イオン発生装置
【課題】イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供する。
【解決手段】清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部と直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部と直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向に移動し、清掃部14bは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。
【解決手段】清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部と直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部と直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向に移動し、清掃部14bは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的にはイオン発生装置に関し、特定的には電極に高電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003−47651号公報(特許文献1)または特開2002−319472号公報(特許文献2)のように、大気中でのコロナ放電によって生成された正イオンと負イオンとの両極性のイオンを放出し、空気中に正イオンであるH+(H2O)mと、負イオンであるO2-(H2O)n(m、nは自然数)とを略同量発生させるイオン発生装置が知られている。発生した両イオンは、空気中の浮遊カビ菌またはウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用によって浮遊カビ菌等が不活化される。このようなイオン発生装置では、イオン発生電極としての放電電極に針状のものを利用した場合に、放電電極の先端部に電界集中が起こり、空気中に存在する塵埃等が先端部に吸い寄せられて付着することがある。放電電極の先端部に塵埃等が付着する場合には、イオン発生装置の性能が低下してしまう。このため、放電電極の先端部は、定期的にクリーニングされることが望ましい。
【0003】
針状の放電電極のクリーニングに関して、特開2010−27390号公報(特許文献3)のように、ブラシ等の清掃体を有した清掃部材を備えたイオン発生装置が知られている。特開2010−27390号公報(特許文献3)に記載されたイオン発生装置は、清掃体の清掃効率が低下した場合には、清掃体を交換することができるものである。また、特開2010−33873号公報(特許文献4)のように、クリーニング用のイオンまたは/および電子を発生させる放電装置を備えたイオン発生装置が知られている。放電装置の電極は、針状の放電電極を挟む位置に配置されている。放電装置から放出されたイオンまたは/および電子が放電電極に高速で衝突することにより、放電電極の先端部に付着した物質を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−047651号公報
【特許文献2】特開2002−319472号公報
【特許文献3】特開2010−027390号公報
【特許文献4】特開2010−033873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2010−27390号公報(特許文献3)に記載されたイオン発生装置では、放電電極をクリーニングするための構造が複雑であり、清掃部材並びにイオン発生装置の小型化が難しい。また、特開2010−33873号公報(特許文献4)に記載されたイオン発生装置では、クリーニング用のイオンまたは/および電子を発生させるための高電圧発生用の回路が必要である。高電圧発生用の回路は構成が複雑であり、高電圧発生用の回路を有する放電装置をイオン発生装置が備えていることにより、イオン発生装置の構造が複雑になる。
【0006】
そこで、この発明の目的は、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極と、第1の清掃部と、第1の移動部と、第2の清掃部と、第2の移動部と、を備えている。イオン発生電極は、針状の先端部を有し、所定の電圧が印加されることによって先端部にイオンを発生させる。第1の清掃部は、イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置されている。第1の移動部は、第1の清掃部がイオン発生電極の先端部と直接的に接触するように第1の清掃部を移動させる。第2の清掃部は、第1の清掃部の位置とは異なる位置であってイオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置されている。第2の移動部は、第2の清掃部がイオン発生電極の先端部と直接的に接触するように第2の清掃部を移動させる。第1の清掃部は、イオン発生電極が延びる方向と交わる方向に移動する。第2の清掃部は、イオン発生電極が延びる方向と交わる方向であって第1の清掃部が移動する方向とは異なる方向に移動する。
【0008】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極の先端部に直接的に触れ、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に付着している塵埃等の物質を除去する。このように、この発明に係るイオン発生装置では、異なる二つの第1の清掃部と第2の清掃部とをイオン発生電極の先端部に直接的に接触させるといった比較的簡単な方法により、イオン発生電極がクリーニングされる。そのため、イオン発生装置の構造を簡素にすることができる。イオン発生装置の構造が簡素である場合は、イオン発生装置を容易に小型化することができる。したがって、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することができる。
【0009】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極を基準に互いに対向するように配置されていることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、第1の清掃部のサイズと第2の清掃部とのサイズが比較的小さい場合であっても、第1の清掃部と第2の清掃部とでイオン発生電極を挟むことができ、イオン発生電極を確実にクリーニングすることができる。
【0011】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極を基準に互いに対称に配置されていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、イオン発生電極をクリーニングする際の第1の清掃部の移動距離と第2の清掃部の移動距離とを等しくすることができる。これにより、第1の清掃部がイオン発生電極に接触するときの荷重と、第2の清掃部がイオン発生電極に接触するときの荷重と、を容易に略同一にすることができる。この場合は、第1の清掃部と第2の清掃部とによってイオン発生電極に不均一な荷重が負荷されることを防止できる。
【0013】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の移動部と第2の移動部とは電磁石であることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、電磁石といった既存の移動手段を利用することにより、第1の移動部と第2の移動部とを簡単に構成することができる。電磁石を利用する第1の移動部と第2の移動部とは、電圧および電流によって容易に制御される。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とのそれぞれの移動速度と、第1の清掃部と第2の清掃部との互いの配置等とに関し、設計の自由度を拡大することができる。
【0015】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、柔軟性を有する材料で作られていることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極の先端部に直接的に接触するときにイオン発生電極が変形または損傷することを防止することができる。
【0017】
この発明に従ったイオン発生装置では、イオン発生電極が延びる方向から見て、イオン発生電極に面した第1の清掃部の面が延びる方向は、第1の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜していることが好ましい。また、イオン発生電極が延びる方向から見て、イオン発生電極に面した第2の清掃部の面が延びる方向は、第2の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜していることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触するための面積を比較的大きくすることができる。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に確実に直接的に接触することができる。また、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触するときのイオン発生電極に負荷される荷重を軽減することができる。
【0019】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に複数回直接的に接触することが好ましい。
【0020】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する回数を増加させることができる。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に確実に接触することができる。
【0021】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極に高電圧が印加された時間を計測するタイマーを備えていることが好ましい。また、タイマーが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触することが好ましい。
【0022】
例えば空気中に塵埃等が少ないような汚染度の低い環境下にイオン発生装置が設置される場合は、イオン発生電極をクリーニングする頻度は比較的少なくてもよい。そのため、例えばイオン発生装置の主電源がオフされ、イオン発生電極の通電が停止される度にイオン発生電極がクリーニングされる必要はない。
【0023】
しかしながら、この発明によれば、イオン発生電極に高電圧が印加された時間の合計が所定の時間以上であるときに、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する。そのため、イオン発生電極をクリーニングする頻度を比較的少なくすることができ、無駄なく効果的にイオン発生電極をクリーニングすることができる。
【0024】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極において発生するイオンの量を検知するイオン検知部を備えていることが好ましい。また、イオン検知部によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触することが好ましい。
【0025】
この発明によれば、イオン発生電極において発生するイオンの量が所定の量以下であるときに、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する。イオン発生電極において発生するイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極が予め定められた程度よりも汚染されている、つまり、イオン発生電極のクリーニングが必要である、と判断される。そのため、イオン発生装置が使用される用途またはイオン発生装置が設置される環境(汚染度)にかかわらず、最適な時期にイオン発生電極をクリーニングすることができ、イオン発生装置の性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るイオン発生装置の構成を示す電気回路図である。
【図2】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図3】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極と接触している場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図4】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部と移動部とを模式的に示す図であり、(A)は移動部に電圧を印加する回路のスイッチがオフの状態であり、(B)は移動部に電圧を印加する回路のスイッチがオンの状態である。
