イオン発生素子およびこれを備えたイオン発生装置
【課題】小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子を提供する。
【解決手段】イオン発生素子10は、空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部11と、イオン放電部11に印加するための電圧を発生させる電圧発生部13と、イオン放電部11と電圧発生部13との間に接続されて電圧発生部13によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみをイオン放電部11に印加させる整流素子14と、を備え、整流素子14は長手状をなすとともに、整流素子14の長手方向が針状をなすイオン放電部11の軸線方向に対して交差するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側に配置されている。
【解決手段】イオン発生素子10は、空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部11と、イオン放電部11に印加するための電圧を発生させる電圧発生部13と、イオン放電部11と電圧発生部13との間に接続されて電圧発生部13によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみをイオン放電部11に印加させる整流素子14と、を備え、整流素子14は長手状をなすとともに、整流素子14の長手方向が針状をなすイオン放電部11の軸線方向に対して交差するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に放電によりイオンを発生させるイオン発生素子に関する。また、このイオン発生素子を備えたイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中に放電によりイオンを放出するイオン発生装置と送風ファンとを備えた空調機が広く普及している。このような空調機は例えば床面上に設置され、イオン発生装置と送風ファンとを用いて本体ケース上面等に設けられた吹出口から空気とともにイオンを室内に放出している。これにより、室内全体にイオンが行き渡るようにすることが可能である。
【0003】
しかしながら、上記空調機は送風ファンの回転に電力が必要になるとともに、送風ファンの回転音などの騒音が発生してしまうという問題があった。さらに、送風ファンやそれを駆動するモータを設置するスペースが装置内に必要になるので、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生装置が提案され、その従来技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載されたイオン発生装置は周囲に立上部を有した穴を設けた金属板からなる正電極を備え、鋭利な負電極の先端が前記正電極の穴近傍に位置している。これは、正電極の穴の周囲に設けられた立上部の存在により、放電させた際に発生した負イオンを十分に拡散可能な気流を発生させることができるという技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−13831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のイオン発生装置は鋭利な負電極の先端の近傍であって負電極の先端のさらにその前方に金属板からなる正電極を必要としている。この金属板からなる正電極の存在により、イオン発生装置が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子を提供することを目的とする。また、このようなイオン発生素子を備えたイオン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のイオン発生素子は、空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部と、前記イオン放電部に印加するための電圧を発生させる電圧発生部と、前記イオン放電部と前記電圧発生部との間に接続されて前記電圧発生部によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみを前記イオン放電部に印加させる整流素子と、を備え、前記整流素子は長手状をなすとともに、前記整流素子の長手方向が針状をなす前記イオン放電部の軸線方向に対して交差するように前記イオン放電部の先端側に対して反対側に配置されていることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の先端から離れる方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、イオン発生素子はイオン放電部の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる。
【0010】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記整流素子は前記整流素子の長手方向が前記イオン放電部の軸線方向に対して略直交するように配置されていることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の軸線方向に沿って根本側から先端側に向かう方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が一層強くなる傾向になる。したがって、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる作用が高められる。
【0012】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して直角をなすことを特徴としている。この構成によれば、基板の法線方向についてのイオン発生素子の大きさが一層小さくなる。これにより、イオン発生素子の小型化が進む。
【0013】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して平行をなすことを特徴としている。この構成によれば、イオン発生素子の小型化に加えて、イオンの放出方向の多様化が進む。
【0014】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が、正イオンを発生させる正イオン放電部と、負イオンを発生させる負イオン放電部とを含み、前記整流素子が、前記正イオン放電部に接続されて正電圧のみを前記正イオン放電部に印加させる正側整流素子と、前記負イオン放電部に接続されて負電圧のみを前記負イオン放電部に印加させる負側整流素子とを含むことを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、正イオン放電部は正側整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、負イオン放電部は負側整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の先端から離れる方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、正イオン放電部及び負イオン放電部の各々に関して、イオン放電部から離れる方向に正イオン及び負イオンが放出され易くなる。
