説明

イメージセンサモジュール

【課題】 剛性が不当に低下することを回避しつつ薄型化を図ることが可能なイメージセンサモジュールを提供すること。
【解決手段】 イメージセンサモジュール101は、光源ユニット200と、読み取り対象物890によって反射された線状光を副走査方向yに反射する反射面311と、反射面311によって反射された光を透過させるレンズユニット400と、レンズユニット400を透過した光を厚さ方向zに反射する反射面312と、反射面312によって反射された光を受光するセンサIC500と、反射面311,312が固定されており、かつ金属からなるケース700と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばドキュメントスキャナに用いられるイメージセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来のイメージセンサモジュールの一例を示している。同図に示されたイメージセンサモジュール900は、副走査方向yに搬送される読み取り対象物890の記載内容を画像データとして読み取るためのものである。イメージセンサモジュール900は、ケース91、基板92、LEDモジュール93、導光体94、レンズユニット95、センサIC96、および透過板97を備えている。ケース91は、副走査方向yおよび厚さ方向zに対して直角である主走査方向に延びる細長状である。基板92は、上記主走査方向に延びる長矩形状であり、ケース91に嵌め込まれている。LEDモジュール93は、複数のLEDチップ93aを有しており、ケース91の主走査方向一端寄りに配置されている。
【0003】
導光体94は、LEDモジュール93からの光を読み取り対象物890に向けて出射するためのものであり、透明樹脂からなる。導光体94は、主走査方向に延びる細長状とされており、入射面(図示略)、反射面94a、および出射面94bを有している。上記入射面は、導光体94の主走査方向一端面であり、LEDチップ93aと正対している。反射面94aは、上記入射面から向かってきた光を反射するための面である。出射面94bは、主走査方向に延びる細長状であり、導光体94内を進行してきた光を主走査方向に延びる線状光として読み取り対象物890へと出射するための面である。導光体94から出射された光は透過板97を透して読み取り対象物890に照射され、読み取り対象物890によって反射される。この反射光は、レンズユニット95によってセンサIC96へと集光される。センサIC96は、受けた光の光量に応じた信号を出力可能に構成されている。センサIC96からの光を図外のメモリに蓄えることにより、読み取り対象物890の記載内容を画像として読み取ることができる。
【0004】
読み取り対象物890に折り目やしわがあると、読み取り対象物890が透過板97から浮き上がりやすくなる。このような状態において読み取り対象物890の記載内容をセンサIC96に鮮明に結像させるには、読み取り対象物890からセンサIC96に至る光路を長くすることが有利である。しかしながら、光路延長を目的としてセンサIC96を下方に移動させると、イメージセンサモジュール900の厚さ方向z寸法が大きくなってしまう。このようなことでは、イメージセンサモジュール900が用いられるたとえばドキュメントスキャナにイメージセンサモジュール900を適切に収容することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−300536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、剛性が不当に低下することを回避しつつ薄型化を図ることが可能なイメージセンサモジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるイメージセンサモジュールは、主走査方向に長く延びる線状光を出射する光源ユニットと、読み取り対象物によって反射された上記線状光を副走査方向に反射する第1反射面と、上記第1反射面によって反射された光を透過させるレンズユニットと、上記レンズユニットを透過した光を主走査方向および副走査方向のいずれに対しても直角である厚さ方向に反射する第2反射面と、上記第2反射面によって反射された光を受光するセンサICと、上記第1および第2反射面が固定されており、かつ金属からなるケースと、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、いずれもが上記ケースに対して固定された、上記第1反射面を有する第1ミラー、および上記第2反射面を有する第2ミラーを備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1反射面および上記第2反射面が、上記ケースの表面の一部ずつによって構成されている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記第1反射面が固定された第1パーツ、および上記第2反射面が固定された第2パーツからなる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1および第2パーツは、主走査方向両端に設けられて上記厚さ方向視において互いに重なり合う係合部をそれぞれ有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズユニットの光軸が、副走査方向に対して平行であり、かつ主走査方向に対して直