説明

イオン発生装置

【課題】蒸気を発生させる必要がなく、簡単な構成で、イオンを含んだ微粒子水を生成でき。
【解決手段】放電部1と、放電部1に電圧を印加する電圧印加部2とを備えたイオン発生装置3である。放電部1の上方に配置されて放電部1の前方に空間を介して放電部1に接触しないように水流M1を流下又は水滴M2を滴下させるための水供給手段4を設ける。放電部1に電圧を印加してイオンを発生させると共に、水供給手段4から放電部1の前方に空間を介して水流M1を流下又は水滴M2を滴下させて発生したイオンを水分に付着させてイオンを含んだ微粒子水を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電によりイオンを発生するイオン発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電により発生したイオンは除菌や人のリラックス作用がある。ところが、イオン単独で放出すると、イオンはすぐに消滅し、除菌効果やリラックス機能が持続しないという問題がある。また、イオンは例えば衣類のような対象物の内部まで侵入することなく、表面に付着して消滅する。したがって衣類表面に対する除菌効果は発揮できるが、内部の除菌効果は期待できない。
【0003】
そこで、従来から、イオンを水にくるんでイオン化した微粒子水を放出することで、滞在物へのイオンの滞在時間を長くし、また、衣類のような対象物の内部に微粒子水が浸透することで内部の除菌効果を発揮できるようにしたものが考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、蒸気を供給する供給経路中に放電部を配置して放電によりイオンを発生させ、供給経路中の蒸気の微粒子水をイオン化し、該イオン化した蒸気を供給することで、人の健康・生理機能(ストレスの緩和、疲労回復、血行促進等)や生活環境改善(抗菌、抗虫、ダイオキシンの抑制)等の機能を発揮させようとする技術が開示してある。
【0005】
上記特許文献1に示されたものは、蒸気を発生させるための手段が必要であり、装置が大型化し、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
また、蒸気を供給する供給経路中に放電部を配置して放電によりイオンを発生させ、供給経路中の蒸気の微粒子水をイオン化するものであるから、発生したイオンは殆ど全てが蒸気の微粒子水に捕らえられて放出空間に放出されるようになっている。
【0007】
つまり、イオンが蒸気の微粒子水にくるまれた状態で放出されるので、イオンがすぐに消滅することなく、イオンの滞在時間を長くしたり、衣類のような対象物の内部に浸透することができて、内部の除菌効果を発揮できるようになっているが、イオンをくるんでいる水が蒸発することで、イオンが対象物に対して殺菌作用や、リラックス作用を発揮できるので、イオンが殺菌作用やリラックス作用を発揮するまではある程度の時間が必要となるという問題がある。
【特許文献1】特開2003−326192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、蒸気を発生させる必要がなく、簡単な構成で、イオンを含んだ微粒子水を生成でき、また、発生したイオンの一部を水流や水滴に接触させてイオンを含んだ微粒子水を生成して放出するだけでなく、同時に発生したイオンの他の一部が水流や水滴に接触することなく放出されるようにすることも可能となり、イオンによる除菌作用や、リラックス作用の発揮に時間差を持たせることが可能となるイオン発生装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るイオン発生装置は、イオンを発生させる放電部1と、放電部1に電圧を印加する電圧印加部2とを備えたイオン発生装置3において、放電部1の上方に配置されて放電部1の前方に空間を介して放電部1に接触しないように水流M1又は水滴M2を滴下させるための水供給手段4を設け、放電部1に電圧を印加してイオンを発生させると共に、水供給手段4から放電部1の前方に空間を介して水流M1を流下又は水滴M2を滴下させて発生したイオンを水分に付着させてイオンを含んだ微粒子水を生成することを特徴とするものである。
【0010】
このような構成とすることで、水供給手段4から放電部1の前方に空間を介して水又は水滴M2を滴下させるという簡単な構成で、放電部1に電圧を印加することで発生させたイオンの一部を前方を流下する水流M1又は滴下する水滴M2に接触させて、イオンを含んだ微粒子水を生成することができる。また、この場合、放電域における水流M1又は水滴M2の流下(滴下)状態を調整することで、発生したイオンの一部を水流M1や水滴M2に接触させてイオンを含んだ微粒子水を生成して放出するだけでなく、同時に発生したイオンの他の一部が水流M1や水滴M2に接触することなく放出されるようにすることも可能となる。つまり、イオンを含んだ微粒子水と、水と接触しないでそのまま放出されるイオンとを混在させて対象空間に放出することが可能となる。
