イオン発生機及びイオン発生機の掃除方法
【課題】送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に配してあるイオン発生部を、前記通流路を通流する空気により簡易に掃除することができるイオン発生機及びイオン発生機の清掃方法を提供する。
【解決手段】送風機２が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路１３の路壁１４に孔１５を設け、イオンを発生させるイオン発生部３を保持してある保持体４を前記孔１５の縁部に枢着し、該保持体４にベルト伝動機構５２にて繋がる電動モータ５１を設け、該電動モータ５１の駆動を正逆に制御することにより、保持体４を、通流路１３を通流する空気の通流方向とイオン発生部３が対向する位置及び通流路１３から孔１５へ後退した非対向の位置へ移動させ、前記空気にてイオン発生部３を掃除するようにした。
【解決手段】送風機２が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路１３の路壁１４に孔１５を設け、イオンを発生させるイオン発生部３を保持してある保持体４を前記孔１５の縁部に枢着し、該保持体４にベルト伝動機構５２にて繋がる電動モータ５１を設け、該電動モータ５１の駆動を正逆に制御することにより、保持体４を、通流路１３を通流する空気の通流方向とイオン発生部３が対向する位置及び通流路１３から孔１５へ後退した非対向の位置へ移動させ、前記空気にてイオン発生部３を掃除するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はイオン発生部が発生したイオンを、送風機が送出する空気とともに室内に放出するためのイオン発生機及びイオン発生機の掃除方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
イオン発生機は、居住室内にイオンを放出して室内でのイオン濃度を増加させ、室内に浮遊する細菌を分解して除菌したり、カーテン，衣類等に付着している付着臭を除去したりするものであり、送風機と、該送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路を有するハウジングと、イオンを発生させるイオン発生部及び該イオン発生部を保持してあり、前記通流路の路壁に装着される保持体とを備え、前記イオン発生部が発生したイオンを、通流路を通流する空気とともに室内に放出するように構成されている（例えば、特許文献１−４参照）。
【０００３】
また、イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、放電針からコロナ放電現象によってイオンを発生させるように構成されているため、イオン発生部に埃などの異物が付着し易い。イオン発生部に異物が付着すると、イオン発生のための放電性が低下し、イオンの発生量が減少することになるため、イオン発生部を掃除する必要がある。
【０００４】
特許文献１では、放電針と対向する火花放電電極及び該火花放電電極と放電針との間に配された火花放電用高電圧発生部を備え、放電針と火花放電電極との間に放電火花を発生させることにより、放電針に付着した異物を焼失させるように構成されている。
【０００５】
また、特許文献２では、放電針と対向するブラシを有する可動部及び該可動部を揺動させるソレノイドを備え、可動部の揺動にてブラシを放電針に接触させ、放電針を掃除するように構成されている。
【０００６】
また、特許文献３では、放電電極部をケースから取外すことにより、新たな放電電極部と交換することができるように構成されている。
【０００７】
また、特許文献４では、複数のイオン発生部のうちの一つからイオンを発生させ、一つのイオン発生部に異物が付着してイオン発生量が低減した際、他のイオン発生部からイオンを発生させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００２−１５８３４号公報
【特許文献２】特開２００９−１２９５４９号公報
【特許文献３】特開２００４−１６４９１７号公報
【特許文献４】特開２００７−１２４２２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、特許文献１、２記載のイオン発生機にあっては、イオン発生部とは別個に掃除専用の火花放電用高電圧発生部、又は可動のブラシが必要であるため、部品点数が増加するとともに、掃除専用の部材を駆動制御する制御が煩雑となり、コストが高くなるし、また、イオン発生機の全体が大型になる等の問題があった。
【００１０】
また、特許文献３記載のイオン発生機にあっては、放電電極部を取外して交換するための作業が煩雑であり、手間がかかるとともに、交換された放電電極部は廃棄されることになり、保守費用が高くなるなどの問題があった。また、特許文献３記載のイオン発生機にあっては、予備のイオン発生部も装着されているため、部品点数が増加し、コスト高になるとともに、予備のイオン発生部及び汚染したイオン発生部が通流路に配されているため、通流の妨げとなり、通流抵抗が増加するなどの問題があった。
【００１１】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に、イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように装着してある保持体を、装着してある位置からイオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることにより、既存の送風機が送出する空気にてイオン発生部を掃除することができるイオン発生機及びイオン発生機の清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明に係るイオン発生機は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路、及びイオンを発生させるイオン発生部を保持してある保持体を備え、前記イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように前記保持体を前記通流路の路壁に装着してあるイオン発生機において、前記保持体を、装着してある位置から前記イオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることを特徴とする。
【００１３】
この発明にあっては、通流路の路壁に装着してあるイオン発生部の保持体を、イオン発生部が空気の通流方向と対向する位置へ移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができるため、掃除を可能にするための構造及びプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができるとともに、少ない部品点数にてコストを低減することができる。
【００１４】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記保持体は前記路壁に枢着されており、前記駆動手段は、前記保持体を枢動する電動モータを有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、保持体の枢着部を支点として該保持体が枢動されるため、保持体を円滑に動作させることができ、また、電動モータにて保持体を簡易に駆動させることができ、掃除作業性を高めることができる。
