説明

イモゴライトを含有するトナー用外添剤、トナー、現像剤およびトナーの製造方法

【課題】高温高湿、低温低湿度環境のいずれの環境下において画像形成を行っても、画像むらが少なく、地汚れの少ない画像形成が可能なトナー用外添剤並びにトナーを提供する。
【解決手段】トナー用外添剤として、外径が1〜10nmであるナノチューブ状の構造を有し、長さが10〜100nmであるイモゴライトを含有していることを特徴とする。この形状および組成により、保水性を得ることが出来、かつトナーに付着しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地汚れの少なく画像むらの少ないトナー用外添剤、トナー、現像剤およびトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真用のトナーには、外添剤が含有されている。このようなトナーは、長期間周りの環境(高温多湿、低温低湿度)下に曝されても、帯電特性が変化することなく、画像むらなどの画質の変化が生じないことが好ましい。
たとえば、特許文献1には、トナー構成樹脂中に、SiO・nHOの化学式で表されるシリカゲルを含有していることを特徴とする電子写真現像剤の発明が開示されている。
しかしながらこの発明では使用されるシリカゲルに放湿作用がない為、周りの環境で湿度が低下した際に現像剤の湿度を一定に保つことができずに劣化してしまい、環境安定性の面で課題があった。
【0003】
また特許文献2には、無機フィラーがシリカ及び疎水化処理したシリカのいずれかである外添剤が用いられたトナーの発明も知られている。
この発明によってある程度湿度の変化に対応がされたが、湿度に対して完全に疎水性を保つ事は難しく、特に高温高湿環境及び低温低湿環境の間でトナーの水分量が変化して帯電特性が変わる要因になるという課題があった。
【0004】
このように、環境における水分の変化の影響を受けることのさらに少なくしうるような、さらなる工夫が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高温高湿、低温低湿度環境のいずれの環境下において画像形成を行っても、画像むらが少なく、地汚れの少ない画像形成が可能なトナー用外添剤並びにトナーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、以下の解決手段を講じた。
(1) ナノチューブのイモゴライトを有するトナー用外添剤を特徴とする。
(2) 前記(1)に記載のトナー用外添剤において、前記イモゴライトは、外径が1〜10nmであり、長さが10〜100nmであることを特徴とする。
(3) 結着樹脂と色剤とを有するトナー母体粒子と、前記(1)または(2)に記載のトナー用外添剤とを有し、前記トナー用外添剤中の前記イモゴライトの量が50重量%未満のトナーであって、外添剤の付着強度が75より大きいことを特徴とする。
(4) 前記(3)に記載のトナーにおいて、前記トナー用外添剤の前記イモゴライトの量が3重量%以上であることを特徴とする。
(5) 前記(3)または(4)に記載のトナーを含有する現像剤を特徴とする。
(6) トナー母体粒子と、前記(1)または(2)に記載のトナー用の外添剤とを、1000ナノメートル未満の大きさの水の粒子とともにシェアを加えながら攪拌させて、前記トナー母体粒子と前記トナー用の外添剤とを付着させるトナーの製造方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、高温高湿、低温低湿度環境のいずれの環境下において画像形成を行っても、画像むらが少なく、地汚れの少ない画像形成が可能なトナー用外添剤並びにトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態のトナーを製造するための微細噴霧機構を取り付けた製造装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、たとえば一成分現像用トナーに際して、以下の特徴を有する。
直径が1〜10nm、長さが10〜100nmであり、アルミとシリカからなるナノチューブ状のイモゴライトを含有させることによって、その材料の水分の吸放湿作用により、トナー表面の湿度を一定に保つ事が可能となり、環境における湿度の変化に対する帯電安定性を向上させることができる。また、水分の少ない低温低湿度環境においても帯電の安定性が図れるという特徴を有する。
また上記物質であるイモゴライトを、トナー母体粒子の表面層に均一に分散して付着させる為に、外添工程の際に乾式混合中に混合槽内で水を微細噴霧させる。これにより、トナー母体粒子表面への架橋力(付着力)が増大し、外添工程で通常行われている単純な乾式混合に比べて弱いシェアの負荷でトナー母体粒子への外添剤の付着強度を上げる事が出来る。また上記イモゴライトの微粒子の形状が損なわれないため、吸放湿作用を損なう事なく、トナー母体粒子表面に存在させる事が可能となる。
【0010】
本実施形態では、現像剤は、一成分現像装置、二成分現像装置のどちらに対しても適用可能である。特にオフィス以外の環境等でも幅広く使用される可能性のあるプリンターに多く採用されている一成分現像装置において、最も効力が発揮される現像剤として使用可能である。
【0011】
(外添剤)
本実施形態では、流動性付与の目的で実施形態のトナーに用いられる外添剤であって、1種類で使用してもよいが、他の外添剤と併用して使用するのが最も好ましい。
