イオン発生装置
【課題】放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能なイオン発生装置を提供する。
【解決手段】周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減電圧を9Vから減算した電圧を、直流電圧とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅が大/小となるように制御する。また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減周波数を250Hzから減算した周波数を 、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
【解決手段】周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減電圧を9Vから減算した電圧を、直流電圧とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅が大/小となるように制御する。また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減周波数を250Hzから減算した周波数を 、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の騒音レベルに応じて、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧を制御するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンにより、居住空間内の空気を清浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、空気清浄機にも適用されることが多いイオン発生装置では、内部の通風路の途中に正及び負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
標準的なイオン発生器は、放電電極と誘導電極との間に高電圧交流の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正及び負のイオンを発生させる。イオン発生器を複数使用することにより、空気中のイオンの濃度を高めることも可能である。例えば、イオン濃度を7,000個/cm3 〜50,000個/cm3 にまで高めることによって、残留するトリインフルエンザウイルスが1/10に減少することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−15943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一のイオン発生器を用いてイオンの濃度を高めるには、前記駆動電圧を高くするか、又は(単位時間当たりの)放電回数を多くする必要があり、そのようにした場合にコロナ放電に伴う騒音が増大して、静寂な室内では耳障りとなる問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能なイオン発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るイオン発生装置は、イオンを発生させる放電電極を有するイオン発生部と、前記放電電極に印加する交流電圧を制御する制御部とを備えるイオン発生装置において、周囲の騒音レベルを検出する騒音検出部を備え、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する交流電圧を制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0009】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記交流電圧の振幅を減少させるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧の振幅を減少させる。
これにより、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0011】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の振幅が大/小となるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の振幅が大/小となるように制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音がそれだけ減少する。
【0013】
本発明に係るイオン発生装置は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の振幅を増加させるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、所定時間だけ放電電極に印加する交流電圧の振幅を増加させる。
これにより、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることができる。
【0015】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが前記閾値より低い場合、前記交流電圧の周波数を低下させるようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧の周波数を低下させる。
これにより、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0017】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の周波数が高/低となるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音がそれだけ減少する。
【0019】
本発明に係るイオン発生装置は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の周波数を上昇させるようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、所定時間だけ放電電極に印加する交流電圧の周波数を上昇させる。
これにより、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることができる。
【0021】
本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部が発生させたイオンを吹き流す送風ファンと、該送風ファンの風量を調整する風量調整手段とを備え、前記制御部は、前記風量調整手段が調整した風量が所定の風量より少ない場合、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、イオンを吹き流す送風ファンの風量が所定の風量より少ない場合、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する交流電圧を制御する。
これにより、風量が少ないために送風ファンが発する騒音が小さく、且つ周囲の騒音レベルが一定レベルより低い場合、放電エネルギーが減少してイオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、周囲の相対的な音量が低下した場合、イオン発生部における単位時間当たりの放電エネルギーが減少するように交流電圧を制御することにより、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
従って、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】イオン発生装置の構成を示す側断面図である。
【図3】イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】イオン発生器の構成例を示す回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図6】イオン発生器を交互にオン/オフさせるCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】一の対角線上に並ぶイオン発生器オンのサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図、図2はイオン発生装置の構成を示す側断面図である。図中1はハウジングであり、ハウジング1は、下部に吸込口11,11を夫々有して離隔し対向する両側壁1a,1b、及び中央部に二つの嵌合孔12,12を有する天壁1cを備える。ハウジング1内の下部には、回転軸方向の両側に出力軸21,21を有するモータ2が配され、該モータ2の出力軸21,21の夫々には、二つのケーシング4,4に回転自在に収容された二つの送風ファン(羽根車)3,3が装着されている。
【0026】
送風ファン3,3の上方には、夫々の回転により発生する気流を個別に上方へ通流させる筒部としての二つのダクト5,5が夫々配設されている。ダクト5,5の夫々は、イオン発生器6a,6c、6b,6dを下部に有し、嵌合孔12,12に取外しを可能に配置された風向体7,7を備える。イオン発生器6a,6bの上方には、発生したイオンを検出するためのイオンセンサ881及び該イオンセンサ881の電位を検出するためのイオン検出回路88が、イオン発生器6a,6bと隣接するように配されている。モータ2と、送風ファン3,3とケーシング4,4とが送風機を構成している。
【0027】
ハウジング1は、更に、平面視矩形をなす底壁1dと、該底壁1dの前後の二辺に連なる前壁1e及び後壁1fとを備え、略直方体をなしている。前壁1eの上部中央には周囲の音を集音するマイクロフォン861が、下部中央には送風ファン3,3の風量切換の操作を受け付けるための切換スイッチ851(後述する図3参照)を有する操作表示部85が夫々設けられている。
【0028】
両側壁1a,1b下部の吸込口11,11には、送風ファン3,3が吸込口11,11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ8,8が取り付けられている。天壁1cの嵌合孔12,12はその長手方向が前後となる長方形をなし、前側の内面が鉛直に対して前方へ傾斜し、後側の内面が鉛直に対して後方へ傾斜している。また、ハウジング1は上下方向の途中で上分体と下分体とに分断され、下分体にケーシング4,4が装着され、上分体にダクト5,5が装着されている。
【0029】
送風ファン3,3は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根3aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。また、送風ファン3,3は、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ2の出力軸21,21が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根3a間から放出するように構成されている。
【0030】
ケーシング4,4は、送風ファン3,3の回転により発生する気流を送風ファン3,3の回転方向へ誘導して気流の速度を増すための円弧形誘導壁41,41、及び該円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口42,42を有する。吹出口42,42は、円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ、且つ鉛直に対して斜め方向へ突出する角筒形状をなしている。
【0031】
また、ケーシング4,4は、深皿形をなし、円弧形誘導壁41,41及び吹出口42,42用の開放部を有するケーシング本体4a,4aと、送風ファン3,3の前記開口と対応する箇所が開放されておりケーシング本体4a,4aの開放側を閉塞する蓋板4b,4bとを備える。ケーシング本体4a,4a夫々の対向側は、仕切り用の連結壁43にて一体に連結されている。また、蓋板4b,4bの開放部とフィルタ8,8との間に、複数の通気孔を有する通気板9,9が設けられている。
【0032】
連結壁43のモータ2と対応する箇所は、一方のケーシング本体4a側へ窪む凹所を有し、該凹所の縁部に深皿状の支持板44が取り付けられ、凹所及び支持板44の中央部間にゴム板45,45を介してモータ2を挾着保持してある。凹所及び支持板44の中央部に開設されている軸孔には、出力軸21,21が挿通されており、出力軸21,21には送風ファン3,3を取り付けてある。また、連結壁43の上端はケーシング4,4よりも上方へ延出されている。
【0033】
ダクト5,5は、その下端が吹出口42,42に連なり、その上端が嵌合孔12,12に連なり、上下方向の途中が絞られている角筒形の筒部からなる。また、ダクト5,5は、吹出口42,42から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方に沿って配された前壁5a,5a、及び吹出口42,42からほぼ鉛直に配された後壁5b,5bを有する。前壁5a,5a及び後壁5b,5bには、ほぼ鉛直に配された二つの側壁5c,5c、5d,5dが連なっており、吹出口42,42から吹き出された空気を、前壁5a,5a及び側壁5c,5c、5d,5dに沿って層流とし、鉛直に沿わせて通流させるように構成されている。