【００１５】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記電動モータの駆動を制御する制御部を備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、電動モータによる保持体の駆動を制御部にて自動的に行わせることが可能であり、掃除作業の手間をなくし得る。
【００１６】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時した後で前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、イオン発生部の汚れ度合いに関係なく、イオン発生部を掃除することが可能であり、イオン発生部でのイオン発生量を安定化させ得る。また、イオン発生部が掃除されるとき、電圧印加部への電圧印加をオフにするため、イオン発生部に付着している異物を離脱させ易くなり、掃除効果を高めることができる。
【００１７】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する所定時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時したことを表示する表示部と、該表示部が表示している間に入力操作を受付ける操作受付部と、該操作受付部が受付けた入力操作に応じて前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、イオン発生部の汚れ度合いに関係なく、表示部が表示している間に入力操作されることによりイオン発生部を掃除することができるため、イオン発生部でのイオン発生量を安定化させることができる。
【００１８】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記路壁は、前記通流路に開口し前記保持体を配してある孔を有し、前記保持体は、前記イオン発生部が前記通流方向と対向するように駆動したとき、前記孔を閉塞する蓋部を有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、路壁の孔にイオン発生部の保持体を配してあるため、イオン発生時の通流抵抗を低くすることができ、しかも、イオン発生部が通流方向と対向する位置へ動作されて掃除されるとき、路壁の孔を蓋部にて自動的に閉塞することができるため、イオン発生部から離脱した異物が路壁の孔に侵入したり、路壁の孔内の異物が通流路へ漏れたりするのを防ぐことができる。
【００１９】
また、本発明に係るイオン発生機の掃除方法は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と非対向／対向する位置へ移動させる工程と、前記送風機から前記通流路へ空気を送出して前記イオン発生部に付着している異物を吹き飛ばす工程とを含むことを特徴とする。
この発明にあっては、通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と対向する位置へ駆動することにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができる。よって、イオン発生部を掃除するためのプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができる。
【発明の効果】
【００２０】
本発明によれば、通流路の路壁に装着されているイオン発生部の保持体を移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができるため、掃除を可能にするための構造及びプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができるとともに、少ない部品点数にてコストを低減することができる。
【００２１】
また、本発明によれば、通流路の路壁に配されているイオン発生部を空気の通流方向と対向する位置へ移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができる。よって、イオン発生部を掃除するためのプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明に係るイオン発生機の構成を示す縦断正面図である。
【図２】イオン発生部の構成を示す拡大断面図である。
【図３】イオン発生部を保持する保持体が通流路側へ枢動した状態を示す縦断正面図である。
【図４】保持体が通流路側へ枢動した状態を示す拡大断面図である。
【図５】イオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図６】イオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図７】図５のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。
【図８】図６のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図１は本発明に係るイオン発生機の構成を示す縦断正面図、図２はイオン発生部の構成を示す拡大断面図、図３はイオン発生部を保持する保持体が通流路側へ枢動した状態を示す縦断正面図、図４は保持体が通流路側へ枢動した状態を示す拡大断面図である。
【００２４】
図１に示したイオン発生機は、下部に吸込口１１，１１ａを有し、上部に吹出口１２を有するハウジング１と、該ハウジング１内の下部に配されている送風機２と、ハウジング１内における送風機２及び吹出口１２間に配されているイオン発生部３と、該イオン発生部３を保持してある保持体４と、イオン発生部３を掃除するために保持体４を枢動させる駆動部５と、送風機２、イオン発生部３及び駆動部５の駆動を制御する制御部６とを備える。
【００２５】
ハウジング１は平面視矩形をなす底壁１ｅと、該底壁１ｅの二辺に連なる前壁、後壁及び底壁１ｅの他の二辺に連なる側壁１ａ，１ｂと、側壁１ａ，１ｂ間に配された中間壁１ｃと、天壁１ｄとを有する略直方体をなす。一方の側壁１ａの下部及び中間壁１ｃの下部には吸込口１１，１１ａが開設され、他方の側壁１ｂ及び中間壁１ｃの間で、吸込口１１ａと対向する箇所に送風機２が装着され、該送風機２及び吹出口１２に亘って、送風機２が送出する空気を通流させて吹出口１２から外部へ放出する通流路１３が形成されている。尚、他方の側壁１ｂ及び中間壁１ｃの上側部分が通流路１３の路壁１４を構成している。また、吸込口１１には、送風機２が吸込口１１から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ７が取付けられている。
【００２６】
中間壁１ｃの上部で、一方の側壁１ａとの間には、通流路１３に開口する孔１５を有する凹所１６が設けられ、孔１５の縁部にイオン発生部３が枢着されており、凹所１６に駆動部４が収容されている。また、一方の側壁１ａ及び中間壁１ｃ間で、凹所１６よりも上側に収容室１７が設けられ、該収容室１７に制御部６が収容されている。また、天壁１ｄにおける収容室１７の上側には、制御部６に電気的に接続された表示部８が取付けられている。尚、孔１５の下縁部には前後方向に長い軸孔１８が開設されている。
【００２７】
送風機２は、電動モータと、該電動モータの出力軸に装着されている羽根車と、羽根車を回転自在に収容するケーシング２ａとを有し、羽根車の回転により発生する気流をケーシング２ａの上部から上方へ送出し、通流路１３を上方へ通流させるように構成されている。
【００２８】
