説明

アンテナ立て

【課題】ベース部材が傾斜した場合でも、アンテナホルダを水平面に対して垂直にすることが可能で、アンテナをまっすぐに立てることができるアンテナ立てを提供する。
【解決手段】地面Gに載置され、自動車のタイヤTによって踏まれることで位置決め固定されるアンテナ立て1において、地面GとタイヤTとの間に挟み込まれる挟持部Sと、挟持部Sの外側に設けられた、上方に向かって凸状の支持部15とを有するベース部材10と、支持部15の上端側の当接部15bによって傾斜可能に支持される水平板20と、当接部15bを囲む複数箇所に設けられて、当接部15bによって水平に支持された水平板20を、ベース部材10に締結する複数の締結部材30と、水平板20に垂直に立設されるとともに内側に挿入されたアンテナAの下端部を保持する筒状のホルダ本体42を有するアンテナホルダ40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式の無線用アンテナを立てるためのアンテナ立てに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式の無線用アンテナを立てるためのアンテナ立てとして、地面に載置した後、自動車のタイヤで踏み付けることで、地面とタイヤとの間で挟持して位置決め固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものは、一方の端部がタイヤと地面との間に挟持されるベース部材と、このベース部材の他方の端部に立設された円筒状のアンテナホルダを備えており、アンテナの下端部をアンテナホルダの内側に挿入して固定することで、アンテナを所定の位置にセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のアンテナ立てにおいては、アンテナをまっすぐに立てることが困難であるという問題があった。
【0006】
すなわち、円筒状のアンテナホルダは、ベース部材に対して揺動可能(起立、倒伏可能)に構成されてはいるものの、起立姿勢をとった場合には、ベース部材に対して垂直となるように構成されていて、ベース部材に対して角度調整をするための機構は有していない。このため、例えば、地面が傾斜していたり、地面に凹凸があったりした場合には、地面とタイヤとの間に挟持されたベース部材を水平にすることが難しい。したがって、ベース部材に対して垂直なアンテナホルダを水平面に対して垂直に立てることは困難である。そして、アンテナホルダが水平面に対して垂直でない場合には、アンテナをバランスよくまっすぐに立てることができなくなる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ベース部材が傾斜してしまった場合でも、アンテナホルダを水平面に対して垂直に位置決めすることが可能で、アンテナをまっすぐに立てることができるアンテナ立てを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、地面に載置され、自動車のタイヤによって踏まれることで位置決め固定されるアンテナ立てにおいて、前記地面と前記タイヤとの間に挟み込まれる挟持部と前記挟持部の外側に設けられた、上方に向かって凸状の支持部とを有するベース部材と、前記支持部の上端側の当接部によって傾斜角度調整可能に支持される水平板と、前記当接部を囲む複数箇所に設けられて、前記当接部によって水平に支持された前記水平板を、前記ベース部材に締結する複数の締結部材と、前記水平板に垂直に立設されるとともに内側に挿入されたアンテナの下端部を保持する筒状のアンテナホルダと、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るアンテナ立てにおいて、前記当接部は、前記ホルダ本体の中心軸の延長に対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に係るアンテナ立てにおいて、前記支持部は、上方に向かって凸状に配置された球体の一部によって構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係るアンテナ立てにおいて、前記水平板は、前記当接部に対応する位置の少なくとも下面側に円形の当接孔を有し、前記当接部に対して前記当接孔の周縁部を当接させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に係るアンテナ立てにおいて、前記水平板に水準器を設けた、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に係るアンテナ立てにおいて、前記アンテナホルダは、下端側が前記水平板によって揺動可能に保持されていて、起立・倒伏が可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、水平板は、支持部の当接部によって傾斜角度調整可能に支持されているので、角度調整した水平にした後、締結部材によってベース部材締結することにより、水平に保持することができる。したがって、水平板に対して垂直に立設されたホルダ本体を水平面に対して垂直に位置決めすることができる。これにより、ホルダ本体にアンテナの下端部を挿入することで、アンテナをまっすぐに立てることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、支持部の当接部によってアンテナの重量を確実に受け止め、アンテナを安定した状態で保持することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、支持部の当接部が、球体の表面に設けられるので、支持部に対して水平面が傾斜した場合でも、当接部と水平板との当接状態が安定する。