【0016】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記正イオン放電部の軸線と前記負イオン放電部の軸線とが互いに略平行をなし、前記正側整流素子の軸線と前記負側整流素子の軸線とが互いに略平行をなす若しくは略一致していることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、正イオン放電部及び負イオン放電部が設けられた構成において、正イオン放電部、負イオン放電部、正側整流素子及び負側整流素子の配置空間が比較的小さくなり、イオン発生素子の小型化が進む。
【0018】
また本発明では、イオン発生装置が上記イオン発生素子を備えることとした。この構成によれば、イオン発生装置は送風ファンなどの送風手段を設けることなく、イオン発生素子から離れる方向にイオンが放出され易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、イオン放電部の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる。したがって、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子を提供することができる。また、このようなイオン発生素子を備えたイオン発生装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示すイオン発生装置のイオン発生素子の上面図である。
【図3】図1に示すイオン発生装置のイオン発生素子の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るイオン発生素子の上面図である。
【図5】本発明の実施形態に対する比較例のイオン発生素子の上面図である。
【図6】本発明の実施形態と比較例とのイオン数の比較を示す表である。
【図7】イオン放電部単体のイオン放出方向を示す説明図である。
【図8】電極に接続されたイオン放電部のイオン放出方向を示す説明図である。
【図9】図7及び図8のイオン放電部の構成の電界強度の比較を示す表である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置のイオン発生素子の上面図である。
【図11】図10に示すイオン発生装置のイオン発生素子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
【0022】
最初に、本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置について、図1を用いてその構造の概略を説明する。図1はイオン発生装置の分解斜視図である。
【0023】
イオン発生装置1は、図1に示すように平面視矩形のトレイ状に形成された本体筐体2と、平面視矩形の平板状に形成された蓋部3とを備えている。
【0024】
本体筐体2は上面が開口し、この開口を覆い閉鎖するために蓋部3が本体筐体2の上面に取り付けられる。本体筐体2の内部には内部を大小二室に区分する仕切り部4が設けられている。本体筐体2の内部の大きく区分された一室にはイオン発生素子10が収容され、小さく区分された一室には電源・制御回路5及びバッテリー6が収容されている。
【0025】
イオン発生素子10はイオンを放出するための放電に用いるイオン放電部11やその他電子部品が基板12に取り付けられている。イオン発生素子10は本体筐体2の正面に開口した2箇所の円形窓部7を通してイオン発生装置1の外部に臨む一対のイオン放電部11を備えている。イオン発生素子10はイオン発生装置1の外部を流通する空気に対してイオン放電部11で放電により発生させたイオンを含ませるように放出する。
【0026】
電源・制御回路5はイオン発生素子10を作動させるための電源や制御回路で構成されている。電源・制御回路5はイオン発生素子10全体の動作制御のため、不図示のCPUやその他の電子部品で構成されるとともにプログラムやデータを記憶する記憶部を備えている。電源・制御回路5のCPUは記憶部に予め記憶されたプログラムやデータに基づきイオン発生素子10の各構成要素を制御して一連のイオン放出運転を実現する。
【0027】
バッテリー6はイオン発生素子10や電源・制御回路5に電力を供給するために設けられている。なお、イオン発生装置1はバッテリー6に代えて、電源プラグやACアダプターを介して商用交流電源から電力の供給を受けることにしても良い。
【0028】
続いて、イオン発生素子10の詳細な構成について、図1に加えて図2及び図3を用いて説明する。図2はイオン発生素子10の上面図、図3はイオン発生素子10の正面図である。
【0029】
イオン発生素子10は、図2及び図3に示すように前述のイオン放電部11及び基板12に加えて、電圧発生部13及び整流素子14を備えている。
【0030】
電圧発生部13はイオン放電部11に印加するための電圧を発生させるためのものであって、低電圧回路部13Lと高電圧回路部13Hとを含んでいる。
【0031】
低電圧回路部13Lはバッテリー6から得られる電力を適切な出力に調整して放電を制御するための信号を生成する回路で構成されている。低電圧回路部13Lは主な構成要素として例えば放電制御のためのパルス発生回路、コンデンサ、FET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)等を備えている。低電圧回路部13Lはバッテリー6が出力する例えば数Vの電圧を例えば10〜20V程度まで昇圧している。
【0032】
高電圧回路部13Hは低電圧回路部13Lから入力された信号に対して高電圧を発生させるため、例えばトランス等で構成されている。高電圧回路部13Hは例えば2〜10kVの正負の高電圧を発生させる。
【0033】
整流素子14はイオン放電部11と電圧発生部13との間に接続されて電圧発生部13によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみをイオン放電部11に印加させるため、例えばダイオード等で構成されている。そして、整流素子14は正側整流素子14Pと負側整流素子14Nとを含んでいる。
【0034】
正側整流素子14P及び負側整流素子14Nはともに棒状などといった長手状をなし、正側整流素子14Pの軸線L1と負側整流素子14Nの軸線L2とが互いに略一致するように基板12の表面上に配置されている。正側整流素子14Pは後述する正イオン放電部11Pに接続されて正電圧のみを正イオン放電部11Pに印加させる。負側整流素子14Nは後述する負イオン放電部11Nに接続されて負電圧のみを負イオン放電部11Nに印加させる。
【0035】
ここで、基板12にはイオン放電部11、電圧発生部13及び整流素子14が固定されている。このような構成にすることにより基板12は1枚の使用で済み、基板の使用枚数を削減することができてコストダウンを図ることが可能である。
【0036】
ただし、部品配置上の制約などにより、イオン放電部11とその他の部品を分離する必要がある場合には基板12には少なくともイオン放電部11を固定すれば良い。この場合でも、基板12には高電圧回路部13H、整流素子14、イオン放電部11までを搭載していることが望ましい。その理由としては、高電圧回路部13Hからイオン放電部11に至る経路は数kVの高圧が掛かるため、周辺物に対して意図しない放電を引き起こして消費電力の増加や周辺物の破損を招く可能性があるからである。
【0037】
イオン放電部11は本体筐体2の2箇所の円形窓部7(図1参照)を通してイオン発生装置1の外部に臨む一対の正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nを含んでいる。正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは材質が例えばインコネル等の高耐熱、高耐食性に優れた金属で構成され、直線的で先端が鋭利な針状をなしている。正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは各々先端部が空気中に露出するとともに、他端である根本側が正側整流素子14Pまたは負側整流素子14Nに接続されている。
