説明

イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。

【課題】被処理空中に複数のガス状イオン性物質が共存する場合のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供すること。
【解決手段】イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長及び最大分子長のものの吸着破過曲線を作成する第1工程と、該吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長のもの及び該最大分子長のものの吸着容量を求める第2工程と、該最小分子長のもの及び該最大分子長のものの分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長のもの及び該最大分子長のものの吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、を有するイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、液晶、精密電子部品の製造工場のクリーンルーム又はクリーンルーム内で使用される装置に設置され、ガス状のイオン性物質を除去するために用いられるケミカルフィルタに使用されているイオン交換樹脂の90%寿命までの吸着容量の推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造のレジスト工程では、248nm露光から化学増幅型レジストが本格採用され、T−TOP現象(レジスト表面の難溶化層発生)の問題から、微量アンモニア汚染を制御する事が高解像及び高均一パターンを得る上では重要な条件となっている。このようなレジスト工程では、従来のアンモニア濃度の低減だけではなく、各種アミン類やN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などアンモニア以外の塩基性ガスについても、低濃度に抑制する要求が増えている。
【0003】
これらのガス状のイオン性物質の除去を行い、清浄環境を作り出す為の有効な手段として、ガス状イオン性物質の除去用のケミカルフィルタが使用される。該ケミカルフィルタとしては、化学的な反応性の高い吸着剤、例えばイオン交換樹脂などが使用されている(例えば、特開2005−46791号公報(特許文献1))。
【0004】
イオン交換樹脂が担持されたケミカルフィルタでは、ケミカルフィルタに、被処理空気を通過させることにより、被処理空気に含有されているガス状イオン性物質が、該イオン交換樹脂と化学反応を起こして除去(吸着)される。このことで、ケミカルフィルタが、連続的にウェーハ環境を清浄に保っている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−46791号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イオン交換樹脂は、ガス状イオン性物質を連続的に吸着すると、次第に反応可能なサイトが減少していく為、ケミカルフィルタの除去性能が低下し、更に吸着が続くと、吸着容量を超えた時点で、吸着不可能となる。常にウェーハ環境を清浄に保つ為には、ガス状イオン性物質の除去性能低下による悪影響が出る前に、ケミカルフィルタを交換する必要がある。
【0007】
クリーンルーム内に存在するガス状イオン性物質の発生源は、外気、製造装置や作業者、プロセス材料(ガス、薬液)、クリーンルーム構成部材など、半導体製造工程をとりまく構成材料であるため、塩基性ガスのほかに、酸性ガス、有機ガスと多種類に及ぶ。
【0008】
クリーンルームでの使用を想定した場合、ある1種類のガス状イオン性物質の除去性能が良好であっても、他のガス状イオン性物質の除去性能が低下した時点で、「ケミカルフィルタは寿命に到達した」と考えるべきであり、ケミカルフィルタの交換が必要となってくる。
【0009】
ところが、ガス状イオン性物質が複数種類共存した場合には、吸着破過曲線が、単独の成分の場合の吸着破過曲線とは異なることが知られている。その為、クリーンルーム内に存在している各ガス状イオン性物質について、1種ずつ吸着破過曲線を求めても、複数のガス状イオン性物質が共存する場合のケミカルフィルタの寿命を推定することができなかった。
【0010】
なお、通常、クリーンルーム等に設置されるケミカルフィルタでは、除去性能が初期の除去性能の90%になった時点を、ケミカルフィルタの寿命とされる。
【0011】
そして、ケミカルフィルタに担持されているイオン交換樹脂の除去性能が、初期の除去能力の90%となるまでに、イオン交換樹脂が吸着することができるガス状イオン性物質の総量、すなわち、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量を把握できれば、ケミカルフィルタの寿命を概算できる。
【0012】
しかし、複数のガス状イオン性物質が共存する場合のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法は、いまだ確立されていない。
【0013】
従って、本発明の課題は、被処理空気中に複数のガス状イオン性物質が共存する場合のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、架橋構造を有するイオン交換樹脂では、ガス状イオン性物質の分子長とイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量とには、相関関係があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明(1)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供するものである。
【0016】
また、本発明(2)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明(3)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明(4)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被処理空気中に複数のガス状イオン性物質が共存する場合のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法を提供することができる。また、本発明によれば、被処理空気中に複数のガス状イオン性物質が共存する場合のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量が推定できるので、該イオン交換樹脂が担持されているケミカルフィルタの寿命を概算できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第一の形態のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法(以下、本発明の吸着容量の推定方法(1)とも記載する。)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程(1)と、
