説明

イオナイザー装置

【課題】小型、軽量で、携帯使用に適したイオナイザー装置を提供する。
【解決手段】イオンタンク部に貯まったイオンを含む空気と外部からの空気とを混合し、混合空気を外部に噴出させる機能を果たす混合空気噴出機構部20に、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア23を用い、その吐出口22を、イオンを含む混合空気を噴出させるための混合空気噴出口3の直下に、かつ、圧電マイクロブロア23の吐出口22から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気が吸引され、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気が混合空気噴出口3から噴出されるような態様で配設することにより混合空気噴出機構部20を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオンを含む空気を噴出させるイオナイザー装置、特に携帯に便利な、小型、軽量のイオナイザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンを含む空気を噴出させる装置としては、例えば、静電気除去のために手首に巻きつけるアース用のバンドに設けられた吹き出し口からイオン化された空気が放出されるように、イオナイズドエアブロア装置とアースバンドをチューブで接続してなる静電気除去装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、顔面の近傍に装着され、口や鼻の周囲にイオンが放出されるように設定され、人の移動速度が速くなるにつれそのイオンを放出する風量が大きくなるように構成された携帯用空気清浄機が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
しかし、特許文献1の静電気除去装置は、構成部材であるイオナイズドエアブロア装置が大きく、持ち運ぶことが困難で、使用者が携帯して利用することはできないという問題点がある。
【0005】
また、特許文献2の携帯用空気清浄機は、小型ではあるが顔面の近傍に設置して使用するには大きくて、使用しにくいという問題点がある。
また、携帯用空気清浄機を構成する送風装置は一般的なファンが用いられており、重いだけでなく、必ずしも十分な風量を確保できないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−88700
【特許文献2】特許第4295143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、小型、軽量で、携帯使用に適したイオナイザー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のイオナイザー装置は、
(イ)本体ケースと、
(ロ)本体ケースに設けられた、a)イオン発生部、b)前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部、c)外部から空気を吸引する吸引口および吸引した空気を吐出する吐出口を有する、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア、d)前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気と前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口、e)前記イオン発生部および前記圧電マイクロブロアを駆動するための高圧電源供給機構部、およびf)前記高圧電源供給機構部で使用される電力を供給するための電池部と、
(ハ)前記イオンタンク部に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部であって、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口を、前記混合空気噴出口の直下に、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気が吸引され、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気が前記混合空気噴出口から噴出される態様で配設することにより形成された混合空気噴出機構部と
を備えていることを特徴としている。
【0009】
上述のイオナイザー装置においては、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口と前記本体ケースの前記混合空気噴出口の形状を円形とし、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口の直径を前記混合空気噴出口の直径より小さくするとともに、両者を同心となる位置に配設することが望ましい。
【0010】
また、本発明のイオナイザー装置は、
(イ)本体ケースと、
(ロ)本体ケースに設けられた、a)イオン発生部、b)前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部、c)外部から空気を吸引する吸引口および吸引した空気を吐出する吐出口を有する、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア、d)前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気と前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口、e)前記イオン発生部および前記圧電マイクロブロアを駆動するための高圧電源供給機構部、およびf)前記高圧電源供給機構部で使用される電力を供給するための電池部と、
