説明

イオン発生装置

【課題】送風手段として放電により気流を発生させる気流誘起部を用いて装置構成を小型化しつつ、外部に放出されるイオンのイオンバランスを適正に維持することができるイオン発生装置を提供する。
【解決手段】空気の吸込口5とイオン発生器3との間の通風路8に、放電を発生させてイオン発生器3に向かう気流を誘起する気流誘起部2と、気流誘起部2の下流側に位置し、気流誘起部2の放電により発生したイオンを捕集する捕集電極4とを備えている。気流誘起部2は、通風路8の内壁に沿って配置された板状の誘電体21と、誘電体21の両面に設けられ、高周波電圧が印加される2つの放電電極22,23とを備え、一方の電極22は通風路8の内部側に位置し、他方の電極23は通風路8の外部側に位置し、一方の電極22は、他方の電極23よりも上流側に位置して通風路8内に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中にイオンを放出するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン発生装置では、イオン発生器で発生させたイオンを含んだ空気をファンの回転によって発生する風によって外部に吹き出している(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、放電によって気流を誘起するプラズマアクチュエータを用いたガス浄化装置が開示されている。このガス浄化装置では、誘電体を介して2つの電極(第1の放電電極及び第2の放電電極)を対向配置し、これら第1及び第2の放電電極に対して高周波電圧を印加して誘電体バリア放電を発生させ、誘電体バリア放電により一定方向に気流が流れるように配置することで、気流誘起部を形成している。気流誘起部における気流の流れ方向の下流側に、供給されたガス(空気)中の不純物を浄化する浄化処理手段を備えた浄化処理部を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080425号公報
【特許文献2】特開2008−289801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のイオン発生装置では、送風ファンの設置スペースのために装置が大型化し、また、ファンの騒音が大きいという問題がある。
一方、イオンを含んだ空気を送風する手段としてプラズマアクチュエータを用いた場合、外部に吹き出すイオンを含む空気にプラズマアクチュエータでの放電により発生したイオンが混入し、イオンバランスが悪くなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、送風手段として放電により気流を発生させる気流誘起部(プラズマアクチュエータ)を用いて装置構成を小型化しつつ、外部に放出されるイオンのイオンバランスを適正に維持することができるイオン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るイオン発生装置は、空気の吸込口と吹出口とを繋ぐ通風路にイオン発生器を備えたイオン発生装置において、前記吸込口とイオン発生器との間の前記通風路に、放電を発生させて前記イオン発生器に向かう気流を誘起する気流誘起部と、該気流誘起部の下流側に位置し、該気流誘起部の放電により発生したイオンを捕集する捕集電極とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、吸込口とイオン発生器との間の通風路に備えた気流誘起部で放電が発生してイオン発生器に向かう気流が誘起され、吸込口から吹出口に向かって通風路を空気が流れる。吸込口から吸い込まれた空気には、気流誘起部を通過する際に気流誘起部の放電により発生したイオンが混入するが、混入したイオンは気流誘起部の下流側に位置した捕集電極で捕集される。捕集電極を通過し、気流誘起部の放電により発生したイオンが除去された空気はイオン発生器で発生したイオンが付加され、吹出口から外部に吹き出す。
【0009】
本発明に係るイオン発生装置は、前記捕集電極は、前記通風路の内壁に配置された板状電極又は筒状電極であることを特徴とする。
本発明においては、気流誘起部の放電により発生したイオンが通風路の内壁に配置された板状の捕集電極又は筒状の捕集電極に吸引されて捕集される。その結果、捕集電極を簡略化することができる。また、筒状の捕集電極では通風路の全周においてイオンを良好に捕集することができる。
【0010】
