説明

イムノアッセイにおける非特異結合を低減するためのグリコサミノグリカンの使用

【課題】希釈剤中の検体結合剤、および、検体の試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬を提供する。
【解決手段】検体はトロポニンIであり、検体結合剤は、ビオチン化した抗トロポニンI抗体であり、グリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である、かかるイムノアッセイ試薬が提供される。検体の存在についてアッセイされるべき試料、検体結合剤、および、ヘパリン以外のグリコサミノグリカンを含む試料組成物も提供される。さらに、試料中の検体を検出する方法が提供され、この方法において、グリコサミノグリカンを使用して、非特異結合が低減される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、イムノアッセイの分野に関連し、より具体的には、イムノアッセイにおける非特異結合を低減するための、グリコサミノグリカンの使用に関連する。
【0002】
〔発明の背景〕
生化学結合アッセイ(Biochemical binding assays)は、生物試料における検体の存在および濃度を測定するために広く用いられている。そのようなアッセイは、結合パートナーの概念に基づいている。目的の検体は、(例えば、検体に対する抗体、または、検体に対する受容体などの)検体結合剤に結合するので、検体と検体結合剤は、「結合パートナー(binding partners)」と呼ばれる。結合パートナーのうち1つが固相に結合する場合、そのアッセイは、不均一アッセイ(heterogeneous assay)と呼ばれる。そのような不均一アッセイには、例えば、サンドイッチ法、間接法、および、競合法が含まれ、これら全ての用語は、当技術分野において容易に認識される。
【0003】
アッセイの感度は、通常、検体なしで得られる信号の測定値と比較して、そのアッセイによって生成される信号に、統計的に有意な変化をもたらす検体の最小量とされる。感度を高めることは、より少量の検体の検知、ならびに、全体的に、より高精度の検体の測定を可能にするため、望ましいことである。
【0004】
非特異結合は、固相を用いる不均一アッセイ系における、結合パートナー間の非特異の相互作用を指す。非特異結合は、しばしば、不均一アッセイの感度を低めるため、そのような非特異結合を低減させることが望ましい。
【0005】
この目的のための多くの方法が知られている。例えば、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin; BSA)、ゼラチン、および、カゼインなどのタンパク質を、アッセイ試薬に加えるか、または固相に前もって吸着させて、非特異吸着部位を遮断してきた。さらに、種々の界面活性剤の(しばしば高濃度での)使用が、文献に報告されている。
【0006】
これらの手法は、ある種の非特異性吸着を低減するのに役立つ可能性がある一方、その多くは、結合パートナーの所望の特異的相互作用への干渉を伴っている。これらの手法は、結合パートナー間で形成された複合体(complex)の転移をもたらす可能性もある。さらに、高濃度のタンパク質および界面活性剤の使用にもかかわらず、通常、かなりの量の非特異結合が、多くの不均一アッセイにおいて残る。したがって、不均一アッセイにおいて、非特異結合を低減させる別の手段が必要とされる。
【0007】
これは、特に、検出すべき検体の濃度が非常に低く、正確で実用的なアッセイ結果をもたらすためにより高い感度が必要とされる、心臓トロポニンIのアッセイの場合において当てはまる。心臓トロポニンIの測定は、急性心筋梗塞の正確な診断、および、死亡、心筋梗塞、あるいは、緊急の血管再生手術を必要とする虚血症状のより高い可能性の相対リスクに関連する、非ST上昇の急性冠症候群を有する患者のリスク分類に役立つ。
【0008】
トロポニンI(TnI)は、通常筋肉組織に見出されるタンパク質で、トロポニンTおよびトロポニンCとともに、アクチンとミオシンとのカルシウム依存の相互作用を調節する (Tobacman, Annu Rev Physiol 58:447-481, 1996)。三種類のTnIイソタイプが同定されており、一つは、急速に収縮する骨格筋に関連し、一つは、ゆっくり収縮する骨格筋に関連し、もう一つは、心筋に関連する (Wilkinson and Grand, Nature 271:31-35, 1978; Bodor, J Clin Immunoassay 17(1):40-44, 1994)。心筋型(cardiac form)は、追加の31のアミノ酸残基を、そのN末端に有し、心筋に存在する唯一のトロポニンイソ型である (Vallins他, FEBS Letts 270(1,2):57-61, 1990)。
【0009】
臨床研究は、急性心筋梗塞(acute myocardial infract; AMI)の4〜6時間後、血流に心筋トロポニンI(cTnI)を検出することができ、その後数日間、上昇したままとなることを示している(Mair他, Clin Chem 41(9):1266-1272, 1995; Larue他, Clin Chem 39(6):972-979, 1993)。したがって、cTnIの上昇は、クレアチンキナーゼMB (CK-MB)、および、乳酸脱水素酵素双方についての診断の機会(diagnostic windows)を含む(Bodor, J Clin Immunoassay 17(1):40-44, 1994)。さらなる研究は、cTnIが、CK-MBと比較して、心筋障害に対して、より高い臨床特異性を有することを示している(Adams他 Circulation 88(1):101-106, 1993; Apple他, Clin Chim Acta 237:59-66, 1995)。