(ハ)前記イオンタンク部に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部であって、
前記イオンタンク部と連通する連通部を設けた隔壁により前記イオンタンク部と区画され、前記連通部を経て、前記イオンタンク部との間で気体を流通させることができるように構成され、前記混合空気噴出口が臨む位置に配設されたイオンタンク隣接領域を有するとともに、
前記圧電マイクロブロアの前記吐出口が、前記吐出口から吐出される空気の一部が、前記隔壁の前記連通部を経て前記イオンタンク部に流入する位置に配設され、
前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出され、前記連通部を経て前記イオンタンク部に流入した空気により、前記イオンタンク部内のイオンを含む空気が前記連通部を経て前記イオンタンク隣接領域に流出し、該流出したイオンを含む空気が、前記圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気のうち、前記イオンタンク隣接領域に吐出された空気とともに前記混合空気噴出口から噴出されるように構成された混合空気噴出機構部と
を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のイオナイザー装置においては、
前記隔壁が、平面視して、前記イオンタンク部と前記イオンタンク隣接領域とを直線的に区画しているとともに、
前記隔壁の上端部と本体ケースの天井壁との間に天井壁側連通部が形成され、前記隔壁の側端部と前記本体ケースの側壁との間に側壁側連通部が形成されており、
前記天井壁側連通部を経て、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気が前記イオンタンク部に流入し、
前記側壁側連通部を経て、前記イオンタンク部内のイオンを含む空気が前記イオンタンク隣接領域に流出するように構成されていること
が好ましい。
【0012】
また、前記隔壁が、前記イオンタンク隣接領域が凹円弧側、前記イオンタンク部が凸円弧側となるような態様で湾曲した形状に構成されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のイオナイザー装置においては、前記圧電マイクロブロアが、ブロア本体と、外周部が前記ブロア本体に対して固定されたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの表面に固定された単板圧電素子と、前記ブロア本体と前記ダイヤフラムとの間に形成されたブロア室とを備え、前記圧電素子に電圧を印加して前記ダイヤフラムを共振駆動することにより、空気を輸送する圧電マイクロブロアであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のイオナイザー装置は、(イ)本体ケースと、(ロ)本体ケースに設けられた、a)イオン発生部、b)イオン発生部において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部、c)外部から空気を吸引する吸引口および吸引した空気を吐出する吐出口を有する、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア、d)圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気とイオン発生部において発生したイオンを含む空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口、e)イオン発生部および圧電マイクロブロアを駆動するための高圧電源供給機構部、f)高圧電源供給機構部で使用される電力を供給するための電池部と、(ハ)イオンタンク部に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合して外部に噴出させるための混合空気噴出機構部として、圧電マイクロブロアの吐出口を、混合空気噴出口の直下に、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気が吸引され、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気が混合空気噴出口から噴出される態様で配設してなる混合空気噴出機構部を備えているので、小型、軽量で、携帯使用に適したイオナイザーを提供することが可能になる。
【0015】
また、上述のイオナイザー装置において、圧電マイクロブロアの吐出口と本体ケースの混合空気噴出口の形状をいずれも円形とし、圧電マイクロブロアの吐出口の直径を混合空気噴出口の直径より小さくするとともに、両者を同心となる位置に配設することにより、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気を吸引して、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気を混合空気噴出口から確実に噴出させることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【0016】