イオン発生部３は、孔１５から通流路１３に臨む放電針３１、該放電針３１を囲繞する誘導電極環３２、放電針３１及び誘導電極環３２に電圧を印加する電圧印加部３３とを備え、電圧印加部３３が放電針３１及び誘導電極環３２に電圧を印加することにより、放電針３１がコロナ放電し、イオンを発生するように構成されている。
【００２９】
保持体４は、放電針３１、誘導電極環３２及び電圧印加部３３を収容して保持する収容筒部４１と、該収容筒部４１の開口縁に連なる円板状の外向き鍔部４２と、該鍔部４２の一部から収容筒部４１の一側と対向するように突出され、孔１５を閉塞するための板状の蓋部４３とを有し、蓋部４３及び鍔部４２が略Ｌ字形をなし、蓋部４３及び鍔部４２の境界部に枢軸４４が保持され、該枢軸４４が軸孔１８に回転自在に嵌合され、枢軸４４と一体に保持体４が枢動するようになしてある。また、保持体４が通流路１３側へ枢動することにより、通流路１３を通流する空気の通流方向と放電針３１部分及びその周辺部が対向し、通流路１３を通流する空気がイオン発生部３に衝突して該イオン発生部３を掃除するとともに、蓋部４２が孔１５を閉塞し、通流路１３を通流する空気が孔１５から凹所１６へ侵入するのを防ぎ、保持体４が孔１５側へ枢動することにより、イオン発生部３が前記通流方向と直交する側、換言すると通流方向と非対向の位置へ後退し、イオン発生部３が通流路１３を通流する空気の通流抵抗にならないようになしてある。
【００３０】
駆動部５は、凹所１６に装着され、正逆回転が可能な電動モータ５１と、該電動モータ５１の出力回転を保持体４の枢軸４４に伝動するベルト伝動機構５２とを備え、電動モータ５１の正回転によりイオン発生部３の保持体４を通流路１３側へ枢動させ、電動モータ５１の逆回転によりイオン発生部３の保持体４を孔１５側へ枢動させるように構成されている。駆動部５は保持体４を移動させる駆動手段を構成している。
【００３１】
以上のように構成されたイオン発生機は、吸込口１１が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。送風機２の駆動により、室内の空気が吸込口１１からハウジング１内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ７により除去されて清浄空気となる。フィルタ７を通過した清浄空気は、送風機２のケーシング２ａ内に吸込まれ、吹出口から通流路１３へ送風される。通流路１３の路壁１４には通流路１３に臨む孔１５があり、該孔１５にイオン発生部３を配してあるため、該イオン発生部３が通流路１３に沿って上方へ通流する清浄空気中にイオンを発生させる。
【００３２】
通流路１３に臨む孔１５に配されたイオン発生部３を保持する保持体４は、通流路１３側への枢動を可能に孔１５の縁部に枢着されているため、通流路１３を通流する空気の通流方向と非対向となるように配してあるイオン発生部３の掃除を行う場合、駆動部５にてイオン発生部３の保持体４を通流路１３側へ約９０度枢動させることにより、放電針３１部分及びその周辺部が、通流路１３を上方へ通流する通流空気の通流方向と対向し、通流空気が放電針３１部分及びその周辺部に衝突して放電針３１部分及びその周辺部に付着している塵埃等の異物を吹き飛ばすことができ、放電針３１部分及びその周辺部を掃除することができる。
【００３３】
このように保持体４を通流路１３側へ約９０度枢動させ、イオン発生部３の掃除を行うとき、保持体４の枢動に伴って蓋部４２が孔１５を閉塞し、イオン発生部３から離脱した異物が孔１５から凹所１６へ侵入したり、凹所１６内の異物が孔１５から通流路１３へ漏れたりするのを防ぐことができる。
【００３４】
掃除を終了したあと、駆動部５にてイオン発生部３の保持体４を孔１５側へ約９０度枢動させることにより、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、孔１５に停止させることができ、イオン発生部３が通流路１３を通流する空気の通流抵抗にならない。
【００３５】
図５、図６はイオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。図５は入力操作にてイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系であり、ＣＰＵ、プログラム等の情報を記憶するＲＯＭ、及び一時的に発生した情報を記憶するＲＡＭを有する制御部６の入力部に、イオン発生機の運転／停止の入力操作を受け付けるための操作受付部、イオン発生部３の掃除開始とともに電圧印加部３３への電圧印加をオフにするための操作受付部９と、時間を計時するためのタイマ１０とが接続され、制御部６の出力部に、送風機２における電動モータの駆動回路と、駆動部５における電動モータ５１の駆動回路５１ａと、操作の内容、運転状態等の情報を表示する表示部８と、イオン発生部３の電圧印加部３３とが接続されている。
【００３６】
図６は入力操作を受付けることなく、タイマ１０による時間の計時が終了したとき、自動的にイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系であり、ＣＰＵ、プログラム等の情報を記憶するＲＯＭ、及び一時的に発生した情報を記憶するＲＡＭを有する制御部６の入力部に、イオン発生機の運転／停止の入力操作を受け付けるための操作受付部と、時間を計時するためのタイマ１０とが接続され、制御部６の出力部に、送風機２における電動モータの駆動回路と、駆動部５における電動モータ５１の駆動回路５１ａと、操作の内容、運転状態等の情報を表示する表示部８と、イオン発生部３の電圧印加部３３とが接続されている。
【００３７】
図７は図５のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ＲＯＭに予め格納されている制御プログラムに従ってイオンの発生と、イオン発生部３の掃除とが周期的に実行される。タイマ１０はイオン発生部３からイオンを発生させる時間を例えば９０分計時する（ステップＳ１１）。イオン発生部３の掃除は、制御部６が、タイマ１０が９０分を計時したか否かを判定し（Ｓ１２）、所定時間を計時していないと判定した場合（Ｓ１２：ＮＯ）、タイマ１０が計時を終了するまで待機する。
【００３８】
制御部６は、所定時間を計時したと判定した場合（Ｓ１２：ＹＥＳ）、イオン発生部３の掃除を促すための通知（文字通知、通知ランプの点滅又は変色、音声通知）を表示部８に表示させ（Ｓ１３）、イオンの発生は継続される。次いで、制御部６は、操作受付部９が操作されたか否かを判定し（Ｓ１４）、操作されていないと判定した場合（Ｓ１４：ＮＯ）、操作されるまで待機する。
【００３９】
制御部６は、操作受付部９が操作されたと判定した場合（Ｓ１４：ＹＥＳ）、イオン発生部３への電圧印加を停止させ（Ｓ１５）、掃除用の電動モータ４１を正回転させて保持体４を通流路１３側へ枢動させる（Ｓ１６）。これにより、通流路１３を通流する通流空気がイオン発生部３に衝突してイオン発生部３に付着している異物を吹き飛ばし、イオン発生部３を掃除する。この掃除をするとき、電圧印加部３３への電圧印加を停止させることにより、放電針３１及び誘導電極環３２の静電気の発生を止めるので、付着している異物が離脱し易くなり、掃除効果をより一層高めることができる。次いで、制御部６は、タイマ１０に５分の計時を開始させ（Ｓ１７）、タイマ１０が５分の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ１８）、５分の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ１８：ＮＯ）、タイマ１０が５分の時間を計時するまで待機する。
