説明

アース端子保持具およびアース端子保持方法。

【課題】 ワイヤーハーネスとアース端子との圧着接続部の防水性を維持することができるとともに、アース端子を、簡単にかつ傷つけずに取付けることでき、ワンタッチで保持することができるアース端子保持具およびアース端子保持方法を提供する。
【解決手段】 アース端子保持具1を、ワイヤーハーネス100との圧着接続部をホットメルト付熱収縮チューブ102で覆ったアース端子101が収容されるベース本体2と、このベース本体2に対して開閉可能に設けられるとともに当該ベース本体2に収容されたアース端子101を押圧して保持する保持手段5と、この保持手段5をアース端子101の挿入方向に開閉させる開閉手段10と備えたアース端子保持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アース端子保持具およびアース端子保持方法に係り、さらに詳しくは、自動車用ワイヤーハーネスに圧着して接続されたアース端子の圧着接続部を確実に防水することができるとともに、そのアース端子をワンタッチで保持、あるいは取出しを行なうことができるアース端子保持具およびアース端子保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車には、車両のエンジン、メータ、ライト等を正確に作動させるために何十本、何百本もの高性能な電線をコンパクトに束ねたワイヤーハーネスが用いられている。
上記自動車用ワイヤーハーネスには、接続された各部位の蓄電を防止し、各部位の電位差をなくすためにアース端子が設けられ、このアース端子は車両のボディ等にボルトで固定されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
自動車用ワイヤーハーネスの一端は、エンジンルーム内等に設置された補器にコネクタを介して接続されており、このコネクタへの挿入部、およびコネクタと補器との嵌合部は充分な防水処理が施されている。
これに対して、ワイヤーハーネスとアース端子とを圧着して接続されたアース端子の圧着接続部は剥き出しの状態である。そのため、アース端子の圧着接続部は被水するおそれがある。また、エンジンルーム内等に設置された補器の温度差によるポンプ効果や、電線の芯線間の隙間に発生する毛細管現象によって、アース端子圧着接続部に付着した水が、電線の芯線間を通って補器まで到達するおそれもある。
【0004】
そこで、上記問題を解決するために、図5、図6に示すように、ワイヤーハーネス100とアース端子101とを圧着して接続したアース端子圧着接続部に、ホットメルト付熱収縮チューブ102を用いるとともに、上記アース端子101を保持する専用のアース端子保持具51が使用されている。このホットメルト付熱収縮チューブ102は、樹脂、例えばポリオレフィンからなるチューブ部材の内面にホットメルトを配したものであり、ワイヤーハーネス100にアース端子101を圧着する前にワイヤーハーネス100に挿通しておき、ワイヤーハーネス100にアース端子101を圧着した後、予め挿通しておいたホットメルト付熱収縮チューブ102を圧着接続部まで戻し、圧着接続部に被せるようにするものである。
また、アース端子保持具51は、支持棒56で支持される取付け本体52と、この取付け本体52内に設けられた端子固定用ばね構造体55と、このばね構造体55に設けられた端子位置決め部材57を備えて構成されている。支持棒56および取付け本体52は、熱伝導率に優れたアルミニウムで形成され、端子固定用ばね構造体55および端子位置決め部材57はばね材で形成されている。
アース端子101をアース端子保持具51に保持させるには、ワイヤーハーネス100の軸線方向に連続するアース端子101を、上記軸線と直交する方向が挿入口となっているアース端子保持具51の側方から端子固定用ばね構造体55に挿入し、アース端子101を端子位置決め部材57で位置決めして保持する。その後、ホットメルトに熱を加えて液化させて熱収縮チューブ102の収縮を行なう。上記端子位置決め部材57は、挿入されたアース端子101をばね構造体55の上部に押付けて固定するため、上方に付勢され、挿入方向に立ち塞がった形状になっている。