【0038】
正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nには交流波形またはインパルス波形からなる電圧が印加される。正イオン放電部11Pには正電圧が印加され、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る正イオンを発生する。負イオン放電部11Nには負電圧が印加され、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る負イオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0039】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。したがって、正イオン及び負イオンを発生してイオン発生装置1の外部に放出することにより、イオン発生装置1の外部の除菌及び脱臭を行うことができる。
【0040】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0041】
なお、本実施形態ではイオン発生素子10によって正イオン及び負イオンを発生しているが、負イオンのみを発生しても良い。
【0042】
また、本発明において、イオンには帯電微粒子水も含むものとする。このとき、イオン発生装置1は静電霧化装置からなり、静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水が生成される。すなわち、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却することで放電電極の表面に結露水が生じる。次に、放電電極に負の高電圧を印加すると、結露水から帯電微粒子水が生成される。また、放電電極からは帯電微粒子水とともに空気中に放出される負イオンも発生する。
【0043】
直線的で先端が鋭利な針状をなす正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは基板12の法線に対して垂直をなす、すなわち基板12の表面に対して平行をなすように設けられている。そして、正イオン放電部11Pの軸線L3と負イオン放電部11Nの軸線L4とは互いに略平行をなしている。
【0044】
また、整流素子14はその長手方向がイオン放電部11の軸線方向に対して交差する、特に略直交するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側(イオン放電部11の根本側)の箇所に配置されている。すなわち、正側整流素子14Pはその軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して直角をなし、負側整流素子14Nはその軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して直角をなしている。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態に係るイオン発生素子について、図4を用いて説明する。図4はイオン発生素子の上面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0046】
第2の実施形態に係るイオン発生素子10は、図4に示すように正側整流素子14Pの軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して135°の角度をなし、負側整流素子14Nの軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して135°の角度をなしている。
【0047】
続いて、上記第1及び第2の実施形態に係るイオン発生素子10が放出するイオン数の比較と小型化の比較とについて、図2及び図4に加えて図5及び図6を用いて説明する。
【0048】
図5は本発明の実施形態に対する比較例のイオン発生素子10の上面図を示している。比較例のイオン発生素子10は、図5に示すように正側整流素子14Pの軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して略平行(角度180°)をなし、負側整流素子14Nの軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して略平行(角度180°)をなしている。
【0049】
図6は本発明の実施形態と比較例とのイオン数の比較を示す表である。なお、この場合におけるイオン発生素子10の動作条件としては、イオン放電部11の先端に約5kVの電圧を印加してイオン放電部11の先端からその軸線に沿って10cm離れた距離でイオン数を測定している。
【0050】
これによれば、第1の実施形態のイオン発生素子10が正イオン534,500[個/cm3]及び負イオン719,900[個/cm3]を放出し、第2の実施形態のイオン発生素子10が正イオン426,800[個/cm3]及び負イオン627,800[個/cm3]を放出し、比較例のイオン発生素子10が正イオン382,600[個/cm3]及び負イオン577,600[個/cm3]を放出している。すなわち、第2の実施形態は比較例に対して正イオンが約12%増加し、負イオンが約9%増加している。さらに、第1の実施形態は比較例に対して正イオンが約40%増加し、負イオンが約25%増加している。
【0051】
そして、図2、図4及び図5を用いて第1及び第2の実施形態のイオン発生素子10と比較例のイオン発生素子10との大きさを比較すると、比較例の奥行D3に対して第2の実施形態の奥行D2のほうが短く、さらにこの奥行D2より第1の実施形態の奥行D1のほうが短くなっている。
【0052】
したがって、整流素子14の長手方向をイオン放電部11の軸線方向に対して交差させ、さらに直交させることにより、一層多くのイオンを放出することができるのとともにイオン発生素子10の小型化を進めることが可能であることが分かる。
【0053】
続いて、第1の実施形態のイオン発生素子10が放出するイオン数が比較例のイオン発生素子10が放出するイオン数に対して増加した作用について、図7〜図9を用いて説明する。図7はイオン放電部単体のイオン放出方向を示す説明図、図8は電極に接続されたイオン放電部のイオン放出方向を示す説明図、図9は図7及び図8のイオン放電部の構成の電界強度の比較を示す表である。なお、図7及び図8に描画したイオン放電部11の周囲の矢印はイオン放出方向の概略を示している。
【0054】
イオン放電部11単体の場合、図7に示すようにイオンはイオン放電部11の先端部からほぼ放射状に周囲に広がるように放出されると考えられる。すなわち、イオンは主としてイオン放電部11の軸線方向に沿って先端から離れる方向(図7の上側)に放出されるが、先端部の側方や根本側(図7の下側)へ向かう方向にも放出される。
【0055】
これに対して、イオン放電部11の先端側に対して反対側(根本側、図8の下側)に他の電極100が接続されている場合、図8に示すようにイオンのほとんどがイオン放電部11の軸線方向に沿って先端から離れる方向(図8の上側)に放出されると考えられる。
【0056】
このことについて、図9を用いて検証する。図9は図7及び図8のイオン放電部11の構成の、イオン放電部11の直上、すなわち軸線方向に沿って先端から所定距離離れた箇所における電界強度の電界シミュレーション結果である。これによれば、図8の構成はイオン放電部11の直上5mm及び100mmにおける電界強度が図7の構成より強くなっている。電極100の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向にあることが分かる。