【0010】
cTnIは、その心臓特異性および感度により、不安定狭心症、および、非ST上昇の急性冠症候群(acute coronary syndrome ; ACS)のある患者の診断における、信頼性のあるマーカーとして用いられている。これまでの、ACS患者についての臨床研究 (Lindahl他, J Am Coll Cardiol 38:1497-1498, 2001; Venge他, Am J Cardiol 89:1035-1041, 2002) は、cTnI値の軽微な増加が、短期、および長期死亡リスクに関する重要な予後情報を提供することを示している (Galvani他, Circulation 95:2053-2059, 1997; Antman他, N Eng J Med 335:1342-1349, 1996; Ottani他, Am Heart J 40:917-927, 2000; Heidenreich他, J Am Coll Cardiol 38:478-485, 2001)。最終的に、そのような予後の評価は、特定の治療的介入が有益である可能性の最も高い患者を特定する際に有用でありうる。
【0011】
したがって、cTnIの不均一アッセイにおける非特異結合を減少させ、ゆえに、cTnIアッセイの感度を増大させる、いかなる試薬および方法も望ましいものである。
【0012】
〔発明の概要〕
この目的のため、本発明は、希釈剤中の検体結合剤、および、検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンを包含するイムノアッセイ試薬を提供する。
【0013】
現時点で好ましい一実施形態において、検体はトロポニンであり、検体結合剤は抗トロポニンIモノクローナル抗体であり、グリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である。
【0014】
本発明において、さらに、検体の存在についてアッセイされるべき試料、検体結合剤、および、検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量の、ヘパリン以外のグリコサミノグリカンを含む試料組成物が提供される。
【0015】
現時点で好ましい一実施形態において、試料は血清、またはEDTA血漿であり、検体はトロポニンであり、検体結合剤は抗トロポニンIモノクローナル抗体であり、グリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である。
【0016】
また、本発明において、試料中の検体を検出する方法が提供され、この方法において非特異結合を減少させるために、グリコサミノグリカンを使用する。前記方法は、検体の存在について分析されるべき試料を、グリコサミノグリカン、および、検体結合剤と混合して、試料中に存在する任意の検体と前記検体結合剤との複合体を形成する手順を含み、そこでは、前記方法において、前記グリコサミノグリカンが非特異結合を減少させる。さらに、本方法は、検体を検出するために、結果として得られた複合体を検出する手順を含む。前記方法において、好ましい検体はトロポニンであって、さらに好ましくは、トロポニンIであり、好ましいグリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である。
【0017】
主題発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と共に考察するならば、下記の説明により明白になることであろう。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、希釈剤中の検体結合剤、および、検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬を提供する。
【0019】
上記のように、生物試料における検体の存在および濃度を測定することが望ましいことが多い。検体は、(イムノアッセイなどの)分析手順において測定される物質、あるいは化学成分である。イムノアッセイは、結合パートナーの概念に基づいている。目的の検体は、(例えば、検体に対する抗体、または、検体に対する受容体などの)検体結合剤に結合するので、検体と検体結合剤は、「結合パートナー」と呼ばれる。
【0020】
多くのイムノアッセイおいて、検体結合剤は抗体である。かかる抗体は、多くの場合、リン酸カリウム緩衝液などの希釈剤中で提供される。そのような抗体は、例えばIgG、あるいはIgMを含む任意の免疫グロブリンクラスのものでありうる。その抗体は、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体でありうる。サンドイッチ型イムノアッセイでは、検体を、固相に固定した一つ、あるいは複数の抗体を用いて捕捉することができる。かかる固定化は、当技術分野で知られる手法を用いて達成することができ、それには、ストレプトアビジン被覆(streptavidin coated; SAC)固相の使用が含まれ、前記固相にビオチンで標識化した一つ、または複数の捕捉抗体が結合する。試料中に存在する目的の検体は、一つ、または複数の固定化した捕捉抗体に結合し、次いで、一つ、または複数の標識化された抗体が捕捉された検体に結合する。標識は、当技術分野で知られる、いかなるものであってよく、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが含まれる。検出された信号は、そこで、試料中に存在する検体の量を示す。当技術分野で知られているように、検出法は、選択した標識の種類によって異なり、比色分析法、蛍光分析法、あるいは化学発光法を含む可能性がある。
