説明

アンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法

【課題】簡易に生産可能であり、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することのできるアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】磁性材料により形成されたコア21の中央部に導線を巻回することによりコイル22を形成し、コア21の端部を磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材24によって被覆し、コイル22が形成されているコア21の中央部を磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材25によって被覆して、この第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を設けているので、金属部材が近傍位置にあっても、その金属部材側へ漏れる磁束を減らし、渦電流の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻情報を含む標準電波を受信するアンテナを備え、受信された時刻情報に基づいて自動的に現在時刻を修正する電波時計等の電波受信機器が知られている。そして、例えば電波時計において標準電波を受信するアンテナとしては、受信感度のよい磁性材料であるアモルファス金属やフェライト等からなるコアにコイルが巻回されてなるアンテナ構造体を備えるものが多く用いられている。
【0003】
腕時計型の電波時計等の電波受信機器の場合、高級感を演出したり、デザイン性や耐久性を向上させる等の観点からアンテナ構造体を収納するケースや、当該ケースの蓋部材等に金属製の部材が使用されることがある。このように電波受信機器に金属部材が用いられている場合に、これらの金属部材に近接してアンテナ構造体が配置されると、いわゆる渦電流の発生による損失が生じ、これに起因してアンテナ構造体による標準電波の受信感度が劣化してしまう。
しかし、特に女性用の腕時計型の電波時計の場合等、できるだけ装置を小型化・薄型化するために小型のアンテナを小型のケース内に収納すべき要請もある。このような場合には、金属部材とアンテナ構造体とを離して配置しようとするとデザイン上の制約が大きくなってしまうため、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保することが困難であるとの問題がある。
【0004】
この点、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保できない場合でも受信感度の劣化を抑えるための構成として、磁性体からなる磁心(コア)にコイルを巻回した主磁路部材を有し、電磁波の磁界成分を主磁路部材で受信する磁気センサ型のアンテナにおいて、主磁路部材とは別に磁心(コア)の一部にギャップ付の副磁路部材を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このように副磁路部材を設けた場合には、外部から磁束がコイルに入った際に共振により生じる磁束が外部に漏れにくくなるため、アンテナ構造体の近傍に金属部材が配置されても渦電流の発生による損失に起因するアンテナ構造体の受信感度の劣化を抑えることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−81140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されているように、副磁路を設けることによりアンテナ構造体の受信感度を向上させようとした場合、ケース等に実装した際の実装条件により受信感度の最適点が変化するため、受信感度の良好な状態に設定することが困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易に生産可能であり、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することのできるアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のアンテナ構造体は、
磁性材料により形成されたコアと、
このコアの中央部に導線を巻回することにより形成されたコイルと、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コアの端部を被覆する第1の被覆部材と、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コイルが形成されている前記コアの中央部を被覆する第2の被覆部材と、を備え、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の電波受信機器は、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のアンテナ構造体の製造方法は、
磁性材料によりコアを形成するコア形成工程と、
このコアの中央部に導線を巻回することによりコイルを形成するコイル形成工程と、
前記コアの端部を、磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材により被覆する第1の被覆工程と、
前記コイルが形成されている前記コアの中央部を、磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材により被覆する第2の被覆工程と、を含み、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、コアの中央部に導線を巻回することによりコイルを形成して、このコアの端部を磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材によって被覆し、コイルが形成されているコアの中央部を第2の被覆部材によって被覆するとともに、第1の被覆部材と第2の被覆部材との間に間隙を設けている。