本発明に係るイオン発生装置は、前記捕集電極は、前記通風路を横断するように配置された多孔状の電極材に形成してあることを特徴とする。
本発明においては、気流誘起部の放電により発生したイオンは通風路を横断するように配置された多孔状の電極材に形成した捕集電極に接触して捕集される。その結果、通風路を流れる空気に比較的高濃度で混入したイオンについても良好に捕集することができる。
【0011】
本発明に係るイオン発生装置は、前記気流誘起部は、前記通風路の内壁に沿って配置された板状の誘電体と、該誘電体の両面に設けられ、高周波電圧が印加される2つの放電電極とを備え、該2つの放電電極の一方は前記通風路の内部側に位置し、他方は前記通風路の外部側に位置しており、前記一方の放電電極は、他方の放電電極よりも上流側に位置して前記通風路内に露出しているか、又は、下流側部分のみが前記通風路内に露出していることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、通風路の内壁に沿って配置された板状の誘電体の両面に設けられた2つの放電電極の一方は、通風路の内部側に位置し、通風路の外部側に位置した他方の放電電極よりも上流側に位置して通風路内に露出しているので、2つの放電電極間に高周波電圧が印加されると、通風路の内部側に位置した一方の放電電極の下流側部分に近い誘電体の表面付近の空気が放電し、放電により過剰になった正及び負のイオンが一方の放電電極から遠ざかる向きの静電力を受け、通風路の下流側のイオン発生器に向かう気流が誘起される。
又は、通風路の内壁に沿って配置された板状の誘電体の両面に設けられた2つの放電電極の一方は、通風路の内部側に位置し、下流側部分のみが通風路内に露出しているので、2つの放電電極間に高周波電圧が印加されると、通風路の内部側に位置した一方の放電電極の通風路内に露出していない部分では放電が発生せず、通風路内に露出した下流側部分に近い誘電体の表面付近の空気が放電し、放電により過剰になった正及び負のイオンが一方の放電電極から遠ざかる向きの静電力を受け、通風路の下流側のイオン発生器に向かう気流が誘起される。
【0013】
本発明に係るイオン発生装置は、前記吸込口を複数備え、前記通風路は、一端が前記吹出口に繋がる主風路と、一端が前記各吸込口に繋がり、他端が前記主風路の他端に繋がる複数の副風路とを備え、前記複数の副風路の夫々又は各副風路と主風路との合流箇所に、前記気流誘起部が設けてあり、前記捕集電極及びイオン発生器は、前記主風路に設けてあることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、複数の副風路の夫々又は各副風路と主風路との合流箇所に設けた気流誘起部によって、各副風路から主風路に向かう気流が誘起され、各吸込口から各副風路に空気が吸い込まれ、主風路に合流する。各吸込口から吸い込まれた空気は、各気流誘起部を通過する際に気流誘起部の放電により発生したイオンが混入するが、主風路に設けた捕集電極で混入したイオンが捕集される。捕集電極を通過し、気流誘起部の放電により発生したイオンが除去された空気は主風路に設けたイオン発生器で発生したイオンが付加され、吹出口から外部に吹き出す。
【0015】
本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生器は、正イオンと負イオンとを発生させることを特徴とする。
本発明においては、気流誘起部の放電により発生したイオンが捕集電極によって除去された空気にイオン発生器で発生した正イオンと負イオンとが付加され、吹出口から外部に吹き出す。特に正イオン及び負イオンは同時に空気中に放出して菌やカビ等の微生物や臭い成分を分解するために必要な正イオンの量と負イオンの量とのバランスを適正な状態に維持することができる。
【0016】
本発明に係るイオン発生装置は、前記気流誘起部とイオン発生器との間の通風路に、前記気流誘起部での放電により発生したオゾンを分解するオゾンフィルタを備えていることを特徴とする。
本発明においては、気流誘起部での放電により発生したオゾンがオゾンフィルタによって分解除去された空気にイオン発生器で発生したイオンが付加され、吹出口から外部に吹き出すので、有害なオゾンが外部に放出されることが防止される。
【0017】
