アンモニア生産方法
【課題】高コストであり、大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となっているハーバーボッシュ法によるアンモニアの工業的大量生産法や多大なエネルギーを必要とし、コストの面から実用化が難しく、効率が悪い窒素固定能を有する細菌を用いたアンモニア生産法に換わるアンモニア生産方法の提供。
【解決手段】炭素源が低濃度である培地中で培養した場合、野生株でも大量のアンモニアを蓄積する単生系の窒素固定土壌細菌を見出し、当該土壌細菌を利用して商業的にアンモニアを生産する。
【解決手段】炭素源が低濃度である培地中で培養した場合、野生株でも大量のアンモニアを蓄積する単生系の窒素固定土壌細菌を見出し、当該土壌細菌を利用して商業的にアンモニアを生産する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素固定細菌を用いて生物学的に窒素固定を行い、アンモニアを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より農作物の生産には大量の窒素肥料を利用しており、穀物に関しては単位面積当たりの生産量と窒素肥料の量とが比例するというデータもある。そして、近年の経済発展に伴う食料需要の増大及び人口増加に対応するため、窒素肥料の使用料は急増している。そして今日の農業で用いられる窒素肥料の多くはハーバーボッシュ法により工業的に大量に生産されている。特に今後はバイオ燃料の原料としての農作物の生産も加わり、更なる窒素肥料の需要が予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鉄触媒を用いて窒素分子及び水素分子からアンモニアを合成するハーバーボッシュ法には、窒素分子の分離、水素分子の調整、窒素−水素混合ガスの高温高圧下での反応など、エネルギー消費の大きい工程を含むため、高コストであった。また、大量の化石燃料の燃焼により二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となっている。これらの問題は、化石燃料の供給不安定、価格の変動、地球温暖化による異常気象などの地球規模の問題と直結するものである。
【0004】
そこで、近年窒素固定細菌を利用し生物学的にアンモニアを生産する方法が注目されている。この方法によれば、化石燃料を消費せず、また自然エネルギーを利用するため環境への負荷を抑えることができる。
【0005】
主な窒素固定細菌としては、共生系の根粒菌やらん藻などがある。窒素固定細菌は大気中の窒素分子をアンモニアへと変換する。その際、窒素固定酵素ニトロゲナーゼを必要とし、この酵素の発現を制御することにより、アンモニアの合成を調整している。ここで、アンモニア合成には大量のエネルギーを消費し、またアンモニアは窒素固定細菌自身にとって有毒であるため、自己防衛として必要以上に合成しないように制御している。そのためアンモニア存在下においてはニトロゲナーゼの発現は抑制され、従って大量のアンモニアを生産することはできない。
【0006】
そこで、ニトロゲナーゼ発現調節遺伝子のうち、発現を制御する制御遺伝子の機能を停止させた変異株を用いた研究が進められている。
【0007】
しかしながら、依然として窒素固定には多大なエネルギーを要するため、エネルギー源として大量の有機物を供給する必要があり、コストの面から実用化は難しい。
【0008】
また、AzotobacterやClostridiumなどの単生系の土壌細菌も窒素固定能を有するが、エネルギー取得が困難である為、効率が悪い。また自らの必要分のみ生産し、菌体外分泌までは至らず、死んで分解されて初めて窒素循環に寄与すると考えられている。従って、商業的なアンモニア生産には利用できない。
【特許文献1】特開2002−253283
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意研究を進める過程で、炭素源が低濃度である培地中で培養した場合、野生株でも大量のアンモニアを蓄積する単生系の土壌細菌を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)窒素固定細菌によるアンモニア生産方法であって、窒素固定細菌の培養に用いる培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法に関する。
【0011】
また本発明は、(2)炭素源としてグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースのいずれか一以上を用いることを特徴とする(1)のアンモニア生産方法に関する。
【0012】
また本発明は、(3)窒素固定菌が単生系の土壌細菌であることを特徴とする(1)又は(2)のアンモニア生産方法に関する。更には当該単生系の土壌細菌が、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、Lysobacter属、Agrobacterium属のいずれか一以上であることを特徴とする(3)のアンモニア生産方法に関する。
【0013】
また本発明は、(5)窒素固定菌が、Azotobacter beijerinckii C4株、Azotobacter beijerinckii G7株、Lysobacter sp. E4株、Lysobacter sp.G6株、Agrobacterium sp. T1株のいずれか一以上であることを特徴とする(4)のアンモニア生産方法に関する。
【0014】
また本発明は、(6)(1)アンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単生系の土壌細菌野生株を用いて、環境への負荷が小さく簡便かつ効率よくアンモニアを生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0017】
本発明は、窒素固定細菌によるアンモニア生産において、培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法について説明する。
【0018】
本発明に係る窒素固定菌は、窒素固定能を有するものであればよく、土壌系、海洋系など特に限定しない。また、共生系及び単生系のどちらでもよい。好ましくは土壌細菌である。採取や培養等の取扱いが比較的容易であるからである。さらに好ましくは単生系土壌細菌である。
【0019】
かかる単生系の土壌細菌としては、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、又は、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.が好ましい。なお、Azotobacter beijerinckiiは従来より単生系の窒素固定細菌としてよく知られており、Azotobacter beijerinckiiのトランスポゾン変異株においてはアンモニアの生産、蓄積について報告されているが、野生株においてはこれまで報告がない。Azotobacter vinelandii及びAgrobacterium sp.は窒素固定の報告はあるが、Lysobacter sp.の窒素固定についてはこれまで報告がない。また、Azotobacter vinelandii、Agrobacterium sp.及びLysobacter sp.はアンモニアの生産、蓄積についてはこれまで報告はない。
【0020】
Azotobacter beijerinckiiとしては特にAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)を好適に用いることができる。Lysobacter属としては特に、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)を好適に用いることができる。Agrobacterium sp.としては特に、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)を好適に用いることができる。
【0021】
なお、これらの窒素固定細菌は全て独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託済であり、上記括弧内の記号はその寄託番号である。また、NITE P−542、NITE P−543、NITE P−544、NITE P−545は、平成20年4月2日付けで受託されている。また、NITE P−605は平成20年7月1日付けで受託されている。以下にこれら窒素固定細菌の性質を示す。
【0022】
<Azotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)>