トナー粒子の流動性や帯電性/現像性/転写性を補助するための外添剤として好ましくは1種以上の無機微粒子が用いられる。
無機微粒子のBET法による比表面積としては、30m/g〜300m/gであることが好ましく、1次粒子径として10nm〜50nmが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリカ−アルミナ系化合物(イモゴライトを含む)、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、酸化チタン、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
外添剤の一次粒子径が10nm以下の場合はトナーへの外添剤の埋没が悪化し、画質劣化変動が大きくなり耐久により悪化する。外添剤の一次粒子径が50nm以上の場合は、トナーから外添剤の離脱が多くなり、感光体にフィルミングが発生する。
【0012】
本実施の形態における無機微粒子としては、イモゴライトを有することを特徴としている。イモゴライトは、一次元結晶であり、化学組成として、SiO・Al・2HO(OHAl・SiOH)で表すことができる。その外径は2.5nm、内径が1nm程度であるナノチューブ状の構造を有し、長さは10nm〜数μmの範囲のものである。本実施形態では、このようなイモゴライトのうち、外径が1〜10nmであり、長さが10〜100nmであるものを用いることができる。使用するイモゴライトは天然のものでもよく、また人工のものでもよい。このように本実施の形態では、外添剤としてイモゴライトが含有されている(すなわちイモゴライトが0重量%は除外される)。
【0013】
<トナー>
トナーは多数の粒子状のトナー母体粒子と、外添剤とを有して構成される。トナー母体粒子としては粉砕(粉砕トナーと称する)、重合(重合トナーと称する)等いずれの方法を用いて得られたものでも構わない。
【0014】
<粉砕トナー>
粉砕トナーは、画質への影響を考慮する上で、体積平均粒径が5〜12μm(コールター製マルチサイザーIIIによる測定値)、好ましくは6〜10μmが好ましい。離型剤は、混練時に混合しても、予め結着樹脂中に分散しておいても構わない。予め結着樹脂中に分散しておくことがより好ましい。本実施形態を構成するトナー(トナー粒子)は、少なくとも結着樹脂、着色剤、荷電制御剤と、外添剤とを用いる。
【0015】
(結着樹脂)
結着樹脂の種類は特に制限されず、フルカラートナーの分野で公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS−COC Ticona社製))等であってよい。オイルレス定着の観点から、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
【0016】
実施の形態において好ましく使用されるポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等。
【0017】
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、以下のものが挙げられる。マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステル等。
【0018】
3価以上のカルボン酸成分としては、以下のものを例示することができる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等。
【0019】
また、本実施形態においてポリエステル系樹脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂(以下、単に「ビニル系ポリエステル樹脂」という)も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応およびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーである。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えばフマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0020】
ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分が挙げられる。またビニル系樹脂の原料モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。ビニル系樹脂の原料モノマーを重合させる際の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等。
【0021】
結着樹脂は単一のものを用いても良いし、低分子量体、高分子量体の2種、若しくはその各々複数種の組合せを用いても良い。オイルレス定着用トナーとしての分離性および耐オフセット性をさらに向上させる観点から、低分子量体と高分子量体を少なくとも1種使用することがより好ましい。
【0022】
より好ましい樹脂は、上述した多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂である。特に多価アルコール成分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を用い、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸およびフマル酸を用いて得られたポリエステル樹脂である。