【0021】
現時点での望ましいグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan; GAG)はコンドロイチン硫酸であるが、他のGAGも使用可能である。これらの他のGAGには、ヒアルロン酸塩(ヒアルロン酸とも呼ばれる)、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デルマタン硫酸、およびケラタン硫酸が含まれる。コンドロイチン硫酸は、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B(現在はデルマタン硫酸と呼ぶ)、コンドロイチン硫酸C、またはそれらの混合物であり得る。
【0022】
グリコサミノグリカン(GAG)、またはムコ多糖体は、反復二糖類単位を含む長い非分岐鎖の多糖類である。前記二糖類単位は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)およびN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)という修飾された二種類の糖のうちの一つ、および、グルクロン酸またはイズロン酸などのウロン酸を含む。ヒアルロン酸塩は、D-グルクロン酸塩およびGlcNAcから構成される。デルマタン硫酸は、D-グルクロン酸(GlcA)、または、L-イズロン酸(IdoA)およびGalNAc-硫酸塩から構成される。デルマタン硫酸の不均一性は、異なる程度のO-硫酸化、および、前記の2つのウロン酸の存在によってもたらされる。コンドロイチン硫酸は、D-グルクロン酸塩およびGalNAc-6(または 4)-硫酸から構成される。ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、D-グルクロン酸塩-2-硫酸およびN-スルホ-D-グルコサミン-6-硫酸から構成される(ヘパランは、ヘパリンより少ない硫酸塩を有する)。ケラタン硫酸は、ガラクトース、および、ガラクトース-6-硫酸、および、GlcNAc-6-硫酸から構成される。
【0023】
コンドロイチン硫酸(CS)は、硫酸化したグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan; GAG)である。一本のコンドロイチン鎖は、100より多くの個別の糖を有し、それぞれの糖は、可変の位置および量で硫酸化することができる。コンドロイチン硫酸Aは、GalNAc糖の第4炭素において大部分硫酸化されているコンドロイチン硫酸(コンドロイチン-4-硫酸)を指す。コンドロイチン硫酸Bは、現在はデルマタン硫酸と呼ばれる。コンドロイチン硫酸Cは、GalNAc糖の第6炭素において大部分硫酸化されているコンドロイチン硫酸(コンドロイチン-6-硫酸)を指す。コンドロイチン硫酸Dは、GlcAの第2炭素および、GalNAc糖の第6炭素において大部分硫酸化されているコンドロイチン硫酸(コンドロイチン-4,6-硫酸)を指す。
【0024】
検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量の、前記グリコサミノグリカンが提供される。GAGがコンドロイチン硫酸である場合、その量は、好ましくは、約0.25 mg/mL〜約4 mg/mLである(約0.025%〜約0.4%に相当)。具体的な一実施形態において、コンドロイチン硫酸は、1 mg/mL (0.1%に相当)の量で存在する。以下の例で、主題発明に従って使用するGAGの適量を決定する方法について詳細を説明する。
【0025】
検体の存在について分析されるべき試料はいかなる適切な試料であってよく、好ましくは、血清または血漿試料のような血液試料である。血漿は、血液細胞が懸濁している、血液の液体成分である。血液試料において、血漿を血液細胞から分離する簡単な方法は遠心分離によるものである。血清は、液体成分を分離する前に、血液を凝固させることにより、凝固因子を自然に取り除いた血漿を指す。血漿試料は、ヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、およびシュウ酸カリウム、またはEDTA(エチレンジアミン4酢酸)カリウムなどの抗凝固剤を含む血液管(blood tubes)から採取する。主題発明に従う血漿試料の場合、血漿は、好ましくは、ヘパリン以外の抗凝固剤を用いて採取する。
【0026】