【図5】第1実施形態に係るイオン発生装置のより具体的な構成を示す電気回路図である。
【図6】イオン検知部の検知結果に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの制御処理を順に示すフローチャートである。
【図7】イオン発生電極への通電時間に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの制御処理を順に示すフローチャートである。
【図8】イオン発生電極への通電時間に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの他の制御処理を順に示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり(B)は側面図である。
【図10】第2実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極と接触している場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり(B)は側面図である。
【図11】第3実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す平面図である。
【図12】第3実施形態に係る清掃部材の清掃部と移動部とを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、イオン発生装置100は、ダイオード10およびダイオード11と、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bと、イオン発生用の回路81と、イオン発生電極12aを清掃する清掃部材13と、イオン発生電極12bを清掃する清掃部材17と、清掃部材13に電圧を印加する回路82および回路83と、清掃部材17に電圧を印加する回路84および回路85と、マイコン8と、を備えている。ダイオード10およびダイオード11は、整流用高耐圧のものである。
【0030】
イオン発生電極12aは、針状に形成された先端部12eを有している(図2または図3参照)。図示は省略するが、イオン発生電極12bは、イオン発生電極12aと同様に針状に形成された先端部を有している。イオン発生電極12aおよびイオン発生電極12bは、縫い針の形状のように真っ直ぐ延びている。
【0031】
回路81は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに所定の電圧を印加する。清掃部材13はイオン発生電極12aを清掃し、清掃部材17はイオン発生電極12bを清掃する。回路82および回路83は清掃部材13に電圧を印加し、回路84および回路85は清掃部材17に電圧を印加する。回路81と回路82と回路83と回路84と回路85とは、マイコン8に制御されている。
【0032】
イオン発生装置100は、図示しない送風ファンを備えていてもよい。送風ファンは、風を発生させるものであり、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとで生成されるイオンは、送風ファンにて発生した風による気流とともに、イオン発生装置100の外部に送風される。
【0033】
なお、イオン発生装置100は、図示しない電気機器に備えられているものであってもよい。なお、電気機器は、例えば、扇風機、エアコン等の空気調和機、冷蔵庫、電気掃除機、洗濯機、冷却庫、または乾燥機であってもよい。
【0034】
回路81は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに所定の高電圧を印加する昇圧トランス7と、交流商用電源である入力電源1と、トランスの一次側回路と、を有している。一次側回路は、入力抵抗2、整流ダイオード3、コンデンサ4、トランス駆動用スイッチング素子5、フライホイールダイオード6、マイコン8、およびスイッチ9aを有している。一次側回路は、入力電源1から電力を受け取っている。
【0035】
トランス駆動用スイッチング素子5には、無ゲート2端子サイリスタ(新電元工業株式会社製のサイダック(登録商標))が用いられている。ただし、トランス駆動用スイッチング素子5には、若干異なる回路によって構成されたサイリスタ(SCR)が用いられていてもよい。また、入力電源1は、回路81と同様の動作が得られる回路であれば、直流電源であってもよい。すなわち、回路81の一次側回路は、上記のものに限定されず、後述する動作と同様の動作が得られる回路であればよい。
【0036】
イオン発生装置100では、イオン発生電極12aは正イオンを発生させる電極であり、イオン発生電極12bは負イオンを発生させる電極である。例えばイオン発生電極12aは、先端部12eに正イオンを発生させる。正イオン用の清掃部材13は、清掃部14aと清掃部14bと、清掃部14aを移動させる移動部15aと、清掃部14bを移動させる移動部15bと、を有している。負イオン用の清掃部材17は、清掃部18aと清掃部18bと、清掃部18aを移動させる移動部19aと、清掃部18bを移動させる移動部19bと、を有している。
【0037】
回路82は、スイッチ9bと直流電源16aとを有し、清掃部14aを移動させる移動部15aに所定の電圧を印加する。回路83は、スイッチ9cと直流電源16bとを有し、清掃部14bを移動させる移動部15bに所定の電圧を印加する。回路84は、スイッチ9dと直流電源20aとを有し、清掃部18aを移動させる移動部19aに所定の電圧を印加する。回路85は、スイッチ9eと直流電源20bとを有し、清掃部18bを移動させる移動部19bに所定の電圧を印加する。
【0038】
なお、イオン発生電極12bをクリーニングするための構成等は、イオン発生電極12aをクリーニングするための構成等と同様であるとして、説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。
【0040】
清掃部14aは、イオン発生電極12aの軸方向と交わる方向に移動し、清掃部14bは、イオン発生電極12aの軸方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。このような移動により、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。イオン発生電極12aの軸方向とは、イオン発生電極12aが延びる方向であり、図2(A)の紙面表裏方向であり、または、図2(B)の上下方向である。以下では、イオン発生電極12aの軸方向を単に軸方向と称呼する。
【0041】
図2に示すように、イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが軸方向を基準に互いに対向するように配置されている。また、清掃部14aと清掃部14bとは、軸方向を基準に互いに対称に配置されている。つまり、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aと接触するときは、互いに同等の距離を移動する。
【0042】
ただし、清掃部14aと清掃部14bとは、軸方向を基準に互いに対向していない位置に配置されていてもよく、イオン発生電極12aと接触するための移動量がそれぞれ異なっていてもよい。清掃部14aと清掃部14bとは、それぞれの移動速度と、互いの配置とに関し、適宜変更されていてもよい。
【0043】
以下では、イオン発生装置100がイオンを発生させる際の運転、すなわち、イオン発生装置100の通常運転について説明する。
【0044】
一次側回路では、入力電源1の電圧により、入力抵抗2と整流ダイオード3とを介してコンデンサ4が充電される。コンデンサ4の両端の電圧が規定電圧以上に達したときはトランス駆動用スイッチング素子5がオンして、昇圧トランス7の一次側巻線7aに電圧が印加される。その直後、コンデンサ4に充電されたエネルギーは、一次側巻線7aとトランス駆動用スイッチング素子5とを通じて放電され、コンデンサ4の両端の電圧はゼロに戻る。コンデンサ4は再び充電され、規定周期で充電と放電とが繰り返される。
【0045】
トランスの二次側回路では、一次側回路のトランス駆動用スイッチング素子5がオンすることにより、一次側のエネルギーが昇圧トランス7の二次側巻線7bに伝達され、昇圧トランス7の二次側巻線7bの両端に交番電圧のインパルス波形が印加される。このインパルス波形は、ダイオード10とダイオード11とを通じてイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに印加される。
【0046】
このように整流された高電圧がイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに印加されることにより、空気中の酸素分子ないしは水分子は、放電によって生成された電子からエネルギーを受けてイオン化する。このとき、H+(H2O)m(mは任意の自然数)とO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを主としたイオンが生成される。イオン発生装置100は、これらのイオンをファン等により空間に放出させる。
【0047】
次に、イオン発生装置100のイオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bがクリーニングされる際の運転、すなわち、イオン発生装置100のクリーニング運転について説明する。
【0048】
スイッチ9a、9b、9c、9d、および9eは、マイコン8によって同期的に制御されている。通常運転のときは、スイッチ9aが短絡状態であり、スイッチ9b、9c、9d、および9eが開放状態である。一方、クリーニング運転のときは、スイッチ9aが開放状態であり、スイッチ9b、9c、9d、および9eは開放状態と短絡状態とが切り替えられる。
【0049】
図4(A)および図4(B)に示すように、移動部15aと移動部15bとは電磁石である。移動部15aと移動部15bとは、一般的な電磁石のように、磁性材料の芯のまわりにコイルが巻かれ、通電されることによって一時的に磁力を発生させる。電流が止められるときには電磁石の磁力が失われ、電流の方向が変更されることによって電磁石の極を変更することができる。
【0050】
図4(B)に示すように、スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態になったときには、移動部15aと移動部15bとにそれぞれ矢印の方向に電流が流れ、移動部15aと移動部15bとには磁力が発生する。これにより、移動部15aと移動部15bとは、互いにイオン発生電極12aに向かって移動する。また、スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態になったときには、移動部15aと移動部15bとが異なる極で対向する。そのため、移動部15aと移動部15bとは、磁力の作用によって互いにイオン発生電極12aに向かって円滑に移動する。
【0051】
移動部15aと移動部15bとは、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに向かって移動した後は、図4(A)のように元の位置に戻るように構成されている。移動部15aと移動部15bとは、例えばバネ等の付勢部材を有している。付勢部材は、磁力に反発する方向に移動部15aと移動部15bとを付勢している。そのため、スイッチ9bおよびスイッチ9cが開放状態になったときには、付勢部材の付勢力により、図4(A)のように移動部15aと移動部15bとが元の位置に戻る。
【0052】
また、例えば、回路82または回路83が交流電源を有している場合は、交流電源を有する回路に接続された電磁石の極は、電流の方向によって変更される。移動部15aと移動部15bとは、交流電源を有する回路に接続された電磁石の極が変更されることにより、移動部15aと移動部15bとが反発して互いに離れるように構成されていてもよい。
【0053】
清掃部14a、14b、18a、および18bは、スポンジ、シリコンゴム、ブラシ、または綿等から作られている。清掃部14a、14b、18a、および18bは、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに接触するときにイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとが変形することが無いように、柔軟性を有する材料で作られている。
【0054】
