミナ膜が得られ、真空装置のような高価な装置を用いずに、簡便な装置で、低コストでアルミナ膜を製造できる。
【0047】
<光学装置>
本発明の光学装置は、上記本発明のアルミナ膜を用いたことを特徴とする。
【0048】
本発明の光学装置とは、発光ダイオード、レーザーダーオード等の光を発生させる素子、CCD、C−MOS撮像素子等の他から光を受けて働く素子を指す。
【0049】
発光ダイオード、レーザーダイオード等の発光素子に用いられている化合物半導体は、屈折率が大きいので、一般に、光の取り出し効率が悪くなることが知られている。本発明のアルミナ膜の屈折率は、一般に封止樹脂として知られている樹脂の屈折率に比べて大きいので、ガリウムヒ素や窒化ガリウムなど屈折率の大きい素材で出来ているLEDチップの封止材料として使用すると、光の取り出し効率が向上するので、同じ消費電力で、明るいLEDを作ることが出来る。
【0050】
また、LEDチップと蛍光体を組み合わせたLEDを作る場合、蛍光体を含むアルミナ膜を、LEDチップの外周に形成すると、蛍光体とアルミナとの界面で光が反射しにくくなるので、光のロスが減り、より明るいLEDを作ることが出来る。特に、屈折率の高い蛍光体、例えば、サイアロン(シリコンとアルミニウムの酸窒化物)や窒化カルシウムアルミニウムシリコン(通称CASN)といった窒化物や酸窒化物系母結晶を持つ蛍光体では、その効果が顕著である。
【0051】
また、最近注目されている白色LEDには、励起光源に青色LEDや紫外LEDが用いられており、励起光に含まれる紫外成分が、封止樹脂を劣化させ、LEDの寿命が短くなることが知られている。本発明のアルミナ膜は、紫外線劣化が殆ど起きないので、封止材料として用いると、寿命の長いLEDを作ることが出来る。
【実施例】
【0052】
実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の例によって何ら制限されるものではない。
【0053】
<実施例1>
≪イミノアランの合成≫
エーテルで精製したLiAlH45gをベンゼン(80ml)中に懸濁させ、5℃に冷却した後、予め2時間減圧乾燥を行ったCH3NH2・HClおよびC25NH2・HClの混合物を加えた。5℃で1時間撹拌の後、この懸濁液を80℃まで徐々に昇温した。その際、50℃付近で約1時間保持した。80℃で18時間還流した後、LiClおよび不溶性となった反応物を含む沈殿物を濾過で除去し、濾液からベンゼンを減圧除去することにより白色固体を得た。
【0054】
ここで投入されたCH3NH2・HClおよびC25NH2・HClのモル比は、3:1とした。また、LiAlH4に対するCH3NH2・HClおよびC25NH2・HClの混合物の量は、LiAlH4とのモル比が1:1となるようにした。
【0055】
≪塗布、焼成≫
白色固体が80g/lの濃度になるようにベンゼンに溶解し、塗布液とした。スピンコーターのサンプルホルダーに、厚さ1mm、10mm×10mmの寸法のガラス板を置き、回転させ、上部から、塗布液を2滴落とした。その後、70℃で1時間乾燥した後、管状炉のアルミナ製炉心管内にセットし、100ml/minで酸素ガスを流しながら、10℃/minで昇温し、700℃で3時間保持した後、取り出した。
【0056】
≪分析、評価方法≫
得られた白色固体と、ガラス板状に形成したアルミナ膜について、以下の分析と評価を行った。
【0057】
白色固体について、核磁気共鳴分析(NMR)(測定装置:日本電子製JNM−EX270)、赤外吸光分析(IR)(測定装置:パーキンエルマー社製1640FT−IR)、元素分析(CHN、CS−NO)(測定装置:パーキンエルマー社製2400II)、プラズマ発光スペクトル分析(ICP)(測定装置:日本ジャーレルアッシュ社製ICPA−575II)、分子量の測定(凝固点降下法、溶媒ベンゼン使用)を行った。
【0058】
アルミナ膜について、組成の半定量分析(測定装置:アルバックファイ製ESCA−5500)、紫外〜可視域(250〜800nm)における屈折率測定(測定装置:大塚電子製エリプソメーターFE−5000)、紫外〜可視域(190〜900nm)における光透過率測定(測定装置:日立製作所社製分光光度計U−3310)、弾性率測定(測定装置:エリオニクス製ナノ・インデンテーション・テスターENT−1100a)を行った。なお、弾性率の測定は、下地の影響を受けないように、測定試料のアルミナ膜厚を300nm以上とし、圧子の圧痕深さが100nm以下になるように、圧子印加加重を調整して測定した。
【0059】
