説明

イソシアネートの製造法

本発明は、気相中でのジアミンおよびホスゲンからのジイソシアネートの製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相中でのジアミンおよびホスゲンからのジイソシアネートの製造法に関する。
【0002】
EP570799の例1は、ホスゲンおよび塩化水素を分離除去するための、水が滴り落ちる洗浄塔を用いた、気相ホスゲン化によって得られる反応混合物の後処理を記載している。
【0003】
このような後処理によって、過剰のホスゲンならびに塩化水素ガスが破壊され、かつ、もはや有益には反応に使用することができない。
【0004】
EP593334B1およびEP699657B1は、ホスゲンまたは塩化水素ガスを活用するか、または破壊する可能性を開示するが、しかしながら、返送されるホスゲンの特殊な問題点については詳しく述べていない。
【0005】
EP749958B1の段落番号[0018]およびEP1078918B1の段落番号[0018]は、トリアミンの気相ホスゲン化の終了後に過剰のホスゲンを回収し、かつ、その際、再取得される塩化水素ガスを再びホスゲン合成に使用する可能性に言及している。
【0006】
ここでも、返送されたホスゲンを詳しく説明する記載はなされていない。
【0007】
US4,581,174は、イソシアネート含有反応混合物の部分的な返送下での混合回路における第一級アミンのホスゲン化による有機モノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの連続的な製造を記載しており、その際、返送される混合物中のHCl割合は0.5%より小さい。ここでも、反応帯域中への遊離アミンとイソシアネートの連続的な返送が尿素形成を促進する。沈殿する尿素は、上記方法の安定な運転を危険にさらす。
【0008】
GB737442は、イソシアネート合成からのホスゲンの回収を記載している。回収されたホスゲンは0.5〜0.7%のHCl含量を有する。
【0009】
DE10261191A1およびWO2004/58689は、ホスゲン含有出発物質流中のHCl含量が、0.4質量%未満でもしくは0.8質量%を上回って含有する場合のホスゲン化を記載している。
【0010】
これらの文献は、気相ホスゲン化と液相ホスゲン化との間では問題点について区別しておらず、かつ、有利には液相ホスゲン化のみを引き合いに出している。
【0011】
これら全ての方法に関する欠点は、ホスゲン中での、もしくはホスゲン化の過程での塩素含量が考慮されないままであるという点にある。
【0012】
整理番号PCT/EP2006/064850および出願日2006年7月31日の国際出願は、塩化水素の含量が特定の閾値より下に留まることが望ましい気相ホスゲン化法を記載している。
【0013】
WO04/56758は、塩素を、副成分の広範なリストにおけるホスゲンの構成成分として言及している。しかしながら、気相ホスゲン化における塩素含量の特殊な問題点についての教示を開示していない。
【0014】
US3331873は、25ppm未満の含量への活性炭を用いたホスゲンからの塩素の一般的な分離除去法を開示している。
【0015】
開示された方法には、ホスゲン化についての、および殊に気相ホスゲン化についての特殊な問題点は指摘されていない。
【0016】
WO01/00569は、100バールまでの圧力および0〜130℃の温度下での液相ホスゲン化に際しての色数に対する臭素および臭素含有化合物の含量の作用を記載している。
【0017】
開示された方法には、気相ホスゲン化についての特殊な問題点は指摘されていない。
【0018】
気相ホスゲン化は、通常、200〜600℃の温度で実施される。これらの高い温度に基づき、高温領域中での高められた材料応力および特に反応器壁応力による漏出なしに上記方法の持続的な運転を達成するために、上記方法の構成には特別な要求が生じる。
【0019】
腐食性反応媒体との組み合わせにおける高い温度によって、上記方法および使用される材料とに特殊な要求が生じる。例えば、高い温度(約400℃から)でホスゲンが自己触媒的に分子の塩素(Cl2)と一酸化炭素(CO)とに解離することが公知である。塩素は高い温度で、材料への付着によるものと推測される材料脆化をもたらす。このように脆化した材料および殊に反応器壁は、しかし、例えば製造プラントでの不可避の振動にて負荷され得、かつ破断もしくは破裂するので、漏出の蓋然性が高まる。そのうえ、塩素は非合金鋼と170℃より上で発熱を伴って、いわゆる塩素−鉄−燃焼において反応し得る。これは、殊に非常に毒性のホスゲンが取り扱われる場合に技術的に問題の余地がある。
【0020】
それゆえ本発明の課題は、気相中でのジアミンとホスゲンとの、相応するジイソシアネートおよび塩化水素(HCl)を得る反応において、材料脆化を軽減することができる反応操作を可能にする方法を提供することであった。
【0021】
該課題は、相応するジアミンとホスゲンとをホスゲンの化学量論的過剰量で少なくとも1つの反応帯域中で反応させることによるジイソシアネートの製造法によって解決され、
その際、反応条件は、少なくとも反応成分のジアミン、ジイソシアネートおよびホスゲンがこれらの条件の場合にガス状であるように選択され、かつ、その際、反応帯域に少なくとも1つのジアミン含有ガス流および少なくとも1つのホスゲン含有ガス流を供給し、
その際、アミン含有流との混合前のホスゲン含有流中の塩素の質量分率が1000質量ppm未満であり、かつ/またはホスゲン含有流中の臭素の質量分率が50質量ppm未満である。
【0022】
気相ホスゲン化の場合、本発明によれば、反応過程で発生する化合物、つまり出発物質(ジアミンおよびホスゲン)、中間生成物(殊に中間生成物として生じるモノカルバモイルクロリドおよびジカルバモイルクロリド)、最終生成物(ジイソシアネート)、ならびに場合により供給された不活性化合物が、反応条件下で気相中に残留するように努められるべきである。これらの成分またはその他の成分が気相から、例えば反応器壁またはその他の装置構成部材に堆積する場合、これらの堆積物によって、当該構成部材の熱伝達または貫流が不所望に変化し得る。これは殊に、遊離アミノ基および塩化水素(HCl)から形成される、発生するアミン塩酸塩に当てはめられる。それというのも、結果的に生じるアミン塩酸塩は析出し易く、かつ再び蒸発され得難いからである。
【0023】
有利な一実施態様において、本発明により軽減された塩素含量に加えて、ホスゲン含有流中の塩化水素の質量分率は、場合により新鮮なホスゲンとの混合が実施された後、アミン含有流との混合前に、15質量%未満、有利には10質量%未満、とりわけ有利には5質量%未満であってよい。
【0024】
それによって、アミン塩酸塩の形成を決定的に軽減することができるので、反応器中での被覆物形成の危険が減らされる。
【0025】
反応へと供給されるホスゲン中の塩素、すなわち、この文献中では分子の塩素(Cl2)に関しての本発明によれば少ない含量によって、ジアミンの転化から相応するジイソシアネートを得る過程での全体の塩素含量を、反応の過程でホスゲンの分裂によって生じる塩素に関わらず出来る限り少なく保つことが可能であるので、材料脆化および/または塩素−鉄−燃焼の危険を軽減またはそれどころか排除することができる。
【0026】
本発明によれば、ホスゲン含有流中の塩素含量は、場合により新鮮なホスゲンとの混合が実施された後、アミン含有流との混合前に1000質量ppm未満、有利には500質量ppm未満、とりわけ有利には250質量ppm未満、きわめて有利には100質量ppm未満、殊に50質量ppm未満および特に25質量ppm未満である。