【0034】
前壁5a,5aにはイオン発生器6a,6b,6c,6dを保持する保持体(図示せず)に対応する貫通孔が開設されており、該貫通孔に保持体が嵌め込まれている。後壁5b,5bにはモータ2、イオン発生器6a,6b,6c,6d、イオン検出回路88、操作表示部85、マイクロフォン861及び電源線に接続されている回路基板10と、該回路基板10を被覆するカバー20とが取り付けられている。
【0035】
また、ダクト5,5は上下方向の途中でダクト上分体51とダクト下分体52とに分断されている。ダクト下分体52は角筒形をなし、横方向の中央が連結壁43にて仕切られている。ダクト上分体51は、横方向に離隔して並置される角筒部51a,51aの下部が連結部51bにて一体に連なっており、連結部51b及び連結壁43にて仕切られている。また、ダクト上分体51の上端には、外部から指等の異物が挿入されるのを防ぐための防護網30,30を配してある。
【0036】
風向体7,7は、前後方向の断面形状が逆台形をなす角枠部71,71、及び該角枠部71,71内に前後方向へ離隔して並置され、鉛直に対して前後方向一方へ傾斜する複数の風向板72,72を有し、等形状に形成されている。角枠部71,71の前後の壁は鉛直に対して前後方向へ傾斜している。
【0037】
イオン発生器6a,6b,6c,6dの夫々は、略直方体のケースに収納されており、送風ファン3,3の回転により発生する空気の通流方向と略直交する方向へ離隔した二つのイオン発生部61,62を備える。イオン発生部61,62の夫々は、内奥側に尖鋭状をなす放電電極611,621、及び該放電電極611,621を囲繞する誘導電極613,623を有し(後述する図4参照)、高電圧を印加された放電電極611,621がコロナ放電を発生する。これにより、一方のイオン発生部61がプラスのイオンを、他方のイオン発生部62がマイナスのイオンを夫々発生させるように構成されている。
【0038】
イオン発生器6a,6b,6c,6dは、上述の保持体に保持されてダクト5,5夫々の前壁5a,5aに取り付けられている。イオン発生器6a,6b及びイオン発生器6c,6dの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を逆向きにして該並設方向に列設し、該列設方向と前記通流方向とが略直交するように配設してある。イオン発生器6a,6c及びイオン発生器6b,6dの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を同一にして前記通流方向に並置されている。イオン発生器6a,6b,6c,6d夫々のイオン発生部61,62は、前記貫通孔からダクト5,5内に臨んでいる。
【0039】
イオンセンサ881は、イオンを捕集する略矩形の板状電極からなり、イオン発生器6a,6b夫々のイオン発生部62,62が発生させたマイナスのイオンを直近で検出するために、電極面をダクト5,5内に露出させてある。イオンセンサ881がマイナスのイオンを捕集した場合、イオンセンサ881の電位が低下する。イオンセンサ881の電位は、接地電位に対する電圧値としてイオン検出回路88で検出されるようにしてある。
【0040】
上述のとおり構成されたイオン発生装置が、居住室内に据えられる。モータ2の駆動により、送風ファン3,3が回転し、室内の空気が両側の吸込口11,11から二つのケーシング4,4内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ8,8により除去される。この際、ケーシング4,4内に吸込まれた空気は、送風ファン3,3周りの円弧形誘導壁41,41により層流となり、この層流の空気が円弧形誘導壁41,41に沿って吹出口42,42へ通流し、該吹出口42,42からダクト5,5内へ吹き出される。
【0041】
図3は、イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。装置全体を制御する制御部の中枢となるのはCPU81であり、CPU81は、プログラム等の情報を記憶するROM82、一時的に発生した情報を記憶するRAM83、及び各種時間を計時するためのタイマ84と互いにバス接続されている。CPU81は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従って、本発明に係るイオン発生装置としての機能を実現するための処理を実行する。
【0042】
CPU81には、更に、操作表示部85と、マイクロフォン861が集音した音から騒音を検出する騒音検出回路86と、モータ2を駆動するモータ駆動回路87と、イオンセンサ881に接続されたイオン検出回路88と、5つの出力インタフェース(I/F)891〜895とがバス接続されている。出力I/F891〜894夫々の出力端子は、直流電源91から直流電圧が供給されるイオン発生器6a,6b,6c,6dをオンするための制御端子に接続されている。直流電源91は、AC100Vの商用電源に接続されており、各部にVCC(DC5V)を供給すると共に、出力I/F895によって前記直流電圧の大きさが制御されるようになっている。
【0043】
マイクロフォン861は、無指向性を有しており、幅広く周囲の音を捉えて電気信号に変換する。マイクロフォン861が捉える音の帯域は、人間に耳障りな帯域に限定するものではないが、適宜帯域を制限するようにしてもよい。また、騒音検出回路86にて、騒音の検出感度、検出帯域等の検出特性を適宜調整することができる。
【0044】
イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合、CPU81が、出力I/F891,894、892,893によってイオン発生器6a,6d、6b,6cを0.5秒ずつ交互にオン/オフさせる。これにより、一の対角線上に並ぶイオン発生器6a,6dと、他の対角線上に並ぶイオン発生器6b,6cとが0.5秒毎に交互にオン/オフする。但し、イオン発生器6a,6b,6c,6dをオン/オフさせる順序及び周期については、上記に限定されない。
【0045】
次に、イオン発生器6a,6b,6c,6dの回路構成及びその動作について説明する。
図4は、イオン発生器6aの構成例を示す回路図である。他のイオン発生器6b,6c,6dについても同様であるため、それらの説明を省略する。イオン発生器6aは、直流電圧を出力する直流電源91の出力端子に接続されたダイオード63及び抵抗器64の直列回路と、一端が接地電位に接続されており、他端に接続された前記直列回路を介して直流電圧が充電されるコンデンサ65とを備える。
【0046】
コンデンサ65の両端には、該コンデンサ65の一端にカソードが接続されたサイリスタ66を介して昇圧トランス67の一次巻線671が接続されている。サイリスタ66のゲートはイオン発生器6aの制御端子に対応し、制御パルスを出力する出力I/F891の出力端子に接続されている。昇圧トランス67の二次巻線672は、一端が、放電電極611にカソードが接続されたダイオード612のアノードと、放電電極621にアノードが接続されたダイオード622のカソードとに接続されており、他端が誘導電極613,623に接続されている。
【0047】
直流電源91は、出力I/F895から与えられる信号によって、前記直流電圧の大きさ(電圧値)が制御される。ここでは、一般的に外部から電源の電圧を制御する方法の1つとして、直流電源91から見た出力I/F895の抵抗値(即ち、直流電源91の外付け抵抗の抵抗値)を変化させるか、又は、出力I/F895から直流電源91に与えられる制御電圧を変化させるものとするが、他の方法を用いてもよい。
【0048】
上述した構成において、コンデンサ65が直流電源91の直流電圧まで充電された後に、出力I/F891からのオン信号によってサイリスタ66がターンオン(点弧)した場合、コンデンサ65に充電された電荷が昇圧トランス67の一次巻線671を介して急激に放電する。サイリスタ66は、コンデンサ65の両端電圧が低下してアノード電流がゼロになることによってターンオフ(消弧)し、その後は、出力I/F891から再びオン信号を与えられるまでターンオフを維持する。従って、サイリスタ66がターンオフした後は、コンデンサ65に再び直流電圧が充電される。
【0049】
一方、コンデンサ65が放電したエネルギーが一次巻線671を介して二次巻線672に伝達されることにより、二次巻線672の両端にはインパルス状の高電圧と、これに続く数サイクルの高圧の振動電圧(交流電圧)とが発生する。この高圧の振動電圧がダイオード612,622の夫々を介して放電電極611,621に印加されることにより、放電電極611,621の夫々と誘電電極613,623との間における強電界の領域にて局所的な絶縁破壊が発生する。このため、放電電極611,621夫々の先端部で電離現象(例えばコロナ放電)が発生してプラス及びマイナスのイオンが生成される。
【0050】
ところで、イオン発生部61,62における単位時間当たりの放電エネルギーは、放電電極611,621に印加される振動電圧(交流電圧)の振幅の自乗に略比例し、且つ、単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数(つまり交流電圧の周波数)に略比例すると考えられる。ここでは、上述の振動電圧の減衰時間よりも、サイリスタ66をターンオンさせる周期の方が長く、且つ、サイリスタ66がターンオフしてからターンオンするまでの間にコンデンサ65が直流電圧まで充電されるものとする。
【0051】
そうすると、上記振動電圧の振幅は、コンデンサ65に充電される直流電圧の大きさに略比例し、上記振動電圧の累計振動回数は、単位時間当たりのサイリスタ66のターンオン回数(つまりターンオンの繰り返し周波数)に比例するものとなる。換言すれば、単位時間当たりの放電エネルギーを大/小に制御するには、直流電圧の大きさが大/小となるようにするか、又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が高/低となるようにすればよい。
【0052】
このように制御される放電エネルギーが大きいほど、放電に伴う騒音が増大し、周囲の環境が静寂な場合に耳障りとなる。そこで、マイクロフォン861及び騒音検出回路86で検出した周囲の騒音レベルが相対的に低い場合は、放電エネルギーを減少させることにより、放電に伴う騒音を周囲の騒音と同程度以下にすることが考えられる。具体的には、直流電源91から出力される直流電圧を低下させるか、又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を低下させればよい。
【0053】
尚、図4に示す回路例では、コンデンサ65を直流電圧まで充電した後に、サイリスタ66をターンオンさせてコンデンサ65を放電させたが、コンデンサ65を充放電させる方法は、これに限定されるものではない。例えば、ダイオード63及び抵抗器64間にスイッチング素子を直列に接続しておき、該スイッチング素子をオンしてコンデンサ65の充電を開始してから、サイリスタ66をターンオンさせるまでの時間を長/短に制御することにより、コンデンサ65に充電される電圧が高/低となるように制御してもよい。これにより、直流電源91から出力される直流電圧の大きさが一定である場合であっても、イオン発生部61,62における放電エネルギーを大/小に制御することが可能となる。
【0054】
次に、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーを減少させる具体例について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図5のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0055】
図5Aにおいて、時刻t1より前と、時刻t2(t1<t2)より後とでは、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低く、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが所定の閾値より高い。ここでの閾値は、例えば、切換スイッチ851によって切り換えられた送風ファン3,3の風量が、強弱2段階の弱である場合、直流電圧が最も低い7Vであり、且つサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が最も低い125Hzであるときに、静寂な環境で騒音検出回路86によって検出される騒音レベルより適当に高い値に設定される。
【0056】
図5Bにおいて、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが比較的高いため、直流電圧を最大の9Vに設定してあり、周囲環境の浄化に必要十分な量のイオンを供給している。これに対し、時刻t1より前と、時刻t2より後とでは、周囲の騒音レベルが比較的低いため、直流電圧を7Vに低減する。イオン発生部61,62における放電エネルギーは、コンデンサ65の充電エネルギー、即ち充電される電荷量に略比例すると考えられ、コンデンサ65に充電される電荷量は充電電圧の自乗に比例するため、直流電圧を9Vから7Vに低減することにより、上記放電エネルギーを約60%に減少させることができる。これにより、放電に伴う騒音が低減される。