例えば正イオン用の清掃部材13において、スイッチ9bが短絡状態になったときは移動部15aに所定の電圧が印加され、スイッチ9cが短絡状態になったときは移動部15bに所定の電圧が印加される。これにより、例えば移動部15aおよび移動部15bは、イオン発生電極12aに向かって移動する。その結果、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに直接的に接触する(図2と図3とを参照)。これにより、イオン発生電極12aがクリーニングされる。スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態から開放状態になるときには、移動部15aと移動部15bとは、図2に示すような元の位置に戻る。
【0055】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが、イオン発生電極12aに複数回直接的に接触することにしてもよい。すなわち、スイッチ9bとスイッチ9cとの短絡状態と開放状態とがそれぞれ繰り返されることにより、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに繰り返して接触し、イオン発生電極12aに付着している塵埃等が除去される。
【0056】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが、イオン発生電極12aの先端部12eにそれぞれ同時に接触するように、スイッチ9bとスイッチ9cとがマイコン8に制御されている。ただし、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに接触するタイミングは、それぞれ別であってもよい。つまり、清掃部14aと清掃部14bとは、それぞれ交互または別にイオン発生電極12aの先端部12eに接触してもよい。
【0057】
以下では、イオン発生装置100のクリーニング運転に係る制御について説明する。図5に示すように、イオン発生装置100は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとにおいて発生するイオンの量を検知するイオン検知部22を備えている。イオン検知部22は、マイコン21と、イオン捕集部23aと、イオン捕集部23bと、を有している。イオン捕集部23aは、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量(すなわち正イオンの量)を検知する。イオン捕集部23bは、イオン発生電極12bにおいて発生するイオンの量(すなわち負イオンの量)を検知する。
【0058】
イオン捕集部23aとイオン捕集部23bとは、正イオンまたは負イオンを検知し、検知したイオンの量に基づく信号をマイコン21に送信する。マイコン21は、イオン捕集部23aとイオン捕集部23bとから送信された信号に基づく信号をマイコン8に送信する。マイコン8は、マイコン21から送信された信号に基づき、回路81のスイッチ9aと、スイッチ9b、9c、9d、および9eとに所定の信号を送信する。スイッチ9a、9b、9c、9d、および9eは、マイコン8から送信される所定の信号に基づき、開放状態と短絡状態とが切り替えられる。
【0059】
続いて、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0060】
図6に示すように、ステップS601では、イオン検知部22によるセンシングが開始される。ステップS602では、イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるか否かが判断される。イオンの量が所定の量以下であるときには、ステップS603に進む。イオンの量が所定の量以下でない場合には、ステップS602に戻る。イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bのクリーニングが必要であることが判断される。イオン発生装置100では、図6等に示す判断をマイコン8が判断している。すなわち、マイコン8は、判定部としての機能を有している。
【0061】
ステップS603では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が停止される。マイコン8は、回路81のスイッチ9aを短絡状態から開放状態に切り替える。
【0062】
ステップS604では、イオン発生装置100のクリーニング運転が開始される。ステップS604では、マイコン8は、イオン発生装置100がクリーニング運転を行うように、スイッチ9b、9c、9d、および9eを制御する。このとき、スイッチ9b、9c、9d、および9eは、所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられる。また、ステップS604では、イオン検知部22によるセンシングの動作が停止される。
【0063】
ステップS605では、例えば清掃部14aと清掃部14bとが所定の回数だけイオン発生電極12aの先端部12eに接触したか否かが判断される。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられたと判断される場合には、ステップS606に進む。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられていないと判断される場合には、ステップS605に戻る。
【0064】
ステップS606では、リセット時間(Trs)が経過したか否かが判断される。リセット時間(Trs)とは、イオン検知部22によるセンシングの動作が停止されてから現在までに経過した時間のことである。リセット時間(Trs)が経過していると判断される場合には、ステップS601に戻る。リセット時間(Trs)が経過していないと判断される場合には、ステップS606に戻る。
【0065】
図5に示すように、イオン発生装置100は、タイマー8aを備えている。例えばマイコン8が、タイマー8aを有している。タイマー8aは、リセット時間(Trs)を計測することができる。
【0066】
ステップS601およびステップS602のように、クリーニング運転を行うための所定のイオンの量(例えば、初期のイオンの発生量の90%)を予め設定しておくことにより、クリーニング運転を自動的に行うことができる。
【0067】
クリーニング運転が終了した後に十分なリセット時間(Trs)(例えば1分間)が設定されていない場合には、クリーニング運転が終了した直後または通常運転が開始された直後にイオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bの放電の状態が安定せずにイオン検知部22が検知するイオンの量が所定の量以下のままであり、クリーニング運転が連続して動作し続けるというような問題が発生する可能性がある。しかしながら、イオン発生装置100では、ステップS604のように、クリーニング運転が行われている間はイオン検知部22のセンシングの動作が停止されている。そのため、イオン発生装置100では、クリーニング運転が連続して動作し続けるというような問題を防ぐことができる。
【0068】
以下では、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理の他の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0069】
図7に示す制御処理の例は、イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるか否かの判断とは異なり、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間の合計が所定の値以上であるか否かが判断される。
【0070】
ステップS701では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が停止される。マイコン8は、回路81のスイッチ9aを短絡状態から開放状態に切り替える。
【0071】
ステップS702では、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに高電圧が印加された時間の合計(通電時間(Te))が所定の時間(Ttr)以上であるか否かが判断される。タイマー8aは、通電時間(Te)を計測している。例えばマイコン8が、タイマー8aを有している。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上であるときには、ステップS703に進む。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上であるときには、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bのクリーニングが必要であることが判断される。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上でない場合には、ステップS705に進む。
【0072】
なお、ステップS702では、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに高電圧が印加された回数、例えばコンデンサ4(図1参照)の充電と放電との回数が、所定の回数以上であるか否かを判断するステップであってもよい。
【0073】
ステップS703では、イオン発生装置100のクリーニング運転が開始される。ステップS703は、図6に示すステップS604と同様のステップである。
【0074】
ステップS704では、リセット時間(Trs)が経過したか否かが判断される。リセット時間(Trs)が経過していると判断される場合には、ステップS705に進む。リセット時間(Trs)が経過していないと判断される場合には、ステップS704に戻る。ステップS705では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が待機される。
【0075】
以下では、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理のさらに他の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図8に示す制御処理の例は、図7に示す制御処理の例に図6に示すステップS605の内容がステップS804として加えられている。
【0077】
ステップS801は、ステップS701と同様のステップである。ステップS802はステップS702と同様のステップであり、ステップS803はステップS703と同様のステップである。ステップS805はステップS704と同様のステップであり、ステップS806はステップS705と同様のステップである。
【0078】
ステップS804において、スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられたと判断される場合には、ステップS805に進む。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられていないと判断される場合には、ステップS804に戻る。
【0079】
以上のように、イオン発生装置100は、例えば、イオン発生電極12aと、清掃部14aと、移動部15aと、清掃部14bと、移動部15bと、を備えている。イオン発生電極12aは、針状の先端部12eを有し、所定の電圧が印加されることによって先端部12eにイオンを発生させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向に移動する。清掃部14bは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。
【0080】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に触れ、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに付着している塵埃等の物質を除去する。このように、イオン発生装置100では、異なる二つの清掃部14aと清掃部14bとをイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に接触させるといった比較的簡単な方法により、イオン発生電極12aがクリーニングされる。そのため、イオン発生装置100の構造を簡素にすることができる。イオン発生装置100の構造が簡素である場合は、イオン発生装置100を容易に小型化することができる。したがって、イオン発生電極12aをクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置100を提供することができる。
【0081】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aを基準に互いに対向するように配置されている。