を有するイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法である。
【0021】
本発明の吸着容量の推定方法(1)は、該推定対象被処理空気中に含有されている塩基性のガス状イオン性物質のうち、推定対象として選定した塩基性のガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量の推定を行う方法である。
【0022】
本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程は、該推定対象被処理空気中から、該推定対象ガス状イオン性物質を、該加速試験用ガス状イオン性物質として選定する工程である。
【0023】
該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程では、先ず、該推定対象被処理空気を分析して、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定する。なお、本発明で、該推定対象被処理空気とは、90%除去寿命までの吸着容量を推定しようとしているイオン交換樹脂が担持されているケミカルフィルタが設置される場所の空気を指す。つまり、該ケミカルフィルタが、実際に処理を行う空気を指す。
【0024】
該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程では、該推定対象被処理空気中のガス状イオン性物質の種類と濃度を、例えば、イオンクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する。
【0025】
該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程では、次いで、該ガス状イオン性物質の測定結果から、該推定対象被処理空気中に含まれている塩基性のガス状イオン性物質のうち、90%除去寿命までの吸着容量を知る必要がある塩基性のガス状イオン性物質、すなわち、推定対象ガス状イオン性物質を選定し、そして、選定した該推定対象ガス状イオン性物質を、該加速試験用ガス状イオン性物質とする。被処理空気中のどのような塩基性のガス状イオン性物質が、製品に悪影響を与えるかは、製造される製品の種類や製造ライン等によって異なるため、該推定対象ガス状イオン性物質は、ケミカルフィルタが設置される空間中の製品の種類や製造ライン等により、適宜選択される。
【0026】
本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該第1工程は、該イオン交換樹脂に、該加速試験ガスを接触させて、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、分子長が最も小さい最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線と、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、分子長が最も大きい最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線と、を作成する工程である。
【0027】
該イオン交換樹脂は、架橋構造を有する樹脂にイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂である。該架橋構造を有する樹脂としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体が挙げられる。該架橋構造を有する樹脂の架橋度は、架橋モノマーのモル比で3〜15%である。該イオン交換樹脂に導入されているイオン交換基は、カチオン交換基(スルホン酸基等)である。つまり、該イオン交換樹脂は、カチオン交換基を有するイオン交換樹脂である。また、該イオン交換樹脂は、カチオン交換基に加えてアニオン交換基(トリメチルアンモニウム基等)を有していてもよい。
【0028】
該イオン交換樹脂のイオン交換容量は、2〜10meq/g、好ましくは3〜7meq/gである。
【0029】
該第1工程では、先ず、該加速試験ガスを用意する。該加速試験ガスは、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを、それぞれ高濃度で含有する。なお、該加速試験ガス中の該加速試験用ガス状イオン性物質の濃度比は、該推定対象被処理空気中の該ガス状イオン性物質の濃度比と同じでなくてもよい。また、該加速試験ガス中の該加速試験用ガス状イオン性物質の濃度が全て同じであってもよい。
【0030】
該第1工程では、次いで、該イオン交換樹脂に、連続的に、該加速試験ガスを接触させ、該イオン交換樹脂に接触させた後の該加速試験ガスを経時的にサンプリングし、サンプル中の該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の濃度の経時変化を測定する。そして、各サンプル時の濃度から、該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の除去率の経時変化のグラフ、すなわち、吸着破過曲線を作成する。
【0031】
該第1工程において、該イオン交換樹脂に、連続的に、該加速試験ガスを接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、図1に示すように、ガラス管1内に、イオン交換樹脂2を充填して、該ガラス管1の一端から、加速試験ガス3を供給し、該イオン交換樹脂2に接触させ、該ガラス管1の他端から該イオン交換樹脂2に接触させた後の加速試験ガス4を排出する方法が挙げられる。そして、該イオン交換樹脂2に接触させた後の加速試験ガス4を、経時的にサンプリングして、分析を行えばよい。
【0032】
該第1工程では、該イオン交換樹脂に接触させた後の加速試験ガスのサンプリングを、一定時間毎に行ってもよいし、該最小分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経過時間の近辺及び該最大分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経過時間の近辺で集中してサンプリングを行ってもよい。
【0033】
該最小分子長ガス状イオン性物質の除去率の算出方法であるが、該イオン交換樹脂への該加速試験ガスの接触を開始した直後にサンプリングしたサンプル中の該最小分子長ガス状イオン性物質の濃度から、該最小分子長ガス状イオン性物質の初期除去量を算出し、この初期除去量を100として、該初期除去量に対する各サンプリング時間の除去量の百分率を算出し、これを除去率(%)とする。該最大分子長ガス状イオン性物質の除去率についても同様である。
【0034】
