説明

アントラニルアミド系化合物の製造方法

【課題】ピラゾール3位が臭素原子で置換されたアントラニルアミド系化合物又はその塩の製造方法の提供。
【解決手段】式(II):


(式中、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルである)で表される化合物と臭素化剤とを反応させた後、酸化剤を反応させピラゾール3位が臭素原子で置換されたアントラニルアミド系化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラゾール3位に臭素原子を持つアントラニルアミド系化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アントラニルアミド系化合物に関しては、農園芸分野の有害生物防除剤として優れた効果を示すことが、例えば特許文献1に開示されている。一方、特許文献2及び3には一定のアントラニルアミド系化合物の製造方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO 2005/077934
【特許文献2】国際公開公報 WO 2003/016283
【特許文献3】国際公開公報 WO 2004/011453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、アントラニルアミド系化合物の製造方法については、種々の方法が提案されている。ピラゾール3位が臭素原子で置換されたアントラニルアミド系化合物を製造する場合、その臭素化には、ヒドロキシピラゾリン化合物をオキシ塩化リン等の毒性の強いリン系塩素化剤で塩素化した後、臭素化剤と反応させる方法、ヒドロキシピラゾリン化合物を特定のスルホン酸エステルに変換した後、臭素化剤と反応させる方法等が提案されている。しかしながら、前者は毒性の強いリン系塩素化剤を使うことによる安全性の問題がある。又、後者は収率良く目的の臭素化物が得られるのは、限られた条件下で実施した場合のみである。汎用的な条件下で効率的且つ安価なピラゾール3位が臭素原子で置換されたアントラニルアミド系化合物の製造方法が希求されている。
本発明の目的は、汎用的な条件下におけるピラゾール3位が臭素原子で置換されたアントラニルアミド系化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ピラゾール3位に脱離性の高い置換基を導入することにより、汎用的な条件でも高収率で目的の化合物を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ニトロ、ホルミル又はシアノであり、AはYで置換されてもよいアルキルであり、Yはハロゲン、アルキル及びハロアルキルからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよいC3−4シクロアルキルであり、mは0〜4の整数である)で表されるアントラニルアミド系化合物又はその塩の製造方法であって、式(II):
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルであり、R、A及びmは前述の通りである)で表される化合物と臭素化剤とを反応させて式(III):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、R、A及びmは前述の通りである)で表される化合物を製造し;
更に、式(III)の化合物と酸化剤とを反応させて前記式(I)のアントラニルアミド系化合物を製造する方法に関する。
又、本発明は上記製造方法の原料である前記式(II)の化合物に関する。
【0012】
前記各式における、R、A又はY中のアルキル又はアルキル部分は直鎖又は分岐状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のものなどが挙げられる。
又はY中のハロゲン又は置換基としてのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1又は2以上であってもよく、2以上の場合、各ハロゲンは同一でも相異なっても良い。又、ハロゲンの置換位置はいずれの位置でもよい。
【0013】
前記アントラニルアミド系化合物の塩としては、農薬上許容されるものであればあらゆるものが含まれる。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法によれば、ピラゾール3位に臭素原子を持つアントラニルアミド系化合物又はその塩を効率的に製造することができ、かかる化合物は農園芸分野の有害生物防除剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係わるアントラニルアミド系化合物又はその塩の製造方法につき詳述する。
式(I)のアントラニルアミド系化合物又はその塩は、以下に示す〔A〕〜〔C〕の反応に従って製造することができる。
【0016】
【化4】

【0017】
式中、Xは塩素原子又は臭素原子であり、R、A、Z及びmは前述の通りである。
反応〔A〕は、通常、塩基及び溶媒の存在下で式(IV)の化合物と、等モル以上の式(V)の化合物とを反応させることにより行なうことができる。
本反応に使用できる式(IV)の化合物としては、N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール)−5−カルボキサミド、N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール)−5−カルボキサミド、N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、N−(−4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、1−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドなどを挙げることができる。
式(V)の化合物としては、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、3−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、2−ピリジルスルホニルクロリド、3−ピリジルスルホニルクロリド、4−ピリジルスルホニルクロリド、2−ニトロベンゼンスルホニルブロミド、3−ニトロベンゼンスルホニルブロミド、4−ニトロベンゼンスルホニルブロミド、2−ピリジルスルホニルブロミド、3−ピリジルスルホニルブロミド、4−ピリジルスルホニルブロミドなどが挙げられる。
【0018】
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような無機塩基;ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのような第三級アミン類などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(IV)の化合物に対して1〜5倍モル、望ましくは1〜3倍モル使用することができる
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔A〕は、通常−20〜120℃、望ましくは−10〜80℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜10時間程度である。
【0019】
【化5】