アルミナ膜の耐久性について、インフリッジ工業製スーパーキュア200を用いて、365nmの紫外光が470mW/cm2の強度で照射されるように、アルミナ膜付きガラス板を配置し、2000時間放置して、紫外光照射がアルミナ膜の光透過率に与える影響を調べた。また、プレッシャークッカー試験機を用い、121℃の飽和水蒸気中にアルミナ膜付き硝子板を720時間放置し、高温高圧水蒸気が、アルミナ膜の光透過性に与える影響を調べた。
【0060】
≪結果≫
得られた白色固体の1H−NMR分析において、全体的にブロードな共鳴線が観測されたので、得られたアラン誘導体は、多量体もしくは重合物であることが示唆された。また、27Al−NMR分析からは、125−137ppm付近に中心を示すブロードな共鳴線が観測された。四配位のAlである(HAlN3)が前駆体の構造中に存在することが予想された。
【0061】
白色固体のIR分析において、3300−3500cm-1付近にNH基による吸収帯が観測されないことから、LiAlH4のHとRNH2・HClのHとの脱水素反応により、NおよびAlがそれぞれ3つのAlおよびNと結合した架橋構造を有する化合物の生成が示唆された。また、1830cm-1付近にはνAl−Hが観測された。
【0062】
得られた白色固体には、アルミニウムが36質量%、窒素が14質量%、炭素が27質量%、Hが7質量%含まれていることが分かった。
【0063】
以上の結果から、得られた白色固体の主成分は、アルキルイミノアランと推定され、メチルイミノアランとエチルイミノアランの混合物の多量体である可能性が高い。また凝固点降下法により測定した分子量は2840g/molであった。
【0064】
得られたアルミナ膜の厚さが100nmの時、組成は、アルミニウムが55質量%、酸素が39質量%、窒素が4質量%、炭素が2質量%であった。測定の結果、550nmでの屈折率は1.8であり、同じく550nmでの光透過率はガラス板単独に比べて99%以上であり、弾性率が4GPaであった。アルミナ膜の耐久性について、紫外光照射試験、プレッシャークッカー試験をおこなった結果、試験前と試験後で、光透過率は全く変わらなかった。アルミナ膜の状態を、電子顕微鏡を用いて、100倍から10万倍で観察したが、膜にクラックや穴は観察されなかった。スピンコーターの回転数を下げて、アルミナ膜厚を500nmまで厚くしたが、同様にクラックや穴は観察されなかった。
【0065】
<実施例2>
≪エチルイミノアラン8量体の調製≫
エーテルで精製したLiAlH410gをトルエン中に懸濁させ、予め2時間減圧乾燥を行ったC25NH2・HClを16.7g加えた。室温で1時間撹拌の後、この懸濁液を110℃まで徐々に昇温した。途中50℃付近で約1時間保持した。110℃で20時間撹拌を行った後、LiCl及び不溶性となった反応物を含む沈殿物を濾過で除去し、濾液からトルエンを減圧除去することにより白色固体を得た。NMR、IRスペクトル及び質量スペクトル測定を行った結果、前記白色固体は主成分がカゴ型構造を有するエチルイミノアラン8量体((HAlNEt)8)であることを確認した。
【0066】
この白色固体を用いて、塗布液の濃度を160g/lにしたことと、ディッピング法を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス板上にアルミナ膜を作成した。
【0067】
得られたアルミナ膜厚は2.4μmであったが、電子顕微鏡観察の結果、クラックや微小な穴は観察されなかった。また、実施例1と同様にして、光透過率を測定したところ、ガラス板単独の光透過率の99%の透過率を示し、窒素を4質量%含み、550nmでの屈折率は1.8であった。
【0068】
<比較例1>
トリブトキシアルミニウム12.2gを、イソプロピルアルコール50gに撹拌しながら添加し、更に撹拌しながらアセチルアセトン6.5gを添加し、室温にて1時間撹拌した。次いで、イソプロピルアルコール10gと水3.6gの混合液を、撹拌しつつ加え、添加後さらに3時間撹拌して塗布液とした。この塗布液を、スピンコートにより、厚さ1mmで10mm×10mmのガラス板上に付け、風乾後、400℃にて10分間焼成してアルミナ膜を得た。得られたアルミナ膜の厚さは約240nmであり、電子顕微鏡観察により、微小なクラックが多数入っているのが観察された。
【0069】
<実施例3、比較例2>
≪イソプロピルイミノアラン6量体の調製≫
エーテルで精製したLiAlH410gをn−ヘプタン中に懸濁させ、蒸留したi−C37NH2を14g加えた。この懸濁液を0℃で20時間撹拌し、LiHを濾過で除去し、濾液からn−ヘプタンを減圧除去することにより白色固体を得た。NMR、IRスペクトル及び質量スペクトル測定を行った結果、前記白色固体は主成分がカゴ型構造を有するイソプロピルイミノアラン6量体((HAlNiPr)6)であることを確認した。
