説明

インクジェットインク、インクカートリッジ、インクジェット印刷プロセス、インクジェット記録装置

【課題】速乾性、高い画像品質、安定した印刷適性に加えて、低い皮膚感さ性を同時に達成できる室温固体状光重合性インクジェットインク、該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット印刷プロセス、及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】(1)皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと親水性官能基を有するワックスを含む室温固体状光重合性インクジェットインク。
(2)前記室温固体状光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
(3)前記室温固体状光重合性インクジェットインクを加温することにより液状化して印刷を行い、室温に保持した基材上でインク滴が増粘又は固体化した後に光硬化するインクジェット印刷プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインク、該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット印刷プロセス、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性インクジェットインクは既に多くの市販品が存在する。プラスチックフィルムや塗工紙の一部のような非吸収性の基材に対しても有効であり、光を照射することで瞬時に硬化するため、速乾性が求められるような用途にも広く使用されている。
一方で上質紙のような吸収性の基材については水性のインクジェットインクが使用されることが多いが、紙面の大部分を多量のインクで覆い尽くすような絵柄を印刷した場合には、用紙が吸収できるインク量に限度があり、浸透による乾燥だけでは乾燥が完結しないため、水などの液体成分を蒸発させるために長い時間をかけて自然乾燥させたり、多量のエネルギーを使って強制乾燥させたりする必要がある。したがって、上質紙のような吸収性の基材についても、速乾性を有する光重合性インクジェットインクが有用である。
しかし、光重合性インクジェットインクは、主成分が有機材料になるためインクの表面張力が低くなり、上質紙のような吸収性の基材の場合、印刷した絵柄がにじむフェザリングと呼ばれる現象が起きやすいし、用紙の裏面近くまでインクが浸透貫通し易く両面印刷が難しいという問題がある。
【0003】
この問題の解決策として、加温すれば液体になるが室温では固体である光重合性インクジェットインクが知られている(特許文献1〜4)。これらはいずれも(メタ)アクリル酸エステル化合物など一般的に使われている光重合性モノマー又はオリゴマーに脂肪酸エステルなどのワックス成分を配合したものである。これにより、上質紙のような吸収性の基材についても、室温環境であれば、印刷されたインクがにじんだり用紙の裏面まで染み込んだりすることを防止でき、かつ光照射することで素早く硬化乾燥できる。
しかし、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物などの光重合性モノマー又はオリゴマーの多くは毒性を持つという問題がある。経口毒性や皮膚刺激性などに関しては比較的軽度のものも存在するが、触れるとアレルギーを引き起こす皮膚感さ性については多くのモノマー又はオリゴマーが有しており、特にインクジェットインクに使用されるような低粘度のものでは殆どが高い皮膚感さ性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の皮膚感さ性の問題について本発明者らが検討した結果、一部のモノマー又はオリゴマーは、皮膚感さ性が陰性であることを見出した(陰性の定義は後述する)。したがって、これらの材料を使用すれば皮膚感さ性について問題のないインクを得ることができる。
しかし、上記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーを用いて、室温固体状光重合性インクジェットインクを得る目的で通常のワックスを配合しても、加温液状化した際の十分な相溶性は得られないことが分かった。これは(メタ)アクリル酸エステル化合物など一般的に使われている光重合性モノマー又はオリゴマーには、分子内にエステル基などの極性基が一定量存在するため、水溶性非水溶性を問わず一定の親水性を有しているのに対して、ワックスが基本的に極度に疎水性であることによる。
顔料以外のビヒクル分が均一溶解した相溶液体でないと、例えばインク中の特定成分だけがインクカートリッジ内において沈殿して残存するなどしてインク組成が変化してしまい、インクジェット印刷適性や印刷物の画像品質などが変化したり、析出した成分がインクジェット吐出ノズルを詰まらせたりするため、加温液状化した際のビヒクル分の相溶性が重要となる。
そこで本発明は、上記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーを用いた、速乾性、高い画像品質、安定した印刷適性に加えて、低い皮膚感さ性を同時に達成できる室温固体状光重合性インクジェットインク、該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット印刷プロセス、及びインクジェット記録装置の提供を目的とする。なお、「室温」とは15〜25℃前後を指す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) 皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと親水性官能基を有するワックスを含む室温固体状光重合性インクジェットインク。
2) 皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーが、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、下記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、tert−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートから選ばれた複数の化合物である1)に記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
【化1】