【0027】
それとは付加的または代替的に、場合により新鮮なホスゲンとの混合が実施された後、アミン含有流との混合前の、分子のまたは結合した形における臭素またはヨウ素またはそれらの混合物の含量は、50質量ppm未満、有利には40質量ppm未満、35質量ppm、30質量ppmまたは25質量ppmまたはそれ未満、殊に10質量ppmまたはそれ未満および特に5質量ppm、3質量ppm、2質量ppmまたは1質量ppmまたはそれ未満である。
【0028】
分子の形における臭素またはヨウ素は、本テキストの範囲内で、単に臭素原子またはヨウ素原子のみから成る分子であると理解される。結合した形における臭素またはヨウ素は、臭素またはヨウ素の他になお、上記の原子とはそれぞれ異なる原子を含有する分子であると理解される。他に明示されない場合、本テキストにおいて、"臭素"との用語は、分子の臭素(Br2)であると理解される。
【0029】
本発明による方法に従って、ホスゲンとジアミンとの反応が気相中で行われる。
【0030】
本発明による方法により製造され得るジイソシアネートは、芳香族、環式脂肪族または脂肪族であってよい。
【0031】
環式脂肪族イソシアネートは、少なくとも1つの環式脂肪族環構造を含有するものである。
【0032】
脂肪族イソシアネートは、もっぱら直鎖または分枝鎖に結合されているイソシアネート基を有するイソシアネートである。
【0033】
芳香族イソシアネートは、少なくとも1つの芳香族環構造に結合された少なくとも1つのイソシアネート基を有するものである。
【0034】
(環式)脂肪族イソシアネートは、この出願の範囲内で、環式脂肪族および/または脂肪族のイソシアネートの略称である。
【0035】
芳香族ジイソシアネートのための例は、有利には、C原子6〜20個を有するようなもの、例えばモノマーのメチレン−ジ(フェニルイソシアネート(MDI)、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)およびナフチルジイソシアネート(NDI)である
ジイソシアネートは、有利には(環式)脂肪族ジイソシアネート、とりわけ有利にはC原子4〜20個を有する(環式)脂肪族ジイソシアネートである
通常のジイソシアネートのための例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(1,5−ジイソシアナトペンタン)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、1,14−テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリメチルヘキサンジイソシアネートまたはテトラメチルヘキサンジイソシアネート、ならびに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン異性体混合物、ならびに環式脂肪族ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−または1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−または2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4−または2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンである。
【0036】
有利なのは、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびトルイレンジイソシアネート異性体混合物である。とりわけ有利なのは、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび4,4'−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンである。
【0037】
本発明による方法のために、有利には著しい分解なしに気相中へと移行させることのできるアミンを、相応するジイソシアネートを得る反応に使用することができる。この場合、とりわけ適しているのは、炭素原子2〜18個を有する脂肪族または環式脂肪族の炭化水素をベースとするアミン、殊にジアミンである。このための例は、1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)および4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタンである。有利には1,6−ジアミノヘキサン(HDA)が使用される。
【0038】
同様に、本発明による方法のために、有利には分解なしに気相中へと移行させることのできる芳香族アミンを使用することができる。有利な芳香族アミンのための例は、2,4−または2,6−異性体としてか、またはそれらの混合物としてのトルイレンジアミン(TDA)、ジアミノベンゼン、ナフチルジアミン(NDA)および2,4'−または4,4'−メチレン(ジフェニルアミン)(MDA)またはそれらの異性体混合物である。これらの中で有利なのはジアミンであり、とりわけ有利なのは2,4−および/または2,6−TDAである。
【0039】
出発物質またはそれに該出発物質の1つのみを、不活性媒体と一緒に反応空間中に供給してもよい。
【0040】
本発明による方法に、付加的な不活性媒体を付け加えることができる。不活性媒体は、反応温度にてガス状に反応空間中で存在し、かつ反応過程で発生する化合物と反応しない媒体である。不活性媒体は、一般的に、アミンおよび/またはホスゲンとの反応前に混合されるが、しかし、出発物質流とは別個に計量供給してもよい。例えば、窒素、希ガス、例えばヘリウムまたはアルゴン、または芳香族化合物、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレン、二酸化炭素または一酸化炭素を使用してよい。有利には、窒素および/またはクロロベンゼンが不活性媒体として使用される。
【0041】
一般的に、不活性媒体は、不活性媒体対アミンもしくは対ホスゲンのガス容積比が、0.0001を上回り30まで、有利には0.01を上回り15まで、とりわけ有利には0.1を上回り5までとなるような量で使用される。
【0042】
有利には、不活性媒体は、ジアミンと一緒に反応空間中に導入される。
【0043】
ホスゲン含有流による反応空間へのホスゲンの供給は、個々のホスゲン含有流の代わりに複数のホスゲン含有部分流を供給することで行ってもよい。そのような場合、ホスゲン含有部分流は全体のホスゲン含有全体流に加えられ、かつホスゲン含有全体流中の塩素の質量分率は、個々のホスゲン含有部分流中の塩素の質量分率から、反応せずに分子が保持されたと仮定して出される。この場合、概念的なホスゲン全体流中の塩素質量分率のそのようにして算出された値が使用される。
【0044】
同じことが臭素の含量に当てはめられる。
【0045】
このような部分流は、以下のように供給することができる:
− 異なるホスゲン含有部分流、例えば返送されたホスゲンおよび新鮮なホスゲンを、供給前にホスゲン含有全体流にへと合一し、かつ反応空間中に供給することができる。