これにより、アンテナ構造体に入った電波が外部に漏れにくくなるとともに、共振回路によって発生した磁束も、第2の被覆部材によって被覆されているコイルの周りを周回して、アンテナ構造体の外に漏れにくい構成となっている。このため、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することができるとの効果を奏する。
また、コアにコイルを形成した後に第1の被覆部材と第2の被覆部材とを形成するため、簡易に生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電波受信機器の一例である電波腕時計の概略構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態におけるアンテナ構造体をアンテナ用ケースに組み込んだ状態を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態におけるアンテナ構造体の平面図である。
【図4】図3における矢視IVから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図5】第1の実施形態におけるアンテナ構造体の製造工程を示す図であり、(A)は、板状部材形成工程を示し、(B)は、コイル形成工程を示し、(C)は、第1の被覆工程及び第2の被覆工程を示している。
【図6】第2の実施形態におけるアンテナ構造体の平面図である。
【図7】図6における矢視VIIから見たアンテナ構造体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1から図5を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体及びこれを備える電波受信機器の第1の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、電波受信機器としての電波腕時計にアンテナ構造体を搭載する場合を例として説明する。なお、本発明の範囲は図示例に限定されない。
【0014】
図1は、本実施形態における電波腕時計(電波受信機器)を示す正面図である。
図1に示すように、電波腕時計1は、アンテナ構造体2及びこのアンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4を備えている。
また、本実施形態において、電波腕時計1は、時刻等の表示を行う表示装置51、アンテナ構造体2が電波を受信するための受信回路部等を含む電子部品等(図示せず)が搭載された時計本体5、この時計本体5が収納された時計外装ケース6及びこれらと連結されて電波腕時計1の時計バンドを構成する複数の駒部材7を備えている。
アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の裏面側には、それぞれ図示しない連結部が設けられており、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が相互に連結されて鎖状となるようになっている。
なお、アンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4は、時計本体5が収容された時計外装ケース6に隣接又は近接して配置されることが好ましいが、その配置は特に限定されない。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の電波腕時計1は、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7が、いずれもほぼ同じ形状、大きさに形成されている。アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、例えばステンレスやチタン等の金属材料その他の導電性部材により、ほぼ直方体形状に形成されている。なお、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、全てが同じ材料で形成されている必要はなく、例えば時計外装ケース6のみが金やプラチナ、又はこれらの組み合わせ等で形成される等、一部の部材が異なる材料で形成されていてもよい。
【0016】
アンテナ外装ケース4は、例えば裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)等の1つの面に図示しない開口部が設けられた中空構造となっており、この中空部分がアンテナ構造体2を収納する収納空間となる。
開口部には、図示しない蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、蓋部材を形成する材料は特に限定されないが、樹脂等、電波を透過させる材料で形成されていることが好ましい。
【0017】
図2は、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2が収納されている状態を示した図である。なお、図2ではアンテナ外装ケース4から蓋部材を外した状態を図示している。
本実施形態では、図2に示すように、アンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体2との間に1mm程度の隙間しかない程度にアンテナ外装ケース4の大きさが小さく形成されており、アンテナ構造体2は、アンテナ外装ケース4の開口面とほぼ平行となる向きでアンテナ外装ケース4内に載置されている。
なお、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2を収納する際の収納方向、向きは特に限定されず、電波腕時計1のデザイン等に応じて適宜変更可能である。例えばアンテナ外装ケース4の内側面とほぼ平行となる向きでアンテナ構造体2がアンテナ外装ケース4内に収納されていてもよい。アンテナ構造体2はアンテナ外装ケース4の内側面に接触しないように配置されることが好ましい。
【0018】
図3は、本実施形態におけるアンテナ構造体2の平面図であり、図4は、図3に示すアンテナ構造体2を矢視IVの方向から見た側面図である。なお、図3及び図4において破線は磁束の流れを示している。
図2から図4に示すように、本実施形態において、アンテナ外装ケース4内に収納されているアンテナ構造体2は、長尺の板状に形成されたコア21と、このコア21に形成されたコイル22とを備えている。