【0057】
図5Cにおいて、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが比較的高いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最大の250Hzに設定してあり、この間でのイオンの供給量を最大に維持している。これに対し、時刻t1より前と、時刻t2より後とでは、周囲の騒音レベルが比較的低いため、上記繰り返し周波数を125Hzに低減する。これにより、イオン発生部61,62における放電エネルギーは、更に約50%に低減される。
尚、本実施の形態1では、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合に、直流電圧の低減と、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の低減とを実施しているが、何れか一方を低減させるだけでもよい。
【0058】
以下では、上述したイオン発生装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM82に予め格納された制御プログラムに従ってCPU81により実行される。
図6は、イオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせるCPU81の処理手順を示すフローチャートであり、図7は、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンのサブルーチンに係るCPU81の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図6の処理(メインルーチン)は、例えば切換スイッチ851に対する操作によって運転が開始されたときに起動されるが、これに限定されるものではない。上記サブルーチンでは、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図5Cに対応して変化するように制御する。
尚、他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンについては、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンと比較して処理対象のイオン発生器が異なるだけであるため、その図示及び説明を省略する。
【0060】
図6の処理が起動された場合、CPU81は、イオン発生装置が運転中であるか否かを判定し(S11)、運転中ではない場合(S11:NO)、即ち切換スイッチ851に対する操作によって運転が停止された場合、図6のメインルーチンに係る処理を終了する。運転中の場合(S11:YES)、CPU81は、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S12)。
【0061】
図7に移って、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンが図2のメインルーチンから呼び出された場合、CPU81は、イオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせる周期を決めるタイマA(タイマ84の一部 以下同様)に計時を開始させる(S20)。ここでは、イオン発生器6a,6d、6b,6cを1秒周期で(0.5秒毎に)交互にオン/オフさせるものとする。
【0062】
その後、CPU81は、一のイオン発生器(例えば、イオン発生器6a)のサイリスタ66をターンオンさせる(S21)べく、出力I/F891からイオン発生器6aの制御端子に制御パルスを与える。同様に、CPU81は、他のイオン発生器(ここではイオン発生器6d)のサイリスタ66をターンオンさせる(S22)べく、出力I/F894からイオン発生器6dの制御端子に制御パルスを与える。そして、CPU81は、サイリスタ66をターンオンさせる周期を計時するタイマBに計時を開始させる(S23)。
【0063】
次いで、CPU81は、騒音検出回路86によって周囲の騒音レベルを検出し(S24)、検出した騒音レベルが所定の閾値より低いか否かを判定する(S25)。所定の閾値より低い場合(S25:YES)、CPU81は、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を低くするために、ターンオンの1周期を8ms(繰り返し周波数では125Hz)とする(S26)。検出した騒音レベルが所定の閾値より低くない場合(S25:NO)、CPU81は、図5Cに従って、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を高く維持するために、ターンオンの1周期を4ms(繰り返し周波数では250Hz)とする(S27)。
【0064】
ステップS26又はS27の処理を終えた場合、CPU81は、タイマBが、ステップS26又はS27で設定された1周期に相当する時間を計時したか否かを判定し(S28)、計時するまで待機する(S28:NO)。タイマBが、設定された1周期に相当する時間を計時した場合(S28:YES)、CPU81は、タイマAが0.5秒を計時したか否かを判定し(S29)、計時していない場合(S29:NO)、サイリスタ66のターンオンを繰り返すために、ステップS21に処理を移す。タイマAが0.5秒を計時した場合(S29:YES)、CPU81は、メインルーチンにリターンする。
【0065】
図6に戻って、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU81は、他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S13)。他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU81は、繰り返してイオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせるために、ステップS11に処理を移す。
【0066】
次に、直流電圧の大きさを制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図8の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0067】
図8の処理が起動された場合、CPU81は、切換スイッチ851によって切り換えられた風量が弱であるか否かを判定し(S30)、弱ではない場合(S30:NO)、即ち強である場合、送風ファン3,3による騒音が大きいことからイオン発生部61,62における放電エネルギーを減少させないために、直流電圧を9Vに設定して(S34)、図8の処理を終了する。
【0068】
風量が弱である場合(S30:YES)、CPU81は、騒音検出回路86によって周囲の騒音レベルを検出し(S31)、検出した騒音レベルが所定の閾値より低いか否かを判定する(S32)。所定の閾値より低くない場合(S32:NO)、CPU81は、図5Bに従って、直流電圧を9Vに維持するために、ステップS34に処理を移す。検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S32:YES)、CPU81は、放電エネルギーを減少させるために直流電圧を7Vに設定した(S33)後、図8の処理を終了する。
【0069】
以上にように本実施の形態1によれば、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する振動電圧(交流電圧)の振幅及び/又は単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数(周波数)を制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
従って、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【0070】
また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、コンデンサに充電される直流電圧を低減することにより、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅を減少させる。
従って、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音を減少させることが可能となる。
【0071】
更にまた、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数を下げることにより、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の周波数を低下させる。
従って、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音を減少させることが可能となる。
【0072】
更にまた、イオンを吹き流す送風ファンの風量が、強より少ない弱の場合、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する振動電圧(交流電圧)の振幅及び/又は単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数を制御する。
従って、風量が少ないために送風ファンが発する騒音が小さく、且つ周囲の騒音レベルが一定レベルより低い場合、放電エネルギーが減少してイオン発生部から発せられる騒音が減少する。このため、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態1が、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合に、直流電源91の直流電圧、及び/又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を1段階低下させる形態であるのに対し、実施の形態2は、周囲の騒音レベルの低下量(又は上昇量)に応じて、上記直流電圧及び/又は繰り返し周波数を滑らかに低下(又は上昇)させる形態である。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図9のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0075】
図9Aにおいて、周囲の騒音レベルは、時刻t3より遙か前において所定の閾値より十分に低く、その後、時刻t3の前後で所定の閾値を横切るように上昇する。時刻t3を過ぎても上昇し続けた騒音レベルが、ある時点から下降に転じ、時刻t4の前後で再び所定の閾値を横切るように下降し、その後、十分に低いレベルまで低下する。
【0076】
図9Bにおいて、時刻t3より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、直流電圧を最低の6Vに設定してあり、イオン発生部61,62における放電エネルギーを抑制している。その後、時刻t3より前のある時点から時刻t3までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて直流電圧を上昇させる。また、時刻t4から該時刻t4より後のある時点までは、周囲の騒音レベルの低下に応じて直流電圧を低下させ、その後は、騒音レベルの低下に拘わらず6Vに維持する。
【0077】
図9Cにおいて、時刻t3より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最低の100Hzに設定してある。その後、時刻t3より前のある時点から時刻t3までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて上記繰り返し周波数を上昇させる。また、時刻t4から該時刻t4より後のある時点までは、周囲の騒音レベルの低下に応じて上記繰り返し周波数を低下させ、その後は、騒音レベルの低下に拘わらず100Hzに維持する。
【0078】
次に、直流電圧の大きさを制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、実施の形態1と同様に、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0079】
図10に示す処理のうち、ステップS130からS132及びS134については、実施の形態1の図8に示すステップS30からS32及びS34と同一であるため、その説明を省略する。
ステップS132で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S132:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルと所定の閾値との差分に応じた電圧を算出して低減電圧とし(S138)、算出した低減電圧の大きさが3Vより大きいか否かを判定する(S139)。