【0023】
(a)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0024】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、ガラクトース:+、マンノース:+、スクロース:+、Citrate:+、Succinate:+
【0025】
<Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)>
【0026】
(a)(i)5.0(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径4mm、形:円形、色:ベージュ、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:4日間
【0027】
(ii)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径2mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0028】
(c)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、ガラクトース:+、マンノース:+、スクロース:+、マンニトール:+、Citrate:+、Succinate:+
【0029】
<Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)>
【0030】
(a)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0031】
(b)生理学的性質
好気性、生育範囲:pH6以下、温度40℃以下、資化性;グルコース:+、マンニトール:+、フルクトース:+、ガラクトース:−、マンノース:+、スクロース:+、マルトース:+、ラクトース:−、Citrate:−、Succinate:+
【0032】
<Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)>
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0033】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陽性、好気性、資化性;グルコース:+、マンニトール:+
【0034】
<Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)>
【0035】
(a)0.3(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:ベージュ、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0036】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、スクロース:+、マルトース:+、Succinate:+
【0037】
本発明に係る窒素固定細菌の培養の条件は、炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下とすること以外は、アンモニアの生産に適するならば特に限定しない。炭素源としては、糖類、有機酸等、特に限定しないが、好ましくは糖類である。より好ましくはグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースである。1種類の炭素源のみを用いてもよく、2種類以上の炭素源を用いてもよい。なお、炭素源濃度は0.5(wt/v)%以下の範囲で、窒素固定細菌や炭素源、及びその他の条件に基づいて適宜決定すればよい。また、培地組成、pH、培養密度、培養温度、培養時間等、種々の条件を設定しアンモニア生産能を制御することができる。
<実施形態1:効果>
【0038】
本発明によれば、単生系の野生株からアンモニアを生産することができる。また、環境への負荷を抑え、簡便かつ効率よく大量のアンモニア生産が可能である。
【実施例1】
【0039】
1. 窒素固定細菌の単離
【0040】
(1)集積培養
畑土壌より採取した土壌サンプル0.1gを無窒素最小培地(NFMM)(表1)200mlを用いて集積培養する。炭素源としては、セルロース2gを用いる(C−NFMM)。
【0041】
[表1]
30℃、120rpmで1から2週間回転振とう培養し(一次集積)、この一次集積液2mlを新しい200mlのC−NFMMに植え継ぎ、同様に培養した(二次集積)。その後二次集積液を0.8%NaClで希釈し、C−NFMM重層平板に100μlずつ塗布し、30℃で培養した。
【0042】
(2)平板培地
土壌サンプルをそれぞれ15mlプラスチックチューブを用いて滅菌水に懸濁させ(約10v/v%)、土壌が沈殿するまで静置する。その後上清を採取し、10−1希釈液とし、これを滅菌水で希釈し、10−2希釈液を作成する。当該希釈液をC−NFMM平板に100μlずつ塗布し、30℃で培養する。
【0043】
(3)菌株の単離
(1)及び(2)の集積培養、平板培養でC−NFMM重層平板に生育したコロニーを新しいC−NFMM重層平板培地に描線、培養する。生育したコロニーを再度0.8%NaClで希釈し、C−NFMM重層平板に塗布し、培養する。このうち生育のよいコロニーを0.8%NaClで希釈し、ブイヨン平板培地(表2)に塗布する。ブイヨン平板培地に生育したシングルコロニーを再度希釈してC−NFMM平板培地に塗布する。この操作をコロニーが単一になるまで繰り返し行う。
【0044】
[表2]
【0045】
(4)クリアゾーン形成の確認
(1)乃至(3)より単離した菌株を0.8%NaClで適宜希釈し、C−NFMM重層平板培地に塗布する。これを30℃で2週間以上静置培養し、クリアゾーンの形成を確認する。
2.アンモニアの検出
【0046】
(1)培地のpH変化
前記1.より単離した菌株を、pH指示薬としてBTB(Bromo−thymolblue)を加えた0.5(wt/v)%グルコースNFMM培地(G−NFMM)に画線し、30℃で3日間静置培養し、培地のpH変化を確認した。その結果、複数の菌株で培地が青くなり、pHの上昇が見られた。
【0047】
(2)アンモニアの検出
(1)にてpHの上昇が見られた菌株を5mlのG−NFMM液体培地に植菌し、30℃で3日間振とう培養した。その後、培養液1mlを使い捨て試験管に入れ、アンモニア検出キットを用いてアンモニア生産の確認をした。その結果、アンモニアが検出された。
3. 窒素固定細菌の同定
【0048】
(1)Total DNAの抽出
前記2.よりアンモニア生産が確認された菌株をグルコースNFMM培地(G−NFMM)で培養する。培養した菌体を1.5ml容マイクロチューブに移し、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)により集金する。集金した菌体を0.8%NaClに懸濁させ、同様に遠心分離し、上清を取り除く。これに567μlのTEバッファを加えて撹拌し、30μlの10%SDSと3μlのproteinase K solutionを加えた後、ローテーターで5分転倒混和する。37℃で1時間静置した後、110μlの5MNaClをを加え、ローテーターで5分転倒混和する。これに80μlのCTAB/NaCl solutionを加え、ローテーターで5分転倒混和する。65℃で20分静置し、室温に戻した後800μlのクロロホルムを加え、ローテーターで20分転倒混和する。これを、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、上清を新しい2ml容マイクロチューブに移し、800μl/クロロホルムを加え、ローテーターで20分転倒混和する。その後、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、予め480μlのイソプロパノールを入れたマイクロチューブに上清を加え、ローテーターで5分転倒混和する。これを再度遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、上清を取り除く。400μlの70%エタノールを加え沈殿をリンスし、遠心分離(13000rpm、5分間、RT)した後、上清を完全に取り除く。RnaseAsolutionを加えたTEバッファ10μlに沈殿を溶解させた後、37℃で1時間反応させる。用いた試薬の組成を下記表3に示す。
【0049】
[表3]
【0050】
(2)16S rDNAの増幅
