説明

イルベサルタン含有医薬組成物

【課題】 ヌレ、崩壊、迅速かつ完全な薬物の放出において優れた特性を有する錠剤を製造することができる、イルベサルタンを単独またはヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と組み合わせて含有する医薬組成物を提供すること。
【解決手段】 イルベサルタンおよびその医薬的に許容しうる塩をそれ単独またはヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と組み合わせて、1または2種以上の医薬的に許容しうる賦形剤とともに含む医薬組成物であって、該組成物を配合した錠剤が、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約80%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は心臓血管疾患の治療に有用なイルベサルタンを含有する医薬組成物に関するものであり、該医薬組成物の好ましい剤形は錠剤である。また本発明はこれらの医薬組成物から製造された錠剤に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】イルベサルタン、すなわち2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[(2'−(テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル)メチル]−2−イミダゾリン−5−オンは、有効な、長期作用性アンギオテンシンII受容体拮抗剤であり、特に高血圧症および心不全などの心臓血管疾患の治療に有用である。イルベサルタンは、式:
【化1】


で示される構造を有し、バーンハート(Bernhart)らの米国特許第5270317号(本発明の参考文献である)に記載されている。この薬物の好ましい医薬組成物は、有効成分としてイルベサルタンを単独でまたはヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と組み合わせて含有する。イルベサルタンは、有効量(たとえば75〜300mg)の作用剤を含有する用量にて投与される。該薬物の物理的特性が、有効量の作用剤を含み、かつ飲み込みの容易さという点で十分に小さい錠剤を製造するのに適当な製剤処方の開発において解決すべき問題を提供している。そのような物理的特性としてたとえば、イルベサルタンは綿毛状の物質であり、相対的に実質重量が少なく、密度も非常に小さい。これらの特性が、小さい錠剤の中に多量の薬物を、量の一定性、硬度やその他の望ましい錠剤特性を持たせて製剤することを困難にしている。さらにイルベサルタンは、望ましくない流動特性、たとえば付着性があり、打錠キネやウスの表面などに付着してしまい、打錠、特に高速錠剤圧縮において問題を引き起こす。イルベサルタンの水への溶解度が低いこともまた、錠剤を小さくすることに関して解決すべき問題を提供し、すなわち錠剤のヌレ、崩壊、最終的な迅速かつ完全な薬物の放出を促進するために加える賦形剤の量が限定される。ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬もまた綿毛状の物質であり、流動性が小さく、水への溶解度が低いので、利尿薬を添加することがさらに打錠における問題を増加している。したがって、良好な錠剤製剤特性を有し、なお、作用剤の含量が多くかつ飲み込みが容易なように十分に小さい錠剤を製造しうるように、賦形剤の含量が少ないイルベサルタン含有(単独または利尿薬と組み合わせて)医薬組成物が必要とされている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)賦形剤の含量が少ないために、小さく容易に飲み込める錠剤を製造することができ、それによって患者の受諾性およびコンプライアンスが強められ、(2)錠剤製剤上の優れた特性をもち、そして(3)ヌレ、崩壊、迅速かつ完全な薬物の放出において優れた特性を有する錠剤を製造することができる、イルベサルタンを単独またはヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0004】さらに詳しくは本発明は、医薬組成物、特に錠剤として製造するのに適した医薬組成物を提供するものであり、該医薬組成物は、イルベサルタンまたはその医薬的に許容しうる塩を約20〜約70重量%および医薬的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物であって、該組成物を配合した錠剤は、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約80%またはそれ以上、好ましくは85%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す。本発明組成物はまた、必要に応じて約2〜約33%の利尿薬を含んでよく、該組成物中のイルベサルタンと利尿薬の合計は85%以下である。
【0005】好ましい本発明のイルベサルタン含有組成物は、(a)約20〜約70%(重量%、以下同様)(好ましくは、約50%)のイルベサルタン;(b)約1〜約70%の希釈剤;(c)約2〜約20%の結合剤;(d)約1〜約10%の崩壊剤;(e)約0.1〜約5%の抗付着剤;(f)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(g)約0.2〜約6%の界面活性剤;および/または(h)約2%以下(好ましくは、約0.1〜約1%)の着色剤を含む。好ましい本発明のイルベサルタンおよび利尿薬含有組成物は、(a)約20〜約70%(重量%、以下同様)(好ましくは、約50%)のイルベサルタン;(b)約2〜約33%の利尿薬[ここで、(a)と(b)の合計は約85%以下である];(c)約1〜約70%の希釈剤;(d)約2〜約20%の結合剤;(e)約1〜約10%の崩壊剤;(f)約0.1〜約5%の抗付着剤;および(g)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(h)約2%以下(好ましくは、約0.1〜約1%)の着色剤を含む。
【0006】本発明組成物は、約70重量%以下のイルベサルタンを含むかまたは約85重量%以下のイルベサルタンおよび利尿薬を含み、さらに工場スケールで再現可能な製造に用いることができる。本発明組成物は、たとえば、高速打錠装置(特に、高速錠剤圧縮機)で打錠して、重量および含量の両方が一定であり、外観の美麗さ、摩損度の低さおよび崩壊の速さなどの望ましい物理的特性を示す錠剤にすることができる。本発明組成物から製造した錠剤は、速くかつ再現可能な作法で溶出して有効成分を放出することが可能である。他に特記されない限りは、本明細書中においてイルベサルタンという場合、その医薬的に許容しうる塩も包含される。