角である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1反射面は、副走査方向に対して45°傾いている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2反射面は、副走査方向に対して45°傾いている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズユニットは、副走査方向両端に位置する入射側端面および出射側端面を有しており、上記第1パーツは、上記レンズユニットの上記出射側端面に当接する第1当接面を有しており、上記第2パーツは、上記レンズユニットの上記入射側端面に当接する第2当接面を有する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1当接面は、上記レンズユニットの上記出射側端面のうち上記厚さ方向において上記センサIC寄りの部分に当接している。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2当接面は、上記レンズユニットの上記入射側端面のうち上記厚さ方向において上記読み取り対象物寄りの部分に当接している。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズユニットは、上記厚さ方向両端に位置しており、上記センサIC側にある第1側面および上記読み取り対象物側にある第2側面、を有しており、上記第1パーツは、上記レンズユニットの上記第1側面に当接する第3当接面を有しており、上記第2パーツは、上記レンズユニットの上記第2側面に当接する第4当接面を有している。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズユニットの光軸位置は、上記第1反射面の上記厚さ方向中央よりも上記読み取り対象物側にある部分と交差する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズユニットの光軸位置は、上記第2反射面の上記厚さ方向中央よりも上記読み取り対象物側にある部分と交差する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記光源ユニット、上記第1反射面、上記レンズユニット、および上記第2反射面は、上記厚さ方向において互いに重なっている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記センサICが搭載された基板を備えており、上記光源ユニットは、1以上のLEDチップ、上記LEDチップが搭載された1以上のリード、上記リードの一部を覆い、かつ、上記LEDチップを露出させる開口部が形成された樹脂パッケージ、上記リードに導通する端子部、を有するLEDモジュールと、全体として主走査方向に長く延びており、上記開口部に正対する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面から進行してきた光を主走査方向に長く延びる線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を備えており、上記端子部は、上記開口部に対して副走査方向において退避した位置から、上記厚さ方向に向かって上記樹脂パッケージから突出するとともに、上記基板に接続されている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板と上記導光体の少なくとも一部とは、副走査方向において重ならない配置とされている。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、アルミからなる。
【0025】
このような構成によれば、上記読み取り対象物から上記センサICに至る光路が屈曲している。このため、上記光路を長くしても、上記イメージセンサモジュールの上記厚さ方向寸法が拡大することを回避することができる。また、上記ケースを金属によって形成することにより、上記ケースの剛性を高めることができる。さらに、上記第1および第2反射面は、上記ケースに固定されているため、不当にねじれたりするおそれが少ない。したがって、上記ケースの剛性低下を回避しつつ、上記イメージセンサモジュールの上記厚さ方向における薄型化を図ることができる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくイメージセンサモジュールを示す平面図である。
【図2】図1のイメージセンサモジュールを示す要部平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1のイメージセンサモジュールを示す側面図である。
【図6】図1のイメージセンサモジュールを示す分解断面図である。
【図7】図1のイメージセンサモジュールに用いられる光源ユニットのLEDモジュールを示す正面図である。
【図8】図1のイメージセンサモジュールに用いられる光源ユニットのLEDモジュールを示す側面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿う光源ユニットの断面図である。
【図10】図7のX−X線に沿う光源ユニットの断面図である。
