説明

インクジェットヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置

【課題】 発熱によるインク粘度のばらつきを防止するインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】 インクを吐出するための素子部が駆動に伴って発熱する本発明によるインクジェットヘッドは、横並びに3つ以上のノズル列を有するノズルプレート12と、ノズルプレート12に設けられ、発熱に伴って昇温する3つ以上のノズル列の放熱を行う放熱部材14と、を備え、放熱部材14は、前記3つ以上のノズル列の温度が均一になるように、横並びの方向において放熱率が異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズル列を有すると共に、インクを吐出するための素子部が駆動に伴って発熱するインクジェットヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインクジェットヘッドとして、複数のノズルにおける温度のばらつきを低減し、粘度が均一なインクを吐出可能としたインクジェットヘッドが知られている(特許文献1参照)。
このインクジェットヘッドにおいては、ヒーターがインクジェットヘッドと、ノズルプレートを枠状に囲むノズルカバーとに接触するように設けられている。ヒーターを駆動し、インクジェットヘッドに加えノズルカバーを加熱することにより、放熱し易いノズルプレートの周縁部が加温され、ノズルプレートが平面内において均一に加温される。これにより、複数のノズルから吐出されるインクが均一に加温され、吐出されるインクのインク粘度が一様に保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−143109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、圧電素子(ピエゾ素子)等を駆動源とするインクジェットヘッドでは、圧電素子に電圧を印加してこれを駆動する(インク吐出)と、圧電素子が発熱することが知られている。圧電素子はキャビティーに面して設けられており、圧電素子が発熱すると、伝熱によりキャビティー内のインクが昇温することになる。
上記従来のインクジェットヘッドにおいて、1本または2本のノズル列を有する場合には、ノズルプレートを均一に加熱することで、各ノズル列から吐出されるインクも同一温度(同一粘度)となる。すなわち、圧電素子が発熱しても、1本または2本のノズル列から吐出されるインクを、均一な温度(粘度)に管理することができる。
しかし、インクジェットヘッドが、3本以上のノズル列を有する場合には、圧電素子の熱は、外側のノズル列に比して内側のノズル列では熱がこもり易く、均一な温度(粘度)に管理することができなくなる問題が生ずる。すなわち、ノズルプレートの端部側に形成されたノズル列は、放熱しやすいが、中央に向かうにつれ、放熱しにくくなり、ノズルプレートにおける温度が不均一となる。このため、中央にあるノズル列と端部にあるノズル列とで、吐出されるインクの粘度が異なり、吐出量や吐出速度も異なってしまう。従って、印刷品質が悪化するおそれがあった。
【0005】
本発明は、3つ以上のノズル列を有するノズルプレートにおいて、素子部の発熱があっても、ノズル列の並び方向におけるノズルプレート面の温度を均一化することができるインクジェットヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェットヘッドは、インクを吐出するための素子部が駆動に伴って発熱するインクジェットヘッドであって、横並びに3つ以上のノズル列を有するノズルプレートと、ノズルプレートに設けられ、発熱に伴って昇温する3つ以上のノズル列の放熱を行う放熱部材と、を備え、放熱部材は、3つ以上のノズル列の温度が均一になるように、横並びの方向において放熱率が異なることを特徴とするインクジェットヘッド、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、素子部の発熱により、ノズルプレートはその端部から中央へ向かって高い温度となるが、ノズルプレートに、ノズル列の横並びの方向において放熱率が異なる放熱部材が設けられているため、横並びの方向において、ノズルプレートの温度を均一化するができる。これにより、3つ以上のノズル列の温度が均一となり、各ノズル列から吐出されるインクも均一な温度および均一な粘度となる。したがって、3つ以上のノズル列において、インクの吐出量および吐出速度を均一化することができ、印刷品質を向上させることができる。