【0023】
また、高分子量体は、ビニル系ポリエステル樹脂、特にポリエステル樹脂の原料モノマーとしてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸およびコハク酸を用い、ビニル系樹脂の原料モノマーとしてスチレンおよびブチルアクリレートを用い、両反応性モノマーとしてフマル酸を用いて得られたビニル系ポリエステル樹脂を用いることもできる。
【0024】
(離型剤)
本実施形態において、離型剤としては、特に限定されないが、炭化水素系パラフィンが挙げられる。炭化水素系パラフィンとしては、例えば、アルケンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のポリアルケン;高分子量のポリアルケンを熱分解して得られるポリアルケン;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法を用いて得られる炭化水素、さらに水素添加して得られる炭化水素が挙げられる。このような離型剤を用いることにより、定着時に、現像剤から離型剤が十分に染み出し、優れた定着特性を発揮することができる。
【0025】
トナーへの添加方法としては、トナー製造時に添加する他に、上述した結着樹脂の合成時に添加しても良い。この場合、上述のポリエステル樹脂を結着樹脂として用いる場合には、炭化水素系離型剤を用いることが好ましい。結着樹脂に炭化水素系離型剤を予め内添するには、結着樹脂を合成する際に、結着樹脂を合成するためのモノマー中に炭化水素系離型剤を添加した状態で結着樹脂の合成を行えば良い。例えば、結着樹脂としてのポリエステル系樹脂を構成する酸モノマーおよびアルコールモノマーに炭化水素系離型剤を添加した状態で縮重合反応を行えば良い。結着樹脂がビニル系ポリエステル樹脂の場合には、ポリエステル樹脂の原料モノマーに炭化水素系離型剤を添加した状態で、当該モノマーを撹拌および加熱しながら、これにビニル系樹脂の原料モノマーを滴下して重縮合反応およびラジカル重合反応を行えばよい。
【0026】
(離型剤分散剤)
本実施形態のトナーには、離型剤の分散を助ける離型剤分散剤を含有させても良い。離型剤分散剤としては特に限定はなく、公知のものを使用することができ、離型剤との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットがブロック体として存在するポリマーやオリゴマー、離型剤との相溶性の高いユニットと樹脂との相溶性の高いユニットのうちの一方に他方がグラフトしているポリマーもしくはオリゴマー、エチレン・プロピレン・ブテン・スチレン・α−スチレンなどの不飽和炭化水素と、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸やそのエステルもしくはその無水物との共重合体、ビニル系樹脂とポリエステルとのブロック、もしくはグラフト体などが挙げられる。
【0027】
上記の離型剤との相溶性の高いユニットとしては、炭素数が12以上の長鎖アルキル基や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンとそれらの共重合体が挙げられ、樹脂との相溶性の高いユニットとしては、ポリエステル、ビニル系樹脂などが挙げられる。
【0028】
(荷電制御剤)
トナー粒子の帯電量を制御する荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0029】
荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。通常、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
【0030】
(着色剤)
着色剤としては下記の様な公知のものを用いることができる。カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
【0031】
(着色剤のマスターバッチ化)
本実施形態で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチを用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、先にあげたポリエステル、ビニル系の樹脂のほかに、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン離型剤などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0032】
<重合トナー>
[トナーの製造方法]
エステル伸長法は、有機溶媒中に少なくともポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤および離型剤を溶解又は分散させた後、該溶解物又は分散物を水系媒体中に分散させ造粒する工程を少なくとも含むことからなる。
より具体的には、以下の通りである。
【0033】
[造粒工程]
(有機溶媒)