また、アース端子保持具51には、加熱され溶けて流れ出したホットメルトが、アース端子101側に流れ出さないように、流れ止め部58が設けられ、この流れ止め部58には、流れ出したホットメルトが固着しないようにテフロン(登録商標)コート処理Tが施されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−231334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図5、図6に示す上記アース端子保持具51では、次に述べるような問題がある。
すなわち、アース端子101をアース端子保持具51に保持させるには、その側方から端子固定用ばね構造体55に挿入して行なうが、端子位置決め部材57が挿入方向に立ち塞がった形状に設けられているため、付勢された上端部を押え部材で押え込んでおいて、アース端子101を端子固定用ばね構造体55に挿入し、最適の位置に位置決めしなければならない。そのため、取付け作業が面倒であるという課題がある。
【0007】
また、アース端子101を固定する端子固定用ばね構造体55がばね構造であるため、アース端子101を固定する力が徐々に弱まり、長期間にわたって使用するうちにアース端子101が外れてしまい、定期的に端子固定用ばね構造体55の交換しなければならないという問題がある。
【0008】
さらに、流れ止め部58にテフロン(登録商標)コート処理Tが施されているが、アース端子101を保持具51の側方から挿入・排出する構造のため、アース端子101と端子固定用ばね構造体55とが擦れてしまい、アース端子101が傷つくとともに、コーティングが剥がれてしまう。その結果、ホットメルトが流れ止め部58に固着し、保持具51からアース端子101を取外すときに、ホットメルトも剥がれてしまい、被水の恐れが生じ、圧着部の防水性を確保することができなくなり、ばね構造体55の定期的な交換や、再コーティングが必要となるという問題がある。
【0009】
また、アース端子101をアース端子保持具51に取付ける際、アース端子101を保持具51の側方から挿入して行なうようになっているため、図7に示すように、アース端子101が斜めにセットされる可能性がある。この場合、ホットメルト付熱収縮チューブ102で覆われる部位が変ってしまい、防水性を確保することができないという問題もある。
【0010】
本発明の目的は、ワイヤーハーネスとアース端子との圧着接続部の防水性を維持することができるとともに、アース端子を、簡単にかつ傷つけずに取付けることでき、ワンタッチで保持することができるアース端子保持具およびアース端子保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記各課題を解決するために提案されたものであり、アース端子をクランプ状に挟み込めるようなアース端子保持具にすれば、簡単に保持することができる、という発想に基づいたものである。
【0012】
本発明のアース端子保持具の第1の態様は、ワイヤーハーネスとの圧着接続部が熱収縮チューブで覆われたアース端子を収容するベース本体と、
前記ベース本体に対して開閉可能に配設されて、前記ベース本体に収容された前記アース端子を押圧して保持する保持手段と、
前記保持手段を開閉させる開閉手段とを備えたアース端子保持具である。
【0013】
本発明のアース端子保持具の第2の態様は、前記ワイヤーハーネスおよび前記アース端子が直線状に接続され、前記保持手段が前記ワイヤーハーネスの軸線方向に沿って開閉可能であることを特徴とするアース端子保持具である。
【0014】
本発明のアース端子保持具の第3の態様は、前記開閉手段が、前記ワイヤーハーネスの軸線と直交する方向における前記ベース本体の両端部間に回動自在に保持されたレバー部材からなっており、前記レバー部材を押し戻す動作により、レバー部材の一辺を支点として前記保持手段が開閉することを特徴とするアース端子保持具である。
【0015】
本発明のアース端子保持具の第4の態様は、前記ベース本体が前記アース端子を載置する載置部を備えており、前記載置部に前記アース端子の先端折曲部と係合して当該アース端子を位置決めする位置決め孔が設けられていることを特徴とするアース端子保持具である。
【0016】
本発明のアース端子保持具の第5の態様は、前記保持手段によって前記アース端子が押圧された状態を維持する維持手段が、前記ベース本体に設けられていることを特徴とするアース端子保持具である。
【0017】
本発明のアース端子保持具の第6の態様は、前記熱収縮チューブには、加熱によって液化するホットメルトが設けられ、そして、前記保持手段には、前記アース端子の前記熱収縮チューブと当接して、加熱によって溶出する前記ホットメルトの前記アース端子側への流れ込みを防止する流れ止め部材が設けられていることを特徴とするアース端子保持具である。