【0008】
この場合、放熱部材は、同一の材質であって板状に形成され、横並びの方向において放熱面積が異なるのが好ましい。
【0009】
この構成によれば、高温となるノズルプレートの中央に形成されたノズル列の放熱面積が大きくなり、中央と比べて低温である端部の放熱面積が小さくなる。これにより、各ノズル列によって放熱率が変化し、極めて簡単な構造で、ノズルプレートを横並びの方向において均一な温度とすることができる。
【0010】
また、放熱部材とノズルプレートとは、一体に成形されているのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、放熱部材付きのノズルプレートを、容易に製造することができる。
【0012】
これらの場合、放熱部材は、横並びの方向に沿うノズルプレートの両側辺に突設された一対の部分放熱板を有しているのが好ましい。
【0013】
また、各部分放熱板は、山形形状を為すように突設されているのが好ましい。
【0014】
この構成によれば、横並びの方向のみならずノズル列方向においても放熱率を一定にすることができ、全体として、ノズルプレートの温度を均一化することができる。
【0015】
また、各部分放熱板は、ノズルプレートに対し反り返るように屈曲して設けられているのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、部分放熱板をなす放熱部材を設けるのに必要なスペースを節約できる。
【0017】
さらに、各部分放熱板には、放熱促進部材が設けられているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、インクジェットヘッドが発生する熱を、より効率的に放熱することができる。
【0019】
本発明のインクジェット記録装置は、上記に記載のインクジェットヘッドと、インクを所定の温度に加熱するインク加熱手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、インクジェットヘッド自体の熱を均一に放熱できるとともに、インクジェットヘッドに供給されるインクの粘度を低下させることができるので、吐出不良を回避して正確に描画を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】インクジェット記録装置の平面図である。
【図2】チャンバー内に設けられたインクジェットヘッドを示す図である。
【図3】インクジェットヘッドの斜視図である。
【図4】図4(a)および図4(b)は、ノズルプレートの平面図および各ノズルプレートの表面温度に関するグラフである。
【図5】図5(a)は第1の変形例を示すノズルプレート部の平面図であり、図5(b)は第2の変形例を示すノズルプレート部の平面図であり、図5(c)は第3の変形例を示すノズルプレート部の平面図である。
【図6】図6(a)は第4の変形例を示すノズルプレート部の平面図であり、図6(b)および図6(c)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドが搭載されたインクジェット記録装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、機台2と、機台2上の全域に広く載置され、インクジェットヘッド11を搭載した描画装置3と、機台2上で描画装置3に添設されたメンテナンス装置4とを備え、メンテナンス装置4によりインクジェットヘッド11のメンテナンス処理(機能維持・回復)を行うと共に、描画装置3によりワークW上に例えばUVインクを吐出させる描画動作を行うようにしている。
【0024】
描画装置3は、X軸テーブル22およびX軸テーブル22に直交するY軸テーブル23(ヘッド移動手段)から成るXY移動機構21と、Y軸テーブル23に移動自在に取り付けられたキャリッジユニット15と、を有している。そして、キャリッジユニット15には、インクジェットヘッド11と後述する加熱装置50が搭載されている。一方、ワークWは、X軸テーブル22に位置決めされた状態で搭載されている。なお、本実施形態では、単一のインクジェットヘッド11を搭載しているが、その個数は任意である。
【0025】
X軸テーブル22は、X軸方向の駆動系を構成するモータ駆動のX軸スライダー24を有し、これに吸着テーブル26および基板θテーブル27等から成るセットテーブル25を移動自在に搭載して構成されている。同様に、Y軸テーブル23は、Y軸方向の駆動系を構成するモータ駆動のY軸スライダー28を有し、これに上記のキャリッジユニット15を移動自在に搭載して、構成されている。そして、Y軸テーブル23は、これに搭載したキャリッジユニット15を、X軸テーブル22の直上部に位置する描画エリア31と、メンテナンス装置4の直上部に位置するメンテナンスエリア32との相互間で、適宜移動させる。