そして、横軸に経時時間を、縦軸に除去率をプロットして、該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線と、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線と、を作成する。図2に、吸着破過曲線の模式図を示す。図2中、符号10が、最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線であり、また、符号11が、最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線である。
【0035】
本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該第2工程では、該第1工程で作成した該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、該最小分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間までに、該イオン交換樹脂が、該最小分子長ガス状イオン性物質を吸着した総吸着量、すなわち、該イオン交換樹脂の90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める。また、該第2工程では、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、該最大分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間までに、該イオン交換樹脂が、該最大分子長ガス状イオン性物質を吸着した総吸着量、すなわち、該イオン交換樹脂の90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量も求める。
【0036】
図2中、符号13で示す経時時間が、該最小分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間、すなわち、該最小分子長ガス状イオン性物質の90%除去寿命であり、また、符号12で示す経時時間が、該最大分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間、すなわち、該最大分子長ガス状イオン性物質の90%除去寿命である。そして、該加速試験ガス中のガス状イオン性物質の濃度、加速試験ガスの通過風量、及びガス状イオン性物質の除去率から、該イオン交換樹脂の90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質の吸着容量を求める。なお、ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間までの、ガス状イオン性物質の吸着破過曲線の積分値が、90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量に相当する。例えば、図3中、斜線で示す部分の面積が、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量に相当する。
【0037】
本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該第3工程では、該第2工程で求めた該90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量及び該90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量から、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量及び該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を算出し、それらの値を縦軸に、該最小分子長ガス状イオン性物質の分子長及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する。図4に、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフの模式図を示す。該第2工程で求めた90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を、該第1工程で該ガラス管1内に充填した該イオン交換樹脂2の質量で除した値と、該最小分子長ガス状イオン性物質の分子長とから、最小分子長ガス状イオン性物質のプロット15をプロットし、同様にして、最大分子長ガス状イオン性物質のプロット16をプロットして、該プロット15と該プロット16を結び、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する。
【0038】
本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該吸着容量読取工程(1)では、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した、該推定対象ガス状イオン性物質(該加速試験用ガス状イオン性物質)の全てについて、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る。
【0039】
なお、本発明では、該加速試験用ガス状イオン性物質の分子長を、計算ソフト「Winmostar」により求めることができる。
【0040】
このようにして、本発明の吸着容量の推定方法(1)では、該イオン交換樹脂の単位質量当りの、90%除去寿命までの、該推定対象ガス状イオン性物質の吸着容量を推定する。
【0041】
以下に、本発明の吸着容量の推定方法(1)の形態例を示し、更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
例えば、クリーンルームAにケミカルフィルタAを設置するとして、該ケミカルフィルタAには、カチオン交換基が導入されているイオン交換樹脂Aが担持されているとする。そして、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りのガス状イオン性物質の90%除去寿命までの吸着容量を推定するとする。この場合、該クリーンルームA内の空気が、該推定対象被処理空気である。そして、該クリーンルームA内の空気を分析したところ、塩基性のガス状イオン性物質aがx1(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質bがx2(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質cがx3(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質dがx4(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質eがx5(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質fがx6(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質gがx7(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質hがx8(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質iがx9(質量ppt)、塩基性のガス状イオン性物質jがx10(質量ppt)の濃度で含まれていたとする。次いで、ケミカルフィルタが設置される空間中で製造される製品の種類及び製造ラインから、90%除去寿命までの吸着容量を知る必要がある塩基性のガス状イオン性物質、例えば、ガス状イオン性物質a、ガス状イオン性物質b、ガス状イオン性物質c、ガス状イオン性物質d及びガス状イオン性物質eを、該推定対象ガス状イオン性物質として選定し、これらを、該加速試験用ガス状イオン性物質とする。