【図11】図7のLEDモジュールの開口部を示す要部拡大正面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う要部断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に基づくイメージセンサモジュールを示す断面図である。
【図14】従来のイメージセンサモジュールの一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1〜図6は、本発明の第1実施形態に基づくイメージセンサモジュールの一例を示している。本実施形態のイメージセンサモジュール101は、光源ユニット200、ミラー301,302、レンズユニット400、センサIC500、基板600、ケース700、および透過板800を備えている。イメージセンサモジュール101は、たとえば読み取り対象物890に印刷された文字や図柄を光学的に読み取ることにより、これらの文字や図柄を含む電子データを生成するドキュメントスキャナに用いられる。なお、図2においては、理解の便宜上透過板800を省略している。
【0030】
ケース700は、イメージセンサモジュール101の外形を構成し、その他の構成要素を収容している。図1および図2に示すように、ケース700は、主走査方向xに長く延びており、副走査方向yおよび厚さ方向zによって規定される断面形状が、概略矩形状とされている。ケース700は、金属からなり、好ましくはアルミが用いられる。
【0031】
図3〜図6に示すように、ケース700は、第1パーツ710および第2パーツ720からなる。第1パーツ710および第2パーツ720は、互いに組み合わされることにより、ケース700を構成している。図5に示すように、第1パーツ710には、係合部715が形成されており、第2パーツ720には、係合部725が形成されている。係合部715および725は、副走査方向yにおいて(厚さ方向z視において)互いに重なり合うように係合している。
【0032】
ケース700は、基板収容部741、導光体収容部742、および端子用貫通孔744を有する。端子用貫通孔744は、ケース700の主走査方向x一端寄りに形成されており、図4に示すように、ケース700を厚さ方向zに貫通している。
【0033】
図2および図3に示すように、導光体収容部742は、主走査方向xに長く延びており、副走査方向y一端寄りに配置されている。導光体収容部742は、断面略矩形状であり、厚さ方向z上方に開口している。基板収容部741は、主走査方向xに長く延びており、図3および図4に示すように、厚さ方向z下方に開口している。
【0034】
図3に示すように、第1パーツ710には、第1当接面711および第3当接面712が形成されている。第1当接面711は、第1パーツ710の図中副走査方向y右端付近に設けられており、副走査方向y左方を向く比較的小面積の面である。第3当接面712は、第1当接面711の厚さ方向z下端に繋がっており、厚さ方向z上方を向く面である。
【0035】
図3に示すように、第2パーツ720には、第2当接面721および第4当接面722が形成されている。第2当接面721は、第2パーツ720の図中副走査方向y左端付近に設けられており、副走査方向y右方を向く比較的小面積の面である。第4当接面722は、第2当接面721の厚さ方向z上端に繋がっており、厚さ方向z下方を向く面である。
【0036】
基板600は、たとえばセラミックス、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料と、この絶縁材料上に形成された配線パターン(図示略)からなり、主走査方向xに長く延びる長矩形状とされている。基板600は、ケース700の基板収容部741に収容されており、ケース700に対してたとえば接着剤によって固定されている。図3および図4に示すように、基板600には、センサIC500が搭載されている。また、基板600には、コネクタ610が搭載されている。
【0037】
透過板800は、たとえばガラスなどの透明な材質からなる板材であり、ケース700の厚さ方向z上側を覆うように取り付けられている。
【0038】
光源ユニット200は、イメージセンサモジュール101による画像読み取りに必要な線状光を発するユニットであり、LEDモジュール210、導光体280、およびリフレクタ285を具備している。
【0039】
LEDモジュール210は、光源ユニット200の発光機能を果たすモジュールであり、図7および図8に示すように、LEDチップ221,222,223、ツェナーダイオード224,225、リード241,242,243,244、端子部255、および樹脂パッケージ270を有する。
【0040】
樹脂パッケージ270は、たとえば液晶ポリマ樹脂またはエポキシ樹脂などの白色樹脂からなり、リード241,242,243,244の一部ずつを覆っている。樹脂パッケージ270は、開口部271および複数の位置決め孔272を有している。開口部271は、副走査方向y一端寄りに設けられており、断面円形状である。複数の位置決め孔272は、リード241,242,243,244を避けた位置に設けられており、本実施形態においては、樹脂パッケージ270を貫通している。
【0041】
図7および図11に示すように、リード241は、搭載部251を有している。リード241は、全体として、副走査方向yに長く延びる部分と、厚さ方向zに延びる部分とを有している。搭載部251は、副走査方向yに長く延びる部分の図中左方寄りに設けられており、LEDチップ221,222,223およびツェナーダイオード224,225が搭載されている。本実施形態においては、リード241は、搭載部251がその周囲部位よりも厚さ方向z寸法が部分的に小であるくびれた形状となっている。搭載部251は、樹脂パッケージ270の開口部271から露出している。