主題発明のイムノアッセイ試薬は、一実施形態において、希釈剤中の心臓トロポニンIに特異性を有するモノクローナル抗体、および、0.1% コンドロイチン硫酸を含む。心臓トロポニンIに対する適切な抗体は当技術分野で知られており、抗体の特定の対、あるいは組み合わせが、アッセイパートナーとして、しばしば推奨される。本明細書で特に使用される抗体は、二重捕捉抗体として19C7 および24-40と表されるモノクローナル抗体(ストレプトアビジン被覆のウエルに固着させるためにビオチンで標識化される)、および、検出抗体として16A11と表される抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼで標識化される)である。これらの抗体は、市販され(下記に参照される出典を参照のこと)、心臓トロポニンIのアッセイに関して文献のいたるところで考察されており、ビオチン化および標識化の手順も当技術分野で周知である。
【0027】
上記の考察は、非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬に言及している。GAGは、抗体を含む希釈剤中に存在してよい。別法では、GAGは、試料組成物に加えられてよく、次いで、そこに、検体結合剤が加えられる。組み合わせの順序は、GAGが、試料中に存在する任意の検体が検体結合剤に対して非特定結合を起こす前に導入される限り、変えることができる。
【0028】
したがって、検体の存在についてアッセイされるべき試料、検体結合剤、および、検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量の、ヘパリン以外のグリコサミノグリカンを含む試料組成物がさらに提供される。
【0029】
現時点で好ましい一実施形態において、試料は血清、またはEDTA血漿であり、検体はトロポニンであり、検体結合剤は抗トロポニンIモノクローナル抗体であり、グリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である。
【0030】
また、試料中の検体を検出する方法が提供され、本方法は、検体の存在について分析されるべき試料を、グリコサミノグリカン、および、検体結合剤と混合して、試料中に存在する任意の検体と、前記検体結合剤との複合体を形成することを含み、そこでは、前記方法において、前記グリコサミノグリカンが非特異結合を減少させる。さらに、本方法は、検体を検出するために、結果として得られた複合体を検出することを含む。一実施形態では、試料は、グリコサミノグリカンと混合され、結果として得られる試料を、次いで、検体結合剤と混合する。他の一実施形態では、試料は、検体結合剤と混合され、結果として得られる試料を、次いで、グリコサミノグリカンと混合する。さらに他の一実施形態では、検体結合剤は、希釈剤中の検体結合剤、およびグリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬として提供され、前記イムノアッセイ試薬が、試料と混合される。これらの各方法において、好ましい検体はトロポニンであり、より好ましくはトロポニンIであって、好ましいグリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸である
【0031】
主題発明に従う試料組成物および方法において、種々の適切な検体結合剤、希釈剤、グリコサミノグリカン、試料、および、検体は、イムノアッセイ試薬に関して上記で考察したとおりである。
【0032】
主題発明の試薬、組成物、および、方法は、心臓トロポニンIのイムノアッセイに特に有用である。本実施形態のさらなる詳細は、以下の例にて提供される。
【0033】
例I 心臓トロポニンI(cTnIまたはTropI)アッセイ捕捉(BJ)および検出(CJ)試薬へのヘパリンの追加の効果
本実験の目的は、TropI BJ および/またはCJ試薬へのヘパリンの追加が、偽陽性のTropIの結果を軽減するかどうかを見出すことであった。再現可能な、血清試料における、偽の高いトロポニンIの結果についての多くの報告を受けた。EDTA血漿における、偽の高いTropIの結果についての報告も、いくつか受けた。いくつかの例では、同一の患者から採取した対応するヘパリン血漿試料(matching heparin plasma specimens)は、偽の高いTropIの結果を示さなかった。
【0034】
本実験は、BJ およびCJ 試薬にヘパリンを投入することを含み、前に偽陽性のTropIの結果を示した変異TropI 試料(rogue TropI samples)を使用して、これらの試薬を用いるアッセイを実行した。
【0035】
結果は、TropI CJ に投入され、直ちに処理された(run)ヘパリンは、回収信号を大幅に低減させることを示した。1mL当たりわずか10単位のCJで、回収されたCal 2 (較正器2)信号は、通常の50%未満であった。それに対して、ヘパリン血漿中のヘパリン濃度は典型的には25〜50単位/mLである。CJ試薬により送達されるヘパリンの濃度を同程度にするためには、50〜100単位/mLの濃度のヘパリンが存在する必要があることとなる。これらの反応に基づくと、ヘパリン化した血漿と同等の濃度のヘパリンをCJに追加することは、実現可能ではない。
【0036】
前に、偽陽性のTropIの結果を示すと確認された変異血清試料のパネルを使用して、1mL当たり10単位のヘパリンを含有するCJ溶液と共に、これらの試料を試験した。これらの変異試料は、見かけのcTnI(心臓トロポニンI)濃度の大幅な減少を示した。未処理の試料の、8〜35%に及ぶ回収は、0.7〜7.0ng/mLの見かけのcTnI濃度を有することが見出された。しかし、これらの試料のいずれも、血清についての基準上限値(Upper Reference Limit; URL)を下回るまで完全に補正されることはなかった。
【0037】
