説明

イソブチレン系共重合体の製造方法

【課題】 不純物が少なく機械強度に優れ、しかも柔軟で良好なゴム的特性を有する、イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 R1(CR2(CHR34)X)nで表される化合物を開始剤として用いるイソブチレン系共重合体の製造方法において、開始剤に含まれるR1(CR2=CR34n及びR1(CR2(CHR34)X)p(CR2=CR34qで表される化合物の合計を開始剤全体の20重量%以下とすることにより、上記課題が解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソブチレン系共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソブチレンを主成分とするブロックとイソブチレンを主成分としないブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体は、リビングカチオン重合で製造されるのが一般的である。このうち、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとを含有するイソブチレン系ブロック共重合体については、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、さらにガスバリヤー性、密封性に優れた熱可塑性エラストマーとして、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他様々な用途に利用されている。
【0003】
しかしながら、イソブチレン系ブロック共重合体は、既存の熱可塑性エラストマーと比べて、機械物性、特に引っ張り強度が劣るという問題があった。その理由として、イソブチレンを主成分とするブロックと芳香族ビニル系化合物を主成分とするブロックの結合割合(ブロック化率)が低いためと考えられてきた。すなわち、これらのイソブチレン系ブロック共重合体は、通常、まずイソブチレンをカチオン重合させてポリイソブチレンを製造し、その重合が終了した時点で、さらに芳香族ビニル化合物を添加し、イソブチレンのブロックの先端部分から芳香族ビニルブロックを形成していくという方法で製造されるが、イソブチレンブロックの全ての先端から芳香族ビニル化合物の重合を開始することは困難であり、結果として、イソブチレンブロックの先端に芳香族ビニルブロックが結合していない(つまりブロック化率の低い)樹脂が製品に混合するためであると考えられてきた。
【0004】
この問題を解決する手段として、製造に用いる溶剤を変える事によりブロック化率を上げる試みが報告されている(特許文献1)。また、イソブチレンの重合終了時に非重合性の化合物で末端をキャッピングして触媒活性を調整した後、芳香族ビニル系単量体を添加してブロック化率を向上させるという試みが報告されている(特許文献2)。しかしながら、これらの方法でも得られるイソブチレン系ブロック共重合体の物性は満足なレベルに達していない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−349648号公報
【特許文献2】国際公開第95/10554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、不純物が少なく、機械強度に優れ、しかも柔軟で良好なゴム的特性を有する、イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の構造を有する化合物の含有量を下げた開始剤を用いて重合体を重合すると、機械強度に優れ、良好なゴム的特性を有するイソブチレン系ブロック共重合体が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される開始剤の存在下にイソブチレン系共重合体を製造する方法において、開始剤に含まれる一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の量が、合計で20重量%以下であることを特徴とするイソブチレン系共重合体の製造方法。
1(CR2(CHR34)X)n (1)
1(CR2=CR34n (2)
1(CR2(CHR34)X)p(CR2=CR34q (3)
[一般式(1)〜(3)中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、p、q、nは自然数を示し、p+q=nを満たす。]
【発明の効果】
【0009】
特定の化合物の含有量を一定量以下に規定した開始剤を用いる本発明に係るイソブチレン系共重合体の製造方法によれば、物性の低いポリマー分子の含有割合が抑えられたイソブチレン系共重合体が生成する。その結果、機械強度に優れ、しかも柔軟で、良好なゴム的特性を有するイソブチレン系ブロック共重合体が得られることとなる。本発明に係るイソブチレン系共重合体を含有するエラストマー組成物は、例えば、他樹脂とのコンパウンド、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材を始め、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他様々な用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明のイソブチレン系共重合体は、一般式(1)
1(CR2(CHR34)X)n (1)
[Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基で、R2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。]で表される化合物を開始剤として用いて製造される。一般式(1)で表される化合物は、ルイス酸等の存在下、炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
【0012】
例えば、Xが塩素原子の場合、一般式(1)で表される化合物(開始剤)は、一般式(2)
1(CR2=CR34n (2)
[R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基で、R2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。]で表される化合物に塩酸ガスを接触、もしくは、一般式(2)で表される化合物と塩酸水とを接触させることにより製造することができる。また、水酸基を有する化合物と塩酸とを適切な反応条件下にて反応させることによっても一般式(1)で表される化合物は製造される。この際、一般式(2)で表される化合物が塩酸と十分に反応せず、一般式(3)
1(CR2(CHR34)X)p(CR2=CR34q (3)
[Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、p、q、nは自然数を示し、p+q=nを満たす。]で表される化合物が生成する場合がある。
【0013】
例えば、リビングカチオン重合において、一般式(1)のようなハロゲン原子−3級炭素結合を有する化合物、例えば化合物(1a)、化合物(1b)、化合物(1c)
【0014】