【0019】
コア21は、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により形成されている。
図2に示すように、コア21のほぼ中央部はアンテナ構造体2の長手方向に延在する直状部211となっており、コア21の両端部はこの直状部211の両端部に張り出した一対の張出し部212を備えている。本実施形態において、コア21は平面視でほぼ亜鈴形状となっており、張出し部212は、直状部211に向かって徐々に細くなるように形成されている。これにより直状部211に導線を巻回して後述するコイル22を形成する際に張出し部212が巻回動作を妨げず、容易にコイル22を形成することができるとともに、図3に示すように外部からアンテナ構造体2の張出し部212に入っていた磁束が直状部211に向かって集められるようになっている。
なお、直状部211の長さ・幅・形状や張出し部212の形状・大きさ等はここに示したものに限定されない。例えば張出し部212は、平面視でほぼ鳩尾形状等であってもよい。
また、コア21を形成する材料は、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイに限定されず、コア21の形状に加工することが可能な磁性材料であれば他の材料も適用可能である。また、コア21を形成する手法は特に限定されず、例えば、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金等の軟磁性金属箔帯を積層して薄い板状にしてもよいし、アモルファス合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料の粉体を固めることにより一体形成してもよいし、パーマロイ等を加工・成型することにより形成してもよい。
【0020】
コイル22は、コア21の直状部211に導線を所定回数巻回することにより形成されている。コイル22の巻線数は特に限定されず、アンテナ構造体2により受信する電波の周波数等に応じて適宜設定される。
図3及び図4に示すように、コイル22には、コンデンサ23が接続されており、アンテナ構造体2にはコイル22及びコンデンサ23により共振回路が形成されている。
共振回路の共振周波数は、例えばコイル22の巻線数やコンデンサ23の容量を調整することにより、アンテナ構造体2の用途等に応じて適宜設定される。本実施形態では、アンテナ構造体2の共振周波数は、例えば日本における標準電波の送信周波数である40kHz又は60kHzに設定されている。
【0021】
本実施形態では、図2から図4に示すように、張出し部212が形成されているコア21の端部は、第1の被覆部材24によって被覆されており、コイル22が形成されているコア21の中央部及びその近傍は、第2の被覆部材25によって被覆されている。
この第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25は、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料(例えばこれら磁性体の粉末)を含んだ樹脂等の材料で形成されている。第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を形成する材料は、磁性材料を含んだ材料であればよく、ここに挙げたものに限定されない。なお、第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を形成する材料は同じものでなくてもよい。
コイル22が形成されているコア21のほぼ中央部を被覆する第2の被覆部材25とコア21の両端部をそれぞれ被覆する第1の被覆部材24との間には、それぞれ間隙26が設けられている。間隙26は、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間が磁気的に絶縁される程度であればよく、その大きさ(すなわちアンテナ構造体2の長手方向の長さ寸法)は特に限定されない。間隙26は大きいほど第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間を磁気的に絶縁する効果があるが、間隙26を大きくするとアンテナ構造体2全体が大きくなってしまい、また、電波を取り込む部分の表面積もその分減少してしまう。間隙26は僅かでもあればその効果が期待でき、例えば0.5mm〜1.0mm程度であってもよい。
第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25は、例えば、第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25の形状に沿った図示しない型枠を形成し、この型枠内にコイル22を巻回したコア21を配置して、磁性材料を含んだ樹脂等の材料を当該型枠内に流し込むモールド成型等の手法により形成される。なお、第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を形成する手法は、ここに例示したものに限定されない。また、第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25の形状や設けられる範囲等は図示したものに限定されない。
【0022】
ここで、本実施形態におけるアンテナ構造体2の磁束の流れを図3及び図4を参照しつつ説明する。
図3及び図4では、本実施形態におけるアンテナ構造体2の磁束の流れを破線で模式的に示しており、本実施形態の構成を採らなかった場合(すなわち、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を設けなかった場合)に予想される磁束の流れを二点鎖線で示している。なお、図3及び図4ではアンテナ構造体2の左側から入る磁束の流れのみを図示しているが、実際にはアンテナ構造体2の右側からも磁束が取り込まれ、同様に流れる。
【0023】
本実施形態のように、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を設けた場合には、図3及び図4に示すように、外部からの磁束は、その多くが第1の被覆部材24によって被覆された張出し部212からコア21に入る。磁束は、コア21又は磁性材料を含む第1の被覆部材24を流れるが、第1の被覆部材24はコイル22の形成されている直状部211の手前で断絶されており、コイル22を被覆する第2の被覆部材25との間にエアギャップである間隙26がある。