本実験の結果は、CJ調合物に追加されると、ヘパリンは、試薬の全般的な信号能力を著しく低減させる結果をもたらすという結論をもたらす。1mLあたり10単位の濃度のヘパリンで、信号は、公称(nominal)のわずか50%であった。しかし、患者の変異試料は、この濃度のヘパリンをCJに追加することで、部分的に補正された。しかし、この干渉を、より完全に補正するためには、より高い濃度のヘパリンを必要とし、それは、おそらく、アッセイの意図にそぐわないレベルまでアッセイ信号を低減させることになるだろう。
【0038】
例II BJ試薬における、試料補正要素としての糖類の効果
本実験の目的は、グリコサミノグリカン中に存在する糖類、および、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase; HRP)の炭水化物側鎖に典型的に関連する糖類などの、糖類の、BJ試薬に加えられた際の変異TropI試料の影響を低減する能力を評価するものであった。
【0039】
例Iで考察したように、変異試料へのヘパリン追加は、偽陽性結果を低減することを示した。ヘパリンは、直鎖アニオン性ムコ多糖体の異種グループの構成員で、このグループは、グリコサミノグリカン(glycosaminoglycans;GAG)と呼ばれ、抗凝固特性を有する。他の種類も存在しうるが、ヘパリンにおいて発生する主要な糖類は、α-L-イズロン酸 2-硫酸、2-デオキシ-2-スルファミノ-α-D-グルコース6-硫酸(2-acetamido-2-deoxy-α-D-glucose)、β-D-グルクロンサン、2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-グルコース、および、α-L-イズロン酸である。
【0040】
可能性のある試料補正要素についての、最初のスクリーニングとして、以下の糖類を、変異TropI試料に(試験物質の最終濃度が2 mg/mL になるように)投入し、偽陽性反応を阻害する効果を評価した。使用した糖類は、N-アセチル-グルコサミン(シグマA8625)、N-アセチル-ガラクトサミン(シグマA2795)、グルコサミン(シグマG4875)、N-アセチルノイラミン酸(NANA,シアル酸)(シグマA0812)、コンドロイチン硫酸C (シグマC4384)、キチン(N-アセチル-グルコサミンのホモポリマー)(シグマC9752)、ムチン(NANAのポリマー)(シグマM3895)、および、マンノース(シグマM8296)であった。コンドロイチン硫酸C(CSC)が、この最初のスクリーニングにおいて、偽陽性結果を大幅に低減させることが見出された(図1参照)。見かけのTropI結果は、一つを除く全ての変異試料において、全般的に、URL未満にまで抑制された。残りの一つの試料は、異好性抗体について陽性であると考えられる。
【0041】
これらの最初のスクリーニング研究に基づき、追跡実験を行なった。それらの実験では、BJ試薬中にEDTA(5.58 mg/mL)が存在する条件、および、存在しない条件で、コンドロイチン硫酸C(CSC)を、一連の漸増濃度(0.25、0.5、1、2、3および4 mg/mL)でBJ試薬に直接追加した(図2および図3参照)。調合物の効果は、基準較正器の反応の変化の評価と並行して、TropI変異試料の阻害に基づいた。TropI変異試料を効果的に阻害するように思われたCSCの最小濃度は、0.25 mg/mLであり、それよりわずかに高いCSC濃度(0.5 mg/mL)では、阻害について、わずかの漸進的な改善がみられた。さらなる試薬添加剤をともなう、EDTAが存在するか、または存在しないことによる効果は、有意ではなかった。
【0042】
BJ調合物への0.25〜0.5 mg/mLの濃度のCSCの追加は、負、あるいは正の血清プール(serum pool)の制御にほとんど有意な効果はなかった。さらに、基準較正器の反応は、CSCの低濃度に対し、ほとんど変化を示さなかった。CSC濃度が1 mg/mLより高い場合、典型的に、10〜30%の反応の低減があった。
【0043】
本実験の結果は、コンドロイチン硫酸Cは、ある種の血清およびEDTA血漿試料が示すことが見出された、非特異背景反応(非特異結合)を低減させる効果的な阻害剤であるという結論をもたらす。最小の試験濃度(0.25 mg/mL)は、見かけの偽陽性反応の大幅な低減を示したが、わずかに高い濃度(0.5 mg/mL)は、より高い濃度の干渉因子(interferent)を含みうる試料に対して、さらなる安全対策を提供する。CSC存在下のEDTA濃度は、変異試料に対して有意な効果を有しないようであった。
【0044】
TropI基準較正器使用時、BJ試薬へのCSCの追加による、全体の投与量対反応の関係に対する有害な影響は、ごくわずかであったことが観察された。8個の基準較正器全てにおいて、1 mg/mLまでの濃度のCSCによって引き起こされた変化は、全般的に、10%未満であった。従って、BJ調合物への0.25〜0.50 mg/mLの濃度のCSCの追加は、基準較正にほとんど、あるいは、全く実質的な影響を及ぼさないであろうことが予想される。
【0045】
例III BJに0.05% CSCを含む変異試料
本実験の目的は、BJ中に0.5 mg/mL(0.05%)のCSCを用いて変異試料を試験することであった。CSCを加えない陽性となると予測された試料、および、0.05%のCSCを加えた陰性となると予測された試料をビオチン希釈液に加えた。0.05%CSCの追加による、陰性および陽性試料の予測に対する影響は認められないようであった。これらの結果は、図3に示されている。