(1)より抽出したC4株(下記(3)にてAzotobacter beijerinckii C4株と同定)Total DNAをテンプレートとしてPCRを行った。ここで、配列番号1(Primer 10F)及び配列番号2(Primer 1500R)のプライマーを使用した。
PCR反応は表4に記載の反応液で次の条件で行った。94℃で1分間処理した後、94℃、30秒間→60℃、30秒間→72℃、2分間を1サイクルとし、35サイクル行った。その後、4℃に冷却する。
[表4]
【0051】
(3)塩基配列解析
上記(2)で増幅した16S rDNAを精製後、ダイターミネーター法により塩基配列解析を行った。塩基配列の決定にはBig Dye Terminator v.3.1 Cycle Sequencing Kitを使用し、マニュアルに従って行った。
【0052】
PCR反応を表5に記載の反応液で次の条件で行った。96℃で30秒間処理した後、96℃で10秒間→50℃で5秒間→60℃で2分間を1サイクルとし、25サイクル行った後、4℃に冷却した。ここで、配列番号1乃至12のプライマーを使用した。
[表5]
【0053】
PCRで増幅後、1.5mlマイクロチューブに反応液を移し、2μlの3M NaOAcと50μlの100%エタノールを加えて撹拌し、室温で15分間静置した。その後、遠心分離(15000rpm、10分間、22℃)し、上清を取り除いた。これを250μlの70%エタノールでリンスし、遠心分離(15000rpm、10分間、22℃)し、上清を取り除いた。その後、アスピレータを用いて10分間真空乾燥させ、15μlのTSRを加えて軽く3回vortexし、フラッシングした。その後、95℃で2分間加熱し、氷上で急冷した。これを、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析した。キャプラリーは310Capollary(Lt=47cm、i.d.=50μm)、泳動ポリマーはPOP6、バッファは1xGenetic Analyzer Buffer with EDTAを用いた。
【0054】
各菌株の16S rDNAの塩基配列を決定し、NCBIのBLASTにて相同性検索し、属種を決定した。これを表6に示す。
[表6]
【0055】
なお、Azotobacter beijerinckiiは典型的な窒素固定細菌であるが、野生株がアンモニアを蓄積するという報告はこれまでなされていない。また、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.については窒素固定能についても報告がなされていない。そこで、本発明者らはアンモニアの蓄積が培養条件に影響を受けるのではないかと予測し、これらの菌株によるアンモニアの蓄積に良好な培養条件を検討した。
4. アンモニア蓄積の培養条件
【0056】
(1)Azotobacter beijerinckii基準株及びAzotobacter vinelandii基準株のアンモニア生産
Azotobacter beijerinckii基準株(IAM12683T)及びAzotobacter vinelandii基準株(IMA15004T)を用いてアンモニア蓄積の培養条件を検討した。なお、該基準株は共に独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)にて取得可能である。
【0057】
(a)炭素源の検討
BTB試薬を添加した0.5(wt/v)%G−NFMM平板培地にて、Azotobacter beijerinckii及びAzotobacter vinelandiiの基準株を30℃で2から3日間静置培養した。培養後、コロニーを採取し、Azotobacter beijerinckii基準株については0.5(wt/v)%の種々の炭素源(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、Citrate、Succinate)を加えたNFMM液体培地に植菌し、30℃で2日間振とう培養した。同様に、Azotobacter vinelandii基準株については0.25(wt/v)%の種々の炭素源を加えたNFMM液体培地にて培養した。振とう培養0時間後から48時間後におけるOD600及び培地中のアンモニア量を測定した。図1(a)にAzotobacter beijerinckiiの結果を、(b)にAzotobacter vinelandiiの結果を示す。図1より、双方の基準株とも有機酸ではアンモニアは検出されなかったが、全ての糖でアンモニアが検出された。特に、Azotobacter beijerinckii基準株については、炭素源としてグルコースとフルクトースを添加した場合に大量のアンモニアの蓄積がみられ、Azotobacter vinelandiiの基準株については炭素源としてフルクトースを添加した場合に大量のアンモニアの蓄積が見られた。
【0058】
(b)炭素源濃度の検討
BTB試薬を添加した0.5(wt/v)%G−NFMM平板培地にて、Azotobacter beijerinckii及びAzotobacter vinelandiiの基準株を30℃で2から3日間静置培養した。培養後、コロニーを採取し、Azotobacter beijerinckii基準株についてはグルコース、Azotobacter vinelandii基準株についてはフルクトースをそれぞれ種々の濃度で添加したNFMM液体培地に植菌し、30℃で2日間振とう培養した。
【0059】
i.Azotobacter beijerinckii基準株
グルコース濃度をそれぞれ0.1(wt/v)%、0.25(wt/v)%、0.5(wt/v)%、0.7(wt/v)%、1.0(wt/v)%、2.0(wt/v)%としたG−NFMM液体培地にて培養し、培養48時間後におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量を測定した。その結果を図2に示す。図2より、増殖に最も良好な濃度は1.00(wt/v)%であったが、アンモニアの蓄積に最も良好な濃度は0.5(wt/v)%であった。そこで、グルコース濃度0.5(wt/v)%のG−NFMM液体培地で培養し、経時的にアンモニアの蓄積量を測定した結果を下記(c)及び図4に示す。
【0060】
ii.Azotobacter vinelandii基準株
フルクトース濃度をそれぞれ0.05(wt/v)%、0.1(wt/v)%、0.25(wt/v)%、0.5(wt/v)%、0.7(wt/v)%、1.0(wt/v)%としたF−NGMM液体培地にて培養し、培養48時間後におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量を測定した。その結果を図3に示す。図3より、増殖に最も良好な濃度は1.00(wt/v)%であったが、アンモニアの蓄積に最も良好な濃度は0.25(wt/v)%であった。そこで、フルクトース濃度0.25(wt/v)%のF−NFMM液体培地で培養し、経時的にアンモニアの蓄積量を測定した結果を図5に示す。
【0061】
(c)アンモニア蓄積の経時変化
【0062】
Azotobacter beijerinckii基準株
図4(a)にAzotobacter beijerinckii基準株のグルコース濃度0.5(wt/v)%のG−NFMM液体培地におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量の経時変化を、(b)に培地中のアンモニア量と残糖量の経時変化を測定した結果を示す。図4(a)より、Azotobacter beijerinckii基準株が定常期に近づくとアンモニアの蓄積が開始することがわかる。これは、図5に示すようにAzotobacter vinelandii基準株についても同様であった。また、図4(b)より、培地中のグルコースをほとんど消費してからアンモニアの蓄積が開始することがわかる。更に、アンモニアの生産には多量のエネルギーを必要とするにもかかわらず、培地中のグルコースがほぼ消費尽くされた後でもアンモニアの蓄積が続いていることがわかる。以上より、グルコースがアンモニア蓄積に何らかの抑制因子となっており、グルコースの中間代謝産物がアンモニア生産のエネルギーとなっていることが推察される。
【0063】
(2)Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)のアンモニア生産
【0064】
Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)についてアンモニア蓄積の培養条件を検討した。
【0065】
(a)生育の確認