− 複数の部分流(その際、該部分流は、それぞれ、返送されたホスゲン、新鮮なホスゲンまたはそれらからの混合物であってよい)を、例えばEP1449826A1の中で記載されているような、例えば中心ノズルの周りに平行して配置されている複数のノズルを介して、例えば整理番号PCT/EP2006/065593および出願日2006年8月23日の国際出願の中で記載されているような、リング状スリットを介した計量供給によって、または混合のために環状空間への何回にもわたるノズル噴射によって、同じ箇所で反応空間中に供給することができ、その後、この流れを、中心ノズルを介して供給されるアミン含有流と混合する。
− 複数の部分流(その際、該部分流は、それぞれ、返送されたホスゲン、新鮮なホスゲンまたはそれらからの混合物であってよい)は、反応空間の様々な箇所で計量供給することができるので、ホスゲンを反応の過程で後供給する。
【0046】
そのため、"新鮮なホスゲン"との用語は、ホスゲン化法から返送されているのではない、たいてい塩素および一酸化炭素からのホスゲンの合成後に、ホスゲン合成において製造されたホスゲンが5%を上回って転化されるホスゲン転化を伴う反応段階を通過しなかったホスゲン含有流のことを表す。
【0047】
反応空間に1つ以上の付加的なガス状のホスゲン不含またはアミン不含の不活性流が供給される場合、これらは本発明による方法の実施において、ホスゲン含有全体流の算出におけるホスゲン含有全体流の部分流のように考慮される。
【0048】
本発明による方法の実施のために、反応物の流を混合前に、通常100〜600℃、有利には200〜450℃の温度に予熱することが好ましいとされ得る。
【0049】
アミンリザーバにおいて、アミンは、有利にはキャリアガスとしての不活性媒体、例えば窒素と一緒に気相中へと移行され、かつ混合ユニット中へと供給される。しかし、アミンは、不活性媒体を使用せずに直接蒸発させてもよい。同様に、ホスゲンリザーバからホスゲンが、場合により不活性媒体と一緒に気相中へと移行され、かつ混合ユニットに導通される。
【0050】
本発明による方法において、反応物の混合は混合装置中で行われ、それは混合装置に導かれる反応流の高いせん断力によって特徴付けられる。有利には、混合装置として、静的混合装置、または反応器に事前に取り付けられる混合ノズルが使用される。とりわけ有利には、混合ノズルが使用される。
【0051】
混合の種類は、本発明によれば重要ではなく、かつ任意の方法で、例えばEP−B1 699659、EP−A2 1319655、第1欄、第54行目〜第2欄、第24行目および第4欄、第16行目〜第40行目、EP−A1 1275640、第3欄、第27行目〜第4欄、第5行目、EP−A2 1362847、第2欄、第19行目〜第3欄、第51行目および第4欄、第40行目〜第5欄、第12行目、または整理番号PCT/EP2006/065593および出願日2006年8月23日の国際出願の中で記載されているように行うことができ、これらは、それぞれこの開示の範囲内で明確に引用されているものとする。
【0052】
本発明によれば、ホスゲンはアミノ基に対して過剰量で使用される。通常、ホスゲン対アミノ基のモル比は、1.1:1〜20:1、有利には1.2:1〜5:1である。
【0053】
混合ユニット中での混合後に、ホスゲン、アミンおよび場合により不活性媒体とからのガス状混合物は反応器中へと導かれ、その際、該反応器は反応空間を含有する。
【0054】
ホスゲンとアミンとの反応は、一般的に反応器中に配置されている反応空間中で行われ、すなわち反応空間とは、出発物質および中間生成物の反応の大部分が行われ、相応するイソシアネートを得るために使用されるアミンの例えば少なくとも0.5モル%、有利には少なくとも1モル%、とりわけ有利には少なくとも3モル%、きわめて有利には少なくとも5モル%、殊に少なくとも7モル%および特に少なくとも10モル%が消費される空間であると理解される。
【0055】
反応器は、反応空間を含有する技術的な装置であると理解されるこれは、非触媒性の単相ガス反応、有利には連続的な非触媒性の単相ガス反応に適しており、かつ必要とされる中程度の圧力に耐える、従来技術から公知の全ての通常の反応空間であってよい。反応混合物との接触のために適した材料は、例えば、金属、例えば鋼、殊に合金鋼、タンタル、ニッケル、ニッケル合金、銀または銅、ガラス、セラミック、エナメルまたはそれらからの均質または不均質な混合物および構成成分である有利には鋼装置が、とりわけ有利には鋼反応器が使用される。反応器の壁は、平滑であるかまたは表面構造化されていてよい。表面構造として、例えば溝形または波形が適している。
【0056】
一般的に、従来技術から公知の反応器構造型を使用してよい。反応器のための例は、EP−B1 289840、第3欄、第49行目〜第4欄、第25行目、EP−B1 593334、WO2004/026813、第3頁、第24行目〜第6頁、第10行目、WO03/045900、第3頁、第34行目〜第6頁、第15行目、EP−A1 1275639、第4欄、第17行目〜第5欄、第17行目およびEP−B1 570799、第2欄、第1行目〜第3欄、第42行目から公知であり、これらは、それぞれこの開示の範囲内で明確に引用されているものとする。
【0057】
有利には、管型反応器が使用される。
【0058】
同様に、本質的に立方体様の反応空間、有利にはプレート型反応器もしくはプレート型反応空間を使用することが可能である。とりわけ有利なプレート型反応器は、幅対高さが、少なくとも2:1、有利には少なくとも3:1、とりわけ有利には少なくとも5:1および殊に少なくとも10:1の比を有する。幅対高さの比の上限は、反応空間の所望の容量に依存し、かつ原則的に制限されていない。技術的に意義を持つのは、最大5000:1、有利には1000:1の幅対高さの比を有する反応空間であることが明らかになっている。
【0059】
反応空間中でのホスゲンとアミンとの反応は、0.1バールを上回り20バール未満の、有利には0.5バールから15バールまでの間の、および、とりわけ有利には0.7バールから10バールの間の絶対圧にて行われる。(環式)脂肪族アミンの反応の場合、絶対圧は、きわめて有利には0.7バールから5バールの間に、殊に0.8バールから3バールの間に、および、特に1バールから2バールの間にある。
【0060】
一般的に、混合装置に向かう供給管中での圧力は、反応器中での前述の圧力よりも高い。混合装置の選択に応じて、この圧力は低下する。有利には、供給管中での圧力は、反応空間中での圧力よりも、20〜2000ミリバール、とりわけ有利には30〜1000ミリバール高い。
【0061】
有利な一実施態様において、反応器は、反応器の束から成る。可能な一実施態様において、混合ユニットは独立した装置である必要はなく、むしろ混合ユニットを反応器に組み込むことが好ましいとされ得る。混合ユニットおよび反応器からの組み込まれたユニットの一例は、フランジ付ノズルを有する管型反応器である。
【0062】
一般的に、後処理装置中での圧力は、反応空間中での圧力よりも低い。有利には、圧力は、反応空間中での圧力よりも、50〜500ミリバール、とりわけ有利には80〜150ミリバール低い。
【0063】
本発明による方法によれば、ホスゲンとアミンとの反応は気相中で行われる。気相中での反応は、出発物質流および中間生成物とが生成物への変換のためにガス状の状態で相互に反応し、かつ反応空間を通過する間の反応の過程で、少なくとも95%、有利には少なくとも98%、とりわけ有利には少なくとも99%、極めて有利には少なくとも99.5%、殊に少なくとも99.8%、および特に少なくとも99.9%が気相中に留まることであると理解されるべきである。
【0064】
その際、中間生成物は、例えば、ジアミンから形成されたモノアミノ−モノカルバモイルクロリド、ジカルバモイルクロリド、モノアミノ−モノイソシアネートおよびモノイソシアナト−モノカルバモイルクロリドならびにアミノ化合物の塩酸塩である。
