説明

イス兼用の杖

【課題】簡単な構造として杖のグリップを握りやすくしながら安定して自立させる。
【解決手段】イス兼用の杖は、拡開自在な三脚1と、三脚1の上端に折り畳み自在に連結している一対の座台プレート2と、座台プレート2を水平姿勢に支持する座台ストッパ3と、垂直姿勢に折り畳まれた座台プレート2の外側に位置する一対の傾動アーム4と、一対の傾動アーム4の先端部を連結してなる杖グリップ5と、傾動アーム4を垂直姿勢に保持するアームストッパ6とを備える。イス兼用の杖は、三脚1が開かれて、傾動アーム4が垂直姿勢から水平方向に傾動され、一対の座台プレート2が座台ストッパ3で水平姿勢となってイスに使用され、座台プレート2が垂直姿勢の折畳位置にあり、傾動アーム4の挟着隙間40に、垂直姿勢で積層状態の座台プレート2が案内されて、傾動アーム4が傾動アーム4で座台プレート2を折畳位置に保持して杖として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イスに兼用できる杖に関する。
【背景技術】
【0002】
イスに兼用できる杖は開発されている。(特許文献1及び2参照)
特許文献1の杖は、図1に示すように上端に開閉できるように座台102を設けている。このイス兼用の杖は、座台102を垂直に折り畳んで杖に使用し、座台を水平に開いてイスに使用する。特許文献2のイス兼用の杖は、図2に示すように、直線状として杖に使用し、また、図3に示すように、上面に座台202を設けるように中間を折曲してイスに使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344609号公報
【特許文献2】特開2004−242967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のイス兼用の杖は、構造が複雑で重くなる欠点がある。また、垂直姿勢に折り畳んだ座台を2列に並べてグリップに使用するので、グリップが太くなって握り難い欠点がある。さらに、特許文献2のイス兼用の杖は、構造が複雑で重くなることに加えて、1本の杖の中間を折曲して2本の脚201として使用するので、安定して自立するのが難しくなる欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単な構造で軽くでき、しかも杖のグリップを握りやすくしながら、安定して自立できるイス兼用の杖を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明のイス兼用の杖は、拡開自在で開状態で垂直に自立できる三脚1と、この三脚1の上端に水平姿勢から垂直姿勢に折り畳みできるように連結している一対の座台プレート2と、この座台プレート2を水平姿勢に支持する座台ストッパ3と、三脚1の上端部に傾動できるように連結され、かつ垂直姿勢に折り畳まれた座台プレート2の外側に位置する一対の傾動アーム4と、一対の傾動アーム4の先端部を連結してなる杖グリップ5と、傾動アーム4を垂直姿勢に保持するアームストッパ6とを備えている。一対の座台プレート2は、三脚1の上端縁に位置し、かつ水平方向に伸びる回転軸21を中心として垂直姿勢から水平姿勢に傾動できるように連結されて、垂直姿勢においては互いに積層状態にあり、水平姿勢にあっては同一平面に位置している。さらに、一対の傾動アーム4の間には、垂直姿勢であって折畳位置にある積層状態の座台プレート2を両面から挟んで折畳状態に保持する挟着隙間40を設けている。イス兼用の杖は、三脚1が開かれて、傾動アーム4が垂直姿勢から水平方向に向かって傾動され、さらに一対の座台プレート2が座台ストッパ3で同一面内にある水平姿勢となってイスに使用され、座台プレート2が垂直姿勢の折畳位置にあり、傾動アーム4の挟着隙間40に、垂直姿勢で積層状態の座台プレート2が案内されて、傾動アーム4がアームストッパ6で垂直姿勢に保持され、挟着隙間40で座台プレート2を折畳位置に保持して杖として使用される。
【0007】
以上のイス兼用の杖は、極めて簡単な構造で軽くでき、しかも杖のグリップを握りやすくしながら、安定して自立できる特徴がある。とくに、座台プレートを開かないようにして杖に使用できる特徴がある。
【0008】
本発明のイス兼用の杖は、アームストッパ6を、座台プレート2と傾動アーム4との間に設けることができる。
この構造は、アームストッパの構造を極めて簡単にしながら、傾動アームを垂直姿勢に保持できる特徴がある。