【0046】
例IV コンドロイチン硫酸A、B、および Cの比較性能
本実験の目的は、コンドロイチン硫酸の任意の異性体が変異試料からの保護を提供するかを判断することであった。前記の実験で使用されるコンドロイチン硫酸Cは、コンドロイチン硫酸Cと、いくらかのコンドロイチン硫酸Aの混合物である。その混合物における、コンドロイチン硫酸Cの最少量は85%である。最大15%のA異性体が存在しうるため、A、B、およびC異性体が、効果について試験された。
【0047】
得られた結果は、コンドロイチン硫酸の全ての異性体が、観察された変異試料の濃度を低減することに成功したことを示し、偽陽性の抑制に関して、異性体間で、有意な差はなかった(図4参照)。この結果は、異性体AおよびBの濃度に関しては、コンドロイチン硫酸の純度%は、偽陽性の抑制になんら影響しないという結論をもたらす。
【0048】
例V 心臓トロポニンIアッセイ
一つのイムノメトリックなイムノアッセイ手法(immunometric immunoassay technique)を用い(図5参照)、その手法には、試料中に存在する心臓トロポニンIと、ビオチン化した抗体(マウスモノクローン抗cTnI:トロポニンIのアミノ酸41〜49を認識するクローン19C7および、アミノ酸24〜40を含むトロポニンIの領域に特異性を有する第二のクローン)、および、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase; HRP)で標識化した抗体複合体(antibody conjugate)(マウスモノクローン抗cTnI:トロポニンIのアミノ酸87〜91を認識するクローン16A11)との同時反応が含まれる。ビオチン化したトロポニンMab(モノクローナル抗体)は、試料中のトロポニンIと特異的に反応し、SACウエルのストレプトアビジンに結合する複合体を形成する。未結合の物質は、洗浄により除去され、トロポニン複合体は、HRPで標識化したMabを用いて検出される(前記Mabは、ビオチン化したMabが結合するエピトープとは異なる、トロポニンIのエピトープに特異的に結合する)。結合したHRP複合体は、発光反応によって測定される。発光性基質(ルミノールの誘導体および過酸塩)ならびに電子移動剤を含む試薬がウエルに加えられる。結合した複合体中のHRPは、ルミノール誘導体の酸化を触媒し、発光する。前記電子移動剤(置換されたアセトアニリド)は、発生する光の量を増し、その放射時間を延ばす。光信号は、VITROS(商標)免疫診断システム(Ortho-Clinical Diagnostics, Inc., Raritan, NJ)によって計測される。結合したHRP複合体の量は存在するcTnIの濃度に正比例する。
【0049】
アッセイの手順は、以下のとおりである。1)SACウエルに、80 μLの試料、35 μLのビオチン試薬(BJ)および35 μLの共役試薬(CJ)を加える、2)10分40秒間培養する、3)SACウエルを洗浄する、4)200 μLの信号試薬を加え、光放射を測定する。
【0050】
SACウエルは、ポリスチレンのウエルをストレプトアビジンで被覆することによって作成される。簡潔に述べると、前記ポリスチレンのウエルは、まず、3.5 Mradの放射線処理し、タンパク質の吸着を最適化する。市販の活性化したエステル(ビオチン-XX-NHS, Calbiochem, Nottingham, UK)を使用して、ビオチンをBSAに化学的に結合させることにより生成した、ビオチン化したウシ血清アルブミン(B-BSA)を、前記ポリスチレンのウエル上に塗布する。ウエルの被覆は、ウエルを、B-BSA溶液と共に、10分間培養することにより行なわれる。B-BSAは、ポリスチレンの表面に物理的に吸着され、共有結合することはない。ウエルは、ストレプトアビジンを上塗りする前に洗浄される。ストレプトアビジンは、ストレプトアビジン溶液を、ビオチンで被覆した表面と共に50分間培養することにより、ウエルに塗布される。レプトアビジンとビオチンとの間の相互作用は、非共有であるが、非常に強力である(1015 L/mol)。ウエルは、乾燥、および保管する前に、再度洗浄される。
【0051】
ストレプトアビジンは、ビオチンに対して4つの結合部位を有するため、ストレプトアビジンを表面に固定後、空きの結合部位が存在する。これらの結合部位は、アッセイのビオチン化された成分と反応するのに利用することができる。
【0052】
前記共役試薬(CJ)は、以下の成分を包含する。
成分 量(g/L)
水 849.3
K2HPO4 13
KH2PO4 17
カトン(Kathon) 20
BSA 30% 100
HRP標識化mab 16A11クローン 4 mg/L
pH 6.6
【0053】
前記アッセイ、あるいは、捕捉試薬(BJ)は以下の成分を包含する。
成分 量(g/L)

K2HPO4 13
KH2PO4 17
カトン 20
ウシ血清アルブミン30% 100
EDTA(等モル2ナトリウムおよび3ナトリウム) 15 mM
コンドロイチン硫酸C 1
ビオチン化mab 24-40aa特異クローン 5.5 mg/L
ビオチン化mab 19C7 クローン 3 mg/L
pH 6.6
【0054】
