説明

イオン発生装置

【課題】従来のイオン発生装置では、例えば陽イオンを発生させる一方の放電電極では、逆方向の電流がダイオードによって遮断されるので、放電は半周期毎に行われ、したがって、残りの半周期は放電が行われない。他方の放電電極でも同様に半周期毎に放電が行われ、残りの半周期では放電が行われない。このため、陽イオンおよび陰イオンの発生量を増加させるには限界が生じる。
【解決手段】一方の放電電極に接続された順方向のダイオードと2次側巻線との間から逆方向のダイオードを介して他方の放電電極に接続すると共に、他方の放電電極に接続された逆方向のダイオードと2次側巻線との間から順方向のダイオードを介して一方の放電電極に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対の放電電極を備え、陽イオンと陰イオンとを同時に発生させるイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のイオン発生装置は、昇圧トランスの2次側巻線に1対の放電電極を各々接続する際に、一方の放電電極と2次側巻線との間にダイオードを順方向に介設し、他方の放電電極と2次側巻線との間にダイオードを逆方向に介設したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、一方の放電電極から陽イオンが発生すると共に、同時に他方の放電電極から陰イオンが発生する。そして、両放電電極に印加される電位の絶対値が相互に同一であれば、陽イオンの発生量と陰イオンの発生量とを互いに同じ量にすることができる。
【特許文献1】特開2004−259673号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のイオン発生装置では、例えば陽イオンを発生させる一方の放電電極では、逆方向の電流がダイオードによって遮断されるので、放電は半周期毎に行われ、したがって、残りの半周期は放電が行われない。他方の放電電極でも同様に半周期毎に放電が行われ、残りの半周期では放電が行われない。このため、陽イオンおよび陰イオンの発生量を増加させるには限界が生じる。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、容易にイオンの発生量を増加させることのできるイオン発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明によるイオン発生装置は、図1を参照して、昇圧トランス(2)の2次側巻線(21,22)に1対の放電電極(T1,T2)を接続し、一方の放電電極(T1)と2次側巻線(21)との間にダイオード(D11)を順方向に介設すると共に、他方の放電電極(T2)と2次側巻線(22)との間にダイオード(D21)を逆方向に介設し、両放電電極(T1,T2)から各々陽イオンと陰イオンとを発生させるようにしたイオン発生装置において、一方の放電電極(T1)に接続された順方向のダイオード(D11)と2次側巻線(21)との間から逆方向のダイオード(D12)を介して他方の放電電極(T2)に接続すると共に、他方の放電電極(T2)に接続された逆方向のダイオード(D21)と2次側巻線(22)との間から順方向のダイオード(D22)を介して一方の放電電極(T1)に接続したことを特徴とする。
【0007】
上記構成では、例えば一方の放電電極に対し、他方の放電電極に対して遮断される電流が供給されるので、常に電荷が印加され、放電が完結的ではなく連続して発生する。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明は、放電が連続して発生すると、両放電電極からの陽イオンおよび陰イオンの発生量が、従来のイオン発生装置のほぼ2倍になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に、本発明によるイオン発生装置の回路図の一例を示す。1は交流電源であり、昇圧トランス2の1次側巻線20に電流が流れると、2次側巻線21,22に高電圧の交流電流が誘導される。1次側巻線20に一方向の電流が流れると逆方向の電流はダイオードでショートカットされるので、2次側巻線21,22には各々自己誘導による交流電流が誘導される。
【0010】
2次側巻線21には順方向のダイオードD11を介して放電電極T1に接続されると共に逆方向のダイオードD12を介して放電電極T2に接続されている。また2次側巻線22には逆方向のダイオードD21を介して放電電極T2に接続されると共に順方向のダイオードD22を介して放電電極T1に接続されている。
【0011】
図2を参照して、2次側巻線21,22に最初に電流が誘導されると、ダイオードD11を介してプラスの電位が放電電極T1に印加されると共に、D21を介してマイナスの電位が放電電極T2に印加される。次に、2次側巻線21,22に誘導される電流の方向が逆転すると、ダイオードD12を介してマイナスの電位が放電電極T2に印加されると共に、プラスの電位がダイオードD22を介して放電電極T1に印加される。
【0012】
放電電極T1には常にプラスの電位が印加されて陽イオンが発生し、放電電極T2には常にマイナスの電位が印加されて陰イオンが発生する。
【0013】
そして、次に1次側巻線20に電流が流れるまで、2次側巻線21,22には減衰しながらではあるが、項番電流が誘導され続ける。そのため、陽イオンおよび陰イオンが途切れることなく連続して発生し続けることになる。
【0014】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】各放電電極に印加される電位の状態を示す図
【符号の説明】
【0016】
1 交流電源
2 昇圧トランス
21,22 2次側巻線
T1 放電電極
T2 放電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧トランス(2)の2次側巻線(21,22)に1対の放電電極(T1,T2)を接続し、一方の放電電極(T1)と2次側巻線(21)との間にダイオード(D11)を順方向に介設すると共に、他方の放電電極(T2)と2次側巻線(22)との間にダイオード(D21)を逆方向に介設し、両放電電極(T1,T2)から各々陽イオンと陰イオンとを発生させるようにしたイオン発生装置において、一方の放電電極(T1)に接続された順方向のダイオード(D11)と2次側巻線(21)との間から逆方向のダイオード(D12)を介して他方の放電電極(T2)に接続すると共に、他方の放電電極(T2)に接続された逆方向のダイオード(D21)と2次側巻線(22)との間から順方向のダイオード(D22)を介して一方の放電電極(T1)に接続したことを特徴とするイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−40274(P2010−40274A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200383(P2008−200383)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)