ここで、一旦アンテナ構造体2の中に入った磁束は磁気抵抗の低いところから高いところに流れることはほとんどないところ、磁性材料で形成されているコア21の磁気抵抗は空気のほぼ1000分の1程度と極めて小さい。言い換えれば、エアギャップである間隙26部分よりもコア21の方がほぼ1000倍程度磁束が通りやすい。また、磁性材料を含む被覆部材(第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25)も、その磁気抵抗は空気のほぼ100分の1程度と小さい。言い換えれば、エアギャップである間隙26部分よりも被覆部材(第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25)の方がほぼ100倍程度磁束が通りやすい。
このため、第1の被覆部材24を通る磁束の多くは直進せずに磁性材料で形成されているコア21に引きつけられる。この結果、磁束の多くがコア21を通って直状部211に形成されているコイル22に流れる。
また、本実施形態では、張出し部212が直状部211に向かって徐々に細くなる形状となっているため、張出し部212に入った磁束は拡散せずにその形状に沿って直状部211に向かって収束し、その多くが直状部211に流れてコイル22に流れ込む。
これに対して、仮に第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26が設けられていない場合、磁性材料を含む被覆部材は前述のように空気よりもかなり磁気抵抗が小さく、コア21と同程度に磁束を通しやすいことから、磁束の一部は、図3及び図4において二点鎖線で示すように、コア21を介さずに磁性材料で形成されている被覆部材を通り抜けてしまう。このため、コイル22に流れ込む磁束が減少し、その分が損失(ロス)となってアンテナ構造体2の受信感度が劣化する。
また、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を設けず、アンテナ構造体2全体を覆うように磁性体で被覆した場合には、アンテナ構造体2を被覆する磁性体の形状によってアンテナ構造体2の電気特性が大きく変動してしまうところ、磁性体の形状を管理することは困難であるとの問題もある。
【0024】
また、共振によりコイル22から出る磁束は、本実施形態では、その多くが、コイル22を取り囲むように被覆している第2の被覆部材25に流れて周回する。すなわち、コイル22全体を覆うように被覆する第2の被覆部材25は、コイル22から出る磁束を周回させる副磁路としての役割を果たす。そして本実施形態の場合、第2の被覆部材25は、第1の被覆部材24との間をエアギャップである間隙26により隔てられており、周囲のアンテナ外装ケース4との間にもエアギャップが存在している。このため、共振により生じた磁束は、図3及び図4に示すように、より磁気抵抗の少ない第2の被覆部材25の中を流れようとして第2の被覆部材25の中を小さく周回する。
これにより、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)等を生じにくい。これにより、アンテナ構造体2は良好な受信感度を保つことができ、高いQ値を示す。
これに対して、仮に第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26が設けられていない場合には、磁性材料を含む被覆部材もコア21と同様に比較的磁束を通しやすいことから、磁束の一部は、図3及び図4において二点鎖線で示すように、張出し部212が設けられているコア21の端部側まで弧を描いて大きく周回する。このため、磁束の一部はアンテナ構造体2の外部に配置されているアンテナ外装ケース4等の金属部材側に漏れて、渦電流の発生による損失(ロス)等を生じやすくなる。
【0025】
時計外装ケース6は、上下が開口した中空構造となっており、この中空部分が時計本体5を収納する収納空間となる。
時計外装ケース6の表面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際の視認側)の開口部には、ガラス等で形成された風防部材52が装着されており、時計外装ケース6の裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)の開口部には、図示しない裏蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、裏蓋部材を形成する材料は特にされないが、外観上時計外装ケース6、アンテナ外装ケース4及び駒部材7と同じ例えばステンレスやチタン等の金属その他の材料で形成されていることが好ましい。
【0026】
時計外装ケース6の内部に収納されている時計本体5は、時刻表示等を行う表示装置51、電波腕時計の各種機能部を動作させる図示しない制御装置を構成する各種回路や電子部品等が実装された回路基板(図示せず)等を備えている。
表示装置51は、例えば液晶表示パネル等で構成された表示手段である。なお、表示装置51を構成する液晶表示パネルの構成や表示される内容等は特に限定されない。また表示装置51は液晶表示パネルで構成されているものに限定されず、例えば有機EL(Electro-Luminescence)等で構成されていてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、表示装置51の表示画面に現在時刻と曜日とが表示される場合を例としているが、表示装置51により表示される内容はこれに限定されない。
制御装置は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。制御装置は、機能的に見た場合、表示装置51を駆動・制御するための表示制御部、後述するアンテナ構造体2により電波を受信するための電波受信部、アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づいて現在時刻の修正等を行う時刻計時部等(いずれも図示せず)を備えている。なお、制御装置による表示制御や電波受信制御、時刻修正制御等は、一般的な電波受信機器において行われているものと同様であるため、その説明を省略する。