前培養として、5mlの0.3(wt/v)%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3(wt/v)%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。培養開始直後から2時間毎にOD600を測定した。その結果を図6に示す。図6より、培養6時間経過辺りから増殖が開始し、14時間経過辺りで定常期に入ることが確認できた。
【0066】
(b)グルコース濃度(wt/v)の検討
グルコース濃度をそれぞれ0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、1.0%、2.0%としたG−NFMM液体培地にて30℃、200rpmで72時間振とう培養した。培養後、OD600を測定し、また培養液のpHを測定した。その後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図7に示す。図7より、0.5%濃度以下でアンモニアが確認され、0.3%濃度が最も良好であった。
【0067】
(c)培養時間の検討
前培養として、5mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、170rpmで240時間振とう培養した。当該培養開始直後から、15時間後、24時間後、その後は24時間毎にアンモニア量を測定した。その結果を図8に示す。図8より、培養開始から15時間後からアンモニアの蓄積が始まり、およそ192時間(8日間)後に定常期に達した。
【0068】
(d)培地pHの検討
pH5,6,7,8に調整した6mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図9に示す。図9より、pH7が最も良好であった。pH8では菌の生育はより良好であるが、アンモニアの蓄積は減少した。また、pH6以下では生育が確認できなかった。
【0069】
(e)培養温度の検討
6mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、各温度(30℃、40℃、50℃)200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図10に示す。図10より、アンモニアの蓄積が確認できたのは30℃のみであった。20℃では生育は確認できたが、アンモニアの蓄積は確認できず、40℃以上では生育、アンモニア蓄積ともに確認できなかった。
【0070】
(f)炭素源の検討
種々の炭素源(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、Citrate、Succinate)を0.3%とする6mlのNFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図11に示す。図11より、グルコースのほかにフルクトース、スクロース、マルトースでもアンモニア蓄積を確認できた。以上より、これまでLysobacter sp. 属の窒素固定能についての報告はないが、複数の糖培地にてアンモニア蓄積が見られることが分かった。
【0071】
(g)残糖量の確認
前培養として、5mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、170rpmで24時間振とう培養した。培養開始直後から3時間毎にOD600を測定した。また、グルコース測定キットを用いて培地中のグルコース量(残糖量)を測定した。その結果を図12に示す。図12より、残糖量がゼロになると菌の増殖は定常期に入り、アンモニアの蓄積が開始した。
5. 結論
以上より、窒素固定細菌の種々の培養条件を制御することにより、アンモニアの蓄積を制御できることを示している。特に培地中のアンモニア濃度がアンモニア蓄積に大きく影響していることが推察される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】Azotobacter beijerinckii基準株及びAzotobacter vinelandii基準株について、各炭素源を添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図2】Azotobacter beijerinckii基準株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図3】Azotobacter vinelandii基準株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図4】Azotobacter beijerinckii基準株について、グルコース濃度が0.5%の培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH、残糖量
【図5】Azotobacter vinelandii基準株について、フルクトース濃度が0.25%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図6】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:OD600
【図7】Lysobacter sp. E4株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH
【図8】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図9】Lysobacter sp. E4株について、種々のpH値に調整したグルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図10】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における種々の培養温度での培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図11】Lysobacter sp. E4株について、各炭素源を添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH
【図12】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における種々の培養温度での培養結果:培地中のアンモニア量、残糖量、OD600
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素固定細菌を用いて生物学的に窒素固定を行い、アンモニアを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より農作物の生産には大量の窒素肥料を利用しており、穀物に関しては単位面積当たりの生産量と窒素肥料の量とが比例するというデータもある。そして、近年の経済発展に伴う食料需要の増大及び人口増加に対応するため、窒素肥料の使用料は急増している。そして今日の農業で用いられる窒素肥料の多くはハーバーボッシュ法により工業的に大量に生産されている。特に今後はバイオ燃料の原料としての農作物の生産も加わり、更なる窒素肥料の需要が予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鉄触媒を用いて窒素分子及び水素分子からアンモニアを合成するハーバーボッシュ法には、窒素分子の分離、水素分子の調整、窒素−水素混合ガスの高温高圧下での反応など、エネルギー消費の大きい工程を含むため、高コストであった。また、大量の化石燃料の燃焼により二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となっている。これらの問題は、化石燃料の供給不安定、価格の変動、地球温暖化による異常気象などの地球規模の問題と直結するものである。
【0004】
そこで、近年窒素固定細菌を利用し生物学的にアンモニアを生産する方法が注目されている。この方法によれば、化石燃料を消費せず、また自然エネルギーを利用するため環境への負荷を抑えることができる。
【0005】
主な窒素固定細菌としては、共生系の根粒菌やらん藻などがある。窒素固定細菌は大気中の窒素分子をアンモニアへと変換する。その際、窒素固定酵素ニトロゲナーゼを必要とし、この酵素の発現を制御することにより、アンモニアの合成を調整している。ここで、アンモニア合成には大量のエネルギーを消費し、またアンモニアは窒素固定細菌自身にとって有毒であるため、自己防衛として必要以上に合成しないように制御している。そのためアンモニア存在下においてはニトロゲナーゼの発現は抑制され、従って大量のアンモニアを生産することはできない。
【0006】
そこで、ニトロゲナーゼ発現調節遺伝子のうち、発現を制御する制御遺伝子の機能を停止させた変異株を用いた研究が進められている。
【0007】