【0009】
本発明のイス兼用の杖は、杖グリップ5が、グリップ53の高さを調整できる長さ調整機構54を備えることができる。
この構造は、グリップをユーザーに最適な高さとして便利に使用できる特徴がある。
【0010】
本発明のイス兼用の杖は、座台ストッパ3を、三脚1の上端部と座台プレート2との間に連結してなるストッパロッド30とすることができる。
この構造は、簡単な座台ストッパでもって、座台プレートをしっかりと水平姿勢に支持できる特徴がある。
【0011】
本発明のイス兼用の杖は、三脚1がその上端部に上縁を水平面とする固定台10を備えて、この固定台10に各々の座台プレート2を蝶番20を介して連結することができる。
この構造によると、三脚に強固に座台プレートを連結できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のイス兼用の杖の垂直断面図である。
【図2】従来の他のイス兼用の杖を杖として使用する状態を示す斜視図である。
【図3】図2のイス兼用の杖をイスとして使用する状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例にかかるイス兼用の杖を杖として使用する状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示すイス兼用の杖をイスとして使用する状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示すイス兼用の杖の底面斜視図である。
【図7】図4に示すイス兼用の杖を変形する状態を示す斜視図である。
【図8】図4に示すイス兼用の杖を変形する状態を示す斜視図である。
【図9】図4に示すイス兼用の杖の三脚の断面側面図である。
【図10】図5に示すイス兼用の杖の座台プレートの連結構造を示す分解斜視図である。
【図11】図4に示すイス兼用の杖の垂直断面図である。
【図12】図4に示すイス兼用の杖の杖グリップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのイス兼用の杖を例示するものであって、本発明はイス兼用の杖を以下のものに特定しない。
【0014】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0015】
図4ないし図8に示すイス兼用の杖は、拡開自在で開状態で垂直に自立できる三脚1と、この三脚1の上端に水平姿勢から垂直姿勢に折り畳みできるように連結してなる一対の座台プレート2と、この座台プレート2を水平姿勢に支持する座台ストッパ3と、三脚1の上端部に傾動できるように連結され、かつ垂直姿勢に折り畳まれた座台プレート2の外側に位置し、なおかつ先端を互いに連結してなる一対の傾動アーム4と、この傾動アーム4の先端に連結してなる杖グリップ5と、傾動アーム4を垂直姿勢に保持するアームストッパ6とを備えている。
【0016】
三脚1は、伸縮できる中心ロッド11と、この中心ロッド11の上端部に傾動できるように連結している3本の傾動ロッド12と、中心ロッド11と3本の傾動ロッド12の上端部に固定している固定台10と、3本の傾動ロッド12を所定の角度に開いた状態に停止する開ストッパ機構13とを備えている。
【0017】
中心ロッド11は、筒体状で下端を開口している外筒11Aと、この外筒11Aに下端から挿入している伸縮ロッド11Bとからなる。外筒11Aは円筒状で、その上端を固定台10に垂直に固定している。伸縮ロッド11Bは、3本の傾動ロッド12を開いた状態で収縮され、傾動ロッド12を中心ロッド11と平行な姿勢に折り畳む状態で伸びて、傾動ロッド12を折り畳み状態に固定する。伸縮ロッド11Bは、収縮する状態で、その下端を、開いた状態の傾動ロッド12の下端と同一面内に位置させる。この三脚1は、3本の傾動ロッド12と中心ロッド11の両方で座台プレート2の荷重を支持するので、しっかりと重い体重を支持できる。伸縮ロッド11Bは、座台プレート2の荷重を支えるために、下端部に開ストッパ機構13のストッパリング14を固定している。このストッパリング14は、伸縮ロッド11Bの収縮位置において、外筒11Aの下端に当たって伸縮ロッド11Bの収縮を停止する。
【0018】