【0042】
リード242は、ワイヤボンディング部252を有している。リード242は、全体として、副走査方向yに長く延びる部分と、厚さ方向zに延びる部分とを有している。ワイヤボンディング部252は、副走査方向yに長く延びる部分の図中左端付近に設けられている。本実施形態においては、ワイヤボンディング部252は、リード241の搭載部251に向かって、厚さ方向z下方に突出している。ワイヤボンディング部252は、樹脂パッケージ270の開口部271から露出している。
【0043】
リード243は、ワイヤボンディング部253を有している。リード243は、全体として、副走査方向yに延びる部分と、厚さ方向zに延びる部分とを有している。ワイヤボンディング部253は、副走査方向yに長く延びる部分の図中左端付近に設けられている。本実施形態においては、ワイヤボンディング部253は、リード241の搭載部251に向かって、厚さ方向z上方に突出している。ワイヤボンディング部253は、樹脂パッケージ270の開口部271から露出している。
【0044】
リード244は、ワイヤボンディング部254を有している。リード244は、全体として、副走査方向yに延びる部分と、厚さ方向zに延びる部分とを有している。ワイヤボンディング部254は、副走査方向yに長く延びる部分の図中左端付近に設けられている。本実施形態においては、ワイヤボンディング部254は、搭載部251の図中右下、ワイヤボンディング部253の図中右側に位置している。ワイヤボンディング部254は、樹脂パッケージ270の開口部271から露出している。
【0045】
端子部255は、リード241,242,243,244のうち、樹脂パッケージ270から厚さ方向z下方に露出した部分に取り付けられており、これらと各別に導通する内部配線(図示略)を有するたとえばフレキシブル配線基板からなる。端子部255は、基板600のコネクタ610に接続される。
【0046】
LEDチップ221は、本実施形態においては、緑色光を発する。図11および図12に示すように、LEDチップ221は、サブマウント基板221a、半導体層221b、1対の表面電極231を有している。サブマウント基板221aは、たとえばSiからなり、透明である。半導体層221bは、たとえばGaN系半導体からなり、n型半導体層、p型半導体層、およびこれらのn型半導体層およびp型半導体層に挟まれた活性層(いずれも図示略)からなる。1対の表面電極231は、サブマウント基板221a上に形成されており、上記n型半導体層およびp型半導体層に導通している。
【0047】
LEDチップ222は、本実施形態においては、青色光を発する。なお、図12においては、理解の便宜上、LEDチップ221の構成要素のそれぞれに対応するLEDチップ222の構成要素の符号をカッコ内に記している。LEDチップ222は、サブマウント基板222a、半導体層222b、1対の表面電極232を有している。サブマウント基板222aは、たとえばSiからなり、透明である。半導体層222bは、たとえばGaN系半導体からなり、n型半導体層、p型半導体層、およびこれらのn型半導体層およびp型半導体層に挟まれた活性層(いずれも図示略)からなる。1対の表面電極232は、サブマウント基板222a上に形成されており、上記n型半導体層およびp型半導体層に導通している。
【0048】
LEDチップ223は、本実施形態においては、赤色光を発する。図11および図12に示すように、LEDチップ223は、たとえばGaAs系半導体材料からなる半導体層と、表面電極233および裏面電極234を有している。上記半導体層は、n型半導体層、p型半導体層、およびこれらのn型半導体層およびp型半導体層に挟まれた活性層(いずれも図示略)からなる。表面電極233は、LEDチップ223の厚さ方向z上側に設けられている。裏面電極234は、LEDチップ223の厚さ方向z下側に設けられている。
【0049】
ツェナーダイオード224は、LEDチップ221に過大な電圧が印加されることを防止するための素子である。ツェナーダイオード224は、表面電極235および裏面電極236を有する。ツェナーダイオード225は、LEDチップ222に過大な電圧が印加されることを防止するための素子である。ツェナーダイオード225は、表面電極237および裏面電極238を有する。
【0050】
LEDチップ221,222は、厚さ方向zに並べられており、絶縁層262を介してリード241の搭載部251に搭載されている。絶縁層262は、本実施形態においては透明であり、たとえば透明な樹脂からなる。ツェナーダイオード224,225は、互いに厚さ方向zに並べられており、LEDチップ221,222に対して副走査方向y右側に配置されている。LEDチップ223は、ツェナーダイオード224,225を挟んでLEDチップ221,222とは副走査方向yにおいて反対側に配置されている。LEDチップ223とツェナーダイオード224,225とは、導電層261を介してリード241の搭載部251に搭載されている。より詳しくは、LEDチップ223の裏面電極234とツェナーダイオード224,225の裏面電極236,238が、導電層261を介してリード241と導通している。導電層261は、たとえばAgからなる。
【0051】
