説明

イオン発生部材およびイオン発生歯ブラシ

【課題】通常の歯ブラシを簡単にイオン発生歯ブラシにすることができるイオン発生部材を提供する。ブラシにへたりが生じても、簡単かつ安価に新品同様に復元できるイオン発生歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯ブラシ本体11の植毛部近辺に着脱自在に取り付けられる薄肉の基材と、その基材が含有するイオン発生物質の粉末とからなる歯ブラシ用のイオン発生部材14。このイオン発生部材14の基材は、弾力性を有するチューブの形態を有し、その弾力性によって歯ブラシ本体11の周囲に装着できる。イオン発生部材14を装着することにより、イオン発生歯ブラシ10が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン発生部材およびイオン発生歯ブラシに関する。さらに詳しくは、市販の歯ブラシなどを簡単にイオン発生歯ブラシに変更させることができるイオン発生部材、ならびにそのイオン発生部材を用いたイオン発生歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ブラシの毛を石英安山岩を配合したナイロンで構成した電動歯ブラシを開示している。このものは石英安山岩から常時放出されるマイナスイオン、遠赤外線などにより、血行をよくするなどの効果を生ずる。また、ヘッド部を他の部分に着脱自在とし、ヘッド部を交換できるようにしている。特許文献2はマイナスイオンを発生するゲルマニウムを合成樹脂に配合して得られる合成樹脂繊毛材をブラシの毛として採用することを開示している。
【0003】
特許文献3は、歯ブラシの握り部の先端にシリコーンゴムなどを取り付け、その中にトルマリンなどのマイナスイオンを発生する物質の粉末を混合しておく技術を開示している。このものはシリコーンゴムによるマッサージ効果とトルマリンから放出されるマイナスイオンの血行をよくする効果を相乗的に得ることができるとされている。
【0004】
特許文献4は、握り部(ハンドル部)に内蔵した電池と、ブラシの毛と導通する、ヘッド部内に埋め込まれている金属端子と、その金属端子と導通する、握り部の外部側面に露出する金属端板を備え、さらにIC回路、ブザーを設けて導通状態を表示できるようにした電子イオン歯ブラシを開示している。このものは使用者がハンドル部を握るときに金属端体を手にし、ブラシに水を付けて口に入れると、ブラシ毛がプラス、手がマイナスとなり、歯面のマイナス極と歯垢のマイナス曲が反発し、歯垢をブラシ毛側に除去できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−24805号公報
【特許文献2】特開2007−89985号公報
【特許文献3】特開2003−225122号公報
【特許文献4】特開平9−140453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のマイナスイオンを発生する歯ブラシは、ヘッド部、握り部あるいはブラシの毛など、歯ブラシの構成部品自体にマイナスイオンを発生する天然鉱石粉末を混合している。そのため、歯ブラシの製造に当たって特殊な部品を使用する必要があり、歯ブラシの製造コストが高くなる。さらに使用によりブラシの毛にへたりが生ずると、歯ブラシ全体を廃棄するか、特許文献1のようにヘッド部を交換可能にしている場合でも、ヘッド部全体を交換する必要がある。そのため長期に使用できる高価な天然鉱石を無駄に廃棄することになる。
【0007】
本発明は、通常の歯ブラシを簡単にイオン発生歯ブラシにすることができる歯ブラシ用のイオン発生部材を提供することを課題としている。本発明の第2の態様は安価に製造することができ、ブラシにへたりが生じても、簡単かつ安価に新品同様に復元できるイオン発生歯ブラシを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の歯ブラシ用のイオン発生部材は、歯ブラシ本体の植毛部近辺に着脱自在に取り付けられる薄肉の基材と、その基材が含有するイオン発生物質の粉末とからなることを特徴としている(請求項1)。このような歯ブラシ用のイオン発生部材においては、前記基材が弾力性を有するチューブの形態を有し、その弾力性によって歯ブラシ本体の周囲に装着できるものが好ましい(請求項2)。
【0009】