【0007】以下に、本発明をさらに詳しく説明する。本発明組成物に用いた成分は医薬的に、特にナショナル・フォーミュラリー(NF)またはユナイッテッド・ステイツ・ファルマコペイア(USP)に記載されている程度に医薬的に許容しうるべきである。本明細書中で用いるイルベサルタンに関する錠剤の「溶出挙動」とは、錠剤に含まれたイルベサルタンの総重量に基づいた、次の条件下で30分以内に溶出するイルベサルタンの重量%を意味する:1錠が150〜600mgの錠剤およびUSP規定の装置2を用い、該錠剤を37℃にて0.1N塩酸1000mlに入れ、パドル速度50rpmで撹拌し、30分間に溶出したイルベサルタンの量を測定する(特に、244nmのUVを用いるかまたはヒドロクロロチアジドも存在する場合、波長272nmのHPLCを用いる)(要すれば、種々の時点において溶出の進行度のモニターを行ってもよい)。
【0008】本明細書中で用いる利尿薬(ヒドロクロロチアジドが好ましい)に関する錠剤の「溶出挙動」とは、錠剤に含まれた利尿薬の総重量に基づいた、上記イルベサルタンの溶出で記載した条件下で30分以内に溶出する利尿薬の重量%を意味する。利尿薬の溶出挙動は、USPの利尿薬の溶出に関する明細事項に合致するのが好ましい(ヒドロクロロチアジドでは、30分間で60%以上)。30分間で約90%またはそれ以上が溶出するような、ヒドロクロロチアジド含有錠剤の溶出挙動が、最も好ましい。
【0009】本発明組成物に用いる「利尿薬」は、ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キネタゾンおよびトリクロルメチアジドから選ばれるいずれかの適当な1種の利尿薬または2種以上の利尿薬の組み合わせである。利尿薬はヒドロクロロチアジドが好ましい。本発明組成物に用いる「希釈剤」は、所望の錠剤質量を得るためのかさを提供することができる1または2種以上の化合物である。希釈剤としての重量範囲の最低量で希釈剤を用いるのが望ましい。好ましい希釈剤は、二塩基性リン酸カルシウムなどの無機リン酸塩;ラクトース水和物または無水ラクトースなどの糖類;および微結晶セルロースなどのセルロースおよびセルロース誘導体である。
【0010】本発明組成物に用いる「結合剤」は、より大きい、より高密度の、および/またはより流動性の大きい粒子へと、イルベサルタンおよび/または利尿薬の顆粒化を促進することができる1または2種以上の化合物である。好ましい結合剤は、アルギン酸(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはアルギン酸ナトリウム(2〜3重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);カルボキシメチルセルロースナトリウム(2〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、エチルセルロース(2〜3重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ヒドロキシプロピルセルロース(2〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはメチルセルロース(2〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)などのセルロースまたはセルロース誘導体;ゼラチン(2〜10重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);ポビドン(ポリビニルピロリドン、すなわち、1−エテニル−2−ピロリジノン・ホモポリマー)(たとえば、ポビドンK−30)(2〜20重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);またはデンプン(5〜20重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)もしくは糊化デンプン(5〜20重量%などの2〜20重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)である。
【0011】本発明組成物で用いる「崩壊剤」は、水性媒体に接触させた場合に、本発明組成物から製造された錠剤の分解を促進することができる1または2種以上の化合物である。好ましい崩壊剤は、アルギン酸(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはアルギン酸ナトリウム(2.5〜10重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);カルボキシメチルセルロースナトリウム(2〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、微結晶セルロース(5〜15重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、粉末セルロース(5〜15重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはクロスカルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋ポリマー)(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)などのセルロースまたはセルロース誘導体;クロスポビドン(1−エテニル−2−ピロリジノンの架橋ホモポリマー、すなわち、架橋1−エテニル−2−ピロリジノン)(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);糊化デンプン(5〜10重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、デンプングリコール酸ナトリウム(2〜8重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはデンプン(3〜15重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)である。