【0080】
低減電圧の大きさが3Vより大きくない場合(S139:NO)、CPU81は、低減電圧を制限することなく、ステップS141に処理を進める。低減電圧の大きさが3Vより大きい場合(S139:YES)、CPU81は、低減電圧を3Vに制限し(S140)、9Vから低減電圧を減算した電圧を直流電圧とした(S141)後、図10の処理を終了する。
【0081】
尚、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図9Cに対応するように制御するCPU81の処理手順のフローチャートは、実施の形態1の図7に示すサブルーチンにおいて、周囲の騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて1周期の長さを設定する処理を、ステップS26の処理と置き換えたものとなる。上記のように設定する処理は、図10のステップS138からS141までの処理と同等になる(但し、低減電圧を低減周波数と読み替え、低減周波数の上限を125Hzとする)ため、その説明を省略する。
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0082】
以上にように本実施の形態2によれば、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減電圧を9Vから減算した電圧を、直流電圧とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅が大/小となるように制御する。
従って、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音をそれだけ減少させることが可能となる。
【0083】
また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減周波数を250Hzから減算した周波数を、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
従って、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音をそれだけ減少させることが可能となる。
【0084】
(実施の形態3)
実施の形態2が、周囲の騒音レベルの低下量(又は上昇量)に応じて、上記直流電圧及び/又は繰り返し周波数を滑らかに低下(又は上昇)させる形態であるのに対し、実施の形態3は、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い第2の閾値を上回ったときに、直流電圧、及び/又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を、一時的に高くする形態である。
【0085】
図11は、本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図11のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0086】
図11Aにおいて、周囲の騒音レベルは、時刻t5より遙か前において第2の閾値よりも低く、その後、時刻t5で第2の閾値を上回り、時刻t6(t5<t6)で所定の閾値を上回るように上昇する。時刻t6を過ぎても上昇し続けた騒音レベルが、ある時点から下降に転じ、時刻t7の前後で再び所定の閾値を横切るように下降し、その後、十分に低いレベルまで低下する。
【0087】
図11Bにおいて、時刻t5より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、直流電圧を最低の6Vに設定してあり、イオン発生部61,62における放電エネルギーを抑制している。その後、時刻t5より前のある時点から時刻t5までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて直流電圧を上昇させる。更に、時刻t5で騒音レベルが第2の閾値を上回った時に、直流電圧を9Vに設定して所定時間だけ9Vを維持する。所定時間が経過した後は、直流電圧を実施の形態2と同様に制御する。つまり、時刻t7に至るまでに所定時間が経過したときは、図11Bの実線で示すように、時刻t7以降における直流電圧を滑らかに低下させる。また、例えば時刻t7及びt8(t7<t8)の間で所定時間が経過したときは、図11Bの一点鎖線で示すように、時刻t8で直流電圧を9Vから実線で示される電圧に戻す。
【0088】
図11Cにおいて、時刻t5より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最低の100Hzに設定してある。その後、時刻t5より前のある時点から時刻t5までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて繰り返し周波数を上昇させる。更に、時刻t5で騒音レベルが第2の閾値を上回った時に、繰り返し周波数を250Hzに設定して所定時間だけ250Hzを維持する。所定時間が経過した後は、繰り返し周波数を実施の形態2と同様に制御する。つまり、時刻t7に至るまでに所定時間が経過したときは、図11Cの実線で示すように、時刻t7以降における繰り返し周波数を滑らかに低下させる。また、例えば時刻t7及びt8(t7<t8)の間で所定時間が経過したときは、図11Cの一点鎖線で示すように、時刻t8で繰り返し周波数を250Hzから実線で示される周波数に戻す。
【0089】
次に、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の高/低を制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図12の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、実施の形態1及び2と同様に、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0090】
図12に示す処理のうち、ステップS230からS232及びS234については、実施の形態1の図8に示すステップS30からS32及びS34と同一であるため、その説明を省略する。
ステップS232で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低くない場合(S232:NO)、CPU81は、検出した騒音レベルが第2の閾値より高いことを記憶するために、低レベルフラグを0にクリアし(S233)、ステップS234に処理を移す。
【0091】
ステップS232で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S232:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルが、所定の閾値より低い第2の閾値より更に低いか否かを判定する。第2の閾値より低い場合(S235:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルが第2の閾値より低いことを記憶するために、低レベルフラグを1にセットした(S236)後、後述するステップS238に処理を移す。
【0092】
検出した騒音レベルが第2の閾値より低くない場合(S235:NO)、CPU81は、前回検出した騒音レベルが第2の閾値より低かったことを確かめるために、低レベルフラグが1にセットされているか否かを判定する(S237)。1にセットされていない場合(S237:NO)、CPU81は、ステップS238に処理を移す。以下、ステップS238からS241までの処理は、実施の形態2の図10に示すステップS138からS141までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0093】
ステップS237で低レベルフラグが1にセットされている場合(S237:YES)、即ち、周囲の騒音レベルが、第2の閾値より低いレベルから第2の閾値を上回るレベルまで上昇した場合、CPU81は、新たに検出した騒音レベルが第2の閾値より高いことを記憶するために、低レベルフラグを0にクリアする(S242)。その後、CPU81は、直流電圧を一定に維持する時間(ここでは10秒とするが、これには限定されない)を計時するタイマCに計時を開始させ(S243)、直流電圧を9Vに設定する(S244)。ここで設定する電圧は9Vに限定されない。
【0094】
次いで、CPU81は、タイマCが10秒を計時したか否かを判定して(S245)、計時するまで待機する(S245:NO)。タイマCが10秒を計時した場合(S245:YES)、CPU81は、一時的に上昇させた直流電圧を元に戻して通常の電圧制御を行うために、ステップS230に処理を移す。
【0095】
尚、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図11Cに対応するように制御するCPU81の処理手順のフローチャートは、実施の形態1の図7に示すサブルーチンにおいて、実施の形態2で読み替えた処理に加えて、周囲の騒音レベルが第2の閾値を上回ったときに1周期の長さを10秒間だけ4ms(250Hz相当)に設定する処理を追加したものとなる。そのように設定する処理は、図12のステップS235からS237まで及びS242からS245までの処理と同等になる(但し、「直流電圧=9V」を「1周期=4ms」と読み替える)ため、その説明を省略する。ここで一時的に設定する1周期の長さは、4msに限定されない。
【0096】
その他、実施の形態1及び2に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
以上にように本実施の形態3によれば、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、10秒間だけ直流電圧を9Vに設定することにより、放電電極に印加する交流電圧の振幅を増加させる。
従って、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることが可能となる。
【0098】
また、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、10秒間だけサイリスタのターンオンの繰り返し周波数を250Hzとすることにより、放電電極に印加する交流電圧の周波数を上昇させる。
従って、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることが可能となる。
【0099】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
2 モータ
3 送風ファン
6a、6b、6c、6d イオン発生器
61、62 イオン発生部
611、621 放電電極
81 CPU(制御部の中枢)
82 ROM
83 RAM
84 タイマ(計時部)
85 操作表示部
851 切換スイッチ(風量調整手段の一部)
86 騒音検出回路(騒音検出部の一部)
861 マイクロフォン(騒音検出部の一部)
87 モータ駆動回路(風量調整手段の一部)
91 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の騒音レベルに応じて、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧を制御するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンにより、居住空間内の空気を清浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、空気清浄機にも適用されることが多いイオン発生装置では、内部の通風路の途中に正及び負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
標準的なイオン発生器は、放電電極と誘導電極との間に高電圧交流の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正及び負のイオンを発生させる。イオン発生器を複数使用することにより、空気中のイオンの濃度を高めることも可能である。例えば、イオン濃度を7,000個/cm3 〜50,000個/cm3 にまで高めることによって、残留するトリインフルエンザウイルスが1/10に減少することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−15943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一のイオン発生器を用いてイオンの濃度を高めるには、前記駆動電圧を高くするか、又は(単位時間当たりの)放電回数を多くする必要があり、そのようにした場合にコロナ放電に伴う騒音が増大して、静寂な室内では耳障りとなる問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能なイオン発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るイオン発生装置は、イオンを発生させる放電電極を有するイオン発生部と、前記放電電極に印加する交流電圧を制御する制御部とを備えるイオン発生装置において、周囲の騒音レベルを検出する騒音検出部を備え、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する交流電圧を制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0009】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記交流電圧の振幅を減少させるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧の振幅を減少させる。