【0057】
したがって、上記のようにイオン発生装置1のイオン発生素子10は整流素子14が長手状をなすとともに、整流素子14の長手方向が針状をなすイオン放電部11の軸線方向に対して交差するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側に配置されている。これにより、整流素子14の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。その結果、イオン発生素子10はイオン放電部11の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くすることができる。
【0058】
特に、第1の実施形態のイオン発生素子10は整流素子14の長手方向がイオン放電部11の軸線方向に対して略直交するように配置されているので、整流素子14の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が一層強くなる傾向になる。したがって、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くなる作用を高めることができる。
【0059】
また、イオン発生素子10はイオン放電部11の軸線が基板12の法線に対して直角をなしているので、基板12の法線方向についてのイオン発生素子10の大きさが一層小さくなる。これにより、イオン発生素子10の小型化を図ることが可能である。
【0060】
そして、イオン発生素子10はイオン放電部11が正イオンを発生させる正イオン放電部11Pと負イオンを発生させる負イオン放電部11Nとを含み、整流素子14が正イオン放電部11Pに接続されて正電圧のみを正イオン放電部11Pに印加させる正側整流素子14Pと、負イオン放電部11Nに接続されて負電圧のみを負イオン放電部11Nに印加させる負側整流素子14Nとを含んでいる。これにより、正イオン放電部11Pは正側整流素子14Pの周りに発生する電界の影響を受けて、負イオン放電部11Nは負側整流素子14Nの周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nの各々に関して、イオン放電部11から離れる方向に正イオン及び負イオンが放出され易くすることができる。
【0061】
また、イオン発生素子10は正イオン放電部11Pの軸線と負イオン放電部11Nの軸線とが互いに略平行をなし、正側整流素子14Pの軸線と負側整流素子14Nの軸線とが互いに略一致している。これにより、正イオン放電部11P、負イオン放電部11N、正側整流素子14P及び負側整流素子14Nの配置空間が比較的小さくなり、イオン発生素子10の小型化が進む。
【0062】
さらに、イオン発生装置1は上記イオン発生素子10を備えるので、送風ファンなどの送風手段を設けることなく、イオン発生素子10から離れる方向にイオンが放出され易くすることができる。
【0063】
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、イオン放電部11の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くなる。したがって、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子10を提供することができる。また、このようなイオン発生素子10を備えたイオン発生装置1を提供することが可能である。
【0064】
次に、本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置について、図10及び図11を用いて説明する。図10はイオン発生装置のイオン発生素子の上面図、図11はイオン発生素子の正面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0065】
第3の実施形態に係るイオン発生装置1のイオン発生素子10は、図10及び図11に示すように正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nが基板12の法線に対して平行をなす、すなわち基板12の表面に対して垂直をなすように設けられている。さらに、正側整流素子14Pはその軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して直角をなし、負側整流素子14Nはその軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して直角をなしている。
【0066】
この構成によれば、イオン発生素子10の小型化に加えて、イオンの放出方向の多様化を図ることが可能になる。すなわち、イオン発生素子10を適用した装置において、イオン発生素子10の周辺の部品配置に対応して好適なイオン放出方向を選択することができる。なお、イオン発生装置1の厚さに着目した場合、図3に示した第1の実施形態のイオン発生装置1の厚さt1が図11に示した第3の実施形態のイオン発生装置1の厚さt3より薄く、装置の薄型化に関して効果的であると言える。
【0067】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、空気中に放電によりイオンを発生させるイオン発生素子において利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 イオン発生装置
2 本体筐体
3 蓋部
10 イオン発生素子
11 イオン放電部
11P 正イオン放電部
11N 負イオン放電部
12 基板
13 電圧発生部
13H 高電圧回路部
13L 低電圧回路部
14 整流素子
14P 正側整流素子
14N 負側整流素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に放電によりイオンを発生させるイオン発生素子に関する。また、このイオン発生素子を備えたイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中に放電によりイオンを放出するイオン発生装置と送風ファンとを備えた空調機が広く普及している。このような空調機は例えば床面上に設置され、イオン発生装置と送風ファンとを用いて本体ケース上面等に設けられた吹出口から空気とともにイオンを室内に放出している。これにより、室内全体にイオンが行き渡るようにすることが可能である。
【0003】
しかしながら、上記空調機は送風ファンの回転に電力が必要になるとともに、送風ファンの回転音などの騒音が発生してしまうという問題があった。さらに、送風ファンやそれを駆動するモータを設置するスペースが装置内に必要になるので、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生装置が提案され、その従来技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載されたイオン発生装置は周囲に立上部を有した穴を設けた金属板からなる正電極を備え、鋭利な負電極の先端が前記正電極の穴近傍に位置している。これは、正電極の穴の周囲に設けられた立上部の存在により、放電させた際に発生した負イオンを十分に拡散可能な気流を発生させることができるという技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−13831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のイオン発生装置は鋭利な負電極の先端の近傍であって負電極の先端のさらにその前方に金属板からなる正電極を必要としている。