前記モノクローン抗体は市販されている。HyTest, Ltd (Itainen Pitkakatu 4C, Pharma City, Torku, Finland 20520)は、アミノ酸41〜49を含むトロポニンIの領域に対して特異性を持つ、マウスモノクローン抗体クローン19C7の供給業者である。本Mabは、以下に述べるように、ビオチン化される。HyTestは、また、アミノ酸87〜91を含むトロポニンIの領域に対して特異性を持つ、マウスモノクローン抗体クローン16A11の供給業者でもある。本Mabは、以下に述べるように、HRPで標識化される。Strategic BioSolutions(111 Pencader Dr., Newark, Delaware, USA 19702)は、アミノ酸24〜40を含むトロポニンIの領域に対して特異性を持つ、マウスモノクローン抗体クローンの供給業者である。本Mabは、以下のとおりビオチン化される。
【0055】
前記ビオチン化の手順は、以下を含む。前記19C7クローンおよびStrategic BioSolutionsのアミノ酸24-40に向けられたクローン(Strategic BioSolutions 24-40 directed clone)を、周知の領域特異化学を用いて、別個に、ビオチンに共役させる。
【0056】
前記HRP標識化の手順は、以下を含む。前記HyTestから入手した16A11クローンを、以下の方法を用いて、HRPに共役させる。1)前記Mabを、スルホ-SMCC [スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート]と反応させることにより、マレイミド基によって活性化させる。2)前記HRPを、NHS-SATA[s-アセチルチオ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミド]と反応させることにより、チオール基によって、活性化させる。3)活性化した試薬両方を精製し、次いで、共に反応させ、16A11-HRPを生成する。生成された16A11-HRPを、次いで、精製する。
【0057】
本発明の特定の実施形態を示したが、当然のことながら、特に前述の教示の観点から、当業者による変更が可能なため、本発明は、それらの実施形態に限定されることはないことが理解されるであろう。本発明の、上記の開示範囲内で、本発明の精神から逸脱することなく、妥当な改変および変更が可能である。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) イムノアッセイ試薬において、
希釈剤中の検体結合剤と、
検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンと、
を含む、イムノアッセイ試薬イムノアッセイ。
(2) 実施態様1に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、イムノアッセイ試薬。
(3) 実施態様2に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記コンドロイチン硫酸は、およそ0.25 mg/mL〜およそ4 mg/mLの量で存在する、イムノアッセイ試薬。
(4) 実施態様2に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記コンドロイチン硫酸は、およそ1 mg/mLの量で存在する、イムノアッセイ試薬。
(5) 実施態様1に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記検体結合剤は、抗体である、イムノアッセイ試薬。
(6) 実施態様1に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記検体は、トロポニンIである、イムノアッセイ試薬。
(7) 試料組成物において、
検体の存在についてアッセイされるべき試料と、
検体結合剤と、
前記検体のための前記試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量の、ヘパリン以外のグリコサミノグリカンと、
を含む、試料組成物。
(8) 実施態様7に記載の試料組成物において、
前記試料は、血清試料である、試料組成物。
(9) 実施態様7に記載の試料組成物において、
前記試料は、エチレンジアミン4酢酸を含む、血漿試料である、試料組成物。
(10) 実施態様7に記載の試料組成物において、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、試料組成物。
(11) 実施態様7に記載の試料組成物において、
前記検体結合剤は、抗体である、試料組成物。
(12) 実施態様7に記載の試料組成物において、
前記検体は、トロポニンIである、試料組成物。
(13) 試料中の検体を検出する方法において、前記方法は、
検体の存在についてアッセイされるべき試料を、グリコサミノグリカン、および、検体結合剤と混合して、前記試料中に存在する任意の検体と前記検体結合剤との複合体を形成することであって、前記方法において、前記グリコサミノグリカンが非特異結合を減少させる、ことと、
前記検体を検出するために、結果として得られた前記複合体を検出することと、
を含む、方法。
(14) 実施態様13に記載の方法において、
前記試料は、前記グリコサミノグリカンと混合され、結果として得られた試料は、次いで、前記検体結合剤と混合される、方法。
(15) 実施態様13に記載の方法において、
前記試料は、前記検体結合剤と混合され、結果として得られた試料は、次いで、前記グリコサミノグリカンと混合される、方法。
