説明

イミダクロプリドとビフェントリンの組合せを用いて芝生昆虫害虫と闘う方法

本発明は、ビフェントリン及びイミダクロプリドを用いて芝生の表面昆虫害虫を防除する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある場所における芝生昆虫害虫の防除、特に、芝草が生えている場所における芝生昆虫害虫の防除に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダクロプリドは、さまざまな昆虫害虫を防除するための、当業者には既知の殺虫剤である。米国特許第4,742,060号には、イミダクロプリドと用途について記載されている。イミダクロプリドは、何種類かの芝生昆虫害虫、例えば、マメコガネ(Popillia japonica Newm)の幼虫などを防除することが知られている。
【0003】
ビフェントリンは、さまざまな昆虫害虫を防除するための、当業者には既知の殺虫剤である。ビフェントリンは、一般に、2−メチルビフェニル−3−イルメチル (Z)−(1RS,3RS)−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパン−カルボキシレート(CAS Registry Number 82657-04-3)として知られている。ビフェントリンは、「The Pesticide Manual, page 88(entry 76)、C.D.S.Thomas, ed.(13th Ed., 2003)」に記載されている。
【0004】
ビフェントリンは、ナガカメムシ科(Lygaeidae)のヘメプテラン(Hemepteran)の昆虫、特に、ナガカメムシ類(chinch bugs)、ビッグアイドバッグス類(big-eyed bugs)又はフォルセキンクバッグス類(false chinch bugs)として当業者に知られている昆虫を防除することが知られている。しかしながら、ビフェントリンを約0.2lb(AI)/A(約220g/ha)未満の施用量で使用した場合、そのナガカメムシ類(特に、サウザンキンクバッグ(southern chinch bug)、ブリスス・インスラリス(Blissus insularis))に対する防除期間は完全に満足されるものではない。さらに、ナガカメムシ類を管理するためにビフェントリンを広範囲に使用した結果、この活性成分に対する広範な抵抗性が発達した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ナガカメムシ類を包含する何種類かの芝生昆虫害虫を防除するための新規方法を提供することである。本発明の別の目的は、ナガカメムシ類を包含する何種類かの芝生昆虫害虫を防除するための新規殺虫剤組成物を提供することである。本発明の別の目的は、農薬に対して抵抗性を示す芝生昆虫害虫(特に、ナガカメムシ類)の防除を提供することである。本発明のこれらの目的及び別の目的は、本発明によりその全体又はその一部が達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、芝草における昆虫害虫(特に、ナガカメムシ類及びケラ類(cricket moles))を防除する方法を提供し、ここで、該方法は、相乗作用的に有効な量のイミダクロプリドとビフェントリンを含んでいる組成物を昆虫害虫による損傷を受けやすい芝生に施用することを含む。
【0007】
本発明は、さらにまた、昆虫害虫の防除を必要とする芝草における表面摂食性(surface feeding)昆虫害虫を防除する方法も提供し、ここで、該方法は、ビフェントリンとイミダクロプリドを含んでいる組成物を、当該組合せの単一施用で用いられるビフェントリンの薬量と同じ薬量でビフェントリンを単独で用いた場合のビフェントリンの1.8〜2.5回施用と実質的に生物学的に等価な防除を該組成物の1回施用が提供する薬量で施用することを含む。一般に、イミダクロプリドを単独で使用する場合と比較して、本発明の組合せにおいてはより少ない量のイミダクロプリドを施用することが可能であり、同時に、より大きな効力を得ることができる。
【0008】
本発明は、さらにまた、相乗作用的に有効な量のイミダクロプリドとビフェントリンを含み、使用されて芝草における昆虫害虫(特に、ナガカメムシ類)を防除する組成物も提供する。該組成物は、さらにまた、芝草においてピレスロイド抵抗性のナガカメムシ類を防除する相乗作用的に有効な量のイミダクロプリドとビフェントリンからなる。
【0009】
本発明は、さらにまた、ナガカメムシ類を防除するための製品も提供し、ここで、該製品は、イミダクロプリドとビフェントリンの個別施用、順次施用又は同時施用を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般に、イミダクロプリドとビフェントリンを混合して、組成物を形成させる。その組成物は、当業者の知識に従って、固体組成物又は液体組成物であり得る。適切な組成物の例としては、粒剤、粉剤(dust)、粉末剤(powder)及び水和剤などがある。適切な液状剤としては、乳剤、溶液剤、フロアブル剤、懸濁濃縮剤(suspension concentrate)及び懸濁液剤(suspension)などがある。