また、混合空気噴出機構部として、イオンタンク部と連通する連通部を設けた隔壁によりイオンタンク部と区画され、連通部を経て、イオンタンク部との間で気体を流通させることができるように構成され、混合空気噴出口が臨む位置に配設されたイオンタンク隣接領域を有するとともに、圧電マイクロブロアの吐出口が、吐出口から吐出される空気の一部が、隔壁の連通部を経てイオンタンク部に流入する位置に配設され、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出され、連通部を経てイオンタンク部に流入した空気により、イオンタンク部内のイオンを含む空気が連通部を経てイオンタンク隣接領域に流出し、該流出したイオンを含む空気が、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気のうち、イオンタンク隣接領域に吐出された空気とともに混合空気噴出口から噴出されるように構成された混合空気噴出機構部を備えた構成とした場合にも、小型、軽量で、携帯使用に適したイオナイザーを提供することが可能になる。
【0017】
また、上記隔壁を、平面視して、イオンタンク部とイオンタンク隣接領域とを直線的に区画しているとともに、隔壁の上端部と本体ケースの天井壁との間に天井壁側連通部が形成され、隔壁の側端部と本体ケースの側壁との間に側壁側連通部が形成されたものとすることにより、天井壁側連通部を経て、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気がイオンタンク部に流入し、側壁側連通部を経て、イオンタンク部内のイオンを含む空気がイオンタンク隣接領域に流出するようにすることが可能になり、外部からの空気とイオン発生部で発生したイオンを含む空気とを確実に混合して混合空気噴出口から噴出することが可能な、小型、軽量で、携帯使用に適したイオナイザーを提供することができる。
【0018】
また、隔壁を、イオンタンク隣接領域が凹円弧側、イオンタンク部が凸円弧側となるような態様で湾曲した形状に構成することにより、さらに確実に、天井壁側連通部を経て、圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気がイオンタンク部に流入し、側壁側連通部を経て、イオンタンク部内のイオンを含む空気がイオンタンク隣接領域に流出するようにすることが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0019】
また、圧電マイクロブロアとして、ブロア本体と、外周部がブロア本体に対して固定されたダイヤフラムと、ダイヤフラムの表面に固定された単板圧電素子と、ブロア本体とダイヤフラムとの間に形成されたブロア室とを備え、上記圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動することにより、空気を輸送する圧電マイクロブロアを用いることにより、イオナイザー装置の主要部である圧電マイクロブロアをより小型で軽量なものにすることが可能になり、携帯使用に適した小型、計量のイオナイザーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】本発明の実施例1にかかるイオナイザー装置の平面構成を示す図である。
【図3】実施例1のイオナイザー装置において用いられている圧電マイクロブロアの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1にかかるイオナイザー装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例(実施例2)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図である。
【図6】本発明の実施例2にかかるイオナイザー装置の平面構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施例(実施例3)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図である。
【図8】本発明の実施例3にかかるイオナイザー装置の平面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例(実施例1)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図、図2は平面構成を示す図である。
【0023】
この実施例1のイオナイザー装置においては、図1,2に示すように、本体ケース10の内部に、放電電極1aからのプラズマ放電によりイオン(オゾン)を発生するイオン発生部1と、イオン発生部1において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部2とが配設されているとともに、本体ケース10の天井壁10aには、イオンタンク部2のイオンを含む空気と外部からの空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口3が設けられている。
【0024】
さらに、本体ケース10の内部には、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア23と、イオン発生に必要な高圧電源をイオン発生部1に供給する機能を果たすとともに、圧電マイクロブロア23に駆動用パルス電圧を供給する機能を果たす高圧電源供給機構部4と、高圧電源供給機構部4で使用される電力を供給するための電池部5とが配設されている。なお、電池部5には充電式のリチウムイオン電池が用いられている。
【0025】