【化1】

で表される化合物を開始剤として用いることは一般的であるが、これらの化合物は、主としてそれぞれ対応する二重結合を有する化合物、例えば化合物(2a)、化合物(2b)、化合物(2c)
【0015】
【化2】

に、溶剤の存在下、可能であれば非存在下、低温にて塩酸ガスを吹き込みこれら二重結合を有する化合物と反応させることにより、得られるものである。しかしながら、この反応が不完全な場合、または、反応が完全で開始剤が得られたとしても、その保管状態や経年変化によっては、これらの化合物は容易に分解し、化合物(2a)(2b)(2c)や(3a)(3b)(3c)
【0016】
【化3】

で表される化合物が一部再生成することがある。これらの化合物から得られるイソブチレン系共重合体は所期の(設定どおりの)重合体ではなく、分子量やその分布、機械物性等で望まない重合体となり得る。
【0017】
例えば、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体を製造する場合、通常は化合物(1a)、(1b)、(1c)を開始剤とする。しかし、もし開始剤が劣化すれば、開始剤中に化合物(3a)、化合物(3b)、及び化合物(3c)が含まれることになる。これらの化合物から得られるイソブチレン系共重合体は、ポリイソブチレン−ポリスチレンジブロック共重合体となり、もはやトリブロック体は得られない。このジブロック共重合体は、分子の両末端にハードセグメント、そのハードセグメント間にソフトセグメントを有する熱可塑性エラストマーとして機能するトリブロック体ではなく、熱可塑性エラストマーとしての性質を全く示さない。このようなポリマーが生成ポリマー中に含有されていると、当然生成ポリマー自体の分子量やその分布が設定どおりではなく、期待どおりの物性は得られない。
【0018】
従って、本発明に係る方法においては、イソブチレン系共重合体の製造に、一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の量が、合計で20重量%以下である開始剤を用いる。開始剤中に含有される一般式(2)及び一般式(3)の割合が開始剤全体の20重量%以下であれば、得られるイソブチレン系共重合体の分子量やその分布、機械物性が実質的に低下するおそれは小さく、発明の効果が得られることとなる。なお、開始剤中に含有される一般式(2)及び一般式(3)の割合は、開始剤全体の14重量%以下であるのが好ましく、更に好ましくは、開始剤全体の6重量%以下である。
【0019】
なお、開始剤中に含有される一般式(2)及び(3)の割合は、例えば、開始剤の核磁気共鳴装置(NMR)による測定によって算出することが出来る。具体的には、例えば、開始剤を四塩化炭素/重アセトン溶媒に溶解して25℃でNMR測定を行い、NMRスペクトル中に観測される芳香環由来の吸収、イソプロペニル基由来の吸収の割合から、一般式(1)、(2)、及び(3)のそれぞれの割合を計算できる。
【0020】
開始剤中の一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の含有量が増加した場合、例えば、低温に保った化合物(2)に化学量論的に十分な量の塩酸ガス次に不活性ガスをバブリングさせる方法や、化合物(2)と塩酸水を0℃程度の低温にて接触させ、かつ、反応終了時の残存塩酸の濃度をある一定以上に保つことにより一般式(1)で表される化合物に変換することが出来る。
【0021】
本発明における一般式(1)〜(3)で表される化合物についてより具体的に説明すると、一般式(1)および(3)のXは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基である。R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R1は一価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であっても、二価以上の多価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であってもよい。R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。p、q、nは自然数を示し、p+q=nを満たす。
【0022】
式中のXとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、又はこれらの基の炭素原子上に塩素原子等の置換基を有するものが好ましく、その中でも、原料の入手のし易さ、また、得られた化合物の重合に用いる際の反応性から、全てのXが塩素原子であることが特に好ましい。
【0023】
式中のR1としては、原料の入手のし易さ、また得られた化合物の重合に用いる際の反応性から、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素基または、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の環状脂肪族炭化水素基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、その中でもベンゼン環、もしくは、t−ブチル基を有するベンゼン環が特に好ましい。
【0024】
式中のR2〜R4としては、原料の入手のし易さ、また得られた化合物の重合に用いる際の反応性から、R2がメチル基、エチル基、n−プロピル基等の脂肪族炭化水素基、R3及びR4が水素原子であることが好ましく、その中でもR2がメチル基、R3及びR4が水素原子であることが特に好ましい。
【0025】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば上記化合物(2a)〜(2c)で表される化合物を挙げることができる。
【0026】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば上記(3a)〜(3c)で表される化合物を挙げることができる。
【0027】
本発明で用いられる一般式(1)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C65C(CH32Cl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH32363]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CH32Cl)2-5−(C(CH33)C63]である[なお1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、p−ジクミルクロライド、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、m−ジクミルクロライドとも呼ばれる]。このうち、例えば次の化合物(1a)から(1c)で表される化合物(p−,m−ジクミルクロライド、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン)を好ましく例示することができる。
【0028】
【化4】