【0017】
請求項4の発明によれば、支持部の当接部が、点ではなく、当接孔の周縁部に円周状に当接するので、当接部と水平板との当接状態がさらに安定する。
【0018】
請求項5の発明によれば、水平板に設けられた水準器を見ることにより、水平板が水平か否かを簡単に確認することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、アンテナを横向きに倒して、その下端部を、倒伏状態のアンテナホルダに挿入し、この挿入状態を維持したまま、アンテナとともにアンテナホルダを起立させることにより、アンテナを立てることができるので、アンテナを立てる作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アンテナ立て1の正面図である。
【図2】図1中のII−II線矢視図である。
【図3】アンテナ立て1の右側面図である。
【図4】(A)は水平板20の平面図であり、(B)は水平板20の右側面図である。
【図5】(A)はアンテナホルダ40の平面図であり、(B)はアンテナホルダ40の右側面図である。
【図6】支持部15と水平板20との当接状態を説明する正面拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0022】
図1〜図6を参照して、本発明を適用した実施形態1に係るアンテナ立て1について説明する。ここで、図1は、アンテナ立て1の正面図である。図2は、図1中のII−II線矢視図である。図3は、アンテナ立て1の右側面図である。図4(A)は、水平板20の平面図であり、(B)は水平板20の右側面図である。図5(A)は、アンテナホルダ40の平面図であり、(B)はアンテナホルダ40の右側面図である。図6は、支持部15と水平板20との当接状態を説明する正面拡大断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、アンテナ立て1の前後左右上下が、各図に矢印で示す前後左右上下の方向に対応しているものとして説明を行う。
【0023】
アンテナ立て1は、図1〜図3に示すように、ベース部材10と、このベース部材10によって傾斜角度調整可能に支持される水平板20と、この水平板20をベース部材10に締結する複数の締結部材30と、水平板20に垂直に立設されたホルダ本体42を有するアンテナホルダ40と、を備えて構成されている。
【0024】
ベース部材10は、左右方向に延設された2本のチャンネル材11,12と、これらを連結する2枚の連結板13,14と、連結板14の上面に設けられた支持部15と、を有している。
【0025】
チャンネル材11,12は、左右方向(長手方向)に直交する平面で切ったときの断面形状が「コ」字形に形成されていて、開口部11a,12aを下方に向けた姿勢で、相互に平行となるように配置されている。チャンネル材11,12の左端側、及び左右方向の中心から左側に寄った位置には、後述する締結部材30が設けられている。
【0026】
2枚の連結板13,14のうち、右側の連結板13は、2本のチャンネル材11,12の右端側の下面を相互に連結している。また、左側の連結板14は、右側の連結板13よりも左右幅が広く形成されており、チャンネル材11,12の左端側の下面を相互に連結している。
【0027】
支持部15は、左の連結板14の上面14aに突設されている。支持部15は、上方に向かって凸状の半球状(球体の一部)に形成されていて、連結板14の上面14aにおける、左右方向及び前後方向の中央に配置されている。ここで、図6に示すように、支持部15の下端15cから頂部15a(最も高い部位)までの距離を高さHとし、図1に示すように、チャンネル材11,12の下端から上端までの距離を高さhとすると、高さH>高さhとなるように支持部15及びチャンネル材11,12が形成されている。つまり、図1,図3に示すように、支持部15は、その頂部15a近傍が、チャンネル材11,12の上端よりも上方に位置するように構成されている。これにより、後述する水平板20を、ベース部材10に対して傾斜させることが可能となる。なお、水平板20は、チャンネル材11,12に当接することで、必要以上の傾斜が禁止される。すなわち、水平板20は、傾斜角度の調整範囲内では、チャンネル材11,12に干渉しないようになっている。言い換えると、支持部15の高さHとチャンネル材11,12の高さhとの差(H−h)を支持部15の突出高さとすると、突出高さを適宜に設定することにより、水平板20が必要以上に傾斜することを防止できる。