LEDチップ221,222,223、およびツェナーダイオード224,225の搭載工程は、以下の順序で行われる。まず、リード241の搭載部251に、導電層261の材料となる導電性ペーストを塗布する。そして、LEDチップ223およびツェナーダイオード224,225をボンディングする。上記導電性ペーストをたとえば焼成することにより硬化させると、導電層261が得られる。次いで、搭載部251に絶縁層262の材料となる樹脂ペーストを塗布する。そして、LEDチップ221,222をボンディングする。上記樹脂ペーストを硬化させることにより、絶縁層262が得られる。
【0052】
上記工程の順序によると、導電層261が形成された後に絶縁層262が形成される。このため、上記導電性ペーストの塗布範囲と上記樹脂ペーストの塗布範囲とが重なっていると、絶縁層262の一部とリード241の搭載部251との間に導電層261が介在することとなる。図11および図12には、このような塗布関係となった場合の導電層261および絶縁層262が示されている。両者の塗布範囲によって、導電層261と絶縁層262とが重ならない構成となってもよい。ただし、上記工程の順序によれば、導電層261とリード241の搭載部251との間に絶縁層262が介在する構成となることはない。
【0053】
LEDチップ221の1対の表面電極231は、一方がワイヤ265によってリード241の搭載部251に接続されており、他方がワイヤ265によってリード242のワイヤボンディング部252に接続されている。LEDチップ222の1対の表面電極232は、一方がワイヤ265によってリード241の搭載部251に接続されており、他方がワイヤ265によってリード243のワイヤボンディング部253に接続されている。
【0054】
LEDチップ223の表面電極233は、ワイヤ265によってリード244のワイヤボンディング部254に接続されている。ツェナーダイオード224の表面電極235は、ワイヤ265によってリード242のワイヤボンディング部252に接続されており、ツェナーダイオード225の表面電極237は、ワイヤ265によってリード243のワイヤボンディング部253に接続されている。
【0055】
導光体280は、LEDモジュール210からの光を主走査方向xに延びる線状光に変換するためのものであり、たとえばPMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの透明なアクリル樹脂からなる。導光体280は、主走査方向xに長く延びる柱状であり、図3および図10に示すように、入射面281、反射面282、および出射面283を有している。
【0056】
入射面281は、導光体280の主走査方向x端面であり、LEDモジュール210の樹脂パッケージ270の開口部271を塞いでおり、LEDチップ221,222,223と正対している。反射面282は、主走査方向xに細長く延びる面であり、図3における導光体280の左下部分に形成されている。反射面282は、入射面281から入射した後に導光体280内を進行してきた光を反射する面である。反射面282の構成としては、微細な凹凸が形成された面、白色塗料が塗布された面、などが挙げられる。出射面283は、主走査方向xに細長く延びる面であり、本実施形態においては、断面部分円弧状とされている。反射面282によって反射された光は、出射面283から主走査方向xに延びる線状光として出射される。
【0057】
リフレクタ285は、導光体280をLEDモジュール210に対して位置決めする機能と、導光体280から不当に光が漏れてしまうことを防止する機能とを果たすものであり、たとえば白色樹脂からなる。リフレクタ285は、基部286および半筒状部287を有する。基部286は、主走査方向x視において、LEDモジュール210の樹脂パッケージ270と似たサイズおよび形状とされた矩形板状の部位である。基部286には、複数の突起288が形成されている。図9に示すように、各突起288は、LEDモジュール210の樹脂パッケージ270の位置決め孔272に嵌合されている。これにより、リフレクタ285は、LEDモジュール210に対して位置決めされている。
【0058】
半筒状部287は、主走査方向xに長く延びる半筒状の部位であり、図3に示すように導光体280を収容している。リフレクタ285のうち導光体280の反射面282に正対する部分は、反射面282から出射した光を再び導光体280へと戻す機能を果たしている。半筒状部287によって導光体280を収容することにより、導光体280はリフレクタ285に固定されている。したがって、導光体280は、リフレクタ285とともにLEDモジュール210に対して位置決めされている。
【0059】
LEDチップ221,222,223および導光体280は、副走査方向yにおいて、端子部255から左方に退避した位置に配置されている。基板600は、副走査方向y寸法が、端子部255と接続可能な程度とされており、過大な余裕スペースは与えられていない。このため、LEDチップ221,222,223および導光体280は、基板600に対して副走査方向y左方に退避した位置にある。本実施形態においては、導光体280と基板600とが副走査方向yにおいて全く重ならない構成とされているが、本発明はこれに限定されず、導光体280と基板600との一部ずつが副走査方向yにおいて重なる構成であってもよい。
【0060】