また、前記基材に歯ブラシ本体に貼り付けるための粘着剤が設けられているものであってもよい(請求項3)。前記いずれのイオン発生部材においても、前記基材が合成樹脂またはゴム製であり、前記イオン発生物質が基材の成形前の材料に練り込まれているものが好ましい(請求項4)。
【0010】
本発明のイオン発生歯ブラシは、歯ブラシ本体と、その歯ブラシ本体の植毛部近辺に着脱自在に装着された前記いずれかのイオン発生部材とからなることを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0011】
本発明のイオン発生部材(請求項1)は、イオン発生物質の粉末を含有しているので、歯ブラシに取り付けて歯を磨くと、使用者の口中の唾液や水がプラスイオンとマイナスイオンとに分かれて電解質化するので、歯垢は歯の表面から浮いて掻き取りやすくなり、容易に除去することができる。そしてほとんどの場合、練り歯磨きや歯磨き粉を用いなくても、たとえば水だけで磨いても、ツルツルの歯にすることができる。また、イオン発生部材は歯ブラシ本体の植毛部近辺に取り付けるだけでよく、それにより既存の歯ブラシ(市販の一般的な歯ブラシ)を簡単にイオン発生歯ブラシに変えることができる。そして歯ブラシ本体のブラシの毛がへたると、歯ブラシ本体からイオン発生部材を取り外し、取り外したイオン発生部材を新しい歯ブラシに付け替えるだけで、新品同様のイオン発生歯ブラシを得ることができる。
【0012】
このようなイオン発生部材において、前記基材が弾力性を有するチューブの形態を有し、その弾力性によって歯ブラシ本体の周囲に装着できる場合(請求項2)は、粘着剤や接着剤を用いずに、歯ブラシに対して容易に装着でき、取り外すことも容易である。
【0013】
前記基材に歯ブラシ本体に貼り付けるための粘着剤が設けられている場合(請求項3)は、歯ブラシの交換を数回以上行うことができ、歯ブラシ本体への取り付け・取り外しが容易である。また、イオン発生部材を歯ブラシの柄部に密着させることができるので、使用感が優れている。なお、粘着力が弱くなった場合は、市販の粘着剤で貼り付ければよい。
【0014】
前記基材が合成樹脂またはゴム製であり、前記イオン発生物質が基材の成形前の材料に練り込まれている場合(請求項4)は、イオン発生物質が基材から脱落しないので、取り扱いが容易である。
【0015】
本発明のイオン発生歯ブラシ(請求項5)は、歯ブラシ本体に前述のイオン発生部材を着脱自在に取り付けたものであるので、イオン発生部材を準備するだけで、既存の歯ブラシ、たとえば市販の一般的な歯ブラシを簡単にイオン発生歯ブラシに変えることができる。さらにとくに油を多く含む食事やニンニクなどのにおいが強いものを食べた場合を除き、練り歯磨きや歯磨き粉などの歯磨き剤が不要である。そのため、要介護者にうがいをさせなくてもよく、誤って歯周病菌を含む水が肺に入るといった事故のおそれがない。そして歯ブラシ本体のブラシの毛がへたると、イオン発生部材を取り外し、新しい歯ブラシに
付け替えるだけで、新品同様のイオン発生歯ブラシを得ることができる。
【0016】
前記歯ブラシ本体が、握り兼用のケースと、そのケースに対し、収容状態と延長状態の両方で着脱自在に取り付けられる先端側とからなる場合(請求項6)は、OLや学生、出張族など、歯ブラシを持ち運ぶ使用者にとって、小さくして化粧ポーチなどに収容することができるので便利である。とくに練り歯磨きや歯磨き粉が不要で、小さくした歯ブラシを1本持ち運ぶだけでよいので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1aおよび図1bはそれぞれ本発明のイオン発生歯ブラシの一実施形態を示す平面図および側面図である。
【図2】図1a、図1bに用いるイオン発生部材の断面図である。
【図3】図3aは本発明のイオン発生部材の他の実施形態を示す平面図であり、図3bおよび図3cはそのイオン発生部材を取り付けたイオン発生歯ブラシの断面図である。
【図4】図4aは本発明のイオン発生歯ブラシのさらに他の実施形態を示す使用時の一部断面側面図であり、図4bはケース収容時の一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1a、図1bに示すイオン発生歯ブラシ10は、歯ブラシ本体11と、その歯ブラシ本体のヘッド部(植毛部)12近辺から握り部13の途中にかけて着脱自在に取り付けられるチューブ状のイオン発生部材14とからなる。歯ブラシ本体11は、従来の歯ブラシと実質的に同一であり、たとえば合成樹脂製の柄15と、その先端のヘッド部12の上面に植毛されたブラシ毛16とからなる。