式中、n≒9〜14である。
3) 前記親水性官能基を有するワックスが、クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド、プロピレングリコールモノベヘネート、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、コハク酸脂肪酸モノグリセライド、グリセリンモノアセトモノ脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種を含む1)又は2)に記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
4) 前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと、前記親水性官能基を有するワックスの重量比が、99.9:0.1以上、90:10未満である1)〜3)のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
5) 1)〜4)のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
6) 1)〜4)のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインクを加温することにより液状化して印刷を行い、室温に保持した基材上でインク滴が増粘又は固体化した後に光硬化するインクジェット印刷プロセス。
7) 5)に記載のインクカートリッジを搭載し、6)に記載の印刷プロセスを実施する機構を備えたインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、速乾性、高い画像品質、安定した印刷適性に加えて、低い皮膚感さ性を同時に達成できる室温固体状光重合性インクジェットインク、該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット印刷プロセス及びインクジェット記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のインクカートリッジのインク袋の一例を示す概略図である。
【図2】図1のインク袋をカートリッジケース内に収容したインクカートリッジを示す概略図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の室温固体状光重合性インクジェットインク(以下、単にインクということもある)は、皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと親水性官能基を有するワックスを含むことを特徴とする。本発明でいう「室温固体状」とは、室温では流動性に乏しく外観上固体あるいはペースト状の半固体のように見えるが、混合するワックスの融点付近以上の温度(混合により融点降下を示す場合もあるが、通常は50℃以上)に加温すると液状化することを意味する。
【0009】
また、皮膚感さ性が陰性のモノマー又はオリゴマーとは、次の(1)〜(3)の少なくとも一つに該当する化合物を言う。
(1)OECDテストガイドライン429で定められたLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験において、感さ性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3未満である化合物
(2)MSDS(化学物質安全性データシート)において、「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物
(3)文献〔例えば、Contact Dermatitis 8 223−235(1982)〕において「皮膚感さ性陰性」又は「皮膚感さ性なし」と評価された化合物