【0082】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aのサイズと清掃部14bとのサイズが比較的小さい場合であっても、清掃部14aと清掃部14bとでイオン発生電極12aを挟むことができ、イオン発生電極12aを確実にクリーニングすることができる。
【0083】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aを基準に互いに対称に配置されている。
【0084】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aをクリーニングする際の清掃部14aの移動距離と清掃部14bの移動距離とを等しくすることができる。これにより、清掃部14aがイオン発生電極12aに接触するときの荷重と、清掃部14bがイオン発生電極12aに接触するときの荷重と、を容易に略同一にすることができる。この場合は、清掃部14aと清掃部14bとによってイオン発生電極12aに不均一な荷重が負荷されることを防止できる。
【0085】
イオン発生装置100では、移動部15aと移動部15bとは電磁石である。
【0086】
イオン発生装置100によれば、電磁石といった既存の移動手段を利用することによって移動部15aと移動部15bとを簡単に構成することができる。電磁石を利用する移動部15aと移動部15bとは、電圧および電流によって容易に制御される。そのため、清掃部14aと清掃部14bとのそれぞれの移動速度と、清掃部14aと清掃部14bとの互いの配置等とに関し、設計の自由度を拡大することができる。
【0087】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、柔軟性を有する材料で作られている。これにより、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に接触するときにイオン発生電極12aが変形または損傷することを防止することができる。
【0088】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに複数回直接的に接触する。
【0089】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する回数を増加させることができる。そのため、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに確実に接触することができる。
【0090】
イオン発生装置100は、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間を計測するタイマー8aを備えている。タイマー8aが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。
【0091】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間の合計が所定の時間以上であるときに、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。そのため、イオン発生電極12aをクリーニングする頻度を比較的少なくすることができ、無駄なく効果的にイオン発生電極12aをクリーニングすることができる。
【0092】
イオン発生装置100は、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量を検知するイオン検知部22を備えている。イオン検知部22によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。
【0093】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量が所定の量以下であるときに、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極12aが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aのクリーニングが必要であることが判断される。そのため、イオン発生装置100が使用される用途またはイオン発生装置100が設置される環境(汚染度)にかかわらず、最適な時期にイオン発生電極12aをクリーニングすることができ、イオン発生装置100の性能を維持することができる。
【0094】
(第2実施形態)
以下では、イオン発生装置100の清掃部材の他の一例について説明する。なお、前記第1実施形態のものと同一の機能を有するものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
図9に示すように、例えば正イオン用の清掃部材33の清掃部34aおよび清掃部34bの形状は、第1実施形態の清掃部材13の清掃部14aおよび清掃部14bの形状と異なっている。また、図示は省略するが、負イオン用の清掃部材の清掃部の形状は、第1実施形態の清掃部材17の清掃部18aおよび清掃部18bの形状と異なっている。
【0096】
イオン発生電極12aに面した清掃部34aの面341が延びる方向は、軸方向から見て、清掃部34aの移動方向と直交する方向から傾斜している。イオン発生電極12aに面した清掃部34bの面342が延びる方向は、清掃部34bの移動方向と直交する方向から傾斜している。清掃部34aの移動方向と清掃部34bの移動方向とは、図9(A)および図9(B)の左右方向である。また、清掃部34aの移動方向と清掃部34bの移動方向と直交する方向とは、図9(A)の上下方向である。さらに、軸方向は、図9(A)の紙面表裏方向であり、図9(B)の上下方向である。
【0097】
例えば図9(A)を正面から見て、清掃部34aの面341は、図9(A)の上下方向から傾斜するように延びている。例えば図9(A)を正面から見て、清掃部34bの面342は、図9(A)の上下方向から傾斜するように延びている。
【0098】
図9(A)に示すように、清掃部34aの面341が延びる方向と、清掃部34bの面342が延びる方向とは、互いに略平行である。これにより、清掃部34aと清掃部34bとがイオン発生電極12aの先端部12eに接触するときは、イオン発生電極12aの軸方向を中心とする円の円周方向の先端部12eの表面全体が、清掃部34aと清掃部34bとによって包まれる。そのため、イオン発生電極12aの表面の広い範囲が清掃部34aと清掃部34bとによってクリーニングされる。
【0099】
清掃部材33の清掃部34aと清掃部34bとの形状によれば、清掃部34aと清掃部34bとがイオン発生電極12aに直接的に接触するための面積を比較的大きくすることができる。そのため、清掃部34aと清掃部34bとは、イオン発生電極12aに確実に直接的に接触する。したがって、清掃部材33によれば、イオン発生電極12aのクリーニングが容易になる。
【0100】
(第3実施形態)
本実施形態では、イオン発生装置100の清掃部材のさらに他の一例について説明する。なお、前記各実施形態のものと同一の機能を有するものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
図12に示すように、例えば正イオン用の清掃部材43は、それぞれ移動部45aと移動部45bとに、モータ451aとモータ451bとが用いられた簡素な機構によって構成されている。また、図示は省略するが、負イオン用の清掃部材は、第1実施形態の清掃部材17と異なり、清掃部材43のように簡素な機構によって構成されている。
【0102】
例えば移動部45aは、モータ451aと支持部材453aとを有している。支持部材453aは、清掃部44aを支持している。モータ451aは、モータ軸452aを有している。図12に示すように、モータ軸452aには、モータ軸452aの表面のうち、モータ軸452aの軸心を中心とする円の円周方向の表面に複数の歯455aが形成されている。支持部材453aは支持軸454aを有し、支持軸454aには、モータ軸452aの歯455aと噛み合うラック456aが形成されている。
【0103】
清掃部44aと清掃部44bとは、軸方向を基準に互いに対向するように配置されている。また、清掃部44aと清掃部44bとは、軸方向を基準に互いに対称に配置されている。つまり、清掃部44aと清掃部44bとは、イオン発生電極12aと接触するときは、互いに同等の距離を移動する。
【0104】
モータ451aおよびモータ451bは、清掃部材43に電圧を印加する回路(図示せず)に接続されている。モータ451aは、図12に示す方向R1と方向R2とに回転することができる。
【0105】
一方、移動部45bは、モータ軸452bを有するモータ451bと、支持軸454bを有する支持部材453bと、を有している。移動部45bのその他の構成は、移動部45aのように構成されている。
【0106】
モータ軸452aが方向R1に回転するときは、支持部材453aと清掃部44aとが方向L1に移動する。支持部材453aと清掃部44aとが方向L1に移動するときは、支持部材453aと清掃部44aとがイオン発生電極12aに接近する。このように、清掃部44aと清掃部44bとがイオン発生電極12aに直接的に接触し、イオン発生電極12aがクリーニングされる。モータ軸452aが方向R2に回転するときは、支持部材453aと清掃部44aとが方向L2に移動し、支持部材453aと清掃部44aとがイオン発生電極12aから離れていく。
【0107】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0108】
8:マイコン、8a:タイマー、12a,12b:イオン発生電極、12e:先端部、14a,18a:清掃部(第1の清掃部)、15a,19a:移動部(第1の移動部)、14b,18b:清掃部(第2の清掃部)、15b,19b:移動部(第2の移動部)、22:イオン検知部、100:イオン発生装置、341:面(第1の清掃部の面)、342:面(第2の清掃部の面)
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的にはイオン発生装置に関し、特定的には電極に高電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003−47651号公報(特許文献1)または特開2002−319472号公報(特許文献2)のように、大気中でのコロナ放電によって生成された正イオンと負イオンとの両極性のイオンを放出し、空気中に正イオンであるH+(H2O)mと、負イオンであるO2-(H2O)n(m、nは自然数)とを略同量発生させるイオン発生装置が知られている。発生した両イオンは、空気中の浮遊カビ菌またはウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用によって浮遊カビ菌等が不活化される。このようなイオン発生装置では、イオン発生電極としての放電電極に針状のものを利用した場合に、放電電極の先端部に電界集中が起こり、空気中に存在する塵埃等が先端部に吸い寄せられて付着することがある。放電電極の先端部に塵埃等が付着する場合には、イオン発生装置の性能が低下してしまう。このため、放電電極の先端部は、定期的にクリーニングされることが望ましい。
【0003】
針状の放電電極のクリーニングに関して、特開2010−27390号公報(特許文献3)のように、ブラシ等の清掃体を有した清掃部材を備えたイオン発生装置が知られている。特開2010−27390号公報(特許文献3)に記載されたイオン発生装置は、清掃体の清掃効率が低下した場合には、清掃体を交換することができるものである。また、特開2010−33873号公報(特許文献4)のように、クリーニング用のイオンまたは/および電子を発生させる放電装置を備えたイオン発生装置が知られている。放電装置の電極は、針状の放電電極を挟む位置に配置されている。放電装置から放出されたイオンまたは/および電子が放電電極に高速で衝突することにより、放電電極の先端部に付着した物質を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−047651号公報
【特許文献2】特開2002−319472号公報
【特許文献3】特開2010−027390号公報
【特許文献4】特開2010−033873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2010−27390号公報(特許文献3)に記載されたイオン発生装置では、放電電極をクリーニングするための構造が複雑であり、清掃部材並びにイオン発生装置の小型化が難しい。また、特開2010−33873号公報(特許文献4)に記載されたイオン発生装置では、クリーニング用のイオンまたは/および電子を発生させるための高電圧発生用の回路が必要である。高電圧発生用の回路は構成が複雑であり、高電圧発生用の回路を有する放電装置をイオン発生装置が備えていることにより、イオン発生装置の構造が複雑になる。
【0006】