本発明に係るイオン発生装置は、空気の吸込口と吹出口とを繋ぐ通風路にイオン発生器を備えたイオン発生装置において、前記吸込口とイオン発生器との間の前記通風路に、放電を発生させて前記イオン発生器に向かう気流を誘起する気流誘起部と、該気流誘起部の下流側に位置したオゾンフィルタとを備え、該オゾンフィルタは、オゾンの分解処理剤を担持した導電基材が、前記通風路内に露出していることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、吸込口とイオン発生器との間の通風路に備えた気流誘起部で放電が発生してイオン発生器に向かう気流が誘起され、吸込口から吹出口に向かって通風路を空気が流れる。吸込口から吸い込まれた空気は、気流誘起部を通過する際に気流誘起部の放電により発生したイオン及びオゾンが混入するが、気流誘起部の下流側に位置し、オゾンの分解処理剤を担持した導電基材が通風路内に露出したオゾンフィルタを通過する際に分解処理剤によってオゾンが分解され、導電基材によってイオンが捕集される。オゾンフィルタを通過して、気流誘起部の放電により発生したイオン及びオゾンが除去された空気はイオン発生器で発生したイオンが付加され、吹出口から外部に吹き出す。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、送風手段として放電により気流を発生させる気流誘起部(プラズマアクチュエータ)を用いて装置構成を小型化しつつ、気流誘起部の放電により発生したイオンを気流誘起部の下流側に位置した捕集電極で捕集するので、イオン発生器で発生し外部に放出されるイオンのイオンバランスを適正に維持することができるイオン発生装置が提供される。
【0020】
本発明によれば、送風手段として放電により気流を発生させる気流誘起部(プラズマアクチュエータ)を用いて装置構成を小型化しつつ、気流誘起部の放電により発生したイオンの捕集及びオゾンの分解除去を気流誘起部の下流側に位置したオゾンフィルタで同時に行うので、簡略化した構成によりイオン発生器で発生し外部に放出されるイオンのイオンバランスを適正に維持すると共にオゾンの外部への放出も防止することができるイオン発生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。
【図2】プラズマアクチュエータの動作を説明する図である。
【図3】イオン発生器の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。
【図5】図4のV−V線における横断断面図である。
【図6】実施の形態2に係るイオン発生装置の変形例を示す横断断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るイオン発生装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図、図2はプラズマアクチュエータの動作を説明する図、図3はイオン発生器の斜視図である。
【0023】
本実施形態に係るイオン発生装置10は、筺体1、送風装置としてのプラズマアクチュエータ2、イオンを発生させるイオン発生器3、プラズマアクチュエータ2から発生したイオンを捕集する捕集電極4などを備えている。
【0024】
筺体1は略直方体の形状をしており、下部側面に吸込口5を有し、上面に吹出口6を有する。筺体1の内部には吸込口5と吹出口6とを連通する通風路8が形成されている。吸込口5にはメッシュ状の集塵フィルタ7が備えられており、大きなゴミがイオン発生装置内に侵入することを防止している。通風路8は、一端が吸込口5に繋がる横風路81と、上端が吹出口6に繋がる縦風路82とを備え、横風路81の他端が縦風路82の下部に連通している。
【0025】
プラズマアクチュエータ2は、縦風路82の下部の吸込口5とは反対側の内壁に設けてある。プラズマアクチュエータ2は、片面が縦風路82に露出するように内壁面に沿って配置された板状の誘電体21と、該誘電体21の両面に配置された2つの放電電極22,23とを備えている。縦風路82側に位置する一方の放電電極22は縦風路82内に露出し、他方の放電電極23は絶縁体24で被覆されている。一方の放電電極22は他方の放電電極23よりも縦風路82における風路方向の上流側に位置している。ここで、縦風路82の風路方向は下から上に向かう方向であり、放電電極22が下側、放電電極23が上側に配置されている。放電電極22と放電電極23とは、筺体1内に配置されている放電用電源9に接続されている。
【0026】
プラズマアクチュエータ2では、放電電極22と放電電極23との間に放電用電源9から供給される高圧(1〜10kV程度)の高周波交流電圧を印加すると、露出した放電電極22の下流側部分に近い誘電体21の表面付近の空気が絶縁破壊して放電が発生し、誘電体21の表面に沿って放電電極22から遠ざかる向き(図1で上向き)の風の流れ(気流)が発生する。露出していない放電電極23の部分では放電は発生しない。