ミラー301は、本発明でいう第1ミラーに相当し、主走査方向xに長く延びる形状とされている。図3に示すように、ミラー301は、反射面311を有している。反射面311は、本発明でいう第1反射面に相当し、光源ユニット200から発せられたのちに読み取り対象物890によって反射された光を副走査方向yに向けて反射する。本実施形態においては、反射面311は、副走査方向yおよび厚さ方向zに対して45°傾いている。ミラー301は、ケース700の第1パーツ710に対して、たとえば接着剤によって固定されている。
【0061】
レンズユニット400は、ミラー301の反射面311によって反射された後に副走査方向yに沿って進行してきた光を透過させるものであり、複数のロッドレンズとこれらのロッドレンズを収容するたとえば樹脂製のケースからなる。これらのロッドレンズは、読み取り対象物890に記載された像をセンサIC500に正立等倍に結像させる構成とされており、その光軸が副走査方向yに沿っており、主走査方向xに対して直角である。
【0062】
レンズユニット400は、入射側端面411、出射側端面412、第1側面421、および第2側面422を有している。入射側端面411は、レンズユニット400の副走査方向y入射側に位置している。入射側端面411の厚さ方向z上方側部分は、ケース700の第2パーツ720の第2当接面721に当接している。出射側端面412は、レンズユニット400の副走査方向y出射側に位置している。出射側端面412の厚さ方向z下方側部分は、ケース700の第1パーツ710の第1当接面711に当接している。これにより、第1パーツ710と第2パーツ720との副走査方向yにおける位置関係は、レンズユニット400を介して決定されている。第1側面421は、厚さ方向z下側を向く面であり、ケース700の第1パーツ710の第3当接面712と当接している。第2側面422は、厚さ方向z上方を向く面であり、ケース700の第2パーツ720の第4当接面722と当接している。
【0063】
ミラー302は、本発明でいう第2ミラーに相当し、主走査方向xに長く延びる形状とされている。ミラー302は、反射面312を有している。反射面312は、本発明でいう第2反射面に相当し、レンズユニット400を透過した光を厚さ方向zに向けて反射する。本実施形態においては、反射面312は、副走査方向yおよび厚さ方向zに対して45°傾いている。ミラー302は、ケース700の第2パーツ720に対して、たとえば接着剤によって固定されている。
【0064】
レンズユニット400の光軸は、副走査方向yに沿っており、ミラー301,302の反射面311,312と交差している。レンズユニット400の光軸とミラー301の反射面311との交差位置は、反射面311の厚さ方向z中央よりも上側にある。また、レンズユニット400の光軸とミラー302の反射面312との交差位置は、反射面312の厚さ方向z中央よりも上側にある。
【0065】
センサIC500は、受けた光を電気信号に変換する光電変換機能を具備する素子であり、基板600に搭載されている。センサIC500は、主走査方向xに配列された複数の受光面(図示略)を有している。この受光面には、レンズユニット400によって読み取り対象物890によって反射された光が結像される。
【0066】
図6は、イメージセンサモジュール101の組み立て工程を示している。第1パーツ710および第2パーツ720は、それぞれ別々にたとえば鋳造によって形成される。第1パーツ710にミラー301を取り付け、第2パーツ720にミラー302を取り付ける。そして、第1パーツ710と第2パーツ720とによってレンズユニット400を挟むようにして、第1パーツ710と第2パーツ720とを組み合わせる。この際、光源ユニット200も組み込む。次いで、基板600のコネクタ610に光源ユニット200の端子部255を嵌めこむ。そして、基板600をケース700の基板収容部741に固定する。また、透過板800をケース700に取り付ける。このようにして、イメージセンサモジュール101を組み立てることができる。
【0067】
次に、イメージセンサモジュール101の作用について説明する。
【0068】
本実施形態によれば、図3に示すように、読み取り対象物890からセンサIC500に至る光路が屈曲しており、レンズユニット400を透過する部分は、副走査方向yに平行である。このため、上記光路を長くしても、イメージセンサモジュール101の厚さ方向z寸法が拡大することを回避することができる。また、ケース700をアルミに代表される金属によって形成することにより、ケース700の剛性を高めることができる。さらに、ミラー301,302は、ケース700に固定されているため、不当にねじれたりするおそれが少ない。したがって、ケース700の剛性低下を回避しつつ、イメージセンサモジュール101の厚さ方向zにおける薄型化を図ることができる。
【0069】
ケース700を、第1および第2パーツ710,720からなる分割構造とすることにより、ミラー301,302やレンズユニット400などのケース700への取り付けを容易とすることができる。
【0070】
第1パーツ710の第1当接面711と第2パーツ720の第2当接面721とによってレンズユニット400を副走査方向yにおいて挟む構造とすることにより、レンズユニット400の副走査方向y寸法が多少の誤差を含んでいても、読み取り対象物890からセンサIC500に至る光路の長さはほぼ一定となる。正立等倍に結像するレンズユニット400は、一般的に被写体から結像される箇所までの距離が一定となるように設計されるため、その全長に多少のばらつきがあっても、上記光路の長さはほぼ一定である。したがって、イメージセンサモジュール101によれば、レンズユニット400を光学的に好ましい配置とすることができる。光源ユニット200の端子部255は、可撓性に富むフレキシブル配線基板からなる。このため、レンズユニット400のばらつきによって第1パーツ710と第2パーツ720との相対位置が若干異なっても、LEDモジュール210の樹脂パッケージ270と基板600との間のズレを端子部255が吸収しうる。