この金属板からなる正電極の存在により、イオン発生装置が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子を提供することを目的とする。また、このようなイオン発生素子を備えたイオン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のイオン発生素子は、空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部と、前記イオン放電部に印加するための電圧を発生させる電圧発生部と、前記イオン放電部と前記電圧発生部との間に接続されて前記電圧発生部によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみを前記イオン放電部に印加させる整流素子と、を備え、前記整流素子は長手状をなすとともに、前記整流素子の長手方向が針状をなす前記イオン放電部の軸線方向に対して交差するように前記イオン放電部の先端側に対して反対側に配置されていることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の先端から離れる方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、イオン発生素子はイオン放電部の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる。
【0010】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記整流素子は前記整流素子の長手方向が前記イオン放電部の軸線方向に対して略直交するように配置されていることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の軸線方向に沿って根本側から先端側に向かう方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が一層強くなる傾向になる。したがって、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる作用が高められる。
【0012】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して直角をなすことを特徴としている。この構成によれば、基板の法線方向についてのイオン発生素子の大きさが一層小さくなる。これにより、イオン発生素子の小型化が進む。
【0013】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して平行をなすことを特徴としている。この構成によれば、イオン発生素子の小型化に加えて、イオンの放出方向の多様化が進む。
【0014】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記イオン放電部が、正イオンを発生させる正イオン放電部と、負イオンを発生させる負イオン放電部とを含み、前記整流素子が、前記正イオン放電部に接続されて正電圧のみを前記正イオン放電部に印加させる正側整流素子と、前記負イオン放電部に接続されて負電圧のみを前記負イオン放電部に印加させる負側整流素子とを含むことを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、正イオン放電部は正側整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、負イオン放電部は負側整流素子の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部の先端から離れる方向にイオン放電部の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、正イオン放電部及び負イオン放電部の各々に関して、イオン放電部から離れる方向に正イオン及び負イオンが放出され易くなる。
【0016】
また、上記構成のイオン発生素子において、前記正イオン放電部の軸線と前記負イオン放電部の軸線とが互いに略平行をなし、前記正側整流素子の軸線と前記負側整流素子の軸線とが互いに略平行をなす若しくは略一致していることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、正イオン放電部及び負イオン放電部が設けられた構成において、正イオン放電部、負イオン放電部、正側整流素子及び負側整流素子の配置空間が比較的小さくなり、イオン発生素子の小型化が進む。
【0018】
また本発明では、イオン発生装置が上記イオン発生素子を備えることとした。この構成によれば、イオン発生装置は送風ファンなどの送風手段を設けることなく、イオン発生素子から離れる方向にイオンが放出され易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、イオン放電部の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部から離れる方向にイオンが放出され易くなる。したがって、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子を提供することができる。また、このようなイオン発生素子を備えたイオン発生装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示すイオン発生装置のイオン発生素子の上面図である。
【図3】図1に示すイオン発生装置のイオン発生素子の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るイオン発生素子の上面図である。
【図5】本発明の実施形態に対する比較例のイオン発生素子の上面図である。
【図6】本発明の実施形態と比較例とのイオン数の比較を示す表である。
【図7】イオン放電部単体のイオン放出方向を示す説明図である。
【図8】電極に接続されたイオン放電部のイオン放出方向を示す説明図である。
【図9】図7及び図8のイオン放電部の構成の電界強度の比較を示す表である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置のイオン発生素子の上面図である。
【図11】図10に示すイオン発生装置のイオン発生素子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
【0022】
最初に、本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置について、図1を用いてその構造の概略を説明する。図1はイオン発生装置の分解斜視図である。
【0023】
イオン発生装置1は、図1に示すように平面視矩形のトレイ状に形成された本体筐体2と、平面視矩形の平板状に形成された蓋部3とを備えている。
【0024】
本体筐体2は上面が開口し、この開口を覆い閉鎖するために蓋部3が本体筐体2の上面に取り付けられる。本体筐体2の内部には内部を大小二室に区分する仕切り部4が設けられている。本体筐体2の内部の大きく区分された一室にはイオン発生素子10が収容され、小さく区分された一室には電源・制御回路5及びバッテリー6が収容されている。
【0025】
イオン発生素子10はイオンを放出するための放電に用いるイオン放電部11やその他電子部品が基板12に取り付けられている。イオン発生素子10は本体筐体2の正面に開口した2箇所の円形窓部7を通してイオン発生装置1の外部に臨む一対のイオン放電部11を備えている。イオン発生素子10はイオン発生装置1の外部を流通する空気に対してイオン放電部11で放電により発生させたイオンを含ませるように放出する。
【0026】