【0012】本発明組成物で用いる「抗付着剤」は、製剤の付着を減少する、たとえば金属表面への付着を防止することができる1または2種以上の化合物である。好ましい抗付着剤は、二酸化ケイ素(0.5〜2重量%または2.5〜3.0重量%などの0.25〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、三ケイ酸マグネシウム(0.5〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)などのケイ素含有化合物またはタルク(1〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)である。
【0013】本発明組成物で用いる「滑沢剤」は、本発明組成物から製造された錠剤が、打錠された装置から排出されるときに発生する問題などの打錠に関連する問題を防止する、たとえば打錠機の上部キネの表面への付着(ピッキング)または下部キネの表面への付着(スティッキング)を防止ことができる1または2種以上の化合物である。好ましい滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム(0.5〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、モノステアリン酸グリセリル(0.5〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、パルミトステアリン酸グリセリル(0.5〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ステアリン酸マグネシウム(0.2〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ラウリル硫酸ナトリウム(1〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ステアリルフマル酸ナトリウム(0.5〜2重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)、ステアリン酸亜鉛(0.5〜1.5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)またはステアリン酸(1〜3重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)などの脂肪酸または脂肪酸誘導体;水添植物油(1〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);ポリエチレングリコール(1〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);安息香酸ナトリウム(2〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);またはタルク(1〜5重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)である。
【0014】本発明組成物で用いる「界面活性剤」は、錠剤のヌレの改良および/または溶出性の強化を行うことができる1または2種以上の化合物である。好ましい界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(0.2〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい);およびポロクサマー類、特にポロクサマー188などのポリ(オキシエチレン),ポリ(オキシプロピレン)ブロック共重合体(1〜6重量%の範囲で用いるのが最も好ましい)である。本発明組成物で用いる「着色剤」は、本発明組成物から製造された錠剤に所望の色を付与する1または2種以上の化合物である。着色剤の添加は、たとえば効能の異なる錠剤を区別しやすくするために行う。好ましい着色剤は、酸化第二鉄であり、これは一般に許容されている。上述の記載から理解しうるように、ひとつの化合物が2または3種の機能を果している。重量%の計算は、組成物中における当該化合物の一次的機能に基づいて行うのが好ましい。本発明組成物は、本質的に上記成分からなるのが好ましく、上記成分からなるのが最も好ましい。
【0015】本発明組成物は、1または2種以上の下記成分を指示された濃度範囲(重量%)で含有するのが好ましい:イルベサルタンが20〜60(たとえば25〜60),30〜60など,最も好ましくは30〜50,特に約50%;利尿薬が2〜20,最も好ましくは2〜17,特に約4〜9%;希釈剤が1〜70,最も好ましくは1〜60,特に約1〜40%;結合剤が5〜20,最も好ましくは5〜15%;崩壊剤が4〜8,最も好ましくは約5%;抗付着剤が0.25〜5.0%(たとえば利尿薬が存在する場合、0.25〜1.5など,最も好ましくは0.7〜0.8%またはたとえば利尿薬が存在しない場合、最も好ましくは2.5〜3.0%);滑沢剤が0.5〜1.5,最も好ましくは約1%;および界面活性剤が1〜3,最も好ましくは約3%。
【0016】下記の表は、本質的に高品質で優れた挙動を示す錠剤を生産する、好ましい本発明組成物を記載したものである。表Aはイルベサルタンを含む好ましい組成物を示し、表Bは利尿薬を組み合わせたイルベサルタンを含む好ましい組成物を示す。
【表1】


*)必要に応じて添加されるが、好ましい成分。
+)これらの例示化合物は、本明細書を通じて、要すれば適宜使用してよい。たとえば、StarchR1500は、要すれば、本明細書中に糊化デンプンが出現するいずれの箇所においても使用してよい。
【0017】上記表Aの組成物では、ステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素の組み合わせが、錠剤の溶出挙動の衰退を最小化すると同時に優れた滑沢効果を提供する;崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムの顆粒内層:顆粒外層の配分比が重要である(1:1など);および界面活性剤であるポロクサマーがイルベサルタン(疎水性である)の水性顆粒化を改良し、圧縮後の錠剤の排出を容易にし、有効成分イルベサルタンの溶出を促進する。
【表2】


*)ヒドロクロロチアジドの濃度は、組み合わせ錠剤中に求められるヒドロクロロチアジドの効力に依存して変化しうるものであり、1錠あたり6.25mg〜25mgの範囲が好ましい。表Aおよび表Bの組成物は、着色剤として0.08〜0.12重量%の酸化第二鉄(赤)および0.08〜0.12重量%の酸化第二鉄(黄)も含むのが好ましい。
【0018】適当な製錠法のいずれかを用いて、本発明組成物から錠剤を製造する。湿式造粒工程にて本発明組成物から錠剤を製造するのが好ましい。製錠法の一例は、下記工程(a)〜(c)から構成される。