【0026】
このように構成されたインクジェット記録装置1は、メンテナンス装置4によりインクジェットヘッド11に対し適宜メンテナンス処理を行うと共に、描画装置3によりワークWに描画動作を行うようにしている。すなわち、描画装置3は、制御装置による制御を受けながら、ワークWをX軸テーブル22によりX軸方向に間欠的に送り(副走査)、これに同期してY軸テーブル23によりインクジェットヘッド11をY軸方向に往復動させる(主走査)と共にインクジェットヘッド11を選択的に駆動して、ワークWに描画を行うようになっている。
【0027】
図2は、キャリッジユニット15の模式図である。同図に示すように、キャリッジユニット15は、キャリッジプレート15aと、キャリッジプレート15aに下向きに搭載したインクジェットヘッド11と、インクジェットヘッド11を加熱するチャンバー形式の加熱装置(インク加熱手段)50と、を備えている。本実施形態のインクジェットヘッド11には、粘度の高いUVインクが導入されるため、加熱装置50によりインクジェットヘッド11を加熱(加温)し、UVインクの粘度を低下させて吐出するようになっている。
【0028】
加熱装置50は、インクジェットヘッド11を内包するようにキャリッジプレート15aの上側空間を覆うチャンバー51と、チャンバ−51内に配設したファン52およびヒーター53と、を有している。図示しないがチャンバー51には温度センサが設けられており、この温度センサの検出結果に基づいて、ヒーター53がON−OFF制御されるようになっている。ファン52およびヒーター53が駆動されると、チャンバ−51内で温風が循環しチャンバ−51内の雰囲気が一定の温度に維持される。これにより、インクジェットヘッド11およびこれに接続されているインクチューブ54(実際には、色別で8本のインクチューブ54)が加熱され、インクジェットヘッド11およびインクチューブ54に導入されたインクが所定の温度に加熱(加温)される。すなわち、インクジェットヘッド11から吐出されるインクが温められ、その粘度が低下する。
【0029】
また、図1および図3に示すように、インクジェットヘッド11は、インクが導入されるケースヘッド41と、ケースヘッド41の先端に設けられ圧電素子(素子部:図示省略)を内蔵したポンプ部16と、ポンプ部16の先端に設けられたノズルプレート12と、ケースヘッド41の側面に取り付けられた駆動基板42およびフレキシブルプリント基板43と、を有している。また、ノズルプレート12には、X軸方向に延び、1列が複数の吐出ノズル13からなる色別の8列のノズル列13a〜13hが形成されている(図1参照)。各吐出ノズル13は、ポンプ部16のキャビティーに連通しており、キャビティーに面して設けられた圧電素子に、駆動基板42およびフレキシブルプリント基板43を介して、所定電圧の駆動波形が印加されることにより、圧電素子が変形し(ポンプ作用)各吐出ノズル13からインクが吐出される。
【0030】
一方、本実施形態のインクジェットヘッド11では、圧電素子(ピエゾ素子)が駆動(駆動波形を印加)すると、圧電素子が発熱する。上述のように、加熱装置50により、インクジェットヘッド11(ノズルプレート12)を均一に加熱しているが、圧電素子が発熱すると、放熱し易い両外側に位置するノズル列13aおよび13hに対し、放熱し難い中央に位置するノズル列13dおよび13eの温度が高くなり、吐出するインクの粘度がノズル列13a〜13hの位置により異なるものとなる。すなわち、ノズル列13a〜13hがノズルプレート12の外側に位置するか中央に位置するかで、インクの吐出量や吐出速度が異なるものとなってしまう。そこで、本実施形態では、圧電素子の発熱を加味した上で、ノズルプレート12が均一な温度となるように、ノズルプレート12に放熱部材14を設けるようにしている。
【0031】
図3に示すように、8列のノズル列13a〜13hを有するノズルプレート12には、X軸方向両側辺に突設させた一対の部分放熱板14a,14aから成る放熱部材14が設けられている。一対の部分放熱板14a,14aは、それぞれ三角形を為し、ノズルプレート12と同一の材質で板状に一体形成(一体に成形)されている。
【0032】