【0043】
次いで、選定した該ガス状イオン性物質a、b、c、d及びeを、それぞれ高濃度で含有する加速試験ガス調製する。例えば、該加速試験ガス中の該ガス状イオン性物質a、b、c、d及びeの濃度を、数百質量ppb程度にする。更に具体的には、例えば、該ガス状イオン性物質aを600質量ppb、該ガス状イオン性物質bを600質量ppb、該ガス状イオン性物質cを600質量ppb、該ガス状イオン性物質dを600質量ppb、該ガス状イオン性物質eを600質量ppb含有する加速試験ガスを調製する。また、該イオン交換樹脂Aをy(g)充填したガラス管を用意する。そして、該ガラス管に、連続的に、該加速試験ガスを供給して、該イオン交換樹脂Aと接触させて、加速試験を行う。
【0044】
そして、該イオン交換樹脂Aと接触した後の該ガラス管から排出される加速試験ガスを、経時的にサンプリングして分析する。このとき、該ガス状イオン性物質a、b、c、d及びeのうち、分子長が最も小さいものが、該ガス状イオン性物質aであり、また、分子長が最も大きいものが、該ガス状イオン性物質bであったとすると、該ガス状イオン性物質aが最小分子長ガス状イオン性物質であり、該ガス状イオン性物質bが最大分子長ガス状イオン性物質であるので、該ガス状イオン性物質aと該ガス状イオン性物質bについて、吸着破過曲線を作成する。
【0045】
次いで、作成した吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質aの吸着容量z1(mmol)、及び90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質bの吸着容量z2(mmol)とを求める。
【0046】
次いで、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質aの吸着容量(z1/y)(mmol/g)、及び該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質bの吸着容量(z2/y)(mmol/g)を算出する。そして、これらの値を縦軸に、該ガス状イオン性物質a及び該ガス状イオン性物質bの分子長を横軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する。
【0047】
次いで、作成した該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質として選定したガス状イオン性物質a、b、c、d及びeについて、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質aの吸着容量(mmol/g)、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質bの吸着容量(mmol/g)、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質cの吸着容量(mmol/g)、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質dの吸着容量(mmol/g)、該イオン交換樹脂Aの単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質eの吸着容量(mmol/g)を求める。
【0048】
本発明の第2の形態のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法(以下、本発明の吸着容量の推定方法(2)とも記載する。)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程(2)と、
を有するイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法である。
【0049】
本発明の吸着容量の推定方法(2)は、該推定対象被処理空気中に含有されている塩基性のガス状イオン性物質のうち、推定対象として決定した塩基性のガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量の推定を行う方法である。
【0050】
本発明の吸着容量の推定方法(2)では、先に、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成してから、次いで、推定対象被処理空気の分析を行い、先に求めた該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを適用できるか否かを判断し、適用できる場合には、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、推定対象ガス状イオン性物質の吸着容量を読み取る。
【0051】
本発明の吸着容量の推定方法(2)は、実際に、推定対象被処理空気に含まれているガス状イオン性物質を分析する前に、先に、ガス状イオン性物質を選定し、該加速試験用ガス状イオン性物質として用いて、本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該第1工程、該第2工程及び該第3工程を行う。
【0052】
本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該第1工程〜該第3工程は、本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該第1工程〜該第3工程とは、該加速試験用ガス状イオン性物質の選定方法が異なるだけで、該加速試験用ガス状イオン性物質を用いて、該第1工程〜該第3工程を行う方法は同じであるので、本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該第1工程、該第2工程及び該第3工程は、本発明の吸着容量の推定方法(1)に係る該第1工程、該第2工程及び該第3工程と同様である。
【0053】
そして、本発明の吸着容量の推定方法(2)では、該第1工程〜該第3工程を行うことにより、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する。