【0027】
具体的には、放電電極22が正の電位にあるとき、放電電極22の下流側部分に近い箇所で放電が発生する。移動度が遅いために過剰になった正のイオンは印加した電界によって正電位の放電電極22から遠ざかる向きの静電力を受け、中性粒子に衝突して移動力を与える(図2参照)。放電電極22が負の電位にあるとき、同様に放電電極22の下流側部分に近い箇所で放電が発生して負のイオンが過剰になり、印加した電界によって負電位の放電電極22から遠ざかる向きの静電力を受けた負のイオンが中性粒子に衝突し、正の電位のときと同じ向きの移動力を与える。
【0028】
イオン発生器3は、縦風路82内の壁面にイオンを発生させる2つの針状の放電電極31,32が風路内に露出するように設けられている。イオン発生器3は筐体33を有し、各放電電極31,32は筐体33内に設けたプリント基板等の保持体(不図示)で保持されている。筐体33内に設けられた給電部(不図示)から各放電電極31,32に電圧を供給することによって放電電極31,32がイオンを発生する。
【0029】
一方の放電電極31には正電圧が印加され、放電によるプラズマ領域で空気中の水分子が電気的に分解して主として水素イオンH+ が生成される。そして、生成された水素イオンの周りに空気中の水分子が凝集し、正のクラスターイオンH+ (H2 O)m が形成される。ここで、mは任意の自然数である。他方の放電電極32には負電圧が印加され、放電によるプラズマ領域で空気中の酸素分子が電気的に分解して主として酸素イオンO2-が生成される。そして、生成された酸素イオンの周りに空気中の水分子が凝集し、負のクラスターイオンO2-(H2 O)n が形成される。ここで、nは0または任意の自然数である。
【0030】
正イオン及び負イオンは同時に空気中に放出されると、菌やカビ等の微生物や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、瞬間的に正イオンと負イオンが結合して酸化力の非常に高い活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を微生物等の表面上で生成する。この化学反応により微生物の表面のタンパク質や臭い成分を分解してその働きを抑制する。
【0031】
なお、本実施形態では、2つの放電電極31,32から発生するイオンの極性を固定しているが、所定時間毎に極性を切り換えてもよい。また、正のイオンと負のイオンとを発生させているが、負のイオンのみを発生させてもよい。
【0032】
捕集電極4は、プラズマアクチュエータ2の下流側でイオン発生器3の上流側に、電極面(板面)が縦風路82に露出するように設けられた板状の電極である。捕集電極4はアースに接続されており、プラズマアクチュエータ2が発生させたイオンは捕集電極4に接触して大部分捕集される。したがって、捕集電極4よりも下流側にはプラズマアクチュエータ2が発生させたイオンはほとんど流れず、イオン発生器3が発生させたイオンが付加される空気に混入しない。
【0033】
次に、イオン発生装置10の動作について説明する。
運転を開始すると、イオン発生器3及びプラズマアクチュエータ2が駆動される。プラズマアクチュエータ2が発生させる気流に誘引されるように吸込口5から装置外部の空気が吸い込まれ、通風路8内を流れる。プラズマアクチュエータ2周辺では、プラズマアクチュエータ2の放電により発生したイオンが通風路8内を流れる空気に混入する。イオンを含んだ空気が捕集電極4周辺を通過するとき、イオンは電荷を帯びているため、アース電位である捕集電極4に引き寄せられ、捕集電極4に吸収される。
【0034】
捕集電極4でイオンの大部分が吸収された空気はイオン発生器3から放出される正のクラスターイオンH+ (H2 O)m と、負のクラスターイオンO2-(H2 O)n とを含んで吹出口6から装置外部へと吹き出される。
【0035】
本実施形態に係るイオン発生装置10では、送風ファンを用いていないため、小型化を図ることができ、かつ、送風ファンの回転による騒音や振動も抑えることができる。