【００４０】
制御部６は、５分を計時したと判定した場合（Ｓ１８：ＹＥＳ）、制御部６は掃除用の電動モータ４１を逆回転させて保持体４を孔１５側へ枢動させ（Ｓ１９）、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、掃除を終了させる。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を開始させ（Ｓ２０）、タイマ１０に２０秒の計時を開始させ（Ｓ２１）、タイマ１０が２０秒の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ２２）、２０秒の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ２２：ＮＯ）、タイマ１０が２０秒の時間を計時するまで待機する。
【００４１】
制御部６は、２０秒を計時したと判定した場合（Ｓ２２：ＹＥＳ）、制御部６は、イオン発生部３の掃除を終了した旨を表示部７に表示させて（Ｓ２３）、処理を終了する。
【００４２】
図８は図６のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ＲＯＭに予め格納されている制御プログラムに従ってイオンの発生と、イオン発生部３の掃除とが周期的に実行される。タイマ１０はイオン発生部３からイオンを発生させる時間を例えば９０分計時する（ステップＳ２４）。イオン発生部３の掃除は、制御部６が、タイマ１０が９０分を計時したか否かを判定し（Ｓ２５）、計時していないと判定した場合（Ｓ２５：ＮＯ）、タイマ１０が計時を終了するまで待機する。
【００４３】
制御部６は、計時を終了したと判定した場合（Ｓ２５：ＹＥＳ）、イオン発生部３が掃除されることの通知（文字通知、通知ランプの点滅又は変色、音声通知）を表示部７に表示（Ｓ２６）させ、イオンの発生は継続される。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を停止させ（Ｓ２７）、掃除用の電動モータ４１を正回転させて保持体４を通流路１３側へ枢動させる（Ｓ２８）。これにより、通流路１３を通流する通流空気がイオン発生部３に衝突してイオン発生部３に付着している異物を吹き飛ばし、イオン発生部３を掃除する。この掃除をするとき、電圧印加部３３への電圧印加を停止させることにより放電針３１及び誘導電極環３２の静電気の発生を止めるので、付着している異物が離脱し易くなり、掃除効果をより一層高めることができる。次いで、制御部６は、タイマ１０に５分の計時を開始させ（Ｓ２９）、タイマ１０が５分を計時したか否かを判定し（Ｓ３０）、計時していないと判定した場合（Ｓ３０：ＮＯ）、タイマ１０が５分を計時するまで待機する。
【００４４】
制御部６は、５分を計時したと判定した場合（Ｓ３０：ＹＥＳ）、掃除用の電動モータ４１を逆回転させて保持体４を孔１５側へ枢動させ（Ｓ３１）、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、掃除を終了する。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を開始させ（Ｓ３２）、タイマ１０に２０秒の計時を開始させ（Ｓ３３）、タイマ１０が２０秒の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ３４）、２０秒の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ３４：ＮＯ）、タイマ１０が２０秒の時間を計時するまで待機する。
【００４５】
制御部６は、２０秒を計時したと判定した場合（Ｓ３４：ＹＥＳ）、制御部６は、イオン発生部３の掃除を終了した旨を表示部７に表示させて（Ｓ３５）、処理を終了する。
【００４６】
尚、以上説明した実施の形態では、イオン発生部３を保持する保持体４を移動させる駆動手段として、制御部６にて駆動制御される電動モータ５１を備える構成としたが、その他、例えば保持体４が有する枢軸４４に繋がるレバーを備え、該レバーを、電磁ソレノイドにより揺動、又は手動で操作することにより保持体４を通流路１３側及び孔１５側へ回動させるように構成してもよいのであり、駆動手段は特に制限されない。また、保持体４は枢着される構成の他、例えば通流空気の通流方向と交差する方向へスライド可能な構成とし、このスライドを、電動モータの出力軸に繋がるピニオン及びラックを有する駆動手段、電磁ソレノイド又は手動操作にて実行するようにしてもよい。また、保持体４を電動モータ５１にて枢動させる場合、電動モータ５１の出力回転をベルト伝動機構５２にて枢軸４４に伝動する構成とする他、電動モータ４１の出力回転を歯車伝動機構にて枢軸に伝動する構成としてもよく、伝動機構の構成は特に制限されない。
【００４７】
また、以上説明した実施の形態では、通流路１３から後退した位置に保持体４を装着し、この後退した位置から通流路１３側へ移動させるように構成したが、その他、イオン発生部が通流方向と非対向となるように保持体４を通流路１３に配し、掃除を行う際は、イオン発生部３が通流方向と対向するように保持体４を通流路１３内で枢動させるように構成してもよい。
【００４８】
また、イオン発生部３は一つである他、複数であってもよく、イオン発生部３の個数及びイオン発生部３を保持する保持体４の個数は特に制限されない。
また、入力操作を受付けることなく、タイマ１０による時間の計時が終了したとき、自動的にイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系において、表示部８は必ずしも必要でない。
【符号の説明】
【００４９】
１３ 通風路
１４ 路壁
１５ 孔
２ 送風機
３ イオン発生部
３１ 放電針
３３ 電圧印加部
４ 保持体
５ 駆動部（駆動手段）
５１ 電動モータ
６ 制御部
８ 表示部
９ 操作受付部
１０ タイマ
【技術分野】
【０００１】
本発明はイオン発生部が発生したイオンを、送風機が送出する空気とともに室内に放出するためのイオン発生機及びイオン発生機の掃除方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
イオン発生機は、居住室内にイオンを放出して室内でのイオン濃度を増加させ、室内に浮遊する細菌を分解して除菌したり、カーテン，衣類等に付着している付着臭を除去したりするものであり、送風機と、該送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路を有するハウジングと、イオンを発生させるイオン発生部及び該イオン発生部を保持してあり、前記通流路の路壁に装着される保持体とを備え、前記イオン発生部が発生したイオンを、通流路を通流する空気とともに室内に放出するように構成されている（例えば、特許文献１−４参照）。
【０００３】
また、イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、放電針からコロナ放電現象によってイオンを発生させるように構成されているため、イオン発生部に埃などの異物が付着し易い。イオン発生部に異物が付着すると、イオン発生のための放電性が低下し、イオンの発生量が減少することになるため、イオン発生部を掃除する必要がある。
【０００４】
特許文献１では、放電針と対向する火花放電電極及び該火花放電電極と放電針との間に配された火花放電用高電圧発生部を備え、放電針と火花放電電極との間に放電火花を発生させることにより、放電針に付着した異物を焼失させるように構成されている。
【０００５】