(a)顆粒内層(intragranular)組成物の製造:(i)イルベサルタン、利尿薬(合剤の場合)、希釈剤の一部(希釈剤全量の約5〜約80重量%が好ましい)、崩壊剤の一部(崩壊剤全量の約50〜約80重量%が好ましい)、結合剤、および必要に応じて、抗付着剤の一部(抗付着剤全量の約50〜約80重量%が好ましい)を混合して粉末混合物を形成し、必要に応じて該混合物を粉砕・分級(たとえば、該混合物をミル粉砕して凝集物を破壊)し;
(ii)該混合物を再混合し;
(iii)該混合物を造粒液、好ましくは水および/または界面活性剤の水溶液を添加して造粒し、顆粒を形成(たとえば、高速剪断ミキサー/造粒機を使用)し;
(iv)該顆粒を乾燥(たとえば、オーブン、好ましくは液体床乾燥機)し;次いで(v)乾燥した顆粒を粉砕・分級(たとえば、ミル粉砕またはふるい分け)する;
(b)工程(a)−(v)で得た粉砕・分級した顆粒と顆粒外層(extragranular)組成物の混合物の製造:(i)残りの希釈剤、残りの崩壊剤、抗付着剤または残りの抗付着剤、および必要に応じて着色剤[この工程の前に、これらの1または2種以上を予め混合し、粉砕・分級(たとえば、ミル粉砕して凝集物を破壊)し、再混合しておく]を、工程(a)−(v)の粉砕・分級した顆粒と混合して顆粒混合物を形成し;次いで(ii)該顆粒混合物に滑沢剤を混合する;および(c)工程(b)−(ii)で得た混合物を打錠(たとえば、圧縮錠剤機を用いて)することによる錠剤の形成。
本発明組成物の固体出発物質は、使用前にふるい分けしておくのが好ましい。工程(a)−(iii)で使用する、固体に対する水(精製水,USPまたは注射液用水,USPが好ましい)の重量比は、約0.25:1〜約0.6:1の範囲が好ましい。
【0019】該錠剤は、必要に応じてこれで完成とするかまたは公知の方法でコーティングしてもよい。本発明組成物から製造された錠剤は、一錠あたり、好ましくは約25〜300mgのイルベサルタン、最も好ましくは約75〜300mgのイルベサルタンを含有し、合剤においては、好ましくは、さらに約1〜約25mgの利尿薬、最も好ましくは約6.25〜約25mgのヒドロクロロチアジドを含有する。製造された錠剤の総重量は、約50〜約600mgが好ましい。錠剤以外にも、本発明の組成物を用いて分散剤またはカプセル剤用のビーズ、顆粒を製造することもでき、カプセル剤の場合、粉末あるいはビーズまたは顆粒などで充填する。当業者には公知の方法などを用いて、これらの剤形を製造することができる。
【0020】本発明組成物および錠剤を用いて米国特許第5270317号(本発明の参考文献である)に記載されているような疾患を治療または予防することができる。このような疾患としては、高血圧症または心不全などの心臓血管疾患、静脈不全、緑内障、糖尿病性網膜症、腎不全および中枢神経系の各種愁訴が挙げられる。本発明組成物または錠剤は、上記疾患を治療または予防するために、哺乳動物(特にヒト)患者にその有効量を経口で投与するのが好ましい。ヒト患者に対しては、約75mg〜約300mgのイルベサルタンを(それ単独または利尿薬との合剤として)、たとえば1日1回または2回に分けて投与するのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】次の実施例は、本発明の好ましい具体例であり、本発明の請求の範囲を制限するものではない。
実施例1イルベサルタン含有錠剤の製造下記表−1に記載する本発明組成物から、力価の異なる3種類のイルベサルタン含有錠剤を製造する:(1)75mgのイルベサルタンを含有する1錠150mgの錠剤;(2)150mgのイルベサルタンを含有する1錠300mgの錠剤;および(3)300mgのイルベサルタンを含有する1錠600mgの錠剤。
【表3】


【0022】上記配合に基づき、次に湿式造粒法によって錠剤を下記のとおり製造する。この工程では、使用した水の全量は、固体全重量の50重量%までである。イルベサルタン、ラクトース、糊化デンプンおよびクロスカルメロースナトリウムの一部(1/2)をミキサーで混合する。調製した粉末混合物を粉砕・分級装置(コーンミルまたはオシレーター)に通し、ミキサーで混合する。ポロクサマー188を水(精製水,USPまたは注射液用水,USP)(固体全重量の25%)に溶解し、さらに固体全重量の25%までの水を必要量だけ加えて混合粉末を湿式造粒する。得られる顆粒を、乾燥減量(LOD:loss-on-drying)が2%以下になるまで乾燥(トレーまたは液体床乾燥機)する。乾燥した顆粒をふるいに通すかまたはミル粉砕して適当なサイズ(1〜3mm)にする。
【0023】粉砕・分級した顆粒を二酸化ケイ素、微結晶セルロースおよび残りのクロスカルメロースナトリウムとともにミキサーで混合する。次いで、得られる混合物をステアリン酸マグネシウムと混合する。混合物を打錠機を用いて圧縮製錠し、下記表−2に示す組成物を含有する各力価の錠剤を製造する。
【表4】


【0024】実施例2別配合のイルベサルタン含有錠剤の製造実施例1と同様の方法で、下記の表−3に示す組成物を含有する錠剤を製造する。
【表5】


【0025】実施例3イルベサルタンとヒドロクロロチアジドの組み合わせ錠剤の製造下記表−4に記載する本発明組成物から、力価の異なる2種類のイルベサルタンおよびヒドロクロロチアジドを組み合わせて含有する錠剤を製造する:(1)75mgのイルベサルタン/12.5mgのヒドロクロロチアジドを含有する1錠150mgの錠剤;および(2)150mgのイルベサルタン/12.5mgのヒドロクロロチアジドを含有する1錠300mgの錠剤。
【表6】


【0026】上記組成物を含有する錠剤を下記のとおり湿式造粒法を用いて製造する。医薬物質イルベサルタンおよびヒドロクロロチアジド、ラクトース水和物、糊化デンプン、および全重量の4/5のクロスカルメロースナトリウムを秤量し、混合する。次いで、この粉末混合物をミル粉砕して医薬物質の凝集物を破壊する。次いで、ミル粉砕した粉末混合物を再度混合し、ミキサー/造粒機にて水を加えて顆粒化する(水の分量は固体の全重量の約55%)。次いで、湿った顆粒をLODが2%以下になるまで乾燥装置(トレーまたは液体床乾燥機)にて乾燥し、次いで乾燥顆粒をミル粉砕する。酸化第二鉄を微結晶セルロース(全重量の1/3)とともに混合して着色混合物を調製し、該着色混合物をミル粉砕し、次いで再度混合する。次いで、残りの微結晶セルロース、残りのクロスカルメロースナトリウム、着色混合物および二酸化ケイ素を秤量し、ふるい分けし、乾燥,粉砕した顆粒とともにミキサー中で混合する。最終工程において、ステアリン酸マグネシウムを秤量し、ふるい分けし、上記顆粒混合物と混合する。次いで、この最終混合物を適当な圧縮製錠機を用いて打錠して錠剤を製造する。