【0020】
式中、R、A、Z及びmは前述の通りである。
反応〔B〕は、通常、溶媒の存在下で、式(II)の化合物と、等モル以上の臭素化剤とを反応させることにより行なうことができる。臭素化剤の使用量は、式(II)の化合物の1〜5倍モルが好ましい。
本反応で使用できる式(II)の化合物としては、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル) −6−メチルフェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(4−クロロ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナート、5−(4−シアノ−6−メチル−2−(メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ピリジルスルホナートなどを挙げることができる。
【0021】
臭素化剤としては、臭化水素;臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化アルミニウム、三臭化リン、五臭化リンなどの金属臭化物;臭化アンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウムなどの臭化アンモニウム塩などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。臭化水素は、金属臭化物又は臭化アンモニウム塩を硫酸などの酸と反応させて発生させることができる。この方法で反応系中に臭化水素を発生させて反応〔B〕を行うこともできる。
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;酢酸のようなプロトン性溶媒;水などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔B〕は、通常−20〜150℃、望ましくは0〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜24時間程度である。
【0022】
【化6】

【0023】
式中、R1、A及びmは前述の通りである。
反応〔C〕は、通常、溶媒の存在下で式(III)の化合物と酸化剤とを反応させることにより行なうことができ、本反応により目的の式(I)のアントラニルアミド系化合物を製造できる。
本反応に使用できる式(III)の化合物としては、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドなどを挙げることができる。
酸化剤としては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、o−クロラニル、過酸化水素、過酸化二硫酸アンモニウム、過酸化二硫酸ナトリウム、過酸化二硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、OXONE(商品名)、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、酸素などが挙げられる。酸化剤は、式(III)の化合物に対して1〜10倍モル、望ましくは1〜4倍モル使用することができる。
【0024】
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;酢酸;水などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔C〕は、通常0〜150℃、望ましくは20〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.5〜50時間程度である。
【0025】
反応〔A〕で使用することができる式(IV)の化合物は、〔D〕に従い製造することができる。
【0026】
【化7】

【0027】
式中、Halはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、R、A及びmは前述のとおりである。
反応〔D〕は、通常、不活性ガスの雰囲気条件下、塩基及び溶媒の存在下で、式(VI)の化合物と式(VII)の化合物とを反応させることにより行なうことができる。
式(VI)の化合物としては、N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド、N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミドなどを挙げることができる。
不活性ガスとしては、窒素又はアルゴンのような反応に不活性なガスが挙げられる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのような無機塩基;ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのような有機塩基から1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(VI)の化合物に対して1〜5倍モル、望ましくは1〜3.5倍モル使用することができる。
【0028】
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔D〕は、通常0〜150℃、望ましくは30〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.5〜50時間程度である。
【0029】
前記式(VI)の化合物は、通常、溶媒の存在下で式(VIII)の化合物とヒドラジンとを反応させることにより製造することができる。
【0030】
【化8】

【0031】
式中、R2はアルキルであり;R、A及びmは前述の通りである。
のアルキルは直鎖又は分岐状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のアルキルなどが挙げられる。
式(VIII)の化合物には、シス体及びトランス体の異性体が存在するが、いずれか一方であってもその混合物であっても構わない。
【0032】
式(VIII)の化合物としては、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル、4−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)−6−メチルフェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、4−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸メチル、4−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソイソクロトン酸エチル、
などを挙げることができる。
ヒドラジンは、式(VIII)の化合物に対して0.9〜3倍モル、望ましくは1〜1.5倍モル使用することができる。
【0033】
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、水のようなプロトン性溶媒;ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
本反応は、通常−10〜150℃、望ましくは0〜100℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.2〜20時間程度である。
前記式(VIII)の化合物は、反応〔F〕に従い製造することができる。
【0034】
【化9】