しかしながら、依然として窒素固定には多大なエネルギーを要するため、エネルギー源として大量の有機物を供給する必要があり、コストの面から実用化は難しい。
【0008】
また、AzotobacterやClostridiumなどの単生系の土壌細菌も窒素固定能を有するが、エネルギー取得が困難である為、効率が悪い。また自らの必要分のみ生産し、菌体外分泌までは至らず、死んで分解されて初めて窒素循環に寄与すると考えられている。従って、商業的なアンモニア生産には利用できない。
【特許文献1】特開2002−253283
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意研究を進める過程で、炭素源が低濃度である培地中で培養した場合、野生株でも大量のアンモニアを蓄積する単生系の土壌細菌を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)窒素固定細菌によるアンモニア生産方法であって、窒素固定細菌の培養に用いる培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法に関する。
【0011】
また本発明は、(2)炭素源としてグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースのいずれか一以上を用いることを特徴とする(1)のアンモニア生産方法に関する。
【0012】
また本発明は、(3)窒素固定菌が単生系の土壌細菌であることを特徴とする(1)又は(2)のアンモニア生産方法に関する。更には当該単生系の土壌細菌が、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、Lysobacter属、Agrobacterium属のいずれか一以上であることを特徴とする(3)のアンモニア生産方法に関する。
【0013】
また本発明は、(5)窒素固定菌が、Azotobacter beijerinckii C4株、Azotobacter beijerinckii G7株、Lysobacter sp. E4株、Lysobacter sp.G6株、Agrobacterium sp. T1株のいずれか一以上であることを特徴とする(4)のアンモニア生産方法に関する。
【0014】
また本発明は、(6)(1)アンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単生系の土壌細菌野生株を用いて、環境への負荷が小さく簡便かつ効率よくアンモニアを生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0017】
本発明は、窒素固定細菌によるアンモニア生産において、培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法について説明する。
【0018】
本発明に係る窒素固定菌は、窒素固定能を有するものであればよく、土壌系、海洋系など特に限定しない。また、共生系及び単生系のどちらでもよい。好ましくは土壌細菌である。採取や培養等の取扱いが比較的容易であるからである。さらに好ましくは単生系土壌細菌である。
【0019】
かかる単生系の土壌細菌としては、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、又は、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.が好ましい。なお、Azotobacter beijerinckiiは従来より単生系の窒素固定細菌としてよく知られており、Azotobacter beijerinckiiのトランスポゾン変異株においてはアンモニアの生産、蓄積について報告されているが、野生株においてはこれまで報告がない。Azotobacter vinelandii及びAgrobacterium sp.は窒素固定の報告はあるが、Lysobacter sp.の窒素固定についてはこれまで報告がない。また、Azotobacter vinelandii、Agrobacterium sp.及びLysobacter sp.はアンモニアの生産、蓄積についてはこれまで報告はない。
【0020】
Azotobacter beijerinckiiとしては特にAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)を好適に用いることができる。Lysobacter属としては特に、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)を好適に用いることができる。Agrobacterium sp.としては特に、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)を好適に用いることができる。
【0021】
なお、これらの窒素固定細菌は全て独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託済であり、上記括弧内の記号はその寄託番号である。また、NITE P−542、NITE P−543、NITE P−544、NITE P−545は、平成20年4月2日付けで受託されている。また、NITE P−605は平成20年7月1日付けで受託されている。以下にこれら窒素固定細菌の性質を示す。
【0022】
<Azotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)>
【0023】
(a)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0024】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、ガラクトース:+、マンノース:+、スクロース:+、Citrate:+、Succinate:+
【0025】
<Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)>
【0026】
(a)(i)5.0(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径4mm、形:円形、色:ベージュ、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:4日間
【0027】
(ii)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径2mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0028】
(c)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、ガラクトース:+、マンノース:+、スクロース:+、マンニトール:+、Citrate:+、Succinate:+
【0029】
<Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)>
【0030】
(a)0.5(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0031】
(b)生理学的性質
好気性、生育範囲:pH6以下、温度40℃以下、資化性;グルコース:+、マンニトール:+、フルクトース:+、ガラクトース:−、マンノース:+、スクロース:+、マルトース:+、ラクトース:−、Citrate:−、Succinate:+
【0032】
<Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)>
大きさ:直径1mm、形:円形、色:黄色、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0033】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陽性、好気性、資化性;グルコース:+、マンニトール:+
【0034】
<Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)>
【0035】
(a)0.3(wt/v)%グルコース−NFMM培地におけるコロニーの形態
大きさ:直径1mm、形:円形、色:ベージュ、培地のpH:7.0、培養温度:30℃、培養期間:2日間
【0036】
(b)生理学的性質
グラム染色性:陰性、好気性、資化性;グルコース:+、フルクトース:+、スクロース:+、マルトース:+、Succinate:+
【0037】