【0054】
本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該推定対象ガス状イオン性物質決定工程は、該推定対象被処理空気中から、該推定対象ガス状イオン性物質を決定する工程である。
【0055】
本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該推定対象ガス状イオン性物質決定工程では、先ず、該推定対象被処理空気を分析して、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定する。
【0056】
該推定対象ガス状イオン性物質決定工程では、次いで、該ガス状イオン性物質の測定結果から、該推定対象被処理空気中に含まれている塩基性のガス状イオン性物質のうち、90%除去寿命までの吸着容量を知る必要がある塩基性のガス状イオン性物質、すなわち、推定対象ガス状イオン性物質を決定する。被処理空気中のどのような塩基性のガス状イオン性物質が、製品に悪影響を与えるかは、製造される製品の種類や製造ライン等によって異なるため、該推定対象ガス状イオン性物質は、ケミカルフィルタが設置される空間中の製品の種類や製造ライン等により、適宜選択される。
【0057】
そして、本発明の吸着容量の推定方法(2)では、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の種類と、該加速試験用ガス状イオン性物質の種類とが、一致する場合、次の本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該吸着容量読取工程(2)を行う。なお、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の種類と、該加速試験用ガス状イオン性物質の種類とが、一致するとは、種類が完全に一致することを言い、例えば、該加速試験用ガス状イオン性物質として選定したものがガス状イオン性物質a、b、c、d及びeであり、該推定対象ガス状イオン性物質として決定したものもガス状イオン性物質a、b、c、d及びeである場合を言う。
【0058】
本発明の吸着容量の推定方法(2)に係る該吸着容量読取工程(2)では、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した各該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る。
【0059】
半導体、液晶等の製造工場のクリーンルームでは、製造するものが同じもの又は同種のものであれば、クリーンルームが異なっても、クリーンルーム内に存在している製品に悪影響を与えるガス状イオン性物質の種類は同じであることが多い。一方、半導体、液晶等の製造工場のクリーンルームでは、製造するものが同じもの又は同種のものであっても、クリーンルームが異なれば、各ガス状イオン性物質の濃度及びそれらの濃度比は異なる。
【0060】
そして、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)は、ガス状イオン性物質の分子長との関係で、吸着容量を導く推定方法なので、ガス状イオン性物質の種類が要求されるだけで、それらの濃度や濃度比は問題としない。
【0061】
そのため、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)には、以下の実施形態がある。先ず、あるクリーンルームAについて、本発明の吸着容量の推定方法(1)を実施して、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成し、そして、該クリーンルームA内の推定対象ガス状イオン性物質の全部について、該クリーンルームAに設置されるケミカルフィルタに担持されるイオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を推定したとする。次いで、別のクリーンルームB内の空気を分析したところ、該クリーンルームB内の推定対象ガス状イオン性物質が、該クリーンルームA内の推定対象ガス状イオン性物質と一致し、且つ、該クリーンルームBに設置されるケミカルフィルタに担持されるイオン交換樹脂が、該クリーンルームAに関し推定の対象となったイオン交換樹脂と同じ場合、該クリーンルームAについて本発明の吸着容量の推定方法(1)の実施の際に作成した分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを用いて、本発明の吸着容量の推定方法(2)の該吸着容量読取工程(2)を行うことができる。
【0062】
次に、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)の変形形態について説明する。本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)に係る該第1工程では、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、分子長が最小の該最小分子長ガス状イオン性物質及び分子長が最大の該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成したが、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちのいずれか2つについて吸着破過曲線を作成しても、該第3工程で、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成することができる(以下、本発明の変形形態(i)とも記載する。)。また、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)に係る該第1工程では、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、2つのガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成したが、3つ以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成しても、該第3工程で、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成することができる(以下、本発明の変形形態(ii)とも記載する。)。また、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)では、推定対象のガス状イオン性物質が、塩基性のガス状イオン性物質であり、本発明の吸着容量の推定方法(1)及び(2)に係る該第1工程では、カチオン交換基が導入されているイオン交換樹脂又はカチオン交換基とアニオン交換基が導入されているイオン交換樹脂について、塩基性のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成したが、推定対象のガス状イオン性物質が、酸性のガス状イオン性物質であり、且つ、イオン交換樹脂が、アニオン交換基が導入されているイオン交換樹脂又はアニオン交換基とカチオン交換基が導入されているイオン交換樹脂であっても、ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成でき、該第3工程で、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成することができる(以下、本発明の変形形態(iii)とも記載する。)。また、本発明の変形形態(i)〜(iii)を組み合わせることもできる。