【0018】
本発明のアース端子保持具の第7の態様は、前記流れ止め部材の外周に、加熱によって溶出した前記ホットメルトの付着を防止するためのテフロン(登録商標)コート処理が施工されていることを特徴とするアース端子保持具である。
【0019】
本発明のアース端子保持方法の第1の態様は、ワイヤーハーネスとの圧着接続部が熱収縮チューブで覆われたアース端子を載置する載置部および載置部にアース端子の先端折曲部と係合してアース端子を位置決めする位置決め孔を備えたベース本体と、前記ベース本体に対して開閉可能に配設されて、前記ベース本体に収容された前記アース端子を押圧して保持する保持手段と、前記保持手段を開閉させる開閉手段と、を備えたアース端子保持具に、押圧して保持するアース端子保持方法であって、
前記保持手段を、互いに直線状に接続された前記ワイヤーハーネスおよびアース端子の軸線方向に沿って開閉手段によって開き、次いで、開いた部位から前記アース端子を挿入し、当該アース端子の先端折り曲げ部を前記載置部の位置決め孔に係合させるとともに、アース端子を載置部に載置し、前記保持手段を開閉手段によって閉じ、前記保持手段により前記アース端子を押圧して保持するアース端子保持方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアース端子保持具およびアース端子保持方法によれば、ワイヤーハーネスとアース端子との圧着接続部の防水性を維持することができるとともに、アース端子を、簡単にかつ傷つけずに取付けることでき、ワンタッチで保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図4に基づいて、本発明に係るアース端子保持具の好適な一実施形態を説明する。
図1は上記実施形態のアース端子保持具の全体斜視図、図2はアース端子保持具の平面図、図3は図2のIII−III 線に沿った断面図、図4はアース端子保持具にアース端子を取付ける手順図である。
【0022】
図1に示すように、アース端子保持具1は、ワイヤーハーネス100の一端部に圧着して接続されたアース端子101を保持するベース本体2と、このベース本体2に収容された上記アース端子101を上方から押圧してクリップ状に保持する保持手段5と、上記ベース本体2を支持するシャフト6と、上記保持手段5をベース本体2に対して開閉させる開閉手段であるレバー部材10とを備えて構成され、アース端子101が所定位置に固定されるようになっている。
【0023】
ベース本体2は、熱伝導性のよい例えばアルミニウムで形成されており、平面略コ字状の壁部3と、この壁部3の底部に設けられた載置部である底面部4とで構成され、これらによって箱状に形成されている。
ベース本体2において、アース端子101側を先端とするとき、壁部3は、後端側にコ字状となった高さの高い第1壁3Aと、この第1壁3Aより低く、かつそれぞれの先端に形成された斜めの第2壁3Bとで形成されている。第2壁3Bのそれぞれの内面は、互いに外側に向かって膨らむ円弧状に形成されている。
【0024】
上記底面部4は、壁部3の後端から所定寸法の隙間Sをあけて、互いに対向する第1壁3A間にわたって設けられている。底面部4において隙間Sの隣には、対向する第1壁3A方向に向かって長い位置決め孔4Aがあけられ、その位置決め孔4Aを挟んで隙間Sの反対側には、位置決め孔4Aと直交する方向に長い長孔4Bが形成されている。
位置決め孔4Aには、図3に示すように、アース端子101の先端折曲部101Aが引掛けられ、これによりアース端子101の位置決めが行なわれるようになっている。
【0025】
上記保持手段5は、上記隙間Sの一部および位置決め孔4Aを遮蔽可能な断面矩形状の押え板7と、溶けたホットメルトがアース端子101側に流れ出すのを防止する流れ止め部材である円板部材8と、両者7,8を連結する連結部材9とを含み構成されている。
【0026】
押え板7は、アース端子101がベース本体2に収容されていない状態のとき、底面部4の上面に載せられ、かつ上記ベース本体2の対向する第1壁3A間に収容されている。そして、押え板7が底面部4の上面に載せられたとき、押え板7の上端面と上記第1壁3Aの上端面とは略同一高さとなっている。
【0027】