また、特許文献２では、放電針と対向するブラシを有する可動部及び該可動部を揺動させるソレノイドを備え、可動部の揺動にてブラシを放電針に接触させ、放電針を掃除するように構成されている。
【０００６】
また、特許文献３では、放電電極部をケースから取外すことにより、新たな放電電極部と交換することができるように構成されている。
【０００７】
また、特許文献４では、複数のイオン発生部のうちの一つからイオンを発生させ、一つのイオン発生部に異物が付着してイオン発生量が低減した際、他のイオン発生部からイオンを発生させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００２−１５８３４号公報
【特許文献２】特開２００９−１２９５４９号公報
【特許文献３】特開２００４−１６４９１７号公報
【特許文献４】特開２００７−１２４２２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、特許文献１、２記載のイオン発生機にあっては、イオン発生部とは別個に掃除専用の火花放電用高電圧発生部、又は可動のブラシが必要であるため、部品点数が増加するとともに、掃除専用の部材を駆動制御する制御が煩雑となり、コストが高くなるし、また、イオン発生機の全体が大型になる等の問題があった。
【００１０】
また、特許文献３記載のイオン発生機にあっては、放電電極部を取外して交換するための作業が煩雑であり、手間がかかるとともに、交換された放電電極部は廃棄されることになり、保守費用が高くなるなどの問題があった。また、特許文献３記載のイオン発生機にあっては、予備のイオン発生部も装着されているため、部品点数が増加し、コスト高になるとともに、予備のイオン発生部及び汚染したイオン発生部が通流路に配されているため、通流の妨げとなり、通流抵抗が増加するなどの問題があった。
【００１１】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に、イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように装着してある保持体を、装着してある位置からイオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることにより、既存の送風機が送出する空気にてイオン発生部を掃除することができるイオン発生機及びイオン発生機の清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明に係るイオン発生機は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路、及びイオンを発生させるイオン発生部を保持してある保持体を備え、前記イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように前記保持体を前記通流路の路壁に装着してあるイオン発生機において、前記保持体を、装着してある位置から前記イオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることを特徴とする。
【００１３】
この発明にあっては、通流路の路壁に装着してあるイオン発生部の保持体を、イオン発生部が空気の通流方向と対向する位置へ移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができるため、掃除を可能にするための構造及びプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができるとともに、少ない部品点数にてコストを低減することができる。
【００１４】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記保持体は前記路壁に枢着されており、前記駆動手段は、前記保持体を枢動する電動モータを有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、保持体の枢着部を支点として該保持体が枢動されるため、保持体を円滑に動作させることができ、また、電動モータにて保持体を簡易に駆動させることができ、掃除作業性を高めることができる。
【００１５】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記電動モータの駆動を制御する制御部を備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、電動モータによる保持体の駆動を制御部にて自動的に行わせることが可能であり、掃除作業の手間をなくし得る。
【００１６】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時した後で前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、イオン発生部の汚れ度合いに関係なく、イオン発生部を掃除することが可能であり、イオン発生部でのイオン発生量を安定化させ得る。また、イオン発生部が掃除されるとき、電圧印加部への電圧印加をオフにするため、イオン発生部に付着している異物を離脱させ易くなり、掃除効果を高めることができる。
【００１７】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する所定時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時したことを表示する表示部と、該表示部が表示している間に入力操作を受付ける操作受付部と、該操作受付部が受付けた入力操作に応じて前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、イオン発生部の汚れ度合いに関係なく、表示部が表示している間に入力操作されることによりイオン発生部を掃除することができるため、イオン発生部でのイオン発生量を安定化させることができる。
【００１８】
また、本発明に係るイオン発生機は、前記路壁は、前記通流路に開口し前記保持体を配してある孔を有し、前記保持体は、前記イオン発生部が前記通流方向と対向するように駆動したとき、前記孔を閉塞する蓋部を有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、路壁の孔にイオン発生部の保持体を配してあるため、イオン発生時の通流抵抗を低くすることができ、しかも、イオン発生部が通流方向と対向する位置へ動作されて掃除されるとき、路壁の孔を蓋部にて自動的に閉塞することができるため、イオン発生部から離脱した異物が路壁の孔に侵入したり、路壁の孔内の異物が通流路へ漏れたりするのを防ぐことができる。
【００１９】
また、本発明に係るイオン発生機の掃除方法は、送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と非対向／対向する位置へ移動させる工程と、前記送風機から前記通流路へ空気を送出して前記イオン発生部に付着している異物を吹き飛ばす工程とを含むことを特徴とする。
この発明にあっては、通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と対向する位置へ駆動することにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができる。よって、イオン発生部を掃除するためのプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができる。
【発明の効果】
【００２０】