【0027】錠剤の品質イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド75mg/12.5mgを含有する錠剤において、錠剤重量は150mgであり、錠剤の硬度は10〜14SCU(Strong Cobb Unit)であった。150mg/12.5mgを含有する錠剤において、重量は300mgであり、硬度は14〜18SCUであった。両方の力価の錠剤において、摩損度は0.5%以下、崩壊時間は7分以下、錠剤重量変動係数は2%以下であった。さらに、これらの錠剤の溶出量は、イルベサルタンについては30分間で85%あるいはそれ以上という本明細書の要求を満たし、ヒドロクロロチアジドについては30分間で60%というUSPの明細事項の要求を容易に満たす。この製剤法で製造された錠剤の安定性は良好であった。ある条件下において、ヒドロクロロチアジドは加水分解されて、副産物として遊離アミン分解物とホルムアルデヒドが形成される[デサイ(D.S.Desai)らの「International Journal of Pharmaceutics」,107(2),141〜47(1994年)]。賦形剤の選択が、ヒドロクロロチアジドの安定性に影響を与える。本発明組成物においては、結合剤として糊化デンプンを用いると、ポビドンを用いるよりも、ヒドロクロロチアジドに対する安定性が増すことが見出された(ポビドンを使用すると、多量の遊離アミン分解物が形成される)。ポロクサマーがヒドロクロロチアジドの分解を促進することも見出されており、したがって、ヒドロクロロチアジドを含まない本発明組成物においては、ポロクサマーは好ましい成分として使用しうるが、イルベサルタン/ヒドロクロロチアジドを含む本発明組成物においては、ポロクサマーは好ましい成分ではない。このように、使用した賦形剤がヒドロクロロチアジドの分解を最小化あるいは阻止することが、イルベサルタンおよびヒドロクロロチアジドを含有する前記の好ましい本発明組成物のさらなる利点である。
【0028】実施例4別配合のイルベサルタンとヒドロクロロチアジドの組み合わせ錠剤の製造実施例3と同様な方法によって、下記表−5に4(A)、4(B)、4(C)または4(D)で示す組成物を含有する錠剤を製造する。
【表7】


【0029】実施例5イルベサルタン含有錠剤の製造下記表−6に記載する本発明組成物から、力価の異なる3種類のイルベサルタン含有錠剤を製造する:(1)75mgのイルベサルタンを含有する1錠150mgの錠剤;(2)150mgのイルベサルタンを含有する1錠300mgの錠剤;および(3)300mgのイルベサルタンを含有する1錠600mgの錠剤。
【表8】


【0030】上記配合に基づき、次に湿式造粒法によって錠剤を下記のとおり製造する。この工程では、使用した水の全量は、固体全重量の50重量%までである。イルベサルタン、ラクトース、糊化デンプン、クロスカルメロースナトリウムの一部(1/2)および二酸化ケイ素の一部(約73%)をミキサーで混合する。調製した粉末混合物を粉砕・分級装置(コーンミルまたはオシレーター)に通し、ミキサーで混合する。ポロクサマー188を水(精製水,USPまたは注射液用水,USP)(固体全重量の25%)に溶解し、さらに固体全重量の25%までの水を必要量だけ加えて混合粉末を湿式造粒する。得られる顆粒を、乾燥減量(LOD)が2%以下になるまで乾燥(トレーまたは液体床乾燥機)する。乾燥した顆粒をふるいに通すかまたはミル粉砕して適当なサイズ(1〜3mm)にする。
【0031】粉砕・分級した顆粒を残りの二酸化ケイ素、微結晶セルロースおよび残りのクロスカルメロースナトリウムとともにミキサーで混合する。次いで、得られる混合物をステアリン酸マグネシウムと混合する。混合物を打錠機を用いて圧縮製錠し、下記表−7に示す組成物を含有する各力価の錠剤を製造する。
【表9】


顆粒外層組成物と抗付着剤(二酸化ケイ素が好ましい)を含む顆粒とを混合することによって(本明細書に記載した方法で)製造されたイルベサルタンまたはその医薬的に許容しうる塩を含む錠剤は、より迅速および/または完全に溶出し、かくしてこのように改良された溶出挙動を呈する。
【0032】実施例6別配合のイルベサルタン含有錠剤の製造実施例5と同様の方法で、下記の表−8に示す組成物を含有する錠剤を製造する。
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 イルベサルタンまたはその医薬的に許容しうる塩を約20〜約70重量%および1または2種以上の医薬的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物であって、該組成物を配合した錠剤が、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約80%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す医薬組成物。
【請求項2】 組成物を配合した錠剤が、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約85%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】 (a)約20〜約70%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;(b)約1〜約70%の希釈剤;(c)約2〜約20%の結合剤;(d)約1〜約10%の崩壊剤;(e)約0.1〜約5%の抗付着剤;(f)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(g)約0.2〜約6%の界面活性剤;および/または(h)約2%以下の着色剤を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】 希釈剤が二塩基性リン酸カルシウム、ラクトース水和物、無水ラクトースおよび微結晶セルロースから選ばれる1または2種以上の化合物であり;結合剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプンおよび糊化デンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;崩壊剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、糊化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;抗付着剤が二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;界面活性剤(存在する場合)がラウリル硫酸ナトリウムおよびポロクサマー類から選ばれる1または2種以上の化合物であり;および着色剤(存在する場合)が1または2種以上の酸化第二鉄類である請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】 