3本の傾動ロッド12は、傾動できるようにその上端を中心ロッド11の上端部、すなわち固定台10に連結している。固定台10は、傾動ロッド12の上端の連結部をカバーする傘状カバー16を備えている。傘状カバー16は、各々の傾動ロッド12の傾動方向をガイドするガイド溝17を内側に設けている。
【0019】
開ストッパ機構13は、伸縮ロッド11Bの下端部に固定しているストッパリング14と、このストッパリング14と3本の傾動ロッド12とを連結している3本の連結アーム15とを備える。ストッパリング14は、上端面の外形を、外筒11Aの内形よりも大きくしており、図5に示すように、伸縮ロッド11Bを収縮する状態で外筒11Aの下端に当接して、伸縮ロッド11Bの収縮位置、すなわち伸縮ロッド11Bの上昇位置を特定する。連結アーム15は、一端をストッパリング14の上端面に傾動できるように連結すると共に、他端を傾動アーム12の内面に傾動できるように連結している。3本の連結アーム15は、ストッパリング14に、放射状に広がるように等間隔で連結している。
【0020】
この開ストッパ機構13は、図5と図6に示すように、伸縮ロッド11Bを収縮位置として、3本の傾動ロッド12を開く状態で、各々の連結アーム15がストッパリング14と傾動ロッド12との間隔を特定して、各々の傾動ロッド12を所定の角度に開いた状態に停止させる。さらに、開ストッパ機構13は、伸縮ロッド11Bを伸長させて3本の傾動ロッド12を中心ロッド11と平行な姿勢に折り畳む状態において、図9に示すように、各々の連結アーム15が中心ロッド11と平行な姿勢に傾動されて、伸縮ロッド11Bの伸長位置、すなわちストッパリング14の降下位置を特定する。図9の三脚1は、3本の傾動ロッド12を折り畳む状態において、ストッパリング14が、閉じられた3本の傾動ロッド12の下端に位置するようにしている。以上の構造の開ストッパ機構13において、開かれた傾動ロッド12を停止させる角度と、傾動ロッド12を折り畳んだ状態でのストッパリング14の降下位置は、連結アーム15と傾動ロッド12との連結位置、及び連結アーム15の長さで特定される。したがって、開ストッパ機構13は、伸縮ロッド11Bを収縮した状態で、伸縮ロッド11Bの下端を、開いた状態の傾動ロッド12の下端と同一面内に位置させながら、3本の傾動ロッド12を所定の角度に停止できると共に、3本の傾動ロッド12を折り畳んだ状態では、ストッパリング14を、折り畳んだ3本の傾動ロッド12の下端に位置できるように、連結アーム15と傾動ロッド12との連結位置、及び連結アーム15の長さを決定している。
【0021】
さらに、図4と図9に示す三脚1は、3本の傾動ロッド12を中心ロッド11と平行な姿勢に折り畳む状態で、傾動ロッド12の下端が開くのを防止する拡開阻止機構7を備えている。図に示す拡開阻止機構7は、伸縮ロッド11Bの下端部に配置されて、3本の傾動ロッド12の下端部の外周に被せられる保持キャップ71と、この保持キャップ71を、傾動ロッド12の下端部をカバーする保持位置に停止させる保持機構72とを備えている。
【0022】
保持キャップ71は、伸縮ロッド11Bに固定したストッパリング14の外周をカバーする状態で配置している。この保持キャップ71は、折り畳まれた3本の傾動ロッド12の下端部を挿入できる筒状で、伸縮ロッド11Bの軸方向に往復運動できるように伸縮ロッド11Bに連結している。保持キャップ71は、傾動アーム12の下端部が挿入されるカバー筒部71Aと、伸縮ロッド11Bの下端部が挿通されるスライド筒部71Bとを有する。図の保持キャップ71は、カバー筒部71Aを外径の大きい太筒部とすると共に、スライド筒部71Bを外径の小さい細筒部としており、カバー筒部71Aとスライド筒部71Bとを中間の段差部71Cで連結する形状としている。カバー筒部71Aは、その内形を、ストッパリング14の外形に沿う形状として、折り畳まれた3本の傾動ロッド12の下端部を挿入できるようにしている。スライド筒部71Bは、その内形を、伸縮ロッド11Bの下端部の外形に沿う形状として、保持キャップ71を伸縮ロッド11Bの軸方向に往復運動できるようにしている。この保持キャップ71は、図4と図9において上方に移動させて、3本の傾動アーム12の下端部をカバー筒部71Aの内側に挿入して傾動アーム12の下端が開かないように保持する。また、傾動アーム12を開く時には、保持キャップ71を、図4と図9において下方に移動させて、3本の傾動アーム12の下端部からカバー筒部71Aを取り外す。
【0023】