【0065】
本発明による方法の場合、反応空間中での温度は、それが反応空間中で支配する分圧比に対して、使用されるジアミンの沸点より高くなるように選択される。使用されるアミンおよび調整される圧力に応じて、通常、200℃を上回る、有利には260℃を上回る、および、とりわけ有利には300℃を上回る反応空間中での好ましい温度が生じる。一般に、温度は600℃まで、有利には550℃までである。
【0066】
本発明による方法における反応混合物の平均接触時間は、一般的に0.001秒〜5秒未満、有利には0.01秒を上回り3秒未満まで、とりわけ有利には0.015秒を上回り2秒未満までである。(環式)脂肪族アミンの反応の場合、平均接触時間は、きわめて有利には0.015〜1.5秒、殊に0.015〜0.5秒、特に0.020〜0.1秒および、しばしば0.025〜0.05秒であってよい。
【0067】
有利な一実施態様において、流れは、本発明による方法において、10を上回る、有利には100を上回る、および、とりわけ有利には500を上回るボーデンシュタイン数によって特徴付けられている。
【0068】
有利な一実施態様において、反応空間の寸法および流速は、反応混合物における乱流、すなわち、少なくとも2300、有利には少なくとも2700のレイノルズ数を有する流れが存在するように選択され、その際、レイノルズ数は、反応空間の水力直径を用いて形成される
有利には、ガス状の反応混合物は、10〜300メートル/秒、有利には25〜250メートル/秒、とりわけ有利には40〜230メートル/秒、きわめて有利には50〜200メートル/秒、殊に150〜190メートル/秒および特に160〜180メートル/秒の流速で反応空間を通過する。乱流によって、EP570799の中で記載されているように、たいていは6%を上回らない少ない標準偏差を有する狭い滞留時間および良好な混合が達成される。例えばEP−A−593334の中で記載されている、そのうえ閉塞を起こしやすい狭小化のような措置は必要ではない。
【0069】
反応容積は、その外側面を介して温度調節することができる。高いプラント能力を有する製造プラントを構築するために、複数の反応器管を並列に接続してよい。しかし反応は、有利には断熱的に行うこともできる。これは、反応容積の外側面を介して、技術的措置により加熱エネルギー流または冷却エネルギー流を流さないことを意味する。有利には、反応は断熱的に行われる。
【0070】
本発明による方法は、有利には一段階で実施される。このことは、出発物質の混合および反応が1つの工程および1つの温度範囲内で、有利には上記の温度範囲内で行われることと理解されるべきであるさらになお、本発明による方法は、有利には連続的に実施される。
【0071】
反応後、ガス状の反応混合物は、有利には130℃より大きい温度で溶媒を用いて洗浄される(クエンチング)。溶媒として、有利には、場合によりハロゲン原子で置換されている炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、およびトルエンが適している溶媒として、とりわけ有利にはモノクロロベンゼンが使用される。溶媒として、イソシアネートも使用することができる。洗浄に際して、イソシアネートは選択的に洗浄液中へと移行される。引き続き、残留するガスおよび得られた洗浄溶液が、有利には精留によって、イソシアネート、溶媒、ホスゲンおよび塩化水素とに分離される。有利には、イソシアネートが使用される。
【0072】
反応混合物が反応空間中で反応させられた後に、それはクエンチングを伴う後処理装置中へと導かれる。有利には、この場合、それはいわゆる洗浄塔であり、その際、ガス状混合物から、形成されたイソシアネートが不活性溶媒中での凝縮によって分離除去され、他方で、過剰のホスゲン、塩化水素および場合により不活性媒体が後処理装置をガス状で通過する。不活性溶媒として、有利には、場合によりハロゲン原子で置換されている炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、およびトルエンが適している有利には、その際、不活性溶媒の温度は、選択されたクエンチング媒体中のアミンに属するカルバミルクロリドの溶解温度より上に保たれる。その際、とりわけ有利には、不活性溶媒の温度は、アミンに属するカルバミルクロリドの融点より上に保たれる。
【0073】
洗浄は、例えば攪拌容器中またはその他の慣例の装置中、例えば塔内またはミキサーセトラー装置中で実施してよい。
【0074】
方法技術的に、本発明による方法での洗浄のために、自体公知の全ての抽出法および洗浄法および抽出装置および洗浄装置、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th ed, 1999 Electronic Release, Kapitel: Liquid-Liquid Extraction-Apparatusの中で記載されているようなものを使用することができる。例えば、これらは一段階または多段階の、有利には一段階の抽出、ならびに並流運転方式または向流運転方式、有利には向流運転方式における方法であってよい。
【0075】
適したクエンチングは、例えば、EP−A1 1403248、第2欄、第39行目〜第3欄、第18行目、整理番号06123629.5および出願日2006年7月11日のヨーロッパ特許出願または整理番号06123621.2および出願日2006年7月11日のヨーロッパ特許出願から公知であり、これらは、この開示の範囲内で明確に引用されているものとする。
【0076】
このクエンチング帯域中で、実質的にイソシアネート、ホスゲンおよび塩化水素ならびに塩素および/または臭素から成る反応混合物が、噴霧される液体と強力に混合される。混合は、反応混合物の温度が200℃〜500℃から出発して、50℃〜300℃、好ましくは100℃〜250℃に低下し、かつ反応混合物中に含有されるイソシアネートが凝縮によって完全にまたは部分的に、噴霧される液滴に変わり、他方で、ホスゲンおよび塩化水素ならびに塩素および/または臭素が実質的に完全に気相中に残留するように行われる。
【0077】
クエンチング帯域中で液相に変わる、ガス状の反応混合物中に含有されるイソシアネートの割合は、反応混合物中に含有されるイソシアネートに対して、好ましくは20〜100質量%、とりわけ有利には50〜99.5質量%および殊に70〜99質量%である。
【0078】
反応混合物は、クエンチング帯域を、好ましくは上から下に向かって貫流する。クエンチング帯域の下には捕集容器が配置されており、該捕集容器中で液相が沈殿され、捕集され、かつ出口を介して反応空間から取り除かれ、引き続き後処理される。残留する気相は、第二の出口を介して反応空間から取り除かれ、かつ同様に後処理される。
【0079】
クエンチングは、例えば、EP1403248A1の中で、またはWO2005/123665の中で記載されているように行ってよい。
【0080】
液滴は、そのために一成分噴霧器ノズルまたは二成分噴霧器ノズルを用いて、好ましくは一成分噴霧器ノズルを用いて作製され、かつ実施態様に応じて、10°〜140°、有利には10°〜120°、とりわけ有利には10°〜100°の噴霧円錐角が作製される。
【0081】