ポリエステル樹脂、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤および離型剤を溶解又は分散させる有機溶媒としては、「POLYMER HANDBOOK」4th Edition,WILEY−INTERSCIENCEのVolume 2,Section VII記載のHansen溶解度パラメーターが19.5以下となるものが好ましく、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。ポリエステル樹脂、着色剤および離型剤は同時に溶解又は分散させても良いが、通常それぞれ単独で溶解又は分散され、その際使用する有機溶媒はそれぞれ異なっていても同じでも良いが、後の溶媒処理を考慮すると同じ方が好ましい。
【0034】
(ポリエステル樹脂の溶解又は分散)
ポリエステル樹脂の溶解又は分散液は、樹脂濃度が40%〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらい。
また、濃度が低すぎるとトナーの製造量が少なくなる。芳香族基含有ポリエステル骨格を有する結着樹脂に前記末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂を混合する場合は、同じ溶解又は分散液に混合しても良いし、別々に溶解又は分散液を作製しても良いが、それぞれの溶解度と粘度を考慮すると、別々の溶解又は分散液を作製する方が好ましい。
【0035】
(着色剤の溶解又は分散)
着色剤は単独で溶解又は分散しても良いし、前記ポリエステル樹脂の溶解又は分散液に混合しても良い。また必要に応じて、分散助剤やポリエステル樹脂を添加しても良いし、前記マスターバッチを用いても良い。
【0036】
(離型剤の溶解又は分散)
離型剤としてワックスを溶解又は分散する場合、ワックスが溶解しない有機溶媒を使用する場合は分散液として使用することになるが、分散液は一般的な方法で作製される。即ち、有機溶媒とワックスを混合し、ビーズミルの如き分散機で分散すれば良い。また、有機溶媒とワックスを混合した後、一度ワックスの融点まで加熱し、攪拌しながら冷却した後、ビーズミルの如き分散機で分散した方が、分散時間が短くて済むこともある。また、ワックスは複数種を混合して使用しても良いし、分散助剤やポリエステル樹脂を添加しても良い。
【0037】
(水系媒体)
用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。更には、上記油相で使用したHansen溶解度パラメーターが19.5以下の有機溶媒を混合してもよく、好ましくは水に対する飽和量付近の添加量が油相の乳化または分散安定性を高めることができる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。トナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、2000質量部を超えると経済的でない。
【0038】
(無機分散剤および有機樹脂微粒子)
上記水系媒体中に、前記トナー組成物の溶解物または分散物を分散させる際、無機分散剤または有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させておくことにより、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えはビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
【0039】
(有機樹脂微粒子の水系への分散方法)
樹脂を有機樹脂微粒子の水性分散液にする方法は、特に限定されないが、以下の(a)〜(h)が挙げられる。
(a)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
(d)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(e)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(f)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(g)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法。
(h)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
【0040】
(界面活性剤)
また、トナー組成物が含まれる油性相を水系媒体中に乳化、分散させるために、必要に応じて、界面活性剤等を用いることもできる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11:C〜C11などと表記する。)オキシ]−1−アルキル(C〜C)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C〜C)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0041】
(保護コロイド)
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0042】
(分散の方法)
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
【0043】
(脱溶)
得られた乳化分散体から有機溶剤を除去するために、公知の方法を使用することができる。例えば、常圧または減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
【0044】
<伸長又は/及び架橋反応>