【0027】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4に収納されているアンテナ構造体2は、時計外装ケース6に収納されている時計本体5の回路基板と電気的に接続されており、アンテナ構造体2により受信された電波は受信信号として時計本体5の制御装置に送られ、適宜この信号に基づく時刻修正等の処理が行われるようになっている。
【0028】
次に、図5(A)〜図5(C)を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ構造体2の製造方法及び作用について説明する。
図5(A)に示すように、まず、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により、直状部211と張出し部212とを備えるコア21を形成する(コア形成工程)。
このとき、コア21は、第1の被覆部材24により被覆されている端部よりも第2の被覆部材25により被覆されている中央部が細くなるように形成される。
次に、図5(B)に示すように、コア21の直状部211に導線を所定回数巻回することによりコイル22を形成する(コイル形成工程)。
さらに、図5(C)に示すように、コイル22の巻回されたコア21を型の中等に配置し、コア21の両端部を被覆するように磁性材料を含む樹脂を流し込む等の手法によって、コア21の端部を、磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材24により被覆する(第1の被覆工程)。また、コイル22が形成されているコア21の中央部を被覆するように磁性材料を含む樹脂を流し込む等の手法によって、コイル22が形成されているコア21の中央部を、磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材25により被覆する(第2の被覆工程)。これにより、アンテナ構造体2が完成する。このとき、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26ができるように成型する。これにより、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間が磁気的に絶縁される。
【0029】
完成したアンテナ構造体2をアンテナ外装ケース4に収納し、このアンテナ外装ケース4と時計本体5が収納された時計外装ケース6とを連結させて、アンテナ構造体2と時計本体5内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケース6に駒部材7を連結させることにより、ブレスレッド型の電波腕時計1が完成する。
【0030】
標準電波に基づく時刻修正を行う際には、アンテナ構造体2により標準電波が受信される。このとき、図3及び図4に示すように、アンテナ構造体2の外部から入った磁束は、そのほとんどがコア21の細くなっている部分(すなわち、直状部211)に集められて、直状部211に設けられているコイル22に流れ込む。コイル22に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサ23に蓄積される。そしてコンデンサ23からエネルギーが放出され、コイル22を通って磁束が発生する。この共振により生じた磁束は、そのほとんどがコイル22を覆うように設けられている第2の被覆部材25の中を周回し、外部に漏れにくい。このため、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)の発生を防いで、アンテナ構造体2の受信感度は良好に維持される。
アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づく受信信号は制御装置に送られ、制御装置において信号の増幅・解析等が行われて、時刻情報が読み出される。制御装置は、この時刻情報に基づいて現在時刻を修正し、修正された時刻を表示装置51の表示画面に表示させる。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、コア21の中央部に導線を巻回することによりコイル22を形成して、このコア21の端部を磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材24によって被覆し、コイル22が形成されているコア21の中央部を第2の被覆部材25によって被覆するとともに、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を設けている。
これにより、アンテナ構造体2に入った電波が外部に漏れにくくなるとともに、コイル22の形成されているコア21の直状部211に効率的に電波が流れるため、コイル22を通過しない電波を減らすことができ、損失(ロス)を抑えることができる。また、共振回路によって発生した磁束も、磁気抵抗の低い第2の被覆部材25によって被覆されているコイル22の周りを周回して、アンテナ構造体2の外に漏れにくい構成となっている。このため、アンテナ構造体2を金属製のアンテナ外装ケース4内に収納した場合等、アンテナ構造体2の近傍に金属部材が配置される場合でも、部材の方に磁束が漏れることで生じる渦電流損を減少させることができ、良好な受信感度を実現することができる。これにより、小型のアンテナ構造体2によって十分な受信感度を得ることができる。また、アンテナ外装ケース4等の金属部材をアンテナ構造体2の極近傍まで近接させることができるため、アンテナ構造体2を備える電波腕時計1等の電波受信機器を小型することができ、電波受信機器のデザインの自由度が向上する。
また、コア21の周りを磁性材料を含む樹脂で被覆(モールド)しているため、コア21単体よりもアンテナ構造体2における磁性体で形成されている部分を増加させることができる。これにより、受信部分の面積を大きくすることができ、より効率的に磁束を捉えることができる。
また、コア21にコイル22を形成した後に第1の被覆部材24と第2の被覆部材25とを形成する。このため、コイル22を機械により自動的に巻回することができ、アンテナ構造体2を簡易かつ効率的に生産することができる。