また、この実施例1のイオナイザー装置は、イオンタンク部2に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部20を備えている。そして、この混合空気噴出機構部20は、外部からの空気を吸引する吸引口21と、該吸引口21から吸引した空気を吐出する吐出口22とを有する圧電マイクロブロア23の吐出口22を、混合空気噴出口3の直下で、かつ、圧電マイクロブロア23の吐出口22から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気が吸引され、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気が混合空気噴出口3から噴出される位置に配設することにより構成されている。
【0026】
そして、圧電マイクロブロア23の吐出口22と本体ケースの混合空気噴出口3はいずれも円形の形状に形成され、圧電マイクロブロア23の吐出口22の直径が混合空気噴出口3の直径より小さくなるように構成されているとともに、両者は同心となる位置に配設されている。
【0027】
また、圧電マイクロブロア23としては、図3に示すような圧電マイクロブロアが用いられている。この圧電マイクロブロア23は、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成されたブロアであって、図3に示すように、ブロア本体51と、外周部がブロア本体51に対して固定されたダイヤフラム71と、ダイヤフラム71の表面に固定された単板圧電素子72と、ブロア本体51とダイヤフラム71との間に形成されたブロア室53とを備え、圧電素子72に電圧を印加してダイヤフラム71を共振駆動することにより、空気を輸送するように構成された圧電マイクロブロアであって、ダイヤフラム71と圧電素子72との間に、圧電素子72と同等の直径を有する中間板73が配設され、上記圧電素子72および中間板73を含むダイヤフラム全体の駆動の中立面が中間板73内にあるように構成された圧電マイクロブロアが用いられている。
【0028】
この圧電マイクロブロアは、ダイヤフラムユニットとして、ダイヤフラムに単板圧電素子を貼り付けたユニモルフ構造のものを用いており、この圧電マイクロブロアを用いることにより、無駄な発熱を抑制して、効率よく、イオン含む混合空気を噴出させることが可能になる。
【0029】
なお、図3に示した圧電マイクロブロアは、本願出願人により特許出願された発明にかかる圧電マイクロブロアであり、すでに出願公開がなされ、公知になっているものである(特願2007−268502(特開平2009−97393号公報))。
ただし、圧電マイクロブロア23としては、図3に示すような、ユニモルフ構造のダイヤフラムユニットを用いた圧電マイクロブロアに限らず、バイモルフ構造のダイヤフラムユニットを用いた圧電マイクロブロアなど、公知の種々のものを用いることが可能である。
【0030】
また、イオンタンク部2には空気弁6が取り付けられており、イオンタンク部2の気圧が外気圧より低くなると空気弁6が開き、外気がイオンタンク部2に注入されるように構成されている。
【0031】
ただし、空気弁6がなくても、圧電マイクロブロア23への負荷の変動により、圧電マイクロブロア23からの吸気量と混合空気噴出口3から噴出する混合空気量が変化して、全体としての圧力バランスが自然にとられることになるため、この実施例1の構成において、空気弁6は必須の構成要素ではなく、空気弁6を備えていない構成とすることも十分に可能である。
【0032】
上述のような構成とすることにより、主要部である圧電マイクロブロアが小型、軽量であることから、全体として、小型、軽量化を図ることが可能になり、携帯使用に便利なイオナイザー装置を提供することができる。
【0033】
また、図4は、この実施例1の変形例にかかるイオナイザー装置を模式的に示す図である。このイオナイザー装置は、上述の実施例1のイオナイザー装置の混合空気噴出口3に、長手方向に所定の間隔をおいて放出口7を設けたフレキシブルチューブ8が接続された構成を備えている。
【0034】
このイオナイザー装置によれば、フレキシブルチューブ8を経て、混合空気噴出口3から離れた位置にイオンを含んだ空気を確実に供給することが可能になる。したがって、例えば、フレキシブルチューブ8をペットの首に、首輪のように取り付けることにより、ペットを包み込むようにイオンを含む空気を放出させることが可能なペット用のイオナイザー装置として好適に用いることができる。
なお、使用者が人間の場合にも同様の方法で使用することもできる。
【実施例2】
【0035】
図5は本発明の他の実施例(実施例2)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図、図6は平面構成を示す図である。
【0036】
この実施例2のイオナイザー装置は、上記実施例1のイオナイザー装置と同じく、図5,6に示すように、本体ケース10の内部に、放電電極1aからのプラズマ放電によりイオン(オゾン)を発生するイオン発生部1と、イオン発生部1において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部2とが配設されているとともに、本体ケース10の天井壁10aには、イオンタンク部2のイオンを含む空気と外部からの空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口3が設けられている。
【0037】
さらに、本体ケース10の内部には、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア23と、イオン発生に必要な高圧電源をイオン発生部1に供給する機能を果たすとともに、圧電マイクロブロア23に駆動用パルス電圧を供給する機能を果たす高圧電源供給機構部4と、高圧電源供給機構部4で使用される電力を供給するための電池部5とが配設されている。なお、電池部5には充電式のリチウムイオン電池が用いられている。
【0038】