そこで、この発明の目的は、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極と、第1の清掃部と、第1の移動部と、第2の清掃部と、第2の移動部と、を備えている。イオン発生電極は、針状の先端部を有し、所定の電圧が印加されることによって先端部にイオンを発生させる。第1の清掃部は、イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置されている。第1の移動部は、第1の清掃部がイオン発生電極の先端部と直接的に接触するように第1の清掃部を移動させる。第2の清掃部は、第1の清掃部の位置とは異なる位置であってイオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置されている。第2の移動部は、第2の清掃部がイオン発生電極の先端部と直接的に接触するように第2の清掃部を移動させる。第1の清掃部は、イオン発生電極が延びる方向と交わる方向に移動する。第2の清掃部は、イオン発生電極が延びる方向と交わる方向であって第1の清掃部が移動する方向とは異なる方向に移動する。
【0008】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極の先端部に直接的に触れ、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に付着している塵埃等の物質を除去する。このように、この発明に係るイオン発生装置では、異なる二つの第1の清掃部と第2の清掃部とをイオン発生電極の先端部に直接的に接触させるといった比較的簡単な方法により、イオン発生電極がクリーニングされる。そのため、イオン発生装置の構造を簡素にすることができる。イオン発生装置の構造が簡素である場合は、イオン発生装置を容易に小型化することができる。したがって、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することができる。
【0009】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極を基準に互いに対向するように配置されていることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、第1の清掃部のサイズと第2の清掃部とのサイズが比較的小さい場合であっても、第1の清掃部と第2の清掃部とでイオン発生電極を挟むことができ、イオン発生電極を確実にクリーニングすることができる。
【0011】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極を基準に互いに対称に配置されていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、イオン発生電極をクリーニングする際の第1の清掃部の移動距離と第2の清掃部の移動距離とを等しくすることができる。これにより、第1の清掃部がイオン発生電極に接触するときの荷重と、第2の清掃部がイオン発生電極に接触するときの荷重と、を容易に略同一にすることができる。この場合は、第1の清掃部と第2の清掃部とによってイオン発生電極に不均一な荷重が負荷されることを防止できる。
【0013】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の移動部と第2の移動部とは電磁石であることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、電磁石といった既存の移動手段を利用することにより、第1の移動部と第2の移動部とを簡単に構成することができる。電磁石を利用する第1の移動部と第2の移動部とは、電圧および電流によって容易に制御される。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とのそれぞれの移動速度と、第1の清掃部と第2の清掃部との互いの配置等とに関し、設計の自由度を拡大することができる。
【0015】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、柔軟性を有する材料で作られていることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極の先端部に直接的に接触するときにイオン発生電極が変形または損傷することを防止することができる。
【0017】
この発明に従ったイオン発生装置では、イオン発生電極が延びる方向から見て、イオン発生電極に面した第1の清掃部の面が延びる方向は、第1の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜していることが好ましい。また、イオン発生電極が延びる方向から見て、イオン発生電極に面した第2の清掃部の面が延びる方向は、第2の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜していることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触するための面積を比較的大きくすることができる。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に確実に直接的に接触することができる。また、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触するときのイオン発生電極に負荷される荷重を軽減することができる。
【0019】
この発明に従ったイオン発生装置では、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に複数回直接的に接触することが好ましい。
【0020】
この発明によれば、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する回数を増加させることができる。そのため、第1の清掃部と第2の清掃部とは、イオン発生電極に確実に接触することができる。
【0021】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極に高電圧が印加された時間を計測するタイマーを備えていることが好ましい。また、タイマーが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触することが好ましい。
【0022】
例えば空気中に塵埃等が少ないような汚染度の低い環境下にイオン発生装置が設置される場合は、イオン発生電極をクリーニングする頻度は比較的少なくてもよい。そのため、例えばイオン発生装置の主電源がオフされ、イオン発生電極の通電が停止される度にイオン発生電極がクリーニングされる必要はない。
【0023】
しかしながら、この発明によれば、イオン発生電極に高電圧が印加された時間の合計が所定の時間以上であるときに、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する。そのため、イオン発生電極をクリーニングする頻度を比較的少なくすることができ、無駄なく効果的にイオン発生電極をクリーニングすることができる。
【0024】
この発明に従ったイオン発生装置は、イオン発生電極において発生するイオンの量を検知するイオン検知部を備えていることが好ましい。また、イオン検知部によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触することが好ましい。
【0025】
この発明によれば、イオン発生電極において発生するイオンの量が所定の量以下であるときに、第1の清掃部と第2の清掃部とがイオン発生電極に直接的に接触する。イオン発生電極において発生するイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極が予め定められた程度よりも汚染されている、つまり、イオン発生電極のクリーニングが必要である、と判断される。そのため、イオン発生装置が使用される用途またはイオン発生装置が設置される環境(汚染度)にかかわらず、最適な時期にイオン発生電極をクリーニングすることができ、イオン発生装置の性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、イオン発生電極をクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るイオン発生装置の構成を示す電気回路図である。
【図2】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図3】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極と接触している場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図4】第1実施形態に係る清掃部材の清掃部と移動部とを模式的に示す図であり、(A)は移動部に電圧を印加する回路のスイッチがオフの状態であり、(B)は移動部に電圧を印加する回路のスイッチがオンの状態である。
【図5】第1実施形態に係るイオン発生装置のより具体的な構成を示す電気回路図である。
【図6】イオン検知部の検知結果に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの制御処理を順に示すフローチャートである。
【図7】イオン発生電極への通電時間に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの制御処理を順に示すフローチャートである。
【図8】イオン発生電極への通電時間に基づいて清掃部材がイオン発生電極を自動的にクリーニングするときの他の制御処理を順に示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり(B)は側面図である。
【図10】第2実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極と接触している場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す図であり、(A)は平面図であり(B)は側面図である。
【図11】第3実施形態に係る清掃部材の清掃部がイオン発生電極から離れている場合の清掃部材とイオン発生電極とを模式的に示す平面図である。
【図12】第3実施形態に係る清掃部材の清掃部と移動部とを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、イオン発生装置100は、ダイオード10およびダイオード11と、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bと、イオン発生用の回路81と、イオン発生電極12aを清掃する清掃部材13と、イオン発生電極12bを清掃する清掃部材17と、清掃部材13に電圧を印加する回路82および回路83と、清掃部材17に電圧を印加する回路84および回路85と、マイコン8と、を備えている。ダイオード10およびダイオード11は、整流用高耐圧のものである。
【0030】
イオン発生電極12aは、針状に形成された先端部12eを有している(図2または図3参照)。図示は省略するが、イオン発生電極12bは、イオン発生電極12aと同様に針状に形成された先端部を有している。イオン発生電極12aおよびイオン発生電極12bは、縫い針の形状のように真っ直ぐ延びている。
【0031】
回路81は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに所定の電圧を印加する。清掃部材13はイオン発生電極12aを清掃し、清掃部材17はイオン発生電極12bを清掃する。回路82および回路83は清掃部材13に電圧を印加し、回路84および回路85は清掃部材17に電圧を印加する。回路81と回路82と回路83と回路84と回路85とは、マイコン8に制御されている。
【0032】
イオン発生装置100は、図示しない送風ファンを備えていてもよい。送風ファンは、風を発生させるものであり、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとで生成されるイオンは、送風ファンにて発生した風による気流とともに、イオン発生装置100の外部に送風される。
【0033】
なお、イオン発生装置100は、図示しない電気機器に備えられているものであってもよい。なお、電気機器は、例えば、扇風機、エアコン等の空気調和機、冷蔵庫、電気掃除機、洗濯機、冷却庫、または乾燥機であってもよい。
【0034】
回路81は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに所定の高電圧を印加する昇圧トランス7と、交流商用電源である入力電源1と、トランスの一次側回路と、を有している。一次側回路は、入力抵抗2、整流ダイオード3、コンデンサ4、トランス駆動用スイッチング素子5、フライホイールダイオード6、マイコン8、およびスイッチ9aを有している。一次側回路は、入力電源1から電力を受け取っている。