【0011】
本発明組成物中の活性成分の量は広範囲にわたって変わり得るが、一般には、約0.1%〜約95%の活性成分である。(パーセントは、特に別途示されていない限り、本発明についての本明細書及び「特許請求の範囲」においては、一般に、重量パーセントである。)好ましくは、ビフェントリンの量とイミダクロプリドの量の比率は、約1:5〜約4:6である。可溶濃縮製剤(soluble concentrate formulation)中のビフェントリンとイミダクロプリドの量は、それぞれ、約2%〜約4%及び約4%〜約5%で変わる。顆粒製剤中のビフェントリンとイミダクロプリドの量は、それぞれ、約0.1%〜約0.2%及び約0.125%〜約0.25%で変わる。
【0012】
該組成物の100%に至るまでの残りの部分には、担体及びさまざまな添加物(例えば、以下で示されている添加剤など)が含まれている。「担体」は、本明細書においては、当該活性成分と関連してその処理対象の場所又は作物への施用を容易にする天然物又は合成物であり得る有機物質又は無機物質を意味する。この担体は、かくして、一般に、不活性であり、また、農業的に、特に、企図された場所若しくは処理された場所又は企図された作物若しくは処理された作物に対して許容されるべきである。そのような担体は、固体(例えば、粘土、シリケート、シリカ、樹脂、蝋又は肥料など)又は液体(例えば、水、アルコール類、ケトン類、油性溶媒(oil solvent)、飽和若しくは不飽和の炭化水素類、塩素化炭化水素類又は液化石油ガスなど)であり得る。
【0013】
多くの種類の添加剤の中で、本発明の組成物には、界面活性剤及び別の成分(例えば、分散剤、固着剤、消泡剤、凍結防止剤、染料、増粘剤、粘着剤、保護コロイド、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤、抗凝集剤、腐食防止剤、顔料及びポリマーなど)を含有させることができる。
【0014】
さらに一般的には、本発明の組成物には、殺虫剤及び殺虫剤による処理の技術分野において知られている固体又は液体の全ての種類の添加剤を含有させることができる。
【0015】
該界面活性剤は、イオン性又は非イオン性の乳化剤又は湿潤剤のタイプの界面活性剤であり得る。可能な界面活性剤は、以下のものである:ポリアクリル酸若しくはリグノスルホン酸の塩;フェノールスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸の塩;エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物若しくはエチレンオキシドと置換フェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)の重縮合物;スルホコハク酸のエステル塩;タウリン誘導体、例えば、アルキルタウレート;リン酸エステル;又は、アルコール若しくはポリオキシエチル化フェノールのエステル。噴霧用媒体(spraying vehicle)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を使用する。
【0016】
ケラ類を防除するためには、イミダクロプリドは、一般に、約0.3〜約0.4lb/A(約340〜約450g/ha)の薬量で単独で使用され、ビフェントリンは、一般に、約0.1〜約0.2lb/A(約110〜約220g/ha)の薬量で単独で使用される。これらの活性成分は両方とも、有効であるためには卵の孵化のピーク中に施用しなければならず、また、その場合でさえ、達成される防除は変動しやすく、しばしば、商業的に許容することができない。
【0017】
従って、本発明の組成物に関して、ケラ類を防除するためには、イミダクロプリドは、一般に、約200〜約560g/ha(好ましくは、200〜350g/ha)の薬量で使用され、ビフェントリンは、一般に、約85〜約450g/ha(好ましくは、150〜450g/ha、さらに好ましくは、150〜250g/ha)の薬量で使用される。上記薬量では、イミダクロプリド及びビフェントリンの両方とも、その単独で達成される防除はしばしば、不充分であり、また、変動しやすい。
【0018】
イミダクロプリドは、ナガカメムシ類を防除するためには、単独で、一般に、約0.3〜約0.4lb/A(約340〜約450g/ha)の薬量で使用されるが、その効力は劣ったものである。ビフェントリンは、ナガカメムシ類を防除するためには、単独で、約0.1〜約0.2lb/A(約110〜約220g/ha)の薬量で使用される。ビフェントリンの0.1〜約0.2lb/A(約110〜約220g/ha)未満の薬量は、しばしば、効力を示さず、特に、ピレスロイド抵抗性のナガカメムシ類に対しては効力を示さない。