ウレア変性ポリエステル樹脂を導入する目的で、末端にイソシアネート基を有する変性ポリエステル樹脂およびこれと反応可能なアミン類を添加する場合は、水系媒体中にトナー組成物を分散する前に油相中でアミン類を混合しても良いし、水系媒体中にアミン類を加えても良い。上記反応に要する時間は、ポリエステルプレポリマーの有するイソシアネート基構造と、加えたアミン類との反応性により選択されるが、通常1分〜40時間、好ましくは1〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜98℃である。この反応は、前記微粒子付着工程の前に行っても良いし、微粒子付着工程中に同時進行させても良い。また、微粒子付着工程が終了してからでも良い。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
【0045】
[洗浄、乾燥工程]
水系媒体に分散されたトナー粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整する。そして再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
上記の粉砕法及びエステル伸長法によって得た着色粒子に対して以下の処理を行うことによってトナーを得ることができる。
【0046】
[加熱処理]
加熱処理工程は、前述の洗浄乾燥工程中に挿入されることが好ましく、少なくとも一度の固液分離をしたあとのトナー粒子を再分散させる際に、トナーのガラス転移温度以上に加熱することが望ましい。加熱処理の際にトナーを分散させるために界面活性剤を添加してもよい。
乾燥工程後に加熱処理を行う場合には、トナーを充分水系に分散させるために、界面活性剤を水系媒体に添加することが特に好ましい。
この処理によりトナー表面に露出している低分子量成分が溶融して水系媒体中に遊離する。加熱温度はトナーのガラス転移温度以上であれば良いが、あまり高すぎるとトナー同士が凝集する場合があるので注意を要する。加熱時間は1時間〜24時間であることが好ましく、特に8時間〜16時間であることが好ましい。加熱時間が短いと低分子量成分が十分に溶融せず、また、過熱時間が24時間で低分子量成分の溶融量がほぼ飽和するため24時間以上加熱する必要はない。
その後、必要に応じて洗浄・固液分離を行い最終的に乾燥してトナー母体粒子を得る。
【0047】
[外添工程]
(外添処理)
得られたトナー粉体であるトナー母体粒子と、前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子を外添剤として混合することによって、トナー母体粒子表面に外添剤を固定化、融合化させる。得られた複合体粒子であるトナーの表面からの外添剤(異種粒子)の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によってトナー母体粒子と外添剤(異種粒子)の混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に前記混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
装置としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)などが挙げられる。
好ましくは、図1に示すような微細噴霧機構を取り付けた装置を用いる。
この例では、図1に示すように、装置としてヘンシェルミキサー20を用いている。ヘンシェルミキサー20は、図1に示すように、攪拌槽10と、該攪拌槽10の中に備えられた下羽根1及び上羽根2からなる攪拌羽根と、該攪拌槽10に接続された溶剤ライン4、樹脂ライン5及び窒素ライン6と、それらの各ラインに備えられたバルブ9と、該攪拌槽10の上に備えられた粉体供給ホッパー7と、該粉体供給ホッパー7及び該攪拌槽10の間にあるダンパー8と、モーター3とを具備して構成されている。
本例においては、溶剤ライン4に代えて、微細噴霧機構を4に取り付けた。
微細噴霧機構は、公知のいずれのものでも取り付け可能であればよく、例えば、多孔体の外周に網目状のスクリーンを設け、ミスト状の水滴をここに衝突させることにより更に粉砕させてナノミストを発生させる等が挙げられる。
ナノミストの粒径は、得られたナノミストを、疎水性スライドガラスに晒し、これを顕微鏡にて確認した。
本実施形態においては、混合槽に微細噴霧機構を設け、水をナノミスト状に微細噴霧させながら外添混合する事により、トナー母体粒子表面の液架橋力(付着力)を増大させることができる。単純な乾式混合に比べて弱いシェアで母体への外添剤の付着強度を上げる事が出来、上記構成要件の微粒子の形状を損なわないため、吸放湿作用を損なう事なくトナー母体表面に存在しめる事を可能としている。
【実施例】
【0048】
以下に実施例、比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例の記載に拘束されて解釈されるものではない。なお以下の記載で部は質量部を表す。
【0049】
[トナーの作製]
(トナー材料)
ポリエステル樹脂A(軟化点131℃、AV値25) ・・・68部
ポリエステル樹脂B(軟化点116℃、AV値1.9) ・・・32部
シアンのマスターバッチ(PigmentBlue15:3を50部含有)
・・・8部
カルナウバワックス ・・・8部
【0050】