【0035】
トランス駆動用スイッチング素子5には、無ゲート2端子サイリスタ(新電元工業株式会社製のサイダック(登録商標))が用いられている。ただし、トランス駆動用スイッチング素子5には、若干異なる回路によって構成されたサイリスタ(SCR)が用いられていてもよい。また、入力電源1は、回路81と同様の動作が得られる回路であれば、直流電源であってもよい。すなわち、回路81の一次側回路は、上記のものに限定されず、後述する動作と同様の動作が得られる回路であればよい。
【0036】
イオン発生装置100では、イオン発生電極12aは正イオンを発生させる電極であり、イオン発生電極12bは負イオンを発生させる電極である。例えばイオン発生電極12aは、先端部12eに正イオンを発生させる。正イオン用の清掃部材13は、清掃部14aと清掃部14bと、清掃部14aを移動させる移動部15aと、清掃部14bを移動させる移動部15bと、を有している。負イオン用の清掃部材17は、清掃部18aと清掃部18bと、清掃部18aを移動させる移動部19aと、清掃部18bを移動させる移動部19bと、を有している。
【0037】
回路82は、スイッチ9bと直流電源16aとを有し、清掃部14aを移動させる移動部15aに所定の電圧を印加する。回路83は、スイッチ9cと直流電源16bとを有し、清掃部14bを移動させる移動部15bに所定の電圧を印加する。回路84は、スイッチ9dと直流電源20aとを有し、清掃部18aを移動させる移動部19aに所定の電圧を印加する。回路85は、スイッチ9eと直流電源20bとを有し、清掃部18bを移動させる移動部19bに所定の電圧を印加する。
【0038】
なお、イオン発生電極12bをクリーニングするための構成等は、イオン発生電極12aをクリーニングするための構成等と同様であるとして、説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。
【0040】
清掃部14aは、イオン発生電極12aの軸方向と交わる方向に移動し、清掃部14bは、イオン発生電極12aの軸方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。このような移動により、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。イオン発生電極12aの軸方向とは、イオン発生電極12aが延びる方向であり、図2(A)の紙面表裏方向であり、または、図2(B)の上下方向である。以下では、イオン発生電極12aの軸方向を単に軸方向と称呼する。
【0041】
図2に示すように、イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが軸方向を基準に互いに対向するように配置されている。また、清掃部14aと清掃部14bとは、軸方向を基準に互いに対称に配置されている。つまり、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aと接触するときは、互いに同等の距離を移動する。
【0042】
ただし、清掃部14aと清掃部14bとは、軸方向を基準に互いに対向していない位置に配置されていてもよく、イオン発生電極12aと接触するための移動量がそれぞれ異なっていてもよい。清掃部14aと清掃部14bとは、それぞれの移動速度と、互いの配置とに関し、適宜変更されていてもよい。
【0043】
以下では、イオン発生装置100がイオンを発生させる際の運転、すなわち、イオン発生装置100の通常運転について説明する。
【0044】
一次側回路では、入力電源1の電圧により、入力抵抗2と整流ダイオード3とを介してコンデンサ4が充電される。コンデンサ4の両端の電圧が規定電圧以上に達したときはトランス駆動用スイッチング素子5がオンして、昇圧トランス7の一次側巻線7aに電圧が印加される。その直後、コンデンサ4に充電されたエネルギーは、一次側巻線7aとトランス駆動用スイッチング素子5とを通じて放電され、コンデンサ4の両端の電圧はゼロに戻る。コンデンサ4は再び充電され、規定周期で充電と放電とが繰り返される。
【0045】
トランスの二次側回路では、一次側回路のトランス駆動用スイッチング素子5がオンすることにより、一次側のエネルギーが昇圧トランス7の二次側巻線7bに伝達され、昇圧トランス7の二次側巻線7bの両端に交番電圧のインパルス波形が印加される。このインパルス波形は、ダイオード10とダイオード11とを通じてイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに印加される。
【0046】
このように整流された高電圧がイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとに印加されることにより、空気中の酸素分子ないしは水分子は、放電によって生成された電子からエネルギーを受けてイオン化する。このとき、H+(H2O)m(mは任意の自然数)とO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを主としたイオンが生成される。イオン発生装置100は、これらのイオンをファン等により空間に放出させる。
【0047】
次に、イオン発生装置100のイオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bがクリーニングされる際の運転、すなわち、イオン発生装置100のクリーニング運転について説明する。
【0048】
スイッチ9a、9b、9c、9d、および9eは、マイコン8によって同期的に制御されている。通常運転のときは、スイッチ9aが短絡状態であり、スイッチ9b、9c、9d、および9eが開放状態である。一方、クリーニング運転のときは、スイッチ9aが開放状態であり、スイッチ9b、9c、9d、および9eは開放状態と短絡状態とが切り替えられる。
【0049】
図4(A)および図4(B)に示すように、移動部15aと移動部15bとは電磁石である。移動部15aと移動部15bとは、一般的な電磁石のように、磁性材料の芯のまわりにコイルが巻かれ、通電されることによって一時的に磁力を発生させる。電流が止められるときには電磁石の磁力が失われ、電流の方向が変更されることによって電磁石の極を変更することができる。
【0050】
図4(B)に示すように、スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態になったときには、移動部15aと移動部15bとにそれぞれ矢印の方向に電流が流れ、移動部15aと移動部15bとには磁力が発生する。これにより、移動部15aと移動部15bとは、互いにイオン発生電極12aに向かって移動する。また、スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態になったときには、移動部15aと移動部15bとが異なる極で対向する。そのため、移動部15aと移動部15bとは、磁力の作用によって互いにイオン発生電極12aに向かって円滑に移動する。
【0051】
移動部15aと移動部15bとは、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに向かって移動した後は、図4(A)のように元の位置に戻るように構成されている。移動部15aと移動部15bとは、例えばバネ等の付勢部材を有している。付勢部材は、磁力に反発する方向に移動部15aと移動部15bとを付勢している。そのため、スイッチ9bおよびスイッチ9cが開放状態になったときには、付勢部材の付勢力により、図4(A)のように移動部15aと移動部15bとが元の位置に戻る。
【0052】
また、例えば、回路82または回路83が交流電源を有している場合は、交流電源を有する回路に接続された電磁石の極は、電流の方向によって変更される。移動部15aと移動部15bとは、交流電源を有する回路に接続された電磁石の極が変更されることにより、移動部15aと移動部15bとが反発して互いに離れるように構成されていてもよい。
【0053】
清掃部14a、14b、18a、および18bは、スポンジ、シリコンゴム、ブラシ、または綿等から作られている。清掃部14a、14b、18a、および18bは、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに接触するときにイオン発生電極12aとイオン発生電極12bとが変形することが無いように、柔軟性を有する材料で作られている。
【0054】
例えば正イオン用の清掃部材13において、スイッチ9bが短絡状態になったときは移動部15aに所定の電圧が印加され、スイッチ9cが短絡状態になったときは移動部15bに所定の電圧が印加される。これにより、例えば移動部15aおよび移動部15bは、イオン発生電極12aに向かって移動する。その結果、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに直接的に接触する(図2と図3とを参照)。これにより、イオン発生電極12aがクリーニングされる。スイッチ9bおよびスイッチ9cが短絡状態から開放状態になるときには、移動部15aと移動部15bとは、図2に示すような元の位置に戻る。
【0055】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが、イオン発生電極12aに複数回直接的に接触することにしてもよい。すなわち、スイッチ9bとスイッチ9cとの短絡状態と開放状態とがそれぞれ繰り返されることにより、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに繰り返して接触し、イオン発生電極12aに付着している塵埃等が除去される。
【0056】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとが、イオン発生電極12aの先端部12eにそれぞれ同時に接触するように、スイッチ9bとスイッチ9cとがマイコン8に制御されている。ただし、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに接触するタイミングは、それぞれ別であってもよい。つまり、清掃部14aと清掃部14bとは、それぞれ交互または別にイオン発生電極12aの先端部12eに接触してもよい。
【0057】
以下では、イオン発生装置100のクリーニング運転に係る制御について説明する。図5に示すように、イオン発生装置100は、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとにおいて発生するイオンの量を検知するイオン検知部22を備えている。イオン検知部22は、マイコン21と、イオン捕集部23aと、イオン捕集部23bと、を有している。イオン捕集部23aは、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量(すなわち正イオンの量)を検知する。イオン捕集部23bは、イオン発生電極12bにおいて発生するイオンの量(すなわち負イオンの量)を検知する。
【0058】
イオン捕集部23aとイオン捕集部23bとは、正イオンまたは負イオンを検知し、検知したイオンの量に基づく信号をマイコン21に送信する。マイコン21は、イオン捕集部23aとイオン捕集部23bとから送信された信号に基づく信号をマイコン8に送信する。マイコン8は、マイコン21から送信された信号に基づき、回路81のスイッチ9aと、スイッチ9b、9c、9d、および9eとに所定の信号を送信する。スイッチ9a、9b、9c、9d、および9eは、マイコン8から送信される所定の信号に基づき、開放状態と短絡状態とが切り替えられる。
【0059】
続いて、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0060】
図6に示すように、ステップS601では、イオン検知部22によるセンシングが開始される。ステップS602では、イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるか否かが判断される。イオンの量が所定の量以下であるときには、ステップS603に進む。イオンの量が所定の量以下でない場合には、ステップS602に戻る。イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bのクリーニングが必要であることが判断される。イオン発生装置100では、図6等に示す判断をマイコン8が判断している。すなわち、マイコン8は、判定部としての機能を有している。
【0061】
ステップS603では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が停止される。マイコン8は、回路81のスイッチ9aを短絡状態から開放状態に切り替える。
【0062】