また、空気がイオン発生器3に到達するよりも上流側で捕集電極4によりプラズマアクチュエータ2で発生したイオンを捕集することで、イオン発生器3で発生させたイオン(外部に放出したいイオン)だけを確実に外部に放出することができる。これにより、正イオンと負イオンとの量的なバランスをとることができる。また、プラズマアクチュエータ2の放電電極22と放電電極23との間に印加する電圧によっては、正のクラスターイオンH+ (H2 O)m と、負のクラスターイオンO2-(H2 O)n 以外の様々なイオンが発生する可能性があるが、そのような場合でも確実に、正のクラスターイオンH+ (H2 O)m と、負のクラスターイオンO2-(H2 O)n のみを装置外部に放出することができる。
【0036】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図、図5は図4のV−V線における横断断面図である。以下、実施の形態1と異なる箇所についてのみ説明する。
【0037】
実施の形態2では、筺体1Aの下部の対向する2つの側面に2つの吸込口5A,5Aが設けられている。各吸込口5A,5Aにはメッシュ状の集塵フィルタ7が備えられている。通風路8Aは2つの横風路81A,81Aと各横風路81A,81Aが繋がる1つの縦風路82Aとを有する。各吸込口5A,5Aは各横風路81A,81Aに繋がっている。2つの横風路81A,81Aの底壁は面一に連なっている。各横風路81A,81Aと縦風路82Aとの合流部分にプラズマアクチュエータ2Aが配置されている。また、縦風路82Aの対向する内壁に露出するように2つの板状の捕集電極4A,4Aを設けている。
【0038】
プラズマアクチュエータ2Aは、表面(上面)が2つの横風路81A,81Aの面一の底壁に露出するように配置された板状の誘電体21と、誘電体21の上面に横方向に離隔配置された2つの放電電極22A,22Aと、誘電体21の裏面(下面)に各放電電極22A,22Aから横方向で等距離の位置に配置された1つの放電電極23Aとを備えている。ここで、各放電電極22A,22Aは放電電極23Aの上流側に位置している。放電電極22A,22Aは露出し、放電電極23Aは絶縁体24で被覆されている。各放電電極22A,22Aと放電電極23Aとは、放電用電源9に接続されている。
【0039】
2つの放電電極22A,22Aと放電電極23Aとの間に高圧の交流電圧を印加すると、誘電体21の表面に沿って各放電電極22A,22Aから放電電極23Aに向かう横向きの気流が各放電電極22A,22Aの下流側部分の周辺に発生する。この気流は合流して図4に示すように上向きの気流となり、縦風路82A内を流れていく。
【0040】
プラズマアクチュエータ2Aの放電により発生したイオンが縦風路82A内を流れる空気に混入するが、イオンを含んだ空気が対向配置された捕集電極4A,4A周辺を通過するとき、アース電位である捕集電極4A,4Aに引き寄せられ、捕集電極4A,4Aに吸収される。
【0041】
図6は実施の形態2に係るイオン発生装置の変形例を示す横断断面図である。板状の捕集電極4A,4Aの代わりに、縦風路82Aの内壁の全周に露出するように筒状の捕集電極4Bを設けている。
【0042】
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。実施の形態3では、オゾンフィルタ11が、プラズマアクチュエータ2Aと捕集電極4A,4Aの間に設けられている点を除いて実施の形態2と同一である。オゾンフィルタ11は、オゾンの分解処理剤をハニカム状の無機の繊維体又は金属部材等に担持させた構造を有し、オゾンフィルタ11を通過する空気中のオゾンを分解処理する。
【0043】
プラズマアクチュエータ2Aに印加する電圧によってはイオンとともにオゾンが発生する可能性がある。多量のオゾンを空間に放出すると、人体への影響があるおそれがあるため、オゾンフィルタ11を設けることで、オゾンを確実に通風路8A内で除去し、外部へのオゾン放出を防ぐことができる。なお、オゾンフィルタ11は、捕集電極4A,4Aの下流側に設置してもよい。
【0044】
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。実施の形態4では、捕集電極4Cが、縦風路82Aを横断するように配置された多孔状の電極材に形成してある点を除いて、実施の形態2と同一である。多孔状の電極材は例えば金属線材を網状又はグリッド状等に構成したものである。
【0045】
(実施の形態5)
図9は本発明の実施の形態5に係るイオン発生装置の構造を模式的に示す正面断面図である。実施の形態5では、捕集電極4A,4A及びオゾンフィルタ11の代わりに、イオン捕集機能を有するオゾンフィルタ11Aが縦風路82Aに配置されている点を除いて、実施の形態3と同一である。
【0046】