(16) 実施態様13に記載の方法において、
前記検体結合剤は、希釈剤中の前記検体結合剤、および前記グリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬として提供され、
前記イムノアッセイ試薬は、前記試料と混合される、方法。
(17) 実施態様13に記載の方法において、
前記検体は、トロポニンIである、方法。
(18) 実施態様17に記載の方法において、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、変異TropI試料に種々の糖を投入した際の、TropIアッセイの結果を示す。
【図2】図2は、EDTAの存在下、または、EDTAが存在しない状態で、BJ試薬が、0、1、2、および4 mg/mLの濃度のコンドロイチン硫酸と共に調製された際の、TropIアッセイの結果を示す。
【図3】図3は、0.5 mg/mL のCSCをBJ試薬に加えた場合と、加えなかった場合の、TropIアッセイの結果を示す。
【図4】図4は、BJ試薬が、種々のコンドロイチン硫酸異性体と共に調製された際のTropIアッセイの結果を、キットロット(Kit Lot)(コンドロイチン硫酸を含有しない)と比較して示す。
【図5】図5は、心臓トロポニンIアッセイの原理を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノアッセイ試薬において、
希釈剤中の検体結合剤と、
検体のための試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量のグリコサミノグリカンと、
を含む、イムノアッセイ試薬。
【請求項2】
請求項1に記載のイムノアッセイ試薬において 前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、イムノアッセイ試薬。
【請求項3】
請求項2に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記コンドロイチン硫酸は、およそ0.25 mg/mL〜およそ4 mg/mLの量で存在する、イムノアッセイ試薬。
【請求項4】
請求項2に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記コンドロイチン硫酸は、およそ1 mg/mLの量で存在する、イムノアッセイ試薬。
【請求項5】
請求項1に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記検体結合剤は、抗体である、イムノアッセイ試薬。
【請求項6】
請求項1に記載のイムノアッセイ試薬において、
前記検体は、トロポニンIである、イムノアッセイ試薬。
【請求項7】
試料組成物において、
検体の存在についてアッセイされるべき試料と、
検体結合剤と、
前記検体のための前記試料のアッセイにおける非特異結合を減少させるのに十分な量の、ヘパリン以外のグリコサミノグリカンと、
を含む、試料組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の試料組成物において、
前記試料は、血清試料である、試料組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の試料組成物において、
前記試料は、エチレンジアミン4酢酸を含む、血漿試料である、試料組成物。
【請求項10】
請求項7に記載の試料組成物において、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、試料組成物。
【請求項11】
請求項7に記載の試料組成物において、
前記検体結合剤は、抗体である、試料組成物。
【請求項12】
請求項7に記載の試料組成物において、
前記検体は、トロポニンIである、試料組成物。
【請求項13】
試料中の検体を検出する方法において、前記方法は、
検体の存在についてアッセイされるべき試料を、グリコサミノグリカン、および、検体結合剤と混合して、前記試料中に存在する任意の検体と前記検体結合剤との複合体を形成することであって、前記方法において、前記グリコサミノグリカンが非特異結合を減少させる、ことと、
前記検体を検出するために、結果として得られた前記複合体を検出することと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記試料は、前記グリコサミノグリカンと混合され、結果として得られた試料は、次いで、前記検体結合剤と混合される、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記試料は、前記検体結合剤と混合され、結果として得られた試料は、次いで、前記グリコサミノグリカンと混合される、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記検体結合剤は、希釈剤中の前記検体結合剤、および前記グリコサミノグリカンを含むイムノアッセイ試薬として提供され、
前記イムノアッセイ試薬は、前記試料と混合される、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、 前記検体は、トロポニンIである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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