説明

イオン性液体の精製方法

本発明は、イオン性液体の一部が結晶化され、生成した結晶が液体残部から分離される分別晶出を利用するイオン性液体の精製方法に関する。この方法では所定量の少なくとも一つの共留物質がイオン性液体に添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に従う、イオン性液体の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2006/061188には、イオン性液体の精製について、イオン性液体の溶解物を部分結晶化させること及び結晶化の間に生成する結晶化物を残留溶解物からの分離することが教示されている。この点において、結晶化は、動的または静的に実行可能である。WO2006/061188によれば、既知の全種類のイオン性液体を部分結晶化によって精製することができる。
【0003】
DE-A-10 2004 027 196は、1000g/molより大なる分子量を有するポリマー及び生体ポリマーの、イオン性液体を用いる結晶化方法に関する。DE-A-10 2004 027 196の方法によれば、ポリマー及び生体ポリマーは、その一つ又は複数の溶媒がイオン性液体である溶媒混合物中に溶解される。イオン性液体の割合は50体積%より多いか、好ましくは80体積%より多い。ここで、所望のポリマーまたは生体ポリマーの結晶化を達成するためにかかる方法の基礎となるのは、これらの溶媒混合物への溶解性を変更することである。この点において、第1の変形に従えば、結晶化させようとする化合物の飽和溶液を、イオン性液体の溶液として製造する。この溶液は、特定濃度の凝集薬を含む気体体積中に導入される。ここで、時間の経過と共に、前記溶液は、凝集薬を含む気体体積を平衡に達するまでゆっくりと飽和する。イオン性液体中の凝集薬の平衡濃度が沈降に十分であるならば、結晶化させようとするポリマーまたは生体ポリマーの結晶がイオン性液体中に見られる。
【0004】
第2の変形によれば、結晶化させようとするポリマーはイオン性液体への溶解性に乏しい。しかしながら、これはイオン性液体と混合可能な共溶媒には十分に溶解性である。ここで、このポリマーをイオン性液体と共溶媒との混合物に溶解させ、飽和溶液を製造する。ここで、この混合物を気体共溶媒に乏しい気体体積中に導入する。共溶媒はイオン性溶液を含む混合物からゆっくりと蒸発し、所望のポリマーの結晶と共にイオン性液体が後に残る。前述の方法は、イオン性液体の精製を扱わず、むしろイオン性液体を利用するポリマーの精製を扱うものである。これらは、方法が完結する間、液体集合状態で存在する。
【0005】
イオン性液体の既知の問題は、これらが高度に非対称性であるために、一般的に結晶化し難いことである。このことは、結晶化を妨げるかまたは不可能にしている。また、多くのイオン性液体が複雑な相挙動を示す。その結果として、多くのイオン性液体が冷却に際してガラス様構造を形成する。イオン性液体は、しばしば高い粘性を有し、さらにまた温度の大幅低減によりガラス様凝固に至りがちである。
【0006】
EMIMクロライド等のイオン性液体には二つの結晶変態を形成するものがあり、そのうちより高融点の変態が分離のためにはより好ましい結晶形態である。温度の大幅低減の傾向にあっては、より高融点の変態の凝固点以下でも、結晶は全く生成しない。転移温度を超えて初めてより低融点の変態が結晶化し始める。
【0007】
相転移温度よりも低温になって初めて、より低融点の変態が結晶化し始める。極端な場合には、温度が相転移温度よりも低温に、かなり低減されたとしても、冷却中に結晶の生成は全く起こらない。こうした液体は、無定形に凝固する。
【0008】
液体の高い粘度のために、分子原料の輸送がゆっくりと起こり、これによって非常に小さな結晶が成長する。こうした成長は、その後の結晶と残留溶融物との分離のために不利である。こうした好ましからぬ成長は、液体がよりゆっくりと冷却されるように結晶の成長速度を遅延化することによって回避することができる。しかしいながら、これは大抵、工業的処理において望ましくない。
【0009】
本発明の範囲では、有機化合物との塩はイオン性液体と解されるべきであり、これは150℃以下、好ましくは100℃以下の液体状態で存在すべきである。WO2006/061188及びDE-A-10 2004 027 196には、多数の利用可能なイオン性化合物が列挙されている。従って、WO2006/061188及びDE-A-10 2004 027 196の内容は、参照のために本願に含めることとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2006/061188
【特許文献2】DE-A-10 2004 027 196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした従来技術に基づく本発明の目的は、上述の欠点を大幅に排除する、イオン性液体の改善された精製方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、様々な変態で結晶化する化合物をより効率よく精製することができる、改善された精製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、イオン性液体にまず所定量の少なくとも一つの共留物質を加え、その後初めて結晶化させる、請求項1の前提部分に従う方法によって充足される。一般的に、担体物質は、分離方法という意味において、固体と液相との間の不要な成分の分布に確実に影響を与える共留物質として理解されるべきである。共留物質の特定の添加は、液体(溶融物)の粘度を低減させ、これによって物質輸送を(拡散と対流との両方により)増大させることができるという利点を更に有する。これにより分離効果は増大し、所与の成長速度についてより大きな結晶が製造され、これにより実質的により優れた固体/液体の分離がもたらされる。