【0019】
従って、本発明の組成物に関して、ナガカメムシ類を防除するためには、イミダクロプリドは、一般に、約75〜約560g/ha(好ましくは、150〜300g/ha、さらに好ましくは、160〜200g/ha)の薬量で使用され、ビフェントリンは、一般に、約40〜約450g/ha(好ましくは、56〜220g/ha、さらに好ましくは、60〜150g/ha)の薬量で使用される。特に好ましい実施形態では、イミダクロプリドは約280g/haの薬量で使用され、ビフェントリンは約220g/haの薬量で使用される。上記薬量では、イミダクロプリド単独の効力は変動しやすく、特に、サウザンキンクバッグ(southern chinch bug)(ブリスス・インスラリス(Blissus insularis))に対しては変動しやすい。ビフェントリン単独の上記薬量では、サウザンキンクバッグ(southern chinch bug)の防除は、場合により不充分であり、また、変動しやすい。
【0020】
マメコガネ(Popillia japonica)を防除するためには、イミダクロプリドを、単独で、約0.2〜約0.5lb/A(約200〜約560g/ha)の薬量で使用することができるが、ビフェントリン単独ではマメコガネの防除において効果を示さない。しかしながら、約110g/haないし約1.1kg/ha(好ましくは、220〜450g/ha)の薬量のイミダクロプリド及び約45〜約880g/ha(好ましくは、88〜360g/ha)の薬量のビフェントリンを使用する本発明の組成物は、マメコガネの防除において、特に有効である。
【0021】
本発明は、寒地型芝草と暖地型芝草を包含する全ての芝草で実施可能である。
【0022】
寒地型芝草の例は、以下のものである:イチゴツナギ類(イチゴツナギ属種(Poa spp.))、例えば、ナガハグサ(Poa pratensis L)、オオスズメノカタビラ(Poa trivialis L.)、コイチゴツナギ(Poa compressa L.)、スズメノカタビラ(Poa annua L.)、アップランドブルーグラス(upland bluegrass)(Poa glaucantha Gaudin)、ウッドメドウグラス(Poa nemoralis L.)、及び、ムカゴイチゴツナギ(Poa bulbosa L.);ベントグラス類及びコヌカグサ(ヌカボ属種(Agrostis spp.))、例えば、クリーピングベントグラス(Agrostis palustris Huds.)、イトコヌカグサ(Agrostis tenuis Sibth.)、ベルベットベントグラス(Agrostis canina L.)、サウスジャーマンミックスドベントグラス(South German Mixed Bentgrass)(ヌカボ属種(Agrostis spp.)であり、これは、イトコヌカグサ(Agrostis tenuis Sibth.)、ベルベットベントグラス(Agrostis canina L.)及びクリーピングベントグラス(Agrostis palustris Huds.)を含んでいる)、及び、コヌカグサ(Agrostis alba L.);ウシノケグサ類(fescues)(フェスツク属種(Festucu spp.))、例えば、レッドフェスク(red fescue)(Festuca rubra L. spp. rubra)、クリーピングフェスク(creeping fescue)(Festuca rubra L.)、チューイングスフェスク(chewings fescue)(Festuca rubra commutata Gaud.)、ウシノケグサ(Festuca ovina L.)、ハードフェスク(hard fescue)(Festuca longifolia Thuill.)、ヘアフェスク(hair fescue)(Festucu capillata Lam.)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea Schreb.)、メドウフェスク(meadow fescue)(Festuca elanor L.);ライグラス類(ドクムギ属種(Lolium spp.))、例えば、ネズミムギ(annual ryegrass)(Lolium multiflorum Lam.)、ホソムギ(Lolium perenne L.)、及び、イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.);並びに、カモジグサ類(wheatgrasses)(カモジグサ属種(Agropyron spp.))、例えば、フェアウェイウィートグラス(fairway wheatgrass)(Agropyron cristatum(L.)Gaertn.)