電源・制御回路5はイオン発生素子10を作動させるための電源や制御回路で構成されている。電源・制御回路5はイオン発生素子10全体の動作制御のため、不図示のCPUやその他の電子部品で構成されるとともにプログラムやデータを記憶する記憶部を備えている。電源・制御回路5のCPUは記憶部に予め記憶されたプログラムやデータに基づきイオン発生素子10の各構成要素を制御して一連のイオン放出運転を実現する。
【0027】
バッテリー6はイオン発生素子10や電源・制御回路5に電力を供給するために設けられている。なお、イオン発生装置1はバッテリー6に代えて、電源プラグやACアダプターを介して商用交流電源から電力の供給を受けることにしても良い。
【0028】
続いて、イオン発生素子10の詳細な構成について、図1に加えて図2及び図3を用いて説明する。図2はイオン発生素子10の上面図、図3はイオン発生素子10の正面図である。
【0029】
イオン発生素子10は、図2及び図3に示すように前述のイオン放電部11及び基板12に加えて、電圧発生部13及び整流素子14を備えている。
【0030】
電圧発生部13はイオン放電部11に印加するための電圧を発生させるためのものであって、低電圧回路部13Lと高電圧回路部13Hとを含んでいる。
【0031】
低電圧回路部13Lはバッテリー6から得られる電力を適切な出力に調整して放電を制御するための信号を生成する回路で構成されている。低電圧回路部13Lは主な構成要素として例えば放電制御のためのパルス発生回路、コンデンサ、FET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)等を備えている。低電圧回路部13Lはバッテリー6が出力する例えば数Vの電圧を例えば10〜20V程度まで昇圧している。
【0032】
高電圧回路部13Hは低電圧回路部13Lから入力された信号に対して高電圧を発生させるため、例えばトランス等で構成されている。高電圧回路部13Hは例えば2〜10kVの正負の高電圧を発生させる。
【0033】
整流素子14はイオン放電部11と電圧発生部13との間に接続されて電圧発生部13によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみをイオン放電部11に印加させるため、例えばダイオード等で構成されている。そして、整流素子14は正側整流素子14Pと負側整流素子14Nとを含んでいる。
【0034】
正側整流素子14P及び負側整流素子14Nはともに棒状などといった長手状をなし、正側整流素子14Pの軸線L1と負側整流素子14Nの軸線L2とが互いに略一致するように基板12の表面上に配置されている。正側整流素子14Pは後述する正イオン放電部11Pに接続されて正電圧のみを正イオン放電部11Pに印加させる。負側整流素子14Nは後述する負イオン放電部11Nに接続されて負電圧のみを負イオン放電部11Nに印加させる。
【0035】
ここで、基板12にはイオン放電部11、電圧発生部13及び整流素子14が固定されている。このような構成にすることにより基板12は1枚の使用で済み、基板の使用枚数を削減することができてコストダウンを図ることが可能である。
【0036】
ただし、部品配置上の制約などにより、イオン放電部11とその他の部品を分離する必要がある場合には基板12には少なくともイオン放電部11を固定すれば良い。この場合でも、基板12には高電圧回路部13H、整流素子14、イオン放電部11までを搭載していることが望ましい。その理由としては、高電圧回路部13Hからイオン放電部11に至る経路は数kVの高圧が掛かるため、周辺物に対して意図しない放電を引き起こして消費電力の増加や周辺物の破損を招く可能性があるからである。
【0037】
イオン放電部11は本体筐体2の2箇所の円形窓部7(図1参照)を通してイオン発生装置1の外部に臨む一対の正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nを含んでいる。正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは材質が例えばインコネル等の高耐熱、高耐食性に優れた金属で構成され、直線的で先端が鋭利な針状をなしている。正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは各々先端部が空気中に露出するとともに、他端である根本側が正側整流素子14Pまたは負側整流素子14Nに接続されている。
【0038】
正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nには交流波形またはインパルス波形からなる電圧が印加される。正イオン放電部11Pには正電圧が印加され、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る正イオンを発生する。負イオン放電部11Nには負電圧が印加され、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る負イオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0039】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。したがって、正イオン及び負イオンを発生してイオン発生装置1の外部に放出することにより、イオン発生装置1の外部の除菌及び脱臭を行うことができる。
【0040】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0041】
なお、本実施形態ではイオン発生素子10によって正イオン及び負イオンを発生しているが、負イオンのみを発生しても良い。
【0042】
また、本発明において、イオンには帯電微粒子水も含むものとする。このとき、イオン発生装置1は静電霧化装置からなり、静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水が生成される。すなわち、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却することで放電電極の表面に結露水が生じる。次に、放電電極に負の高電圧を印加すると、結露水から帯電微粒子水が生成される。また、放電電極からは帯電微粒子水とともに空気中に放出される負イオンも発生する。
【0043】
直線的で先端が鋭利な針状をなす正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nは基板12の法線に対して垂直をなす、すなわち基板12の表面に対して平行をなすように設けられている。そして、正イオン放電部11Pの軸線L3と負イオン放電部11Nの軸線L4とは互いに略平行をなしている。
【0044】
また、整流素子14はその長手方向がイオン放電部11の軸線方向に対して交差する、特に略直交するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側(イオン放電部11の根本側)の箇所に配置されている。すなわち、正側整流素子14Pはその軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して直角をなし、負側整流素子14Nはその軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して直角をなしている。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態に係るイオン発生素子について、図4を用いて説明する。図4はイオン発生素子の上面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0046】