【0028】
上述のチャンネル材11,12、連結板13,14、支持部15によって構成されたベース部材10は、図1に示すように、チャンネル材11,12における右側部分、すなわち、水平板20よりも右側に位置する部分が、自動車のタイヤTによって踏まれて、地面Gとの間に挟持される挟持部Sとなる。
【0029】
水平板20は、略正方形状の板状部材である。その一辺の長さaは、図3に示すように、2本のチャンネル材11,12のそれぞれの外側面間の距離Dよりも少し大きく設定されている。水平板20は、図4(A)に示すように、中央に当接孔21が穿設され、4隅のそれぞれにボルト孔22が穿設され、当接孔21の同図中の下方に2つの固定孔23,23が穿設されている。これら当接孔21、ボルト孔22、固定孔23は、いずれも水平板20を高さ方向(上下方向,表裏方向)に貫通するように穿設されている。また、水平板20の上面(表面)20aにおける、当接孔21の同図中の上方には、揺動支持板24が突設されている。
【0030】
中央の当接孔21は、図6に示すように、上述の半球状の支持部15によって水平板20を支持する際に、支持部15の頂部15a近傍に配置される。これにより、当接孔21のうちの、水平板20の下面(裏面)20b側の円形の周縁部21bが、支持部15の頂部15a近傍に円周状に当接する。支持部15のうち、周縁部21bに接触(当接)する部分が、支持部15の当接部15bとなる。後述するアンテナAがアンテナ立て1にセットされた後は、アンテナAの重量を、この円周状の当接部15bで受けることになる。なお、当接孔21は、必ずしも、水平板20を貫通する必要はなく、下面側に形成されて、周縁部21bを有していれば十分である。
【0031】
4隅のボルト孔22は、後述する締結部材30のボルト31が、下方から上方に向かって貫通する透孔である。ボルト孔22は、その直径がボルト31の直径よりも大きく設定されている。すなわち、ボルト孔22の直径は、ボルト31が貫通された状態で、水平板20が支障なく傾斜することができる程度の大きさに設定されている。
【0032】
固定孔23は、後述のアンテナホルダ30を、起立姿勢で水平板20に固定するためのボルト25が上下方向に貫通される透孔である。
【0033】
揺動支持板24は、正方形の板状に形成されていて、水平板20の上面20aにおける、左右方向の中心よりもわずかに左に寄った位置で、かつ、後側に、前後方向を向けた状態で突設されている。揺動支持板24の中央には、左右方向に貫通された透孔24aが穿設されていて、ボルト26が左右方向に挿入されている。このボルト26は、後述するアンテナホルダ40の揺動中心となる。
【0034】
水平板20における上面20aには、水平板20が水平か否かを示す水準器27が取り付けられている。なお、水準器27は、設けなくてもよく、この場合には、目視によって水平板20の水平を取るようにするが、水平板20を精度よく、水平に維持するためには、水準器27を設けることが好ましい。
【0035】
締結部材30は、図3に示すように、上述の水平板20を、ベース部材10のチャンネル材11,12に、傾斜角度調整可能に締結する部材であり、それぞれ調整ボルト31、固定ナット31a、座金31b、調整ナット31cを有している。
【0036】
各調整ボルト31は、チャンネル材11又はチャンネル材12の上部を下方から上方に貫通するとともに、固定ナット31aが螺合されることにより、チャンネル材11又はチャンネル材12に固定されている。さらに、調整ボルト31は、上述の水平板20の4隅のボルト孔22を下方から上方に貫通するとともに、水平板20の上面20a側から正方形の座金31bが嵌められ、さらに、調整ナット31cが螺合されている。4個の締結部材30は、図2に示すように、水平板20の4隅のボルト孔22に対応して、正方形の角に位置するように配列されている。このため、水平板20をチャンネル材11,12に締結する際に、水平板20を、90度あるいは180度回転させて向きを変えて締結することも可能である。これにより、次に説明するアンテナホルダ40の倒伏方向を90度あるいは180度変更することが可能である。
【0037】
アンテナホルダ40は、長方形状の底板41と、底板41に立設された円筒状のホルダ本体42と、ホルダ本体42の下端側に取り付けられた揺動板43とを有している。
【0038】
底板41は、図2,図5に示すように、左右方向の中心で、前後方向の中心から後側に寄った位置に透孔41aが穿設され、また、前端近傍には、左右方向に振り分けで2個のボルト孔41bが穿設されている。透孔41aは、上述の水平板20の当接孔21と同形で、かつ、この当接孔21と重なるように配置されている。また、この透孔41aは、ホルダ本体42の、前後方向及び左右方向の中心に位置している。2個のボルト孔41bは、水平板20の2個の固定孔23に重なるように配置されている。底板41は、水平板20の固定孔23、及び底板41のボルト孔41bを下方から貫通するボルト25の上端に、底板41の上面側からナット25aを螺合させて締め付けることにより、水平板20の上面20aに固定されている。