保持機構72は、保持キャップ71を上方に移動させてカバー筒部71Aで傾動アーム12の下端部をカバーする状態で、保持キャップ71が降下しないように保持する。図9に示す保持機構72は、保持キャップ71の外周面に設けた位置決めスリット73と、この位置決めスリット73を貫通して伸縮ロッド11Bに固定してなる固定ピン74とからなる。位置決めスリット73は、平面視L字状のスリットで、伸縮ロッド11Bの軸方向に伸びるスライド部73Aと、このスライド部73Aの下端に垂直に連結してなる係止部73Bとからなる。保持キャップ71は、位置決めスリット73のスライド部73Aを固定ピン74に沿って移動させる状態で、伸縮ロッド11Bの軸方向に移動されて、3本の傾動アーム12の下端部に脱着される。さらに、保持キャップ71は、3本の傾動アーム12の下端部をカバーする状態で、固定ピン74を位置決めスリット73の係止部73Bに案内するように回転させて、傾動アーム12の下端部をカバーする保持位置に係止される。この状態で、3本の傾動アーム12は、保持キャップ71でカバーされて、開かないように保持される。
【0024】
固定台10は、全体の形状を板状とし、下端を細くして傘状カバー16を固定し、上端の幅を座台プレート2の横幅と同じ幅とし広くしている。さらに、固定台10は、上端面を水平面として、この水平面の両側に一対の座台プレート2を載せて傾動できるように連結している。固定台10は、その上端の水平面に、座台プレート2を連結する蝶番20の回転軸21を連結する複数の連結凸部18を設けている。図10の固定台10は、中間の2カ所に連結凸部18を設けている。連結凸部18は、その上面を、水平姿勢に開かれた座台プレート2の上面と同一平面にしている。連結凸部18は、2枚の座台プレート2を水平面の両側に傾動できるように連結するために、2本の回転軸21をその両側に離して水平に固定している。固定台10は、連結凸部18の間とその両側に、座台プレート2の蝶番部22を案内するガイド低部19を設けている。ガイド低部19は、その両側に一対の座台プレート2の蝶番部22を案内して、連結凸部18に固定している回転軸21で傾動できるように連結される。この固定台10は、2枚の座台プレート2を水平姿勢として同一面内に開くことができる。
【0025】
一対の座台プレート2は同じ形状の板状で、好ましくは横幅を10cm、長さを約15cmとする板状としている。座台プレート2は、水平姿勢に開いた状態での対向縁を固定台10に傾動できるように連結して、三脚1の上端縁に連結している。固定台10に連結するために、座台プレート2は、その対向縁に、蝶番部22を突出して設けている。蝶番部22の間には固定台10の連結凸部18を案内する凹部23を設けている。座台プレート2の蝶番部22は、固定台10の連結凸部18に連結している回転軸21を挿入している。回転軸21は、座台プレート2の蝶番部22と固定台10の連結凸部18のいずれか一方に固定され、他方には回転できるように挿通されて、座台プレート2を傾動できるように固定台10に連結する。この座台プレート2は、水平方向に伸びる回転軸21を中心として、垂直姿勢から水平姿勢に傾動できるように固定台10を介して三脚1に連結される。座台プレート2は、杖として使用するときは垂直姿勢に折り畳まれ、イスとして使用するときは、水平姿勢に開かれて同一面内に位置する。垂直姿勢の座台プレート2は、互いに積層された状態で折り畳まれる。
【0026】
座台ストッパ3は、イスとして使用するときに、座台プレート2を水平姿勢に支持する。図5ないし図8の座台ストッパ3は、三脚1の上端部、正確には固定台10と座台プレート2の下面との間に連結しているストッパロッド30である。このストッパロッド30は伸縮できるロッドで、収縮される長さを所定の長さに制限して、座台プレート2を水平姿勢に支持する。ストッパロッド30は、図に示すように、水平姿勢における座台プレート2の下面に傾動できるように連結しているガイド筒31と、このガイド筒31に出入りできるように挿入されて下端を固定台10に傾動できるように連結している連結ロッド32とからなる。ガイド筒31の上端をピン(図示せず)を介して連結するために、座台プレート2の下面には、突出部24を設けている。ガイド筒31を連結するピンは、この突出部24と座台プレート2との間に挟むようにして固定している。ストッパロッド30は、連結ロッド32をガイド筒31に出入りして伸縮させる。ガイド筒31は、図5に示すように、座台プレート2を水平姿勢に開く状態で、その下端が固定台10に当たって、座台プレート2を水平姿勢に支持する長さとしている。このストッパロッド30は、座台プレート2が垂直姿勢に折り畳まれる状態では、図8に示すように、連結ロッド32がガイド筒31から引き出されて伸び、座台プレート2の外側面に沿うように収納される。図11の座台プレート2と固定台10は、伸長されたストッパロッド30を案内する嵌着溝25を設けて、ここにストッパロッド30を入れている。この構造は、座台プレート2を垂直姿勢とする状態で、ストッパロッド30の突出量を少なくできる。