第2の実施形態に係るイオン発生素子10は、図4に示すように正側整流素子14Pの軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して135°の角度をなし、負側整流素子14Nの軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して135°の角度をなしている。
【0047】
続いて、上記第1及び第2の実施形態に係るイオン発生素子10が放出するイオン数の比較と小型化の比較とについて、図2及び図4に加えて図5及び図6を用いて説明する。
【0048】
図5は本発明の実施形態に対する比較例のイオン発生素子10の上面図を示している。比較例のイオン発生素子10は、図5に示すように正側整流素子14Pの軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して略平行(角度180°)をなし、負側整流素子14Nの軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して略平行(角度180°)をなしている。
【0049】
図6は本発明の実施形態と比較例とのイオン数の比較を示す表である。なお、この場合におけるイオン発生素子10の動作条件としては、イオン放電部11の先端に約5kVの電圧を印加してイオン放電部11の先端からその軸線に沿って10cm離れた距離でイオン数を測定している。
【0050】
これによれば、第1の実施形態のイオン発生素子10が正イオン534,500[個/cm3]及び負イオン719,900[個/cm3]を放出し、第2の実施形態のイオン発生素子10が正イオン426,800[個/cm3]及び負イオン627,800[個/cm3]を放出し、比較例のイオン発生素子10が正イオン382,600[個/cm3]及び負イオン577,600[個/cm3]を放出している。すなわち、第2の実施形態は比較例に対して正イオンが約12%増加し、負イオンが約9%増加している。さらに、第1の実施形態は比較例に対して正イオンが約40%増加し、負イオンが約25%増加している。
【0051】
そして、図2、図4及び図5を用いて第1及び第2の実施形態のイオン発生素子10と比較例のイオン発生素子10との大きさを比較すると、比較例の奥行D3に対して第2の実施形態の奥行D2のほうが短く、さらにこの奥行D2より第1の実施形態の奥行D1のほうが短くなっている。
【0052】
したがって、整流素子14の長手方向をイオン放電部11の軸線方向に対して交差させ、さらに直交させることにより、一層多くのイオンを放出することができるのとともにイオン発生素子10の小型化を進めることが可能であることが分かる。
【0053】
続いて、第1の実施形態のイオン発生素子10が放出するイオン数が比較例のイオン発生素子10が放出するイオン数に対して増加した作用について、図7〜図9を用いて説明する。図7はイオン放電部単体のイオン放出方向を示す説明図、図8は電極に接続されたイオン放電部のイオン放出方向を示す説明図、図9は図7及び図8のイオン放電部の構成の電界強度の比較を示す表である。なお、図7及び図8に描画したイオン放電部11の周囲の矢印はイオン放出方向の概略を示している。
【0054】
イオン放電部11単体の場合、図7に示すようにイオンはイオン放電部11の先端部からほぼ放射状に周囲に広がるように放出されると考えられる。すなわち、イオンは主としてイオン放電部11の軸線方向に沿って先端から離れる方向(図7の上側)に放出されるが、先端部の側方や根本側(図7の下側)へ向かう方向にも放出される。
【0055】
これに対して、イオン放電部11の先端側に対して反対側(根本側、図8の下側)に他の電極100が接続されている場合、図8に示すようにイオンのほとんどがイオン放電部11の軸線方向に沿って先端から離れる方向(図8の上側)に放出されると考えられる。
【0056】
このことについて、図9を用いて検証する。図9は図7及び図8のイオン放電部11の構成の、イオン放電部11の直上、すなわち軸線方向に沿って先端から所定距離離れた箇所における電界強度の電界シミュレーション結果である。これによれば、図8の構成はイオン放電部11の直上5mm及び100mmにおける電界強度が図7の構成より強くなっている。電極100の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向にあることが分かる。
【0057】
したがって、上記のようにイオン発生装置1のイオン発生素子10は整流素子14が長手状をなすとともに、整流素子14の長手方向が針状をなすイオン放電部11の軸線方向に対して交差するようにイオン放電部11の先端側に対して反対側に配置されている。これにより、整流素子14の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。その結果、イオン発生素子10はイオン放電部11の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くすることができる。
【0058】
特に、第1の実施形態のイオン発生素子10は整流素子14の長手方向がイオン放電部11の軸線方向に対して略直交するように配置されているので、整流素子14の周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が一層強くなる傾向になる。したがって、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くなる作用を高めることができる。
【0059】
また、イオン発生素子10はイオン放電部11の軸線が基板12の法線に対して直角をなしているので、基板12の法線方向についてのイオン発生素子10の大きさが一層小さくなる。これにより、イオン発生素子10の小型化を図ることが可能である。
【0060】
そして、イオン発生素子10はイオン放電部11が正イオンを発生させる正イオン放電部11Pと負イオンを発生させる負イオン放電部11Nとを含み、整流素子14が正イオン放電部11Pに接続されて正電圧のみを正イオン放電部11Pに印加させる正側整流素子14Pと、負イオン放電部11Nに接続されて負電圧のみを負イオン放電部11Nに印加させる負側整流素子14Nとを含んでいる。これにより、正イオン放電部11Pは正側整流素子14Pの周りに発生する電界の影響を受けて、負イオン放電部11Nは負側整流素子14Nの周りに発生する電界の影響を受けて、イオン放電部11の先端から離れる方向にイオン放電部11の周りに発生する電界の強度が強くなる傾向になる。したがって、正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nの各々に関して、イオン放電部11から離れる方向に正イオン及び負イオンが放出され易くすることができる。
【0061】
また、イオン発生素子10は正イオン放電部11Pの軸線と負イオン放電部11Nの軸線とが互いに略平行をなし、正側整流素子14Pの軸線と負側整流素子14Nの軸線とが互いに略一致している。これにより、正イオン放電部11P、負イオン放電部11N、正側整流素子14P及び負側整流素子14Nの配置空間が比較的小さくなり、イオン発生素子10の小型化が進む。
【0062】
さらに、イオン発生装置1は上記イオン発生素子10を備えるので、送風ファンなどの送風手段を設けることなく、イオン発生素子10から離れる方向にイオンが放出され易くすることができる。
【0063】
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、イオン放電部11の先端側に他の部材を設けることなく、イオン放電部11から離れる方向にイオンが放出され易くなる。したがって、小型化が図られた簡便な構成で送風ファンなどの送風手段を設けることなくイオンを十分に拡散可能なイオン発生素子10を提供することができる。また、このようなイオン発生素子10を備えたイオン発生装置1を提供することが可能である。