(1)については、例えば「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55にも示されるように、SI値が3未満の場合に皮膚感さ性について問題なしと判断される。SI値が低いほど皮膚感さ性が低いことになるから、本発明では、SI値がなるべく低いモノマー又はオリゴマーを用いることが好ましく、3未満、好ましくは2以下、更に好ましくは1.6以下のものを用いる。
【0010】
前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーを用いることにより、速乾性と低い皮膚感さ性を達成することができる。
前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーを構成する化合物としては、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、上記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、tert−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらはいずれも市販品を使用できる。
【0011】
また、親水性官能基を有するワックスを使用することにより、高い画像品質と安定した印刷適性を達成することができる。
親水性官能基を有するワックスの例としては、クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド、プロピレングリコールモノベヘネート、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、コハク酸脂肪酸モノグリセライド、グリセリンモノアセトモノ脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらはいずれも市販品を使用できる。
前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと、前記親水性官能基を有するワックスの重量比は、99.9:0.1以上、90:10未満とすることが好ましい。これにより高い光重合性を達成することができる。
【0012】
さらに、インクの低い皮膚感さ性を損なわない範囲であれば、前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマー以外にも、皮膚感さ性が陽性又は不明の他の光重合性モノマー又はオリゴマーを含むことも可能である。
他の光重合性モノマー又はオリゴマーを構成する化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γーブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、前記式(1)で示されるポリエチレングリコールジアクリレート(n≒4、n≒23)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート〔CH=C(CH)−CO−(OC)n−OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、メタアクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルメタアクリルアミド、エチレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0013】
光硬化用の重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノンなどから1種を単独で又は2種類以上を併用して使用できる。
【0014】
インクの着色剤としては公知の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
ブラック顔料としては、ファーネス法あるいはチャネル法で製造されたカーボンブラック等が使用できる。
イエロー顔料としては、Pig.Yellow系の顔料、例えばピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が使用できる。
【0015】
マゼンタ顔料としては、Pig.Red系の顔料、例えばピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202,ピグメントバイオレット19等が使用できる。
シアン顔料としては、Pig.Blue系の顔料、例えばピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60等が使用できる。
白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が使用できる。
その他にも、必要に応じて物理特性などを考慮して、種々の無機顔料や有機顔料が使用できる。
【0016】
他にも、必要に応じて、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、メトキノン、2,2′−ジヒドロキシ−3,3′−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチルジフェニルアミン、9,10−ジ−n−ブトキシシアントラセン、4,4′−〔1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイルビス(オキシ)〕ビス(2,2,6,6−テトラメチル)−1−ピペリジニルオキシなどの重合禁止剤や、高級脂肪酸系、シリコーン系、フッ素系などの界面活性剤や、極性基含有高分子顔料分散剤などを用いることができる。
【0017】
本発明のインクは容器に収容してインクカートリッジとして用いることができる。これにより、インク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる。
容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適に挙げられる。
上記インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジのインク袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1のインク袋241をカートリッジケース244内に収容したインクカートリッジ200を示す概略図である。
【0018】
図1に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、該インク袋中に残った空気を排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、インクカートリッジ200として各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いる。
本発明のインクカートリッジは、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることが特に好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