、ニセコムギダマシ(crested wheatgrass)(Agropyron desertorum(Fisch.)Schult.)、及び、ウェスタンウィートグラス(western wheatgrass)(Agropyron smithii Rydb.)。他の寒地型芝草としては、以下のものを挙げることが出来る:オオハマガヤ(beachgrass)(Ammophila breviligulata Fern.)、コスズメノチャヒキ (Bromus inermis Leyss.)、ガマ類、例えば、オオアワガエリ(Phleum pratense L.)、サンドカットテイル(sand cattail)(Phleum subulatum L.)、カモガヤ(Dactylis glomerata L.)、アレチタチドジョウツナギ(weeping Alkaligrass)(Puccinellia distans(L.)Parl.)、及び、クシガヤ(crested dog's-tail)(Cynosurus cristatus L.)。
【0023】
暖地型芝草の例としては、以下のものを挙げることが出来る:ギョウギシバ(Cynodon spp. L. C. Rich)、シバ(Zoysia spp. Willd.)、イヌシバ(St. Augustine grass)(Stenotaphrum secundatum Walt Kuntze)、チャボウシノシッペイ(Eremochloa ophiuroides Munro Hack.)、ホソバツルメヒシバ(Axonopus affinis Chase)、アメリカスズメノヒエ(Paspalum notatum Flugge)、キクユグラス(Pennisetum clandestinum Hochst. ex Chiov.)、ヤギュウシバ(Buchloe dactyloids(Nutt.)Engelm.)、メダカスゲ(Blue gramma)(Bouteloua gracilis(H.B.K.)Lag. ex Griffiths)、サワスズメノヒエ(Paspalum vaginatum Swartz)、及び、アゼガヤモドキ(sideoats grama)(Bouteloua curtipendula(Michx. Torr.)。イヌシバ(St. Augustine grass)及びギョウギシバが最も好ましい。
【実施例】
【0024】
本発明組成物の調製及び使用の詳細について、以下の実施例によりさらに例証する。本発明は、上記開示において説明されているが、その精神においても範囲においても、該実施例によって限定されることはない。当業者は、上記組成物を調製するために、下記調製方法の条件及びプロセスの既知変形態様を使用することができるということを、容易に理解するであろう。
【0025】
実施例
実施例1
イミダクロプリドとビフェントリンの製剤を作ることにより、製品「AllectusTMGC Granular」及び「AllectusTMGC SC」を製造した。その製品は、当業者には既知の方法で、それぞれ、顆粒製剤及び懸濁濃縮剤として製造した。
【0026】
実施例2
ナガカメムシ類に対する実施例1の有効性を示すために、以下の試験を実施した。試験した製剤は、実施例1において記載した「Allectus GC SC」製品の可溶濃縮製剤(soluble concentrate)であった。図1は、その結果を示している。89g/haのビフェントリン+111g/haのイミダクロプリドを施用することとなる薬量及び133gのビフェントリン+167g/haのイミダクロプリドを施用することとなる薬量の該共製剤(coformulation)で達成された残効的防除(residual control)は、222g/haのビフェントリンで達成された防除に匹敵し、330g/haのイミダクロプリドで達成された防除よりも非常に優れている。
【0027】
実施例3
サウザンモールクリケット(southern mole cricket)及びタウニーモールクリケット(tawny mole cricket)に対する「Allectus GC Granulate」の有効性を示すために、以下の試験を実施した。上記ケラは、大きな若虫であったが、一方、局所施用されたケラ用製品についての通常の施用時期は、卵孵化のピーク時期である(即ち、本試験を開始した日付よりも当該季節において2ヶ月早い)。図2は、その結果を示している。222g/haのビフェントリン+278g/haのイミダクロプリドを送達する薬量及び178g/haのビフェントリン+222g/haのイミダクロプリドを送達する薬量で施用された実施例1の組合せ製品の顆粒製剤によって達成された処理14日後の防除レベルは、0〜9の非線形グリッドスケールに基づいて測定した場合、222g/haのビフェントリン又は450g/haのイミダクロプリドよりもケラの防除が非常に優れていた。
【0028】
実施例4