【0035】
式中、R、R、A及びmは前述の通りである。化合物(VIII)及び(IX)にはシス体及びトランス体の異性体が存在するが、いずれか一方であってもその混合物であっても構わない。
反応〔F〕は、通常、溶媒の存在下で、式(IX)の化合物と式(X)の化合物とを反応させるか、または溶媒および塩基の存在下で、式(IX)の化合物と式(X)の化合物の塩とを反応させることにより行うことができる。
本反応で使用できる式(IX)の化合物としては、(E)−3−(6−クロロ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(E)−3−(6−クロロ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(E)−3−(8−ブロモ−6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(E)−3−(8−ブロモ−6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(E)−3−(6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(E)−3−(6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、
(E)−3−(6−シアノ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(E)−3−(6−シアノ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(Z)−3−(6−クロロ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(Z)−3−(6−クロロ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(Z)−3−(8−ブロモ−6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(Z)−3−(8−ブロモ−6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(Z)−3−(6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(Z)−3−(6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチル、(Z)−3−(6−シアノ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチル、(Z)−3−(6−シアノ−8−メチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸エチルなどを挙げることができる。
又、式(X)の化合物としては、1−シクロプロピルエチルアミン、1−シクロブチルエチルアミン、シクロプロピルメチルアミン、メチルアミンなどを使用することができる。式(X)の化合物の塩としては、塩酸塩、硫酸塩などの無機酸の塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸の塩などを使用することができる。式(X)の化合物またはその塩は、式(IX)の化合物に対して等モル以上、望ましくは1〜5倍モル使用することができる。
式(X)の化合物の塩を使用する場合は、さらに、塩基を用いることが望ましい。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような無機塩基;水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのような有機塩基から1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(X)の化合物の塩に対して0.7〜5倍モル、望ましくは1〜1.5倍モル使用することができる。
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホランのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
本反応は、通常−20〜120℃、望ましくは−10〜80℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜24時間程度である。
【0036】
前述の反応〔A〕〜〔F〕で得られる化合物には、光学異性体、幾何異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。 尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記反応式に記載した構造と異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0037】
また、本発明には以下の方法が含まれる。
(1)前記反応〔A〕により、式(II)の化合物を製造する方法。
(2)前記反応〔B〕により、式(III)の化合物を製造する方法。
(3)前記反応〔A〕及び〔B〕により、式(III)の化合物を製造し、前記反応〔C〕により、式(I)の化合物を製造する方法。
(4)前記反応〔D〕により、式(IV)の化合物を製造し、前記反応〔A〕、〔B〕及び〔C〕により、式(I)の化合物を製造する方法。
(5)前記反応〔E〕により、式(VI)の化合物を製造し、前記反応〔D〕、〔A〕、〔B〕及び〔C〕により、式(I)の化合物を製造する方法。
(6)前記反応〔F〕により、式(VIII)の化合物を製造し、前記反応〔E〕、〔D〕、〔A〕、〔B〕及び〔C〕により、式(I)の化合物を製造する方法。
【実施例】
【0038】
本発明をより詳しく述べるために、以下に実施例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0039】
実施例1 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(1)
(1)5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナートの合成
N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド1.0gを10mLのクロロホルムに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン280mg、次いで塩化2−ニトロベンゼンスルホニル580mgを加え、一夜攪拌した。反応液に水、酢酸エチルを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1(体積比、以下、同様である。))で精製し、ペースト状の目的物1.36gを得た。以下に得られた精製物の1H-NMR を示す(以下、同様の表示である。)。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 11.39(d,1H), 8.49(dd,1H), 8.43(m,1H), 8.11(dd,1H), 7.78-7.90(m,4H), 7.58(d,2H), 7.34-7.40(m,2H), 6.85(m,1H), 6.0(t,1H), 5.56(ddd,1H), 3.36-3.52(m,3H), 1.21(dd,3H), 0.9(m,1H), 0.2-0.7(m,4H)
(2)N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、33質量%臭化水素酢酸溶液0.3mLを滴下して約1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物310mgを得た。
1H-NMR (300MHz,CDCl3) δ: 11.48(d,1H), 8.50(dd,1H), 8.13(t,1H), 7.67(d,1H), 7.4(ds,2H), 6.9(m,1H), 6.03(t,1H), 5.50(ddd,1H), 3.35-3.58(m,3H), 1.17(d,3H), 0.85(m,1H), 0.23-0.6(m,4H)
【0040】
実施例2 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(2)
(1)5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナートの合成
N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド1.0gを10mLのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン280mg、次いで塩化3−ニトロベンゼンスルホニル570mgを加え、約5.5時間攪拌した。反応液に水、酢酸エチルを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、ペースト状の目的物1.31gを得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 11.42(d,1H), 8.93(s,1H), 8.55(dd,1H), 8.47(m,3H), 8.11(m,1H), 7.81(dd,1H), 7.61(d,1H), 7.35-7.39(m,2H), 6.86(m,1H), 6.0(t,1H), 5.55(ddd,1H), 3.33-3.48(m,3H), 1.21(dd,3H), 0.9(m,1H), 0.2-0.7(m,4H)
(2)N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ニトロベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、33質量%臭化水素酢酸溶液0.3mLを滴下して約1.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム1.8mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物320mgを得た。
【0041】
実施例3 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(3)
(1)5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナートの合成
N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド1.0gを10mLのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン330mg、次いで塩化4−ニトロベンゼンスルホニル570mgを加え、約3時間攪拌した。反応液に水、酢酸エチルを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、ペースト状の目的物1.34gを得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 11.43(d,1H), 8.47(dd,1H), 8.36(dd,2H), 8.11(m,1H), 7.61(d,1H), 7.36-7.40(m,2H), 6.87(m,1H), 6.0(t,1H), 5.54(ddd,1H), 3.37-3.47(m,3H), 1.23(dd,3H), 0.9(m,1H), 0.2-0.7(m,4H)