これにより、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0011】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の振幅が大/小となるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の振幅が大/小となるように制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音がそれだけ減少する。
【0013】
本発明に係るイオン発生装置は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の振幅を増加させるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、所定時間だけ放電電極に印加する交流電圧の振幅を増加させる。
これにより、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることができる。
【0015】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが前記閾値より低い場合、前記交流電圧の周波数を低下させるようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、イオン発生部の放電電極に印加する交流電圧の周波数を低下させる。
これにより、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【0017】
本発明に係るイオン発生装置は、前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の周波数が高/低となるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音がそれだけ減少する。
【0019】
本発明に係るイオン発生装置は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の周波数を上昇させるようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、所定時間だけ放電電極に印加する交流電圧の周波数を上昇させる。
これにより、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることができる。
【0021】
本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部が発生させたイオンを吹き流す送風ファンと、該送風ファンの風量を調整する風量調整手段とを備え、前記制御部は、前記風量調整手段が調整した風量が所定の風量より少ない場合、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、イオンを吹き流す送風ファンの風量が所定の風量より少ない場合、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する交流電圧を制御する。
これにより、風量が少ないために送風ファンが発する騒音が小さく、且つ周囲の騒音レベルが一定レベルより低い場合、放電エネルギーが減少してイオン発生部から発せられる騒音が減少する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、周囲の相対的な音量が低下した場合、イオン発生部における単位時間当たりの放電エネルギーが減少するように交流電圧を制御することにより、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
従って、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】イオン発生装置の構成を示す側断面図である。
【図3】イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】イオン発生器の構成例を示す回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図6】イオン発生器を交互にオン/オフさせるCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】一の対角線上に並ぶイオン発生器オンのサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置の構成を示す正面断面図、図2はイオン発生装置の構成を示す側断面図である。図中1はハウジングであり、ハウジング1は、下部に吸込口11,11を夫々有して離隔し対向する両側壁1a,1b、及び中央部に二つの嵌合孔12,12を有する天壁1cを備える。ハウジング1内の下部には、回転軸方向の両側に出力軸21,21を有するモータ2が配され、該モータ2の出力軸21,21の夫々には、二つのケーシング4,4に回転自在に収容された二つの送風ファン(羽根車)3,3が装着されている。
【0026】
送風ファン3,3の上方には、夫々の回転により発生する気流を個別に上方へ通流させる筒部としての二つのダクト5,5が夫々配設されている。ダクト5,5の夫々は、イオン発生器6a,6c、6b,6dを下部に有し、嵌合孔12,12に取外しを可能に配置された風向体7,7を備える。イオン発生器6a,6bの上方には、発生したイオンを検出するためのイオンセンサ881及び該イオンセンサ881の電位を検出するためのイオン検出回路88が、イオン発生器6a,6bと隣接するように配されている。モータ2と、送風ファン3,3とケーシング4,4とが送風機を構成している。
【0027】
ハウジング1は、更に、平面視矩形をなす底壁1dと、該底壁1dの前後の二辺に連なる前壁1e及び後壁1fとを備え、略直方体をなしている。前壁1eの上部中央には周囲の音を集音するマイクロフォン861が、下部中央には送風ファン3,3の風量切換の操作を受け付けるための切換スイッチ851(後述する図3参照)を有する操作表示部85が夫々設けられている。
【0028】
両側壁1a,1b下部の吸込口11,11には、送風ファン3,3が吸込口11,11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ8,8が取り付けられている。天壁1cの嵌合孔12,12はその長手方向が前後となる長方形をなし、前側の内面が鉛直に対して前方へ傾斜し、後側の内面が鉛直に対して後方へ傾斜している。また、ハウジング1は上下方向の途中で上分体と下分体とに分断され、下分体にケーシング4,4が装着され、上分体にダクト5,5が装着されている。
【0029】
送風ファン3,3は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根3aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。また、送風ファン3,3は、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ2の出力軸21,21が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根3a間から放出するように構成されている。
【0030】
ケーシング4,4は、送風ファン3,3の回転により発生する気流を送風ファン3,3の回転方向へ誘導して気流の速度を増すための円弧形誘導壁41,41、及び該円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口42,42を有する。吹出口42,42は、円弧形誘導壁41,41の一部から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方へ、且つ鉛直に対して斜め方向へ突出する角筒形状をなしている。
【0031】
また、ケーシング4,4は、深皿形をなし、円弧形誘導壁41,41及び吹出口42,42用の開放部を有するケーシング本体4a,4aと、送風ファン3,3の前記開口と対応する箇所が開放されておりケーシング本体4a,4aの開放側を閉塞する蓋板4b,4bとを備える。ケーシング本体4a,4a夫々の対向側は、仕切り用の連結壁43にて一体に連結されている。また、蓋板4b,4bの開放部とフィルタ8,8との間に、複数の通気孔を有する通気板9,9が設けられている。
【0032】
連結壁43のモータ2と対応する箇所は、一方のケーシング本体4a側へ窪む凹所を有し、該凹所の縁部に深皿状の支持板44が取り付けられ、凹所及び支持板44の中央部間にゴム板45,45を介してモータ2を挾着保持してある。凹所及び支持板44の中央部に開設されている軸孔には、出力軸21,21が挿通されており、出力軸21,21には送風ファン3,3を取り付けてある。また、連結壁43の上端はケーシング4,4よりも上方へ延出されている。
【0033】
ダクト5,5は、その下端が吹出口42,42に連なり、その上端が嵌合孔12,12に連なり、上下方向の途中が絞られている角筒形の筒部からなる。また、ダクト5,5は、吹出口42,42から円弧形誘導壁41,41の接線方向の一方に沿って配された前壁5a,5a、及び吹出口42,42からほぼ鉛直に配された後壁5b,5bを有する。前壁5a,5a及び後壁5b,5bには、ほぼ鉛直に配された二つの側壁5c,5c、5d,5dが連なっており、吹出口42,42から吹き出された空気を、前壁5a,5a及び側壁5c,5c、5d,5dに沿って層流とし、鉛直に沿わせて通流させるように構成されている。
【0034】
前壁5a,5aにはイオン発生器6a,6b,6c,6dを保持する保持体(図示せず)に対応する貫通孔が開設されており、該貫通孔に保持体が嵌め込まれている。後壁5b,5bにはモータ2、イオン発生器6a,6b,6c,6d、イオン検出回路88、操作表示部85、マイクロフォン861及び電源線に接続されている回路基板10と、該回路基板10を被覆するカバー20とが取り付けられている。
【0035】
また、ダクト5,5は上下方向の途中でダクト上分体51とダクト下分体52とに分断されている。ダクト下分体52は角筒形をなし、横方向の中央が連結壁43にて仕切られている。ダクト上分体51は、横方向に離隔して並置される角筒部51a,51aの下部が連結部51bにて一体に連なっており、連結部51b及び連結壁43にて仕切られている。また、ダクト上分体51の上端には、外部から指等の異物が挿入されるのを防ぐための防護網30,30を配してある。
【0036】
風向体7,7は、前後方向の断面形状が逆台形をなす角枠部71,71、及び該角枠部71,71内に前後方向へ離隔して並置され、鉛直に対して前後方向一方へ傾斜する複数の風向板72,72を有し、等形状に形成されている。角枠部71,71の前後の壁は鉛直に対して前後方向へ傾斜している。
【0037】
イオン発生器6a,6b,6c,6dの夫々は、略直方体のケースに収納されており、送風ファン3,3の回転により発生する空気の通流方向と略直交する方向へ離隔した二つのイオン発生部61,62を備える。イオン発生部61,62の夫々は、内奥側に尖鋭状をなす放電電極611,621、及び該放電電極611,621を囲繞する誘導電極613,623を有し(後述する図4参照)、高電圧を印加された放電電極611,621がコロナ放電を発生する。これにより、一方のイオン発生部61がプラスのイオンを、他方のイオン発生部62がマイナスのイオンを夫々発生させるように構成されている。
【0038】
イオン発生器6a,6b,6c,6dは、上述の保持体に保持されてダクト5,5夫々の前壁5a,5aに取り付けられている。イオン発生器6a,6b及びイオン発生器6c,6dの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を逆向きにして該並設方向に列設し、該列設方向と前記通流方向とが略直交するように配設してある。イオン発生器6a,6c及びイオン発生器6b,6dの夫々は、イオン発生部61,62の並設方向を同一にして前記通流方向に並置されている。イオン発生器6a,6b,6c,6d夫々のイオン発生部61,62は、前記貫通孔からダクト5,5内に臨んでいる。
【0039】
イオンセンサ881は、イオンを捕集する略矩形の板状電極からなり、イオン発生器6a,6b夫々のイオン発生部62,62が発生させたマイナスのイオンを直近で検出するために、電極面をダクト5,5内に露出させてある。イオンセンサ881がマイナスのイオンを捕集した場合、イオンセンサ881の電位が低下する。イオンセンサ881の電位は、接地電位に対する電圧値としてイオン検出回路88で検出されるようにしてある。