【0013】
有利には、化合物は、イオン性液体と、またはイオン性液体中に含まれる汚染物質と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用される。例えば、EMIM塩化物(1-エチル-3-メチル-イミダゾリウム-クロライド)の結晶化の際に、1-メチルイミダゾールを添加することができる。これにより、汚染物質の分布は、液体(溶融物)と結晶化物との間で都合よく影響されうる。このことは、結晶化物に導入される汚染物質がより少なくなることに表われる。
【0014】
有利には、化合物は、イオン性液体中に含まれる汚染物質と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用される。こうした共留物質の特定の添加は、例えば汚染物質の溶解性を増大させ、よってこれらをより多く液体中に留まらせるという利点を有する。一般的に、化合物の混合物(担体物質)もまた、担体物質として添加することができる。
【0015】
有利には、汚染されたイオン性液体に添加される共留物質の重量は、イオン性液体の50重量%未満、好ましくはイオン性液体の30重量%未満、特にイオン性液体の10重量%未満である。これは、実際に当業者が一般的に共留物質のこうした量を加えるのみで、汚染物質の溶解性に望ましい改善及び/又は一般的な分離効果に望ましい改善が達成されることを意味する。共留物質の添加により、イオン性液体の融点は一般的に低下し、状況によっては結晶化過程の実施のためにさらなるエネルギーを要する場合がある。
【0016】
共留物質が、例えばイオン性液体と同一の基本構造または同様の極性を有して、その溶解性が改善されることは、同様の構造的特徴によると理解されるべきであるが、これ自体は典型的にはイオン性ではない。
【0017】
既知の通常の溶媒もまた、精製しようとするイオン性液体中に含まれる汚染物質と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用することができる。考慮される溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、i-プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、フラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、ベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、あるいは前述の溶媒の一つまたは複数の混合物である。
【0018】
有利には、結晶化は正圧下で行われ、イオン性液体中に可溶性の気体、例えばCO2、CH4、及びN2が担体物質として使用される。可溶性気体の使用には、前記気体が容易に再排出されうるという利点がある。圧縮可能な気体、例えばメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、またはハロゲン化炭化水素、例えばクロロメタンをイオン性液体中の共留物質として使用することもまた想定される。また、これらの気体は、やや高温にて容易に再排出されうる。
【0019】
共留物質は、イオン性液体の静的晶出及び動的晶出のために使用することができる。静的晶出においては、液相の外部からの強制的対流は全く起こらず、晶出装置中に配置された冷却表面上に結晶が生成する。
【0020】
動的晶出においては、液相を攪拌するかまたは循環させる。既知の動的結晶化方法は、懸濁結晶化、完全流通管型の結晶化、または流下膜型結晶化である。前述の結晶化方法は、その内容をここに参照のために取り込むこととするUS5,504,247及びWO2006/061188により詳しく記載されている。
【0021】
主に一工程または多数工程の結晶化方法を、イオン性液体の精製に使用することができる。有利には、結晶化は、分別結晶化として多数の工程で実施される。個別の結晶化レベルは、所望の化合物の異なる純度を規定する。最も低い結晶化レベルでは、汚染物質は最高濃度であり、最も高い結晶化レベルでは、汚染物質が最も減少した純粋形態で所望の化合物が存在する。結晶化の多数工程方法では、結晶化レベルの非結晶化残渣は次に低い結晶化レベルに供給される。結晶化レベルの沈降結晶は、好ましくは水分が表面に滲出したものであり、捕捉された水分滲出相は同一レベルの操作混合物中に再供給されるか、あるいはこれは二つの画分に分けられ、その第一の画分は結晶化レベルの残渣に添加され、第二の画分は同一レベルの供給混合物に添加される。その後、残留結晶化物を溶融され、次に高い結晶化レベルに添加される。基本的に、任意の数の結晶化レベルを互いに隣り合わせて配列することができる。実際には、最も高い結晶化レベルの結晶化物が所望の純度を有するように多くの結晶化レベルを使用する。
【0022】