また、本実施形態において、コア21は、第1の被覆部材24により被覆されている端部よりも第2の被覆部材25により被覆されている中央部が細くなるように形成されている。このため、コア21の端部の張出し部212から入った電波が拡散せずに直状部211に向かって収束され、そのほとんどがコイル22に流れ込む。このため、アンテナ構造体2に入りながらコイル22を通らずに通過する損失(ロス)となる電波を減らすことができ、その結果アンテナ構造体2の受信感度を向上させることができる。
また、アンテナ構造体2は、金属製のアンテナ外装ケース4内に収納されるため、磁性体(コア21)の折れを生じにくく、アンテナ構造体2の強度を向上させることができる。
また、アンテナ構造体2は、樹脂である第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25によって端部とコイル22部分が被覆されていることから、外部からの衝撃に強く、壊れにくいとともに、周りを樹脂でモールドされていることにより、アンテナ外装ケース4内に収納した際にケースとの固定がしやすく、組立が容易になるとともに、アンテナ構造体2のケース内での姿勢を安定させることができる。
また、本実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7を全て同じ大きさ・形状としているため、意匠に優れたブレスレッド型の腕時計を実現することができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、図6及び図7を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、アンテナ構造体の被覆部材の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0033】
図6は、本実施形態に係るアンテナ構造体8の平面図であり、図7は、図6に示すアンテナ構造体8を矢視VII方向から見た側面図である。
本実施形態に係る電波受信機器は、第1の実施形態と同様、アンテナ構造体8とこれを収納する金属材料で形成されたアンテナ外装ケース4とを備える電波腕時計であり、アンテナ構造体8により受信される標準電波に基づいて現在時刻を修正し、表示装置に表示させるものである。
【0034】
図6及び図7に示すように、本実施形態において、アンテナ構造体8は、第1の実施形態と同様のコア21、コイル22、第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を備えている。
【0035】
本実施形態において、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に設けられた間隙26となる領域には、非透磁性の材料により形成されたギャップ部材27が配置されている。
図7に示すように、ギャップ部材27は、例えば非透磁性の樹脂や木材等により、間隙26に嵌め込み可能な大きさに形成された棒状の部材であり、間隙26内のコア21の上下にそれぞれ配置されている。
なお、ギャップ部材27は、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間を磁気的に絶縁可能なものであればよく、ギャップ部材27を形成する材料、ギャップ部材27の形状、大きさ、配置される位置等はここに例示したものに限定されない。
【0036】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
次に、本実施形態におけるアンテナ構造体8の製造方法及び作用について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により、直状部211と張出し部212とを備えるコア21を形成する(コア形成工程)。
次に、コア21の直状部211に導線を所定回数巻回することによりコイル22を形成する(コイル形成工程)。
次に、コイル22の巻回されたコア21を型の中等に配置し、コア21の両端部を被覆するように磁性材料を含む樹脂を流し込む等の手法によって、コア21の端部を、磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材24により被覆する(第1の被覆工程)。また、コイル22が形成されているコア21の中央部を被覆するように磁性材料を含む樹脂を流し込む等の手法によって、コイル22が形成されているコア21の中央部を、磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材25により被覆する(第2の被覆工程)。これにより、アンテナ構造体2が完成する。このとき、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26ができるように成型する。
さらに、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に形成されている間隙26内にギャップ部材27を嵌め込み固定する(ギャップ部材配置工程)。これにより、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間がより確実に磁気的に絶縁される。これにより、アンテナ構造体8が完成する。
【0038】
完成したアンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4に収納し、このアンテナ外装ケース4と時計本体5が収納された時計外装ケース6とを連結させて、アンテナ構造体8と時計本体5内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケース6に駒部材7を連結させることにより、ブレスレッド型の電波腕時計1が完成する。
なお、その他は、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に形成されている間隙26内にギャップ部材27を配置している。このため、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25とをより確実に磁気的に絶縁することができる。