【0040】
上述のとおり構成されたイオン発生装置が、居住室内に据えられる。モータ2の駆動により、送風ファン3,3が回転し、室内の空気が両側の吸込口11,11から二つのケーシング4,4内へ吸込まれ、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ8,8により除去される。この際、ケーシング4,4内に吸込まれた空気は、送風ファン3,3周りの円弧形誘導壁41,41により層流となり、この層流の空気が円弧形誘導壁41,41に沿って吹出口42,42へ通流し、該吹出口42,42からダクト5,5内へ吹き出される。
【0041】
図3は、イオン発生装置の概略構成を示すブロック図である。装置全体を制御する制御部の中枢となるのはCPU81であり、CPU81は、プログラム等の情報を記憶するROM82、一時的に発生した情報を記憶するRAM83、及び各種時間を計時するためのタイマ84と互いにバス接続されている。CPU81は、ROM82に予め格納されている制御プログラムに従って、本発明に係るイオン発生装置としての機能を実現するための処理を実行する。
【0042】
CPU81には、更に、操作表示部85と、マイクロフォン861が集音した音から騒音を検出する騒音検出回路86と、モータ2を駆動するモータ駆動回路87と、イオンセンサ881に接続されたイオン検出回路88と、5つの出力インタフェース(I/F)891〜895とがバス接続されている。出力I/F891〜894夫々の出力端子は、直流電源91から直流電圧が供給されるイオン発生器6a,6b,6c,6dをオンするための制御端子に接続されている。直流電源91は、AC100Vの商用電源に接続されており、各部にVCC(DC5V)を供給すると共に、出力I/F895によって前記直流電圧の大きさが制御されるようになっている。
【0043】
マイクロフォン861は、無指向性を有しており、幅広く周囲の音を捉えて電気信号に変換する。マイクロフォン861が捉える音の帯域は、人間に耳障りな帯域に限定するものではないが、適宜帯域を制限するようにしてもよい。また、騒音検出回路86にて、騒音の検出感度、検出帯域等の検出特性を適宜調整することができる。
【0044】
イオン発生装置が通常の稼動状態にある場合、CPU81が、出力I/F891,894、892,893によってイオン発生器6a,6d、6b,6cを0.5秒ずつ交互にオン/オフさせる。これにより、一の対角線上に並ぶイオン発生器6a,6dと、他の対角線上に並ぶイオン発生器6b,6cとが0.5秒毎に交互にオン/オフする。但し、イオン発生器6a,6b,6c,6dをオン/オフさせる順序及び周期については、上記に限定されない。
【0045】
次に、イオン発生器6a,6b,6c,6dの回路構成及びその動作について説明する。
図4は、イオン発生器6aの構成例を示す回路図である。他のイオン発生器6b,6c,6dについても同様であるため、それらの説明を省略する。イオン発生器6aは、直流電圧を出力する直流電源91の出力端子に接続されたダイオード63及び抵抗器64の直列回路と、一端が接地電位に接続されており、他端に接続された前記直列回路を介して直流電圧が充電されるコンデンサ65とを備える。
【0046】
コンデンサ65の両端には、該コンデンサ65の一端にカソードが接続されたサイリスタ66を介して昇圧トランス67の一次巻線671が接続されている。サイリスタ66のゲートはイオン発生器6aの制御端子に対応し、制御パルスを出力する出力I/F891の出力端子に接続されている。昇圧トランス67の二次巻線672は、一端が、放電電極611にカソードが接続されたダイオード612のアノードと、放電電極621にアノードが接続されたダイオード622のカソードとに接続されており、他端が誘導電極613,623に接続されている。
【0047】
直流電源91は、出力I/F895から与えられる信号によって、前記直流電圧の大きさ(電圧値)が制御される。ここでは、一般的に外部から電源の電圧を制御する方法の1つとして、直流電源91から見た出力I/F895の抵抗値(即ち、直流電源91の外付け抵抗の抵抗値)を変化させるか、又は、出力I/F895から直流電源91に与えられる制御電圧を変化させるものとするが、他の方法を用いてもよい。
【0048】
上述した構成において、コンデンサ65が直流電源91の直流電圧まで充電された後に、出力I/F891からのオン信号によってサイリスタ66がターンオン(点弧)した場合、コンデンサ65に充電された電荷が昇圧トランス67の一次巻線671を介して急激に放電する。サイリスタ66は、コンデンサ65の両端電圧が低下してアノード電流がゼロになることによってターンオフ(消弧)し、その後は、出力I/F891から再びオン信号を与えられるまでターンオフを維持する。従って、サイリスタ66がターンオフした後は、コンデンサ65に再び直流電圧が充電される。
【0049】
一方、コンデンサ65が放電したエネルギーが一次巻線671を介して二次巻線672に伝達されることにより、二次巻線672の両端にはインパルス状の高電圧と、これに続く数サイクルの高圧の振動電圧(交流電圧)とが発生する。この高圧の振動電圧がダイオード612,622の夫々を介して放電電極611,621に印加されることにより、放電電極611,621の夫々と誘電電極613,623との間における強電界の領域にて局所的な絶縁破壊が発生する。このため、放電電極611,621夫々の先端部で電離現象(例えばコロナ放電)が発生してプラス及びマイナスのイオンが生成される。
【0050】
ところで、イオン発生部61,62における単位時間当たりの放電エネルギーは、放電電極611,621に印加される振動電圧(交流電圧)の振幅の自乗に略比例し、且つ、単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数(つまり交流電圧の周波数)に略比例すると考えられる。ここでは、上述の振動電圧の減衰時間よりも、サイリスタ66をターンオンさせる周期の方が長く、且つ、サイリスタ66がターンオフしてからターンオンするまでの間にコンデンサ65が直流電圧まで充電されるものとする。
【0051】
そうすると、上記振動電圧の振幅は、コンデンサ65に充電される直流電圧の大きさに略比例し、上記振動電圧の累計振動回数は、単位時間当たりのサイリスタ66のターンオン回数(つまりターンオンの繰り返し周波数)に比例するものとなる。換言すれば、単位時間当たりの放電エネルギーを大/小に制御するには、直流電圧の大きさが大/小となるようにするか、又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が高/低となるようにすればよい。
【0052】
このように制御される放電エネルギーが大きいほど、放電に伴う騒音が増大し、周囲の環境が静寂な場合に耳障りとなる。そこで、マイクロフォン861及び騒音検出回路86で検出した周囲の騒音レベルが相対的に低い場合は、放電エネルギーを減少させることにより、放電に伴う騒音を周囲の騒音と同程度以下にすることが考えられる。具体的には、直流電源91から出力される直流電圧を低下させるか、又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を低下させればよい。
【0053】
尚、図4に示す回路例では、コンデンサ65を直流電圧まで充電した後に、サイリスタ66をターンオンさせてコンデンサ65を放電させたが、コンデンサ65を充放電させる方法は、これに限定されるものではない。例えば、ダイオード63及び抵抗器64間にスイッチング素子を直列に接続しておき、該スイッチング素子をオンしてコンデンサ65の充電を開始してから、サイリスタ66をターンオンさせるまでの時間を長/短に制御することにより、コンデンサ65に充電される電圧が高/低となるように制御してもよい。これにより、直流電源91から出力される直流電圧の大きさが一定である場合であっても、イオン発生部61,62における放電エネルギーを大/小に制御することが可能となる。
【0054】
次に、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーを減少させる具体例について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図5のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0055】
図5Aにおいて、時刻t1より前と、時刻t2(t1<t2)より後とでは、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低く、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが所定の閾値より高い。ここでの閾値は、例えば、切換スイッチ851によって切り換えられた送風ファン3,3の風量が、強弱2段階の弱である場合、直流電圧が最も低い7Vであり、且つサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が最も低い125Hzであるときに、静寂な環境で騒音検出回路86によって検出される騒音レベルより適当に高い値に設定される。
【0056】
図5Bにおいて、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが比較的高いため、直流電圧を最大の9Vに設定してあり、周囲環境の浄化に必要十分な量のイオンを供給している。これに対し、時刻t1より前と、時刻t2より後とでは、周囲の騒音レベルが比較的低いため、直流電圧を7Vに低減する。イオン発生部61,62における放電エネルギーは、コンデンサ65の充電エネルギー、即ち充電される電荷量に略比例すると考えられ、コンデンサ65に充電される電荷量は充電電圧の自乗に比例するため、直流電圧を9Vから7Vに低減することにより、上記放電エネルギーを約60%に減少させることができる。これにより、放電に伴う騒音が低減される。
【0057】
図5Cにおいて、時刻t1からt2までの間では、周囲の騒音レベルが比較的高いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最大の250Hzに設定してあり、この間でのイオンの供給量を最大に維持している。これに対し、時刻t1より前と、時刻t2より後とでは、周囲の騒音レベルが比較的低いため、上記繰り返し周波数を125Hzに低減する。これにより、イオン発生部61,62における放電エネルギーは、更に約50%に低減される。
尚、本実施の形態1では、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合に、直流電圧の低減と、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の低減とを実施しているが、何れか一方を低減させるだけでもよい。
【0058】
以下では、上述したイオン発生装置の制御部の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM82に予め格納された制御プログラムに従ってCPU81により実行される。
図6は、イオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせるCPU81の処理手順を示すフローチャートであり、図7は、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンのサブルーチンに係るCPU81の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図6の処理(メインルーチン)は、例えば切換スイッチ851に対する操作によって運転が開始されたときに起動されるが、これに限定されるものではない。上記サブルーチンでは、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図5Cに対応して変化するように制御する。
尚、他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンについては、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンと比較して処理対象のイオン発生器が異なるだけであるため、その図示及び説明を省略する。
【0060】
図6の処理が起動された場合、CPU81は、イオン発生装置が運転中であるか否かを判定し(S11)、運転中ではない場合(S11:NO)、即ち切換スイッチ851に対する操作によって運転が停止された場合、図6のメインルーチンに係る処理を終了する。運転中の場合(S11:YES)、CPU81は、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S12)。
【0061】
図7に移って、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンが図2のメインルーチンから呼び出された場合、CPU81は、イオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせる周期を決めるタイマA(タイマ84の一部 以下同様)に計時を開始させる(S20)。ここでは、イオン発生器6a,6d、6b,6cを1秒周期で(0.5秒毎に)交互にオン/オフさせるものとする。