約20〜50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約1〜70%の希釈剤;約10〜20%の結合剤;約4〜8%の崩壊剤;約0.25〜5.0%の抗付着剤;約0.5〜1.5%の滑沢剤;および約1〜6%の界面活性剤を含む請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】 希釈剤がラクトース水和物および微結晶セルロース;結合剤が糊化デンプン;崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム;抗付着剤が二酸化ケイ素;滑沢剤がステアリン酸マグネシウム;および界面活性剤がポロクサマー188である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約10.25%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー188;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約10.25%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー188;約13%の微結晶セルロース;約2.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約20.25%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約20.25%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー;約13%の微結晶セルロース;約2.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】 さらに、約2〜約33重量%の利尿薬を含み、イルベサルタンまたはその塩および利尿薬の合計重量%が約85%以下である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】 利尿薬がヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キネタゾンおよびトリクロルメチアジドから選ばれる1または2種以上の化合物である請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】 利尿薬がヒドロクロロチアジドである請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】 (a)約20〜約70%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;(b)約2〜約33%の利尿薬[ここで、(a)と(b)の合計は約85%以下である];(c)約1〜約70%の希釈剤;(d)約2〜約20%の結合剤;(e)約1〜約10%の崩壊剤;(f)約0.1〜約5%の抗付着剤;および(g)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(h)約2%以下の着色剤を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】 利尿薬がヒドロクロロチアジド;希釈剤が二塩基性リン酸カルシウム、ラクトース水和物、無水ラクトースおよび微結晶セルロースから選ばれる1または2種以上の化合物であり;結合剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプンおよび糊化デンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;崩壊剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、糊化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;抗付着剤が二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;および着色剤(存在する場合)が1または2種以上の酸化第二鉄類である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】 約20〜50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約2〜20%の利尿薬;約1〜70%の希釈剤;約10〜20%の結合剤;約4〜6%の崩壊剤;約0.5〜1.0%の抗付着剤;および約0.5〜1.5%の滑沢剤を含む請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】 利尿薬がヒドロクロロチアジド;希釈剤がラクトース水和物および微結晶セルロース;結合剤が糊化デンプン;崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム;抗付着剤が二酸化ケイ素;および滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約4.72%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項19】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約8.88%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約1.72%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項21】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約11.72%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項22】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約5.88%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項23】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約15.88%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項24】 