【0039】
ホルダ本体42は、上下方向の中心軸C(図1参照)を中心とする筒状(図示例では円筒状)に形成されていて、底板41の上面における、左右方向の中心で、かつ前後方向の後端側に垂直に立設されている。ホルダ本体42の上下方向の上端近傍及び中間部近傍には、ホルダ本体42を周方向に3等分する位置に、それぞれねじ孔42aが設けられている。これらねじ孔42aには、図2に示すように、固定ボルト42bが螺合されていて、これら固定ボルト42bを締め付けてその先端で、ホルダ本体42の内側に挿入されたアンテナAの下端部を押圧して固定するようになっている。
【0040】
揺動板43は、図2,図5に示すように、ホルダ本体42の外周面における下端部に後向きに取り付けられている。揺動板43には、上述の水平板20の揺動支持板24の透孔24aに対応する位置に、透孔43aが穿設されている。図2に示すように、これら透孔24a,43aには、固定ボルト26が左方から右方に貫通されていて、この固定ボルト26の先端に右方からナット26aを螺合して締め付けることで、揺動板43を揺動支持板24に固定している。揺動板43の後端は、斜めにカットされてストッパ43bを構成している。ストッパ43bは、後述するように、アンテナホルダ40が、図3中の矢印R1方向に倒伏された際に、水平板20の上面20aに当接して、それ以上の倒伏を防止している。
【0041】
上述の底板41、ホルダ本体42、揺動板43によって構成されたアンテナホルダ40は、図3に示すように、底板41を水平板20に固定しているナット25aを外し、揺動板43を揺動支持板24に固定している固定ボルト26のナット26aを緩めることで、固定ボルト26を中心として、図3中の矢印R1方向に揺動させて後方に倒伏させることができる。これにより、アンテナAの下端部をホルダ本体42の内側に挿入するに際して、アンテナホルダ40を倒伏させた状態で挿入し、その後、アンテナAとともにアンテナホルダ40を起立させて、ナット25a、26aをそれぞれボルト25,固定ボルト26に締め付けることで、アンテナホルダ40を水平板20に固定してアンテナAを立てることが可能となる。ここで、アンテナホルダ40が倒伏しない構造の場合は、アンテナAの下端部をホルダ本体42の内側に挿入するためには、アンテナAの下端を少なくとも、ホルダ本体42の上端よりも高い位置に持ち上げる必要があり、その作業に力を要するとともに、煩雑である。これに対し、上述のようにアンテナホルダ40が倒伏する構造の場合には、上述のようにしてアンテナAを立てることができるため、作業が容易となる。
【0042】
上述構成のアンテナ立て1は、以下のようにして使用する。なお、以下では、ベース部材10、水平板20、締結部材30、アンテナホルダ40が、図1〜図3に示す組立状態で、自動車に搭載されて、アンテナAの設置場所に搬送(運搬)される場合を例に説明する。もちろん、ベース部材10、水平板20、締結部材30、アンテナホルダ40をばらばらに分解してコンパクトにした状態で搬送(運搬)することも可能である。さらに、本実施形態のアンテナ1が、その水平板20を図2に示す状態から、90度左又は右に、あるいは180度回転させた状態でも取り付け可能である点を考慮して、例えば、水平板20を、図2に示す位置から90度右回りに回転させた姿勢で、締結部材30によってベース部材10に締結し、この状態で、アンテナホルダ40を右側に倒伏させれば、アンテナホルダ40は、チャンネル材11,12の間に、これらに沿って配置されるので、ばらばらに分解することなく、比較的、コンパクトに搬送(運搬)することが可能である。
アンテナ立て1を搬送箇所に搬送し、比較的、平らである地面G上に載置し、ベース部材10の挟持部Sを自動車のタイヤTで踏み付けて、地面GとタイヤTとの間で挟持して固定位置決めする。
【0043】
つづいて、水平板20の水平出しを行う。4箇所の締結部材30の調整ナット31cを緩め、半球状の支持部15によって支持された水平板20が自由に傾斜できるようにする。水平板20の上面20aの水準器27を見ながら、ホルダ本体42を手で掴んで動かし、水平板20を種々の方向に傾斜させて、水準器27が水平を示す位置を探す。水準器27が水平を示したら、その位置にホルダ本体42を保持し、残りの手で、4箇所の締結部材30の調整ナット31cを交互に少しずつ締め付けて、水平板20を水平に固定する。その後、上述のように、アンテナホルダ40を倒伏させてホルダ本体42の内側にアンテナAの下端部を挿入し、アンテナAを起こしながら、アンテナホルダ40を起立させて水平板20の上面に固定する。これにより、水平に維持されている水平板20に対して、アンテナホルダ40を垂直に立設させることができる。その後、ホルダ本体42の固定ボルト42bによってアンテナAの下端部を固定する。以上によりアンテナAの設置が終了する。
【0044】