円板部材8は、その外周が、対向する第1壁3Aの一部の内面、および第2壁3Bの円弧状の内面に接触できるように形成され、また、円板部材8の外周には、テフロン(登録商標)コート処理Tが施され、ホットメルトが溶けて上記アース端子101側に流れ出るのを防止している。このような円板部材8と押え板7とには上記連結部材9が架けわたされ、固定ビス11によって、それぞれが連結、固定されている。
なお、テフロン(登録商標)コート処理Tを、円板部材8の外周全体に施工せずに、熱収縮チューブ102と接触する部位、およびその近傍のみに施工してもよい。
【0028】
図2に示すように、押え板7には上記レバー10が設けられている。このレバー10は、例えば丸棒部材をL字形状に折り曲げて形成され、その一辺が、ベース本体2の対向する第1壁3Aのそれぞれの側面間を貫通するとともに、押え板7の厚さ方向中心部を、ワイヤーハーネス100の軸線と直交する方向に貫通して回動自在に架けわたされている。
【0029】
上記一辺は開閉の支点部10Aとなり、また、レバー部材10の他辺は保持手段5を開閉させるために押し戻し作業を行なう押圧部10Bとなっている。レバー部材10は、Cリング等で第1壁3Aから抜けないように保持されており、また、例えば六角穴付ボルト12により押え板7に対して回り止めされている。
【0030】
以上のように、押え板7にレバー部材10が取付けられ、押え板7と円板部材8とが連結部材9により連結され、これらが一体的に構成されてベース本体2に設けられているので、レバー部材10を図4中、矢印M1で示す押し方向に押圧することにより、レバー部材10の支点部10Aを支点として、押え板7、円板部材8等からなる保持手段5を開くことができる。そして、開いたところにアース端子101を容易に収容することができるようになっている。
なお、図4中、矢印M2は、保持手段5を戻す戻し方向であり、M2方向に押圧すると、保持手段5でアース端子101を押圧、保持することができる。
【0031】
図1、図2に示すように、上記ベース本体2の対向する第1壁3Aのそれぞれには、互いに一直線上になって、上記保持手段5によってアース端子101を押圧した状態に維持する維持手段13が設けられている。
この維持手段13は、第1壁3Aのそれぞれにあけられたねじ孔にねじ込まれるねじ棒14と、このねじ棒14を所定位置に固定するナット15とで構成されている。そして、ねじ棒14の先端で押え板7の側面を押えることで、押え板7、ひいては保持手段5を固定するようになっている。
なお、ねじ棒14はナット15で固定されるとともに、後端部には、図示しないが、回しやすくするための二面幅が形成されている。また、押え板7の側面でねじ棒14と対応する部位には凹部が形成されていると好適である。
【0032】
次に、アース端子101をアース端子保持具1に保持させる方法を説明する。
まず、維持手段13のナット15を緩め、レバー部材10の押圧部10Bを押し方向M1側に押して、保持手段5をベース本体2に対して所定角度まで開く。
【0033】
次いで、ワイヤーハーネス100と接続されたアース端子101を、開口した保持手段5とベース本体2との前方から差込み、アース端子101の先端折曲部101Aをベース本体2の位置決め孔4Aに引掛けて、アース端子101を位置決めする。
【0034】
この後、レバー部材10の押圧部10Bを戻り方向M2側に押して、保持手段5の押え板7および円板部材8でアース端子101を押圧、固定し、これにより、ベース本体2内にアース端子101を保持する。
そして、緩めていた維持手段13のねじ棒14をねじ込んで押え板7を固定した後、ナット15を締めて、保持手段5によるアース端子101の保持状態を維持する。
その後、ホットメルトを加熱するとともに熱収縮チューブ102の収縮を行い、アース端子101とワーヤーハーネス100との圧着接続部の防水処理を行なう。
【0035】
以上に述べた実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)ベース本体2に対して保持手段5が開閉し、保持手段5の円板部材8および押え板7等をワイヤーハーネス100の軸線方向に沿って開くことができるので、アース端子101を、保持手段5の前方から差し込むことができる。アース端子101の位置決め後、保持手段5を閉じることで、クリップ状にアース端子101を保持することができ、アース端子101の保持をワンタッチで容易に行なうことができる。
【0036】