そして、この実施例2のイオナイザー装置は、イオンタンク部2に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部として、以下に説明するような、上記実施例1のイオナイザー装置の混合空気噴出機構部20とは異なる構成を有する混合空気噴出機構部20Aを備えている。
【0039】
すなわち、実施例2のイオナイザー装置における混合空気噴出機構部20Aは、その構成要素として、連通部25(天井壁側連通部25a(図5),側壁側連通部25b(図6))を設けた平板状の隔壁26によりイオンタンク部2と区画され、天井壁側連通部25a、側壁側連通部25bを経て、イオンタンク部2との間で気体を流通させることができるように構成され、かつ、ケース本体1に配設された混合空気噴出口3が臨む位置に配設されたイオンタンク隣接領域30と、外部からの空気を吸引する吸引口21と、該吸引口21から吸引した空気を噴出する吐出口22とを有する圧電マイクロブロア23を備えている。
【0040】
そして、圧電マイクロブロア23の吐出口22は、混合空気噴出口3に対して、同心ではなく、イオンタンク部2側に少し位置をずらして配設されており、吸引口21から吸引され吐出口22から吐出される空気の一部がイオンタンク部2に流入するとともに、吐出口22から吐出される空気の他の一部がその周囲の空気(すなわち、イオンタンク部2から流出したイオンを含む空気)と混ざり合い、イオンを含む混合空気として、混合空気噴出口3から噴出するように構成されている。
【0041】
なお、隔壁26は上述のように湾曲していない平板状の部材で、平面視して、イオンタンク部2とイオンタンク隣接領域30とを直線的に区画しているとともに、隔壁26の上端部26aと本体ケース10の天井壁10aとの間には天井壁側連通部25aが形成され、隔壁26の側端部26bと本体ケース10の側壁10bとの間には側壁側連通部25bが形成されるように構成されている。
【0042】
このように構成された混合空気噴出機構部20Aを備えたイオナイザー装置においては、天井壁側連通部25aを経て、圧電マイクロブロア23の吐出口22から吐出された空気がイオンタンク部2に流入するとともに、両側の側壁側連通部25bを経て、イオンタンク部2内のイオンを含む空気がイオンタンク隣接領域30に流出することにより、規則正しい気体の流れを生じさせることが可能になり、イオンタンク部2に貯まったイオンを含む空気と外部からの空気とが効率よく混合されたイオンを含む混合空気を、混合空気噴出口3から安定して噴出させることができる。
【0043】
上述のように、この実施例2のような構成とした場合にも、全体として、小型、軽量で、イオンを含む混合空気を確実に供給することが可能なイオナイザー装置を提供することが可能になる。
【実施例3】
【0044】
図7は本発明のさらに他の実施例(実施例3)にかかるイオナイザー装置の構成を示す正面断面図、図8は平面構成を示す図である。
【0045】
なお、図7,8において、実施例2のイオナイザー装置を示す図5,6と同一符号を付した部分は同一または相当する部分を示す。
この実施例3のイオナイザー装置は、図8に示すように、イオンタンク部2とイオンタンク隣接領域30とを区画する隔壁26が、イオンタンク部2が凸円弧側、イオンタンク隣接領域30側が凹円弧側となるような態様で湾曲した形状に構成されていることを除いて、上記実施例2のイオナイザー装置と同じ構成を有している。
【0046】
この実施例3のイオナイザー装置のように、隔壁26を、イオンタンク部2に向かって突出する方向に湾曲させた形状とした場合、天井壁側連通部25aを経て、圧電マイクロブロア23の吐出口22から吐出された空気をイオンタンク部2に安定して流入させるとともに、両側の側壁側連通部25bを経て、イオンタンク部2内のイオンを含む空気をイオンタンク隣接領域30に流出させることが可能になる。したがって、実施例2の場合よりもさらに規則正しい混合空気流を生じさせることが可能になり、混合空気噴出口3から、イオンを含む混合空気をより安定して噴出させることができる。
【0047】
なお、特に図示しないが、実施例2および3のイオナイザー装置の混合空気噴出口に、長手方向に所定の間隔をおいて放出口を設けたフレキシブルチューブを接続するようにした場合にも、混合空気噴出口から離れた位置に、フレキシブルチューブを経て、イオンを含んだ空気を確実に供給することが可能な、図4に示した実施例1の変形例にかかるイオナイザー装置と同様のイオナイザー装置を得ることができる。
【0048】
なお、本発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、本体ケースの具体的な構成や細部の形状、イオン発生部や高圧電源供給機構部の具体的な構成、イオンタンク部の配設態様、混合空気噴出口の具体的な配設態様、電池部で用いられる電池の種類、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部の構成、イオンタンク部とイオンタンク隣接領域とを区画する隔壁の具体的な形状などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 イオン発生部
1a 放電電極
2 イオンタンク部
3 混合空気噴出口
4 高圧電源供給機構部
5 電池部
6 空気弁
7 放出口
8 フレキシブルチューブ
10 本体ケース
10a 天井壁
10b 側壁
20,20A 混合空気噴出機構部
21 圧電マイクロブロアの吸引口
22 圧電マイクロブロアの吐出口
23 圧電マイクロブロア
25 連通部
25a 天井壁側連通部
25b 側壁側連通部
26 隔壁
26a 隔壁の上端部
26b 隔壁の側端部
30 イオンタンク隣接領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)本体ケースと、