本発明で製造されるイソブチレン系ブロック共重合体の形状としては、イソブチレンを主成分とする重合体ブロック及びイソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロックを有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。好ましいブロック共重合体としては、物性バランスの点から、イソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロック−イソブチレンを主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロックからなるトリブロック共重合体、イソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロック−イソブチレンを主成分とする重合体ブロックからなるジブロック共重合体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明のイソブチレンを主成分としない単量体成分は、物性バランスの点から、イソブチレンの含有量が30重量%以下である単量体成分が好ましい。イソブチレンを主成分としない単量体成分中のイソブチレンの含有量は10重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明のイソブチレンを主成分としない単量体成分中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、脂肪族オレフィン類、芳香族ビニル類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用される。
【0031】
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
【0032】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0033】
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
【0034】
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
本発明のイソブチレンを主成分としない単量体成分は、物性及び重合特性等のバランスから、芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体成分であることが好ましい。本発明のイソブチレンを主成分としない単量体成分は、芳香族ビニル系単量体の含有量が60重量%以上、好ましくは80重量%以上である単量体成分を示す。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれた1種以上の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
【0037】
また本発明のイソブチレンを主成分とする重合体ブロック中のイソブチレンユニット量は、物性バランスの点から、通常60重量%以上で、好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。また本発明のイソブチレンを主成分とする重合体ブロックは、全てイソブチレンユニットから成るものであっても構わない。イソブチレン以外の単量体としてはカチオン重合可能な単量体であれば特に制限はなく、例えば上記の単量体等が挙げられる。
【0038】
イソブチレン系ブロック共重合体のイソブチレンを主成分とする重合体ブロックとイソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、各種物性の面から、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックが95から40重量%、イソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロックが5から60重量%であることが好ましく、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックが85から50重量%、イソブチレンを主成分としない単量体成分からなる重合体ブロックが15から50重量%であることが特に好ましい。
【0039】
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量には特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜400,000であることが好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量が10,000よりも低い場合には機械的な物性が十分に発現されないことがあり、一方1,000,000を超える場合には流動性、加工性の面で若干不利である。
【0040】
イソブチレン系ブロック共重合体の分子量は特に制限されないが、流動性、加工性、物性等の面から、イソブチレンを主成分としない重合体ブロックのピークトップ分子量(Mp)が2,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000の範囲内にあり、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックのピークトップ分子量が1,000〜500,000、好ましくは10,000〜250,000の範囲内にあり、イソブチレン系ブロック共重合体の全体のピークトップ分子量が10,000〜1,000,000、好ましくは30,000〜200,000の範囲内にあることが、得られるエラストマー組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいうピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られたクロマトグラムのピークトップにおける保持時間に対応する分子量を、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値をいう。イソブチレン系ブロック共重合体のピークトップ分子量が10,000よりも低い場合には機械的な物性が十分に発現されないことがあり、一方1,000,000を超える場合には流動性、加工性の面で若干不利である。
【0041】
イソブチレン系共重合体を合成する際に、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合時の単量体の濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(2)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
【0042】
イソブチレン系共重合体の重合に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布が狭く、構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0043】