【0027】
一対の傾動アーム4は、垂直姿勢として折畳位置にある積層状態の座台プレート2を両面から挟んで折畳状態に保持する挟着隙間40をその間に設けて、杖として使用する状態での下端を固定台10を介して三脚1の上端部に傾動できるように連結している。図4の傾動アーム4は、固定台10に設けている傘状カバー16の両側に、その下端をピン41を介して連結して、三脚1の上端部に傾動できるように連結している。傾動アーム4は、垂直姿勢として積層状態にある座台プレート2を挟着隙間40に入れて、座台プレート2を開かないように折り畳み状態に保持する。挟着隙間40は、ここに積層状態の座台プレート2を案内するので、その内幅は、積層状態にある一対の座台プレート2を入れて、開かないように保持できる幅、たとえば、積層状態にある座台プレート2との間に1mm〜5mmの隙間ができる幅としている。図11の座台プレート2は、底面に突出部24を設けているので、この突出部24と傾動アーム4とに間に1mm〜5mmの隙間ができるようにしている。挟着隙間40の長さは、積層状態にある座台プレート2と固定部10とを案内できる長さとしている。一対の傾動アーム4は、一緒に傾動されるように、その先端部を、杖グリップ5を介して互いに連結している。
【0028】
杖グリップ5は、両方の傾動アーム4の先端に固定されて、一対の傾動アーム4を連結する連結台51と、この連結台51に連結しているフック状のグリップ部52とからなる。図の杖グリップ5は、グリップ部52の握り部であるグリップ53を湾曲するフック状としているが、グリップはT字状、あるいはL字状などと杖として最適な種々の形状とすることができる。
【0029】
さらに、図12に示す杖グリップ5は、グリップ53の高さを調整できるように、連結台51とグリップ部52とを長さ調整機構54を介して連結している。図に示す長さ調整機構54は、連結台51の上端面の中心に垂直姿勢で設けた連結ロッド55と、グリップ部52の下端部に設けられて、連結台51の連結ロッド55が挿入される連結筒56と、連結ロッド55と連結筒56の相対位置を特定する連結具57とを備える。連結台51は、上端面の中心に垂直姿勢の連結ロッド55を固定している。この連結ロッド55は、中心軸に対して垂直な方向に貫通する複数の貫通孔55aを所定の間隔で設けている。グリップ部52は、フック状のグリップ53の下端に、連結ロッド55が挿入される連結筒56を連結して設けている。この連結筒56は、連結ロッド55を挿入できる内形としており、中心軸に対して垂直な方向に貫通する複数の貫通孔56aを所定の間隔で設けている。連結具57は、連結筒56の貫通孔56aと連結ロッド55の貫通孔55aに挿通されて、連結筒56と連結ロッド55との相対位置を特定する連結ピン57Aや連結ボルトである。図に示す連結具57は連結ピン57Aで、連結筒56と連結ロッド55とを貫通する状態で抜けないように、後端に鍔部57aを有すると共に、先端部に留め具57Bを連結している。連結ボルトである連結具は、ナット等の留め具を挿通して抜けないように配置される。以上の杖グリップ5は、長さ調整機構54によって、連結台51とグリップ部52との連結位置を変更して、グリップ53を最適な高さに調整できる。
【0030】
アームストッパ6は、杖として使用するときに、傾動アーム4を垂直姿勢に保持する。図11のアームストッパ6は、座台プレート2と傾動アーム4との間に設けている。このアームストッパ6は、傾動アーム4に上下に移動できるようにストッパ片60を設けており、このストッパ片60が案内されるストッパ凹部26を座台プレート2の底面の突出部24に設け、ストッパ片60をストッパ凹部26に入れて、傾動アーム4を傾動しない構造としている。ストッパ片60は、傾動アーム4の外側に突出する操作部61と、内側に突出してストッパ凹部26に案内される係止凸部62とからなり、操作部61と、係止凸部62とを、傾動アーム4に設けたスリット42に案内している連結部63で連結している。このアームストッパ6は、傾動アーム4の挟着隙間40に座台プレート2を入れる状態で、操作部61を押し下げて、係止凸部62をストッパ凹部26に入れて、傾動アーム4の傾動を阻止する。