請求項1に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項25】 請求項7に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項26】 請求項8に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項27】 請求項9に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項28】 請求項10に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項29】 請求項18に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項30】 請求項19に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項31】 請求項20に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項32】 請求項21に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項33】 請求項22に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項34】 請求項23に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項35】 錠剤の総重量が約50〜約600mgである請求項24に記載の錠剤。
【請求項36】 イルベサルタンまたはその医薬的に許容しうる塩、ヒドロクロロチアジドおよび結合剤(デンプンおよび/または糊化デンプン)を含む医薬組成物。
【請求項37】 結合剤が糊化デンプンである請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】 請求項37に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項39】 顆粒外層(extragranular)組成物を抗付着剤含有顆粒と共に混合することによって製造される請求項1に記載の組成物を配合した錠剤。
【請求項40】 抗付着剤が二酸化ケイ素である請求項39に記載の錠剤。
【請求項41】 約20〜約70重量%のイルベサルタンまたはその医薬的に許容しうる塩を含む成分を1または2種以上の賦形剤と共に混合することによって製造される医薬組成物であって、該組成物を配合した錠剤が、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約80%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す医薬組成物。
【請求項42】 組成物を配合した錠剤が、該錠剤に含まれるイルベサルタンまたはその塩の約85%またはそれ以上が30分以内に溶出するという溶出挙動を示す請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】 (a)約20〜約70%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;(b)約1〜約70%の希釈剤;(c)約2〜約20%の結合剤;(d)約1〜約10%の崩壊剤;(e)約0.1〜約5%の抗付着剤;(f)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(g)約0.2〜約6%の界面活性剤;および/または(h)約2%以下の着色剤を含む成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項44】 希釈剤が二塩基性リン酸カルシウム、ラクトース水和物、無水ラクトースおよび微結晶セルロースから選ばれる1または2種以上の化合物であり;結合剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプンおよび糊化デンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;崩壊剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、糊化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;抗付着剤が二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;界面活性剤(存在する場合)がラウリル硫酸ナトリウムおよびポロクサマー類から選ばれる1または2種以上の化合物であり;および着色剤(存在する場合)が1または2種以上の酸化第二鉄類である請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】 約20〜50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約1〜70%の希釈剤;約10〜20%の結合剤;約4〜8%の崩壊剤;約0.25〜5.0%の抗付着剤;約0.25〜5.0%の抗付着剤;約0.5〜1.5%の滑沢剤;および約1〜6%の界面活性剤を含む成分を混合することによって製造される請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項46】 希釈剤がラクトース水和物および微結晶セルロース;結合剤が糊化デンプン;崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム;抗付着剤が二酸化ケイ素;滑沢剤がステアリン酸マグネシウム;および界面活性剤がポロクサマー188である請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約10.25%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー188;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項48】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約10.25%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー188;約13%の微結晶セルロース;約2.