ステップS604では、イオン発生装置100のクリーニング運転が開始される。ステップS604では、マイコン8は、イオン発生装置100がクリーニング運転を行うように、スイッチ9b、9c、9d、および9eを制御する。このとき、スイッチ9b、9c、9d、および9eは、所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられる。また、ステップS604では、イオン検知部22によるセンシングの動作が停止される。
【0063】
ステップS605では、例えば清掃部14aと清掃部14bとが所定の回数だけイオン発生電極12aの先端部12eに接触したか否かが判断される。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられたと判断される場合には、ステップS606に進む。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられていないと判断される場合には、ステップS605に戻る。
【0064】
ステップS606では、リセット時間(Trs)が経過したか否かが判断される。リセット時間(Trs)とは、イオン検知部22によるセンシングの動作が停止されてから現在までに経過した時間のことである。リセット時間(Trs)が経過していると判断される場合には、ステップS601に戻る。リセット時間(Trs)が経過していないと判断される場合には、ステップS606に戻る。
【0065】
図5に示すように、イオン発生装置100は、タイマー8aを備えている。例えばマイコン8が、タイマー8aを有している。タイマー8aは、リセット時間(Trs)を計測することができる。
【0066】
ステップS601およびステップS602のように、クリーニング運転を行うための所定のイオンの量(例えば、初期のイオンの発生量の90%)を予め設定しておくことにより、クリーニング運転を自動的に行うことができる。
【0067】
クリーニング運転が終了した後に十分なリセット時間(Trs)(例えば1分間)が設定されていない場合には、クリーニング運転が終了した直後または通常運転が開始された直後にイオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bの放電の状態が安定せずにイオン検知部22が検知するイオンの量が所定の量以下のままであり、クリーニング運転が連続して動作し続けるというような問題が発生する可能性がある。しかしながら、イオン発生装置100では、ステップS604のように、クリーニング運転が行われている間はイオン検知部22のセンシングの動作が停止されている。そのため、イオン発生装置100では、クリーニング運転が連続して動作し続けるというような問題を防ぐことができる。
【0068】
以下では、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理の他の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0069】
図7に示す制御処理の例は、イオン検知部22によって検知されたイオンの量が所定の量以下であるか否かの判断とは異なり、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間の合計が所定の値以上であるか否かが判断される。
【0070】
ステップS701では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が停止される。マイコン8は、回路81のスイッチ9aを短絡状態から開放状態に切り替える。
【0071】
ステップS702では、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに高電圧が印加された時間の合計(通電時間(Te))が所定の時間(Ttr)以上であるか否かが判断される。タイマー8aは、通電時間(Te)を計測している。例えばマイコン8が、タイマー8aを有している。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上であるときには、ステップS703に進む。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上であるときには、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bのクリーニングが必要であることが判断される。通電時間(Te)が所定の時間(Ttr)以上でない場合には、ステップS705に進む。
【0072】
なお、ステップS702では、イオン発生電極12aまたはイオン発生電極12bに高電圧が印加された回数、例えばコンデンサ4(図1参照)の充電と放電との回数が、所定の回数以上であるか否かを判断するステップであってもよい。
【0073】
ステップS703では、イオン発生装置100のクリーニング運転が開始される。ステップS703は、図6に示すステップS604と同様のステップである。
【0074】
ステップS704では、リセット時間(Trs)が経過したか否かが判断される。リセット時間(Trs)が経過していると判断される場合には、ステップS705に進む。リセット時間(Trs)が経過していないと判断される場合には、ステップS704に戻る。ステップS705では、イオン発生電極12aとイオン発生電極12bとへの通電が待機される。
【0075】
以下では、イオン検知部22の検知結果に基づいて清掃部材13がイオン発生電極12aを自動的にクリーニングするときの制御処理のさらに他の一例について、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図8に示す制御処理の例は、図7に示す制御処理の例に図6に示すステップS605の内容がステップS804として加えられている。
【0077】
ステップS801は、ステップS701と同様のステップである。ステップS802はステップS702と同様のステップであり、ステップS803はステップS703と同様のステップである。ステップS805はステップS704と同様のステップであり、ステップS806はステップS705と同様のステップである。
【0078】
ステップS804において、スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられたと判断される場合には、ステップS805に進む。スイッチ9b、9c、9d、および9eが所定の回数だけ開放状態と短絡状態とが切り替えられていないと判断される場合には、ステップS804に戻る。
【0079】
以上のように、イオン発生装置100は、例えば、イオン発生電極12aと、清掃部14aと、移動部15aと、清掃部14bと、移動部15bと、を備えている。イオン発生電極12aは、針状の先端部12eを有し、所定の電圧が印加されることによって先端部12eにイオンを発生させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15aは、清掃部14aがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14aを移動させる。清掃部14bは、清掃部14aの位置とは異なる位置であってイオン発生電極12aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。移動部15bは、清掃部14bがイオン発生電極12aの先端部12eと直接的に接触するように清掃部14bを移動させる。清掃部14aは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向に移動する。清掃部14bは、イオン発生電極12aが延びる方向と交わる方向であって清掃部14aが移動する方向とは異なる方向に移動する。
【0080】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に触れ、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに付着している塵埃等の物質を除去する。このように、イオン発生装置100では、異なる二つの清掃部14aと清掃部14bとをイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に接触させるといった比較的簡単な方法により、イオン発生電極12aがクリーニングされる。そのため、イオン発生装置100の構造を簡素にすることができる。イオン発生装置100の構造が簡素である場合は、イオン発生装置100を容易に小型化することができる。したがって、イオン発生電極12aをクリーニングするための構造を簡素にすることができ、且つ、容易に小型化されるイオン発生装置100を提供することができる。
【0081】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aを基準に互いに対向するように配置されている。
【0082】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aのサイズと清掃部14bとのサイズが比較的小さい場合であっても、清掃部14aと清掃部14bとでイオン発生電極12aを挟むことができ、イオン発生電極12aを確実にクリーニングすることができる。
【0083】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aを基準に互いに対称に配置されている。
【0084】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aをクリーニングする際の清掃部14aの移動距離と清掃部14bの移動距離とを等しくすることができる。これにより、清掃部14aがイオン発生電極12aに接触するときの荷重と、清掃部14bがイオン発生電極12aに接触するときの荷重と、を容易に略同一にすることができる。この場合は、清掃部14aと清掃部14bとによってイオン発生電極12aに不均一な荷重が負荷されることを防止できる。
【0085】
イオン発生装置100では、移動部15aと移動部15bとは電磁石である。
【0086】
イオン発生装置100によれば、電磁石といった既存の移動手段を利用することによって移動部15aと移動部15bとを簡単に構成することができる。電磁石を利用する移動部15aと移動部15bとは、電圧および電流によって容易に制御される。そのため、清掃部14aと清掃部14bとのそれぞれの移動速度と、清掃部14aと清掃部14bとの互いの配置等とに関し、設計の自由度を拡大することができる。
【0087】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、柔軟性を有する材料で作られている。これにより、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aの先端部12eに直接的に接触するときにイオン発生電極12aが変形または損傷することを防止することができる。
【0088】
イオン発生装置100では、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに複数回直接的に接触する。
【0089】
イオン発生装置100によれば、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する回数を増加させることができる。そのため、清掃部14aと清掃部14bとは、イオン発生電極12aに確実に接触することができる。
【0090】
イオン発生装置100は、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間を計測するタイマー8aを備えている。タイマー8aが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。
【0091】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aに高電圧が印加された時間の合計が所定の時間以上であるときに、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。そのため、イオン発生電極12aをクリーニングする頻度を比較的少なくすることができ、無駄なく効果的にイオン発生電極12aをクリーニングすることができる。
【0092】
イオン発生装置100は、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量を検知するイオン検知部22を備えている。イオン検知部22によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。
【0093】
イオン発生装置100によれば、イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量が所定の量以下であるときに、清掃部14aと清掃部14bとがイオン発生電極12aに直接的に接触する。イオン発生電極12aにおいて発生するイオンの量が所定の量以下であるときには、イオン発生電極12aが予め定められた程度よりも汚染されていること、つまり、イオン発生電極12aのクリーニングが必要であることが判断される。そのため、イオン発生装置100が使用される用途またはイオン発生装置100が設置される環境(汚染度)にかかわらず、最適な時期にイオン発生電極12aをクリーニングすることができ、イオン発生装置100の性能を維持することができる。