三角形の各部分放熱板14aは、X軸方向において、ノズルプレート12の中央に頂点が位置するように設けられている。つまり、ノズルプレート12と一対の部分放熱板14a,14aとを合わせたX軸方向の長さは、ノズルプレート12の中央から端部へ向かうに従って短くなっている。そのため、中央に形成されたノズル列13dおよび13eの放熱率は大きくなり、端部へ向かうに従って放熱率は小さくなっていく。このようにしてノズル列13a〜13h毎に放熱面積を異ならせることにより、ノズルプレート12全体では温度が均一になる。そして、三角形の各部分放熱板14aの高さは、圧電素子の発熱量に基づいて決定される。なお、この実施形態では、ノズルプレート12と一対の部分放熱板14a,14aとを一体形成したが、これらを別体とし、ノズルプレート12に一対の部分放熱板14a,14aを取り付ける構成としてもよい。また、図示省略したが、各部分放熱板14aに、これと相似的な形状のヒートシンク(放熱促進部材)を設け、放熱を促進するようにしてもよい。
【0033】
図4は、ノズルプレート12の平面図とノズルプレート12におけるノズル列13a〜13h単位のノズル表面温度を測定したグラフである。なお、各グラフにおいて、横軸はノズルプレート12における各ノズル列13a〜13hの位置を示し、縦軸は温度(t)を示している。各グラフ中の13aは、インクジェットヘッド11に設けられたノズルプレート12の一方の外端部に形成された1列目のノズル列(図3に示す左端のノズル列)に対応しており、13hは、他方の外端部に形成された8列目のノズル列(図3に示す右端のノズル列)に対応している。
【0034】
そして、図4(a)は、上記の加熱装置50により加熱された放熱部材14の無い従来のノズルプレート12を、図4(b)は、加熱装置50により加熱された放熱部材14のある本実施形態のノズルプレート12を示している。また、図4(a)および図4(b)は、インクジェットヘッド11が駆動している描画時の状態である。
【0035】
図4(a)に示すように、従来型のインクジェットヘッド11では、ノズルプレート12の中央は熱がこもり易い一方、その端部は放熱しやすいので、加熱装置50による加熱量と圧電素子の発熱量とにより、中央に形成されたノズル列13dおよび13eの温度が最も高くなり(温度T4)、端部のノズル列13aおよび13hへ向かって、ノズルプレート12の温度は漸進的に低下する。ノズル列13aおよび13hの温度が最低温度(温度T2)となり、最高温度と最低温度との温度差は、2〜3℃である。
【0036】
図4(b)に示すように、描画時の本実施形態のインクジェットヘッド11では、ノズルプレート12の表面温度は、端部側にあるノズル列13aおよび13hで温度T2である。一方、中央に形成されたノズル列13dおよび13eの温度も温度T2である。このように、本発明では、X軸方向において各ノズル列13a〜13hの放熱率が異なるように部分放熱板14a,14aを設けたので、一方の端部から他方の端部にわたって形成された複数のノズル列の温度を一定にすることができる。
【0037】
次に、図5および図6を参照して、インクジェットヘッド11の変形例について説明する。これらの変形例では、ノズルプレート12廻りの構成のみ異なるため、この異なる部分についてのみ説明する。なお、以降の説明では、ノズルプレート12と放熱部材14とを合わせた概念(部材)として、「ノズルプレート部18」という語を用いることとする。
【0038】
図5は、ノズルプレート部18(インクジェットヘッド11)の変形例を示す図である。図5(a)は、第1の変形例を示すノズルプレート部18の平面図である。ノズルプレート12には、部分放熱板14a,14aの代わりに、例えばアルミニウム製のヒートシンク14b,14bがそれぞれ設けられている。各ヒートシンク14bは、矩形且つ薄手の小片で形成され、熱伝導率の高い接着剤等により、X軸方向に沿って吐出ノズル13から外れたノズルプレート12の端部に固定されている。このような構成では、放熱部材14がノズルプレート12から突出しないので、それらを設けるのに必要なスペースを節約できる。また、ヒートシンク14b,14bにより、より効率的に放熱することができる。なお、ペースト状のヒートシンクをノズルプレート12に設けるようにしてもよい。
【0039】
図5(b)は、第2の変形例を示すノズルプレート部18の平面図である。このノズルプレート部18は、第1実施形態と同様に、ノズルプレート12と放熱部材14が一体に形成されたものであり、放熱部材14を構成する一対の部分放熱板14c,14cは、それぞれ階段状の山形形状となるようにノズルプレート12に突設されている。この場合も、ノズルプレート12の中央付近に形成されたノズル列に対しては放熱率が最大となり、端部へ向かって段階的に放熱率が小さくなっている。山形形状とすることにより、Y軸方向のみならずX軸方向においても、放熱率が一定となる。