噴霧器ノズルを介して噴霧される液体は、イソシアネートに対して良好な溶解性を有さなければならない。好ましくは有機溶媒が使用される。殊に、ハロゲン原子で置換されていてよい芳香族溶媒が使用される。このような液体のための例は、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(オルト、パラ)、トリクロロベンゼン、キシレン、ヘキサン、ジエチルイソフタレート(DEIP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびそれらの混合物、有利にはモノクロロベンゼンである
本発明による方法の特別な一実施態様において、噴霧される液体は、イソシアネートからの混合物、イソシアネートと溶媒とからの混合物またはイソシアネートであり、その際、そのつど使用されるクエンチング液は、低沸点物、例えばHClおよびホスゲンの割合を有していてよい。その際、好ましくは、それぞれの方法に際して製造されるイソシアネートが使用されるクエンチング帯域中での温度低下によって反応は停止するので、噴霧されるイソシアネートとの副反応を生じさせなくすることができる。殊にこの実施態様の利点は、溶媒の分離除去を省くことができるという点にある。
【0082】
代替的な有利な一実施態様において、出発物質の少なくとも1つと一緒に使用される不活性媒体と、クエンチングにおいて使用される溶媒とは同じ化合物であり、きわめて有利には、この場合、モノクロロベンゼンが使用される
イソシアネート中に残留する少量の副生成物は、付加的な精留を用いて、不活性ガスによるストリッピングまたはそれに結晶化によって、有利には精留によって所望のイソシアネートから分離することができる。
【0083】
引き続く任意の精製段階において、イソシアネートは、有利には精留によって溶媒から分離除去される。同様に、この場合なお、殊に塩素および/または臭素、しかしまた塩化水素、不活性媒体および/またはホスゲンを包含する残りの不純物の分離除去を、例えばDE−A1 10260092の中で記載されるように行うことができる。
【0084】
クエンチングおよび/または精製段階から、本質的にホスゲンおよび/または塩化水素ガスから成るが、しかし塩素の割合も含有し得る物質流が得られる。再び反応に返送されるホスゲンおよび/または塩化水素ガスならびに塩素および/または臭素を含有するこれらの物質流の少なくとも一部から、本発明によれば、塩素および/または臭素がホスゲンから分離除去されるので、場合により新鮮なホスゲンとの混合が実施された後の、アミン含有流との混合前のホスゲン含有流中での塩素の質量分率は、本発明によれば1000質量ppm未満であり、かつ/または臭素の質量分率は50質量ppm未満である。
【0085】
ホスゲン含有ガス流が、少なくとも0.05質量ppm、またはむしろ少なくとも0.1質量ppmの塩素の質量分率を有する場合、むしろ少なくとも1質量ppmの質量分率を有さない場合に可能な一実施態様となり得る。少なくとも5質量ppmも考えられる。
【0086】
ホスゲン含有ガス流が、少なくとも0.005質量ppm、またはむしろ少なくとも0.01質量ppmの塩素の質量分率を有する場合、むしろ少なくとも0.1質量ppmの質量分率を有さない場合に可能な一実施態様となり得る。少なくとも0.5質量ppmも考えられる。
【0087】
塩化水素および/またはホスゲンおよび/または溶媒および/または塩素および/または臭素を含有する混合物の分離は、有利には分縮および/または精留および/または洗浄を介して行われる。有利には、分離は、任意の順序における精留および洗浄の組み合わせにおいて実施される。
【0088】
洗浄
有利な洗浄媒体は、上でクエンチング媒体として挙げられる溶媒である。とりわけ有利には、洗浄媒体およびクエンチング媒体として同じ溶媒が使用される。
【0089】
洗浄および精留が組み合わせられる場合、ホスゲンは、塩化水素含有流から、洗浄媒体、有利にはトルエン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼン、とりわけ有利にはクロロベンゼンによる洗浄によって洗い出される。その際、ホスゲンおよび塩化水素ならびに一般に塩素が負荷された洗浄媒体が発生する。洗浄後のこの負荷された洗浄媒体からのホスゲン、塩化水素(HCl)および分子の塩素(Cl2)の分離は、有利には蒸留により行われる。
【0090】
洗浄は、1〜10バール(絶対)、有利には1〜5バール(絶対)の圧力で運転される。
【0091】
洗浄は、有利には−5〜−40℃、有利には−15〜−35℃、とりわけ有利には−20〜−30℃の温度で運転される。
【0092】
方法技術的に、本発明による方法におけるそのような洗浄のために、自体公知の全ての抽出法および洗浄法および抽出装置および洗浄装置、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th ed, 2000 Electronic Release, "Absorption"の章および、その中の有利には"Design of Absorption Systems", "Design of Absorption Equipment"および"Design of Desorption Equipment"の節の中で記載されているような方法および装置を使用することができる。例えば、これらは一段階または多段階の、有利には多段階の吸収、ならびに並流運転方式または向流運転方式、有利には向流運転方式における方法であってよい。
【0093】
好ましくは、バルブトレイ塔、シーブトレイ塔、規則充填塔または不規則充填塔ならびにパルス塔または回転する内部構造物を有する塔が使用される。有利には、洗浄液をノズルによって微細に分散させ、かつ気相と接触させることが可能である。
【0094】
その際、本発明によれば、場合により新鮮なホスゲンとの混合後に1000質量ppmより小さい塩素含量および/または50質量ppmより小さい臭素含量を含有するホスゲン流が生じるように分離除去される。
【0095】
そのために、分離されるべき混合物対洗浄液の量比は5:1〜0.5:1、有利には3:1〜1:1および、とりわけ有利には2.5:1〜1.5:1に調整される。
【0096】
さらなる実施態様として、例えばWO2006/029788、その中のとりわけ第2頁、第39行目〜第11頁、第25行目に記載されているように、洗浄液としてイオン性液体の使用が言及されている。
【0097】
分縮
代替的または付加的に、WO2004/56758、その中の有利には第11頁、第14行目〜第13頁、第16行目ならびに実施例中ですでに記載されているような方法に従って、塩素および/または臭素を分縮によってホスゲンおよび塩化水素含有流から分離除去することができる。上記の開示内容は、これによって明確に引用されているものとする。
【0098】
有利には、これは、塩化水素およびホスゲンならびに塩素および/または臭素、場合により溶媒、低沸点物および不活性成分を含有する物質混合物の、まずホスゲンおよび塩化水素、ならびに場合により溶媒を含有する流の少なくとも1つの部分的または完全な、有利には部分的な凝縮と、次に塔底生成物のホスゲンから塩化水素および塩素および/または臭素を取り除くための塔内での精留またはストリッピングと、引き続き有利にはプロセス溶媒中のホスゲンを吸収するためのプロセス溶媒を用いた塔頂生成物の塩化水素の洗浄とへの分離を実施することによって行われる。溶媒残分および/または塩素および/または臭素および/または塩化水素をホスゲンから取り除くために、引き続きその後精製を、例えば活性炭上での吸着によるか、またはその他の適切な方法によって行うことができる。
【0099】
分縮は、場合により多段階で、かつ種々の温度レベルおよび圧力レベルで行うことができ、引き続き、凝縮されたホスゲンから塩化水素および/または塩素および/または臭素を取り除くために塔内でのさらなる精留またはストリッピングを行うことができる。