(2)ベース本体2と保持手段5とで、アース端子101をクリップ状に保持するようになっているので、従来のばね材を利用した保持のように経時変化を生じることがない。その結果、ばね材の交換のような、部材の交換等が不要となり、長期間の使用が可能となる。
【0037】
(3)ベース本体2に対して保持手段5を開き、開いた所からアース端子101を差し込み、次いで、保持手段5を閉じることで、アース端子101を保持するので、クリップ式の保持となり、アース端子101に挿入方式等で生じる擦り傷等の傷がつくことを防止できる。
【0038】
(4)円板部材8の外周にはテフロン(登録商標)コート処理Tが施されているが、円板部材8は、開いた状態でベース本体2の底面部4にアース端子101が収容された後、挟み込むように閉じてアース端子101を保持するので、円板部材8の外周が他の部品と擦れたりすることがない。したがって、円板部材8の外周に施されたテフロン(登録商標)コートの剥がれを防止することができ、テフロン(登録商標)コートの長寿命化を図ることができる。
【0039】
(5)ベース本体2の底面部4には位置決め孔4Aが形成されており、この位置決め孔4Aにアース端子101の先端折曲部101Aを引っ掛けることで、アース端子101を位置決めすることができる。したがって、簡単、かつ確実にアース端子101の位置決めを行なうことができる。
【0040】
(6)円板部材8の外周全周にわたってテフロン(登録商標)コート処理Tが施されているので、ホットメルト付熱収縮チューブ102と接触する部位のテフロン(登録商標)コートが、何らかの原因で剥がれた場合でも、固定ビス11を緩めて円板部材8を適宜回転させて固定ビス11を締め直せば、テフロン(登録商標)コート処理Tが施されている部位を熱収縮チューブ102と接触させて用いることができる。したがって、剥がれた部位に、再度テフロン(登録商標)コート処理Tを施さなくてもすむ。
【0041】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態のアース端子保持具1は、ワイヤーハーネス100との接続部をホットメルト付熱収縮チューブ102で覆ったアース端子101を収容するようになっているが、これに限らない。ホットメルトのない熱収縮チューブでワイヤーハーネス100との圧着接続部を覆ったアース端子をも保持することができるものである。
すなわち、熱収縮チューブを、端子圧着部の外力からの保護や、識別として取付ける際に用いることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、円板部材8の外周全周にわたってテフロン(登録商標)コート処理Tが施されているが、これに限らない。テフロン(登録商標)コート処理に代えてフッ素樹脂やその他の樹脂材料を用いてもよい。要は、溶け出したホットメルトが円板部材8に付着しにくい部材が塗付されていればよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、保持手段5が、断面矩形状の押え板7と円板部材8とを連結部材9で連結して構成されているが、これに限らない。押え板7を円板部材8とを一体化したような一部材で保持手段を構成してもよい。このようにすれば、部材が一つですむとともに、製作の手間や組み立ての手間が少なくてすむという効果が得られる。
【0044】
また、上記実施形態では、保持手段5を開閉させる開閉手段として、一辺が開閉の支点10Aとなったレバー10を用い、このレバー10の一辺を、対向する第1壁3Aおよび押え板7間に架けわたして設け、レバー10の押し戻し作業によって保持手段5の開閉を行なうように構成したが、これに限らない。例えば、対向する第1壁3A間にブッシュを介して保持手段5の押え板7に固着された回転軸を架けわたし、一方、上記連結部材9に、コ字状、あるいは丸状の取手を取付け、取手を握って開閉させる構造の開閉手段としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るアース端子保持具の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】上記実施形態のアース端子保持具を示す全体平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】上記実施形態のアース端子保持具にアース端子を保持させる手順を示す図である。
【図5】従来のアース端子保持具とアース端子とを示す全体斜視図である。