【0063】
すなわち、本発明の第三の形態のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法(以下、本発明の吸着容量の推定方法(3)とも記載する。)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までの各ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの各ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した、該推定対象ガス状イオン性物質について、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有するイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。
【0064】
また、本発明の第四の形態のイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法(以下、本発明の吸着容量の推定方法(4)とも記載する。)は、イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までの各ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した、該推定対象ガス状イオン性物質について、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有するイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法である。
【0065】
本発明の吸着容量の推定方法(3)又は(4)において、該第1工程で、3つ以上の該加速試験用ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成した場合、該第3工程では、3つ以上の該加速試験用ガス状イオン性物質のプロットをし、これらのプロットから導かれる近似曲線を、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフとして作成することができる。
【0066】
本発明の吸着容量の推定方法(3)又は(4)において、アニオン交換基が導入されているイオン交換樹脂又はアニオン交換基とカチオン交換基が導入されているイオン交換樹脂について、酸性のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する場合、本発明の吸着容量の推定方法(3)及び(4)に係る該イオン交換樹脂は、架橋構造を有する樹脂にイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂である。該架橋構造を有する樹脂としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体、アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。該架橋構造を有する樹脂の架橋度は、架橋モノマーのモル比で2〜10%である。該イオン交換樹脂に導入されているイオン交換基は、アニオン交換基(トリメチルアンモニウム基、ジメチルエタノールアンモニウム基、1級〜3級のアミノ基等)である。つまり、該イオン交換樹脂は、アニオン交換基を有するイオン交換樹脂である。また、該イオン交換樹脂は、アニオン交換基に加えてカチオン交換基を有していてもよい。
【0067】
上記のようにして推定したイオン交換樹脂の単位体積当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量から、該イオン交換樹脂が担持されているケミカルフィルタの90%除去寿命を概算することができる。その概算方法について説明する。図5に示すように、ガス状イオン性物質の除去率が、90%除去寿命まで直線的に低下するものとして、推定対象被処理空気中のガス状イオン性物質の濃度及び推定対象被処理空気の通過風量から、吸着破過曲線を作成し、その積分値(図5中の斜線部の面積)が、そのガス状イオン性物質について、本発明により推定したイオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量とケミカルフィルタへのイオン交換樹脂の担持量から算出したケミカルフィルタの90%除去寿命までの吸着容量と、一致する時の経時時間、すなわち、ケミカルフィルタの90%除去寿命20を求める。
【0068】
実際のケミカルフィルタの吸着破過曲線は、図5に示すように直線的に低下しないが、実際のケミカルフィルタの90%除去寿命までの吸着容量は、図5に示すように直線的に低下した場合の値に近似している。そのため、本発明により推定したイオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量により、各ガス状イオン性物質について、ケミカルフィルタの90%除去寿命が概算できる。
【0069】
そして、実際のケミカルフィルタの90%除去寿命までの吸着容量は、必ず、図5に示すように直線的に低下した場合の値より大きくなるので、図5に示すように直線的に低下したとして求めたケミカルフィルタの90%除去寿命は、実際のケミカルフィルタの90%除去寿命より、若干短くなる。よって、本発明により推定したイオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量から求められるケミカルフィルタの90%除去寿命の値で、ケミカルフィルタの管理を行えば、適切な寿命管理が行える。
【0070】
(参考例1)
<加速試験ガス>
アンモニアを600質量ppb、N−メチル−2−ピロリドンを600質量ppb、ヘキシルアミンを600質量ppb含有する加速試験ガスaを調製した。 なお、これらのガス状イオン性物質の分子長を、計算ソフト「Winmostar(Ver2.27b)」により、各ガス状イオン性物質の化学式を入力して計算したところ、アンモニアが0.4nm、N−メチル−2−ピロリドンが0.79nm、ヘキシルアミンが1.17nmであった。
<イオン交換樹脂>
イオン交換基としてスルフォン基が導入された、架橋度が4%(ジビニルベンゼンのモル比)のスチレン-ジビニルベンゼン系のイオン交換樹脂aを用意した。
<加速試験>