(2)N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、33質量%臭化水素酢酸溶液0.3mLを滴下して約1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物310mgを得た。
【0042】
実施例4 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(4)
(1)5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジンスルホナートの合成
N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド1.0gを10mLのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン550mg、次いで塩化3−ピリジンスルホニル460mgを加え、約1時間攪拌した。次いで4−ジメチルアミノピリジン25mgを加え、さらに約30分間攪拌した。反応液に水、酢酸エチルを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、ペースト状の目的物1.36gを得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 11.45(d,1H), 9.30(s,1H), 8.90(d,1H), 8.43-8.50(m,2H), 8.11(dd,1H), 7.61(d,1H), 7.53(m,1H), 7.35-7.38(m,2H), 6.86(m,1H), 6.2(t,1H), 5.54(ddd,1H), 3.36-3.48(m,3H), 1.21(dd,3H), 0.9(m,1H), 0.2-0.7(m,4H)
(2)N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 3−ピリジンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、33質量%臭化水素酢酸溶液0.4mLを滴下して約1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2.8mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物330mgを得た。
【0043】
実施例5 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(5)
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−ニトロベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、47質量%臭化水素水0.2mLを滴下して約6日間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物250mgを得た。
【0044】
実施例6 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(6)
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 2−ニトロベンゼンスルホナート10.0gを酢酸30mLに溶解し、臭化ナトリウム2.4gを加えた後、98質量%濃硫酸1.3mLを室温で滴下した。滴下終了後、内温40〜50℃で約2時間程度加熱した。反応終了後、反応溶液を8質量%水酸化ナトリウム水溶液60mL中に滴下し、結晶状の目的物8.3gを得た。
【0045】
比較例1 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(7)
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−メチルベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、33質量%臭化水素酢酸溶液0.3mLを滴下して約2.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物260mgを得た。
【0046】
比較例2 N−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成(8)
5−(4−クロロ−2−(1-シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル 4−メチルベンゼンスルホナート400mgを酢酸0.7mLに溶解し、47質量%臭化水素水0.2mLを滴下して約6日間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水、1N水酸化ナトリウム2mLを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、ペースト状の目的物180mgを得た。
【0047】
上記臭素化反応の収率を表1に示す。表1に示す通り、本発明の式(II)の化合物を用いた臭素化反応は従来技術に比し高収率で進行する。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例7 3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド0.10gのN,N−ジメチルホルムアミド3ml溶液に、ペルオキソ二硫酸カリウム0.24gと硫酸0.02gを加えて、加熱還流した。1.5時間後、放冷し、反応液を水10mLに注入した後、酢酸エチルを加え、抽出した。有機層(酢酸エチル層)を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0〜1/2)で精製して目的物0.09g(融点:231−233℃)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 12.25(br, 1H), 8.48(dd, 1H), 8.44(d, 1H), 7.89(dd, 1H), 7.45-7.33(m, 3H), 7.01 (s, 1H), 6.23(d, 1H), 3.57-3.54(m, 1H), 1.34(d, 3H),0.95-0.90(m, 1H), 0.63-0.51(m, 2H), 0.43-0.32(m, 2H)
【0050】
実施例8 N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
(1)4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチルの合成
1−シクロプロピルエチルアミン塩酸塩0.73g、及びトリエチルアミン0.91gのアセトニトリル12mLの混合溶液を室温で1時間攪拌した。その後、該混合溶液に(E)−3−(6−クロロ−4−オキソ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)アクリル酸メチルの粗結晶0.53gを室温で加え、3時間室温で反応した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜8/2)で精製して、淡黄色の目的物0.22g(融点:154.4℃)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ: 11.62(br,1H), 8.69-8.66(m,1H), 7.46-7.43(m,2H), 7.05(d,1H), 6.88(d,2H), 6.21(brd,1H), 3.80(s,3H), 3.53-3.48(m,1H), 1.32(d,3H), 0.96-0.90(m,1H),0.62-0.48(m,2H),0.42-0.36(m,1H), 0.34-0.29(m,1H)
【0051】
(2)N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミドの合成
4−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニルアミノ)−4−オキソクロトン酸メチル0.56g及びエタノール3mlの混合液に、ヒドラジン一水和物90mgとエタノール3mLの混合液を加え、エタノール2mLでリンスした後、6時間加熱還流した。反応液を放冷後、析出した結晶を吸引ろ過し、結晶をエタノールで洗浄し、風乾して目的物0.16g(融点:248℃)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6) δ: 11.83(s,1H), 9.14(d,1H), 8.53(d,1H), 8.36(dd,1H), 7.57(t,1H), 7.38(dd,1H), 5.99(dd,1H), 3.99(t,1H), 3.30(m,1H), 2.56(dd,1H), 2.27-2.32(m,1H), 1.04(q,3H), 0.81(m,1H), 0.00-0.40(m,4H)
(3)N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの合成
N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド1.0gを10mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、2,3−ジクロロピリジン 460mg、次いで水素化ナトリウム 350mgを加え、窒素雰囲気下に約70℃で約7時間攪拌した後、放冷した。反応液に水、酢酸エチルを加えて攪拌し、酢酸エチルで抽出した。その後、減圧濃縮し、粗製物を得た。粗製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=9/1)で精製し、目的物1.15g(融点:165〜167℃)を得た。
1H-NMR (300MHz,CDCl3) δ: 12.17(s,1H), 8.58(d,1H), 8.25(dd,1H), 7.82(br,1H), 7.72(d,1H), 7.42(ds,2H), 7.10(dd,1H), 6.26(d,1H), 4.93(m,1H), 3.45(m,1H), 2.93(ds,2H), 1.24(d,3H), 0.89(m,1H), 0.12-0.64(m,4H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Rはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ニトロ、ホルミル又はシアノであり、AはYで置換されてもよいアルキルであり、Yはハロゲン、アルキル及びハロアルキルからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよいC3−4シクロアルキルであり、mは0〜4の整数である)で表されるアントラニルアミド系化合物又はその塩の製造方法であって、式(II):
【化2】