上記トナー材料をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押出し混練機(PCM−30:池貝鉄工社製)の排出部を取り外したものを使用して、溶融混練し、得られた混合物を冷却プレスローラで厚さ2mmに圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。
その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチック工業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、体積平均粒径8.1μm、平均円形度0.910のトナー母体Aを得た。
【0051】
このトナー母体粒子A100部に対して、外添剤A:小粒径シリカ(RX200:日本アエロジル社製)1部および外添剤B:中粒径シリカ(H05TM:クラリアントジャパン社製)1部及び外添剤C:イモゴライト(直径6nm、長さ20〜50nm)を添加し、微細噴霧機構を有したヘンシェルミキサーで周速30m/sec、3分間混合処理して、トナーを作成した。
得られたトナーの体積平均粒径は8.1μm、微粉率は2[個数%]、平均円形度は0.910であった。
【0052】
[評価]
(画像評価)
リコー製IPSIO CX2500を使用し、モノクロモードでB/W(黒/白)比6%の所定のプリントパターンをL/L環境下(10℃、15%)、H/H環境下(27℃、80%)で1000枚連続印字した。H/H環境下においては地汚れ評価として感光体上に残留しているトナーを住友3M製のメンディングテープを用いて剥離し、分光濃度計Xrite939でL*を測定した。また、L/L環境下においては黒ベタ画像を出力し、画像ムラが表れないか確認を行った。
【0053】
判定○以上が実仕様上問題ないレベルである。
◎:90以上
○:85以上90未満
△:80以上85未満
×:80未満
【0054】
<平均円形度測定方法>
形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値が平均円形度である。
この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150mL中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5mL加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜1万個/μLとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0055】
<外添剤付着強度測定方法>
10倍に希釈した界面活性剤溶液(花王社製 商品名エマルゲン 1108)30ccにトナー2gを入れ十分に馴染ませた後、超音波ホモジナイザーを用いて40Wで1分間エネルギーを与えて、トナーを分離、洗浄後、乾燥させる処理を行い、蛍光X線分析装置を用いて処理前後の無機粒子の付着量の比を算出することにより得られる。蛍光X線分析は島津製作所社製波長分散型蛍光X線分析装置XRF1700を用いて上記処理により得られた乾燥トナーと処理前のトナーをそれぞれ2gに1N/cmの力を60秒間加えてトナーペレットを作成して無機微粒子固有の元素(たとえばシリカの場合はケイ素)を検量線法により定量した値とした。
【0056】
【表1】

【0057】
外添剤としてイモゴライトと呼ばれる物質を用いるのを本実施形態で特徴としているが、同様の形状及び組成を持った物質であれば何でも良い。同様の形状を持つことにより、保水性を得る事が出来、かつトナーに付着しやすくなると考えられる。
【符号の説明】
【0058】
1 下羽根
2 上羽根
3 モーター
4 微細噴霧機構(溶剤ライン)
5 樹脂ライン
6 窒素ライン
7 粉体供給ホッパー
8 ダンパー
9 バルブ
10 攪拌槽
20 ヘンシェルミキサー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開平2−73362号公報
【特許文献2】特開2007−241310

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノチューブのイモゴライトを有することを特徴とするトナー用外添剤。
【請求項2】
前記イモゴライトは、外径が1〜10nmであり、長さが10〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載のトナー用外添剤。
【請求項3】
結着樹脂と色剤とを有するトナー母体粒子と、請求項1または2に記載のトナー用外添剤とを有し、前記トナー用外添剤中の前記イモゴライトの量が50重量%未満のトナーであって、
外添剤付着強度が75より大きいことを特徴とするトナー。
【請求項4】
前記トナー用外添剤の前記イモゴライトの量が3重量%以上であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
【請求項5】
請求項3または4に記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
【請求項6】
トナー母体粒子と、請求項1または2に記載のトナー用の外添剤とを、
1000ナノメートル未満の大きさの水の粒子とともにシェアを加えながら攪拌させて、
前記トナー母体粒子と前記トナー用の外添剤とを付着させることを特徴とするトナーの製造方法。

【図1】
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