本発明に係る窒素固定細菌の培養の条件は、炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下とすること以外は、アンモニアの生産に適するならば特に限定しない。炭素源としては、糖類、有機酸等、特に限定しないが、好ましくは糖類である。より好ましくはグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースである。1種類の炭素源のみを用いてもよく、2種類以上の炭素源を用いてもよい。なお、炭素源濃度は0.5(wt/v)%以下の範囲で、窒素固定細菌や炭素源、及びその他の条件に基づいて適宜決定すればよい。また、培地組成、pH、培養密度、培養温度、培養時間等、種々の条件を設定しアンモニア生産能を制御することができる。
<実施形態1:効果>
【0038】
本発明によれば、単生系の野生株からアンモニアを生産することができる。また、環境への負荷を抑え、簡便かつ効率よく大量のアンモニア生産が可能である。
【実施例1】
【0039】
1. 窒素固定細菌の単離
【0040】
(1)集積培養
畑土壌より採取した土壌サンプル0.1gを無窒素最小培地(NFMM)(表1)200mlを用いて集積培養する。炭素源としては、セルロース2gを用いる(C−NFMM)。
【0041】
[表1]
30℃、120rpmで1から2週間回転振とう培養し(一次集積)、この一次集積液2mlを新しい200mlのC−NFMMに植え継ぎ、同様に培養した(二次集積)。その後二次集積液を0.8%NaClで希釈し、C−NFMM重層平板に100μlずつ塗布し、30℃で培養した。
【0042】
(2)平板培地
土壌サンプルをそれぞれ15mlプラスチックチューブを用いて滅菌水に懸濁させ(約10v/v%)、土壌が沈殿するまで静置する。その後上清を採取し、10−1希釈液とし、これを滅菌水で希釈し、10−2希釈液を作成する。当該希釈液をC−NFMM平板に100μlずつ塗布し、30℃で培養する。
【0043】
(3)菌株の単離
(1)及び(2)の集積培養、平板培養でC−NFMM重層平板に生育したコロニーを新しいC−NFMM重層平板培地に描線、培養する。生育したコロニーを再度0.8%NaClで希釈し、C−NFMM重層平板に塗布し、培養する。このうち生育のよいコロニーを0.8%NaClで希釈し、ブイヨン平板培地(表2)に塗布する。ブイヨン平板培地に生育したシングルコロニーを再度希釈してC−NFMM平板培地に塗布する。この操作をコロニーが単一になるまで繰り返し行う。
【0044】
[表2]
【0045】
(4)クリアゾーン形成の確認
(1)乃至(3)より単離した菌株を0.8%NaClで適宜希釈し、C−NFMM重層平板培地に塗布する。これを30℃で2週間以上静置培養し、クリアゾーンの形成を確認する。
2.アンモニアの検出
【0046】
(1)培地のpH変化
前記1.より単離した菌株を、pH指示薬としてBTB(Bromo−thymolblue)を加えた0.5(wt/v)%グルコースNFMM培地(G−NFMM)に画線し、30℃で3日間静置培養し、培地のpH変化を確認した。その結果、複数の菌株で培地が青くなり、pHの上昇が見られた。
【0047】
(2)アンモニアの検出
(1)にてpHの上昇が見られた菌株を5mlのG−NFMM液体培地に植菌し、30℃で3日間振とう培養した。その後、培養液1mlを使い捨て試験管に入れ、アンモニア検出キットを用いてアンモニア生産の確認をした。その結果、アンモニアが検出された。
3. 窒素固定細菌の同定
【0048】
(1)Total DNAの抽出
前記2.よりアンモニア生産が確認された菌株をグルコースNFMM培地(G−NFMM)で培養する。培養した菌体を1.5ml容マイクロチューブに移し、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)により集金する。集金した菌体を0.8%NaClに懸濁させ、同様に遠心分離し、上清を取り除く。これに567μlのTEバッファを加えて撹拌し、30μlの10%SDSと3μlのproteinase K solutionを加えた後、ローテーターで5分転倒混和する。37℃で1時間静置した後、110μlの5MNaClをを加え、ローテーターで5分転倒混和する。これに80μlのCTAB/NaCl solutionを加え、ローテーターで5分転倒混和する。65℃で20分静置し、室温に戻した後800μlのクロロホルムを加え、ローテーターで20分転倒混和する。これを、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、上清を新しい2ml容マイクロチューブに移し、800μl/クロロホルムを加え、ローテーターで20分転倒混和する。その後、遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、予め480μlのイソプロパノールを入れたマイクロチューブに上清を加え、ローテーターで5分転倒混和する。これを再度遠心分離(13000rpm、10分間、RT)し、上清を取り除く。400μlの70%エタノールを加え沈殿をリンスし、遠心分離(13000rpm、5分間、RT)した後、上清を完全に取り除く。RnaseAsolutionを加えたTEバッファ10μlに沈殿を溶解させた後、37℃で1時間反応させる。用いた試薬の組成を下記表3に示す。
【0049】
[表3]
【0050】
(2)16S rDNAの増幅
(1)より抽出したC4株(下記(3)にてAzotobacter beijerinckii C4株と同定)Total DNAをテンプレートとしてPCRを行った。ここで、配列番号1(Primer 10F)及び配列番号2(Primer 1500R)のプライマーを使用した。
PCR反応は表4に記載の反応液で次の条件で行った。94℃で1分間処理した後、94℃、30秒間→60℃、30秒間→72℃、2分間を1サイクルとし、35サイクル行った。その後、4℃に冷却する。
[表4]
【0051】
(3)塩基配列解析
上記(2)で増幅した16S rDNAを精製後、ダイターミネーター法により塩基配列解析を行った。塩基配列の決定にはBig Dye Terminator v.3.1 Cycle Sequencing Kitを使用し、マニュアルに従って行った。
【0052】
PCR反応を表5に記載の反応液で次の条件で行った。96℃で30秒間処理した後、96℃で10秒間→50℃で5秒間→60℃で2分間を1サイクルとし、25サイクル行った後、4℃に冷却した。ここで、配列番号1乃至12のプライマーを使用した。
[表5]
【0053】
PCRで増幅後、1.5mlマイクロチューブに反応液を移し、2μlの3M NaOAcと50μlの100%エタノールを加えて撹拌し、室温で15分間静置した。その後、遠心分離(15000rpm、10分間、22℃)し、上清を取り除いた。これを250μlの70%エタノールでリンスし、遠心分離(15000rpm、10分間、22℃)し、上清を取り除いた。その後、アスピレータを用いて10分間真空乾燥させ、15μlのTSRを加えて軽く3回vortexし、フラッシングした。その後、95℃で2分間加熱し、氷上で急冷した。これを、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerにより解析した。キャプラリーは310Capollary(Lt=47cm、i.d.=50μm)、泳動ポリマーはPOP6、バッファは1xGenetic Analyzer Buffer with EDTAを用いた。
【0054】
各菌株の16S rDNAの塩基配列を決定し、NCBIのBLASTにて相同性検索し、属種を決定した。これを表6に示す。
[表6]
【0055】
なお、Azotobacter beijerinckiiは典型的な窒素固定細菌であるが、野生株がアンモニアを蓄積するという報告はこれまでなされていない。また、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.については窒素固定能についても報告がなされていない。そこで、本発明者らはアンモニアの蓄積が培養条件に影響を受けるのではないかと予測し、これらの菌株によるアンモニアの蓄積に良好な培養条件を検討した。
4. アンモニア蓄積の培養条件
【0056】
(1)Azotobacter beijerinckii基準株及びAzotobacter vinelandii基準株のアンモニア生産
Azotobacter beijerinckii基準株(IAM12683T)及びAzotobacter vinelandii基準株(IMA15004T)を用いてアンモニア蓄積の培養条件を検討した。なお、該基準株は共に独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)にて取得可能である。
【0057】
(a)炭素源の検討