【0094】
(第2実施形態)
以下では、イオン発生装置100の清掃部材の他の一例について説明する。なお、前記第1実施形態のものと同一の機能を有するものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
図9に示すように、例えば正イオン用の清掃部材33の清掃部34aおよび清掃部34bの形状は、第1実施形態の清掃部材13の清掃部14aおよび清掃部14bの形状と異なっている。また、図示は省略するが、負イオン用の清掃部材の清掃部の形状は、第1実施形態の清掃部材17の清掃部18aおよび清掃部18bの形状と異なっている。
【0096】
イオン発生電極12aに面した清掃部34aの面341が延びる方向は、軸方向から見て、清掃部34aの移動方向と直交する方向から傾斜している。イオン発生電極12aに面した清掃部34bの面342が延びる方向は、清掃部34bの移動方向と直交する方向から傾斜している。清掃部34aの移動方向と清掃部34bの移動方向とは、図9(A)および図9(B)の左右方向である。また、清掃部34aの移動方向と清掃部34bの移動方向と直交する方向とは、図9(A)の上下方向である。さらに、軸方向は、図9(A)の紙面表裏方向であり、図9(B)の上下方向である。
【0097】
例えば図9(A)を正面から見て、清掃部34aの面341は、図9(A)の上下方向から傾斜するように延びている。例えば図9(A)を正面から見て、清掃部34bの面342は、図9(A)の上下方向から傾斜するように延びている。
【0098】
図9(A)に示すように、清掃部34aの面341が延びる方向と、清掃部34bの面342が延びる方向とは、互いに略平行である。これにより、清掃部34aと清掃部34bとがイオン発生電極12aの先端部12eに接触するときは、イオン発生電極12aの軸方向を中心とする円の円周方向の先端部12eの表面全体が、清掃部34aと清掃部34bとによって包まれる。そのため、イオン発生電極12aの表面の広い範囲が清掃部34aと清掃部34bとによってクリーニングされる。
【0099】
清掃部材33の清掃部34aと清掃部34bとの形状によれば、清掃部34aと清掃部34bとがイオン発生電極12aに直接的に接触するための面積を比較的大きくすることができる。そのため、清掃部34aと清掃部34bとは、イオン発生電極12aに確実に直接的に接触する。したがって、清掃部材33によれば、イオン発生電極12aのクリーニングが容易になる。
【0100】
(第3実施形態)
本実施形態では、イオン発生装置100の清掃部材のさらに他の一例について説明する。なお、前記各実施形態のものと同一の機能を有するものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
図12に示すように、例えば正イオン用の清掃部材43は、それぞれ移動部45aと移動部45bとに、モータ451aとモータ451bとが用いられた簡素な機構によって構成されている。また、図示は省略するが、負イオン用の清掃部材は、第1実施形態の清掃部材17と異なり、清掃部材43のように簡素な機構によって構成されている。
【0102】
例えば移動部45aは、モータ451aと支持部材453aとを有している。支持部材453aは、清掃部44aを支持している。モータ451aは、モータ軸452aを有している。図12に示すように、モータ軸452aには、モータ軸452aの表面のうち、モータ軸452aの軸心を中心とする円の円周方向の表面に複数の歯455aが形成されている。支持部材453aは支持軸454aを有し、支持軸454aには、モータ軸452aの歯455aと噛み合うラック456aが形成されている。
【0103】
清掃部44aと清掃部44bとは、軸方向を基準に互いに対向するように配置されている。また、清掃部44aと清掃部44bとは、軸方向を基準に互いに対称に配置されている。つまり、清掃部44aと清掃部44bとは、イオン発生電極12aと接触するときは、互いに同等の距離を移動する。
【0104】
モータ451aおよびモータ451bは、清掃部材43に電圧を印加する回路(図示せず)に接続されている。モータ451aは、図12に示す方向R1と方向R2とに回転することができる。
【0105】
一方、移動部45bは、モータ軸452bを有するモータ451bと、支持軸454bを有する支持部材453bと、を有している。移動部45bのその他の構成は、移動部45aのように構成されている。
【0106】
モータ軸452aが方向R1に回転するときは、支持部材453aと清掃部44aとが方向L1に移動する。支持部材453aと清掃部44aとが方向L1に移動するときは、支持部材453aと清掃部44aとがイオン発生電極12aに接近する。このように、清掃部44aと清掃部44bとがイオン発生電極12aに直接的に接触し、イオン発生電極12aがクリーニングされる。モータ軸452aが方向R2に回転するときは、支持部材453aと清掃部44aとが方向L2に移動し、支持部材453aと清掃部44aとがイオン発生電極12aから離れていく。
【0107】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0108】
8:マイコン、8a:タイマー、12a,12b:イオン発生電極、12e:先端部、14a,18a:清掃部(第1の清掃部)、15a,19a:移動部(第1の移動部)、14b,18b:清掃部(第2の清掃部)、15b,19b:移動部(第2の移動部)、22:イオン検知部、100:イオン発生装置、341:面(第1の清掃部の面)、342:面(第2の清掃部の面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状の先端部を有し、所定の電圧が印加されることによって前記先端部にイオンを発生させるイオン発生電極と、
前記イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置された第1の清掃部と、
前記第1の清掃部が前記イオン発生電極の前記先端部と直接的に接触するように前記第1の清掃部を移動させる第1の移動部と、
前記第1の清掃部の位置とは異なる位置であって前記イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置された第2の清掃部と、
前記第2の清掃部が前記イオン発生電極の前記先端部と直接的に接触するように前記第2の清掃部を移動させる第2の移動部と、
を備え、
前記第1の清掃部は、前記イオン発生電極が延びる方向と交わる方向に移動し、前記第2の清掃部は、前記イオン発生電極が延びる方向と交わる方向であって前記第1の清掃部が移動する方向とは異なる方向に移動する、
イオン発生装置。
【請求項2】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極を基準に互いに対向するように配置されている、
請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極を基準に互いに対称に配置されている、
請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記第1の移動部と前記第2の移動部とは電磁石である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは柔軟性を有する材料で作られている、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン発生電極が延びる方向から見て、前記イオン発生電極に面した前記第1の清掃部の面が延びる方向は、前記第1の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜し、前記イオン発生電極に面した前記第2の清掃部の面が延びる方向は、前記第2の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜している、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極に複数回直接的に接触する、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生電極に高電圧が印加された時間を計測するタイマーを備え、
前記タイマーが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが前記イオン発生電極に直接的に接触する、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記イオン発生電極において発生するイオンの量を検知するイオン検知部を備え、
前記イオン検知部によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが前記イオン発生電極に直接的に接触する、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項1】
針状の先端部を有し、所定の電圧が印加されることによって前記先端部にイオンを発生させるイオン発生電極と、
前記イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置された第1の清掃部と、
前記第1の清掃部が前記イオン発生電極の前記先端部と直接的に接触するように前記第1の清掃部を移動させる第1の移動部と、
前記第1の清掃部の位置とは異なる位置であって前記イオン発生電極から所定の距離だけ離間した位置に配置された第2の清掃部と、
前記第2の清掃部が前記イオン発生電極の前記先端部と直接的に接触するように前記第2の清掃部を移動させる第2の移動部と、
を備え、
前記第1の清掃部は、前記イオン発生電極が延びる方向と交わる方向に移動し、前記第2の清掃部は、前記イオン発生電極が延びる方向と交わる方向であって前記第1の清掃部が移動する方向とは異なる方向に移動する、
イオン発生装置。
【請求項2】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極を基準に互いに対向するように配置されている、
請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極を基準に互いに対称に配置されている、
請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記第1の移動部と前記第2の移動部とは電磁石である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは柔軟性を有する材料で作られている、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン発生電極が延びる方向から見て、前記イオン発生電極に面した前記第1の清掃部の面が延びる方向は、前記第1の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜し、前記イオン発生電極に面した前記第2の清掃部の面が延びる方向は、前記第2の清掃部の移動方向と直交する方向から傾斜している、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とは、前記イオン発生電極に複数回直接的に接触する、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生電極に高電圧が印加された時間を計測するタイマーを備え、
前記タイマーが計測した時間の合計が所定の時間以上であるときには、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが前記イオン発生電極に直接的に接触する、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記イオン発生電極において発生するイオンの量を検知するイオン検知部を備え、
前記イオン検知部によって検知されるイオンの量が所定の量以下であるときには、前記第1の清掃部と前記第2の清掃部とが前記イオン発生電極に直接的に接触する、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−4007(P2012−4007A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139070(P2010−139070)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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