ピレスロイド抵抗性のナガカメムシ類(ブリスス・インスラリス(Blissus insularis))に対するイミダクロプリドとビフェントリンを含んでいる組合せの効力を示すために、以下の試験を実施した。
【0029】
フロリダでの研究(a)
2005年の夏、イヌシバ(St. Augustine grass)の芝生を、0.2lb/A(220g/ha)のビフェントリン、又は、0.25lb/A(280g/ha)のイミダクロプリド+0.2lb/A(220g/ha)のビフェントリンを含んでいる2種類の組合せ製品のうちの一方のいずれかで処理した。施用した時点では、ナガカメムシ類の個体数は非常に少なかった。地元の耕種学的慣行に従って、芝草に水をやり、刈り込みを行った。イミダクロプリドは、効力が乏しいので、この用途には商業的には使用されない。従って、本研究において、イミダクロプリドは単独では試験しなかった。
【0030】
施用の40日後(DAT)、芝生内のナガカメムシ類の数ををカウントした。この期間が経過した後、イミダクロプリドとビフェントリンを含んでいる組合せ製品で処理した芝生には、ナガカメムシ類が存在していなかった。それに反して、ビフェントリン単独で処理した芝生内のナガカメムシの数は、経済的に損害を受けるレベルであった。結果として、最初にビフェントリン単独で処理した芝生は、イミダクロプリド(薬量 0.25lb/A(280g/ha))+ビフェントリン(薬量 0.2lb/A(220g/ha))の茎葉噴霧で再度処理した。最初の芝生のセットに対するこの2回目の施用を施してから20日後に、全ての芝生から再度サンプリングしたが、ナガカメムシ類は見いだされなかった。処理した全ての芝生から10月まで定期的にサンプリングを行った。イミダクロプリド+ビフェントリンで処理した全ての芝生におけるナガカメムシの個体数は、当該研究の期間を通して極めて少ないままであった。
【0031】
【表1】

上記データは、ビフェントリン単独では効果を示さなかった芝生のサウザンキンクバッグ(southern chinch bug)がイミダクロプリドとビフェントリンの組合せによって非常に良好に防除されたことを示している。
【0032】
フロリダでの研究(b)
2005年の夏、イヌシバ(St. Augustine grass)の7つの芝生を、フロリダでサウザンキンクバッグ(southern chinch bug)を防除するために最も広く使用されている製品の登録されている最大薬量である0.2lb/A(220g/ha)のビフェントリンで数回処理した。その防除は非常に劣ったものであり、処理された芝生に対する著しい損傷が観察された。これらのナガカメムシ類のサンプルを採集し、フロリダ大学に送付した。そのフロリダ大学における室内生物検定法によって、送付したナガカメムシ類が通常のピレスロイド感受性個体群と比較してビフェントリンに対する感受性が47倍低いことが示された。
【0033】
2005年10月、上記芝生をサンプリングした。各芝生におけるナガカメムシ類の平均個体数は、1平方フィート当たり571匹のナガカメムシ類(即ち、約930平方センチメートル当たり571匹のナガカメムシ類)であった。これは、非常に多い個体数である。このサンプリングを行った後、上記7つの芝生を、イミダクロプリド+ビフェントリン(0.25lb/A+0.2lb/A(280g/ha+220g/ha))を含んでいる製品の可溶濃縮製剤で処理した。処理の6日後、該芝生を再度サンプリングした。その時点において、平均して1平方フィート当たり6匹のナガカメムシ類(即ち、約930平方センチメートル当たり6匹のナガカメムシ類)が観察された。個体数におけるこの劇的な減少は、ビフェントリン単独では防除することができなかったナガカメムシ類に対してイミダクロプリドとビフェントリンの組合せが非常に有効であったことを示している。
【0034】
実施例5
イミダクロプリドとビフェントリンを含んでいる組合せのマメコガネ(Popillia japonica)の卵に対する有効性を示すために、以下の試験を実施した。
【0035】
芝草のコア(直径6.4cm、深さ7cm)を、ぴったりと合う紙コップの中にはめ込んだ。4つのコアを、内部の昆虫が脱出するのを防止する蓋のついた円筒形のプラスチック製ケージ(直径60cm、高さ50cm)内に、ABABのレイアウトで配置した。そのケージは、マメコガネ成体が1つのコアから別のコアまで妨げられることなく飛んでいく/這っていくことができるように充分な大きさを有していた。これにより、マメコガネ成体が好む芝生の種類(処理されていない芝生、又は、殺虫剤で処理された芝生)を正確に求める実験計画が提供された。
【0036】
試験は、以下の組成物を使用し、未処理対照との比較で実施した:
組成物(1): 0.25lb/A(約280g/ha)のイミダクロプリド+0.2lb/A(約220g/ha)のビフェントリン;
組成物(2): 0.3lb/A(約340g/ha)のイミダクロプリド。