本発明で使用するハロゲン化炭化水素化合物としては特に限定されず、例えば、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。このうち、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、分解による無害化の容易さ、コスト等のバランス等の観点を重視するなら、1−クロロプロパン及び/又は1−クロロブタンを用いればよく、特に1−クロロブタンが好ましい。
【0044】
本発明で使用するハロゲンを有しない炭化水素系化合物としては、特に限定されず、例えば、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。ブロック共重合体の溶解度、コスト、誘電率等のバランスから、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
【0045】
本発明における重合溶媒は、上記ハロゲン化炭化水素と炭化水素系化合物とを組み合わせた混合溶媒であってもよい。混合溶媒中のハロゲン化炭化水素系溶媒の含有量としては特に限定されず、所望の誘電率あるいはイソブチレン系共重合体の溶解度が得られるように設定すれば良いが、一般的には10〜98重量%であり、好ましくは20〜90重量%である。
【0046】
上記混合溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは5〜35wt%となるように決定される。
【0047】
本発明のイソブチレン系共重合体には必要に応じてゴム用軟化剤を添加しても良い。その種類は特に制限されず、鉱物油系および/または合成樹脂系のいずれもが使用できる。
【0048】
鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物であって、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、また芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中で、本発明において好適に用いられるゴム用軟化剤はパラフィン系オイルである。
【0049】
本発明のイソブチレン系共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性重合体を添加することができる。添加し得る他の熱可塑性重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン系エラストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムなどのスチレン系エラストマーおよびその水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。なお、イソブチレン系ブロック共重合体以外の重合体の添加量は、得られるエラストマー組成物の柔軟性、力学物性が損なわれない範囲が好ましく、イソブチレン系共重合体100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
【0050】
また、本発明のイソブチレン系共重合体には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。本発明のイソブチレン系ブロック共重合体に添加し得る無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上用いることができる。無機充填剤の添加量は、得られる熱可塑性エラストマーの性能が損なわれない範囲であるのが好ましく、一般的には、イソブチレン系共重合体100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
【0051】
さらに、本発明のイソブチレン系共重合体には、必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などをの1種または2種以上を添加することができる。このうち、酸化防止剤(IV)としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系などが挙げられる。
【0052】
上記のイソブチレン系ブロック共重合体を製造するための、溶融条件下での混合を行う装置としては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれもが使用でき、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。なかでも、混練中の剪断力が大きく連続運転が可能な二軸押出機を使用するのが好ましい。
【0053】
上記のようにして得られる本発明のイソブチレン系共重合体は、成形加工性に優れるため、例えば、射出成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法およびカレンダー成形法などの成形法により成形、加工することができる。
【0054】
本発明のイソブチレン系共重合体を成形加工して得られる成形品は、各種用途に用いることができ、具体的には、例えば、インストルメンタルパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー、エアダクトなどの自動車内装部品;ウェザーストリップ、バンパー、モール、グラスランチャンネルなどの自動車外装部品;掃除機のバンパー、リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオなどの家電部品;水中眼鏡、水中カメラカバーなどの水中使用製品;各種カバー部品、密閉、防水、防音、防振などを目的とする各種パッキン付き工業部品;ラック、ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;ベルト、ホース、チューブ;電線被覆、消音ギヤなどの電気、電子部品;スポーツ用品;雑貨品;文房具;ドア、窓枠材、複層ガラス用材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガスケット、バッグ、チューブなどの医療用品;ホットメルトシーリング材;糸ゴム、伸縮性フィルムなどの伸縮性材料;ワイヤー、ケーブルなどに使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下に本発明を実施例、比較例、参考例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下の実施例、比較例において、各物性の測定および成形品の品質の評価は次のようにして行った。
【0056】
(分子量)
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。数平均分子量はポリスチレン換算で表記。
【0057】
(硬度)
JIS K 6352に準拠して測定を行った。試験片は12.0mm厚プレスシートを用いた。
【0058】
(引張破断強度)
JIS K 6251に準拠して測定を行った。試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0059】
(引張破断伸び)
JIS K 6251に準拠して測定を行った。試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0060】