【0011】
また、流下した水流M1又は滴下した水滴M2を受ける水受け手段5と、該水受け手段5の水を水供給手段4に送るための返送手段6とを備えることが好ましい。
【0012】
このような構成とすることで、水受け手段5から流下又は滴下する水流M1又は水滴M2を水受け手段5により受けて回収し、回収した水を返送手段6により水供給手段4に返送することで、水を循環して再利用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のように放電部の前方に空間を介して水流を流下させるか又は水滴を滴下させるという簡単な構成で、放電部で発生させたイオンを水に接触させて、イオンを含んだ微粒子水を生成できる。これにより、従来のように蒸気を発生させる装置を設けることなく、簡単な装置でイオンを含んだ微粒子水を生成できる。また、放電域における水流又は水滴の流下(滴下)状態を調整することで、発生したイオンの一部を水流や水滴に接触させてイオンを含んだ微粒子水を生成して放出するだけでなく、同時に発生したイオンの他の一部が水流や水滴に接触することなく放出されるようにすることも可能となり、イオンを含んだ微粒子水と、水と接触しないでそのまま放出されるイオンとを混在させて対象空間に放出することが可能となり、水流や水滴に接触することなく放出されたイオンは除菌作用や、リラックス作用をすぐに発揮し、イオンを含んだ微粒子水は水分が蒸発した後にイオンが除菌作用や、リラックス作用を発揮するものであって、イオンの作用に時間差を持たせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0015】
本発明のイオン発生装置3は、イオンを発生させる放電部1と、放電部1に電圧を印加する電圧印加部2とを備え、更に、放電部1のやや前方の上方位置に水供給手段4を備えると共に、放電部1のやや前方の下方位置(つまり上記水供給手段4の下方位置)に水受け手段5を備えることで構成してある。
【0016】
放電部1に電圧を印加して放電することでイオンを発生させるに当っては、図1、図2、図3、図5に示すように、放電部1に対向するように対向電極部7を設け、放電部1と対向電極部7との間に電圧印加部2により電圧を印加することで放電させる場合と、図4のように対向電極部7を設けない場合とがあるが、本発明においてはどちらの場合であってもよい。
【0017】
水供給手段4は添付図面に示す実施形態では水を溜める水タンク部4aと水タンク部4aの底部に設けた吐水ノズル部4bとを備えて構成してあり、水タンク部4aに溜めた水を吐水ノズル部4bから下方に図1、図5に示す実施形態のように水流M1として流下させたり、あるいは、図2、図4に示す実施形態のように水滴M2として滴下させたりするようになっている。
【0018】
ここで、吐水ノズル部4bから流下又は滴下する水流M1又は水滴M2は、放電部1の前方に空間を介して放電部1に接触しないように流れるようにしてあり、その水流M1又は水滴M2は放電部1の前方の放電域の一部を上から下に向けて通過するようになっている。
【0019】
なお、水供給手段4における水を溜める要素として上記では水タンク部4aを設けた例を示したが、これにのみに限定されるものではなく、吸水性の多孔質体のように水を吸水して溜めるようなものであってもよく、また、水タンク部4a内に吸水性の多孔質体を内装して保水することで、水を溜めるようにしたものであってもよい。
【0020】
上記のような構成のイオン発生装置3は、電圧印加部2から放電部1に電圧を印加して放電させてイオン(例えばマイナスイオン)を発生させると共に、水供給手段4の吐水ノズル部4bから水流M1を流すか又は水滴M2を滴下させることで、放電部1の前方の放電域の一部を上から下に流す。
【0021】
これにより、放電により発生したイオンの一部が放電域の一部を上から下に流れる水流M1又は水滴M2に接触し、イオンと水分とが混じり合ったイオンを含んだ微粒子水が生成させることになる。
【0022】
この場合、図3のように放電域の一部に上から下に水流M1又は水滴M2を流すことで、放電により発生したイオンの一部が流下する水流M1や水滴M2に接触して上記のようにイオンを含んだ微粒子水を生成すされて対象空間Kに放出されると共に、発生したイオンのうち他の一部のイオンは水流M1や水滴M2に接触しないか殆ど接触することなく、対象空間Kに放出されることになり、この結果、対象空間Kにおいて、水と接触しないで放出されたイオンは、対象空間内ですぐに除菌効果やリラックス機能を発揮し、他方、イオンを含んだ微粒子水は、放出対象空間(以下対象空間という)内において、水分が蒸発することで、遅れて徐々に水分中に含まれるイオンが除菌効果やリラックス機能を発揮することになる。