【符号の説明】
【0031】
1…三脚
2…座台プレート
3…座台ストッパ
4…傾動アーム
5…杖グリップ
6…アームストッパ
7…拡開阻止機構
10…固定台
11…中心ロッド 11A…外筒
11B…伸縮ロッド
12…傾動ロッド
13…開ストッパ機構
14…ストッパリング
15…連結アーム
16…傘状カバー
17…ガイド溝
18…連結凸部
19…ガイド低部
20…蝶番
21…回転軸
22…蝶番部
23…凹部
24…突出部
25…嵌着溝
26…ストッパ凹部
30…ストッパロッド
31…ガイド筒
32…連結ロッド
40…挟着隙間
41…ピン
42…スリット
51…連結台
52…グリップ部
53…グリップ
54…長さ調整機構
55…連結ロッド 55a…貫通孔
56…連結筒 56a…貫通孔
57…連結具 57a…鍔部
57A…連結ピン
57B…留め具
60…ストッパ片
61…操作部
62…係止凸部
63…連結部
71…保持キャップ 71A…カバー筒部
71B…スライド筒部
71C…段差部
72…保持機構
73…位置決めスリット 73A…スライド部
73B…係止部
74…固定ピン
102…座台
201…脚
202…座台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡開自在で開状態で垂直に自立できる三脚(1)と、この三脚(1)の上端に水平姿勢から垂直姿勢に折り畳みできるように連結している一対の座台プレート(2)と、この座台プレート(2)を水平姿勢に支持する座台ストッパ(3)と、前記三脚(1)の上端部に傾動できるように連結され、かつ垂直姿勢に折り畳まれた座台プレート(2)の外側に位置する一対の傾動アーム(4)と、一対の傾動アーム(4)の先端部を連結してなる杖グリップ(5)と、前記傾動アーム(4)を垂直姿勢に保持するアームストッパ(6)とを備えており、
前記一対の座台プレート(2)は、前記三脚(1)の上端縁に位置し、かつ水平方向に伸びる回転軸(21)を中心として垂直姿勢から水平姿勢に傾動できるように連結されて、垂直姿勢においては互いに積層状態にあり、水平姿勢にあっては同一平面に位置しており、
さらに、前記一対の傾動アーム(4)の間には、垂直姿勢であって折畳位置にある積層状態の座台プレート(2)を両面から挟んで折畳状態に保持する挟着隙間(40)を設けており、
前記三脚(1)が開かれて、前記傾動アーム(4)が垂直姿勢から水平方向に向かって傾動され、さらに前記一対の座台プレート(2)が座台ストッパ(3)で同一面内にある水平姿勢となってイスに使用され、
前記座台プレート(2)が垂直姿勢の折畳位置にあり、前記傾動アーム(4)の挟着隙間(40)に、垂直姿勢で積層状態の座台プレート(2)が案内されて、傾動アーム(4)がアームストッパ(6)で垂直姿勢に保持され、挟着隙間(40)で座台プレート(2)を折畳位置に保持して杖として使用されるようにしてなるイス兼用の杖。
【請求項2】
前記アームストッパ(6)が、座台プレート(2)と傾動アーム(4)との間に設けられてなる請求項1に記載されるイス兼用の杖。
【請求項3】
前記杖グリップ(5)が、グリップ(53)の高さを調整する長さ調整機構(54)を備える請求項1に記載されるイス兼用の杖。
【請求項4】
前記座台ストッパ(3)が、前記三脚(1)の上端部と座台プレート(2)との間に連結してなるストッパロッド(30)である請求項1に記載されるイス兼用の杖。
【請求項5】
前記三脚(1)がその上端部に上縁を水平面とする固定台(10)を備え、この固定台(10)に各々の座台プレート(2)を蝶番(20)を介して連結してなる請求項1に記載されるイス兼用の杖。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−279627(P2010−279627A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136764(P2009−136764)
【出願日】平成21年6月6日(2009.6.6)
【出願人】(392032085)睦技研株式会社 (9)