以下の実施例または比較例で用いた開始剤は下記のとおりである。
開始剤:p−DCC[ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはp−ジクミルクロライド、純度99.0%以上、株式会社カネカ製]
開始剤不純物:CIB[1−(1−クロル−1−メチルエチル)−4−イソプロペニルベンゼン、株式会社カネカ製]
【0061】
(実施例1)(ブロック共重合体、SIBSの製造)
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)97.6mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)140.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー47.7mL(505.3mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−DCC0.084g(0.48mmol)、CIB0.013g(0.049mmol)さらにN、N’−ジメチルアセトアミド0.078g(0.84mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.66mL(15.12mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、重合溶液を約1mLサンプリングした。続いて、スチレンモノマー13.71g(131.67mmol)を重合容器内に添加した。混合溶液を添加してから75分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
【0062】
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体のMwが135,000であるブロック共重合体が得られた。
【0063】
(実施例2)(ブロック共重合体、SIBSの製造)
開始剤としてp−DCC0.091g(0.44mmol)、CIB0.006g(0.020mmol)の混合物を使用して、製造例1と同様の方法で重合を行った。ブロック共重合体のMwが135,000であるブロック共重合体が得られた。
【0064】
(実施例3)(ブロック共重合体、SIBSの製造)
開始剤としてp−DCC0.094g(0.43mmol)、CIB0.003g(0.010mmol)の混合物を使用して、製造例1と同様の方法で重合を行った。ブロック共重合体のMwが135,000であるブロック共重合体が得られた。
【0065】
(比較例1)(ブロック共重合体、SIBSの製造)
開始剤としてp−DCC0.073g(0.54mmol)、CIB0.024g(0.091mmol)の混合物を使用して、製造例1と同様の方法で重合を行った。ブロック共重合体のMwが135,000であるブロック共重合体が得られた。
【0066】
各実施例、比較例の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
CIBを25重量%含む開始剤を用いて得られた比較例のSIBSは、硬度39、破断時の強度16.7MPaであったのに対し、CIBを14重量%含む開始剤を用いて得られた実施例1のSIBSは、硬度41、破断時の強度18.3MPaを示した。また、CIBの含量が6重量%、3重量%の開始剤を用いた実施例2及び3では、硬度はさらに上昇し、破断時の強度も改善した。比較例で見られた、開始剤中に含有されるCIBに由来する低物性重合体が、実施例では低減したためと考えられる。
【0069】
以上のように、開始剤中の一般式(2)及び(3)で表される化合物の量が、合計して20重量%以下である開始剤を用いる本発明にかかる製造方法によれば、優れた物性を示すイソブチレン系ブロック共重合体が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される開始剤の存在下にイソブチレン系共重合体を製造する方法において、開始剤に含まれる一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の量が、合計で20重量%以下であることを特徴とするイソブチレン系共重合体の製造方法。
1(CR2(CHR34)X)n (1)
1(CR2=CR34n (2)
1(CR2(CHR34)X)p(CR2=CR34q (3)
[一般式(1)〜(3)中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、R2〜R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR2〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、p、q、nは自然数を示し、p+q=nを満たす。]
【請求項2】
前記開始剤に含まれる一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の合計が、開始剤全体の14重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記開始剤に含まれる一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の合計が、開始剤全体の6重量%以下であることを特徴とする請求項2記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。
【請求項4】
イソブチレン系共重合体の製造工程において、溶媒として炭化水素系化合物もしくはハロゲン化炭化水素系化合物もしくはこれらの混合物を使用する請求項1〜3のいずれかに記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。
【請求項5】
ハロゲン化炭化水素溶剤が1−クロロブタンである請求項4記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記イソブチレン系共重合体が、イソブチレンを主成分とする単量体成分からなるブロックと、芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体成分からなるブロックとからなる請求項1〜5のいずれかに記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記イソブチレン系共重合体が、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体もしくはポリスチレン−ポリイソブチレンジブロック共重合体である請求項6記載のイソブチレン系共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2007−197556(P2007−197556A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17468(P2006−17468)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】