また、ギャップ部材27を配置して間隙26部分を埋めることにより、間隙26部分の強度を上げることができ、間隙26部分におけるアンテナ構造体8の折れ等を防止することができる。
【0040】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0041】
例えば、第2の実施形態では、第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に形成されている間隙26内にコア21を上下から挟むように、それぞれ2つのギャップ部材27を配置する例を示したが、ギャップ部材27はコア21の上下に設けられていなくてもよく、上又は下のいずれか一方のみに配置してもよい。
【0042】
また、第2の実施形態では、まず第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に間隙26を形成してから、この間隙26内にギャップ部材27を嵌め込む場合を例として説明したが、ギャップ部材27を配置するタイミングはこれに限定されない。
例えば、まず間隙26となる領域に相当する位置にコア21の下側に配置されるギャップ部材27を置き、その上にコイル22の巻回されたコア21を載置し、さらにコア21の上からコア21の上側に配置されるギャップ部材27を配置した後に、樹脂を流し込んで第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を形成してもよい。このように間隙26となる領域に先にギャップ部材を配置してから第1の被覆部材24及び第2の被覆部材25を形成する場合には、磁性材料を含む樹脂を流し込むだけで第1の被覆部材24と第2の被覆部材25との間に両者を磁気的に絶縁する間隙26となる領域を容易に形成することができ、アンテナ構造体8を効率的に生産可能となる。
【0043】
また、第2の実施形態において、ギャップ部材27は棒状の部材に限定されず、例えば間隙26となる領域に磁性材料を含まない非透磁性の樹脂を流し込むことによりギャップ部材27を形成してもよい。この場合には、例えば、型等に配置されたコア21の端部と中央部分には磁性材料を含む樹脂を流し込み、その間の間隙26となる領域には磁性材料を含まない非透磁性の樹脂を流し込む。これにより、第1の被覆部材24、第2の被覆部材25及び間隙となる領域に配置されるギャップ部材27を、1つの工程の中で形成することができる。
【0044】
また、上記各実施形態では、第1の被覆部材24を形成する第1の被覆工程の後に第2の被覆部材25を形成する第2の被覆工程が行われる場合を例としたが、第1の被覆部材24を形成する第1の被覆工程と第2の被覆部材25を形成する第2の被覆工程を行う順序は逆であってもよいし、両工程が同時に行われてもよい。
【0045】
また、アンテナ構造体2は1つずつ形成しなくてもよく、複数のアンテナ構造体2を一度に形成してもよい。
この場合には、例えば、コイル22を巻回したコア21を型の中に複数並べて配置し、これらの両端部を被覆するように樹脂を流し込んで第1の被覆部材24に相当する部分を形成するとともに、コイル22が巻回されているコア21の中央部にコイル22を被覆するように樹脂を流し込んで第2の被覆部材25に相当する部分を形成する。その後、第1の被覆部材24に相当する部分及び第2の被覆部材25に相当する部分を各コア21に対応するように切断することにより、個別のアンテナ構造体2とすることができる。
【0046】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4とアンテナ構造体との間に僅かな隙間しかない小さい寸法のアンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体を収納する場合を例としたが、アンテナ外装ケース4の大きさや形状等は、ここに例示したものに限定されない。例えばアンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体との間に大きく空間が確保できる程度にアンテナ外装ケース4が大きく構成されていてもよい。
【0047】
また、各実施形態では、アンテナ構造体が直接金属製のアンテナ外装ケース4内に収納される場合を例としたが、アンテナ構造体を樹脂等で形成されたケースに収納した上で金属製のケース内に配置してもよい。
【0048】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が四角形状に形成されている場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状はこれに限定されず、例えば円形状や多角形状等でもよい。
【0049】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が全てほぼ同じ形状、同じ大きさである場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状や大きさはそれぞれ異なっていてもよい。例えば時計外装ケース6のみがアンテナ外装ケース4や及び駒部材7よりも大きく形成されていてもよい。
【0050】
また、コアや第1の被覆部材24、第2の被覆部材25及びギャップ部材27の形状、大きさ等は、図示例に限定されず、アンテナ構造体が収納されるアンテナ外装ケース4の形状等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0051】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を収納するアンテナ外装ケース4と時計本体5を収納する時計外装ケース6とを別個に設けて、アンテナ構造体と時計本体5とをそれぞれ異なる外装ケース内に収納する場合について説明したが、アンテナ構造体と時計本体5とを1つの外装ケース内に収納する構成としてもよい。この場合には、例えばアンテナ構造体を時計本体5の回路基板上等に配置することにより、アンテナ構造体と回路基板との電気的接続を簡易に行うことができる。
【0052】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器がブレスレッド型に構成された電波時計である場合を例としたが、電波時計の形状はブレスレッド型に限定されず、例えばペンダント型に構成された電波時計でもよい。