また、インクカートリッジ内に収容されたインクは室温では固体状のため、そのままではインク供給が困難である。そこで、インク供給経路とインクカートリッジ200を電熱などで加温する機構を設け、インクを液状化してインクを供給する。図2にはインクカートリッジの外装に加温ユニット201を設置した例を示した。
【0019】
また、本発明の室温固体状光重合性インクジェットインクを加温することにより液状化して印刷を行い、室温に保持した基材上でインク滴が増粘又は固体化した後に光硬化するインクジェット印刷プロセスを採用すれば、上質紙などの吸収性の基材においてもインク滴のにじみや裏抜けを抑制でき、高い画像品質を達成することができる。
また、該印刷プロセスを実施する機構を備えたインクジェット記録装置とすれば、インク供給、印刷、乾燥といった過程を一連の作業として効率化できる。
このようなインクジェット記録装置(印刷装置)の一例を図3に示す。
【0020】
図3は、印刷ユニット3〔各色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷ユニット3a、3b、3c、3dからなる〕のそれぞれにより、被印刷基材供給ロール1から供給された被印刷基材2(図の左から右へ搬送)に吐出された各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷毎に、紫外線光源(硬化用光源)4a、4b、4c、4dから光照射(UV光)して硬化し、カラー画像を形成する例を示している。印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、インク吐出部分においてはインクが液状化するように加温する機構を設けたものであり、基材保持部分(図中基材の上側又は下側の部分)においては、必要に応じて接触又は非接触で基材を室温程度に冷却する機構を設けたものである。先に印刷する色の印刷面積が小さく搬送速度も遅い場合には、後から印刷する色に対しても自然放冷により基材は室温程度に保たれるが、先に印刷する色の印刷面積が大きかったり搬送速度が速い場合には、基材温度が上昇してしまうため、必要に応じて、基材を室温程度に保持するための液冷等による接触方式あるいは送風等による非接触方式の冷却機構を、3a、3b、3c、3d又は7a、7b、7c、7dに設けることが望ましい。図3には8a、8b、8c、8dとして印字直前に空気を噴射して基材を冷却するノズルを設置した例を示した。
【0021】
被印刷基材2としては、紙、フィルム、金属、あるいはこれらの複合材料等が用いられる。また、図3ではロール状の被印刷基材2を示しているが、シート状であってもよい。さらに、片面印刷だけでなく両面印刷してもよい。
印刷の高速化に際し、各色を印刷する毎に紫外線を照射するとより高い硬化性が得られるが、例えば紫外線光源4a、4b、4cを微弱なものとしたり省略したりして、複数色を印刷した後にまとめて4dにより十分量の紫外線を照射して硬化することにより、省エネ、低コスト化を図ることも可能である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0023】
前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーとして下記の配合品1〜4を用い、これらの各配合品と表3〜表6に示す各ワックスとを、重量比92:8で混合した。
<配合品1>
・ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート(20重量%)
新中村化学社製「ATM−35E」(1.7)
・アクリロイルモルホリン(40重量%)興人社製「ACMO」(なし)MSDSでの
評価(試験方法:OECDテストガイドライン429)
・2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(10重量%)興人社製「HEAA」(なし)
MSDSでの評価(試験方法:OECDテストガイドライン429)
・前記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒9)
(7重量%)共栄社化学社製「ライトエステル9EG」(1.3)
・前記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒14)
(3重量%)共栄社化学社製「ライトエステル14EG」(1.6)
・γ−ブチロラクトンメタクリレート(5重量%)
大阪有機化学社製「GBLMA」(2.1)
・ネオペンチルグリコールジメタクリレート(5重量%)
新中村化学社製「NPG」(2.0)
・トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(5重量%)
新中村化学社製「DCP」(1.3)
・トリメチロールプロパントリメタクリレート(5重量%)
サートマー社製「SR350」(1.9)
【0024】
<配合品2>
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(20重量%)
日本化薬社製「DPCA−60」(陰性)MSDSでの評価(試験方法:OECD
テストガイドライン406)
・ポリプロピレングリコール(#700)ジアクリレート(30重量%)
東亞合成化学社製「M−270」(1.5)
・トリエチレングリコールジビニルエーテル(30重量%)
アイエスピージャパン社製「DVE−3」(陰性)MSDSでの評価(試験方法:
OECDテストガイドライン406)
・カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート
(10重量%)日本化薬社製「HX−620」(0.9)
・エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(10重量%)
第一工業製薬社製「BPE−10」(1.2)
【0025】
<配合品3>
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(30重量%)
日本化薬社製「DPCA−60」
・アクリロイルモルホリン(70重量%)興人社製「ACMO」
【0026】
<配合品4>
・エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(50重量%)
第一工業製薬社製「BPE−10」
・tert−ブチルメタクリレート(10重量%)共栄社化学製「ライトエステルTB
」(陰性)文献での評価(試験方法:maximization法)
・エチルアクリレート(5重量%)日本触媒製「EA」
(陰性)文献での評価(試験方法:maximization法)
・n−ペンチルメタクリレート(10重量%)東洋サイエンス社製「n−Amyl
Methacrylate」(陰性)文献での評価(試験方法:maximiza
tion法)
・n−ヘキシルメタクリレート(25重量%)東京化成工業社製「メタクリル酸ヘキシ
ル」(陰性)文献での評価(試験方法:maximization法)
【0027】
<SI値の評価方法>
上記SI値は、OECDテストガイドライン429で定められたLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感さ性試験に従い、以下のようにして測定した。