該イオン交換樹脂a 1.22gを、内径20mmのガラス管内に充填し、該加速試験ガスaを、通過風速0.5m/秒、温度23℃、湿度50%RHの条件で、連続的に通気させて、加速試験を行った。
<90%除去寿命までの吸着容量>
該ガラス管から排気される該加速試験ガスa中の各成分の濃度を、経時的に分析し、各成分について吸着破過曲線を作成し、作成した吸着破過曲線から、該イオン交換樹脂aの単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を求めたところ、アンモニアが2.8mmol/g、N−メチル−2−ピロリドンが0.9mmol/g、ヘキシルアミン0.3mmol/gであった。
【0071】
(参考例2)
<加速試験ガス>
参考例1と同様に、アンモニアを600質量ppb、N−メチル−2−ピロリドンを600質量ppb、ヘキシルアミンを600質量ppb含有する加速試験ガスaを調製した。
<イオン交換樹脂>
イオン交換基としてスルフォン基が導入された、架橋度が14%(ジビニルベンゼンのモル比)のスチレン-ジビニルベンゼン系のイオン交換樹脂bを用意した。
<加速試験>
該イオン交換樹脂b 1.22gを、内径20mmのガラス管内に充填し、該加速試験ガスaを、通過風速0.5m/秒、温度23℃、湿度50%RHの条件で、連続的に通気させて、加速試験を行った。
<90%除去寿命までの吸着容量>
該ガラス管から排気される該加速試験ガスa中の各成分の濃度を、経時的に分析し、各成分について吸着破過曲線を作成し、作成した吸着破過曲線から、該イオン交換樹脂bの単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を求めたところ、アンモニアが2.8mmol/g、N−メチル−2−ピロリドンが0.3mmol/g、ヘキシルアミン0.2mmol/gであった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、イオン交換樹脂の90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を推定することができるので、ケミカルフィルタの90%除去寿命を概算できる。そのため、ケミカルフィルタの交換時期の管理が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】該第1工程において、該イオン交換樹脂に、連続的に、該加速試験ガスを接触させる方法を示す模式図である。
【図2】吸着破過曲線の模式図である。
【図3】吸着破過曲線の模式図である。
【図4】分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフの模式図である。
【図5】ガス状イオン性物質の除去率が、90%除去寿命まで直線的に低下するとした場合の吸着破過曲線の模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1 ガラス管
2 イオン交換樹脂
3 加速試験ガス
4 イオン交換樹脂に接触させた後の加速試験ガス
10 最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線
11 最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線
12 最大分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間
13 最小分子長ガス状イオン性物質の除去率が90%に達する経時時間
15 最小分子長ガス状イオン性物質のプロット
16 最大分子長ガス状イオン性物質のプロット
20 ケミカルフィルタの90%除去寿命

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。
【請求項2】
イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうち、最小分子長ガス状イオン性物質及び最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求め、該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着破過曲線から、90%除去寿命までの該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該最小分子長ガス状イオン性物質及び該最大分子長ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質の全てについて、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。
【請求項3】
イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定し、推定対象ガス状イオン性物質を、加速試験用ガス状イオン性物質として選定する加速試験用ガス状イオン性物質選定工程と、
イオン交換樹脂に、該加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該加速試験用ガス状イオン性物質選定工程で選定した該推定対象ガス状イオン性物質について、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。
【請求項4】
イオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法であって、
イオン交換樹脂に、加速試験用ガス状イオン性物質の全てを高濃度で含有する加速試験ガスを接触させ、加速試験を行い、該加速試験用ガス状イオン性物質のうちの2以上のガス状イオン性物質の吸着破過曲線を作成する第1工程と、
該第1工程で作成した各吸着破過曲線から、90%除去寿命までのガス状イオン性物質の吸着容量を求める第2工程と、
該ガス状イオン性物質の分子長を横軸に、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの該ガス状イオン性物質の吸着容量を縦軸にプロットして、分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフを作成する第3工程と、
推定対象被処理空気を分析し、該推定対象被処理空気に含有されているガス状イオン性物質の種類及びその濃度を測定して、推定対象ガス状イオン性物質を決定する推定対象ガス状イオン性物質決定工程と、
該推定対象ガス状イオン性物質と該加速試験用ガス状イオン性物質とが一致する場合、該分子長と90%除去寿命までの吸着容量の関係グラフから、該推定対象ガス状イオン性物質決定工程で決定した該推定対象ガス状イオン性物質について、該イオン交換樹脂の単位質量当りの90%除去寿命までの吸着容量を読み取る吸着容量読取工程と、
を有することを特徴とするイオン交換樹脂の90%除去寿命までの吸着容量の推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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