【0040】
図5(c)は、第3の変形例を示すノズルプレート部18の平面図である。このノズルプレート部18は、第1実施形態と略同じ形態を有しており、ノズルプレート12と部分放熱板14d,14dとの接合部や、各部分放熱板14dの頂部がR形状に形成されている。この場合も、第1実施形態と略同じ作用・効果を奏する。
【0041】
図6(a)は、第4の変形例を示すノズルプレート部18の平面図であり、図6(b)および図6(c)はその側面図である。このノズルプレート部18では、部分放熱板14e,14eが、ノズルプレート12に対し反り返り且つ蛇腹状に折り曲げて形成されている。すなわち、部分放熱板14e,14eを展開した状態が、第1実施形態と同一の形態となる。部分放熱板14e,14eを蛇腹形状とすることにより、放熱性能を損なうことなく、それらを設けるためのスペースを節約することができる。
なお、上記のように蛇腹形状とする代わりに、図6(c)に示すように、両部分放熱板14f,14fを、ノズルプレート12対し反り返るように単純に折り曲げて形成してもよい。この場合も、部分放熱板14f,14fを展開した状態が、第1実施形態と同一の形態となる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、ノズルプレート12に形成された各ノズル列によって放熱率が異なる放熱部材14を設けるようにしているため、圧電素子が発熱してノズルプレート12の表面温度にばらつきがでても、X軸方向においてノズルプレート12の温度を均一化できる。それにより、各吐出ノズル13から吐出されるインクの温度および粘度を均一化できる。
なお、本実施形態では、8列のノズル列が形成されたノズルプレート12を有するインクジェットヘッド11について説明したが、本発明は3つ以上のノズル列を有するインクジェットヘッドに適用可能なものである。
【符号の説明】
【0043】
1…インクジェット記録装置 11…インクジェットヘッド 12…ノズルプレート 13…ノズル 13a〜13h…ノズル列 14a,14c,14d,14e,14f…部分放熱板 14b…ヒートシンク 18…ノズルプレート部 51…チャンバー 52…ファン 53…ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するための素子部が駆動に伴って発熱するインクジェットヘッドであって、
横並びに3つ以上のノズル列を有するノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ、前記発熱に伴って昇温する前記3つ以上のノズル列の放熱を行う放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、前記3つ以上のノズル列の温度が均一になるように、前記横並びの方向において放熱率が異なることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記放熱部材は、同一の材質であって板状に形成され、前記横並びの方向において放熱面積が異なることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記放熱部材と前記ノズルプレートとは、一体に成形されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記横並びの方向に沿う前記ノズルプレートの両側辺に突設された一対の部分放熱板を、有していることを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記各部分放熱板は、山形形状を為すように突設されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記各部分放熱板は、前記ノズルプレートに対し反り返るように屈曲して設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記各部分放熱板には、放熱促進部材が設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェットヘッドと、
インクを所定の温度に加熱するインク加熱手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196880(P2012−196880A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62527(P2011−62527)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】