BTB試薬を添加した0.5(wt/v)%G−NFMM平板培地にて、Azotobacter beijerinckii及びAzotobacter vinelandiiの基準株を30℃で2から3日間静置培養した。培養後、コロニーを採取し、Azotobacter beijerinckii基準株については0.5(wt/v)%の種々の炭素源(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、Citrate、Succinate)を加えたNFMM液体培地に植菌し、30℃で2日間振とう培養した。同様に、Azotobacter vinelandii基準株については0.25(wt/v)%の種々の炭素源を加えたNFMM液体培地にて培養した。振とう培養0時間後から48時間後におけるOD600及び培地中のアンモニア量を測定した。図1(a)にAzotobacter beijerinckiiの結果を、(b)にAzotobacter vinelandiiの結果を示す。図1より、双方の基準株とも有機酸ではアンモニアは検出されなかったが、全ての糖でアンモニアが検出された。特に、Azotobacter beijerinckii基準株については、炭素源としてグルコースとフルクトースを添加した場合に大量のアンモニアの蓄積がみられ、Azotobacter vinelandiiの基準株については炭素源としてフルクトースを添加した場合に大量のアンモニアの蓄積が見られた。
【0058】
(b)炭素源濃度の検討
BTB試薬を添加した0.5(wt/v)%G−NFMM平板培地にて、Azotobacter beijerinckii及びAzotobacter vinelandiiの基準株を30℃で2から3日間静置培養した。培養後、コロニーを採取し、Azotobacter beijerinckii基準株についてはグルコース、Azotobacter vinelandii基準株についてはフルクトースをそれぞれ種々の濃度で添加したNFMM液体培地に植菌し、30℃で2日間振とう培養した。
【0059】
i.Azotobacter beijerinckii基準株
グルコース濃度をそれぞれ0.1(wt/v)%、0.25(wt/v)%、0.5(wt/v)%、0.7(wt/v)%、1.0(wt/v)%、2.0(wt/v)%としたG−NFMM液体培地にて培養し、培養48時間後におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量を測定した。その結果を図2に示す。図2より、増殖に最も良好な濃度は1.00(wt/v)%であったが、アンモニアの蓄積に最も良好な濃度は0.5(wt/v)%であった。そこで、グルコース濃度0.5(wt/v)%のG−NFMM液体培地で培養し、経時的にアンモニアの蓄積量を測定した結果を下記(c)及び図4に示す。
【0060】
ii.Azotobacter vinelandii基準株
フルクトース濃度をそれぞれ0.05(wt/v)%、0.1(wt/v)%、0.25(wt/v)%、0.5(wt/v)%、0.7(wt/v)%、1.0(wt/v)%としたF−NGMM液体培地にて培養し、培養48時間後におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量を測定した。その結果を図3に示す。図3より、増殖に最も良好な濃度は1.00(wt/v)%であったが、アンモニアの蓄積に最も良好な濃度は0.25(wt/v)%であった。そこで、フルクトース濃度0.25(wt/v)%のF−NFMM液体培地で培養し、経時的にアンモニアの蓄積量を測定した結果を図5に示す。
【0061】
(c)アンモニア蓄積の経時変化
【0062】
Azotobacter beijerinckii基準株
図4(a)にAzotobacter beijerinckii基準株のグルコース濃度0.5(wt/v)%のG−NFMM液体培地におけるOD600及びpH、培地中のアンモニア量の経時変化を、(b)に培地中のアンモニア量と残糖量の経時変化を測定した結果を示す。図4(a)より、Azotobacter beijerinckii基準株が定常期に近づくとアンモニアの蓄積が開始することがわかる。これは、図5に示すようにAzotobacter vinelandii基準株についても同様であった。また、図4(b)より、培地中のグルコースをほとんど消費してからアンモニアの蓄積が開始することがわかる。更に、アンモニアの生産には多量のエネルギーを必要とするにもかかわらず、培地中のグルコースがほぼ消費尽くされた後でもアンモニアの蓄積が続いていることがわかる。以上より、グルコースがアンモニア蓄積に何らかの抑制因子となっており、グルコースの中間代謝産物がアンモニア生産のエネルギーとなっていることが推察される。
【0063】
(2)Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)のアンモニア生産
【0064】
Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)についてアンモニア蓄積の培養条件を検討した。
【0065】
(a)生育の確認
前培養として、5mlの0.3(wt/v)%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3(wt/v)%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。培養開始直後から2時間毎にOD600を測定した。その結果を図6に示す。図6より、培養6時間経過辺りから増殖が開始し、14時間経過辺りで定常期に入ることが確認できた。
【0066】
(b)グルコース濃度(wt/v)の検討
グルコース濃度をそれぞれ0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、1.0%、2.0%としたG−NFMM液体培地にて30℃、200rpmで72時間振とう培養した。培養後、OD600を測定し、また培養液のpHを測定した。その後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図7に示す。図7より、0.5%濃度以下でアンモニアが確認され、0.3%濃度が最も良好であった。
【0067】
(c)培養時間の検討
前培養として、5mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、170rpmで240時間振とう培養した。当該培養開始直後から、15時間後、24時間後、その後は24時間毎にアンモニア量を測定した。その結果を図8に示す。図8より、培養開始から15時間後からアンモニアの蓄積が始まり、およそ192時間(8日間)後に定常期に達した。
【0068】
(d)培地pHの検討
pH5,6,7,8に調整した6mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図9に示す。図9より、pH7が最も良好であった。pH8では菌の生育はより良好であるが、アンモニアの蓄積は減少した。また、pH6以下では生育が確認できなかった。
【0069】
(e)培養温度の検討
6mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、各温度(30℃、40℃、50℃)200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図10に示す。図10より、アンモニアの蓄積が確認できたのは30℃のみであった。20℃では生育は確認できたが、アンモニアの蓄積は確認できず、40℃以上では生育、アンモニア蓄積ともに確認できなかった。
【0070】
(f)炭素源の検討
種々の炭素源(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、Citrate、Succinate)を0.3%とする6mlのNFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで72時間振とう培養した。OD600、pHを測定後、培養液を遠心分離(13,000rpm、10分間、RT)により集菌し、上清をろ過してイオンクロマトグラフィーにてアンモニア量を測定した。その結果を図11に示す。図11より、グルコースのほかにフルクトース、スクロース、マルトースでもアンモニア蓄積を確認できた。以上より、これまでLysobacter sp. 属の窒素固定能についての報告はないが、複数の糖培地にてアンモニア蓄積が見られることが分かった。
【0071】
(g)残糖量の確認