【0100】
塩化水素、ホスゲン、塩素および/または臭素、ならびに場合により溶媒および不活性成分を含有する、発生する混合物からのホスゲンの分縮は、一段階または、好ましくは多段階で、反応部中での圧力に応じて、冷媒を用いて達し得る−40℃の温度、冷却水を用いて達し得る40℃までの温度で行われる。
【0101】
精留
そのようにして得られる凝縮されたホスゲンから、塩素および/または臭素および場合により塩化水素を取り除くための精留は、5〜150℃、有利には5〜50℃の塔底温度、1〜35バール、有利には1.5〜4.0バールの塔頂圧力および−20℃〜30℃、有利には−10℃〜0℃の塔頂温度で実施される。
【0102】
精留は、例えば3〜30段の、有利には5〜25段の理論段数を有する市販の蒸留塔内で実施することができる。
【0103】
代替的に、塩素および/または臭素および場合により塩化水素は、再循環ホスゲンから、不活性ガス、例えば窒素、プロセス溶媒蒸気、ホスゲンまたはその他のガス状物質あるいは蒸発されるべき物質を用いたストリッピングによっても取り除くことができる。
【0104】
活性炭への吸着
ホスゲンの製造プラントに由来するか、またはホスゲンおよび塩化水素を含有する混合物の蒸留に従って得られるホスゲン流は、すでにそれが本発明による基準を満たす程度に僅かな塩素含量を有し得るが、しかしながら、なおさらなる後処理も必要であってよい。
【0105】
このような後処理は、有利には、例えばUS3331873の中で記載されているように、ホスゲン中に含有される塩素および/または臭素の活性炭への吸収によって行うことができる。
【0106】
活性炭は、塩素および/または臭素の相当の量、例えば20質量%まで、有利には16質量%までを吸着し得、かつ70℃より上の、有利には150〜250℃の温度に加熱することによって再生することができる。
【0107】
本方法において使用することができる活性炭は、任意の市販の活性炭であってよい。その際、作用の仕方は、部分的に、活性炭の表面対活性炭の質量の大きな比に依存する。活性炭は、個々の粒子の異なる多孔度において得られる。本方法には、鉱物からのそのような活性炭のみならず、動物性または植物性物質から取得される活性炭も適している。例えば約2〜3.5Å、有利には2〜3Åおよび、とりわけ有利には約2.5Åの比較的小さい細孔径を有する活性炭がとりわけ効果的であることが判明し、かつ、それゆえ有利であるとされる。
【0108】
活性炭は任意の成形体の形で、例えばストランド、粉末、ペレット、粒質物、圧縮粉または押出物として存在してよい。
【0109】
有利なのは、通常、例えば、活性炭を用いた混合物からの成分の分離のために使用される充填塔または充填カラムである。濾過層を有する強力でかつ高速な攪拌機を備え付けた容器といったその他の装置も使用することができる。好ましくは、活性炭を加熱または冷却するための設備が準備されている。本方法は、それ自体不連続的にまたは有利には連続的に実施することができる。
【0110】
本方法の例示的な一実施態様において、塩素含有および/または臭素含有のホスゲン流が吸収塔に導通され、該吸収塔には活性炭が装入されており、かつ連続的に冷却ブラインが循環する熱交換器によって取り囲まれている。粗製ホスゲンは、8℃より低い、有利には0℃〜−10℃の温度に冷却されており、かつ、この温度で保たれる塔内に、その下部末端で入れられ、かつ活性炭を流れる。精製されたホスゲンは、該塔をその上方端部またはこの付近で抜け出す。
【0111】
再生のために、消費された活性炭を、少なくとも70℃、有利には150〜250℃の温度に加熱してよい。
【0112】
再生するために、再生条件下で不活性なガス、例えば窒素、アルゴン、二酸化炭素または有利には一酸化炭素の流れを、活性炭床の断面積1m2および1時間あたりにつき120〜370kgの流量速度で、それが実際にホスゲン不含となるまで、すなわちホスゲン0.05体積%未満を含有するまで活性炭に貫流させることができる。
【0113】
本発明によれば、有利には、ホスゲン、クエンチングからの溶媒、つまり有利にはモノクロロベンゼン、塩化水素および塩素の分離は、以下の有利な方法工程の組み合わせにおいて、殊に分縮および洗浄からの組み合わせまたは分縮および精留からの組み合わせにおいて行われる。
【0114】
分離されるべき混合物は、一般に次のように構成されている。
− クエンチングからの溶媒2〜60質量%、有利には5〜40質量%、とりわけ有利には10〜30質量%、
− ホスゲン20〜95質量%、有利には40〜85質量%、とりわけ有利には60〜75質量%、
− 塩化水素1〜50質量%、有利には2〜30質量%、とりわけ有利には5〜20質量%および、きわめて有利には5〜15質量%、
− 塩素10〜10000質量ppm、有利には100〜5000質量ppm、とりわけ有利には250〜3000質量ppmおよび、きわめて有利には500〜2000質量ppm、
− 臭素0.01〜100質量ppm、有利には0.05〜50質量ppm、とりわけ有利には0.1〜10質量ppmおよび、きわめて有利には0.2〜10質量ppmならびに
− ジイソシアネート、その中間生成物および一連の生成物(合計で)0〜10質量%、有利には0〜5質量%、とりわけ有利には10質量ppm〜3質量%および、きわめて有利には100質量ppm〜1質量%であり、ただし合計100質量%となる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の有利な実施態様を示す図
【0116】
例えば図1の中で示されているような第一の有利な実施態様において、この分離されるべき混合物aiは工程a)において分縮に導かれ、そこから凝縮物aHが得られ、該凝縮物は、主として溶媒、減損した量のホスゲンおよび微量の塩化水素および塩素、ならびに主としてホスゲン、塩化水素および塩素ならびに僅かな量の溶媒から成るガス状流aLを含有する。この分縮は、一般に0.1〜20バール(絶対)、有利には0.2〜10バール(絶対)、とりわけ有利には0.5〜5バール(絶対)および、きわめて有利には0.8〜2バール(絶対)で運転される。凝縮から出て行く流は、例えば−5〜−40℃、有利には−15〜−35℃、とりわけ有利には−20〜−30℃の温度を有する。
【0117】
そのようにして得られるガス状流aLは、次いで洗浄b)に導かれ、そこでこの流れは、有利には、上で記載されるように、向流で洗浄液biにより処理される。有利には、洗浄液と分離されるべき混合物中の溶媒とは同じものである。洗浄b)から、ガス状流bgが得られ、該流bgからホスゲンおよび溶媒がほぼ完全に取り除かれ、かつ該流bgは本質的に塩化水素、塩素および/または臭素から成る。さらになお、洗浄液は、例えばエントレインメントによって含有されていてよい。流bgの液状構成成分は、後接続された分縮器または液滴分離器によって取り除くことができる。次いで流bgは、場合によりさらなる精製工程後に、例えばDE10235476(US6916953に相当)の中で記載されているように、塩化水素を利用するための方法に導いてよい。
【0118】
塩化水素のそのような利用は、有利には塩素製造、とりわけ有利には電気分解または、きわめて有利にはディーコン法であってよい。
【0119】
洗浄段階b)からの液状排出物blは、それから主として洗浄液から成り、該洗浄液中には段階b)に導かれる流aLからのホスゲンの大部分が存在する。付加的に、微量の塩素の他にもなお塩化水素が少量で洗浄液中に存在する。
【0120】