【0071】
第1パーツ710の第3当接面712と第2パーツの第4当接面722とによってレンズユニット400を厚さ方向zにおいて挟むことにより、第1および第2パーツ710,720の厚さ方向zにおける位置決めを正確に行うことができる。
【0072】
レンズユニット400の光軸とミラー301,302の反射面311,312との交差位置が、反射面311,312の厚さ方向z中央よりも上側にあることにより、ミラー301,302に対してレンズユニット400を相対的に厚さ方向z上側に配置することができる。これにより、ミラー302およびレンズユニット400の厚さ方向z下方に配置されるセンサIC500のためのスペースをより大きく確保することができる。センサIC500は、基板600との接続に複数のワイヤが用いられることが多い。上記スペースが大きいほど、このワイヤとケース700との干渉を回避するのに都合がよい。
導光体280、ミラー301、レンズユニット400、およびミラー302が副走査方向yに並べられた配置とすることは、イメージセンサモジュール101の薄型化に有利である。基板600の幅を副走査方向yにおいて導光体280やLEDチップ221,222,223と重ならない程度の大きさとすることは、基板600に無駄な領域が生じることを回避するのに適しており、コスト低減を図ることができる。
【0073】
図13は、本発明の第2実施形態に基づくイメージセンサモジュールを示している。本実施形態のイメージセンサモジュール102は、ミラー301,302を備えない点が、上述した実施形態と異なっている。なお、上述した実施形態と同様の要素については、同じ符号を付するとともに、その説明を省略する。
【0074】
本実施形態においては、反射面311は、ケース700の第1パーツ710の表面の一部によって構成されており、反射面312は、ケース700の第2パーツ720の表面の一部によって構成されている。具体的には、第1パーツ710および第2パーツ720の表面の一部ずつに対して鏡面研磨処理を施すことにより、反射面311,312が形成されている。
【0075】
このような構成によっても、イメージセンサモジュール102の薄型化と高剛性化とを図ることができる。また、反射面311,312をケース700の表面の一部によって構成することにより、反射面311,312の歪みをより確実に防止することができる。
【0076】
本発明に係るイメージセンサモジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るイメージセンサモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0077】
x 主走査方向
y 副走査方向
z 厚さ方向
101,102 イメージセンサモジュール
200 光源ユニット
210 LEDモジュール
221,222,223 LEDチップ
224,225 ツェナーダイオード
231,232,233 表面電極
234 裏面電極
235,237 表面電極
236,238 裏面電極
241,242,243,244 リード
251 搭載部
252,253,254 ワイヤボンディング部
255 端子部
261 導電層
262 絶縁層
265 ワイヤ
270 樹脂パッケージ
271 開口部
272 位置決め孔
280 導光体
281 入射面
282 反射面
283 出射面
285 リフレクタ
286 基部
287 半筒状部
288 突起
301 (第1)ミラー
311 (第1)反射面
321 (第1)端面
302 (第2)ミラー
312 (第2)反射面
322 (第2)端面
400 レンズユニット
411 入射側端面
412 出射側端面
421 第1側面
422 第2側面
500 センサIC
600 基板
610 コネクタ
700 ケース
710 第1パーツ
711 第1当接面
712 第3当接面
715 係合部
720 第2パーツ
721 第2当接面
722 第4当接面
725 係合部
741 基板収容部
742 導光体収容部
744 端子用貫通孔
800 透過板
890 読み取り対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に長く延びる線状光を出射する光源ユニットと、
読み取り対象物によって反射された上記線状光を副走査方向に反射する第1反射面と、
上記第1反射面によって反射された光を透過させるレンズユニットと、
上記レンズユニットを透過した光を主走査方向および副走査方向のいずれに対しても直角である厚さ方向に反射する第2反射面と、
上記第2反射面によって反射された光を受光するセンサICと、
上記第1および第2反射面が固定されており、かつ金属からなるケースと、
を備えることを特徴とする、イメージセンサモジュール。
【請求項2】
いずれもが上記ケースに対して固定された、上記第1反射面を有する第1ミラー、および上記第2反射面を有する第2ミラーを備える、請求項1に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項3】
上記第1反射面および上記第2反射面が、上記ケースの表面の一部ずつによって構成されている、