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項49】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約20.25%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項50】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約20.25%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3.0%のポロクサマー;約13%の微結晶セルロース;約2.75%の二酸化ケイ素;および約1.0%のステアリン酸マグネシウムを含む成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項51】 さらに、約2〜約33重量%の利尿薬を含み、イルベサルタンまたはその塩および利尿薬の合計重量%が約85%以下である成分を混合することによって製造される請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項52】 利尿薬がヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キネタゾンおよびトリクロルメチアジドから選ばれる1または2種以上の化合物である請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】 利尿薬がヒドロクロロチアジドである請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】 (a)約20〜約70%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;(b)約2〜約33%の利尿薬[ここで、(a)と(b)の合計は約85%以下である];(c)約1〜約70%の希釈剤;(d)約2〜約20%の結合剤;(e)約1〜約10%の崩壊剤;(f)約0.1〜約5%の抗付着剤;および(g)約0.2〜約5%の滑沢剤;および必要に応じて(h)約2%以下の着色剤を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項55】 利尿薬がヒドロクロロチアジド;希釈剤が二塩基性リン酸カルシウム、ラクトース水和物、無水ラクトースおよび微結晶セルロースから選ばれる1または2種以上の化合物であり;結合剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプンおよび糊化デンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;崩壊剤がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、糊化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり;抗付着剤が二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;滑沢剤がステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムおよびタルクから選ばれる1または2種以上の化合物であり;および着色剤(存在する場合)が1または2種以上の酸化第二鉄類である請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】 約20〜50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約2〜20%の利尿薬;約1〜70%の希釈剤;約10〜20%の結合剤;約4〜6%の崩壊剤;約0.5〜1.0%の抗付着剤;および約0.5〜1.5%の滑沢剤を含む成分を混合することによって製造される請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項57】 利尿薬がヒドロクロロチアジド;希釈剤がラクトース水和物および微結晶セルロース;結合剤が糊化デンプン;崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム;抗付着剤が二酸化ケイ素;および滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約4.72%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項59】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約8.88%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項60】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約1.72%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項61】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約8.33%のヒドロクロロチアジド;約11.72%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項62】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約5.88%のラクトース水和物;約15.0%の糊化デンプン;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項63】 約50%(重量%、以下同様)のイルベサルタン;約4.17%のヒドロクロロチアジド;約15.88%のラクトース水和物;約5.0%のポビドンK−30;約5.0%のクロスカルメロースナトリウム;約3%のポロクサマー;約15%の微結晶セルロース;約0.75%の二酸化ケイ素;約1.0%のステアリン酸マグネシウム;約0.1%の酸化第二鉄(赤);および約0.1%の酸化第二鉄(黄)を含む成分を混合することによって製造される請求項51に記載の医薬組成物。