オゾンフィルタ11Aは、オゾンの分解処理剤12を担持した導電基材13が、縦風路82A内に露出している。導電基材13は多数の孔13aを有する金属体で構成され、アースに接続されている。オゾンフィルタ11Aを通過する空気中のオゾンは分解処理剤12によって分解処理され、プラズマアクチュエータ2Aの放電により発生したイオンは導電基材13に吸収される。
【0047】
上述した実施の形態1−5では、プラズマアクチュエータ2,2Aの通風路8,8A側の放電電極22,22Aの全部分が通風路8,8A内に露出している。図示はしないが、放電電極22,22Aの上流側部分を絶縁体で覆い、下流側部分のみが通風路8,8A内に露出する構成でもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 プラズマアクチュエータ(気流誘起部)
2A プラズマアクチュエータ(気流誘起部)
21 誘電体
22 放電電極
22A 放電電極
23 放電電極
23A 放電電極
3 イオン発生器
4 捕集電極
4A 捕集電極
4B 捕集電極
4C 捕集電極
5 吸込口
5A 吸込口
6 吹出口
8 通風路
8A 通風路
81A 横風路(副風路)
82A 縦風路(主風路)
10 イオン発生装置
11 オゾンフィルタ
11A オゾンフィルタ
12 分解処理剤
13 導電基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口と吹出口とを繋ぐ通風路にイオン発生器を備えたイオン発生装置において、
前記吸込口とイオン発生器との間の前記通風路に、放電を発生させて前記イオン発生器に向かう気流を誘起する気流誘起部と、該気流誘起部の下流側に位置し、該気流誘起部の放電により発生したイオンを捕集する捕集電極とを備えていることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記捕集電極は、前記通風路の内壁に配置された板状電極又は筒状電極であることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記捕集電極は、前記通風路を横断するように配置された多孔状の電極材に形成してあることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記気流誘起部は、前記通風路の内壁に沿って配置された板状の誘電体と、該誘電体の両面に設けられ、高周波電圧が印加される2つの放電電極とを備え、該2つの放電電極の一方は前記通風路の内部側に位置し、他方は前記通風路の外部側に位置しており、
前記一方の放電電極は、他方の放電電極よりも上流側に位置して前記通風路内に露出しているか、又は、下流側部分のみが前記通風路内に露出していることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記吸込口を複数備え、
前記通風路は、一端が前記吹出口に繋がる主風路と、一端が前記各吸込口に繋がり、他端が前記主風路の他端に繋がる複数の副風路とを備え、
前記複数の副風路の夫々又は各副風路と主風路との合流箇所に、前記気流誘起部が設けてあり、
前記捕集電極及びイオン発生器は、前記主風路に設けてあることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン発生器は、正イオンと負イオンとを発生させることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記気流誘起部とイオン発生器との間の通風路に、前記気流誘起部での放電により発生したオゾンを分解するオゾンフィルタを備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
空気の吸込口と吹出口とを繋ぐ通風路にイオン発生器を備えたイオン発生装置において、
前記吸込口とイオン発生器との間の前記通風路に、放電を発生させて前記イオン発生器に向かう気流を誘起する気流誘起部と、該気流誘起部の下流側に位置したオゾンフィルタとを備え、
該オゾンフィルタは、オゾンの分解処理剤を担持した導電基材が、前記通風路内に露出していることを特徴とするイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−41687(P2013−41687A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176282(P2011−176282)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)