本発明によれば、通流路の路壁に装着されているイオン発生部の保持体を移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができるため、掃除を可能にするための構造及びプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができるとともに、少ない部品点数にてコストを低減することができる。
【００２１】
また、本発明によれば、通流路の路壁に配されているイオン発生部を空気の通流方向と対向する位置へ移動させることにより、既存の送風機が送出する空気をイオン発生部に衝突させ、イオン発生部を掃除することができる。よって、イオン発生部を掃除するためのプロセスを簡単にでき、簡易に掃除をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明に係るイオン発生機の構成を示す縦断正面図である。
【図２】イオン発生部の構成を示す拡大断面図である。
【図３】イオン発生部を保持する保持体が通流路側へ枢動した状態を示す縦断正面図である。
【図４】保持体が通流路側へ枢動した状態を示す拡大断面図である。
【図５】イオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図６】イオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図７】図５のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。
【図８】図６のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図１は本発明に係るイオン発生機の構成を示す縦断正面図、図２はイオン発生部の構成を示す拡大断面図、図３はイオン発生部を保持する保持体が通流路側へ枢動した状態を示す縦断正面図、図４は保持体が通流路側へ枢動した状態を示す拡大断面図である。
【００２４】
図１に示したイオン発生機は、下部に吸込口１１，１１ａを有し、上部に吹出口１２を有するハウジング１と、該ハウジング１内の下部に配されている送風機２と、ハウジング１内における送風機２及び吹出口１２間に配されているイオン発生部３と、該イオン発生部３を保持してある保持体４と、イオン発生部３を掃除するために保持体４を枢動させる駆動部５と、送風機２、イオン発生部３及び駆動部５の駆動を制御する制御部６とを備える。
【００２５】
ハウジング１は平面視矩形をなす底壁１ｅと、該底壁１ｅの二辺に連なる前壁、後壁及び底壁１ｅの他の二辺に連なる側壁１ａ，１ｂと、側壁１ａ，１ｂ間に配された中間壁１ｃと、天壁１ｄとを有する略直方体をなす。一方の側壁１ａの下部及び中間壁１ｃの下部には吸込口１１，１１ａが開設され、他方の側壁１ｂ及び中間壁１ｃの間で、吸込口１１ａと対向する箇所に送風機２が装着され、該送風機２及び吹出口１２に亘って、送風機２が送出する空気を通流させて吹出口１２から外部へ放出する通流路１３が形成されている。尚、他方の側壁１ｂ及び中間壁１ｃの上側部分が通流路１３の路壁１４を構成している。また、吸込口１１には、送風機２が吸込口１１から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ７が取付けられている。
【００２６】
中間壁１ｃの上部で、一方の側壁１ａとの間には、通流路１３に開口する孔１５を有する凹所１６が設けられ、孔１５の縁部にイオン発生部３が枢着されており、凹所１６に駆動部４が収容されている。また、一方の側壁１ａ及び中間壁１ｃ間で、凹所１６よりも上側に収容室１７が設けられ、該収容室１７に制御部６が収容されている。また、天壁１ｄにおける収容室１７の上側には、制御部６に電気的に接続された表示部８が取付けられている。尚、孔１５の下縁部には前後方向に長い軸孔１８が開設されている。
【００２７】
送風機２は、電動モータと、該電動モータの出力軸に装着されている羽根車と、羽根車を回転自在に収容するケーシング２ａとを有し、羽根車の回転により発生する気流をケーシング２ａの上部から上方へ送出し、通流路１３を上方へ通流させるように構成されている。
【００２８】
イオン発生部３は、孔１５から通流路１３に臨む放電針３１、該放電針３１を囲繞する誘導電極環３２、放電針３１及び誘導電極環３２に電圧を印加する電圧印加部３３とを備え、電圧印加部３３が放電針３１及び誘導電極環３２に電圧を印加することにより、放電針３１がコロナ放電し、イオンを発生するように構成されている。
【００２９】
保持体４は、放電針３１、誘導電極環３２及び電圧印加部３３を収容して保持する収容筒部４１と、該収容筒部４１の開口縁に連なる円板状の外向き鍔部４２と、該鍔部４２の一部から収容筒部４１の一側と対向するように突出され、孔１５を閉塞するための板状の蓋部４３とを有し、蓋部４３及び鍔部４２が略Ｌ字形をなし、蓋部４３及び鍔部４２の境界部に枢軸４４が保持され、該枢軸４４が軸孔１８に回転自在に嵌合され、枢軸４４と一体に保持体４が枢動するようになしてある。また、保持体４が通流路１３側へ枢動することにより、通流路１３を通流する空気の通流方向と放電針３１部分及びその周辺部が対向し、通流路１３を通流する空気がイオン発生部３に衝突して該イオン発生部３を掃除するとともに、蓋部４２が孔１５を閉塞し、通流路１３を通流する空気が孔１５から凹所１６へ侵入するのを防ぎ、保持体４が孔１５側へ枢動することにより、イオン発生部３が前記通流方向と直交する側、換言すると通流方向と非対向の位置へ後退し、イオン発生部３が通流路１３を通流する空気の通流抵抗にならないようになしてある。
【００３０】
駆動部５は、凹所１６に装着され、正逆回転が可能な電動モータ５１と、該電動モータ５１の出力回転を保持体４の枢軸４４に伝動するベルト伝動機構５２とを備え、電動モータ５１の正回転によりイオン発生部３の保持体４を通流路１３側へ枢動させ、電動モータ５１の逆回転によりイオン発生部３の保持体４を孔１５側へ枢動させるように構成されている。駆動部５は保持体４を移動させる駆動手段を構成している。
【００３１】
以上のように構成されたイオン発生機は、吸込口１１が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。送風機２の駆動により、室内の空気が吸込口１１からハウジング１内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ７により除去されて清浄空気となる。フィルタ７を通過した清浄空気は、送風機２のケーシング２ａ内に吸込まれ、吹出口から通流路１３へ送風される。通流路１３の路壁１４には通流路１３に臨む孔１５があり、該孔１５にイオン発生部３を配してあるため、該イオン発生部３が通流路１３に沿って上方へ通流する清浄空気中にイオンを発生させる。
【００３２】
通流路１３に臨む孔１５に配されたイオン発生部３を保持する保持体４は、通流路１３側への枢動を可能に孔１５の縁部に枢着されているため、通流路１３を通流する空気の通流方向と非対向となるように配してあるイオン発生部３の掃除を行う場合、駆動部５にてイオン発生部３の保持体４を通流路１３側へ約９０度枢動させることにより、放電針３１部分及びその周辺部が、通流路１３を上方へ通流する通流空気の通流方向と対向し、通流空気が放電針３１部分及びその周辺部に衝突して放電針３１部分及びその周辺部に付着している塵埃等の異物を吹き飛ばすことができ、放電針３１部分及びその周辺部を掃除することができる。
【００３３】