[試験材料]
《陽性対照物質》
陽性対照物質としては、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA;ロット番号CDR4225、和光純薬工業社製)を使用した。

《媒体》
媒体としては、下記のアセトンとオリーブ油を、体積比4:1で混合した混合液を使用した。
・アセトン(和光純薬工業社製)
・オリーブ油(フヂミ製薬所製)

《使用動物》
被検物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対し6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。感さ開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法で、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感さ開始時の動物の週齢は8〜9週齢であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。

《飼育環境》
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21〜25℃、相対湿度40〜70%、換気回数10〜15回/時間、明暗サイクル12時間感覚(7時点灯〜19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネイト製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、オーヤラックス社製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレープ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節摂取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。
【0028】
[試験方法]
《群構成》
SI値の測定試験で使用した群構成を、表1に示す。
【表1】

【0029】
[調製]
《被験物質》
表2に被験物質の秤量条件を示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
【表2】

《陽性対照物質》
略0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。

《BrdU》
5−ブロモ−2′−デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(大塚製薬工業社製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。

《調製時期及び保管期間》
陽性対照物質調製液は感さ開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感さ日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
【0030】
[感さ及びBrdU投与]
《感さ》
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日連続して行った。

《BrdUの投与》
最終感さの略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
【0031】
[観察及び検査]
《一般状態》
試験に使用した全動物について、感さ開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感さ開始日をDay1とした。

《体重測定》
感さ開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。

《耳介リンパ節の採取及び重量測定》
BrdU投与の略24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して重量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。重量測定後、個体毎に−20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。

《BrdU取り込み量の測定》
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm‐OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
【0032】
[結果の評価]
《Stimulation Index(SI)の算出》
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で徐して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。また、各試験群のSIの標準誤差も算出した。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第一位まで表示した。
【数1】