前培養として、5mlの0.3%G−NFMM液体培地に植菌し、30℃、200rpmで24時間振とう培養した。その後、200mlの0.3%G−NFMM液体培地に2mlの前培養液を加え、30℃、170rpmで24時間振とう培養した。培養開始直後から3時間毎にOD600を測定した。また、グルコース測定キットを用いて培地中のグルコース量(残糖量)を測定した。その結果を図12に示す。図12より、残糖量がゼロになると菌の増殖は定常期に入り、アンモニアの蓄積が開始した。
5. 結論
以上より、窒素固定細菌の種々の培養条件を制御することにより、アンモニアの蓄積を制御できることを示している。特に培地中のアンモニア濃度がアンモニア蓄積に大きく影響していることが推察される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】Azotobacter beijerinckii基準株及びAzotobacter vinelandii基準株について、各炭素源を添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図2】Azotobacter beijerinckii基準株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図3】Azotobacter vinelandii基準株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量
【図4】Azotobacter beijerinckii基準株について、グルコース濃度が0.5%の培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH、残糖量
【図5】Azotobacter vinelandii基準株について、フルクトース濃度が0.25%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図6】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:OD600
【図7】Lysobacter sp. E4株について、種々の濃度でグルコースを添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH
【図8】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図9】Lysobacter sp. E4株について、種々のpH値に調整したグルコース濃度が0.3%の培地における培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図10】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における種々の培養温度での培養結果:培地中のアンモニア量、OD600、pH
【図11】Lysobacter sp. E4株について、各炭素源を添加した培地における培養結果:OD600、培地中のアンモニア量、pH
【図12】Lysobacter sp. E4株について、グルコース濃度が0.3%の培地における種々の培養温度での培養結果:培地中のアンモニア量、残糖量、OD600
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素固定細菌によるアンモニア生産方法であって、
窒素固定細菌の培養に用いる培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法。
【請求項2】
炭素源としてグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースのいずれか一以上を用いる請求項1に記載のアンモニア生産方法。
【請求項3】
窒素固定細菌が単生系の土壌細菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンモニア生産方法。
【請求項4】
単生系の土壌細菌が、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.のいずれか一以上である請求項3に記載のアンモニア生産方法。
【請求項5】
窒素固定細菌が、Azotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)のいずれか一以上である請求項4に記載のアンモニア生産方法。
【請求項6】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)。
【請求項7】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)。
【請求項8】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるLysobacter sp. E4株(NITE P−544)。
【請求項9】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるLysobacter sp.G6株(NITE P−545)。
【請求項10】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAgrobacterium sp. T1株(NITE P−605)。
【請求項1】
窒素固定細菌によるアンモニア生産方法であって、
窒素固定細菌の培養に用いる培地中の炭素源濃度を0.5(wt/v)%以下にすることを特徴とするアンモニア生産方法。
【請求項2】
炭素源としてグルコース、フルクトース、スクロース、マルトースのいずれか一以上を用いる請求項1に記載のアンモニア生産方法。
【請求項3】
窒素固定細菌が単生系の土壌細菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンモニア生産方法。
【請求項4】
単生系の土壌細菌が、Azotobacter beijerinckii又はAzotobacter vinelandii、Lysobacter sp.、Agrobacterium sp.のいずれか一以上である請求項3に記載のアンモニア生産方法。
【請求項5】
窒素固定細菌が、Azotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)、Azotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)、Lysobacter sp. E4株(NITE P−544)、Lysobacter sp.G6株(NITE P−545)、Agrobacterium sp. T1株(NITE P−605)のいずれか一以上である請求項4に記載のアンモニア生産方法。
【請求項6】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii C4株(NITE P−542)。
【請求項7】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAzotobacter beijerinckii G7株(NITE P−543)。
【請求項8】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるLysobacter sp. E4株(NITE P−544)。
【請求項9】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるLysobacter sp.G6株(NITE P−545)。
【請求項10】
請求項1に記載のアンモニア生産方法に用いるAgrobacterium sp. T1株(NITE P−605)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−46026(P2010−46026A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213807(P2008−213807)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 : 社団法人日本農芸化学会 刊行物名 : 大会講演要旨集 2008年度(平成20年度)大会[名古屋] 発行年月日 : 平成20年3月5日
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 : 社団法人日本農芸化学会 刊行物名 : 大会講演要旨集 2008年度(平成20年度)大会[名古屋] 発行年月日 : 平成20年3月5日
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
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