このように保持体４を通流路１３側へ約９０度枢動させ、イオン発生部３の掃除を行うとき、保持体４の枢動に伴って蓋部４２が孔１５を閉塞し、イオン発生部３から離脱した異物が孔１５から凹所１６へ侵入したり、凹所１６内の異物が孔１５から通流路１３へ漏れたりするのを防ぐことができる。
【００３４】
掃除を終了したあと、駆動部５にてイオン発生部３の保持体４を孔１５側へ約９０度枢動させることにより、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、孔１５に停止させることができ、イオン発生部３が通流路１３を通流する空気の通流抵抗にならない。
【００３５】
図５、図６はイオン発生機の制御系の概略構成を示すブロック図である。図５は入力操作にてイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系であり、ＣＰＵ、プログラム等の情報を記憶するＲＯＭ、及び一時的に発生した情報を記憶するＲＡＭを有する制御部６の入力部に、イオン発生機の運転／停止の入力操作を受け付けるための操作受付部、イオン発生部３の掃除開始とともに電圧印加部３３への電圧印加をオフにするための操作受付部９と、時間を計時するためのタイマ１０とが接続され、制御部６の出力部に、送風機２における電動モータの駆動回路と、駆動部５における電動モータ５１の駆動回路５１ａと、操作の内容、運転状態等の情報を表示する表示部８と、イオン発生部３の電圧印加部３３とが接続されている。
【００３６】
図６は入力操作を受付けることなく、タイマ１０による時間の計時が終了したとき、自動的にイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系であり、ＣＰＵ、プログラム等の情報を記憶するＲＯＭ、及び一時的に発生した情報を記憶するＲＡＭを有する制御部６の入力部に、イオン発生機の運転／停止の入力操作を受け付けるための操作受付部と、時間を計時するためのタイマ１０とが接続され、制御部６の出力部に、送風機２における電動モータの駆動回路と、駆動部５における電動モータ５１の駆動回路５１ａと、操作の内容、運転状態等の情報を表示する表示部８と、イオン発生部３の電圧印加部３３とが接続されている。
【００３７】
図７は図５のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ＲＯＭに予め格納されている制御プログラムに従ってイオンの発生と、イオン発生部３の掃除とが周期的に実行される。タイマ１０はイオン発生部３からイオンを発生させる時間を例えば９０分計時する（ステップＳ１１）。イオン発生部３の掃除は、制御部６が、タイマ１０が９０分を計時したか否かを判定し（Ｓ１２）、所定時間を計時していないと判定した場合（Ｓ１２：ＮＯ）、タイマ１０が計時を終了するまで待機する。
【００３８】
制御部６は、所定時間を計時したと判定した場合（Ｓ１２：ＹＥＳ）、イオン発生部３の掃除を促すための通知（文字通知、通知ランプの点滅又は変色、音声通知）を表示部８に表示させ（Ｓ１３）、イオンの発生は継続される。次いで、制御部６は、操作受付部９が操作されたか否かを判定し（Ｓ１４）、操作されていないと判定した場合（Ｓ１４：ＮＯ）、操作されるまで待機する。
【００３９】
制御部６は、操作受付部９が操作されたと判定した場合（Ｓ１４：ＹＥＳ）、イオン発生部３への電圧印加を停止させ（Ｓ１５）、掃除用の電動モータ４１を正回転させて保持体４を通流路１３側へ枢動させる（Ｓ１６）。これにより、通流路１３を通流する通流空気がイオン発生部３に衝突してイオン発生部３に付着している異物を吹き飛ばし、イオン発生部３を掃除する。この掃除をするとき、電圧印加部３３への電圧印加を停止させることにより、放電針３１及び誘導電極環３２の静電気の発生を止めるので、付着している異物が離脱し易くなり、掃除効果をより一層高めることができる。次いで、制御部６は、タイマ１０に５分の計時を開始させ（Ｓ１７）、タイマ１０が５分の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ１８）、５分の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ１８：ＮＯ）、タイマ１０が５分の時間を計時するまで待機する。
【００４０】
制御部６は、５分を計時したと判定した場合（Ｓ１８：ＹＥＳ）、制御部６は掃除用の電動モータ４１を逆回転させて保持体４を孔１５側へ枢動させ（Ｓ１９）、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、掃除を終了させる。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を開始させ（Ｓ２０）、タイマ１０に２０秒の計時を開始させ（Ｓ２１）、タイマ１０が２０秒の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ２２）、２０秒の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ２２：ＮＯ）、タイマ１０が２０秒の時間を計時するまで待機する。
【００４１】
制御部６は、２０秒を計時したと判定した場合（Ｓ２２：ＹＥＳ）、制御部６は、イオン発生部３の掃除を終了した旨を表示部７に表示させて（Ｓ２３）、処理を終了する。
【００４２】
図８は図６のブロック図の制御系により処理される処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ＲＯＭに予め格納されている制御プログラムに従ってイオンの発生と、イオン発生部３の掃除とが周期的に実行される。タイマ１０はイオン発生部３からイオンを発生させる時間を例えば９０分計時する（ステップＳ２４）。イオン発生部３の掃除は、制御部６が、タイマ１０が９０分を計時したか否かを判定し（Ｓ２５）、計時していないと判定した場合（Ｓ２５：ＮＯ）、タイマ１０が計時を終了するまで待機する。
【００４３】
制御部６は、計時を終了したと判定した場合（Ｓ２５：ＹＥＳ）、イオン発生部３が掃除されることの通知（文字通知、通知ランプの点滅又は変色、音声通知）を表示部７に表示（Ｓ２６）させ、イオンの発生は継続される。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を停止させ（Ｓ２７）、掃除用の電動モータ４１を正回転させて保持体４を通流路１３側へ枢動させる（Ｓ２８）。これにより、通流路１３を通流する通流空気がイオン発生部３に衝突してイオン発生部３に付着している異物を吹き飛ばし、イオン発生部３を掃除する。この掃除をするとき、電圧印加部３３への電圧印加を停止させることにより放電針３１及び誘導電極環３２の静電気の発生を止めるので、付着している異物が離脱し易くなり、掃除効果をより一層高めることができる。次いで、制御部６は、タイマ１０に５分の計時を開始させ（Ｓ２９）、タイマ１０が５分を計時したか否かを判定し（Ｓ３０）、計時していないと判定した場合（Ｓ３０：ＮＯ）、タイマ１０が５分を計時するまで待機する。
【００４４】
制御部６は、５分を計時したと判定した場合（Ｓ３０：ＹＥＳ）、掃除用の電動モータ４１を逆回転させて保持体４を孔１５側へ枢動させ（Ｓ３１）、イオン発生部３を通流路１３から後退させ、掃除を終了する。次いで、制御部６は、電圧印加部３３への電圧印加を開始させ（Ｓ３２）、タイマ１０に２０秒の計時を開始させ（Ｓ３３）、タイマ１０が２０秒の時間を計時したか否かを判定し（Ｓ３４）、２０秒の時間を計時していないと判定した場合（Ｓ３４：ＮＯ）、タイマ１０が２０秒の時間を計時するまで待機する。
【００４５】