(式中、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルであり、R、A及びmは前述の通りである)で表される化合物と臭素化剤とを反応させて式(III):
【化3】

(式中、R、A及びmは前述の通りである)で表される化合物を製造し;
更に、式(III)の化合物と酸化剤とを反応させることを特徴とするアントラニルアミド系化合物の製造方法。
【請求項2】
前記臭素化剤が、式(II)で表される化合物の等モル以上使用される請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、式(III)で表される化合物の1〜10倍モル使用される請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(II)の化合物が、式(IV):
【化4】

(式中、Rはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ニトロ、ホルミル又はシアノであり、AはYで置換されてもよいアルキルであり、Yはハロゲン、アルキル及びハロアルキルからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよいC3−4シクロアルキルであり、mは0〜4の整数である)で表される化合物と式(V):
【化5】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子であり、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルである)で表される化合物を反応させて製造した化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式(II)の化合物が、式(VI):
【化6】

(式中、Rはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ニトロ、ホルミル又はシアノであり、AはYで置換されてもよいアルキルであり、Yはハロゲン、アルキル及びハロアルキルからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよいC3−4シクロアルキルであり、mは0〜4の整数である)で表される化合物と式(VII):
【化7】

(式中、Halはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)で表される化合物を反応させて式(IV):
【化8】

(式中、R、A及びmは前述の通りである)で表される化合物を製造し;更に式(IV)の化合物と式(V):
【化9】

(式中、Xは塩素原子又は臭素原子であり、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルである)で表される化合物を反応させて製造した化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
式(II):
【化10】

(式中、Rはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ニトロ、ホルミル又はシアノであり、AはYで置換されてもよいアルキルであり、Yはハロゲン、アルキル及びハロアルキルからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよいC3−4シクロアルキルであり、Zはニトロ基で置換されたベンゼン、2−ピリジル、3−ピリジル又は4−ピリジルであり、mは0〜4の整数である)で表される化合物。

【公開番号】特開2009−275035(P2009−275035A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89508(P2009−89508)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】