汚染物質は、最も低い結晶化レベルの残渣中で濃化させる。本発明の場合には、残渣は共留物質を別の汚染物質と共に含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、EMIMクロライドの冷却曲線及び加熱曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1-エチル-3-メチル-イミダゾリウム、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチル-イミダゾリウム、または1-オクチル-3-メチル-イミダゾリウムの塩化物または臭化物の精製の有効性は、1-メチル-イミダゾールの共留物質としての添加により増大させることができる。構造的類似性が、この共留物質のイミダゾール環とイミダゾールカチオンとの間には存在する。しかしながら、同様の効果が、例えば以上に名前を挙げたイオン性化合物のエチル基、ブチル基、ヘキシル基、またはオクチル基に構造的親和性を有する共留物質としての、オクタンの添加によっても達成される。更なる例は、ピリジンの添加によってその精製が増進されるエチル-ピリジニウム及びメチル-ピリジニウムの塩化物または臭化物である。更なる例は、カチオンとしてのイミダゾリウムとアニオンとしてのトルエン-スルフェートとからなるイオン性液体であり、その精製効果はベンゼン、キシレン、トルエン、またはこれらの物質の混合物の添加により増大させることができる。この例では、共留物質はトルエンスルフェートアニオンとの構造的類似性を有する。
【0025】
本発明の主題は、液体または液体の一部を低融点変態が結晶化する程度にまで冷却すること、次いで低融点変態の結晶化物をこの低融点変態が別の高融点変態に変化する程度にまで加熱すること、及びかくして生成した高融点変態中のシードをその後の結晶化のために使用することを特徴とする、請求項17の前提部分に従う方法でもある。驚くべきことに、最初に挙げたガラス様形態に凝固した固体の再加熱、低融点変態の結晶化が、相転移温度より低い温度でも開始されうることが見出された。従って、結晶は冷却の際にではなく、ガラス様凝固後の加熱の際に初めて産生される。本発明に従う方法には、完全固体が、その後の精製に好都合な変態で結晶化するという利点がある。この方法の変形では、ガラス様凝固が起こる程度に液体または液体の一部が冷却され、結果として、かくして冷却された物質がその後加熱を経るが、こうした加熱の際にも相転移温度より低い温度では低融点変態が依然結晶化し続ける。
【0026】
有利には、低融点変態を、転移点以下での冷却及びその後の加熱により結晶化させる。これにより、得ようとする成分の所望の結晶化変態での結晶化が達成可能である。本発明による方法は、冷却に処されるあらゆる化合物に対して使用することができ、これについては、比較的に適切でない変態の転移によって精製のためにより適切な変態を達成することができる。
【0027】
本発明は、EMIMクロライドの示差走査熱量測定を示す添付の図1を参照しつつ、以下により詳細に説明される。
【0028】
この図は、EMIMクロライドの冷却曲線及び加熱曲線を示す。100℃から−100℃への冷却に際して、結晶化の結果をもたらしうるピークは全く確認できなかった。曲線の進行は、無定形(ガラス様)凝固が起こったという結論をもたらす。
【0029】
再加熱に際して、およそ−10℃に大きな発熱ピークが生じるが、これは結晶化により達成される。およそ70℃乃至85℃の温度にて、変態転移及び溶融によって発生する二つの発熱ピークが見られる。本発明によれば、高温溶融変態が溶解しないように、第2の発熱ピークの温度を超える前に加熱は中止される。その後この非溶融結晶塊は、その後の結晶化のためのシードを形成する。
【0030】
本発明による方法に従って精製を受けられるイオン性液体は、例えば一般式aAm+bXn-に相当し、ここでn=1またはn=2またはm=2、及びa・m=b・nであり、カチオンは、一般式[R’’’][N+]([R’])([R’’])[R]の第四級アンモニウムカチオン、一般式[R’’’][P+]([R’])([R’’])[R]の第四級ホスホニウムカチオン、一般式[R]N1C=C[N+]([R’])=C1の置換または無置換のイミダゾリウムカチオン、一般式[R]N+1CC[O]CClの置換または無置換のモルホリニウムカチオン、一般式[R]N+1=COCC1の置換または無置換のオキサゾリニウムカチオン、一般式[R]N+1=CC=CC=C1の置換または無置換のピリジニウムカチオン、一般式[R]N+1([R’]CCCC1の置換または無置換のピロリジニウムカチオン、一般式[R]N+1C=CCC=N1の置換または無置換のピラゾリニウムカチオン、一般式[R]N+1([R’])N=CC=N1または[R]N+1([R’])C=NC=N1の置換または無置換のトリアゾリウムカチオン、一般式[R’]N([R])C(N([R’’])[R’’])=[N+]([R’’’])[R’’’]の置換または無置換のグアニジニウムカチオンから選択され、アニオンは、ハロゲン化物、テトラフルオロボレート、RBF3-、ヘキサフルオロホスフェート、RRR’PF3-、ホスフェート、PR’PO4-、ジシアンアミド、カルボキシレートR-COO-、スルホネートR-SO3-、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、有機スルフェートR-O-SO3-、ビス(スルホン)イミドR-SO2-N-SO2-R’、構造式[R’]S([N-])C([R])=O)(=O)=Oのイミド、SCN-、CN-、ニトレート、ニトライト、クロレート、ペルクロレートからなる群より選択され、ここでR及びR’は直鎖状または分枝状の1乃至20の炭素原子を含有する脂肪族アルキルまたは脂環族アルキル、またはC5-C15-アリール、C5-C15-アリール-Cl-C6-アルキル、またはCl-C6-アルキル-C5-C15-アリール残基のいずれかであってよく、これらは互いに独立にハロゲン原子及び/またはヒドロキシル基で置換されていて良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イオン性液体の一部が温度の低下により結晶化され、次いで
b)生成した結晶が液体残部から分離される、
分別晶出によるイオン性液体の精製方法であって、
まずは前記イオン性液体に所定量の少なくとも一つの共留物質が加えられ、その後結晶化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