(ロ)本体ケースに設けられた、a)イオン発生部、b)前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部、c)外部から空気を吸引する吸引口および吸引した空気を吐出する吐出口を有する、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア、d)前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気と前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口、e)前記イオン発生部および前記圧電マイクロブロアを駆動するための高圧電源供給機構部、f)前記高圧電源供給機構部で使用される電力を供給するための電池部と、
(ハ)前記イオンタンク部に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部であって、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口を、前記混合空気噴出口の直下に、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出される空気の流れにより、その周囲のイオンを含む空気が吸引され、外部からの空気とイオンを含む空気との混合空気が前記混合空気噴出口から噴出される態様で配設することにより形成された混合空気噴出機構部と
を備えていることを特徴とするイオナイザー装置。
【請求項2】
前記圧電マイクロブロアの前記吐出口と前記本体ケースの前記混合空気噴出口の形状を円形とし、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口の直径を前記混合空気噴出口の直径より小さくするとともに、両者を同心となる位置に配設したことを特徴とする請求項1記載のイオナイザー装置。
【請求項3】
(イ)本体ケースと、
(ロ)本体ケースに設けられた、a)イオン発生部、b)前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気を貯めるイオンタンク部、c)外部から空気を吸引する吸引口および吸引した空気を吐出する吐出口を有する、圧電素子に電圧を印加してダイヤフラムを共振駆動させることにより気体を輸送することができるように構成された圧電マイクロブロア、d)前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気と前記イオン発生部において発生したイオンを含む空気との混合空気を噴出する混合空気噴出口、e)前記イオン発生部および前記圧電マイクロブロアを駆動するための高圧電源供給機構部、f)前記高圧電源供給機構部で使用される電力を供給するための電池部と、
(ハ)前記イオンタンク部に貯まった、イオンを含む空気と外部からの空気とを混合するとともに、混合空気を外部に噴出させるための混合空気噴出機構部であって、
前記イオンタンク部と連通する連通部を設けた隔壁により前記イオンタンク部と区画され、前記連通部を経て、前記イオンタンク部との間で気体を流通させることができるように構成され、前記混合空気噴出口が臨む位置に配設されたイオンタンク隣接領域を有するとともに、
前記圧電マイクロブロアの前記吐出口が、前記吐出口から吐出される空気の一部が、前記隔壁の前記連通部を経て前記イオンタンク部に流入する位置に配設され、
前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出され、前記連通部を経て前記イオンタンク部に流入した空気により、前記イオンタンク部内のイオンを含む空気が前記連通部を経て前記イオンタンク隣接領域に流出し、該流出したイオンを含む空気が、前記圧電マイクロブロアの吐出口から吐出された空気のうち、前記イオンタンク隣接領域に吐出された空気とともに前記混合空気噴出口から噴出されるように構成された混合空気噴出機構部と
を備えていることを特徴とするイオナイザー装置。
【請求項4】
前記隔壁が、平面視して、前記イオンタンク部と前記イオンタンク隣接領域とを直線的に区画しているとともに、
前記隔壁の上端部と本体ケースの天井壁との間に天井壁側連通部が形成され、前記隔壁の側端部と前記本体ケースの側壁との間に側壁側連通部が形成されており、
前記天井壁側連通部を経て、前記圧電マイクロブロアの前記吐出口から吐出された空気が前記イオンタンク部に流入し、
前記側壁側連通部を経て、前記イオンタンク部内のイオンを含む空気が前記イオンタンク隣接領域に流出するように構成されていること
を特徴とする請求項3記載のイオナイザー装置
【請求項5】
前記隔壁が、前記イオンタンク隣接領域が凹円弧側、前記イオンタンク部が凸円弧側となるような態様で湾曲した形状に構成されていることを特徴とする請求項3記載のイオナイザー装置。
【請求項6】
前記圧電マイクロブロアが、ブロア本体と、外周部が前記ブロア本体に対して固定されたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの表面に固定された単板圧電素子と、前記ブロア本体と前記ダイヤフラムとの間に形成されたブロア室とを備え、前記圧電素子に電圧を印加して前記ダイヤフラムを共振駆動することにより、空気を輸送する圧電マイクロブロアであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイオナイザー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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