制御部６は、２０秒を計時したと判定した場合（Ｓ３４：ＹＥＳ）、制御部６は、イオン発生部３の掃除を終了した旨を表示部７に表示させて（Ｓ３５）、処理を終了する。
【００４６】
尚、以上説明した実施の形態では、イオン発生部３を保持する保持体４を移動させる駆動手段として、制御部６にて駆動制御される電動モータ５１を備える構成としたが、その他、例えば保持体４が有する枢軸４４に繋がるレバーを備え、該レバーを、電磁ソレノイドにより揺動、又は手動で操作することにより保持体４を通流路１３側及び孔１５側へ回動させるように構成してもよいのであり、駆動手段は特に制限されない。また、保持体４は枢着される構成の他、例えば通流空気の通流方向と交差する方向へスライド可能な構成とし、このスライドを、電動モータの出力軸に繋がるピニオン及びラックを有する駆動手段、電磁ソレノイド又は手動操作にて実行するようにしてもよい。また、保持体４を電動モータ５１にて枢動させる場合、電動モータ５１の出力回転をベルト伝動機構５２にて枢軸４４に伝動する構成とする他、電動モータ４１の出力回転を歯車伝動機構にて枢軸に伝動する構成としてもよく、伝動機構の構成は特に制限されない。
【００４７】
また、以上説明した実施の形態では、通流路１３から後退した位置に保持体４を装着し、この後退した位置から通流路１３側へ移動させるように構成したが、その他、イオン発生部が通流方向と非対向となるように保持体４を通流路１３に配し、掃除を行う際は、イオン発生部３が通流方向と対向するように保持体４を通流路１３内で枢動させるように構成してもよい。
【００４８】
また、イオン発生部３は一つである他、複数であってもよく、イオン発生部３の個数及びイオン発生部３を保持する保持体４の個数は特に制限されない。
また、入力操作を受付けることなく、タイマ１０による時間の計時が終了したとき、自動的にイオン発生部３の掃除を開始させるための制御系において、表示部８は必ずしも必要でない。
【符号の説明】
【００４９】
１３ 通風路
１４ 路壁
１５ 孔
２ 送風機
３ イオン発生部
３１ 放電針
３３ 電圧印加部
４ 保持体
５ 駆動部（駆動手段）
５１ 電動モータ
６ 制御部
８ 表示部
９ 操作受付部
１０ タイマ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路、及びイオンを発生させるイオン発生部を保持してある保持体を備え、前記イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように前記保持体を前記通流路の路壁に装着してあるイオン発生機において、前記保持体を、装着してある位置から前記イオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることを特徴とするイオン発生機。
【請求項２】
前記保持体は前記路壁に枢着されており、前記駆動手段は、前記保持体を枢動する電動モータを有する請求項１記載のイオン発生機。
【請求項３】
前記電動モータの駆動を制御する制御部を備える請求項１又は２記載のイオン発生機。
【請求項４】
前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時した後で前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える請求項３記載のイオン発生機。
【請求項５】
前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する所定時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時したことを表示する表示部と、該表示部が表示している間に入力操作を受付ける操作受付部と、該操作受付部が受付けた入力操作に応じて前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える請求項３記載のイオン発生機。
【請求項６】
前記路壁は、前記通流路に開口し前記保持体を配してある孔を有し、前記保持体は、前記イオン発生部が前記通流方向と対向するように駆動したとき、前記孔を閉塞する蓋部を有する請求項１から５のいずれか一つに記載のイオン発生機。
【請求項７】
送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と非対向／対向する位置へ移動させる工程と、前記送風機から前記通流路へ空気を送出して前記イオン発生部に付着している異物を吹き飛ばす工程とを含むことを特徴とするイオン発生機の掃除方法。
【請求項１】
送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路、及びイオンを発生させるイオン発生部を保持してある保持体を備え、前記イオン発生部が前記空気の通流方向と非対向となるように前記保持体を前記通流路の路壁に装着してあるイオン発生機において、前記保持体を、装着してある位置から前記イオン発生部が前記通流方向と対向する位置へ移動させる駆動手段を備えることを特徴とするイオン発生機。
【請求項２】
前記保持体は前記路壁に枢着されており、前記駆動手段は、前記保持体を枢動する電動モータを有する請求項１記載のイオン発生機。
【請求項３】
前記電動モータの駆動を制御する制御部を備える請求項１又は２記載のイオン発生機。
【請求項４】
前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時した後で前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える請求項３記載のイオン発生機。
【請求項５】
前記イオン発生部は、放電針及び該放電針に電圧を印加する電圧印加部を有し、該電圧印加部へ印加する所定時間を計時するタイマと、該タイマが所定時間を計時したことを表示する表示部と、該表示部が表示している間に入力操作を受付ける操作受付部と、該操作受付部が受付けた入力操作に応じて前記電圧印加部への電圧印加をオフにする制御手段とを備える請求項３記載のイオン発生機。
【請求項６】
前記路壁は、前記通流路に開口し前記保持体を配してある孔を有し、前記保持体は、前記イオン発生部が前記通流方向と対向するように駆動したとき、前記孔を閉塞する蓋部を有する請求項１から５のいずれか一つに記載のイオン発生機。
【請求項７】
送風機が送出する空気を通流させて外部へ放出する通流路の路壁に配してあるイオン発生部を前記空気の通流方向と非対向／対向する位置へ移動させる工程と、前記送風機から前記通流路へ空気を送出して前記イオン発生部に付着している異物を吹き飛ばす工程とを含むことを特徴とするイオン発生機の掃除方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−１３４０００（Ｐ２０１２−１３４０００Ａ）
【公開日】平成２４年７月１２日（２０１２．７．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２８４９３８（Ｐ２０１０−２８４９３８）
【出願日】平成２２年１２月２１日（２０１０．１２．２１）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年７月１２日（２０１２．７．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１２月２１日（２０１０．１２．２１）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
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