【0064】
次に、本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置について、図10及び図11を用いて説明する。図10はイオン発生装置のイオン発生素子の上面図、図11はイオン発生素子の正面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0065】
第3の実施形態に係るイオン発生装置1のイオン発生素子10は、図10及び図11に示すように正イオン放電部11P及び負イオン放電部11Nが基板12の法線に対して平行をなす、すなわち基板12の表面に対して垂直をなすように設けられている。さらに、正側整流素子14Pはその軸線L1が正イオン放電部11Pの軸線L3に対して直角をなし、負側整流素子14Nはその軸線L2が負イオン放電部11Nの軸線L4に対して直角をなしている。
【0066】
この構成によれば、イオン発生素子10の小型化に加えて、イオンの放出方向の多様化を図ることが可能になる。すなわち、イオン発生素子10を適用した装置において、イオン発生素子10の周辺の部品配置に対応して好適なイオン放出方向を選択することができる。なお、イオン発生装置1の厚さに着目した場合、図3に示した第1の実施形態のイオン発生装置1の厚さt1が図11に示した第3の実施形態のイオン発生装置1の厚さt3より薄く、装置の薄型化に関して効果的であると言える。
【0067】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、空気中に放電によりイオンを発生させるイオン発生素子において利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 イオン発生装置
2 本体筐体
3 蓋部
10 イオン発生素子
11 イオン放電部
11P 正イオン放電部
11N 負イオン放電部
12 基板
13 電圧発生部
13H 高電圧回路部
13L 低電圧回路部
14 整流素子
14P 正側整流素子
14N 負側整流素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部と、
前記イオン放電部に印加するための電圧を発生させる電圧発生部と、
前記イオン放電部と前記電圧発生部との間に接続されて前記電圧発生部によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみを前記イオン放電部に印加させる整流素子と、を備え、
前記整流素子は長手状をなすとともに、前記整流素子の長手方向が針状をなす前記イオン放電部の軸線方向に対して交差するように前記イオン放電部の先端側に対して反対側に配置されていることを特徴とするイオン発生素子。
【請求項2】
前記整流素子は前記整流素子の長手方向が前記イオン放電部の軸線方向に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生素子。
【請求項3】
前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、
前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して直角をなすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン発生素子。
【請求項4】
前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、
前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して平行をなすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン発生素子。
【請求項5】
前記イオン放電部が、正イオンを発生させる正イオン放電部と、負イオンを発生させる負イオン放電部とを含み、
前記整流素子が、前記正イオン放電部に接続されて正電圧のみを前記正イオン放電部に印加させる正側整流素子と、前記負イオン放電部に接続されて負電圧のみを前記負イオン放電部に印加させる負側整流素子とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のイオン発生素子。
【請求項6】
前記正イオン放電部の軸線と前記負イオン放電部の軸線とが互いに略平行をなし、
前記正側整流素子の軸線と前記負側整流素子の軸線とが互いに略平行をなす若しくは略一致していることを特徴とする請求項5に記載のイオン発生素子。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のイオン発生素子を備えたことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項1】
空気中に放電によりイオンを発生させる針状をなすイオン放電部と、
前記イオン放電部に印加するための電圧を発生させる電圧発生部と、
前記イオン放電部と前記電圧発生部との間に接続されて前記電圧発生部によって発生させた電圧のうち正負いずれか一方の電圧のみを前記イオン放電部に印加させる整流素子と、を備え、
前記整流素子は長手状をなすとともに、前記整流素子の長手方向が針状をなす前記イオン放電部の軸線方向に対して交差するように前記イオン放電部の先端側に対して反対側に配置されていることを特徴とするイオン発生素子。
【請求項2】
前記整流素子は前記整流素子の長手方向が前記イオン放電部の軸線方向に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生素子。
【請求項3】
前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、
前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して直角をなすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン発生素子。
【請求項4】
前記イオン放電部が取り付けられた基板を備え、
前記イオン放電部の軸線が前記基板の法線に対して平行をなすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン発生素子。
【請求項5】
前記イオン放電部が、正イオンを発生させる正イオン放電部と、負イオンを発生させる負イオン放電部とを含み、
前記整流素子が、前記正イオン放電部に接続されて正電圧のみを前記正イオン放電部に印加させる正側整流素子と、前記負イオン放電部に接続されて負電圧のみを前記負イオン放電部に印加させる負側整流素子とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のイオン発生素子。
【請求項6】
前記正イオン放電部の軸線と前記負イオン放電部の軸線とが互いに略平行をなし、
前記正側整流素子の軸線と前記負側整流素子の軸線とが互いに略平行をなす若しくは略一致していることを特徴とする請求項5に記載のイオン発生素子。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のイオン発生素子を備えたことを特徴とするイオン発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98033(P2013−98033A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240210(P2011−240210)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
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