【0019】
柄16は合成樹脂製であり、射出成形などで成形することができる。握り部13の表面に熱可塑性エラストマーで弾力性を有する層を設けてもよい。ヘッド部12は口に入れる部位であり、ブラシ毛16を植毛できる範囲であればできるだけ小さく、薄くするのが好ましい。握り部13のうち、ヘッド部側の一定長さの範囲(細い部分)18では、口の内外の部分を結ぶため、細くして違和感が少ないようにしている。また、細くすることにより、弾力変形がしやすくなうので、一層使用感がよくなる。図1bに示すように、ヘッド部12は握り部13より下方にきており、先端側の細い部分18は、それらを緩やかに連結するように傾斜している。
【0020】
ブラシ毛16は、従来と同様に、複数本ずつ束ねた状態で、あるいは束ねた上で2つに折り返した状態で、ヘッド部12に形成した多数の穴に打ち込まれ、接着剤などで接合されている。毛先は山形など、従来公知の形状に切りそろえるようにしてもよい。
【0021】
イオン発生部材14は、イオン発生物質の粉末を練り込んだポリエチレン製のチューブを切断したものである。裏面には粘着剤や接着剤を塗布していないが、塗布してもよい。ポリエチレンに代えて、他の弾力性を有する軟質樹脂を用いることもできる。使用する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどがあげられる。熱可塑性樹脂エラストマー、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム類を用いることもできる。
【0022】
このイオン発生部材は柔軟で、ヘッド部12から握り部13の曲面に沿って被せることができ、弾力性で保持させることができる。なお、チューブ状でなく、平坦なシート状とすることもできる(図4a、図4b参照)。その場合は販売時には粘着剤の上に離型紙を貼り付けておき、使用時に離型紙を剥がすようにする。イオン発生部材14は、先端がブラシ毛16の根元近辺に来るように装着するのが好ましい。
【0023】
チューブ状のイオン発生部材14の大きさについては、図2に示すように、長さLは1
0〜30mm程度、とくに15〜25mm程度が好ましく、チューブの外径Dは5〜20mm程度、とくに7〜9mm程度が好ましい。厚さTは0.3〜3mm、とくに0.5〜1.5mm程度である。
【0024】
イオン発生物質としてはトルマリン、ゲルマニウム、ブラックシリカなど、それらの一種または二種以上の混合物など、水分をプラスイオンとマイナスイオンに分離して電解質化する天然または人工鉱物の微粉末が好ましい。また、同様の性質を備えたセラミックスの微粉末であってもよい。微粉末の大きさは、通常は平均粒径1μm以下とする。
【0025】
上記のようにして得られるイオン発生歯ブラシ10を使用するには、通常の歯ブラシのように先端のヘッド部12を口に入れてブラシ毛16の先端で歯の表面を磨く。それにより、唾液や水分でぬれているイオン発生部材14が水をプラスイオンとマイナスイオンに分離して電解質化する。それによりマイナス化して歯に付着しているカルシウムなどの歯垢成分が中性化し、歯ブラシで容易に掻き取ることができるようになる。
【0026】
したがってしたがってクリーム状の練り歯磨きや粉末状の歯磨き粉などを用いなくても、水だけできれいに歯を磨くことができ、歯の表面が陶器のように滑らか(ツルツル)になり、白色に輝くようになる。なお、強い油分を含む食事をしたとき、あるいはニンニクなどの強いにおい成分を有する食事をしたときは、歯磨き粉や練り歯磨きなどの界面活性剤を含有する歯磨き剤は使用したほうが汚れがとれるが、できれば使用しないほうが好ましい。また歯磨き剤を使用しないことにより水の汚れが緩和され、環境汚染防止に役立つ。さらに要介護者の口腔内ケアのときも、うがいをさせなくてよく、安心して介護者が歯を磨くことができる。また、口腔内の殺菌作用を有するうがい薬とは異なり、いわゆる常在菌まで滅菌してしまうことがないため、健康維持に役立つ。
【0027】
図1a、図1bの歯ブラシ本体11は、市販の歯ブラシであり、柄15の表面は平滑である。そのため、イオン発生部材14の表面と柄15の表面との間にイオン発生部材の厚さT分だけ段差が生じている。しかし柄15の表面に、イオン発生部材14を埋め込むための段部を形成した専用の歯ブラシを使用することもできる。イオン発生部材の最初の販売時には、このような専用の歯ブラシとセットにして販売してもよい。
【0028】