【0070】
発光ピーク波長が450nmである青色LEDチップを、LED用表面実装リードフレームにダイボンドし、金線でワイヤボンドした後、スピンコータの試料台にセットし、120g/lの濃度に調整した前記白色固体ヘプタン溶液を滴下し、試料台を回転させ、LEDを乾燥した。それを、積水化学製常圧プラズマ表面処理装置にセットし、酸素ガス中で250℃、10分間処理した(実施例3)。アルミナ膜は窒素を0.5質量%含み、550nmでの屈折率は1.67であった。このLEDを、10mAで定電流駆動して、投入電力当たりの明るさを測定した。
【0071】
一方、熱硬化型エポキシ樹脂(サンユレック社製NLD−SL−2101)を封止樹脂として用いて、常法により封止した以外は、前記と同様にLEDを作成した(比較例2)。本発明のアルミナ膜を形成したLEDは、エポキシ樹脂で封止したLEDに比べて、約1.3倍の明るさであった。
【0072】
実施例3と比較例2の青色LEDを、10mAで低電流駆動しながら、85℃、相対湿度85%の雰囲気に2000時間放置した。放置後の投入電力当たりの明るさを放置前の明るさと比較すると、実施例3は99%以上であったのに対し、比較例2では80%まで低下していた。
【0073】
<実施例4、5、6、7>
塗布後の焼成工程において、酸素の流量、焼成温度、焼成時間を変えた以外は、実施例1と同様にしてアルミナ膜を作成し、膜に含まれる窒素成分を半定量し、550nmでの屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0075】
以上詳述したように、本発明は、優れた特性を持つアルミナ膜とその製造方法に関するものであり、本発明により、光透過性が良く、緻密質で、電気絶縁性やガスバリア性に優れたアルミナ膜を提供すると共に、真空装置のような高価な装置を用いずに、簡便に製膜でき、低コストであり、かつクラックのない様々な厚さの膜を作成することが可能な、アルミナ膜の製造法を提供する。本発明のアルミナ膜は、その優れた特性故に、LED等の発光素子、CCD等の受光素子、その他半導体素子に用いる拡散防止膜、絶縁膜、反射防止膜、及び封止材や、各種部材の保護皮膜、有機ELを代表とする平面表示素子に用いる保護フィルム、反射防止フィルム、等の幅広い用途に使用できるので、産業上高い利用価値がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格にAl−N結合を持つ化合物を、酸素含有ガスを含む雰囲気中で酸化させてなることを特徴とするアルミナ膜。
【請求項2】
窒素を0.1〜20質量%含み、屈折率が1.65から2.0であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ膜。
【請求項3】
骨格にAl−N結合を持つ化合物が、アミノアラン類およびイミノアラン類からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミナ膜。
【請求項4】
イミノアラン類、アミノアラン類が、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載のアルミナ膜。
【請求項5】
イミノアラン類、アミノアラン類が、メチル基の一部がエチル基又はプロピル基で置換されたメチルイミノアランまたはメチルアミノアランであり、分子量が100〜1000000g/molであることを特徴とする請求項3または4に記載のアルミナ膜。
【請求項6】
基材に、骨格にAl−N結合を持つ化合物、または該化合物の溶液を塗布し、酸素含有ガスを含む雰囲気中、50℃から1000℃の範囲中で加熱することを特徴とするアルミナ膜の製造方法。
【請求項7】
酸素含有ガスが、酸素、水蒸気、オゾン、および酸素ラジカルを含むガスからなる群から選ばれる1種類以上のガスであることを特徴とする請求項6に記載のアルミナ膜の製造方法。
【請求項8】
酸素含有ガスを含む雰囲気中での加熱を、プラズマ中で行うことを特徴とする請求項6または7に記載のアルミナ膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載のアルミナ膜を用いたことを特徴とする光学装置。

【公開番号】特開2007−210825(P2007−210825A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31333(P2006−31333)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】