本実施形態によれば、
(1)ベース部材10の姿勢や状態にかかわらず、水平板20の傾斜角度を調整して水平に保持することができるので、例えば、ベース部材10を設置する地面Gが傾斜していたり、地面Gに凹凸があったりした場合でも、また、自動車のタイヤTでベース部材10の挟持部Sを挟持することでベース部材10が多少変形した場合であっても、水平板20の傾斜角度を適宜に調整することにより、水平板20を水平に配置し、ひいては、アンテナホルダ40(ホルダ本体42)を水平面に対して垂直に配置することができる。
(2)この際、半球状の支持部15の頂部15a近傍が、水平板20の当接孔21の周縁部21bが円周状に当接して当接部15bを構成するので、このような当接孔21が形成されておらず、したがって、当接部が点接触する場合と比較して、安定した状態で、水平板20の傾斜角度の調整作業を行うことができる。
(3)アンテナホルダ40が倒伏可能であるので、倒伏しない場合と比較して、上述のように、アンテナAを簡単に立てることができる。
(4)この際、アンテナホルダ40の倒伏方向を、自動車の前方、後方、外側の任意に設定することができるので、アンテナAの設置箇所の地形等に応じて、例えば、自動車の4個のタイヤTのうちの、ベース部材10の挟持部Sを挟持するタイヤTを任意に選定することが可能である。すなわち、水平板20は、ベース部材10に対して、平面視の状態において(図2に示す状態において)、左回り及び右回りに90度、また、180度回転させて、締結部材30によって締結することが可能である。このため、アンテナホルダ40の倒伏方向を、自動車の前方、後方、外側のうちの任意に設定することができ、このことにより、さらに、挟持部Sを挟持するタイヤTとして、4個のうちから任意のものを選択することが可能である。言い換えると、設置箇所の地形や地面Gの状態(傾斜、凹凸等)等に応じて、まず、ベース部材10の挟持部Sを挟持するタイヤTを選定し、つづいて、アンテナホルダ40の倒伏方向を前方、後方、外側のうちから、選定することができる。つまり、実施形態1に係るアンテナ立て1は、地形や地面Gの状態に対する適応性が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0045】
1 アンテナ立て
10 ベース部材
15 支持部
15a 頂部
15b 当接部
20 水平板
20a 水平板の上面
20b 水平板の下面
21 当接孔
21b 当接孔の周縁部
27 水準器
30 締結部材
40 アンテナホルダ
42 ホルダ本体
A アンテナ
C 中心軸
G 地面
S 挟持部
T タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に載置され、自動車のタイヤによって踏まれることで位置決め固定されるアンテナ立てにおいて、
前記地面と前記タイヤとの間に挟み込まれる挟持部と、前記挟持部の外側に設けられた、上方に向かって凸状の支持部とを有するベース部材と、
前記支持部の上端側の当接部によって傾斜角度調整可能に支持される水平板と、
前記当接部を囲む複数箇所に設けられて、前記当接部によって水平に支持された前記水平板を、前記ベース部材に締結する複数の締結部材と、
前記水平板に垂直に立設されるとともに内側に挿入されたアンテナの下端部を保持する筒状のホルダ本体を有するアンテナホルダと、を備える、
ことを特徴とするアンテナ立て。
【請求項2】
前記当接部は、前記ホルダ本体の中心軸の延長に対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ立て。
【請求項3】
前記支持部は、上方に向かって凸状に配置された球体の一部によって構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ立て。
【請求項4】
前記水平板は、前記当接部に対応する位置の少なくとも下面側に円形の当接孔を有し、前記当接部に対して前記当接孔の周縁部を当接させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ立て。
【請求項5】
前記水平板に水準器を設けた、
ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ立て。
【請求項6】
前記アンテナホルダは、下端側が前記水平板によって揺動可能に保持されていて、起立・倒伏が可能である、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ立て。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−44501(P2012−44501A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184728(P2010−184728)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(399018080)株式会社田無タワー (1)
【Fターム(参考)】