有利には、洗浄は、それが2〜25の熱力学段階、とりわけ有利には5〜20の熱力学段階および、きわめて有利には10〜15の熱力学段階を有するように形成されている。
【0121】
洗浄は、一般に0.1〜20バール(絶対)、有利には0.2〜10バール(絶対)、とりわけ有利には0.5〜5バール(絶対)および、きわめて有利には0.8〜2バール(絶対)で運転される。洗浄媒体の温度は、例えば−5〜−40℃、有利には−15〜−35℃、とりわけ有利には−20〜−30℃である。
【0122】
反応混合物対洗浄液の量比は、例えば5:1〜0.5:1、有利には3:1〜1:1および、とりわけ有利には2.5:1〜1.5:1である。
【0123】
次いで流blおよびaHは合一され、かつ精留c)に導かれ、そこで本質的に低沸点物の塩素および塩化水素がホスゲンおよび洗浄液から分離除去され得る。有利な一実施態様において、精留c)は単に回収部のみを含有し、すなわち精留c)への供給流は、分離作用を持つ内部構造物より上で精留に供給される。該回収部は、一般に5〜30段の、有利には10〜25段の、および、とりわけ有利には15〜20段の理論段数を包含する。比較的重要性の低い一実施態様において、精留c)は、付加的に2〜10段の理論段数からの濃縮部も含有してよい。精留c)は、一般に、0〜25℃、有利には5〜20℃および、とりわけ有利には10〜15℃の塔頂温度、20〜80℃、有利には30〜70℃および、とりわけ有利には40〜60℃の塔底温度、ならびに1〜5バール(絶対)、有利には2〜3.5バール(絶対)の圧力で運転される。
【0124】
精留は、例えば1〜20の還流比、有利には3〜15および、とりわけ有利には5〜12の還流比で運転され得る。
【0125】
高沸点物流cHは本質的にホスゲンおよび洗浄液とから成る。蒸気流cLは、塩化水素および塩素の他になお少量のホスゲンおよび洗浄液を含有し得る。
【0126】
有利な一実施態様において、蒸気流cLは、段階d)において部分的に凝縮され、かつ凝縮物dhは段階c)に返送される。少量のホスゲンの他に、主として塩化水素および塩素を含有するガス状流dLは、次いで段階a)に導通される。
【0127】
全プロセスに供給される新鮮なホスゲンが、例えば2質量ppmを超える、有利には10質量ppmを超える、とりわけ有利には20質量ppmを超える、きわめて有利には50質量ppmを超える、および殊に100質量ppmを超える、本発明による方法において分離除去されるべき高い塩素割合を有する場合、この塩素含有の新鮮なホスゲンは、アミンとの反応前に、本発明によれば少なくとも部分的に、有利には完全に、精留塔の分離作用を持つ内部構造物に導かれる。例えばこれは、この塩素含有の新鮮なホスゲンを、有利には段階c)に供給し、とりわけ有利には段階c)に供給されるその他の流と同じ理論段数で供給することによって行うことができる。例えばこれは、流blおよびaHとの混合および引き続く段階c)への供給によって行うことができる。
【0128】
有利には、この精留塔は、気相ホスゲン化の反応段階からの、塩化水素およびホスゲンならびに場合により不活性媒体からの混合物の分離の構成要素である。
【0129】
流cHは、次いで最後の精留e)に供給され、そこでホスゲンおよび洗浄液が互いに分離される。有利には、段階e)は、2〜20段の、有利には5〜15段の、とりわけ有利には6〜10段の理論段数からの少なくとも1つの回収部を有しているべきであり、塔底中で取得される高沸点物流eHは本質的に純粋な洗浄液から成り、かつ低沸点物流eLは精留なしに分離作用を持つ内部構造物を介して精留e)の塔頂部で取り出される。この場合、流eHは本質的に洗浄液およびホスゲンとから成り、かつ、有利には、さらなる精製なしにホスゲン化に返送することができる。それというのも、洗浄液は気相ホスゲン化において、次いで不活性媒体として作用するからである。
【0130】
とりわけ有利な一実施態様において、段階e)は、有利には0.5〜10段の、有利には1〜5段の理論段数からの濃縮部のみならず、2〜20段の、有利には5〜15段の、および、とりわけ有利には6〜10段の理論段数からの回収部を有し、かつ、5〜80℃、有利には10〜60℃、および、とりわけ有利には20〜40℃塔頂温度、100〜200℃、有利には130〜180℃および、とりわけ有利には150〜175℃の塔底温度、ならびに1〜5バール(絶対)、有利には2〜3.5バール(絶対)の圧力で運転される。
【0131】
その際、段階e)の精留は、例えば、0.1〜10、有利には0.2〜5および、とりわけ有利には0.5〜2の還流比で運転される。
【0132】
その際に得られる蒸気流eLは本質的に純粋なホスゲンから成り、それは次いで有利には、さらなる精製なしにホスゲン化に使用することができる。高沸点物流eHは本質的に純粋な洗浄液から成り、それは次いで有利には、さらなる精製なしに洗浄b)および/またはクエンチングに使用することができる。
【0133】
第二の実施態様において、第一の実施態様の全ての工程が、蒸留段階c)およびe)を一緒に隔壁塔内でまとめるという違いを伴って実現される。この隔壁塔は、有利には、流入側が単に回収部のみを有し、かつ流出側がもっぱら濃縮部を有するように構成されている。隔壁は、次いで流入側および流出側のガス空間を互いに分け隔てる。
【0134】
次いで流入側のガス空間は、有利にはまた分縮d)と結ばれている。そのような実施態様の場合、流cLは流入側のガス空間から取り出され、本質的にホスゲンから成る流eLは流出側のガス空間から取り出され、かつ本質的に洗浄液から成る流eHは流出側および流入側の共通の底部から取り出される。
【0135】
第三の代替的な実施態様において、また第一の実施態様の全ての特徴が実現され、かつ蒸留段階c)およびe)は同様に一緒に隔壁塔内でまとめられる。その際、しかしながら、この隔壁塔は、有利には、流入側と流出側のいずれも回収部および濃縮部を有するように構成されている。それから低沸点物空間および高沸点物空間は、分離作用を持つ内部構造物を介してそれぞれ互いに結ばれている。隔壁は、流入側および流出側を分け隔てる。
【0136】
共通のガス空間は、有利にはまた分縮d)と結ばれている。そのような実施態様の場合、流cLは共通のガス空間から取り出され、本質的にホスゲンから成る流eLはそうして流出側で中沸点物として取り出され、かつ本質的に洗浄液から成る流eHは流出側および流入側の共通の底部から取り出される。
【0137】
本発明によれば有利なのは、洗浄液が、それが洗浄b)および/またはクエンチングに返送される前に、少なくとも一度、精留により少なくとも1段の理論蒸留段を介して精製されているような、ホスゲン、クエンチングからの溶媒もしくは工程b)からの洗浄液、塩化水素および塩素を含有する混合物を分離するための方法工程の組み合わせである。
【0138】
全プロセスに供給される新鮮なホスゲンが、本発明による方法において分離除去されるべき高い塩素割合および/または臭素割合、すなわち、上述の限界値より高い割合を有する場合、本発明によれば、さらに有利なのは、ホスゲンが、それがホスゲン化に導かれる前に、少なくとも一度、精留により少なくとも1段の理論蒸留段を介して精製されているような方法工程の組み合わせである。塩素および/また臭素の本発明による低い含量は、有利には以下のように達成することができる:
1)本方法に供給される新鮮なホスゲンは、要求される低い含量の塩素および/または臭素を有する。
【0139】
これは、本発明による低い臭素含量を達成するために、殊に有利である。
【0140】