【0023】
ここで、放電部1の前方において放電域を上から下に流下(滴下)する水流M1又は水滴M2の流下(滴下)状態を調整することで、水に接触することで生成されるイオンを含んだ微粒子水と、水に接触しないイオンとの割合を調整することが可能となる。
【0024】
このため、図示を省略しているが、吐水ノズル部4bに弁手段を設け、該弁手段の開閉、開量の調整、あるいは、開閉のタイミング等を制御部による制御により調整自在としてもよい。
【0025】
放電により発生したイオンはイオン風に乗って対象空間K側に流すようにするが、更に、ファン(図示せず)を設けて、イオン発生域から対象空間K側に向けて流れる空気流を発生させ、放電により発生したイオンを上記空気流に乗せて対象空間K側に飛翔させるようにしてもよい。この場合、空気流に乗ったイオンの一部が放電部1の前方において放電域を上から下に流下(滴下)する水流M1又は水滴M2に接触しながら飛翔する際に、イオンと水流M1又は水滴M2中の水分が混合してイオンを含んだ微粒子水となって空気流にのって対象空間Kにより確実に流すことができると共に、この時、水流M1又は水滴M2から離れたところで発生し、離れたところを上記送風により対象空間K側に流れる水と接触しないイオンもより確実に対象空間K側に流すことができる。
【0026】
水供給手段4の吐水ノズル部4bから放電部1の前方の放電域の一部を上から下に流した水流M1又は水滴M2は、水受け手段5により受けられる。添付図面に示す実施形態では水受け手段5が水タンク部5aにより構成してあるが、吸水性の多孔質体により水受け手段5を構成してもよく、また、水タンク部5a内に多孔質体を内装して水タンク部5aで受けた水を多孔質体に保水するようにしたものであってもよい。
【0027】
また、水受け手段5で受けた水を返送手段6により再び水供給手段4に返送するようにしてもよい。
【0028】
図5にはその一実施形態が示してあり、一端部を水受け手段5に連通接続し且つ他端部が水供給手段4側に至るようにした返送路9の途中にポンプ10を設けることで返送手段6を構成してある。このように、水受け手段5で受けた水を返送手段6により再び水供給手段4に返送することで、使用する水を循環して再利用することができ、水供給手段4への水の補給期間を大幅に長くすることができる。
【0029】
図5ではポンプ10を用いて循環させているが、返送路9を毛細管現象により水を搬送する構造のものとすることで返送手段6を構成してもよい。
【0030】
また、図5には水流M1を水受け手段5で受けて回収し、回収した水を返送手段6で水供給手段4に返送する例を示しているが、図2、図4のように水滴M2を水受け手段5で受けて回収するものにおいても、同様に回収した水を返送手段6で水供給手段4に返送するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のイオン発生装置の一実施形態を示す概略垂直断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す概略垂直断面図である。
【図3】本発明の概略水平断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態を示す概略垂直断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態を示す概略垂直断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 放電部
2 電圧印加部
3 イオン発生装置
4 水供給手段
5 水受け手段
6 返送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを発生させる放電部と、放電部に電圧を印加する電圧印加部とを備えたイオン発生装置において、放電部の上方に配置されて放電部の前方に空間を介して放電部に接触しないように水流を流下又は水滴を滴下させるための水供給手段を設け、放電部に電圧を印加してイオンを発生させると共に、水供給手段から放電部の前方に空間を介して水流を流下又は水滴を滴下させて発生したイオンを水分に付着させてイオンを含んだ微粒子水を生成することを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
流下した水流又は滴下した水を受ける水受け手段と、該水受け手段の水を水供給手段に送るための返送手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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