化合物が、イオン性液体と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物が、イオン性液体中に含まれる汚染物質と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
汚染されたイオン性液体に添加される共留物質の重さとしての量が、50重量%未満、好ましくは30重量%未満、特に好ましくは10重量%未満であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
既知の通常の溶媒が、精製しようとする汚染物質を含むイオン性液体と同様の構造的特徴を有する共留物質として使用されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メタノール、エタノール、i-プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、ベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチルが溶媒として使用されるか、または前記溶媒の一つ又は複数の混合物が溶媒として使用されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
結晶化が、正圧下で行われ、且つ可溶性気体、例えばCO2、CH4、N2がイオン性液体中の共留物質として使用されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
凝縮性気体、例えばメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、及び短鎖のハロゲン化炭化水素が、担体物質として使用されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
結晶化が動的に行われることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
結晶化が静的に行われることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
結晶化が層状結晶化として行われることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
結晶化が、懸濁結晶化として行われることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
様々な結晶化方法の組み合わせが用いられることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
好ましくは流下膜型の、静的層状結晶化と動的な層状結晶化との組み合わせが用いられることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
結晶が、水分が表面に滲出したものであることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
結晶化が、多数の工程で行われることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
液体形態で存在する物質であって、異なる温度で少なくとも二つの異なる結晶形態を固体として生成し、冷却されるとa)前記物質の一部の結晶としての沈降及びb)生成した結晶の液体残部からの分離をもたらす物質の、分別晶出を利用する精製方法であって、前記液体または液体の一部が低融点変態が結晶化するまで冷却されること、次いで低融点変態がこの低融点変態が別の高融点変態に変化する程度にまで加熱されること、及びかくして生成した高融点変態中のシードがその後の結晶化に使用されることを特徴とする方法。
【請求項18】
転移点以下への冷却及びその後の加熱によって低融点変態を結晶化させることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
こうした芽の生成が静的晶出装置中または動的晶出装置中で行われることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
イオン性液体を再処理するために使用されることを特徴とする、請求項1、17乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
好ましくは流化膜型の静的層状結晶化と動的層状結晶化との組み合わせが使用されることを特徴とする、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
結晶が、水分が表面に滲出したものであることを特徴とする、請求項17乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
結晶化が多数の工程で行われることを特徴とする、請求項17乃至22のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−502754(P2010−502754A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527673(P2009−527673)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000445
【国際公開番号】WO2008/031246
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509055149)ズルツァー・ケムテック・アーゲー (5)