低い塩素含量および臭素含量は、例えば活性炭を用いた、本発明による方法に供給される新鮮なホスゲンの処理によって、または塩素および一酸化炭素からのホスゲンの合成での特殊な方法操作によって達成することができる。
【0141】
ホスゲンは、適した担体、有利には活性炭上での一酸化炭素と分子の塩素(Cl2)との接触によって頻繁に製造される。ホスゲンの形成は強い発熱を伴うので、これは有利には、担体層が発熱反応によって400℃までの温度に加熱される管束反応器中で行われ、その際、温度は、しかしながら、管の通過に際して40〜150℃に低下する。その際、放出される反応熱は、適した熱媒体、例えば水によって排出される。その際、たいていは標準圧力または軽度の超過圧力が加えられる。
【0142】
ホスゲンの製造が、化学量論的過剰量の一酸化炭素と十分に長い滞留時間とを伴って行われる場合、一般に、塩素の完全な反応が達成される。このようにして得られたホスゲンは、なお少量の一酸化炭素を含有する。しかしながら、これはホスゲン化における使用に対してマイナスに作用する。それというのも、含有される一酸化炭素は気相ホスゲン化において不活性ガスとして作用するからである。
【0143】
2)新鮮なホスゲンが比較的高い塩素含量、例えば2質量ppmを超える、有利には10質量ppmを超える、とりわけ有利には20質量ppmを超える、きわめて有利には50質量ppmを超える、および殊に100質量ppmを超える含量を有する場合、新鮮なホスゲンは、本発明によれば、アミンとの反応に直接導かれるのではなく、まず少なくとも部分的に、有利には完全に、ホスゲン化から得られる、ホスゲンおよび塩化水素を含有する混合物の分離に導入され、そこで塩素および/または臭素の残分が塩化水素と一緒にホスゲンから分離除去される。これは本発明の有利な一実施態様を表す。
【0144】
これは、それによってホスゲンの分裂によって発生した塩素またはホスゲンの製造に由来する塩素をホスゲン化の前に分離除去することができるので好ましい。
【0145】
塩化水素/ホスゲン分離に、吸着ユニット、有利には活性炭フィルターを、分離から排出される塩化水素流中で後接続してよく、その際、微量の洗浄媒体が、生じる塩化水素から取り除かれる。
【0146】
主として、気相ホスゲン化法に従って製造されたジイソシアネートは、ポリイソシアネート重付加法に従う、ウレタン基、イソシアヌレート基、アミド基および/または尿素基を含有するプラスチック中で使用するためのポリイソシアネートの製造に適している。さらになお、該イソシアネートは、ウレタン基、ビウレット基および/またはイソシアヌレート基で変性されたポリイソシアネート混合物の製造のために使用される。殊に、脂肪族または環式脂肪族のジイソシアネートからのこのようなポリイソシアネート混合物は、耐光性のポリウレタン塗料およびポリウレタンワニスの製造のために、ならびに熱可塑性ポリウレタン中で使用される。
【符号の説明】
【0147】
a 分縮段階、 aH ガス状流、 ai 分離されるべき混合物、 aL 凝縮物、 b 洗浄段階、 bi 洗浄液、 bg ガス状流、 bl 液状排出物、 c 精留段階、 cH 高沸点物流、 cL 蒸気流、 d 凝縮段階、 dh 凝縮物、 dL ガス状流、 e 精留段階、 eH 高沸点物流、 eL 低沸点物流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相応するジアミンとホスゲンとをホスゲンの化学量論的過剰量で少なくとも1つの反応帯域中で反応させることによるジイソシアネートの製造法であって、
その際、反応条件を、少なくとも反応成分のジアミン、ジイソシアネートおよびホスゲンがこれらの条件にてガス状であるように選択し、かつ、
その際、反応帯域に、少なくとも1つのジアミン含有ガス流および少なくとも1つのホスゲン含有ガス流を供給し、
その際、アミン含有流との混合前のホスゲン含有流中の塩素の質量分率が1000質量ppm未満であり、かつ/またはホスゲン含有流中の臭素の質量分率が50質量ppm未満である、ジイソシアネートの製造法。
【請求項2】
ジアミン含有ガス流および/またはホスゲン含有ガス流に少なくとも1つの不活性媒体を、不活性媒体対アミンもしくは不活性媒体対ホスゲンのガス容積比が0.0001を上回り30までとなるように添加することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ホスゲンとジアミンとの反応を反応空間中で、0.1バールを上回り20バール未満までの絶対圧力で行うことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ホスゲンとジアミンとの反応を反応空間中で、200℃を上回り600℃までの温度で行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
反応混合物の平均接触時間が0.001秒から5秒未満までであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ホスゲン対アミノ基のモル比が1.1:1〜20:1であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応空間中での流れが、10を上回るボーデンシュタイン数を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ホスゲン含有流中の塩化水素の質量分率が、場合により新鮮なホスゲンとの混合を実施した後、アミン含有流との混合前に15質量%未満であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
不活性媒体がクロロベンゼンであることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項10】
イソシアネートを、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび2,4−/2,6−トルイレンジイソシアネート異性体混合物から成る群から選択することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
2質量ppmを上回る割合の分子の塩素(Cl2)を有する新鮮なホスゲンを、アミンとの反応前に、本発明により少なくとも部分的に、ホスゲンから塩素を分離除去するために精留塔の分離作用を持つ内部構造物に導くことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
精留塔が、塩化水素およびホスゲンならびに不活性媒体からの混合物の分離の構成要素であることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
1000質量ppm未満の含量の分子の塩素(Cl2)を有するホスゲンの、気相ホスゲン化における使用。
【請求項14】
50質量ppm未満の含量の分子の臭素(Br2)を有するホスゲンの、気相ホスゲン化における使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−516640(P2010−516640A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545842(P2009−545842)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063771
【国際公開番号】WO2008/086922
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】