図1a、図1bのイオン発生部材14は軟質樹脂からなる柔軟なチューブであるが、硬質の合成樹脂を採用することもできる。合成樹脂としてはポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂では基本材料に配合する添加剤を選択して、一定の形状保持性や弾力性を与えることができる。なお、熱硬化性樹脂を採用することもできる。
【0029】
図3aに示すイオン発生部材20はチューブ状ではなく、可撓性を有する平坦なシート状である。このイオン発生部材20は、図3b、図3cに示すように、歯ブラシ本体11に対して巻き付け、粘着剤で貼り付けて用いる。このものは剥がれる心配があるが、チューブ状のイオン発生部材のように歯ブラシ本体を端部から順に挿入している手間が不要であるので、一層容易に装着することができる。
【0030】
イオン発生部材14、20は合成樹脂やゴムのほか、天然鉱石を焼成したセラミックスなどで製造することもできる。この場合は可撓性が低いため、歯ブラシ本体の形状に合わせて製造しておく。セラミックスを焼結する場合、イオン発生物質の粉末を混合しておくと、セラミックス全体からイオンを発生させることができる。
【0031】
図4aに示すイオン発生歯ブラシ22は、歯ブラシ本体23が、握り兼用のケース24と、そのケースに対し、収容状態と延長状態の両方で着脱自在に取り付けられる先端側2
5とに分かれている。チューブ状のイオン発生部材14は先端側25の周囲に装着されている。ケース24は一端に開口26を備えた有底筒状の形態を有する。好ましくは透明とする。先端側25は、柄15と、その先端に植毛されたブラシ毛16と、後端に設けられた嵌合部27とからなる。嵌合部27にはケース24の開口25の端縁と当接する環状のフランジ28が設けられており、嵌合部27はそのフランジ28によって外部側27aと内部側27bとに分けられている。
【0032】
このイオン発生歯ブラシ22は、図4aに示すように、先端側25をケース24から取り出して嵌合部27の外部側27aをケース24の開口26に嵌合させると、全体が長くなり、ケース24が握り部を兼ねた状態となる。使用しないときは、図4bに示すように、先端側25をケース24内に収容し、嵌合部27のの内部側27bをケース24の開口26に嵌合させる。それにより全体の長さをほぼ半分近くにすることができる。
【0033】
そしてこのイオン発生歯ブラシ22もイオン発生部材14を備えているので、練り歯磨きや歯磨き粉を使用する必要がない。したがってきわめてコンパクトな形態で持ち運ぶ頃ができ、たとえば化粧ポーチにも簡単に収容することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 イオン発生歯ブラシ
11 歯ブラシ本体
12 ヘッド部
13 握り部
14 イオン発生部材(チューブ)
15 柄
16 ブラシ毛
18 細い部分
L (イオン発生シートの)長さ
B 幅
T 厚さ
20 イオン発生部材(シート)
22 イオン発生歯ブラシ
23 歯ブラシ本体
24 ケース
25 先端側
26 開口
27 嵌合部部z
27a 外部側
27b 内部側
28 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシ本体の植毛部近辺に着脱自在に取り付けられる薄肉の基材と、その基材が含有するイオン発生物質の粉末とからなる歯ブラシ用のイオン発生部材。
【請求項2】
前記基材が弾力性を有するチューブの形態を有し、その弾力性によって歯ブラシ本体の周囲に装着できる請求項1記載のイオン発生部材。
【請求項3】
前記基材に歯ブラシ本体に貼り付けるための粘着剤が設けられている請求項1記載のイオン発生部材。
【請求項4】
前記基材が合成樹脂またはゴム製であり、前記イオン発生物質が基材の成形前の材料に練り込まれている請求項1、2または3のいずれかに記載のイオン発生部材。
【請求項5】
歯ブラシ本体と、その歯ブラシ本体の植毛部近辺に着脱自在に装着された請求項1〜4のいずれかに記載のイオン発生部材とからなるイオン発生歯ブラシ。
【請求項6】
前記歯ブラシ本体が、握り兼用のケースと、そのケースに対し、収容状態と延長状態の両方で着脱自在に取り付けられる先端側とからなる請求項5記載のイオン発生歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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