【0033】
また、ワックスは以下のものを使用した。いずれも理研ビタミン社製である。
・クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド(「ポエムK−30」)
・プロピレングリコールモノベヘネート(「リケマールPB−100」)
・グリセリンモノ脂肪酸エステル(「ポエムPV−100」)
・グリセリンジ脂肪酸エステル(「リケマールS−200」)
・ソルビタンモノ脂肪酸エステル(「ポエムS−250」)
・コハク酸脂肪酸モノグリセライド(「ポエムB−10」)
・グリセリンモノアセトモノ脂肪酸エステル(「ポエムG−508」)
【0034】
表3〜表6に示す混合組成物は、常温環境下でいずれも合計約10gを褐色瓶内に密封した。
次いで、70℃に設定したオーブン内で約10分加温した後、オーブンから取り出して振とう撹拌し、すぐに60℃に設定したオーブン内に約20分静置して60℃での相溶性評価を行った。外観状態を目視観察して透明で均一な液体となっているものを相溶と判断し、白濁あるいは相分離しているものを非相溶と判断した。その後25℃の恒温庫内にて約1日静置して放冷後に外観状態を目視観察し、褐色瓶を傾斜させても自重で流動しないものを固体状、自重でゆっくりと流動するがワックスを配合しない場合よりも明らかに高粘稠なものを半固体状と判断し、容易に流動するものを液体と判断した。ただし、流動する場合であっても液状成分と固体状成分が相分離した状態のものは、明らかに本件検討の主旨からみて望ましくないものであり、固体状とも液体とも判断しなかった。
【0035】
前記各配合品と各ワックスの混合状態外観を確認したところ、表3〜表6に示すように、ワックスが親水性官能基を有している場合には、各配合品のいずれかを混合して作成した光重合性成分に対して、ワックスの融点付近以上である60℃で相溶し、25℃に冷却すると流動性を失って固体状となり、グリセリンモノアセトモノ脂肪酸エステルについては流動性はあるものの粘稠で半固体状となった。一方、ワックスが親水性官能基を有さない場合には、60℃でも相溶せず、25℃に冷却するとそのまま分離状態となった。
この結果から、ワックスが親水性官能基を有していると、安定した吐出性と画像特性の前提となる加温時の相溶性が得られることが確認できた。
【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
次に、配合品1〜4に対し、親水性官能基を有するワックスとして表3〜表6と同様のものを使用し、配合品とワックスの配合比を99.95:0.05から90:10までの範囲で変化させて、インク滴のにじみと室温固体状での光重合性を調べた。
さらに、配合品とワックスからなる混合組成物100重量部に対し、カーボンブラック(三菱化学社製#5B)を1重量部、顔料分散剤として極性基含有高分子分散剤(日本ルーブリゾール社製ソルスパース32000)を1重量部、重合開始剤(チバジャパン社製Irugacure379)を10重量部配合して、室温固体状黒インクを作成し評価に供した。
【0041】
<インク滴のにじみの評価>
図2に示す構造のインクカートリッジ及び、リコープリンティングシステム社製インクジェット吐出ヘッドGEN4を備えた図3に示すインクジェット記録装置を用い、60℃に加温した状態で、上記インクを、上質紙であるリコー製マイリサイクルペーパーGPに対して吐出した後、十分な光量の紫外線照射により硬化処理した。このようにして形成されたドットの形状と大きさを顕微鏡で拡大して目視観察した。
評価結果を表7〜表10に示す。評価基準は次のとおりである。
〔評価基準〕
○:ワックスを配合しない場合よりもにじみが抑制されている
×:ワックスを配合しない場合と同程度
【0042】
<室温固体状での光重合性の評価>
上記インクを加温して液状となった状態で、市販汎用品のワイヤーバー#2(塗膜厚さ約3μm)によりPETフィルム(東レ社製ルミラーE20)に手引き塗工し、フュージョンUVシステムズ社製紫外線照射装置LH6により、ワックスを配合しない場合においては十分な硬化光量である1000mJ/cm(UVA波長領域として)の積算光量の紫外線を照射した後に塗膜表面を指触し、指に対してべたつきがあったり、黒色の汚れ付着がある場合を「×」、べたつきがなく黒色付着物がない場合を「○」とした。
評価用の基材として非浸透性のものを用いたのは、浸透性のものでは若干の未硬化成分が残存していても浸透してしまい指触では確認できない場合があるため、より厳密な評価を行うためである。
評価結果を表7〜表10に示す。評価基準は次のとおりである。
〔評価基準〕
○:ワックスを配合しない場合と同程度
×:ワックスを配合しない場合よりも著しく低下
【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【符号の説明】
【0047】
1 被印刷基材供給ロール
2 被印刷基材
3 印刷ユニット
3a 各色の印刷ユニット
3b 各色の印刷ユニット
3c 各色の印刷ユニット
3d 各色の印刷ユニット
4a 紫外線光源
4b 紫外線光源
4c 紫外線光源
4d 紫外線光源
5 加工ユニット
6 印刷物巻き取りロール
7a 冷却機構
7b 冷却機構
7c 冷却機構
7d 冷却機構
8a 冷却ノズル
8b 冷却ノズル
8c 冷却ノズル
8d 冷却ノズル
200 インクカートリッジ
201 加温ユニット
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2006−176782号公報
【特許文献2】特開2005−162962号公報
【特許文献3】特開平07−186518号公報
【特許文献4】特開平06−200204号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと親水性官能基を有するワックスを含む室温固体状光重合性インクジェットインク。
【請求項2】
皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーが、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、下記式(1)で示されるポリエチレングリコールジメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒12)〕、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、tert−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートから選ばれた複数の化合物である請求項1に記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
【化2】

式中、n≒9〜14である。
【請求項3】
前記親水性官能基を有するワックスが、クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド、プロピレングリコールモノベヘネート、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、コハク酸脂肪酸モノグリセライド、グリセリンモノアセトモノ脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
【請求項4】
前記皮膚感さ性が陰性であるモノマー又はオリゴマーと、前記親水性官能基を有するワックスの重量比が、99.9:0.1以上、90:10未満である請求項1〜3のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインクを収容したインクカートリッジ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の室温固体状光重合性インクジェットインクを加温することにより液状化して印刷を行い、室温に保持した基材上でインク滴が増粘又は固体化した後に光硬化するインクジェット印刷プロセス。
【請求項7】
請求項5に記載のインクカートリッジを搭載し、請求項6に記載の印刷プロセスを実施する機構を備えたインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−7021(P2013−7021A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235054(P2011−235054)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】