【図6】図5のアース端子保持具にアース端子を保持した状態を示す縦断面図である。
【図7】従来のアース端子保持具にアース端子を斜めに保持した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 アース端子保持具
2 ベース本体
3 壁部
3A 第1壁
3B 第2壁
4 載置部である底面部
4A 位置決め孔
4B 長孔
5 保持体
6 押え板
7 円板部材
8 連結部材
10 レバー部材
10A 押圧部
10B 支点部
11 固定ビス
12 六角穴付ボルト
13 維持手段
14 ねじ棒
15 ナット
100 ワーヤーハーネス
101 アース端子
102 ホットメルト付き熱収縮チューブ















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスとの圧着接続部が熱収縮チューブで覆われたアース端子を収容するベース本体と、
前記ベース本体に対して開閉可能に配設されて、前記ベース本体に収容された前記アース端子を押圧して保持する保持手段と、
前記保持手段を開閉させる開閉手段とを備えたアース端子保持具。
【請求項2】
前記ワイヤーハーネスおよび前記アース端子が直線状に接続され、前記保持手段が前記ワイヤーハーネスの軸線方向に沿って開閉可能であることを特徴とする請求項1に記載のアース端子保持具。
【請求項3】
前記開閉手段が、前記ワイヤーハーネスの軸線と直交する方向における前記ベース本体の両端部間に回動自在に保持されたレバー部材からなっており、前記レバー部材を押し戻す動作により、レバー部材の一辺を支点として前記保持手段が開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアース端子保持具。
【請求項4】
前記ベース本体が前記アース端子を載置する載置部を備えており、前記載置部に前記アース端子の先端折曲部と係合して当該アース端子を位置決めする位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のアース端子保持具。
【請求項5】
前記保持手段によって前記アース端子が押圧された状態を維持する維持手段が、前記ベース本体に設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のアース端子保持具。
【請求項6】
前記熱収縮チューブには、加熱によって液化するホットメルトが設けられ、そして、前記保持手段には、前記アース端子の前記熱収縮チューブと当接して、加熱によって溶出する前記ホットメルトの前記アース端子側への流れ込みを防止する流れ止め部材が設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のアース端子保持具。
【請求項7】
前記流れ止め部材の外周に、加熱によって溶出した前記ホットメルトの付着を防止するためのテフロン(登録商標)コート処理が施工されていることを特徴とする請求項6に記載のアース端子保持具。
【請求項8】
ワイヤーハーネスとの圧着接続部が熱収縮チューブで覆われたアース端子を載置する載置部および載置部にアース端子の先端折曲部と係合してアース端子を位置決めする位置決め孔を備えたベース本体と、前記ベース本体に対して開閉可能に配設されて、前記ベース本体に収容された前記アース端子を押圧して保持する保持手段と、前記保持手段を開閉させる開閉手段と、を備えたアース端子保持具に、押圧して保持するアース端子保持方法であって、
前記保持手段を、互いに直線状に接続された前記ワイヤーハーネスおよびアース端子の軸線方向に沿って開閉手段によって開き、次いで、開いた部位から前記アース端子を挿入し、当該アース端子の先端折り曲げ部を前記載置部の位置決め孔に係合させるとともに、アース端子を載置部に載置し、前記保持手段を開閉手段によって閉じ、前記保持手段により前記アース端子を押圧して保持するアース端子保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−261065(P2006−261065A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80367(P2005−80367)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河オートモーティブパーツ株式会社 (571)