説明

イオン発生装置

【課題】多量のイオンを発生させるために2対の電極を設ける場合、基板の同じ面に並べて2対の電極を配置したのでは、電極が占める面積が2倍になり、その結果基板が大型化するという不具合が生じる。このように基板が大型化すると、基板を収納するケーシングが大型化し、そのためイオン発生装置の収納場所の選択に際し自由度が狭められてしまうことになる。
【解決手段】針状の電極を基板の両面に各々立設すると共に、各針状の電極に対して板状の電極を設け、針状の電極同士と板状の電極同士とを各々相互に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に立設された針状の電極と、この針状の電極の先端を囲繞する窓穴が形成された板状の電極とを備えたイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のイオン発生装置としては、高周波の一次電圧を昇圧トランスで高電圧に昇圧し、1対の電極の電極間に高電圧を印加することにより電極間に放電を発生させてイオンを生成するものが広く知られている。この放電用の電極としては種々の形状のものが用いられるが、大量のイオンを発生させやすいものとして、針状の電極とこの針状の電極の先端を囲繞する円形の窓穴を備えた板状の電極とからなるものが知られている。
【0003】
この形式の電極では、針状の電極の先端と窓穴の周縁との距離を大きく広げることができないので、さらに多量のイオンを発生させたい場合には、さらにもう1対の電極を増設することになる(例えば、特許文献1参照)。従来のものでは、針状の電極は基板上に立設されるので、基板の表面に適宜の間隔を開けて2本の針状の電極を立設させ、両針状の電極の先端の各々を囲繞する窓穴を備えた板状の電極を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−293884号公報(図3,4,5,7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のもののように、多量のイオンを発生させるために2対の電極を設ける場合、基板の同じ面に並べて2対の電極を配置したのでは、電極が占める面積が2倍になり、その結果基板が大型化するという不具合が生じる。このように基板が大型化すると、基板を収納するケーシングが大型化し、そのためイオン発生装置の収納場所の選択に際し自由度が狭められてしまうことになる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、基板を大型化することなく多量のイオンを発生させることのできるイオン発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるイオン発生装置は、基板上に立設された針状の電極と、この針状の電極の先端を囲繞する窓穴が形成された板状の電極とを備え、両電極間に高電圧を印加することによってイオンを発生させるイオン発生装置において、上記針状の電極を基板の両面に各々立設すると共に、各針状の電極に対して板状の電極を設け、針状の電極同士と板状の電極同士とを各々相互に接続したことを特徴とする。
【0008】
2対の電極を基板の両面に各々配置したので、基板の大きさは1対の電極しか設けていないものとほぼ同じ大きさになる。したがって、電極を1対から2対に増加させても基板の大きさはほぼ変わらない。
【0009】
ところで、針状の電極に給電する配線は板状の電極に対して充分に絶縁することが望まれる。そこで、上記基板を2枚の板材を貼り合わせて形成すると共に、上記針状の電極へ給電するための配線を両板材で挟んで設けることによって、この配線と板状の電極との間の絶縁を確保できるようにした。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、2対の電極を設けても1対の電極を設けた場合と基板の大きさがほぼ変わらないので、2対の電極により多量のイオンを生成することのできるイオン発生装置を小型に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】II-II断面図
【図3】第2の実施形態を示す図
【図4】第3の実施形態を示す図
【図5】第4の実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明によるイオン発生装置のケーシングである。このケーシング1の内部には基板2が収納されている。この基板2には図示しないが、外部から供給される直流電力を交流に変換する発振回路と、発振回路から出力される低電圧の交流電力を高電圧に昇圧する昇圧トランスとが取り付けられている。そして、昇圧トランスで昇圧された高電圧の電力の一方はダイオードを介して針状の電極4に印加される。また、他方は板状の電極3に供給される。すると、電極4と電極3の窓穴31の周縁との間に高電圧が印加されることになるため、両電極3,4間で放電が生じ、その放電によりイオンが生成される。生成されたイオンはケーシング1に形成された開口部11から外部へと流出する。
【0013】
図2に示すように、電極4は基板2の両面に突出するように貫通して設けられている。また、基板2は2枚の板部材21,22を貼り合わせることにより形成されているが、両板部材21,22の間に配線部材5を挟み込み、電極4がこの配線部材5を貫通することにより配線部材5と電極4とが電気的に接続されるようにした。そして配線部材5を介して昇圧トランスからの高電圧の電力が電極4に給電されるようにした。
【0014】
電極4が基板2の片面にのみ突出する従来のものでは、電極4の突出面に対して裏面に配線部材5を設ければ、電極3に対して配線部材5が基板2によって隠れるため絶縁性が担保されるが、本発明のように、基板2の両面に電極3が臨む場合には、配線部材5と電極3との間の絶縁性を確保することが望ましい。そこで、2枚の板部材21,22で配線部材5を挟むことにより、板部材21,22で配線部材5を電極3に対して隠すことにより絶縁性を確保することとした。
【0015】
ところで、2対の電極3,4を基板2の両面に各々設ける形態としては、図1および図2に示す形態に限られるものではない。例えば、図3に示すように、針状の電極として2本の電極4A,4Bを用いると共に、板状の電極として2個の電極3A,3Bを用いてもよい。
【0016】
さらに、板状の電極3に形成する窓穴は必ずしも円形である必要はなく、例えば図4に示すように、一方向に対して開くように窓穴32を形成してもよい。また、2個の電極3A,3Bを用いる場合、基板2の長手方向に沿って電極3A,3Bを基板2に取り付けてもよい。
【0017】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0018】
1 ケーシング
2 基板
3 電極
4 電極
5 配線部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に立設された針状の電極と、この針状の電極の先端を囲繞する窓穴が形成された板状の電極とを備え、両電極間に高電圧を印加することによってイオンを発生させるイオン発生装置において、上記針状の電極を基板の両面に各々立設すると共に、各針状の電極に対して板状の電極を設け、針状の電極同士と板状の電極同士とを各々相互に接続したことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
上記基板を2枚の板材を貼り合わせて形成すると共に、上記針状の電極へ給電するための配線を両板材で挟んで設けたことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−76722(P2011−76722A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223652(P2009−223652)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)