請求項1に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項4】
上記ケースは、上記第1反射面が固定された第1パーツ、および上記第2反射面が固定された第2パーツからなる、請求項1ないし3のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項5】
上記第1および第2パーツは、主走査方向両端に設けられて上記厚さ方向視において互いに重なり合う係合部をそれぞれ有する、請求項4に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項6】
上記レンズユニットの光軸が、副走査方向に対して平行であり、かつ主走査方向に対して直角である、請求項5に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項7】
上記第1反射面は、副走査方向に対して45°傾いている、請求項6に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項8】
上記第2反射面は、副走査方向に対して45°傾いている、請求項6または7に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項9】
上記レンズユニットは、副走査方向両端に位置する入射側端面および出射側端面を有しており、
上記第1パーツは、上記レンズユニットの上記出射側端面に当接する第1当接面を有しており、
上記第2パーツは、上記レンズユニットの上記入射側端面に当接する第2当接面を有する、請求項6ないし8のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項10】
上記第1当接面は、上記レンズユニットの上記出射側端面のうち上記厚さ方向において上記センサIC寄りの部分に当接している、請求項9に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項11】
上記第2当接面は、上記レンズユニットの上記入射側端面のうち上記厚さ方向において上記読み取り対象物寄りの部分に当接している、請求項9または10に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項12】
上記レンズユニットは、上記厚さ方向両端に位置しており、上記センサIC側にある第1側面および上記読み取り対象物側にある第2側面、を有しており、
上記第1パーツは、上記レンズユニットの上記第1側面に当接する第3当接面を有しており、
上記第2パーツは、上記レンズユニットの上記第2側面に当接する第4当接面を有している、請求項9ないし11のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項13】
上記レンズユニットの光軸位置は、上記第1反射面の上記厚さ方向中央よりも上記読み取り対象物側にある部分と交差する、請求項1ないし12のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項14】
上記レンズユニットの光軸位置は、上記第2反射面の上記厚さ方向中央よりも上記読み取り対象物側にある部分と交差する、請求項1ないし13のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項15】
上記光源ユニット、上記第1反射面、上記レンズユニット、および上記第2反射面は、上記厚さ方向において互いに重なっている、請求項1ないし14のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項16】
上記センサICが搭載された基板を備えており、
上記光源ユニットは、1以上のLEDチップ、上記LEDチップが搭載された1以上のリード、上記リードの一部を覆い、かつ、上記LEDチップを露出させる開口部が形成された樹脂パッケージ、上記リードに導通する端子部、を有するLEDモジュールと、全体として主走査方向に長く延びており、上記開口部に正対する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面から進行してきた光を主走査方向に長く延びる線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を備えており、
上記端子部は、上記開口部に対して副走査方向において退避した位置から、上記厚さ方向に向かって上記樹脂パッケージから突出するとともに、上記基板に接続されている、請求項1ないし15のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。
【請求項17】
上記基板と上記導光体の少なくとも一部とは、副走査方向において重ならない配置とされている、請求項16に記載のイメージセンサモジュール。
【請求項18】
上記ケースは、アルミからなる、請求項1ないし17のいずれかに記載のイメージセンサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−46347(P2013−46347A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184727(P2011−184727)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】