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器が電波腕時計である場合を例として示したが、アンテナ構造体を適用可能な電波受信機器はこれに限られるものではなく、アンテナ構造体により電波を受信する構成のものであれば如何なるものであってもよい。例えば、固定式の電波時計や、小型ラジオ、携帯端末等にアンテナ構造体を適用してもよい。
【0053】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
磁性材料により形成されたコアと、
このコアの中央部に導線を巻回することにより形成されたコイルと、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コアの端部を被覆する第1の被覆部材と、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コイルが形成されている前記コアの中央部を被覆する第2の被覆部材と、を備え、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けたことを特徴とするアンテナ構造体。
<請求項2>
非透磁性の材料により形成されたギャップ部材を、前記間隙となる領域に配置したことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
<請求項3>
前記コアは、前記第1の被覆部材により被覆されている端部よりも前記第2の被覆部材により被覆されている中央部が細くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
<請求項4>
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えている電波受信機器。
<請求項5>
磁性材料によりコアを形成するコア形成工程と、
このコアの中央部に導線を巻回することによりコイルを形成するコイル形成工程と、
前記コアの端部を、磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材により被覆する第1の被覆工程と、
前記コイルが形成されている前記コアの中央部を、磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材により被覆する第2の被覆工程と、を含み、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
<請求項6>
前記間隙となる領域に非透磁性の材料により形成されたギャップ部材を配置するギャップ部材配置工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
<請求項7>
前記コア形成工程において、前記コアは、前記第1の被覆部材により被覆されている端部よりも前記第2の被覆部材により被覆されている中央部が細くなるように形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0054】
1 電波腕時計(電波受信機器)
2 アンテナ構造体
4 アンテナ外装ケース
5 時計本体
6 時計外装ケース
7 駒部材
21 コア
22 コイル
23 コンデンサ
24 第1の被覆部材
25 第2の被覆部材
26 間隙
27 ギャップ部材
211 直状部
212 張出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料により形成されたコアと、
このコアの中央部に導線を巻回することにより形成されたコイルと、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コアの端部を被覆する第1の被覆部材と、
磁性材料を含む材料で形成され、前記コイルが形成されている前記コアの中央部を被覆する第2の被覆部材と、を備え、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けたことを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
非透磁性の材料により形成されたギャップ部材を、前記間隙となる領域に配置したことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記コアは、前記第1の被覆部材により被覆されている端部よりも前記第2の被覆部材により被覆されている中央部が細くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えている電波受信機器。
【請求項5】
磁性材料によりコアを形成するコア形成工程と、
このコアの中央部に導線を巻回することによりコイルを形成するコイル形成工程と、
前記コアの端部を、磁性材料を含む材料で形成された第1の被覆部材により被覆する第1の被覆工程と、
前記コイルが形成されている前記コアの中央部を、磁性材料を含む材料で形成された第2の被覆部材により被覆する第2の被覆工程と、を含み、
前記第1の被覆部材と前記第2の被覆部材との間に間隙を設けることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
【請求項6】
前記間隙となる領域に非透磁性の材料により形成されたギャップ部材を配置するギャップ部材配置工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【請求項7】
前記コア形成工程において、前記コアは、前記第1の被覆部材により被覆されている端部よりも前記第2の被覆部材により被覆されている中央部が細くなるように形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98603(P2013−98603A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236840(P2011−236840)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)