【0062】
その後、CPU81は、一のイオン発生器(例えば、イオン発生器6a)のサイリスタ66をターンオンさせる(S21)べく、出力I/F891からイオン発生器6aの制御端子に制御パルスを与える。同様に、CPU81は、他のイオン発生器(ここではイオン発生器6d)のサイリスタ66をターンオンさせる(S22)べく、出力I/F894からイオン発生器6dの制御端子に制御パルスを与える。そして、CPU81は、サイリスタ66をターンオンさせる周期を計時するタイマBに計時を開始させる(S23)。
【0063】
次いで、CPU81は、騒音検出回路86によって周囲の騒音レベルを検出し(S24)、検出した騒音レベルが所定の閾値より低いか否かを判定する(S25)。所定の閾値より低い場合(S25:YES)、CPU81は、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を低くするために、ターンオンの1周期を8ms(繰り返し周波数では125Hz)とする(S26)。検出した騒音レベルが所定の閾値より低くない場合(S25:NO)、CPU81は、図5Cに従って、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を高く維持するために、ターンオンの1周期を4ms(繰り返し周波数では250Hz)とする(S27)。
【0064】
ステップS26又はS27の処理を終えた場合、CPU81は、タイマBが、ステップS26又はS27で設定された1周期に相当する時間を計時したか否かを判定し(S28)、計時するまで待機する(S28:NO)。タイマBが、設定された1周期に相当する時間を計時した場合(S28:YES)、CPU81は、タイマAが0.5秒を計時したか否かを判定し(S29)、計時していない場合(S29:NO)、サイリスタ66のターンオンを繰り返すために、ステップS21に処理を移す。タイマAが0.5秒を計時した場合(S29:YES)、CPU81は、メインルーチンにリターンする。
【0065】
図6に戻って、一の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU81は、他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S13)。他の対角線上に並ぶイオン発生器オンに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU81は、繰り返してイオン発生器6a,6d、6b,6cを交互にオン/オフさせるために、ステップS11に処理を移す。
【0066】
次に、直流電圧の大きさを制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図8の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0067】
図8の処理が起動された場合、CPU81は、切換スイッチ851によって切り換えられた風量が弱であるか否かを判定し(S30)、弱ではない場合(S30:NO)、即ち強である場合、送風ファン3,3による騒音が大きいことからイオン発生部61,62における放電エネルギーを減少させないために、直流電圧を9Vに設定して(S34)、図8の処理を終了する。
【0068】
風量が弱である場合(S30:YES)、CPU81は、騒音検出回路86によって周囲の騒音レベルを検出し(S31)、検出した騒音レベルが所定の閾値より低いか否かを判定する(S32)。所定の閾値より低くない場合(S32:NO)、CPU81は、図5Bに従って、直流電圧を9Vに維持するために、ステップS34に処理を移す。検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S32:YES)、CPU81は、放電エネルギーを減少させるために直流電圧を7Vに設定した(S33)後、図8の処理を終了する。
【0069】
以上にように本実施の形態1によれば、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する振動電圧(交流電圧)の振幅及び/又は単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数(周波数)を制御する。
これにより、周囲の騒音レベルが低下した場合に放電エネルギーが減少し、イオン発生部から発せられる騒音が減少する。
従って、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【0070】
また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、コンデンサに充電される直流電圧を低減することにより、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅を減少させる。
従って、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音を減少させることが可能となる。
【0071】
更にまた、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数を下げることにより、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の周波数を低下させる。
従って、周囲の騒音レベルが一定レベルより低下した場合に放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音を減少させることが可能となる。
【0072】
更にまた、イオンを吹き流す送風ファンの風量が、強より少ない弱の場合、周囲の騒音レベルに応じてイオン発生部の放電エネルギーが変化するように、放電電極に印加する振動電圧(交流電圧)の振幅及び/又は単位時間当たりの振動電圧の累計振動回数を制御する。
従って、風量が少ないために送風ファンが発する騒音が小さく、且つ周囲の騒音レベルが一定レベルより低い場合、放電エネルギーが減少してイオン発生部から発せられる騒音が減少する。このため、放電に伴う騒音が耳障りとならないようにすることが可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態1が、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合に、直流電源91の直流電圧、及び/又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を1段階低下させる形態であるのに対し、実施の形態2は、周囲の騒音レベルの低下量(又は上昇量)に応じて、上記直流電圧及び/又は繰り返し周波数を滑らかに低下(又は上昇)させる形態である。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図9のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0075】
図9Aにおいて、周囲の騒音レベルは、時刻t3より遙か前において所定の閾値より十分に低く、その後、時刻t3の前後で所定の閾値を横切るように上昇する。時刻t3を過ぎても上昇し続けた騒音レベルが、ある時点から下降に転じ、時刻t4の前後で再び所定の閾値を横切るように下降し、その後、十分に低いレベルまで低下する。
【0076】
図9Bにおいて、時刻t3より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、直流電圧を最低の6Vに設定してあり、イオン発生部61,62における放電エネルギーを抑制している。その後、時刻t3より前のある時点から時刻t3までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて直流電圧を上昇させる。また、時刻t4から該時刻t4より後のある時点までは、周囲の騒音レベルの低下に応じて直流電圧を低下させ、その後は、騒音レベルの低下に拘わらず6Vに維持する。
【0077】
図9Cにおいて、時刻t3より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最低の100Hzに設定してある。その後、時刻t3より前のある時点から時刻t3までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて上記繰り返し周波数を上昇させる。また、時刻t4から該時刻t4より後のある時点までは、周囲の騒音レベルの低下に応じて上記繰り返し周波数を低下させ、その後は、騒音レベルの低下に拘わらず100Hzに維持する。
【0078】
次に、直流電圧の大きさを制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、実施の形態1と同様に、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0079】
図10に示す処理のうち、ステップS130からS132及びS134については、実施の形態1の図8に示すステップS30からS32及びS34と同一であるため、その説明を省略する。
ステップS132で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S132:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルと所定の閾値との差分に応じた電圧を算出して低減電圧とし(S138)、算出した低減電圧の大きさが3Vより大きいか否かを判定する(S139)。
【0080】
低減電圧の大きさが3Vより大きくない場合(S139:NO)、CPU81は、低減電圧を制限することなく、ステップS141に処理を進める。低減電圧の大きさが3Vより大きい場合(S139:YES)、CPU81は、低減電圧を3Vに制限し(S140)、9Vから低減電圧を減算した電圧を直流電圧とした(S141)後、図10の処理を終了する。
【0081】
尚、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図9Cに対応するように制御するCPU81の処理手順のフローチャートは、実施の形態1の図7に示すサブルーチンにおいて、周囲の騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて1周期の長さを設定する処理を、ステップS26の処理と置き換えたものとなる。上記のように設定する処理は、図10のステップS138からS141までの処理と同等になる(但し、低減電圧を低減周波数と読み替え、低減周波数の上限を125Hzとする)ため、その説明を省略する。
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0082】
以上にように本実施の形態2によれば、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減電圧を9Vから減算した電圧を、直流電圧とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、イオン発生部の放電電極に印加する振動電圧の振幅が大/小となるように制御する。
従って、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音をそれだけ減少させることが可能となる。
【0083】
また、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い場合、騒音レベルと所定の閾値との差分に応じて算出した低減周波数を250Hzから減算した周波数を、サイリスタのターンオンの繰り返し周波数とすることにより、騒音レベルの高/低に応じて、放電電極に印加する交流電圧の周波数が高/低となるように制御する。
従って、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低下するほど、放電エネルギーが減少するため、イオン発生部から発せられる騒音をそれだけ減少させることが可能となる。
【0084】
(実施の形態3)
実施の形態2が、周囲の騒音レベルの低下量(又は上昇量)に応じて、上記直流電圧及び/又は繰り返し周波数を滑らかに低下(又は上昇)させる形態であるのに対し、実施の形態3は、周囲の騒音レベルが所定の閾値より低い第2の閾値を上回ったときに、直流電圧、及び/又はサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を、一時的に高くする形態である。
【0085】
図11は、本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で放電エネルギーを大/小に制御する様子を示す説明図である。図11のAは周囲の騒音レベルの時間変化を例示する説明図、Bは直流電圧の大きさの時間変化を例示する説明図、Cはサイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の時間変化を例示する説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸の夫々は、周囲の騒音レベル、直流電圧及び繰り返し周波数を表す。
