説明

イカロドプシン複合体結晶及びその製造方法

【課題】高い分解能でのX線構造解析が可能であり、Gタンパク質とロドプシンとの相互作用の解明に有用なイカロドプシン複合体結晶及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のイカロドプシン複合体結晶は、イカロドプシンとアルキルグルコシド及び微絨毛膜由来のリン脂質とが複合体を形成しているイカロドプシン複合体結晶であって、上記イカロドプシンは、N末端側から順に、膜貫通ヘリックスであるヘリックス1〜7と、細胞質側に露出したヘリックスであるヘリックス8及び9を有し、上記アルキルグルコシドが、上記ヘリックス2、3、4及び7に挟まれた細胞質側のタンパク質表面の窪みにトラップされている。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
イカロドプシンとアルキルグルコシド及びリン脂質とが複合体を形成しているイカロドプシン複合体結晶であって、
上記イカロドプシンは、N末端側から順に、膜貫通ヘリックスであるヘリックス1〜7と、細胞質側に露出したヘリックスであるヘリックス8及び9を有し、
上記アルキルグルコシドが、上記ヘリックス2、3、4及び7に挟まれた細胞質側のタンパク質表面の窪みにトラップされているイカロドプシン複合体結晶。
【請求項2】
分解能2.5ÅのX線結晶構造解析により、以下の(1)〜(6)のいずれかを解析することができる請求項1記載のイカロドプシン複合体結晶。
(1)上記ヘリックス5及び6が膜面から細胞質側へ20Å以上露出している。
(2)上記膜貫通ヘリックス間にキャビティが存在し、且つ該キャビティ内に水分子が存在する。
(3)上記ヘリックス8と上記へリックス9の間に形成される310ヘリックスはCys337を有し、且つ該Cys337に微絨毛膜由来の脂質成分のパルミトイル基が共有結合している。
(4)膜間2量体構造とともに、膜面内の2量体構造も認められる。
(5)膜面内2量体内のタンパク質間の隙間にリン脂質が結合している。
(6)上記イカロドプシンはGlu180を有し、且つ上記イカロドプシン中のレチナールのプロトン化シッフ塩基と上記Glu180との距離が4Å以上離れている。
【請求項3】
上記ヘリックス1〜9のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列のうち、以下の領域のアミノ酸配列である請求項1又は2記載のイカロドプシン複合体結晶。
ヘリックス1;31番目〜61番目
ヘリックス2;69番目〜87番目
ヘリックス3;105番目〜136番目
ヘリックス4;148番目〜172番目
ヘリックス5;195番目〜238番目
ヘリックス6;246番目〜286番目
ヘリックス7;294番目〜318番目
ヘリックス8;320番目〜329番目
ヘリックス9;341番目〜351番目
【請求項4】
上記イカロドプシンは、配列番号1のアミノ酸配列又は配列番号1のアミノ酸配列のC末端側にある75〜90残基分が除去されたアミノ酸配列である請求項1乃至3のいずれかに記載のイカロドプシン複合体結晶。
【請求項5】
空間群がP6であり、格子定数がa=b=122.5〜123.0Å、c=158.6〜159.0Å、α=β=90°、γ=120°である請求項1乃至4のいずれかに記載のイカロドプシン複合体結晶。
【請求項6】
表1に示す原子座標によって表される立体構造を有する請求項1乃至5のいずれかに記載のイカロドプシン複合体結晶。
【請求項7】
アルキルグルコシド及び亜鉛イオン存在下、イカロドプシンを含む試料から精製されたイカロドプシンを結晶化して得られる請求項1乃至6のいずれかに記載のイカロドプシン複合体結晶。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のイカロドプシン複合体結晶の製造方法であって、
アルキルグルコシド及び亜鉛イオン存在下、イカロドプシンを含む試料からイカロドプシンを精製し、イカロドプシン溶液を調製する工程と、
上記イカロドプシン溶液にメルカプトエタノール及び硫酸アンモニウムを含有する結晶化剤を添加し、イカロドプシンを結晶化する結晶化工程と、を含み
上記アルキルグルコシドの量と上記イカロドプシンの量の重量比は、(1.5〜5):1であり、上記メルカプトエタノールの濃度は3〜20mMであるイカロドプシン複合体結晶の製造方法。
【請求項9】
上記結晶化工程の期間は、上記イカロドプシン溶液に上記結晶化剤を添加してから3月以上である請求項8記載のイカロドプシン複合体結晶の製造方法。

【図1】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−215193(P2009−215193A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58864(P2008−58864)
【出願日】平成20年3月9日(2008.3.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物に発表 発行者名:日本学術振興会産学協力研究委員会 回折構造生物学第169委員会 刊行物名:「ISDSB2007 Symposium Booklet」 発行年月日:平成19年9月10日刊行物に発表 発行者名:日本生物物理学会 刊行物名:「生物物理」 Vol.47 2007年10月増刊号 発行年月日:平成19年11月20日刊行物に発表 発行者名:日本結晶学会 刊行物名:「日本結晶学会2007年度年会 講演要旨集」 発行年月日:平成19年12月1日
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】