【0037】
各一対比較について、8反復で試験した。卵を抱えて腹部がふくらんでいるマメコガネの雌成体を圃場で採取し、各ケージ内に8匹の雌を入れた。試験は、25℃、明期14時間で実施した。マメコガネを寄生させてから1日後、食物/水源として1片のリンゴを該ケージに加えた。
【0038】
マメコガネを寄生させてから4日後、処理したコアと処理していないコアの中で見いだされたマメコガネ成体の数をカウントした。結果は、処理していないコア内の5.5匹のマメコガネと比較して、イミダクロプリド+ビフェントリンで処理したコア内では2.5匹のマメコガネしか見いだされなかったことを示した。この差異は、P<0.05で、統計的に有意であった。それに反して、処理していないコア内の4.2匹のマメコガネと比較して、イミダクロプリドのみで処理したコア内では3.8匹のマメコガネが見いだされた。上記2つの比較で得られた結果は、マメコガネは、上記2種類の活性成分の組合せで処理された芝生を忌避するが、そのマメコガネは、イミダクロプリドで処理された芝生と処理されていない芝生の間で選択できる場合は、それを優先するというこを示している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ナガカメムシ類に対する実施例1の可溶性組成物の有効性を示している試験結果を示す図である。
【図2】サウザンモールクリケット(southern mole cricket)及びタウニーモールクリケット(tawny mole cricket)に対する実施例1の顆粒組成物の有効性を示している試験結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝草における昆虫害虫を防除する方法であって、相乗作用的に有効な量のイミダクロプリドとビフェントリンを含んでいる組成物を昆虫害虫による損傷を受けやすい芝生に施用することを含む、前記方法。
【請求項2】
昆虫害虫の防除を必要とする芝草における表面摂食性昆虫害虫を防除する方法であって、ビフェントリンとイミダクロプリドを含んでいる組成物を、当該組合せの単一施用で用いられるビフェントリンと同じ薬量で単独で用いた場合のビフェントリンの1.8から2.5回施用と実質的に生物学的に等価な防除を該組成物の1回施用が提供する薬量で施用することを含む、前記方法。
【請求項3】
昆虫害虫が、表面摂食性昆虫である、請求項1の方法。
【請求項4】
昆虫害虫が、ナガカメムシ類の昆虫害虫である、請求項1の方法。
【請求項5】
ビフェントリンの量が、40g/haないし450g/haである、請求項4の方法。
【請求項6】
ビフェントリンの量が、60g/haないし150g/haである、請求項4の方法。
【請求項7】
イミダクロプリドの量が、75g/haないし560g/haである、請求項4の方法。
【請求項8】
イミダクロプリドの量が、160g/haないし200g/haである、請求項4の方法。
【請求項9】
昆虫害虫が、ケラ類の昆虫害虫である、請求項1の方法。
【請求項10】
ビフェントリンの量が、85g/haないし450g/haである、請求項9の方法。
【請求項11】
ビフェントリンの量が、150g/haないし250g/haである、請求項9の方法。
【請求項12】
イミダクロプリドの量が、200g/haないし560g/haである、請求項9の方法。
【請求項13】
イミダクロプリドの量が、200g/haないし350g/haである、請求項9の方法。
【請求項14】
昆虫害虫が、マメコガネ類である、請求項1の方法。
【請求項15】
ビフェントリンの量が、45g/haないし880g/haである、請求項14の方法。
【請求項16】
ビフェントリンの量が、88g/haないし360g/haである、請求項14の方法。
【請求項17】
イミダクロプリドの量が、110g/haないし1.1kg/haである、請求項14の方法。
【請求項18】
イミダクロプリドの量が、220g/haないし450g/haである、請求項14の方法。
【請求項19】
相乗作用的に有効な量のイミダクロプリドとビフェントリンを含み、使用されて芝草における昆虫害虫を防除する組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−533199(P2008−533199A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503023(P2008−503023)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008929
【国際公開番号】WO2006/101805
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506018237)バイエル・クロツプサイエンス・エル・ピー (16)
【Fターム(参考)】