【0086】
図11Aにおいて、周囲の騒音レベルは、時刻t5より遙か前において第2の閾値よりも低く、その後、時刻t5で第2の閾値を上回り、時刻t6(t5<t6)で所定の閾値を上回るように上昇する。時刻t6を過ぎても上昇し続けた騒音レベルが、ある時点から下降に転じ、時刻t7の前後で再び所定の閾値を横切るように下降し、その後、十分に低いレベルまで低下する。
【0087】
図11Bにおいて、時刻t5より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、直流電圧を最低の6Vに設定してあり、イオン発生部61,62における放電エネルギーを抑制している。その後、時刻t5より前のある時点から時刻t5までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて直流電圧を上昇させる。更に、時刻t5で騒音レベルが第2の閾値を上回った時に、直流電圧を9Vに設定して所定時間だけ9Vを維持する。所定時間が経過した後は、直流電圧を実施の形態2と同様に制御する。つまり、時刻t7に至るまでに所定時間が経過したときは、図11Bの実線で示すように、時刻t7以降における直流電圧を滑らかに低下させる。また、例えば時刻t7及びt8(t7<t8)の間で所定時間が経過したときは、図11Bの一点鎖線で示すように、時刻t8で直流電圧を9Vから実線で示される電圧に戻す。
【0088】
図11Cにおいて、時刻t5より遙か前では、周囲の騒音レベルが十分に低いため、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数を最低の100Hzに設定してある。その後、時刻t5より前のある時点から時刻t5までは、周囲の騒音レベルの上昇に応じて繰り返し周波数を上昇させる。更に、時刻t5で騒音レベルが第2の閾値を上回った時に、繰り返し周波数を250Hzに設定して所定時間だけ250Hzを維持する。所定時間が経過した後は、繰り返し周波数を実施の形態2と同様に制御する。つまり、時刻t7に至るまでに所定時間が経過したときは、図11Cの実線で示すように、時刻t7以降における繰り返し周波数を滑らかに低下させる。また、例えば時刻t7及びt8(t7<t8)の間で所定時間が経過したときは、図11Cの一点鎖線で示すように、時刻t8で繰り返し周波数を250Hzから実線で示される周波数に戻す。
【0089】
次に、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数の高/低を制御して放電エネルギーを大/小に制御する方法について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3に係るイオン発生装置で直流電圧を制御するCPU81の処理手順を示すフローチャートである。図12の処理は、イオン発生装置の運転中に、周囲の騒音の変化を適当に捉えることが可能な周期で起動されるが、運転中に適時起動されるようにしてもよい。
尚、送風ファン3,3の風量は、実施の形態1及び2と同様に、強弱の2段階に切り換えられるものとする。
【0090】
図12に示す処理のうち、ステップS230からS232及びS234については、実施の形態1の図8に示すステップS30からS32及びS34と同一であるため、その説明を省略する。
ステップS232で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低くない場合(S232:NO)、CPU81は、検出した騒音レベルが第2の閾値より高いことを記憶するために、低レベルフラグを0にクリアし(S233)、ステップS234に処理を移す。
【0091】
ステップS232で、検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合(S232:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルが、所定の閾値より低い第2の閾値より更に低いか否かを判定する。第2の閾値より低い場合(S235:YES)、CPU81は、検出した騒音レベルが第2の閾値より低いことを記憶するために、低レベルフラグを1にセットした(S236)後、後述するステップS238に処理を移す。
【0092】
検出した騒音レベルが第2の閾値より低くない場合(S235:NO)、CPU81は、前回検出した騒音レベルが第2の閾値より低かったことを確かめるために、低レベルフラグが1にセットされているか否かを判定する(S237)。1にセットされていない場合(S237:NO)、CPU81は、ステップS238に処理を移す。以下、ステップS238からS241までの処理は、実施の形態2の図10に示すステップS138からS141までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0093】
ステップS237で低レベルフラグが1にセットされている場合(S237:YES)、即ち、周囲の騒音レベルが、第2の閾値より低いレベルから第2の閾値を上回るレベルまで上昇した場合、CPU81は、新たに検出した騒音レベルが第2の閾値より高いことを記憶するために、低レベルフラグを0にクリアする(S242)。その後、CPU81は、直流電圧を一定に維持する時間(ここでは10秒とするが、これには限定されない)を計時するタイマCに計時を開始させ(S243)、直流電圧を9Vに設定する(S244)。ここで設定する電圧は9Vに限定されない。
【0094】
次いで、CPU81は、タイマCが10秒を計時したか否かを判定して(S245)、計時するまで待機する(S245:NO)。タイマCが10秒を計時した場合(S245:YES)、CPU81は、一時的に上昇させた直流電圧を元に戻して通常の電圧制御を行うために、ステップS230に処理を移す。
【0095】
尚、サイリスタ66のターンオンの繰り返し周波数が図11Cに対応するように制御するCPU81の処理手順のフローチャートは、実施の形態1の図7に示すサブルーチンにおいて、実施の形態2で読み替えた処理に加えて、周囲の騒音レベルが第2の閾値を上回ったときに1周期の長さを10秒間だけ4ms(250Hz相当)に設定する処理を追加したものとなる。そのように設定する処理は、図12のステップS235からS237まで及びS242からS245までの処理と同等になる(但し、「直流電圧=9V」を「1周期=4ms」と読み替える)ため、その説明を省略する。ここで一時的に設定する1周期の長さは、4msに限定されない。
【0096】
その他、実施の形態1及び2に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
以上にように本実施の形態3によれば、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、10秒間だけ直流電圧を9Vに設定することにより、放電電極に印加する交流電圧の振幅を増加させる。
従って、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることが可能となる。
【0098】
また、周囲の騒音レベルが第2の閾値より低いレベルから上昇して第2の閾値より高くなった場合、10秒間だけサイリスタのターンオンの繰り返し周波数を250Hzとすることにより、放電電極に印加する交流電圧の周波数を上昇させる。
従って、周囲の騒音環境の悪化を察知して放電エネルギーを増大させるため、周囲の空気環境の悪化に先んじてイオン濃度を増大させることが可能となる。
【0099】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
2 モータ
3 送風ファン
6a、6b、6c、6d イオン発生器
61、62 イオン発生部
611、621 放電電極
81 CPU(制御部の中枢)
82 ROM
83 RAM
84 タイマ(計時部)
85 操作表示部
851 切換スイッチ(風量調整手段の一部)
86 騒音検出回路(騒音検出部の一部)
861 マイクロフォン(騒音検出部の一部)
87 モータ駆動回路(風量調整手段の一部)
91 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを発生させる放電電極を有するイオン発生部と、前記放電電極に印加する交流電圧を制御する制御部とを備えるイオン発生装置において、
周囲の騒音レベルを検出する騒音検出部を備え、
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあること
を特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記交流電圧の振幅を減少させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の振幅が大/小となるようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、
前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の振幅を増加させるようにしてあること
を特徴とする請求項2又は3に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが前記閾値より低い場合、前記交流電圧の周波数を低下させるようにしてあること
を特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の周波数が高/低となるようにしてあること
を特徴とする請求項5に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、
前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の周波数を上昇させるようにしてあること
を特徴とする請求項5又は6に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生部が発生させたイオンを吹き流す送風ファンと、
該送風ファンの風量を調整する風量調整手段とを備え、
前記制御部は、前記風量調整手段が調整した風量が所定の風量より少ない場合、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項1】
イオンを発生させる放電電極を有するイオン発生部と、前記放電電極に印加する交流電圧を制御する制御部とを備えるイオン発生装置において、
周囲の騒音レベルを検出する騒音検出部を備え、
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあること
を特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが所定の閾値より低い場合、前記交流電圧の振幅を減少させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の振幅が大/小となるようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、
前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の振幅を増加させるようにしてあること
を特徴とする請求項2又は3に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルが前記閾値より低い場合、前記交流電圧の周波数を低下させるようにしてあること
を特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記騒音検出部が検出した騒音レベルの高/低に応じて、前記交流電圧の周波数が高/低となるようにしてあること
を特徴とする請求項5に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記騒音検出部が検出した騒音レベルが、前記閾値より低い第2の閾値を上回った場合、計時を開始する計時部を備え、
前記制御部は、前記計時部が計時を開始してから所定時間を計時するまで、前記交流電圧の周波数を上昇させるようにしてあること
を特徴とする請求項5又は6に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生部が発生させたイオンを吹き流す送風ファンと、
該送風ファンの風量を調整する風量調整手段とを備え、
前記制御部は、前記風量調整手段が調整した風量が所定の風量より少ない場合、前記騒音検出部が検出した騒音レベルに応じて前記交流電圧を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のイオン発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−45580(P2013−45580A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181885(P2011−181885)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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